JP3019757B2 - 加飾フィルム層を備えたゴム押出物の製造方法 - Google Patents

加飾フィルム層を備えたゴム押出物の製造方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、加飾フィルム層
を備えたゴム押出物の製造方法に関する。特に加硫ゴム
押出物としてのウェザストリップのトリム(加飾部)に
加飾を施すのに好適な加飾方法である。
【0002】
【従来の技術】加硫ゴム押出物の加飾部に、押出直後の
未硬化熱可塑性樹脂からなる加飾フィルムを接着剤層を
介さずに積層して硬化、接合させるゴム押出物を加飾す
る方法が、米国特許第4537825号明細書、欧州特
許第0372745号明細書等において開示されてい
る。
【0003】そして、当該加飾フィルム層の積層は、加
硫ゴム押出物(ウェザストリップのトリム)の表面上に
オフセットダイの中で直接押出し後、加硫ゴム押出物の
加飾部表面とダイオリフィスで形成されるサイジング空
間で加飾フィルムの厚み(形状)を規制して行ってい
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記方法の場
合、オフセットダイの中に加硫ゴム押出物を挿入し、加
硫ゴム押出物(ウェザストリップ)を引き取りながら、
加硫ゴム押出物とダイオリフィスとで形成される押出空
間で加飾フィルムの厚みを調整するため(引き取り時に
加硫ゴム押出物の上下動の発生するおそれがある)、厚
み制御が困難であると共に、また、加飾フィルムを押出
ダイの中を移動させる場合に発生する滑り摩擦により、
引き取り抵抗が大きくなり易かった。
【0005】 本発明は、上記にかんがみて、加飾フィ
ルムの厚み制御が容易であるとともに、加飾ゴム押出物
の引き取り抵抗が小さい加飾フィルム層を備えたゴム押
出物の製造方法を提供することにある。
【0006】 本発明の他の目的は、加飾フィルムと加
硫ゴム押出物との間に良好な接着性が確保できる加飾フ
ィルム層を備えたゴム押出物の製造方法を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】(1) 請求項1に係る本発
明の加飾フィルム層を備えたゴム押出物の製造方法は、
記目的を下記構成により達成するものである。
【0008】 加硫ゴム押出物の加飾部に、熱可塑性樹
脂からなる加飾フィルムを熱融着により積層して、加飾
フィルム層を備えたゴム押出物を製造する方法におい
て、ゴムを押出機により押出後、加硫して、前記加硫ゴ
ム押出物を得る工程、前記加硫ゴム押出物とは独立して
所定厚さ・幅で前記加飾フィルムを押出す工程、該加飾
フィルムを前記熱可塑性樹脂の溶融温度以上の状態
硫ゴム押出物と圧着ローラとの間に供給する工程、
圧着ローラで前記加飾フィルムを、前記加硫ゴム押出物
に圧着して接着するともに、熱可塑性樹脂の溶融温度以
下に冷却する工程を経て製造する
【0009】
【0010】(2) さらに、 前記加飾フィルムを、前記
熱可塑性樹脂の溶融温度以上の状態で、加硫ゴム押出物
と圧着ローラとの間に供給するとともに、該圧着ローラ
圧着して接着させ、熱可塑性樹脂の溶融温度以下に冷
却して、加硫ゴム押出物とともに圧着ローラから送り出
す。
【0011】
【発明の作用・効果】
(1) 請求項1に係る本発明のゴム押出物の加飾方法は、
加飾フィルムを加硫ゴム押出物とは独立して所定厚さ幅
で押出後、該加飾フィルムを硬化前に圧着ローラで前記
加硫ゴム押出物の加飾部に圧着して熱融着するため、下
記のような作用・効果を奏する。
【0012】従来、加硫ゴム押出物(ウェザストリッ
プ)の加飾部(トリム)に直接押出して、加硫ゴム押出
物の加飾部とフィルム押出ダイのオリフィスで形成され
る押出空間でフィルムの厚みを制御していたのに対し、
本発明の場合、加飾フィルムは独立して押し出すため
に、加硫ゴム押出物の移動に伴う加飾部表面の上下動の
影響を受けず、加飾フィルムの厚み制御が容易となる。
【0013】また、従来の加飾フィルムを押出ダイの中
を移動させる場合に発生する滑り摩擦が、本発明では圧
着ローラによる転がり摩擦となるため、加硫ゴム押出物
の引き取り抵抗も大幅に小さくなる。
【0014】(2) また前記加飾フィルムを熱可塑性樹
脂の溶融温度以上の状態で、加硫ゴム押出物と圧着ロー
ラとの間に供給するとともに、該圧着ローラで圧着さ
せ、熱可塑性樹脂の溶融温度以下に冷却して加硫ゴム押
出物とともに圧着ローラから送り出すため、加飾フィル
ムと加硫ゴム押出物との間に良好な接着性が確保でき
る。その理由は下記の如くと推定される。
【0015】加硫ゴム押出物の表面に対して溶融状態で
加飾フィルムが供給され、しかも、該加飾フィルムは、
急激に表面側から冷却されながら圧着される。このた
め、加硫ゴム押出物と加飾フィルムとの界面において
は、加飾フィルムを形成する溶融材料が加硫ゴム押出物
の表面に存在する多数の微細孔にも部分的に侵入すると
ともに、たとえ圧着ローラにシボ等のエンボス加工が施
されているとしても、加飾フィルムが冷却されるので、
材料離型性も良好で、加飾フィルムが圧着ローラに巻き
つく(引き上げられる)こともなく、圧着ローラの押圧
力が加飾フィルムに対して有効に作用する。従って、加
硫ゴム押出物と加飾フィルムとは、化学的接着の他に力
学的接着(投錨効果)が付加される。
【0016】(3) さらに、請求項の如く、圧着ローラ
をエンボスローラとした場合は、加飾部の意匠性の増大
を容易に達成させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につい
て説明をする。ここでは、ウェザストリップのトリム部
を加飾する場合を、例にとり説明するが、これに限られ
るものではない。
【0018】 (1)まず、図2に示すような断面に、
図1に示すクロスヘッド型の二色押出機13を使用して
押出後、UHF(マイクロ波)加硫装置15、熱風加硫
装置17等により加硫して加硫ゴム押出物であるウェザ
ストリップ本体Wを得る。このウェザストリップ本体W
、インサート21が埋設されソリッドゴムからなる把
持部(トリム部・加飾部)23と、該トリム部23の上
面側に形成されスポンジゴムからなる中空シール部25
とからなる構成である。
【0019】ここで、ソリッドゴム及びスポンジゴムの
ゴム材料としては、耐候性の良好なエチレンプロピレン
ゴムやクロロプレンゴムを挙げることができる。
【0020】(2) 次に、熱可塑性樹脂からなる加飾フィ
ルム27を加硫ゴム押出物Wとは独立して所定厚さ・幅
で押出後、該加飾フィルム27を硬化前に圧着ローラ3
1、33で加硫ゴム押出物Wのトリム部23の上面、即
ち加飾部24に圧着して、該加飾フィルム27を加硫ゴ
ム押出物Wの加飾部24に積層する(図1参照)。即
ち、ウェザストリップ本体Wの加硫工程終了位置(図例
では熱風加硫装置17の出口側外方)に、加飾フィルム
押出装置35を配設し、さらに、その加飾フィルム押出
ダイ37の出口側近傍に圧着ローラ31、33を順接し
て行う。
【0021】具体的には、加飾フィルム押出装置35の
加飾フィルム押出ダイ37のフィルム附形用オリフィス
39と加硫ゴム押出物Wとが、図2に示すような関係で
配され、圧着ローラは上面圧着用31及び端部圧着用3
3が、それぞれ、加硫ゴム押出物Wに対して図3・4に
示すような関係で配される。なお、図例中、29は引き
取りローラである。なお、圧着ローラ31に対応して、
受けローラ40を配しても良い(図1ニ点鎖線参照)。
【0022】 ここで、加硫ゴム押出物Wと加飾フィル
ム27との確実な接着性を得るために、加飾フィルム2
7を、その熱可塑性樹脂の溶融温度以上の状態で、圧着
ローラ31、33と加硫ゴム押出物Wとの間に供給する
とともに、該圧着ローラ31、33で圧着して接着さ
せ、熱可塑性樹脂の溶融温度以下に冷却して、圧着ロー
ラ31、33から、加硫ゴム押出物とともに送り出すこ
とが望ましい。
【0023】 圧着ローラ31、33の制御温度は、通
常、40〜50℃とする。熱可塑性樹脂の溶融温度から
10〜20℃高めの温度で加飾フィルム27を押出すと
ともに、加飾フィルム27溶融温度以上の温度で圧着
ローラ31、33と加硫ゴム押出物Wとの間に供給させ
るため、加硫ゴム押出物Wも、熱可塑性樹脂の溶融温度
から50〜80℃程度の低めの温度に加熱しておくこと
が望ましい。
【0024】この場合、圧着ローラ31、33には、外
側から強制空冷してもよいが、図例の如く、軸部31
a、33aを介して、冷却水等の冷却液を循環させる強
制冷却手段Cを備えさせることが望ましい。該強制冷却
手段Cは、ロータリージョイント30で回転自在に支持
された軸部31a、33aに取り付けられた冷却水供給
パイプ32で略ローラの長手方向中央部位置に冷却水を
供給し、冷却水供給パイプ32の元部外周から還流させ
る構成である。なお、34、36はそれぞれ、フレキシ
ブルホース38が接続された冷却水供給口及び冷却水排
出口である。
【0025】加飾フィルム27を形成する熱可塑性樹脂
としては、加硫ゴム押出物と熱融着するものなら特に限
定されないが、エチレンプロピレンゴムの場合、ポリオ
レフィン系、スチレン系等の非極性熱可塑性エラストマ
ーの組み合わせが望ましい。請求項2にかかる方法の場
合、機械的接着も期待できるため、エチレンプロピレン
ゴムの場合であっても、ポリエステル系、ポリウレタン
系等の極性熱可塑性エラストマーでも可能である。
【0026】また、上面圧着用の圧着ローラ31をエン
ボスローラとしてもよい。この場合は、加飾部24の意
匠性の増大が図ることができる。
【0027】なお、エンボスは、皮シボ、ナシ地シボ、
線シボ等のシボ加工や、ローレット加工等の凹凸加工に
よって形成される。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細
に説明する。
【0029】 クロスヘッド型の押出機を使用して、下
記に示す処方のEPDM配合物を押出して得たウェザス
トリップ本体(図例断面)Wを、図1に示す如く、UH
F加硫装置15、熱風加硫装置17を通過させて加硫ゴ
ム押出物とした。なお、押出物の引き取り速度に加飾フ
ィルム27の押出速度を同期させ、また、加飾フィルム
27は室温まで冷却した。
【0030】他方、熱風加硫装置17の後方に配された
フィルム押出機35(L/D:20)の押出ダイ37
(図2)から熱可塑性エラストマ(「住友TPE528
0」EPDM/PP動的加硫型ポリオレフィン系)をフ
ィルム厚が0.5mmtとなるように加飾フィルム27を
押出す。押出条件は、シリンダ温度220℃、押出速度
5m/分、押出材料温度190℃とした。
【0031】そして、該溶融状態(未硬化状態)の加飾
フィルム(押出フィルム)を図3〜4の上面・端部圧着
用の各圧着ローラ(制御ローラ温度40〜50℃)3
1、33で圧着して、加飾フイルム27をウェザストリ
ップ本体Wのトリム表面に熱融着させる。
【0032】こうして成形したウェザストリップ本体W
の加飾部24から試験片を採取して、JIS K 6301に
準じて180°剥離試験(引張速度:10cm/分)を行
い、加飾フィルムと加硫ゴム押出物との間の接着強度を
測定した。その試験結果は、3kgf/cm(ゴム基材破壊)
であり、十分な接着強度を加飾フィルムと加硫ゴム押出
物との間に得られることが確認できた。
【0033】 <EPDM配合処方(単位:重量部)> EPDM 100部 MAFカーボン 160部 可塑剤 130部 亜鉛華 2部 ステアリン酸 1部 硫黄 1.5部 加硫促進剤 4部
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加硫ゴム押出物の加飾方法を示す概略
全工程図
【図2】本発明の方法の一例におけるフィルム押出ダイ
と加硫ゴム押出物との位置関係を示す正面図
【図3】同じく上押え用圧着ローラ、加飾フィルム及び
加硫ゴム押出物の各位置関係を示す正面図
【図4】同じく端押え用圧着ローラ、加飾フィルム及び
加硫ゴム押出物の各位置関係を示す正面図
【符号の説明】
24 トリム部の上面(加飾部) 27 加飾フィルム 31 圧着ローラ(上面圧着用) 33 圧着ローラ(端部圧着用) 35 加飾フィルム押出装置 37 加飾フィルム押出ダイ 39 フィルム附形用オリフィス W ウェザストリップ本体(加硫ゴム押出物)
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // B29K 21:00 101:12 105:24 B29L 9:00 (56)参考文献 特開 平6−99512(JP,A) 特開 平6−64100(JP,A) 特開 平6−64099(JP,A) 特開 昭57−2719(JP,A) 特開 平5−31785(JP,A) 特開 平8−174620(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 47/06 B29C 43/30 B29C 43/52 B29C 47/88 B32B 25/08

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加硫ゴム押出物の加飾部に、熱可塑性樹
    脂からなる加飾フィルムを熱融着により積層して、加飾
    フィルム層を備えたゴム押出物を製造する方法におい
    て、ゴムを押出機により押出後、加硫して、前記加硫ゴム押
    出物を得る工程、 前記加硫ゴム押出物とは独立して所定厚さ・幅で前記加
    飾フィルムを押出す工程、 該加飾フィルムを前記熱可塑性樹脂の溶融温度以上の
    状態で加硫ゴム押出物と圧着ローラとの間に供給する工
    程、該圧着ローラで前記加飾フィルムを、前記加硫ゴム押出
    物に圧着して接着するともに、 熱可塑性樹脂の溶融温度
    以下に冷却する工程を経て製造することを特徴とする
    飾フィルム層を備えたゴム押出物の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において前記圧着ローラが強制
    冷却手段を備えていることを特徴とする加飾フィルム層
    を備えたゴム押出物の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において前記圧着ローラ
    がエンボスローラであることを特徴とする加飾フィルム
    層を備えたゴム押出物の製造方法。
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