JP3019050B2 - 干渉計装置 - Google Patents

干渉計装置

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JP3019050B2
JP3019050B2 JP9330667A JP33066797A JP3019050B2 JP 3019050 B2 JP3019050 B2 JP 3019050B2 JP 9330667 A JP9330667 A JP 9330667A JP 33066797 A JP33066797 A JP 33066797A JP 3019050 B2 JP3019050 B2 JP 3019050B2
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prism
light
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正史 末吉
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被計測物体の変位
量を計測する干渉計装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来において、環境変化の1つとして空
気の屈折率の変化を補正する干渉計装置としては、例え
ば、特開昭60-263801 号が公知である。この特開昭60-2
63801号に開示されている装置は、図6に示す如く、レ
ーザ光源31からの光束は、ビームスプリッター32に
より2分割され、このビームスプリッター32を透過す
る一方のビームL2 は、計測用ビームとして、図6の左
右方向へ移動可能に設けられた計測側の反射部材34に
て反射されて再びビームスプリッター32へ向かう。一
方、ビームスプリッター32を反射する他方のビームL
3 は、参照用ビームとして、反射鏡33を介して基台に
固設された参照側の反射部材35を反射し、再び反射鏡
33を介してビームスプリッター32へ向かう。そし
て、ビームスプリッター32によって計測用ビームL2
と参照用ビームL3 とが一緒になり、ビームL4 として
光電検出器36にて受光され、被測定物としての反射部
材34の移動量が検出される。
【0003】このとき、空気のゆらぎの影響を受ける部
分での参照用光路長と計測用光路長とが等しくなるよう
に計測側の反射部材33と参照側の反射部材34とをほ
ぼ等しい位置に配置することにより、空気のゆらぎによ
る影響を補正している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、図6に示し
た従来の装置では、被測定物としての反射部材34が大
きく移動した場合には、計測用ビームL2 と参照用ビー
ムL3 との光路長差が大きくなる。この結果、測定誤差
が無視できない程、大きくなるため、空気のゆらぎ等に
よる空気の屈折率変化の影響を根本的に解決できるもの
ではなかった。
【0005】そこで、本発明は、上記の問題を解決し、
空気のゆらぎ等によって生ずる空気の屈折率変化のよる
計測誤差を補正して、常に高精度な計測を可能とし得る
高性能な干渉装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
【0007】上記の目的を達成するために、本発明によ
る被計測物体の変位量を計測する干渉計装置は、例えば
図1に示す如く、計測方向に沿って一体的に移動可能に
設けられた第1及び第2計測用反射手段と;それぞれ所
定の位置に固設された第1及び第2参照用反射手段と;
光束を供給する光源手段と;該光源手段からの光束に基
づいて、前記第1計測用反射手段を介して往復する第1
計測光路と前記第1参照用反射手段を介して往復する第
1参照光路とを形成し、該第1計測光路及び第1参照光
路を経由した各光束によって第1測定出力を生成する第
1干渉計手段と;前記光源手段からの光束に基づいて、
前記第2計測用反射手段を介して往復する第2計測光路
と前記第2参照用反射手段を介して往復する第2参照光
路とを形成し、該第2計測光路及び第2参照光路を経由
した各光束によって第2測定出力を生成する第2干渉計
手段と;前記第1及び第2測定出力に基づいて所定の演
算を行う演算手段と;を有し、前記第1干渉計手段から
前記第1参照用反射手段までの前記第1参照光路は、前
記第2干渉計手段から前記第2参照用反射手段までの前
記第2参照光路よりも短い光学的光路長を有し、前記第
1干渉計手段から前記第1計測用反射手段の基準位置ま
での前記第1計測光路の光学的光路長をlM1とし、前記
第2干渉計手段から前記第2計測用反射手段の基準位置
までの前記第2計測光路の光学的光路長をlM2、前記第
1干渉計手段から前記第1参照用反射手段までの前記第
1参照光路の光学的光路長をlR1、前記第2干渉計手段
から前記第2参照用反射手段までの前記第2参照光路の
光学的光路長をlR2、前記基準位置からの前記第1及び
第2計測用反射手段の変位をxとするとき、前記第1及
び第2計測用反射手段は、以下の範囲を少なくとも移動
可能、もしくは以下の範囲の1部を少なくとも移動可能
に構成されるようにしたものである。
【0008】lR1−lM1≦x≦lR2−lM2
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、計測物体の変位量を計
測する2つの干渉計装置において、2つの直角プリズム
の内の一方の斜面と他方の底面とを接合してこの接合面
が偏光分離面で形成された光学部材を配置し、該光学部
材によって測定用光路と参照用光路とを形成する構成と
し、環境変化に伴う測定誤差の影響を軽減するようにし
たものである。
【0010】また、本発明は、2つの干渉計手段により
形成される各参照光路を所定の長さだけ異ならせしめつ
つ、2つの干渉計手段により形成される各計測光路長と
各参照光路長とを少なくとも所定の関係のもとで2つの
計測用反射手段を一体的に移動させるという事に着目し
たものである。これにより、空気等の気体中を通過する
参照光路と計測光路において屈折率変化が生じた場合で
も、環境変化に伴う空気等の気体の屈折率変化の情報を
含んだ異なる2つの計測出力を得て、この2つの計測出
力に基づいて所定の演算を行うことにより、各光路中で
の屈折率の変化による計測誤差を除去することができ
る。しかも、2つの計測用反射手段を所定の移動範囲も
しくはその範囲の1部を少なくとも移動可能に構成する
ことにより、2つの干渉計手段自体が持つ量子化誤差に
よる影響を格段に軽減することができ、大幅に計測精度
の向上を達成することができる。
【0011】なお、各干渉計手段により形成される各計
測光路並びにその付近に局所的な空気等の気体中の屈折
率変化が生じる恐れがある場合には、各干渉計手段は、
これらによりそれぞれ形成される参照光路と計測光路と
が互いに近接する構成とすることが望ましい。以下の図
4を参照しながら本発明の原理について説明する。図4
の(a)は本発明の第1干渉計装置の構成を示す図であ
り、(b)は本発明の第2干渉計装置の構成を示す図で
ある。
【0012】まず、図4(a)に示す如く、第1の光源
11から供給される光束は、光分割部材としてのビーム
スプリッター12により2光束に分割され、このビーム
スプリッター12を透過する一方のビームL21は、計測
用ビームとして、図4(a)の左右方向へ移動可能に設
けられた計測用の反射部材14(計測用反射手段)にて
反射されて再びビームスプリッター12に向かう。一
方、ビームスプリッター12を反射する他方のビームL
31は、参照用ビームとして反射鏡13を反射し、計測用
ビームL21の光路と近接した空気等の気体中を計測用ビ
ームL21と平行となるように進行する。その後、ビーム
31は基台に固設された参照用の反射部材15(第1参
照用反射手段)を反射し、再び計測用ビームL21の光路
と近接した空気等の気体中を計測用ビームL21と平行と
なるように進行し、反射鏡13を介してビームスプリッ
ター12へ向かう。そして、ビームスプリッター12に
よって計測用ビームL21と参照用ビームL31とが一緒に
なり、ビームL41として第1のレシーバー16(第1検
出器)にて受光され、被測定物としての反射部材14の
移動量が検出される。
【0013】ここで、図4(a)に示す第1干渉計は、
ビームスプリッター12と反射鏡13と第1のレシーバ
ー16とで構成されており、参照用の反射部材15は、
気体中の参照用光路の光学的光路長がlR1となるよう
に、第1干渉計に対して所定の光学的距離lR1だけ隔て
て基台に固設されている。また、計測用の反射部材14
は、これの基準位置における気体中の計測用光路の光学
的光路長がlM1となるように、第1干渉計から計測用の
反射部材14の基準位置までの光学的距離がlM1となる
ように移動可能に設定されている。
【0014】一方、図4(a)の紙面と垂直な方向に
は、図4(b)に示す如き第2干渉計装置が並列的に配
置されており、第2干渉計装置では、反射鏡23及び参
照用の反射部材25は、第2干渉計の気体中の参照用光
路の光学的光路長lR2が第1干渉計の気体中の参照用光
路の光学的光路長lR1に対し異なるようにそれぞれ固設
されている。また、ビームスプリッター22及び計測用
の反射部材24(計測用反射手段)は、反射部材24の
基準位置において、第2干渉計の気体中の測定用光路の
光学的光路長lM2が第2干渉計の気体中の参照用光路の
光学的光路長lM1に対し異なるようにそれぞれ設定、あ
るいは反射部材24の基準位置において、第2干渉計の
気体中の測定用光路の光学的光路長lM2が第2干渉計の
気体中の参照用光路の光学的光路長lM1と実質的に等し
くなるようにそれぞれ設定されており、それ以外に関し
ては図4(a)に示す第1干渉計装置と基本的に同一で
ある。
【0015】図4(b)に示す如く、第2の光源21か
ら供給される光束は、光分割部材としてのビームスプリ
ッター22により2光束に分割され、このビームスプリ
ッター22を透過する一方のビームL22は、計測用ビー
ムとして、計測用の反射部材24(計測用反射手段)に
向かう。この反射部材24は、図4(a)に示した反射
部材14と同一の変位を持つように接合され、反射部材
14と共に図4(b)の左右方向へ移動可能に設けられ
ている。そして、計測用の反射部材24へ向かうビーム
22は、この反射部材24にて反射されて再びビームス
プリッター22へ向かう。一方、ビームスプリッター2
2を反射する他方のビームL32は、参照用ビームとして
反射鏡23を反射し、計測用ビームL22の光路と近接し
た空気等の気体中を計測用ビームL22と平行となるよう
に進行する。その後、ビームL32は基台に固設された参
照用の反射部材25(第2参照用反射手段)を反射し、
再び計測用ビームL22の光路と近接した空気等の気体中
を計測用ビームL22と平行となるように進行し、反射鏡
23を介してビームスプリッター22へ向かう。そし
て、ビームスプリッター22によって計測用ビームL22
と参照用ビームL32とが一緒になり、ビームL42とし
て、第2のレシーバー26(第2検出器)にて受光さ
れ、被測定物としての反射部材24の移動量が検出され
る。
【0016】なお、図4(b)に示す第2干渉計は、ビ
ームスプリッター22と反射鏡23と第2のレシーバー
26とで構成されている。以上の構成によって、被計測
物としての反射部材14及び24が図4の紙面方向へ一
体的に移動すると、第1干渉装置の第1のレシーバー1
6と第2干渉装置の第2のレシーバー26とからはそれ
ぞれ異なる2つの検出信号が出力される。
【0017】今、第1干渉装置の第1のレシーバー16
からの出力をXA 、第2干渉装置の第2のレシーバー2
6からの出力をXB とし、測定開始時(リセット時)等
の初期の基準となる気体の屈折率をn、測定開始時(リ
セット時)等の初期の基準気体の屈折率からの屈折率変
化量をΔn、第1干渉計の参照光路中での気体の屈折率
の変化の影響を受ける部分の光学的光路の長さ(第1干
渉計と第1参照用反射手段との間の第1参照光路の光学
的光路長)をlR1、第2干渉計の参照光路中での気体の
屈折率の変化の影響を受ける部分の光学的光路の長さ
(第2干渉計と第2参照用反射手段との間の第2参照光
路の光学的光路長)をlR2、測定開始時(リセット時)
等の初期の計測用反射手段の基準位置における第1干渉
計の計測光路中での気体の屈折率の変化の影響を受ける
部分の光路の長さ(第1干渉計と計測用反射手段の基準
位置との間の第1計測光路の光学的光路長)をlM1、測
定開始時(リセット時)等の初期の計測用反射手段の基
準位置における第2干渉計の計測光路中での気体の屈折
率の変化の影響を受ける部分の光路の長さ(第2干渉計
と計測用反射手段の基準位置との間の第2計測光路の光
学的光路長)をlM2、第1及び第2計測光路の各々にお
いて気体の屈折率の変化の影響を受ける部分での光路の
長さがそれぞれlM1,lM2となる時の被計測物体(第1
及び第2計測用反射手段)の基準位置(原点)からの変
位をxとする。但し、この変位xは、被計測物体が原点
より右側へ移動する時を正、被計測物体が原点より左側
へ移動する時を負とする。
【0018】ここで、第1干渉装置の第1のレシーバー
16からの出力XA には、気体に露出している参照光路
の長さ(lR1)の分だけ気体の屈折率の変化の影響を受
けた情報と、気体に露出している計測光路の光学的長さ
(lM1+x)の分だけ気体の屈折率の変化の影響を受け
た情報とを含んでいる。一方、第2干渉装置の第2のレ
シーバー26からの出力XB には、気体に露出している
参照光路の長さ(lR2)の分だけ気体の屈折率の変化の
影響を受けた情報と、気体に露出している計測光路の光
学的長さ(lM2+x)の分だけ気体の屈折率の変化の影
響を受けた情報とを含んでいる。
【0019】従って、この時、以下に示す(1)式及び
(2)式の関係が成立する。
【0020】
【数1】
【0021】
【数2】
【0022】(1)式及び(2)式より以下の(3)式
が導出される。
【0023】
【数3】
【0024】そこで、各干渉計装置による量子化誤差に
より測定結果に加えられる誤差量をΔxとすると、上記
(3)式より、以下の(4)式の如くなる。
【0025】
【数4】
【0026】そして、上記(4)式を変形すると、以下
の(5)式が得られる。
【0027】
【数5】
【0028】ここで、(1)式、(2)式及び(5)式
の関係の関係より、以下の(6)式が導出される。
【0029】
【数6】
【0030】ここで、n+Δn≒1、(lM1−lR1)−
(lM2−lR2)=αとすると、上記(6)式は、最終的
に以下の(7)式の如くなる。
【0031】
【数7】
【0032】そこで、上式(7)に基づいて量子化誤差
量Δxの最大値ΔxMAX について検討する。今、α>0
であるものとし、第1及び第2干渉計装置の量子化誤差
(δ A ,δB )の最大値と最小値をそれぞれe,−e、
各干渉計装置の量子化誤差が、−e≦δA ≦e,−e≦
δB ≦eの範囲を取り得る時、上記(7)式による量子
化誤差量の最大値|ΔxMAX |は以下の(i)〜(ii
i)の3通りに場合分けできる。(i)lR1−lM1≦x≦lR2−lM2の場合 この場合には、lM1−lR1+x≧0,lM2−lR2+x≦
0となり、量子化誤差量の最大値|ΔxMAX |は、上記
(7)式より、次式(8)の如くなる。
【0033】
【数8】
【0034】(ii)x>lR2−lM2の場合 この場合には、lM1−lR1+x>0,lM2−lR2+x>
0となり、量子化誤差量の最大値|ΔxMAX |は、上記
(7)式より、次式(9)の如くなる。
【0035】
【数9】
【0036】(iii)x<lR1−lM1の場合 この場合には、lM1−lR1+x<0,lM2−lR2+x<
0となり、量子化誤差量の最大値|ΔxMAX |は、上記
(7)式より、次式(10)の如くなる。
【0037】
【数10】
【0038】そこで、上記(8)式〜(10)式を用い
て、図4に示した干渉計装置全体として高精度を保証す
るための計測用の反射部材(14,24)の最適な移動
範囲xについて検討する。空気等の気体の揺らぎ等によ
る気体の屈折率変化の影響を補正しつつ、干渉計装置と
して高精度を保証するためには、現実的に、干渉計装置
の計測出力に加わる量子化誤差の最大値(|Δx
MAX |)を4e以下に抑えることが好ましい。従って、
以下において、干渉計装置の計測出力に加わる量子化誤
差eを4倍〜1倍以下にそれぞれ抑えた場合における計
測用の反射部材(14,24)の最適な移動範囲xにつ
いて説明する。(I)量子化誤差の最大値|ΔxMAX |を4e以下に抑
えた場合 この場合における計測用の反射部材(14,24)の最
適な移動範囲x(但し、x≧0)は、(8)式〜(1
0)式より、以下の(11)式の如くなる。
【0039】
【数11】
【0040】一例として、図4(a)に示した第1干渉
計装置と図4(b)に示した第2干渉計装置との量子化
誤差e(又は分解能)をそれぞれ0.5nmとし、lR1=1.
0m、lR2=1.5m、lM1=lM2=0.5mとした場合及びlR1
=1.0m、lR2=1.5m、lM1=0.3m、lM2=0.5mとした場
合について、干渉計装置の計測出力に加わる量子化誤差
の最大値(|ΔxMAX |)を4e以下に抑えられる計測
用の反射部材(14,24)の移動範囲xについて見
る。
【0041】lR1=1.0m、lR2=1.5m、lM1=lM2=0.
5mとした場合には、上記(11)式より計測用の反射部
材(14,24)の移動範囲xは-0.25 〜1.75m とな
り、干渉計装置全体としては2.0nm (=4e)の精度が
保証されながら、広い計測範囲を確保できることが理解
できる。また、lR1=1.0m、lR2=1.5m、lM1=0.3m、
M2=0.5mとした場合には、上記(11)式より計測用
の反射部材(14,24)の移動範囲xは0.25m 〜1.45
m となり、干渉計装置全体としては2.0nm (=4e)の
精度が保証されながら、比較的広い計測範囲を確保でき
ることが理解できる。(II)量子化誤差の最大値|ΔxMAX |を3e以下に抑
えた場合 この場合における計測用の反射部材(14,24)の最
適な移動範囲x(但し、x≧0)は、(8)式〜(1
0)式より、以下の(12)式の如くなる。
【0042】
【数12】
【0043】一例として、図4(a)に示した第1干渉
計装置と図4(b)に示した第2干渉計装置との量子化
誤差e(又は分解能)をそれぞれ0.5nmとし、lR1=1.
0m、lR2=1.5m、lM1=lM2=1.25m とした場合及びl
R1=1.0m、lR2=1.5m、lM1=2.0m、lM2=1.5mとした
場合について、干渉計装置の計測出力に加わる量子化誤
差の最大値(|ΔxMAX |)を3e以下に抑えられる計
測用の反射部材(14,24)の移動範囲xについて見
る。
【0044】lR1=1.0m、lR2=1.5m、lM1=lM2=1.
25m とした場合には、上記(12)式より計測用の反射
部材(14,24)の移動範囲xは-0.75m〜0.75m とな
り、干渉計装置全体としては1.5nm (=3e)の精度が
保証されながら、広い計測範囲を確保できることが理解
できる。また、lR1=1.0m、lR2=1.5m、lM1=2.0m、
M2=1.5mとした場合には、上記(12)式より計測用
の反射部材(14,24)の移動範囲xは-2.0m 〜1.0m
となり、干渉計装置全体としては1.5nm (=3e)の精
度が保証されながら、比較的広い計測範囲を確保できる
ことが理解できる。(III)量子化誤差の最大値|ΔxMAX |を2e以下に
抑えた場合 この場合における計測用の反射部材(14,24)の最
適な移動範囲x(但し、x≧0)は、(8)式〜(1
0)式より、以下の(13)式の如くなる。
【0045】
【数13】
【0046】一例として、図4(a)に示した第1干渉
計装置と図4(b)に示した第2干渉計装置との量子化
誤差e(又は分解能)をそれぞれ0.5nmとし、lR1=1.
0m、lR2=1.5m、lM1=lM2=2.0mとした場合及びlR1
=1.0m、lR2=1.5m、lM1=1.75m 、lM2=2.0mとした
場合について、干渉計装置の計測出力に加わる量子化誤
差の最大値(|ΔxMAX |)を2e以下に抑えられる計
測用の反射部材(14,24)の移動範囲xについて見
る。
【0047】lR1=1.0m、lR2=1.5m、lM1=lM2=2.
0mとした場合には、上記(13)式より計測用の反射部
材(14,24)の移動範囲xは-1.25m〜-0.25mとな
り、干渉計装置全体としては1.0nm (=2e)の精度が
保証されながら、広い計測範囲を確保できることが理解
できる。また、lR1=1.0m、lR2=1.5m、lM1=1.75
m、lM2=2.0mとした場合には、上記(13)式より計
測用の反射部材(14,24)の移動範囲xは-0.875m
〜-0.375m となり、干渉計装置全体としては1.0nm(=
2e)の精度が保証されながら、比較的広い計測範囲を
確保できることが理解できる。(IV)量子化誤差の最大値ΔxMAX をe以下に抑えた場
この場合における計測用の反射部材(14,24)の最
適な移動範囲x(但し、x≧0)は、(8)式〜(1
0)式より、次式(14)の如くなる。
【0048】
【数14】
【0049】一例として、図4(a)に示した第1干渉
計装置と図4(b)に示した第2干渉計装置との量子化
誤差e(又は分解能)をそれぞれ0.5nmとし、lR1=0.
5m、lR2=1.5m、lM1=lM2=1.0mとした場合及びlR1
=1.0m、lR2=2.0m、lM1=2.0m、lM2=1.5mとした場
合について、干渉計装置の計測出力に加わる量子化誤差
の最大値(|ΔxMAX |)をe以下に抑えられる計測用
の反射部材(14,24)の移動範囲xについて見る。
【0050】lR1=0.5m、lR2=1.5m、lM1=lM2=1.
0mとした場合には、上記(14)式より計測用の反射部
材(14,24)の移動範囲xは-0.5m 〜0.5mとなり、
また、lR1=1.0m、lR2=2.0m、lM1=2.0m、lM2=1.
5mとした場合には、上記(14)式より計測用の反射部
材(14,24)の移動範囲xは-1.0m 〜0.5mとなり、
干渉計装置全体としては0.5nm (=e)の精度が保証さ
れながら、広い計測範囲を確保できることが理解でき
る。
【0051】以上の如く、本発明によれば、環境変化に
伴う気体の屈折率が変化しても高精度のもとで安定した
計測が実現できることが理解できる。しかも、本発明で
は、被計測物体(第1及び第2計測用反射手段)を(1
4)式を満足する範囲において移動させれば、原理的
に、2つの干渉計の量子化誤差e(又は分解能)を1倍
以下に抑えられる事が可能となり、極めて安定した高精
度な計測が達成できる。なお、2つの干渉計の量子化誤
差e(又は分解能)の1倍以下の精度が要求されない場
合には、被計測物体(第1及び第2計測用反射手段)
は、上記(14)式を満足する範囲もしくはその1部を
少なくとも移動可能に設けられれば良い。
【0052】以上においては、本発明の原理について述
べたが、本発明の理解をさらに深めるために別の見方に
よる原理の解析を図5を参照しながら以下において述べ
る。但し、この解析は、第1及び第2干渉計の参照光路
長が互いに異なり、かつ第1及び第2干渉計の参照光路
長が互いに等しいものとした時のものである。まず、l
M1=lM2=0とし、lR1=a、lR2=b、第1干渉計か
ら計測用の反射部材14(または第2干渉計から計測用
の反射部材24)までの光学的光路長(または距離)を
xとした時を考える。
【0053】これを換言すれば、第1干渉装置の第1の
レシーバー16からの出力をXA 、第2干渉装置の第2
のレシーバー26からの出力をXB とし、測定開始時
(リセット時)等の初期の基準となる気体の屈折率を
n、第1干渉計の参照光路において気体の屈折率の変化
の影響を受ける部分での光学的光路の長さ(第1干渉計
と第1参照用反射手段との間の第1参照光路の光学的光
路長)をa、第2干渉計の参照光路において気体の屈折
率の変化の影響を受ける部分での光学的光路の長さ(第
2干渉計と第2参照用反射手段との間の第2参照光路の
光学的光路長)をb、第1干渉計(又は第2干渉計)の
計測光路において気体の屈折率の変化の影響を受ける部
分での光路の長さ(第1干渉計と計測用反射手段との間
の第1計測光路の光学的光路長、又は第2干渉計と計測
用反射手段との間の第2計測光路の光学的光路長)をx
とする。
【0054】ここで、第1干渉装置の第1のレシーバー
16からの出力XA には、気体に露出している参照光路
の長さaの分だけ気体の屈折率の変化の影響を受けた情
報と、気体に露出している計測光路の光学的長さxの分
だけ気体の屈折率の変化の影響を受けた情報とを含んで
いる。一方、第2干渉装置の第2のレシーバー26から
の出力XB には、気体に露出している参照光路の長さb
の分だけ気体の屈折率の変化の影響を受けた情報と、気
体に露出している計測光路の光学的長さxの分だけ気体
の屈折率の変化の影響を受けた情報とを含んでいる。
【0055】従って、参照光と計測光とが気体の屈折率
の変化を受ける影響を等しくなるような比率で各レシー
バー(16,26)からの出力(XA ,XB )を平均化
することが望ましい。この時、以下に示す(15)式及
び(16)式の関係が成立している。
【0056】
【数15】
【0057】
【数16】
【0058】そして、(15)式及び(16)式より次
の(17)式が得られる。
【0059】
【数17】
【0060】よって、各レシーバー(16,26)から
の出力(XA ,XB )を演算手段において、上式(1
7)の演算を行うことにより気体の屈折率の変化の影響
を除去することができる。次に、本発明の干渉計による
量子化誤差について検討する。今、第1干渉計装置の量
子化誤差(又は分解能)をδA 、第2干渉計装置の量子
化誤差(又は分解能)をδB とすると、図5(a)に示
す第1干渉計装置からの計測出力は、本来の計測信号X
A に量子化誤差δA が加えられたものとなり、図5
(b)に示す第2干渉計装置からの計測出力は、本来の
計測信号XB に量子化誤差δB が加えられたものとな
る。そこで、各干渉計装置の量子化誤差により計測結果
に加えられる誤差量をΔxとすると、上式(17)は次
式(18)の如くなる。
【0061】
【数18】
【0062】そして、上式(18)を変形すると、次式
(19)の如くなる。
【0063】
【数19】
【0064】今、図5に示す第1及び第2干渉計装置の
各参照光路と各計測光路とが空気中を通過し、各干渉計
装置の参照光路長と計測光路長との差の光路長には、空
気の揺らぎ等により空気の屈折率がΔnだけ変化するも
のとすると、第1及び第2干渉計装置による出力はそれ
ぞれXA =(x−a)Δn,XB =(x−b)Δnとな
るため、この関係及び上式(19)より、次式(20)
が導出される。
【0065】
【数20】
【0066】ここで、n+Δn≒1とすると、上式(2
0)は、最終的に次式(21)の如くなる。
【0067】
【数21】
【0068】そこで、上式(21)に基づいて量子化誤
差量Δxの最大値ΔxMAX について検討する。今、第1
及び第2干渉計装置の量子化誤差(δA ,δB )の最大
値と最小値をそれぞれe,−eとし、各干渉計装置の量
子化誤差が、−e≦δA ≦e,−e≦δB ≦eの範囲を
取り得る時、上記(21)式による量子化誤差量の最大
値|ΔxMAX |は以下の(i)〜(iii)の3通りに場
合分けできる。(i)a≦x≦bの場合(但し、a<b) a≦x≦bの場合には、x−a≧0,x−b≦0とな
り、量子化誤差量の最大値|ΔxMAX |は、上記(2
1)式より、次式(22)の如くなる。
【0069】
【数22】
【0070】(ii)x>bの場合(但し、a<b) x>bの場合には、x−a>0,x−b>0となり、量
子化誤差量の最大値|ΔxMAX |は、上記(21)式よ
り、次式(23)の如くなる。
【0071】
【数23】
【0072】(iii)x<aの場合(但し、a<b) x<aの場合には、x−a<0,x−b<0となり、量
子化誤差量の最大値|ΔxMAX |は、上記(21)式よ
り、次式(24)の如くなる。
【0073】
【数24】
【0074】そこで、上記(22)式〜(24)式を用
いて、図5に示した干渉計装置全体として高精度を保証
するための計測用の反射部材(14,24)の最適な移
動範囲xについて検討する。空気等の気体の揺らぎ等に
よる気体の屈折率変化の影響を補正しつつ、干渉計装置
として高精度を保証するためには、現実的に、干渉計装
置の計測出力に加わる量子化誤差の最大値(|ΔxMAX
|)を4e以下に抑えることが好ましい。従って、以下
において、干渉計装置の計測出力に加わる量子化誤差e
を4倍〜1倍以下にそれぞれ抑えた場合における計測用
の反射部材(14,24)の最適な移動範囲xについて
説明する。(I)量子化誤差の最大値|ΔxMAX |を4e以下に抑
えた場合 この場合における計測用の反射部材(14,24)の最
適な移動範囲x(但し、x≧0)は、(22)式〜(2
4)式より、以下の(25)式又は(26)の如くな
る。
【0075】
【数25】
【0076】
【数26】
【0077】なお、この(25)式及び(26)式の関
係について、上記(11)式に対応させて示せば、(1
1)式中の第1干渉計の計測光路長lM1と第2干渉計の
計測光路長lM2とを互いに等しくした場合(lM1=lM2
=lM とした場合)と等価である。一例として、図5
(a)に示した第1干渉計装置と図5(b)に示した第
2干渉計装置との量子化誤差e(又は分解能)をそれぞ
れ0.5nmとし、a=0.5m、b=1.0mとした場合及びa=
0.7m、b=1.0mとした場合について、干渉計装置の計測
出力に加わる量子化誤差の最大値(|ΔxMAX |)を4
e以下に抑えられる計測用の反射部材(14,24)の
移動範囲xについて見る。
【0078】a=0.5m、b=1.0mとした場合には、上記
(25)式より計測用の反射部材(14,24)の移動
範囲xは0m〜1.75m となり、干渉計装置全体としては2.
0nm(=4e)の精度が保証されながら、広い計測範囲
を確保できることが理解できる。また、a=0.7m、b=
1.0mとした場合には、上記(26)式より計測用の反射
部材(14,24)の移動範囲xは0.25m 〜1.45m とな
り、干渉計装置全体としては2.0nm (=4e)の精度が
保証されながら、比較的広い計測範囲を確保できること
が理解できる。(II)量子化誤差の最大値|ΔxMAX |を3e以下に抑
えた場合 この場合における計測用の反射部材(14,24)の最
適な移動範囲x(但し、x≧0)は、(22)式〜(2
4)式より、以下の(27)式又は(28)式の如くな
る。
【0079】
【数27】
【0080】
【数28】
【0081】なお、この(27)式及び(28)式の関
係について、上記(12)式に対応させて示せば、(1
2)式中の第1干渉計の計測光路長lM1と第2干渉計の
計測光路長lM2とを互いに等しくした場合(lM1=lM2
=lM とした場合)と等価である。一例として、図5
(a)に示した第1干渉計装置と図5(b)に示した第
2干渉計装置との量子化誤差e(又は分解能)をそれぞ
れ0.5nmとし、a=0.4m、b=1.0mとした場合及びa=
0.6m、b=1.0mとした場合について、干渉計装置の計測
出力に加わる量子化誤差の最大値(|ΔxMAX |)を3
e以下に抑えられる計測用の反射部材(14,24)の
移動範囲xについて見る。
【0082】a=0.4m、b=1.0mとした場合には、上記
(27)式より計測用の反射部材(14,24)の移動
範囲xは0m〜1.6mとなり、干渉計装置全体としては1.5n
m (=3e)の精度が保証されながら、広い計測範囲を
確保できることが理解できる。また、a=0.6m、b=1.
0mとした場合には、上記(28)式より計測用の反射部
材(14,24)の移動範囲xは0.2m〜1.4mとなり、干
渉計装置全体としては1.5nm (=3e)の精度が保証さ
れながら、比較的広い計測範囲を確保できることが理解
できる。(III)量子化誤差の最大値|ΔxMAX |を2e以下に
抑えた場合 この場合における計測用の反射部材(14,24)の最
適な移動範囲x(但し、x≧0)は、(22)式〜(2
4)式より、以下の(29)式又は(30)式の如くな
る。
【0083】
【数29】
【0084】
【数30】
【0085】なお、この(29)式及び(30)式の関
係について、上記(13)式に対応させて示せば、(1
3)式中の第1干渉計の計測光路長lM1と第2干渉計の
計測光路長lM2とを互いに等しくした場合(lM1=lM2
=lM とした場合)と等価である。一例として、図5
(a)に示した第1干渉計装置と図5(b)に示した第
2干渉計装置との量子化誤差e(又は分解能)をそれぞ
れ0.5nmとし、a=0.2m、b=1.0mとした場合及びa=
0.5m、b=1.0mとした場合について、干渉計装置の計測
出力に加わる量子化誤差の最大値(|ΔxMAX |)を2
e以下に抑えられる計測用の反射部材(14,24)の
移動範囲xについて見る。
【0086】a=0.2m、b=1.0mとした場合には、上記
(29)式より計測用の反射部材(14,24)の移動
範囲xは0m〜1.4mとなり、干渉計装置全体としては1.0n
m (=2e)の精度が保証されながら、広い計測範囲を
確保できることが理解できる。また、a=0.5m、b=1.
0mとした場合には、上記(30)式より計測用の反射部
材(14,24)の移動範囲xは0.25m 〜1.25m とな
り、干渉計装置全体としては1.0nm (=2e)の精度が
保証されながら、比較的広い計測範囲を確保できること
が理解できる。(IV)量子化誤差の最大値ΔxMAX をe以下に抑えた場
この場合における計測用の反射部材(14,24)の最
適な移動範囲x(但し、x≧0)は、(22)式〜(2
4)式より、次式(31)の如くなる。
【0087】
【数31】
【0088】なお、この(31)式の関係について、上
記(14)式に対応させて示せば、(14)式中の第1
干渉計の計測光路長lM1と第2干渉計の計測光路長lM2
とを互いに等しくした場合(lM1=lM2=lM とした場
合)と等価である。一例として、図5(a)に示した第
1干渉計装置と図5(b)に示した第2干渉計装置との
量子化誤差e(又は分解能)をそれぞれ0.5nmとし、a
=0.5m、b=1.0mとするとき、上記(31)式より計測
用の反射部材(14,24)の移動範囲xは0.5m〜1.0m
となり、干渉計装置全体としては0.5nm (=e)の精度
が保証されながら、広い計測範囲を確保できることが理
解できる。
【0089】以上の如く、本発明によれば、環境変化に
伴う気体の屈折率が変化しても広い計測範囲を確保しな
がら高精度のもとで安定した計測が実現できることが理
解できる。しかも、本発明では、原理的に、図5(a)
に示した第1干渉計装置又は図5(b)に示した第2干
渉計装置の量子化誤差e(又は分解能)を1倍以下に抑
えられる広い計測範囲xを確保できるため、極めて安定
した高精度な計測が達成できる。
【0090】なお、本発明による座標原点は、計測用の
反射部材(14,24)の移動する範囲であれば、原理
的に何処にでも設定できることは言うまでもない。
【0091】以下、本発明による第1実施例の干渉計の
構成について図1を参照して説明する。本例では第1干
渉計と第2干渉計との計測光路が共用する複合型干渉計
を用いて、この共用する計測光路を1つの計測用反射手
段(移動鏡3)を介して往復させる構成としたものであ
る。
【0092】図1に示す第1実施例では、計測方向Xに
移動可能に設けられた計測用反射手段(移動鏡3)と、
それぞれ所定の位置に固設された第1参照用反射手段
(密閉管3, 固定鏡6)と第2参照用反射手段(固定鏡
6)と、コヒーレントな光束を供給する光源手段1と、
この光源手段1からの光束に基づいて,計測用反射手段
(移動鏡3)を介して計測方向Xに沿って往復する第1
計測光路OPM と第1参照用反射手段(密閉管3及び固
定鏡6)を介して往復する第1参照光路OPR1とを形成
し,第1計測光路OPM 及び第1参照光路OPR1を経由
した各光束によって第1測定出力XA を生成する第1干
渉計(プリズム部材2,1/4波長板(8a 1,8a2,8b1,8b
2),1/2波長板9,偏向プリズム4,第1検出器7
a)手段1からの光束に基づいて,計測用反射手段(移
動鏡3)を介して計測方向Xに沿って往復して第1計測
光路OPM と共用する第2計測光路と第2参照用反射手
段(固定鏡6)を介して往復する第2参照光路OPR2
を形成し,第2計測光路(第1計測光路OPM )及び第
2参照光路OPR2を経由した各光束によって第2測定出
力XB を生成する第2干渉計(プリズム部材2,1/4
波長板(8a1,82,8b3,8b4),1/2波長板9,偏向プリ
ズム4,第2検出器7b)と、第第2測定出力(XA
B )に基づいて所定の演算を行う演算処理部10とを
配置し、その第1参照反射手段(密閉管3, 固定鏡6)
と第2参照反射手段(固定鏡6)とを、計測方向に沿っ
て光学的に所定の距離だけ隔てて配置し、各光路(OP
M ,OPR1,OPR2)を平行かつ近接する構成としたも
のである。
【0093】図1は本例のレーザー干渉計装置の要部を
示し、この図1において、2は第1の直角プリズム2a
と第2の直角プリズム2bとを貼り合わせてなる光学部
材(以下、プリズム部材2と称する。)である。このプ
リズム部材2は、図2(a)に示すように、直交する辺
の長さがd1で45°傾いた斜辺を持つ直角プリズム2
aの斜辺と、長さがd2(=2・d1)の45°傾いた
斜辺を持つ直角プリズム2bの直交する2辺の内の1辺
とを貼り合わせたものである。そして、その貼り合わせ
面(直角プリズム2bの直交する2辺の内の一方の辺側
の面)は偏光分離面(偏光ビームスプリッター面)S1
で形成され、直角プリズム2bの直交する2辺の内の他
方の辺側の面は反射面R1 で形成されている。なお、こ
の反射面R1 には反射膜を設けることなく、この面R1
は光を全反射させるように構成されても良い。
【0094】ここで、プリズム部材2は原理的に偏光分
離面S1 と反射面R1 とが直交して配置されたものであ
れば良く、直角プリズム2bのみで構成しても良い。ま
た、例えば、図2(d)に示すように、3個の直角プリ
ズム20a〜20cを貼り合わせてプリズム部材20を
構成し、直角プリズム20aと20bとの貼り合わせ面
を偏光分離面S1 で形成し、直角プリズム20cの外部
の面を反射面R1 とすれば、このプリズム体20をプリ
ズム体2の代わりに使用することができる。
【0095】さて、図1に戻って説明すると、まず、コ
ヒーレントな光束を供給する光源手段としてのレーザー
光源1から光束が射出される方向をX方向とすると、プ
リズム部材2は、これの偏光分離面S1 がX方向に対し
て45°で傾くように配置されており、このプリズム部
材2に対向して、計測用反射手段としての移動鏡3と参
照用反射手段としての固定鏡6とがそれぞれ配置されて
いる。この移動鏡3は、不図示の被計測物体に固定さ
れ、X方向に沿って移動自在で平面鏡より構成されてお
り、固定鏡6は、プリズム部材2に対してX方向に所定
の距離bだけ隔てた位置に固定されており、移動鏡3と
固定鏡6とはX方向に垂直な方向にずらして配置されて
いる。
【0096】プリズム部材2中の直角プリズム2bの直
交する2辺(S1 ,R1 )に対して等しい角度を成す斜
辺を形成する透過面T近傍にはそれぞれ6個の1/4波
長板(8a1 ,8a2 ,8b1 〜8b4 )がそれぞれ並
列的に配置されており、この内の2個の1/4波長板
(8b3 ,8b4 )と固定鏡6との間には、後で詳述す
るが、2個の1/4波長板(8b3 ,8b4 )を各々介
して固定鏡6で反射往復する2つの往復光路の所定の長
さだけ周囲と隔離する密閉管60(補正部材)が配置さ
れている。
【0097】この密閉管60は、少なくとも両端が透明
でx方向において所定の長さLを持つ中空状の円筒で構
成される部材であり、この内部は真空となっている。こ
のため、2個の1/4波長板(8b3 ,8b4 )を各々
介して固定鏡6で反射往復する各往復光路の気体(空気
等)にさらされている部分の光路長Dは、プリズム部材
2から固定鏡までのx方向に沿った長さをb、図1に示
す干渉計装置がさらされている気体の屈折率をnとする
とき、D=(b−L)nとなる。従って、この密閉管6
0の配置によって、実質的に、固定鏡6を密閉管60の
長さLの分だけx方向に沿ってプリズム部材2側に配置
した事と等しくしている。なお、この密封管に所定の屈
折率を持つ気体、液体、固体等の媒質を封入しても良
い。
【0098】さて、プリズム部材2の偏光分離面S1
レーザー光源1からのレーザービームが反射される方向
には、偏光分離面S1 から射出する光を180°偏向さ
せる偏向部材としての偏向プリズム(直角プリズム)4
が配置されている。この場合、偏向プリズム4内の2回
の全反射によりレーザービームがその偏光分離面S1
再び戻されるものとして、プリズム部材2の偏光分離面
1 と反射面R1 との稜線に対してプリズム部材2によ
り偏向される光路を含む面が平行となるように、その偏
向プリズム4の位置決めがされている。
【0099】プリズム部材2と偏向プリズム4との間の
下方の光路の途中には、1/2波長板9が配置されてお
り、プリズム部材2と偏向プリズム4との間の上方の光
路の途中には、プリズム部材2と類似した形状を有する
光学部材(以下、プリズム部材5と称する。)が設けら
れている。このプリズム部材5は、2つの直角プリズム
(5a,5b)が貼り合わされて構成されており、その
貼り合わせ面(直角プリズム5bの直交する2辺の内の
一方の辺側の面)は光分割面(ビームスプリッター面)
2 で形成され、直角プリズム5bの直交する2辺の内
の他方の辺側の面は反射面R2 で形成されている。
【0100】また、偏向プリズム4からのレーザービー
ムがプリズム部材5により分割・偏向(光分割面S2
反射された後、反射面R2 で反射)された後、プリズム
部材2の偏光分離面P1 で反射される方向には、第1検
出器としての第1のレシーバ7aが配置されており、偏
向プリズム4からのレーザービームがプリズム部材5の
光分割面S2 を通過した後、プリズム部材2の偏光分離
面S1 で反射される方向には第2の検出器としての第1
のレシーバ7bが配置されている。
【0101】図1に示す如く、第1及び第2レシーバ
(7a,7b)は演算手段としての演算部10に対して
電気的に接続されており、各レシーバ(7a,7b)か
らの出力に基づいて、例えば、上記(3)式の如き演算
が演算処理部10にて行われ、演算結果が不図示の表示
部に出力される。なお、1/2波長板9の代わりに、偏
向プリズム4の入射面及び射出面又はプリズム部材2の
偏向プリズム4側の面の全面をカバーするような1枚の
1/4波長板を配置しても良く、この場合、偏向プリズ
ム4の入射面及び射出面又はプリズム部材2の偏向プリ
ズム4側の面に1/4波長板を直接的に接合しても良
い。さらには、プリズム部材2と偏向プリズム4との光
路間又は偏向プリズム4とプリズム部材5との光路間に
1/4波長板を配置すると共に、プリズム部材5とプリ
ズム部材2との間に形成される2つの光路中に1/4波
長板を配置する構成としても良い。
【0102】次に、本例の動作につき説明する。先ず、
コヒーレントな光束を供給する光源手段としてのレーザ
ー光源1は第1周波数f1 のビーム(以下、第1ビーム
と称する。)と第2周波数f2 のビーム(以下、第2ビ
ームと称する。)を供給し、この第1及び第2ビーム
は、プリズム部材2の偏光分離面S1 に対し45°の入
射角で入射する。
【0103】ここで、このレーザー光源1から供給され
る2つのビームの内の一方の第1ビームは、偏光分離面
1 の入射面内を振動する直線偏光の光(以下、P偏光
と称する。)であり、他方の第2ビームは、偏光分離面
1 の入射面と垂直な面内を振動する直線偏光の光(以
下、S偏光と称する。)である。まず、レーザー光源1
から供給されるP偏光の第1ビームについて説明する
と、このP偏光の第1ビームは、プリズム部材2の偏光
分離面S1 をそのまま通過して1/4波長板8a1 を介
して円偏光に変換された後、移動鏡3にて反射され、再
び1/4波長板8a1 を通過してS偏光に変換される。
そして、このS偏光の第1ビームは、プリズム部材2の
偏光分離面S1 を反射し、プリズム部材2の反射面R1
で90°反射偏向される。その後、S偏光の第1ビーム
は、1/4波長板8a2 を通過して円偏光に変換され
て、移動鏡3により反射されて再び1/4波長板8a2
へ向かう。そして、この1/4波長板8a2 を再び通過
した第1ビームは、P偏光に変換された後、再び反射面
1 を反射して偏光分離面S1 を通過する。この偏光分
離面S1 を通過したP偏光の第1ビームは、1/2波長
板9を通過して、偏光面が90°回転されてP偏光から
S偏光に変換される。1/2波長板9によってS偏光に
変換された第1ビームは、偏向プリズム4により180
°反射偏向されて、プリズム部材5の光分割面S2 で2
分割される。
【0104】まず、プリズム部材5の光分割面S2 を反
射する一方のS偏光の第1ビームは、プリズム部材5の
反射面R2 で90°反射偏向され、プリズム部材2の偏
光分離面S1 を反射した後、第1のレシーバ7aで受光
される。一方、プリズム部材5の光分割面S2 を通過す
る他方のS偏光の第1ビームは、プリズム部材2の偏光
分離面S1 で反射されて、第2のレシーバ7bで受光さ
れる。
【0105】次に、レーザー光源1から供給されるS偏
光の第2ビームについて説明すると、このS偏光の第2
ビームは、プリズム部材2の偏光分離面S1 で反射され
て1/2波長板9に向かう。この1/2波長板9を通過
した第2ビームは、偏光面が90°回転されてS偏光か
らP偏光に変換された後、偏向プリズム4により180
°反射偏向されて、プリズム部材5の光分割面S2 で2
分割される。
【0106】まず、プリズム部材5の光分割面S2 を反
射する一方のP偏光の第2ビームは、プリズム部材5の
反射面R2 で90°反射偏向され、プリズム部材2の偏
光分離面S1 をそのまま通過する。この偏光分離面S1
を通過した第2ビームは、反射面R1 で90°反射偏向
された後、1/4波長板8b1 を通過して円偏光に変換
される。その後、円偏光に変換された第2ビームは、x
方向(計測方向)に所定の長さLを持つ密閉管60を通
過し、固定鏡6で反射された後、再び密閉管60を通過
して1/4波長板8b1 を通過して、S偏光に変換され
る。このS偏光に変換された第2ビームは、プリズム部
材2の反射面R1 で反射され、プリズム部材2の偏光分
離面S1 で反射されて1/4波長板8b2 へ向かう。こ
の1/4波長板8b2 を通過した第2ビームは、円偏光
に変換された後、密閉管60を通過して固定鏡6で反射
されて再び密閉管60に向かう。この密閉管60を通過
した第2ビームは、1/4波長板8b2 を通過してP偏
光に変換され、プリズム部材2の偏光分離面S1 を透過
して第1のレシーバ7aで受光される。
【0107】一方、プリズム部材5の光分割面S2 を通
過する他方のP偏光の第2ビームは、プリズム部材2の
偏光分離面S1 をそのまま通過し、反射面R1 で90°
反射偏向されて、1/4波長板8b3 へ向かう。この1
/4波長板8b3 を通過した第2ビームは、円偏光に変
換されて、固定鏡6により反射されて再び1/4波長板
8b3 を通過し、S偏光に変換される。このS偏光に変
換された第2ビームは、プリズム部材2の反射面R1
反射し、偏光分離面S1 を反射して1/4波長板8b4
に向かう。この1/4波長板8b4 を通過した第2ビー
ムは円偏光に変換された後、固定鏡6により反射されて
再び1/4波長板8b4 を通過して、P偏光に変換され
る。この1/4波長板8b4 を通過してP偏光に変換さ
れた第2ビームは、偏光分離面S1 をそのまま通過して
第2のレシーバ7bで受光される。
【0108】さて、第1のレシーバ7aにおいては、プ
リズム部材2と移動鏡3との間の空気等の気体中を経由
する長さx(プリズム部材2の面Tから移動鏡3までの
X方向に沿った距離)の計測光路OPM を進行する第1
ビームと、この計測光路OP M と近接してプリズム部材
2と固定鏡6との間の空気等の気体中及び密閉管60を
経由する長さb(プリズム部材2の面Tから固定鏡6ま
でのX方向に沿った距離)の第1参照光路OPR1を進行
する第2ビームとが内部のアナライザにより偏光方向が
揃えられて内部の受光素子に入射する。
【0109】ここで、第1参照光路OPR1中には密閉管
60が配置されているため、密閉管60のX方向におけ
る長さをLとすると、前述の如く、空気等の気体の屈折
率変化に対しては、密閉管60の長さLの分だけ固定鏡
6をプリズム部材2側へずらして配置した事と等しくな
る。従って、第1のレシーバ10aの受光素子には、実
質的に、プリズム部材2と移動鏡3との間の空気等の気
体中を経由する長さx(プリズム部材2の面Tから移動
鏡3までのX方向に沿った距離)の計測光路OPM を進
行する第1ビームと、この計測光路OPM と近接してプ
リズム部材2と固定鏡6との間の空気等の気体中を経由
する長さa(=b−L)の第1参照光路OPR1を進行す
る第2ビームとが入射することとなる。
【0110】このため、第1レシーバ7aの受光素子か
らは、移動鏡3が固定鏡6に対して停止している状態で
は、周波数が(f1−f2)のビート信号が出力され、
移動鏡3がX方向へ移動すると周波数が変調されたビー
ト信号が出力される。従って、この周波数の変化を積算
することにより、移動鏡3と固定鏡6とのX方向の相対
的な移動量を検出することができる。よって、空気等の
気体中を通過する計測光路OPM の長さ(あるいは干渉
計のプリズム部材2から移動鏡6までの計測光路OPM
の光学的光路長)をx、空気等の気体中を通過する第1
参照光路OPR1の長さ(あるいは干渉計のプリズム部材
2から固定鏡6までの第1参照光路OP R1の光学的光路
長)をa、測定開始時(リセット時)等の初期の空気等
の気体の屈折率をn、空気等の気体の屈折率の変化をΔ
nとすると、第1レシーバ7aでは、nx+(x−a)
Δnに相当する信号XA が演算処理部10へ出力され
る。
【0111】一方、第2レシーバ7bにおいては、プリ
ズム部材2と移動鏡3との間の空気等の気体中を経由す
る長さx(プリズム部材2の面Tから移動鏡3までのX
方向に沿った距離)の計測光路OPM を進行する第1ビ
ームと、この計測光路OPMと近接してプリズム部材2
と固定鏡6との間の空気等の気体中を経由する長さb
(プリズム部材2の面Tから固定鏡6までのX方向に沿
った距離)の第2参照光路OPR2を進行する第2ビーム
とが内部のアナライザにより偏光方向が揃えられて内部
の受光素子に入射する。
【0112】ここで、第2レシーバ7bの受光素子から
は、第1レシーバ7aと同様に、移動鏡3が固定鏡6に
対して停止している状態では、周波数が(f1−f2)
のビート信号が出力され、移動鏡3がX方向へ移動する
と周波数が変調されたビート信号が出力される。従っ
て、この周波数の変化を積算することにより、移動鏡3
と固定鏡6とのX方向の相対的な移動量を検出すること
ができる。よって、空気等の気体中を通過する計測光路
OPM の長さ(あるいは干渉計のプリズム部材2から移
動鏡6までの計測光路OPM の光学的光路長)をx、空
気等の気体中を通過する第2参照光路OPR2の長さ(あ
るいは干渉計のプリズム部材2から固定鏡6までの第2
参照光路OPR2の光学的光路長)をb、測定開始時(リ
セット時)等の初期の空気等の気体の屈折率をn、空気
等の気体の屈折率の変化をΔnとすると、第2レシーバ
7bでは、nx+(x−b)Δnに相当する信号XB
演算処理部10へ出力される。
【0113】さて、演算処理部10には、所定の演算式
がメモリーされており、例えば、上記(3)の如き演算
式がメモリーされている。従って、演算処理部10は、
第1及び第2のレシーバ(7a,7b)からの出力信号
(XA ,XB )、及び計測開始時での初期の気体の屈折
率nを検出するための不図示の屈折率検出器からの出力
nに基づいて、上記(3)式に示す如き演算を実行し、
気体の揺らぎ等が起因して生ずる気体の屈折率変化に伴
う計測誤差が補正された演算結果が不図示の表示部を介
して出力される。
【0114】そして、上記(11)式〜(14)式、又
は上記(25)式〜(31)式を満足するように第1移
動鏡及び第2移動鏡(3)をそれぞれ一体的に移動させ
れば、干渉計装置の出力に加算される量子化誤差eをそ
れぞれ4倍〜1倍以下に抑えることが可能となる。以上
の如く本実施例によれば、干渉計によって計測光路と各
参照光路とを近接するように構成しているため、計測光
路中にて生ずる気体の屈折率変化による測定誤差を補正
し、精度良く移動鏡3の移動量や位置を検出することが
できる。
【0115】しかも、本例によれば、2つの固定鏡との
間の距離に対して移動鏡が内分するように、2つの固定
鏡との間に形成される空間に沿って移動鏡を移動させる
ことができるため、極めて高い精度な計測が保証され
る。ところで、本例では、プリズム部材2の内部を通過
する計測光路長と各参照光路長とが共に等しくなるよう
に干渉計装置を構成し、プリズム部材2に温度変化が生
じても高精度な計測が行えるようになっている。
【0116】この事について具体的に説明するに当たっ
て、まず、第1のレシーバ7aにそれぞれ入射する計測
用の第1ビームと参照用の第2ビームとがプリズム部材
2の内部を通過する光路について、図2(a)及び図2
(b)を参照しながら説明する。プリズム部材2内の下
部を通過する計測用の第1ビームは、図2(a)の実線
で示す如く、直角プリズム2a内では光路A11と直角プ
リズム2b内では光路B 11とを通過し、プリズム部材2
内の上部を通過する計測用の第1ビームは、図2(b)
の実線で示す如く、直角プリズム2a内のみの光路A12
を通過する。
【0117】一方、プリズム部材2内の下部を通過する
参照用の第2ビームは、図2(a)の点線で示す如く、
直角プリズム2a内のみの光路A21を通過し、プリズム
部材2内の上部を通過する計測用の第2ビームは、図2
(b)の点線で示す如く、直角プリズム2a内では光路
22を通過し、直角プリズム2b内では光路B22を通過
する。
【0118】従って、プリズム部材2内を通過する計測
用の第1ビームと参照用の第2ビームとの光路長は、そ
れぞれA11+B11+A12,A21+A22+B22となり、図
2(a)及び図2(b)から明らかな如く、A11=A12
=A21=A22=d1 とB11=B22=d2 との関係が成立
しているため、プリズム部材2内を通過する計測用の第
1ビームと参照用の第2ビームとの光路長は等しくな
る。
【0119】次に、第2のレシーバ7bにそれぞれ入射
する計測用の第1ビームと参照用の第2ビームとがプリ
ズム部材2の内部を通過する光路について図2(a)及
び図2(c)を参照しながら説明する。プリズム部材2
内の下部を通過する計測用の第1ビームは、図2(a)
の実線で示す如く、直角プリズム2a内では光路A11
直角プリズム2b内では光路B 11とを通過し、プリズム
部材2内の上部を通過する計測用の第1ビームは、図2
(c)の実線で示す如く、直角プリズム2a内のみの光
路A12を通過する。
【0120】一方、プリズム部材2内の下部を通過する
参照用の第2ビームは、図2(a)の点線で示す如く、
直角プリズム2a内のみの光路A21を通過し、プリズム
部材2内の上部を通過する計測用の第2ビームは、図2
(c)の点線で示す如く、直角プリズム2a内では光路
32を通過し、直角プリズム2b内では光路B31を通過
する。
【0121】従って、プリズム部材2内を通過する計測
用の第1ビームと参照用の第2ビームとの光路長は、そ
れぞれA11+B11+A12,A21+A32+B32となり、図
2(a)及び図2(b)から明らかな如く、A11=A12
=A21=A32=d1 とB11=B32=d2 との関係が成立
しているため、プリズム部材2内を通過する計測用の第
1ビームと参照用の第2ビームとの光路長は等しくな
る。
【0122】従って、仮に、直角プリズム2aと直角プ
リズム2bとの間に温度差が生じても、第1ビームと第
2ビームとの光路長の差は変化しなため、移動鏡3のX
方向での移動量を常に高精度のもとで計測することがで
きる。なお、図1に示した第1実施例では、1/4波長
板(8a1 ,8a2 ,8b1〜8b4 )を6枚で構成し
た場合について説明したが、これらを一体化して1枚の
1/4波長板で構成しても良く、さらには、この1枚の
1/4波長板をプリズム部材2の面Tに接合して一体的
に構成しても良い。
【0123】また、図1に示した第1実施例では、互い
に直交した2つの面を持つ直角プリズム2aの第1の面
側にレーザー光源1と2つのレシーバ(7a,7b)と
が配置され、第2の面側に1/2波長板9,プリズム部
材5と直角プリズム4とが配置されている。しかしなが
ら、この配置構成に限ることなく、この直角プリズム2
aの第2の面側にレーザー光源1と2つのレシーバ(7
a,7b)とを配置し、直角プリズム2aの第1の面側
に1/2波長板9,プリズム部材5及び直角プリズム4
とを配置しても良い。
【0124】次に、本発明の第2実施例による干渉計装
置について図3を参照しながら説明する。図3に示す第
2実施例は、図1の第1実施例を変形したものであり、
図3には、図1と同一の機能を有する部材には同一符号
を付してある。図3に示す如く、本実施例が第1実施例
と大きく異なる所は、まず、図1の第1実施例に示した
偏光プリズム4とプリズム部材2との間に配置されたプ
リズム部材5をレーザー光源1とプリズム部材2との間
に配置し、棒状部材61を介してX方向に沿って異なる
位置に参照用の2つの固定鏡(6a,6b)を配置した
点である。さらに、本実施例が第1実施例と相違する所
は、第1実施例では、プリズム部材2と移動鏡4との間
に2つの1/4波長板(8a1 ,8a2 )を配置し、プ
リズム部材2と偏向プリズム4との間に1つの1/2波
長板9を配置しているのに対し、図3の第2実施例で
は、プリズム部材2と移動鏡4との間に4つの1/4波
長板(8a1 〜8a4 )を配置し、プリズム部材2と偏
向プリズム4との間に2つの1/4波長板(9a,9
b)を配置している点である。
【0125】なお、棒状部材61は所定の長さを持ち熱
膨張率の極めて小さな部材で構成されている。図3に示
す第2実施例の構成を簡単に説明すると、本実施例で
は、計測方向Xに移動可能に設けられた移動鏡3と、そ
れぞれ所定の位置に固設された第1固定鏡6aと第2固
定鏡6bと、コヒーレントな光束を供給する光源手段
(レーザ光源1,プリズム部材5)と、この光源手段
(1,5)からの光束に基づいて,移動鏡3を介して計
測方向Xに沿って往復する第1計測光路OPM1と第1固
定鏡6aを介して往復する第1参照光路OPR1とを形成
し,第1計測光路OPM1及び第1参照光路OPR1を経由
した各光束によって第1測定出力XA を生成する第1干
渉計(プリズム部材2,1/4波長板(8a1,8a2,8b1,8b
2),1/2波長偏向プリズム4,第1検出器7a)と、
光源手段(1,5)からの光束に基づいて,移動鏡3を
介して計測方向Xに沿って往復する第2計測光路OPM2
と第2固定鏡6bを介して往復する第2参照光路OPR2
とを形成し,第2計測光路OPM2及び第2参照光路OP
R2を経由した各光束によって第2測定出力XB を生成す
る第2干渉計(プリズム部材2,1/4波長板(8a3,8a
4,8b3,8b4),1/9b,偏向プリズム4,第2検出器7
b)と、第1及び第2測定出力(XA ,XB )に基づい
て所定の演算を行う演算処理部10とを配置し、その第
1固定鏡6aと第2固定鏡6bとを計測方向に沿って所
定の距離だけ隔てて配置し、各光路(OPM1,OPM2
OPR1,OPR2)を平行にする構成としたものである。
【0126】次に、図3に基づいて本例の引き回し光路
について説明する。先ず、レーザー光源1は第1周波数
1 のビーム(以下、第1ビームと称する。)と第2周
波数f2 のビーム(以下、第2ビームと称する。)を供
給し、この第1及び第2ビームは、プリズム部材5の光
分割面S2 に対し45°の入射角で入射する。ここで、
このレーザー光源1から供給される2つのビームの内の
一方の第1ビームは、光分割面S1 の入射面内を振動す
る直線偏光の光(以下、P偏光と称する。)であり、他
方の第2ビームは、光分割面S1 の入射面と垂直な面内
を振動する直線偏光の光(以下、S偏光と称する。)で
ある。
【0127】第1及び第2ビームは、光源からのビーム
を2分割する光分割手段として機能するプリズム部材5
の光分割面(半透過面)S2 によってそれぞれ2分割さ
れ、この光分割面S2 を反射する第1及び第2ビーム
は、プリズム部材5の反射面R 2 を介して、プリズム部
材2に入射し、この光分割面S2 を通過する第1及び第
2ビームは、そのままプリズム部材2に入射する。
【0128】まず、プリズム部材5の光分割面S2 及び
反射面R2 を介してプリズム部材2に向かう第1及び第
2ビームについて説明する。プリズム部材5の光分割面
2 及び反射面R2 を介した第1及び第2ビームは、プ
リズム部材2の偏光分離面S1 に対し45°の入射角で
入射する。ここで、第1ビームは、偏光分離面S1 に対
する入射面内を直線偏光するP偏光の光であり、第2ビ
ームは、偏光分離面S1 に対する入射面と垂直な面内を
直線偏光するS偏光の光であるため、P偏光の第1ビー
ムは偏光分離面S1 をそのまま透過し、S偏光の第2ビ
ームは偏光分離面S1 を反射する。
【0129】まず、偏光分離面S1 を透過したP偏光の
第1ビームは、1/4波長板8a1を介して円偏光に変
換された後、移動鏡3にて反射され、再び1/4波長板
8a 1 を通過してS偏光に変換される。そして、このS
偏光の第1ビームは、プリズム部材2の偏光分離面S1
を反射し、プリズム部材2の反射面R1 で90°反射偏
向される。その後、S偏光の第1ビームは、1/4波長
板8a2 を通過して円偏光に変換されて、移動鏡3によ
り反射されて再び1/4波長板8a2 へ向かう。そし
て、この1/4波長板8a2 を再び通過した第1ビーム
は、P偏光に変換された後、再び反射面R1 を反射して
偏光分離面S1 を通過する。この偏光分離面S1 を通過
したP偏光の第1ビームは、1/2波長板9aを通過し
て、偏光面が90°回転されてP偏光からS偏光に変換
される。1/2波長板9aによってS偏光に変換された
第1ビームは、偏向プリズム4により180°反射偏向
された後、偏光分離面S1 で反射されて第1のレシーバ
7aで受光される。
【0130】一方、プリズム部材5の光分割面S2 及び
反射面R2 を介してプリズム部材2の偏光分離面S1
反射するS偏光の第2ビームは、1/2波長板9aを透
過して、偏光面が90°回転されてS偏光からP偏光に
変換された後、偏向プリズム4により180°反射偏向
されて、プリズム部材5の偏光分離面S1 を通過する。
そして、偏光分離面S1 を通過したP偏光の第2ビーム
は、反射面R1 で90°反射偏向された後、1/4波長
板8b1 を通過して円偏光に変換される。その後、円偏
光に変換された第2ビームは、プリズム部材の面Tに対
してX方向に沿って所定の距離aだけ隔てて固定された
第1固定鏡6aを反射して、再び1/4波長板8b1
通過して、S偏光に変換される。このS偏光に変換され
た第2ビームは、プリズム部材2の反射面R1 で反射さ
れ、プリズム部材2の偏光分離面S1 で反射されて1/
4波長板8b2 へ向かう。この1/4波長板8b2 を通
過した第2ビームは、円偏光に変換された後、第1固定
鏡6aで反射されて1/4波長板8b2 を通過し、P偏
光に変換される。そして、P偏光に変換された第2ビー
ムは、プリズム部材2の偏光分離面S1 を透過して第1
のレシーバ7aで受光される。
【0131】次に、プリズム部材5の光分割面S2 を透
過するレーザ光源1からの第1及び第2ビームについて
説明する。プリズム部材5の光分割面S2 を介した第1
及び第2ビームは、プリズム部材2の偏光分離面S1
対し45°の入射角で入射する。ここで、第1ビーム
は、偏光分離面S1 に対する入射面内を直線偏光するP
偏光の光であり、第2ビームは、偏光分離面S1 に対す
る入射面と垂直な面内を直線偏光するS偏光の光である
ため、P偏光の第1ビームは偏光分離面S1 をそのまま
透過し、S偏光の第2ビームは偏光分離面S1 を反射す
る。
【0132】まず、偏光分離面S1 を透過したP偏光の
第1ビームは、1/4波長板8a3を介して円偏光に変
換された後、移動鏡3にて反射され、再び1/4波長板
8a 3 を通過してS偏光に変換される。そして、このS
偏光の第1ビームは、プリズム部材2の偏光分離面S1
を反射し、プリズム部材2の反射面R1 で90°反射偏
向される。その後、S偏光の第1ビームは、1/4波長
板8a4 を通過して円偏光に変換されて、移動鏡3によ
り反射されて再び1/4波長板8a4 へ向かう。そし
て、この1/4波長板8a4 を再び通過した第1ビーム
は、P偏光に変換された後、再び反射面R1 を反射して
偏光分離面S1 を通過する。この偏光分離面S1 を通過
したP偏光の第1ビームは、1/2波長板9bを通過し
て、偏光面が90°回転されてP偏光からS偏光に変換
される。1/2波長板9bによってS偏光に変換された
第1ビームは、偏向プリズム4により180°反射偏向
された後、偏光分離面S1 で反射されて第2のレシーバ
7bで受光される。
【0133】一方、プリズム部材5の光分割面S2 を透
過してプリズム部材2の偏光分離面S1 を反射するS偏
光の第2ビームは、1/2波長板9bを透過して、偏光
面が90°回転されてS偏光からP偏光に変換された
後、偏向プリズム4により180°反射偏向されて、プ
リズム部材5の偏光分離面S1 を通過する。そして、偏
光分離面S1 を通過したP偏光の第2ビームは、反射面
1 で90°反射偏向された後、1/4波長板8b3
通過して円偏光に変換される。その後、円偏光に変換さ
れた第2ビームは、プリズム部材の面Tに対してX方向
に沿って所定の距離bだけ隔てて固定された第2固定鏡
6bを反射して、再び1/4波長板8b3を通過して、
S偏光に変換される。このS偏光に変換された第2ビー
ムは、プリズム部材2の反射面R1 で反射され、プリズ
ム部材2の偏光分離面S1 で反射されて1/4波長板8
4 へ向かう。この1/4波長板8b4 を通過した第2
ビームは、円偏光に変換された後、第2固定鏡6bで反
射されて1/4波長板8b4を通過し、P偏光に変換さ
れる。そして、P偏光に変換された第2ビームは、プリ
ズム部材2の偏光分離面S1 を透過して第2のレシーバ
7aで受光される。
【0134】以上の如く、本発明による第2実施例の干
渉計装置は、第1のレシーバ7aにおいては、プリズム
部材2と移動鏡3との間の空気等の気体中を経由する長
さx(プリズム部材2の面Tから移動鏡3までのX方向
に沿った距離)の第1計測光路OPM1を進行する第1ビ
ームと、この第1計測光路OPM1と近接してプリズム部
材2と第1固定鏡6aとの間の空気等の気体中を経由す
る長さa(プリズム部材2の面Tから第1固定鏡6aま
でのX方向に沿った距離)の第1参照光路OP R1を進行
する第2ビームとが内部のアナライザにより偏光方向が
揃えられて内部の受光素子に入射する。
【0135】このため、第1レシーバ7aの受光素子か
らは、移動鏡3が第1固定鏡6に対して停止している状
態では、周波数が(f1−f2)のビート信号が出力さ
れ、移動鏡3がX方向へ移動すると周波数が変調された
ビート信号が出力される。従って、この周波数の変化を
積算することにより、移動鏡3と固定鏡6とのX方向の
相対的な移動量を検出することができる。よって、空気
等の気体中を通過する第1計測光路OPM1の長さ(ある
いは第1干渉計のプリズム部材2から移動鏡6までの第
1計測光路OPM1の光学的光路長)をx、空気等の気体
中を通過する第1参照光路OPR1の長さ(あるいは干渉
計のプリズム部材2から固定鏡6までの第1参照光路O
R1の光学的光路長)をa、測定開始時(リセット時)
等の初期の空気等の気体の屈折率をn、空気等の気体の
屈折率の変化をΔnとすると、第1レシーバ7aでは、
nx+(x−a)Δnに相当する信号XA が演算処理部
10へ出力される。
【0136】一方、第2レシーバ7bにおいては、プリ
ズム部材2と移動鏡3との間の空気等の気体中を経由す
る長さx(プリズム部材2の面Tから移動鏡3までのX
方向に沿った距離)の第2計測光路OPM2を進行する第
1ビームと、この第2計測光路OPM1と近接してプリズ
ム部材2と第2固定鏡6bとの間の空気等の気体中を経
由する長さb(プリズム部材2の面Tから第2固定鏡6
bまでのX方向に沿った距離)の第2参照光路OPR2
進行する第2ビームとが内部のアナライザにより偏光方
向が揃えられて内部の受光素子に入射する。
【0137】ここで、第2レシーバ7bの受光素子から
は、第1レシーバ7aと同様に、移動鏡3が固定鏡6に
対して停止している状態では、周波数が(f1−f2)
のビート信号が出力され、移動鏡3がX方向へ移動する
と周波数が変調されたビート信号が出力される。従っ
て、この周波数の変化を積算することにより、移動鏡3
と固定鏡6とのX方向の相対的な移動量を検出すること
ができる。よって、空気等の気体中を通過する第2計測
光路OPM2の長さ(あるいは第2干渉計のプリズム部材
2から移動鏡6までの第2計測光路OPM2の光学的光路
長)をx、空気等の気体中を通過する第2参照光路OP
R2の長さ(あるいは干渉計のプリズム部材2から固定鏡
6までの第2参照光路OPR2の光学的光路長)をb、測
定開始時(リセット時)等の初期の空気等の気体の屈折
率をn、空気等の気体の屈折率の変化をΔnとすると、
第2レシーバ7bでは、nx+(x−b)Δnに相当す
る信号XB が演算処理部10へ出力される。
【0138】さて、演算処理部10には、第1実施例と
同様に、例えば、前述の(3)式に示す如き演算式がメ
モリーされており、演算処理部10は、第1及び第2の
レシーバ(7a,7b)からの出力信号(XA
B )、及び計測開始時での初期の気体の屈折率nを検
出するための不図示の屈折率検出器からの出力nに基づ
いて、前述の(3)式に示す如き演算を実行し、気体の
揺らぎ等が起因して生ずる気体の屈折率変化に伴う計測
誤差が補正された演算結果が不図示の表示部を介して出
力される。
【0139】そして、上記(11)式〜(14)式、又
は上記(25)式〜(31)式を満足するように第1移
動鏡及び第2移動鏡(3)をそれぞれ一体的に移動させ
れば、干渉計装置の出力に加算される量子化誤差eをそ
れぞれ4倍〜1倍以下に抑えることが可能となる。しか
も、第2実施例も第1実施例と同様に、2つの固定鏡と
の間の距離に対して移動鏡が内分するように、2つの固
定鏡との間に形成される空間に沿って移動鏡を移動させ
ることができるため、極めて高い精度な計測が保証され
る。
【0140】また、詳細な説明は省略するが、第2実施
例でも、プリズム部材2の内部を通過する計測光路長と
各参照光路長とが共に等しくなるように干渉計装置が構
成されているため、プリズム部材2の内部に温度差が生
じても高精度な計測が実現できる。なお、図3に示す第
2実施例では、1/4波長板(8a1 〜8a4 ,8b1
〜8b4 )を8枚で構成した例を示しているが、これを
1枚の1/4波長板で構成しても良く、また、この1枚
の1/4波長板をプリズム部材の面Tと接合して一体的
に構成しても良い。
【0141】また、図3に示した第2実施例の2枚の1
/2波長板(9a,9b)の代わりに、偏光プリズム4
とプリズム部材2の間に形成される4つの光路をカバー
するような1枚の1/4波長板を設けても良く、また、
偏光プリズム4の入射面及び射出面の全面を覆うような
1/4波長板を偏光プリズム4と一体的に構成しても良
く、さらには、プリズム部材2の偏光プリズム4側の面
全体を覆うような1/4波長板1/4波長板をプリズム
部材2と一体的に構成しても良い。
【0142】また、図3に示した第1実施例では、互い
に直交した2つの面を持つ直角プリズム2aの第1の面
側にレーザー光源1とプリズム部材5と2つのレシーバ
(7a,7b)とがそれぞれ配置され、第2の面側に2
つの1/2波長板(9a,9b)と直角プリズム4とが
それぞれ配置されている。しかしながら、この配置構成
に限ることなく、この直角プリズム2aの第2の面側に
レーザー光源1とプリズム部材5と2つのレシーバ(7
a,7b)とをそれぞれ配置し、直角プリズム2aの第
1の面側に2つの1/2波長板(9a,9b)と直角プ
リズム4とをそれぞれ配置しても良い。
【0143】また、図3に示した第2実施例では、コヒ
ーレントな光束を供給する光源手段をレーザー光源1と
光分割手段として機能するプリズム部材5とで構成して
いるが、2つのレーザー光源を光源手段として用いて、
一方のレーザー光源からの光束を第1干渉計(プリズム
部材2,1/4波長板(8a1,8a2,8b1,8b2),長板9a,
偏向プリズム4,第1検出器7a)へ導き、他方のレー
ザー光源からの光束を第2干渉計(プリズム部材2,1
/4波長板(8a3,8a4,8b3,8b42波長板9b,偏向プリ
ズム4,第2検出器7b)へ導く構成としても良い。こ
の場合、2つの光源(レーザー光源)の光学特性変化
(波長変動等)がある時には、この光学特性変化を補正
する補正手段を設けることが望ましい。
【0144】また、上述の各実施例ではヘテロダイン方
式のレーザー干渉計に本発明を適用したものであるが、
本発明はホモダイン方式の干渉計にも同様に適用するこ
とができる。また、直角プリズム17の代わりにコーナ
ーキューブ等を使用しても良い。ところで、以上にて説
明した各実施例では、第1及び第2干渉計により形成さ
れる各計測光路並びに各参照光路を互いに近接かつ平行
となるように構成した例を示したが、これに限るもので
はない。
【0145】そこで、図1に示した第1実施例の別の変
形例としての第3実施例について図7を参照しながら説
明する。なお、図3には、図1と同一の機能を有する部
材には同一符号を付してある。本実施例では、図1に示
した第1実施例のプリズム部材2を、計測光路OPM
形成する下側部分のプリズム部材62、2つの参照光路
(OPR1,OPR2)を形成する上側部分のプリズム部材
63に2分割し、上側部分のプリズム部材63は下側部
分のプリズム部材62に対して90度回転された状態で
配置して、計測光路OPM に対して2つの参照光路(O
R1,OPR2)が非平行、即ち垂直となる如く構成した
ものである。
【0146】ここで、下側部分のプリズム部材62は、
直角プリズム62aと直角プリズム62aとの貼合せで
構成され、この貼合せ面は偏光分離面(偏光ビームスプ
リッター面)S3 で形成されている。また、上側部分の
プリズム部材63は、直角プリズム63aと直角プリズ
ム63bとの貼合せで構成され、この貼合せ面は偏光分
離面(偏光ビームスプリッター面)S4 で形成されてい
る。
【0147】なお、プリズム部材62、63の構成以外
は、図1に示した第1実施例の構成と全く同一であるた
め、装置の動作を含めた詳細な説明は省略する。以上の
如く図7に示した例によっても、計測光路中にて生ずる
気体の屈折率変化による測定誤差を補正し、精度良く移
動鏡3の移動量や位置を検出することができる。しか
も、本例においても、2つの固定鏡との間の距離に対し
て移動鏡が内分するように、2つの固定鏡との間に形成
される空間に沿って移動鏡を移動させることができるた
め、極めて高い精度な計測が保証される。
【0148】なお、図3に示した第2実施例において
も、図7に示した如き計測光路と参照光路とを直交させ
る構成とすることが可能である。例えば、図3の偏光プ
リズム2の代わりに図7に示した2つの偏光プリズム6
2,63を用いれば、計測光路と参照光路とを直交させ
ることが可能となる。また、以上にて示した各実施例に
おける各干渉計の計測光路と参照光路との光路の少なく
とも一方に光路折り曲げ用の光路偏向部材を適宜配置
し、装置全体がコンパクトになるように各光路を引き回
すことも可能である。
【0149】また、以上の各実施例では、第1及び第2
干渉計の計測光路長が互いに等しい例を示したが、図4
の原理にて説明した如く、第1及び第2干渉計の計測光
路長を異ならせしてめても良いことは言うまでもない。
このように、本発明は上述実施例に限定されず本発明の
要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得る。
【0150】
【発明の効果】以上の如く、本発明によれば、空気等の
気体の揺らぎが生じていても測定誤差が極めて少なく、
しかも原理的に高精度な計測が実現できる高性能な干渉
計装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の干渉計装置の第1実施例を示す斜視図
である。
【図2】(a)は第1実施例のプリズム部材2の下部を
通過する計測光路及び第1及び第2参照光路の様子を示
す平面図、(b)は第1実施例のプリズム部材2の上部
を通過する計測光路及び第1参照光路の様子を示す平面
図、(c)は第1実施例のプリズム部材2の上部を通過
する計測光路及び第2参照光路の様子を示す平面図、
(d)は第1実施例のプリズム部材2の他の例を示す平
面図である。
【図3】本発明の干渉計装置の第2実施例を示す斜視図
である。
【図4】本発明の干渉計装置の原理を示す構成図であ
る。
【図5】図4とは別の見方による本発明の干渉計装置の
原理を示す構成図である。
【図6】従来の干渉計装置を示す構成図である。
【図7】本発明の干渉計装置の第1実施例の変形例を示
す斜視図である。
【符号の説明】
1・・・・・・レーザー光源 2・・・・・・プリズム部材 3・・・・・・移動鏡 4・・・・・・偏向プリズム(直角プリズム) 5・・・・・・プリズム部材(光分割部材) 6,6a,6b・・・・・・固定鏡 7a・・・・・・第1レシーバ 7b・・・・・・第2レシーバ 8a1 〜8a4,8b1 〜8a4 ・・・・・・1/4波長板 9,9a,9b・・・・・・1/2波長板 10・・・・・・演算処理部 60・・・・・・密閉管 61・・・・・・棒状部材

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被計測物体の変位量を計測する干渉計装置
    において、計測方向に沿って一体的に移動可能に設けら
    れた第1及び第2計測用反射手段と;それぞれ所定の位
    置に固設された第1及び第2参照用反射手段と;光束を
    供給する光源手段と;該光源手段からの光束に基づい
    て、前記第1計測用反射手段を介して往復する第1計測
    光路と前記第1参照用反射手段を介して往復する第1参
    照光路とを形成し、該第1計測光路及び第1参照光路を
    経由した各光束によって第1測定出力を生成する第1干
    渉計手段と;前記光源手段からの光束に基づいて、前記
    第2計測用反射手段を介して往復する第2計測光路と前
    記第2参照用反射手段を介して往復する第2参照光路と
    を形成し、該第2計測光路及び第2参照光路を経由した
    各光束によって第2測定出力を生成する第2干渉計手段
    と;前記第1及び第2測定出力に基づいて所定の演算を
    行う演算手段と;を有し、 前記第1干渉計手段から前記第1参照用反射手段までの
    前記第1参照光路は、前記第2干渉計手段から前記第2
    参照用反射手段までの前記第2参照光路よりも短い光学
    的光路長を有し、 前記第1干渉計手段から前記第1計測用反射手段の基準
    位置までの前記第1計測光路の光学的光路長をlM1
    し、前記第2干渉計手段から前記第2計測用反射手段の
    基準位置までの前記第2計測光路の光学的光路長を
    M2、前記第1干渉計手段から前記第1参照用反射手段
    までの前記第1参照光路の光学的光路長をlR1、前記第
    2干渉計手段から前記第2参照用反射手段までの前記第
    2参照光路の光学的光路長をlR2、前記基準位置からの
    前記第1及び第2計測用反射手段の変位をxとすると
    き、 前記第1及び第2計測用反射手段は、以下の範囲を少な
    くとも移動可能、もしくは以下の範囲の1部を少なくと
    も移動可能に構成されることを特徴とする干渉計装置。 lR1−lM1≦x≦lR2−lM2
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