JP3018718B2 - 合成油入り電気機器の劣化度判定方法 - Google Patents
合成油入り電気機器の劣化度判定方法Info
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Description
合成油を冷却媒体を兼ねた絶縁媒体として使用した合成
油入り電気機器の劣化度判定方法に係わり、ことに合成
油入り電気機器から少量の合成油を採取して熱劣化で生
成した低分子量成分を定量分析することにり、局部過熱
や部分放電などの異常現象による劣化度を判定する方法
に関する。
て使用可能な合成油としては、シリコ−ン油をはじめ、
炭化水素からなるアルキルナフタレン,ジアリルエタ
ン、エステル結合を持つりん酸エステル,カルボン酸エ
ステル、ハロゲン化合物であるフッ素油などが知られて
おり、ことに、シリコ−ン油は鉱油に比べて耐熱性,難
燃性に優れているので、特に軽量化のために高い運転温
度と高度の信頼性が要求される車両用変圧器に鉱油系絶
縁油に代わって使用されている。これらの油入り電気機
器では運転温度においても徐々に熱劣化が進行するが、
機器内部で局部的な過熱や部分放電などの異常事態が発
生すると合成油および有機絶縁材料等の劣化が急速に進
行し、ついには絶縁事故に進展する危険性があるため、
これらの異常事態の発生を早期に検出して絶縁事故を未
然に防止できる予防保全技術の確立が求められている。
でない鉱油を用いた鉱油入り電気機器の場合、診断対象
機器から採取した鉱油試料中の溶存ガスを抽出して、そ
の成分および生成量を分析する操作を定期的に繰り返し
行うことにより、そのガス生成パタ−ンや成分および生
成量などから機器内部での局部過熱や部分放電などの異
常事態の発生を検知する劣化度判定方法が、非破壊方式
の診断技術として既に知られている。しかしながら、異
常の程度や機器の残存寿命を判定するまでには至ってい
ない。
法としては、合成油の熱劣化に伴ってその引火点の低下
現象、および蒸発量の増加現象、あるいは低分子量成分
の増加現象が現れることが知られており、この現象を利
用した劣化度判定方法として、分子構造が明らかな合成
油,例えばシリコ−ン油を用いた合成油入り電気機器に
ついて、診断対象機器から少量採取した合成油試料の蒸
発量を測定する方法、および低分子量成分の生成総量を
測定する方法が知られている。
と蒸発量との関係を示す特性線図であり、シリコ−ン油
としてポリジメチルシロキサン(25°cにおける粘度
50cst)の強制加熱劣化処理条件を変えて求めた引
火点と蒸発量との相関関係を示しており、蒸発量が1%
を越えると引火点が急激に低下する傾向を示している。
そこで診断対象機器から少量採取したシリコ−ン油試料
を150°cで24時間加熱した後、試料油の蒸発によ
る減量を測定し、蒸発量1%を管理値として診断対象機
器の劣化度を判定する方法が知られている。
よる蒸発減量と生成低分子成分の濃度との関係を示す特
性線図であり、ポリジメチルシロキサンの熱劣化により
生成する低分子量化合物、ヘキサメチルシクロトリシロ
キサン(D 3 )、オクタメチルシクロテトラシロキサン
(D 4 )、デカメチルシクロペンタシロキサン(D 5 )、
およびドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D 6 )の
生成総量と蒸発量との間には直線的な比例関係があり、
蒸発量1%に相応する低分子量成分の濃度は0.75%
であることを示している。そこで、診断対象機器から少
量採取したシリコーン油試料中の低分子量成分をガスク
ロマトグラフィーを用いて定量分析し、低分子量成分の
総量の管理値を0.75%として診断対象機器の劣化度
を判定する方法が知られている(特公昭61―3182
4号公報参照)。
性に優れたシリコ−ン油などの合成油を冷却媒体を兼ね
た絶縁媒体として使用した合成油入り電気機器において
は、機器の定常的な温度上昇による劣化よりも、機器内
部の局部的な過熱や部分放電等の異常事態による劣化が
支配的要因となる場合が多く、これらの異常事態を早期
に検知できる劣化度判定方法が望まれている。ところ
が、局部的な異常現象部分で劣化した合成油は油の対流
あるいは循環によって機器内部の油全体に拡散し,希釈
されてしまうために、機器から採取した合成油試料中の
蒸発量または低分子量成分濃度の総量を測定する従来の
劣化度判定方法では、検出量の変化が少なく、局部的異
常現象の発生を感度よく早期に検出できないという欠点
がある。また、蒸発量を測定する従来の劣化度判定方法
では、蒸発減量を測定するための加熱処理に24時間を
要すること、また多数回の秤量を行うために作業工数が
嵩むこと、ならびに約10mlの合成油試料を定期的な
測定を行うたびに採取するために、合成油使用量の少な
い機器においては不足した合成油の補充が必要になるこ
となどの欠点がある。
微量の合成油を採取して分析することにより、局部過熱
温度を的確に判定でき、さらには主要材料の劣化度,残
存寿命を判定できる劣化度判定方法を得ることにある。
に、この発明によれば、合成油入り電気機器から合成油
試料を採取し、分析機器により前記合成油試料中の所定
の低分子量成分を定量分析し、得られた分析結果から特
定低分子量成分に対する各低分子量成分の濃度比率を求
め、この濃度比率および累積加熱時間をあらかじめ同種
の合成油について求めた判定カ−ブと照合し、前記電気
機器内部における発熱部位の温度を判定することとす
る。
ブが、合成油入り電気機器内の合成油と同種の合成油の
加熱温度と加熱時間を変えて強制劣化させた劣化油につ
いて得られた低分子量成分の濃度比率データに基づいて
作成されたものであることとする。さらに、上記劣化度
判定方法において合成油試料がシリコーン油である場
合、所定の低分子量成分が、ヘキサメチルシクロトリシ
ロキサン(D 3 )、オクタメチルシクロテトラシロキサ
ン(D 4 )、デカメチルシクロペンタシロキサン
(D 5 )、およびドデカメチルシクロヘキサシロキサン
(D 6 )の内少なくとも2つ以上を含むこととする。
ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D 3 )を特定低分
子量成分とし、その濃度を基準として他の低分子量成分
の濃度比率を求めることとする。さらにまた、合成油入
り電気機器から合成油試料を定期的に採取し、分析機器
により前記各合成油試料中の所定の低分子量成分を定量
分析して濃度比率を求め、得られた濃度比率が急増する
時点を判別して起点とし、この時点からの経過時間を累
積過熱時間とすることとする。
を定期的に採取し、分析機器により前記各合成油試料中
の所定の低分子量成分を定量分析し、得られた分析結果
から特定低分子量成分に対する各低分子量成分の濃度比
率を求め、この濃度比率および累積加熱時間をあらかじ
め同種の合成油について求めた判定カ−ブと照合して前
記電気機器内部における発熱部位の温度を判定するとと
もに、判定温度の急増時点から累積加熱時間を求め、得
られた判定温度および累積加熱時間を前記合成油入り電
気機器内部の特定構成材料についてあらかじめ求めた熱
劣化判定カ−ブと照合して前記合成油入り電気機器の劣
化度を判定することとする。
判定カ−ブが、合成油入り電気機器内の有機絶縁材料と
同種の有機絶縁材料の加熱温度と加熱時間を変えて強制
劣化させた劣化試料について所定の特性低下率デ−タを
アレニウスプロットして得られた寿命曲線であり、この
寿命曲線に判定温度を照合して得られる寿命時間と累積
加熱時間との差を残存寿命とすることとする。
電気機器内の有機絶縁材料と同種の有機絶縁材料の加熱
温度を判定温度として強制劣化させた劣化試料について
得られた特性低下曲線であり、この特性低下曲線と累積
加熱時間とを照合して得られる特性値とその特性の初期
値との比を前記有機絶縁材料の劣化度とすることとす
る。
から合成油試料を採取し、分析機器により合成油試料中
の所定の低分子量成分を定量分析し、得られた分析結果
から特定低分子量成分に対する各低分子量成分の濃度比
率を求め、この濃度比率および累積過熱時間をあらかじ
め同種の合成油について求めた判定カ−ブと照合し、電
気機器内部における発熱部位の温度を判定するよう劣化
度判定方法を構成したことにより、例えば局部過熱部で
生成した低分子量成分が対流や循環により希釈されて
も、特定低分子量成分に対する各低分子量成分の濃度比
率は変化しないので、これをあらかじめ同種の合成油に
ついて求めた判定カ−ブと照合することにより、電気機
器内部における発熱部位の温度を検知する機能が得られ
る。
−ブを、合成油入り電気機器内の合成油と同種の合成油
の加熱温度と加熱時間を変えて強制劣化させた劣化油に
ついて得られた低分子量成分の濃度比率デ−タに基づい
て作成すれば、使用する合成油の分子構造によって異な
る低分子量成分の濃度比率を的確に捉えて電気機器内部
における発熱部位の温度を精度よく検知する機能が得ら
れる。
油試料がシリコーン油である場合、所定の低分子量成分
が、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D 3 )、オク
タメチルシクロテトラシロキサン(D 4 )、デカメチル
シクロペンタシロキサン(D 5 )、およびドデカメチル
シクロヘキサシロキサン(D 6 )の内少なくとも2つ以
上、好ましくはヘキサメチルシクロトリシロキサン(D
3 )を特定低分子量成分とし、その濃度を基準として他
の低分子量成分との濃度比率を求めることにより、局部
過熱部の温度と累積過熱時間に対して特徴のあるシリコ
ーン油固有の濃度比率特性パターンを有する温度判定カ
ーブが得られるので、この判定カーブを利用して、電気
機器内部における発熱部位の温度を精度よく検知する機
能が得られる。
油試料を定期的に採取し、分析機器により各合成油試料
中の所定の低分子量成分を定量分析して濃度比率を求
め、得られた濃度比率が急増する時点を判別して起点と
し、この時点からの経過時間を累積過熱時間とすれば、
定期的監視を頻繁に行うことにより精度の高い過熱温度
の検知が可能になるとともに、合成油試料として僅か1
μl を採取してガスクロマトグラブィ−を用いて簡単か
つ短時間で低分子量成分を測定できるので、定期的監視
を頻繁に行うに必要な合成油の採取量が僅かで済み、か
つ測定作業を簡単化する機能が得られる。
よび累積加熱時間を合成油入り電気機器内部の特定構成
材料についてあらかじめ求めた熱劣化判定カ−ブと照合
して合成油入り電気機器の劣化度を判定するよう構成す
れば、熱劣化判定カ−ブを例えば、合成油入り電気機器
内の有機絶縁材料と同種の有機絶縁材料の加熱温度と加
熱時間を変えて強制劣化させた劣化試料について所定の
特性低下率デ−タをアレニウスプロットして得られた寿
命曲線とすれば、この寿命曲線に判定温度を照合して得
られる寿命時間と累積加熱時間との差から、合成油入り
電気機器の劣化度を局部過熱部における有機絶縁材の残
存寿命として容易に推定することができる。また、熱劣
化判定カ−ブを、合成油入り電気機器内の有機絶縁材料
と同種の有機絶縁材料の加熱温度を判定温度として強制
劣化させた劣化試料について得られた特性低下曲線とす
れば、この特性低下曲線と累積加熱時間とを照合して得
られる特性値とその特性の初期値との比から、有機絶縁
材料の劣化度を容易に判定することができる。
る。合成油入り電気機器が例えば車両用油入り変圧器で
ある場合、その冷却媒体を兼ねた絶縁媒体としての合成
油にはシリコ−ン油が一般的に使用される。このシリコ
−ン油としてはポリジメチルシロキサン(25°cにお
ける粘度50cst)が多く用いられている。そこで先
ず、この劣化度判定方法を実施するにあたり、あらかじ
め用意すべき温度判定カ−ブの作成方法について説明す
る。
cで加熱劣化した場合における低分子化合物濃度の経時
変化を示す特性線図、図2はこの発明の実施例になる合
成油入り電気機器の劣化度判定方法における温度判定カ
ーブの一例を示す特性線図である。図1は300#cで
連続加熱中のポリジメチルシロキサンから、一定時間毎
に1μlの試料油を採取し、ガスクロマトグラフィーを
用いて低分子量成分を定量分析し、得られた低分子化合
物濃度を累積過熱時間を横軸とする両対数グラフ上にプ
ロットして得られた特性線図である。ポリジメチルシロ
キサン(25#cにおける粘度50cst)を加熱劣化
すると、劣化初期には末端からの主鎖の開裂により、ヘ
キサメチルシクロトリシロキサン(D 3 )、オクタメチ
ルシクロテトラシロキサン(D 4 )、デカメチルシクロ
ペンタシロキサン(D 5 )、およびドデカメチルシクロ
ヘキサシロキサン(D 6 )などの環量体と称する低分子
量化合物が主に生成する。ことに図から明らかなよう
に、最初低分子量化合物の主成分であるD 3 は不安定な
物質であるため、加熱時間の経過とともにより安定な物
質D 4 ,D 5 ,D 6 へと変化し、これに伴ってD 3 のみが濃
度1%を上限にしてそれ以上加熱しても濃度が増加しな
い飽和特性を示す。
分子量成分として他の低分子量成分D 4 ,D 5 ,D 6 との
成分濃度比率を求めれば、得られた成分濃度比率は過熱
温度および過熱時間の関数としてポリジメチルシロキサ
ン固有の特性パターンを持つことになり、この発明にお
いて局部加熱温度を判定するための温度判定カーブとし
て利用することができる。図2は、図1に示すと同様の
特性線図を異なる複数の加熱温度に対応して求め、得ら
れた多数のデータから成分濃度比率D 3 /D 5 を求めた温
度判定カーブであり、成分濃度比率D 3 /D 4 ,D 3 /D 6
についても同様に温度判定カーブを作成することができ
る。
を説明する。先ず、診断対象機器からシリコーン油試料
としてのポリジメチルシロキサン(25#cにおける粘
度50cst)を約1μl採取し、ガスクロマトグラフ
ィーを用いてシリコーン油試料中の低分子量化合物濃度
を定量分析する。得られた低分子量化合物濃度データか
ら例えば成分濃度比率D 3 /D 5 を求め、図2に示す温度
判定カーブと照合する。この時、診断対象機器の内部に
局部過熱や部分放電などの異常現象が無ければ、成分濃
度比率は約6.3(上限値)を示し、かつ運転温度が例
えば200#cよりかなり低い温度であれば、シリコー
ン油試料を定期的に採取して上記診断を繰り返し行って
も最初の診断からの累積過熱時間に対する成分濃度比率
の低下が少なく、このことから診断対象機器に異常が無
いことを検知できる。
運転などにより巻線温度が200#cを超える異常温度
上昇を伴う場合、その過負荷時間の合計値を累積過熱時
間とし、得られた成分濃度比率を上記累積過熱時間の相
当する温度判定カーブと照合することにより、過負荷運
転による温度上昇値を判定することができる。すなわ
ち、累積過熱時間tA が250時間であり、得られた成
分濃度比率D 3 /D 5 が約3.2であったとすれば、図2
の温度判定カーブを用いて過負荷による巻線の異常温度
上昇値TA を250#cと判定することができる。
率つたは成分濃度値が急変した場合、診断周期の半分に
相当する時間を累積過熱時間として判定を行うことによ
り、局部過熱温度を推定できるとともに、診断周期を短
縮して濃度比率を求め、成分濃度比率急変時からの経過
時間を累積加熱時間として局部過熱温度を判定すること
により、より精度の高い過熱温度を得ることができる。
の主要構成材料の劣化度を判定する方法について説明す
る。図3はこの発明の異なる実施例になる合成油入り電
気機器の劣化度判定方法における劣化度判定カ−ブを示
す特性線図である。診断対象機器の耐熱寿命を左右する
構成材料が有機絶縁材料である場合、この有機絶縁材料
をシリコ−ン油中で過熱温度と過熱時間を変えて強制過
熱劣化させ、その機械的特性または電気的絶縁特性を測
定し、その特性値が初期値に対して所定レベル低下する
時間と温度を、時間の対数と絶対温度の逆数を横軸およ
び縦軸に採ったグラフ上にプロットして得られる耐熱寿
命曲線(アレニウスプロット曲線と呼ぶ)が直線で近似
できることは既に知られており、この耐熱寿命曲線を劣
化度判定カ−ブとして判定温度と照合することにより、
判定温度における有機絶縁材料の劣化度(残存寿命)を
判定することができる。
線導体の被覆材として使用される芳香族ポリアミド紙
(商品名 Nomex)について求めた劣化判定カ−ブであ
り、診断対象機器から採取したシリコ−ン油試料の判定
温度がTA °cであった場合、図3からその寿命時間t
b を求めることができる。したがって、判定温度TA に
おける累積過熱時間がta であった場合、寿命時間tb
と累積過熱時間との差tb−ta が上記巻線絶縁被覆材
の残存寿命時間となり、診断対象機器の残存寿命が求ま
るので、定期的な診断を行うことにより機器の絶縁事故
を未然に防止できるとともに、機器の改修や更新時期を
早期に計画することができる。
入り電気機器の劣化度判定方法における劣化度判定カ−
ブを示し、判定温度TA °cにおける芳香族ポリアミド
紙の機械的強度と加熱時間との関係を示す特性線図であ
る。図において、累積加熱時間ta をこの劣化判定カ−
ブと照合することにより、判定温度TA ,累積加熱時間
ta に対応する機械的強度Ntaを求めることができる。
したがって、機械的強度の初期値N0 と機械的強度の判
定値Ntaとの比から芳香族ポリアミド紙の劣化度を判定
できるとともに、許容できる機械的強度の下限値Ntxを
管理値としてあらかじめ設定しておけば、管理値Ntxに
対応する寿命時間tx と累積加熱時間t a との差から診
断対象機器の残存寿命を求めることができる。
いた合成油入り電気機器の場合を例に説明したが、他の
合成油を用いた合成油入り電気機器の劣化度判定方法
も、図2,図3,あるいは図4に対応する判定カ−ブを
異なる合成油および有機絶縁材料毎にあらかじめ準備し
ておくことにより、容易に実施することができる。
気機器から合成油試料を採取し、分析機器により合成油
試料中の所定の低分子量成分を定量分析し、得られた分
析結果から特定低分子量成分に対する各低分子量成分の
濃度比率を求め、この濃度比率および累積過熱時間をあ
らかじめ同種の合成油について求めた判定カ−ブと照合
し、電気機器内部における発熱部位の温度を判定するよ
う劣化度判定方法を構成した。その結果、例えば局部過
熱部で生成した低分子量成分が対流や循環により希釈さ
れても、特定低分子量成分に対する各低分子量成分の濃
度比率は変化しないので、これをあらかじめ同種の合成
油について求めた判定カ−ブと照合することにより、診
断対象機器内部における発熱部位の温度を検知すること
が可能になり、機器から採取した合成油試料中の蒸発量
または低分子量成分濃度の総量を測定する従来の劣化度
判定方法で問題となった、局部的な異常現象部分で劣化
した合成油が油の対流あるいは循環によって機器内部の
油全体に拡散,希釈されてしまうことにより検出量の変
化が少なく、局部的異常現象の発生を感度よく早期に検
出できないという欠点が排除され、局部的過熱部の温度
を精度よく早期に判定できる合成油入り電気機器の劣化
度判定方法を提供することができる。
の合成油試料を採取して生成低分子量成分を簡単かつ短
時間で定量分析できるので、蒸発量を測定する従来の劣
化度判定方法で問題となった蒸発減量の測定時間を短縮
し、秤量作業を排除できるとともに、採取する油量が極
めて微量で済むので、合成油使用量の少ない機器におい
ても合成油を補充することなく診断を定期的に行うこと
ができる。
をあらかじめ用意しておけば、判定温度および累積過熱
時間と照合することにより、局部的異常現象の発生部位
におてる主要構成材料の劣化度および残存寿命を判定で
きる合成油入り電気機器の劣化度判定方法を提供するこ
とができるので、局部的異常現象を早期に検知してこれ
に起因する絶縁事故を未然に防止できるとともに、機器
の改修や更新などを計画的に行える予防保全効果が得ら
れる。
化した場合における低分子化合物濃度の経時変化を示す
特性線図
劣化度判定方法における温度判定カ−ブの一例を示す特
性線図
機器の劣化度判定方法における劣化度判定カ−ブを示す
特性線図
器の劣化度判定方法における劣化度判定カ−ブを示す特
性線図
の関係を示す特性線図
量と生成低分子量成分の濃度との関係を示す特性線図
Claims (8)
- 【請求項1】合成油入り電気機器から合成油試料を採取
し、分析機器により前記合成油試料中の所定の低分子量
成分を定量分析し、得られた分析結果から特定低分子量
成分に対する各低分子量成分の濃度比率を求め、この濃
度比率および累積過熱時間をあらかじめ同種の合成油に
ついて求めた判定カ−ブと照合し、前記電気機器内部に
おける発熱部位の温度を判定することを特徴とする合成
油入り電気機器の劣化度判定方法。 - 【請求項2】判定カ−ブが、合成油入り電気機器内の合
成油と同種の合成油の加熱温度と加熱時間を変えて強制
劣化させた劣化油について得られた低分子量成分の濃度
比率デ−タに基づいて作成されたものであることを特徴
とする請求項1記載の合成油入り電気機器の劣化度判定
方法。 - 【請求項3】合成油試料がシリコーン油である場合、所
定の低分子量成分が、ヘキサメチルシクロトリシロキサ
ン(D 3 )、オクタメチルシクロテトラシロキサン
(D 4 )、デカメチルシクロペンタシロキサン(D 5 )、
およびドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D 6 )の
内少なくとも2つ以上を含むことを特徴とする請求項1
または請求項2記載の合成油入り電気機器の劣化度判定
方法。 - 【請求項4】ヘキサメチルシクロトリシロキサン
(D 3 )を特定低分子量成分とし、その濃度を基準とし
て他の低分子量成分との濃度比率を求めることを特徴と
する請求項3記載の合成油入り電気機器の劣化度判定方
法。 - 【請求項5】合成油入り電気機器から合成油試料を定期
的に採取し、分析機器により前記各合成油試料中の所定
の低分子量成分を定量分析して濃度比率を求め、得られ
た濃度比率が急増する時点を判別して起点とし、この時
点からの経過時間を累積過熱時間とすることを特徴とす
る請求項1記載の合成油入り電気機器の劣化度判定方
法。 - 【請求項6】合成油入り電気機器から合成油試料を採取
し、分析機器により前記合成油試料中の所定の低分子量
成分を定量分析し、得られた分析結果から特定低分子量
成分に対する各低分子量成分の濃度比率を求め、この濃
度比率および累積過熱時間をあらかじめ同種の合成油に
ついて求めた判定カ−ブと照合し、前記電気機器内部に
おける発熱部位の温度を判定するとともに、得られた判
定温度および累積加熱時間を前記合成油入り電気機器内
部の特定構成材料についてあらかじめ求めた熱劣化判定
カ−ブと照合して前記合成油入り電気機器の劣化度を判
定することを特徴とする合成油入り電気機器の劣化度判
定方法。 - 【請求項7】熱劣化判定カ−ブが、合成油入り電気機器
内の有機絶縁材料と同種の有機絶縁材料の加熱温度と加
熱時間を変えて強制劣化させた劣化試料について所定の
特性低下率デ−タをアレニウスプロットして得られた寿
命曲線であり、この寿命曲線に判定温度を照合して得ら
れる寿命時間と累積加熱時間との差を残存寿命とするこ
とを特徴とする請求項6記載の合成油入り電気機器の劣
化度判定方法。 - 【請求項8】熱劣化判定カ−ブが、合成油入り電気機器
内の有機絶縁材料と同種の有機絶縁材料の加熱温度を判
定温度として強制劣化させた劣化試料について得られた
特性低下曲線であり、この特性低下曲線と累積加熱時間
とを照合して得られる特性値とその特性の初期値との比
を前記有機絶縁材料の劣化度とすることを特徴とする請
求項6記載の合成油入り電気機器の劣化度判定方法。
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JP4048949A JP3018718B2 (ja) | 1992-03-06 | 1992-03-06 | 合成油入り電気機器の劣化度判定方法 |
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JPH05249100A JPH05249100A (ja) | 1993-09-28 |
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- 1992-03-06 JP JP4048949A patent/JP3018718B2/ja not_active Expired - Lifetime
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EP3467459A4 (en) * | 2016-06-07 | 2019-06-19 | Mitsubishi Electric Corporation | TEMPERATURE ESTIMATION METHOD |
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JPH05249100A (ja) | 1993-09-28 |
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