JP3020062U - キャビティアイアン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 大きなスィートスポットが得られるキャビテ
ィアイアンの特長をそのまま生かしながら、ゴルフボー
ルに十分な打撃力を与えられるアイアンを提供する。 【構成】 バックフェース５の凹部６に金属プレート１
０を装着する。金属プレート１０はヘッド本体２より比
重が小さなチタンで形成する。凹部６に金属プレート１
０を嵌め込んで接着固定する。金属プレート１０の内面
１１には、トウ側にあな１２を設ける。インパクト面４
の背面側の肉厚が、金属プレート１０の分だけ増えるの
で、ゴルフボールに対する反発力の増加で打撃力が向上
する。あな１２によって金属プレート１０の重心位置を
補正し、ヘッド本体２の重量バランスが狂うのを解消で
きる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】 本考案は、ゴルフクラブヘッド、なかでもバックフェースに凹部が設けてある キャビティアイアンに関する。

【０００２】

【従来の技術】

この種のキャビティアイアンにおいて、バックフェースの凹部内にヘッド本体 とは異材質の柔軟部材を配置することが、実開平５−５８１６７号公報や実開昭 ６３−６８３７１号公報に公知である。バックフェースに設けた凹部は、インパ クト面のスィートスポットを広げる機能を持つ。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

かかるキャビティアイアンにおける問題点は、インパクト面のスィートスポッ トでボールを打っても、ヘッド本体はスィートスポットおよびその周辺部で肉厚 が薄くなっている。そのため、前述の如き柔軟素材ではゴルフボールに十分な打 撃力を与えられず、風によって飛跡が変化しやすいところにある。

【０００４】 そこで本考案の目的は、スィートスポットを広げながらも、ゴルフボールに大 きな打撃力を与えることができるキャビティアイアンを提供するにある。 本考案の目的は、バックフェースの凹部に打撃力を増加するための金属プレー トを備えたキャビティアイアンにおいて、打撃時のクラブヘッドの返りを適正化 して、打球の飛跡が左右に振れるのを解消することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は、ヘッド本体２のバックフェース５に、これのほぼ全面にわたって凹 部６が設けてあるキャビティアイアンにおいて、ヘッド本体２の形成素材より比 重が小さい金属材料からなる金属プレート１０を用意し、この金属プレート１０ を前記凹部６にこれをほぼ全面的に埋める状態で装着固定する。そして、金属プ レート１０の重心をヘッド本体２の重心に近付けるためのあな１２を金属プレー ト１０に設けたものである。

【０００６】 更に具体的に説明すると、ヘッド本体２は、インパクト面４とバックフェース ５との間が上端からソール３に近付くほど肉厚を増しているとともに、ヒール側 からトウ側へ近付くほど肉厚を増す断面形状を呈しており、バックフェース５に 、これの全面にわたって外周縁部５ａを残して凹部６がバックフェース５とほぼ 相似の花弁形状に形成されている。かかるキャビティアイアンにおいて、前記凹 部６の内底面７をインパクト面４とほぼ平行に形成し、以て該凹部６の深さ寸法 がソール３に近付くほど深く、ヒール側からトウ側へ近付くほど深くなるよう設 定する。そして、ヘッド本体２の形成素材よりも比重の小さい金属材料からなる 金属プレート１０を有し、この金属プレート１０は前記凹部６にこれを全面的に 埋める状態で装着固定する。金属プレート１０には、前記凹部６の内底面７に接 する内面１１のトウ側に、あな１２が凹み形成されている。このあな１２は金属 プレート１０のトウ側に近い上下方向の中央部分に下拡がりの台形状を呈するよ うに形成することが望まれる。

【０００７】 更に金属プレート１０は、その厚み寸法がソール３側およびトウ側の周縁部に おいて前記凹部６の深さ寸法より僅かに小さく設定したものとする。ヘッド本体 ２は鋼ないし鋼合金を素材とする型鍛造品からなり、金属プレート１０はチタン 又はチタン合金を素材とする型鍛造品とする。かくして、前記凹部６に、金属プ レート１０を好ましくはアクリル系接着剤で接着固定する。

【０００８】

【作用】

バックフェース５に大きく形成した凹部６が金属プレート１０で埋め尽くされ ているから、スィートスポットの背面側の肉厚が金属プレート１０の厚み分だけ 増加し、それだけインパクト面４がゴルフボールに当たるときの打撃力が増加す る。金属プレート１０はヘッド本体２の形成素材より比重が小さい金属材料で形 成されているから、前記凹部６の存在意義が残されており、スィートスポットが 狭い領域に収斂されることはない。

【０００９】 ヘッド本体２の凹部６は、トウ側に行くに従って厚みが増し、かつ上下幅が大 きくなる形状になっている。そのため、金属プレート１０を凹部６の空間形状と 実質的に相似形状とし、凹部６の空間の殆どを埋める状態で金属プレート１０を 配置すると、金属プレート１０を軽質金属で形成したとしても、ヘッド本体２の 重量バランス状態が変化する。つまり、ヘッド本体２はトウ側の重量が増加し、 打撃時にクラブヘッドが過剰に返りやすくなる。こうしたクラブヘッドの過剰な 返りを防ぐために、金属プレート１０のトウ側にあな１２を設け、ヘッド本体２ の重心がトウ側に偏るのを防止している。

【００１０】

【考案の効果】

本考案のキャビティアイアンでは、バックフェース５の凹部６にヘッド本体２ より比重の小さい金属プレート１０を埋め込むことにより、スィートスポットを 広くしながらも、スィートスポットの背面側の肉厚を金属プレート１０で増すこ とにより、ゴルフボールに与える打撃力を増加できる。従来のキャビティアイア ンに比べてゴルフボールにより大きな打撃力を与えて、風に流されることのない 打球が得られ、使用者の技能差を吸収できる利点を有する。金属プレート１０に はあな１２を設けてあるので、金属プレート１０を付加したことに伴うヘッド本 体２の重量バランスの狂いを補正でき、打撃時にクラブヘッドが過剰に返って打 球の飛跡がフック気味に曲がることを防止し、より正確なショットが行える。

【００１１】 ヘッド本体２は、インパクト面４とバックフェース５との間が上端からソール ３に近付くほど肉厚を増しているとともに、ヒール側からトウ側へ近付くほど肉 厚を増す断面形状を呈しており、バックフェース５に、これの全面にわたって外 周縁部５ａを残して凹部６がバックフェース５とほぼ相似の花弁形状に形成され ており、前記凹部６の内底面７がインパクト面４とほぼ平行に形成してある。従 って、該凹部６の深さ寸法はソール３に近付くほど深く、ヒール側からトウ側へ 近付くほど深くなるよう設定されることになる。これに伴い、金属プレート１０ は前記凹部６の空間形状にほぼ合致して、金属プレート１０の外面がバックフェ ース５の外周縁部５ａとほぼ面一状になるように金属プレート１０を該凹部６に 埋設状態で固定されている。これにより、ヘッド本体２に金属プレート１０が違 和感を生ぜずに体裁よく一体化できる。

【００１２】 上記形式の金属プレート１０では、トウ側に行くに従って上下幅と厚み寸法と が増して行き、これに伴いトウ側の重量が大きくなる。しかし、金属プレート１ ０の内面１１には、トウ側にあな１２を設けてあるで、金属プレート１０が軽質 金属材料からなることと相まって、ヘッド本体２の重心が狂うのを既にみたとお り確実に補強できる。このとき、金属プレート１０の厚み寸法が、ソール３側お よびトウ側の周縁部において前記凹部６の深さ寸法より僅かに小さく設定されて いると、つまり金属プレート１０の外面が該当部位においてバックフェース５の 外周縁部５ａより少し凹んだ状態にあり、かつ前記あな１２が下拡がりの台形状 に形成されていると、これにても金属プレート１０の重心がトウ側に大きく偏る のを前記あな１２と相まって合理的によく防止できることになる。

【００１３】 前記あな１２は金属プレート１０の内面１１側に凹み形成してあるので、内外 貫通状ないし切り欠き状に形成されているものとは異なり、外観的にみて前記あ な１２が見えず、この点でも体裁よく仕上げることができる。 更に、前記あな１２が金属プレート１０の内面１１のトウ側に近く、しかも上 下方向の中央部分に凹設されているので、トウ側の端縁にまで及ばず、前記凹部 ６に金属プレート１０を接着固定した際に金属プレート１０がトウ側の端縁から 剥がれやすくなることもない。

【００１４】 また、ヘッド本体２は鋼ないし鋼合金を素材とする型鋳造品からなるのに対し 、金属プレート１０がチタン又はチタン合金を素材とする型鋳造品からなるもの とすれば、金属プレート１０に他の軽質金属材を用いる場合に比べて軽量で、か つゴルフボールの反発力にも優れたものになり好適となる。そして、前記凹部６ に金属プレート１０を接着するに際し、アクリル系接着剤を用いれば、耐衝撃性 と耐熱性に優れ、過酷な使用条件下でもヘッド本体２から金属プレート１０の剥 がれによる脱落を長期にわたって確実に防止できる利点を有する。

【００１５】

【実施例】

図１ないし図４は本考案に係るキャビティアイアンの実施例を示す。図１にお いて、符号１はシャフト、２はヘッド本体である。ヘッド本体２は、鋼ないし鋼 合金を素材にした型鍛造品からなり、ソール３に対して所定角度だけ前面下り傾 斜状に傾くインパクト面４を有する。インパクト面４の背面のバックフェース５ には、これの全面にわたって所定幅の外周縁部５ａを残して凹部６が形成されて いる。ヘッド本体２は、インパクト面４とバックフェース５との間が上端からソ ール３に近付くほど肉厚が増し、かつヒール側からトウ側へ近付くほど肉厚が増 す断面形状になっている。

【００１６】 凹部６は、ヒール側からトウ側に行くに従って上下幅が拡大するバックフェー ス５とほぼ相似の花弁形状を呈しており、凹部６の内底面７はインパクト面４と ほぼ平行に形成してある。従って、図１および図３に示すように、凹部６の深さ 寸法はソール３に近付くほど深く、さらにトウ側へ近付くほど深くなる。インパ クト面４はサンドブラストによって粗面化されており（図３参照）、この粗面部 分に溝９がソール３とほぼ平行に多数形成されている。

【００１７】 前述の凹部６を備えたキャビティアイアンにおいて、ゴルフボールにより大き な打撃力を与えて直進性を増すために、該凹部６内に金属プレート１０を配置す る。この金属プレート１０はヘッド本体２より比重が小さいチタン、チタン合金 、アルミニウム合金、およびマグネシウム合金などの軽質金属を素材にして型鍛 造により形成する。このうちチタン又はチタン合金が軽量で、ボールに対する反 発力が大きいので、用いて好適である。

【００１８】 金属プレート１０は、図４に示すごとく前記凹部６の空間形状にほぼ合致して 、その殆どを埋めつくすような該凹部６とほぼ相似の花弁形状を呈している。つ まり、金属プレート１０は、上下幅寸法がヒール側からトウ側に行くに従って大 きく、かつ上方から下方のソール３側に行くに従って厚み寸法が大きい。かくし て金属プレート１０が前記凹部６に密着状に嵌合装着できるようにし、この状態 において金属プレート１０の外面がバックフェース５の外周縁部５ａとほぼ面一 状にあるようにしてある。但し、金属プレート１０の厚み寸法は、ソール３側お よびトウ側の周縁部において、凹部６の深さ寸法より僅かに小さく設定し、前記 凹部６に金属プレート１０を嵌合装着した状態で金属プレート１０のソール３側 およびトウ側の周縁部が前記外周縁５ａより僅かに段落ち状になるようにしてあ る。図示していないが、金属プレート１０の平坦な外面には商標やメーカー表示 が型鍛造時に同時に形成してある。

【００１９】 金属プレート１０は、耐衝撃性に優れ、しかも耐熱性に優れたアクリル系接着 剤やシリコン系接着剤を用いて、その内面１１を凹部６の内周面に密着固定する 。このとき、内面１１の殆どは型鍛造時の生地面からなり、周縁部にバリを除去 するための研磨痕を有するため、接着剤と内面１１との接触面積が増加して、強 固な接着状態を得ることができる。

【００２０】 上記のように凹部６に金属プレート１０を装着すると、金属プレート１０の形 成素材がいかに軽質金属でも、その形態によってヘッド本体２の重量バランスが トウ側へ偏る。これを避けるために、金属プレート１０の内面１１には、これ自 体の重心をヘッド本体２の重心側に近付けるためのあな１２を凹み形成し、クラ ブヘッド全体の重量バランスを補正する。具体的には内面１１におけるトウ側の 近くで上下方向の中央部分に、斜辺部分が湾曲する下拡がり台形状のあな１２を 金属プレート１０の外周縁に掛からないように凹み形成し、金属プレート１０の 重心位置がインパクト面４のほぼ中央に位置するスィートスポットの背方近くに 位置するようにした。金属プレート１０の重量は１２ｇであり、金属プレート１ ０を含めたヘッド本体２の重量は約２８０ｇ（７番アイアン）とした。

【００２１】 上記の実施例は７番アイアンを例示したが、本考案は１番アイアンからサンド ウェッジまでのいずれにも適用できる。金属プレート１０の形状は凹部６の開口 形状および縦横方向の断面形状に対応して種々に変更できるので、実施例で示し た形状に限定されない。金属プレート１０は接着剤で固定する以外に、図５に示 すようにヘッド本体２にねじ込まれる複数個のビス１３で締結固定できる。

【００２２】 前記あな１２は、金属プレート１０の外側面に凹み形成することができるし、 内外貫通状ないし切り欠き状に設けてもよい。金属プレート１０は、上下・左右 あるいは斜めに二分して形成し、その厚み寸法が大きい側の分割ピースを別の分 割ピースより軽い金属素材で形成し、これらを凹部６に装着してもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】図２におけるＡ−Ａ線断面図である。

【図２】背面図である。

【図３】図２におけるＢ−Ｂ線断面図である。

【図４】金属プレートの斜視図である。

【図５】金属プレートの固定構造の変形例を示す背面図
である。

【符号の説明】

２ ヘッド本体 ３ ソール ４ インパクト面 ５ バックフェース ６ 凹部 ７ 凹部の内底面 １０ 金属プレート １１ 金属プレートの内面 １２ あな

Claims (7)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ヘッド本体２のバックフェース５に、こ
   れのほぼ全面にわたって凹部６が設けてあり、 ヘッド本体２の形成素材より比重が小さい金属材料から
   なる金属プレート１０を有し、 この金属プレート１０が、前記凹部６にこれを全面的に
   埋める状態で装着固定されているキャビティアイアン。
2. 【請求項２】 金属プレート１０の重心をヘッド本体２
   の重心に近付けるためのあな１２が、金属プレート１０
   に設けられている請求項１記載のキャビティアイアン。
3. 【請求項３】 ヘッド本体２は、インパクト面４とバッ
   クフェース５との間が上端からソール３に近付くほど肉
   厚を増しているとともに、ヒール側からトウ側へ近付く
   ほど肉厚を増す断面形状を呈しており、 バックフェース５に、これの全面にわたって外周縁部５
   ａを残して前記凹部６がバックフェース５とほぼ相似の
   花弁形状に形成されており、 前記凹部６の内底面７がインパクト面４とほぼ平行に形
   成されていて、該凹部６の深さ寸法がソール３に近付く
   ほど深く、ヒール側からトウ側へ近付くほど深くなるよ
   う設定されており、 ヘッド本体２の形成素材より比重が小さい金属材料から
   なる金属プレート１０を有し、 この金属プレート１０は、前記凹部６の空間形状にほぼ
   合致する花弁形状に形成されていて、金属プレート１０
   の外面がバックフェース５の外周縁部５ａとほぼ面一状
   になるよう該凹部６にこれを全面的に埋める状態で装着
   固定してあり、 金属プレート１０には、前記凹部６の内底面７に接する
   内面１１のトウ側に、あな１２が凹み形成されているこ
   とを特徴とするキャビティアイアン。
4. 【請求項４】 前記あな１２が、金属プレート１０のト
   ウ側に近い上下方向の中央部分に下拡がりの台形状を呈
   するよう設けられている請求項３記載のキャビティアイ
   アン。
5. 【請求項５】 金属プレート１０は、その厚み寸法がソ
   ール３側およびトウ側の周縁部において前記凹部６の深
   さ寸法より僅かに小さく設定されている請求項３又は４
   記載のキャビティアイアン。
6. 【請求項６】 ヘッド本体２が鋼ないし鋼合金を素材と
   する型鍛造品からなり、 金属プレート１０が、チタン又はチタン合金を素材とす
   る型鍛造品からなる請求項５記載のキャビティアイア
   ン。
7. 【請求項７】 前記凹部６に、金属プレート１０がアク
   リル系接着剤で接着固定されている請求項６記載のキャ
   ビティアイアン。