JP3016398B2 - 喘息治療剤 - Google Patents

喘息治療剤

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JP3016398B2
JP3016398B2 JP3508968A JP50896891A JP3016398B2 JP 3016398 B2 JP3016398 B2 JP 3016398B2 JP 3508968 A JP3508968 A JP 3508968A JP 50896891 A JP50896891 A JP 50896891A JP 3016398 B2 JP3016398 B2 JP 3016398B2
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一喜 倉島
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三菱東京製薬株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、肺表面活性物質(以下PSFという)を有効
成分とする喘息治療剤に関する。
背景技術 気管支喘息は非常に複雑な症候群であり、原因が多様
で、主たる臨床症状が一定していないと一般に認められ
ている。
ところで、PSFは、現在、死亡率の高い呼吸窮迫症候
群の治療剤として格別の評価を受けている。PSFの主な
機能は気−液界面の表面張力の機能(即ち、単位面積当
りの表面自由エネルギー)を低下させることにより、肺
胞単位を安定化することにある。PSFは肺胞だけでなく
気道にも存在し気管支を安定化していることから、肺気
量に伴った径の変化から気管支を保護している。また、
PSFは、呼吸運動の減少及び肺浮腫の発症から肺を保護
する液体浸出のコントロールを含めて、肺機能に対して
重要な役割を果たしている。事実、肺胞表面張力を人為
的に高めることにより誘発させた浮腫に対して、外因性
PSFを投与すると未熟子羊の肺胞の蛋白透過性を減少さ
せることができる。喘息発作によって粘液分泌が増大
し、粘膜繊毛クリアランスが損なわれる。粘液分泌と蛋
白性液体の浸出が増加すると、細気道及び肺胞内でPSF
の活性を抑制することがある。表面張力が増し、かつ液
体の浸出が増すと、肺胞に最も近い気道で呼気中に浸出
した液体により閉塞を引き起こす。喘息発作において、
表面活性が末梢気道と関係があるならば、PSFの投与
は、喘息発作に何らかの治療効果があるのだろうと考え
られる。しかしながら、実際には気管支喘息おけるPSF
の役割については、未だ知られていない。
本発明者は、喘息治療剤として有用な薬剤を鋭意研究
してきたところ、気管支喘息モデルである抗原誘発気管
支収縮モルモットにおいて、また実際に喘息患者に対し
PSFが顕著な治療効果を有することを知り、本発明に到
達した。
発明の開示 本発明によれば、PSFを有効成分とする喘息治療剤が
提供される。
本発明喘息治療剤に使用するPSFは、全体としてリン
脂質を40重量%以上含有し、その主要成分がホスファチ
ジルコリン又はコリンホスホグリセリドである種々の公
知の物質が使用できる。具体的には、哺乳動物の肺臓
組織に存在するリン脂質、中性脂質、総コレステロー
ル、炭水化物及び蛋白質を含有し、かつ乾燥した最終製
品の総重量に対するこれら各成分の重量の百分率が、リ
ン脂質は75.0〜95.5%、中性脂質は1.8〜14.0%、総コ
レステロールは3.0%以下、炭水化物は0.1〜1.5%およ
びタンパク質は5.0%以下である表面活性物質(特公昭6
1−9925号公報)、主としてジパルミトイルホスファ
チジルコリン及び脂肪アルコールからなる肺表面活性薬
組成物(特開昭57−99524号公報)、哺乳動物の肺臓
組織に存在するリン脂質、中性脂質、総コレステロー
ル、遊離脂肪酸、炭水化物及び蛋白質を含有する表面活
性物質であって、当該物質の乾燥総重量に対する各成分
の重量百分率が、リン脂質は68.6〜90.7%、中性脂質は
0.3〜13.0%、総コレステロールは0.0〜8.0%、遊離脂
肪酸は、1.0〜27.7%、炭水化物は0.1〜2.0%及び蛋白
質は0.0〜3.5%である表面活性物質(以下サーファクタ
ントTAという;特公昭61−9924号公報)、リン脂質ホ
スファチジルコリンと不飽和脂肪酸またはそのエステル
を主成分とし、該ホスファチジルコリンが全体の55〜80
重量%を占める合成肺表面活性物質(特開昭58−135813
号公報)、全体の80重量%以上がリン脂質からなり、
実質的に蛋白質を含まない肺表面活性物質(特開昭58−
164513号公報)、哺乳動物の肺臓から抽出されたリン
脂質、中性脂質、コレステロール及び炭水化物を含有
し、かつ乾燥後の組成がリン脂質70〜95重量%、中性脂
質1〜10重量%、総コレステロール3.0重量%以下及び
炭水化物0.3重量%以下であって、蛋白質を実質的に含
まない肺表面活性物質(特開昭58−183620号公報)、
リン脂質ホスファチジルコリンとカルジオリピンを主成
分とし、該ホスファチジルコリンが全体の55〜80重量%
を占める合成肺表面活性物質(特公平1−29171号公
報)、ジパルミトイルホスファチジルコリン40〜45重
量%、ジパルミトイルホスファチジルグリセリン5〜10
重量%及び糖50重量%の含量を有する肺用界面活性剤
(特公平1−13690号公報)、リン脂質であるホスフ
ァチジルコリンとカルジオリピン及び/又はホスファチ
ジルグリセロールが全体の80〜95重量%、中性脂質が全
体の5〜20重量%、かつ脂肪酸が全体の0〜10重量%を
占めるところの合成肺表面活性物質(以下サーファクタ
ントCLという;特開昭59−95219号公報、日本界面医学
会雑誌14巻1号59頁1983年)、コリンホスホグリセリ
ド、酸性リン脂質、脂肪酸類及び哺乳動物の肺臓由来の
リポ蛋白質を主に含有し、総重量に対するこれらの含量
が、コリンホスグリセリドは50.6〜85.0%(W/W)、酸
性リン脂質は4.5〜37.6%(W/W)、脂肪酸類は4.6〜24.
6%(W/W)、リポ蛋白質は0.1〜10.0%(W/W)であるサ
ーファクタント(以下合成サーファクタントX1という;
特開昭59−164724号公報)、飽和の直鎖脂肪酸残基を
2個有するホスファチジルコリンが全体の55〜80重量
%、飽和の直鎖脂肪酸残基を2個有するホスファチジル
グリセロールが全体の10〜35重量%、中性脂質が全体の
5〜20重量%含まれるところの合成肺表面活性物質(特
開昭59−181216号公報)、リン脂質含量40〜70%、タ
ンパク量含量1.5%未満、コレステロール含量10〜40
%、中性脂質含量5〜30%である作用物質混合物(特開
昭60−237023号公報)、コリンホスホグリセリド、酸
性リン脂質及び脂肪酸類を主に含有し、総重量に対する
これらの含量がコリンホスホグリセリドは53.9〜87.8%
(W/W)、酸性リン脂質は4.8〜38.2%(W/W)、脂肪酸
類は7.0〜26.2%(W/W)である合成サーファクタント
(以下合成サーファクタントX2という;特公平2−8768
号公報)、ブタの肺胞洗浄液から抽出した脂質に塩化
カルシウムを添加した物質(以下サーファクタントCKと
いう;日本界面医学会雑誌12巻1号1頁1981年、同14巻
2号212頁1983年)、ジパルミトイルホスファチジル
コリン、ジステアロイルホスファチジルコリン及び大豆
レシチンの三成分系混合物を含有する合成肺表面活性物
質(特公昭64−9292号公報)、極性脂質画分と蛋白質
画分とからなる動物源の肺動脈界面活性剤において、該
極性脂質画分を少なくとも98.5重量%の割合で存在させ
ると共に、主に少なくとも95%の割合のリン脂質混合物
で構成した肺動脈界面活性剤(特開昭64−63526号公
報)、特表昭62−501122号、特表昭62−501792号、特
表昭63−503222号、特表平1−501282号、特開平2−42
4号公報、特開平2−6405号公報、特開平2−53798号特
開平2−279628号、特表平2−502917号、特開平3−44
332号、特開平3−90033号公報記載の肺表面活性物質蛋
白質若しくはその他遺伝子組替えにより製造した肺表面
活性物質蛋白質を含有した合成肺表面活性物質又は牛
肺から得られ、リン脂質、コレステロール、疎水性表面
活性蛋白質、遊離脂肪酸、トリグリセリド及びカルシウ
ムからなるアルビオファクト(Alveofact;商品名、Eur
J pediatr(1990)149:280−283;LIPIDS及びVol.18,No.
8(1983)522−529参照)、インファサーフ(Infasurf;
商品名)、キューロサーフ(Curosurf;商品名)、ヒト
羊水から得られるヒューマンサーフ(Humansurf;商品
名)などの天然PSF又はその調整品、サーファクタン
トCK,ジパルミトイルホスファチジルコリン、ヘキサデ
カノール、チロキサポール(Tyloxapol:formaldehyde p
olymer with oxirane and 4−(1,1,3,3−tetramethylb
utyl)phenol)及び塩化ナトリウムからなるエキソサー
フ(Exosurf;商品名)、ジパルミトイルホスファチジル
コリン7部、ホスファジルグリセロール3部からなるア
レック(ALEC;商品名)、ドライサーファクタント(Dry
Surfactant)若しくはリポゾーマルフォーム(Liposom
alform)などの合成PSFなどが挙げられる。
なお、PSFの分散濃度としては、0.1〜100mg/ml、好ま
しくは1〜50mg/ml、更に好ましくは2〜40mg/mlが適当
である。
図面の簡単な説明 図1は、モルモットのボディ・プレシスモグラフ(bo
dy plethysmograph)のために用いられた装置の略図で
ある。
図2はCdynおよびRLの計算を示す図である。
図3は、サーファクタントTAに関する、3群の実験動
物における抗原感作の後の気道開口時圧力(Pao)のベ
ースラインからのパーセント変化を示す図である。
図4は、サーファクタントTAに関する、肺の動的コン
プライアンス(Cdyn)のベースラインからのパーセント
変化を示す図である。
図5は、サーファクタントTAに関する、肺抵抗(RL)
のベースラインからのパーセント変化を示す図である。
図6は、ヒスタミン誘発気管支収縮に対するサーファ
クタントTAの90秒間吸入の影響を示す図である。
図7は、アレックに関する、3群の実験動物における
抗原感作の後の気道開口時圧力(Pao)のベースライン
からのパーセント変化を示す図である。
図8は、アレックに関する、肺の動的コンプライアン
ス(Cdyn)のベースラインからのパーセント変化を示す
図である。
図9は、アレックに関する、肺抵抗(RL)のベースラ
インからのパーセント変化を示す図である。
図10は、エキソサーフに関する、3群の実験動物にお
ける抗原感作の後の気道開口時圧力(Pao)のベースラ
インからのパーセント変化を示す図である。
図11は、エキソサーフに関する、肺の動物コンプライ
アンス(Cdyn)のベースラインからのパーセント変化を
示す図である。
図12は、エキソサーフに関する、肺抵抗(RL)のベー
スラインからのパーセント変化を示す図である。
図13は、アルビオファクトに関する、3群の実験動物
における抗原感作の後の気道開口時圧力(Pao)のベー
スラインからのパーセント変化を示す図である。
図14は、アルビオファクトに関する、肺の動的コンプ
ライアンス(Cdyn)のベースラインからのパーセント変
化を示す図である。
図15は、アルビオファクトに関する、肺抵抗(RL)の
ベースラインからのパーセント変化を示す図である。
図16は、サーファクタントCKに関する、3群の実験動
物における抗原感作の後の気道開口時圧力(Pao)のベ
ースラインからのパーセント変化を示す図である。
図17は、サーファクタントCKに関する、肺の動的コン
プライアンス(Cdyn)のベースラインからのパーセント
変化を示す図である。
図18は、サーファクタントCKに関する、肺抵抗(RL)
のベースラインからのパーセント変化を示す図である。
図19は、ヒューマンサーフに関する、3群の実験動物
における抗原感作の後の気道開口時圧力(Pao)のベー
スラインからのパーセント変化を示す図である。
図20は、ヒューマンサーフに関する、肺の動的コンプ
ライアンス(Cydn)のベースラインからのパーセント変
化を示す図である。
図21は、ヒューマンサーフに関する、肺抵抗(RL)の
ベースラインからのパーセント変化を示す図である。
〔気管支実験モデルに対する作用〕
喘息モデルの準備 高力価抗−卵白アルブミン抗血清の調製 モルモットの同種細胞親和性抗血清を、サンタイブズ
ら(Santives T,Roska AK,Henly G,Moore VL,Fink JN,A
bramoff P:Immunologically induced lung disease in
guinea pig;J Allergy Clin Immunol 1976;57:582−59
4)の方法の変法により調製した。用量500μgの卵白ア
ルブミン(OA)をフロイントの完全アジュヴァント中に
乳化させ、モルモット毎に5カ所の異なる部位、即ち、
両側腋窩、両側鼠径部及び頚部、に皮内投与した。同じ
方法で、2週間後に追加投与を行った。追加投与から2
週間後に血清を採取しプールした後、使用時まで凍結保
存した。
実験喘息の誘発 上述の抗血清1mg/kgを腹腔内投与して、モルモットに
受動感作を起こした。受動感作の12−24時間後、モルモ
ットをペントバルビタールナトリウム75mg/kgの腹腔内
注入で麻酔した。モルモットを仰臥させ、気管にポリエ
レンチューブのカニューレを挿入し(外径2.5mm、内径
2.1mm)、一方の頚静脈に薬物投与のためのカニューレ
を挿入した。1回換気量10ml/kg、呼吸率60回/分に調
節した。小動物用換気装置(1680型、Harvard,Apparatu
s,South Natik,NA)で人工換気を行なった。この装置の
デッドスペースは、0.5mであった。上記の全処置を完了
した後、ヒスタミン作用を完全に遮断するためにジフェ
ンヒドラミン塩酸塩60mg/kgを腹腔内投与した後、換気
装置の出口をクランピングし、2回の呼吸について、1
回換気量の2倍で過剰膨張させた。10分後、人工換気を
中断させずに、生理的食塩水(1mg/ml)に溶解した噴霧
型卵白アルブミン(抗原)で感作した。卵白アルブミン
吸入剤を、実験動物用に開発した超音波ネブライザー付
器具で、30秒間放出させた。
肺表面活性剤 サーファクタントTA(サーファクテン、東京田辺製薬
株式会社、東京、1バイアル当り、凍結乾燥肺表面活性
剤脂質120mg)を、加温(37℃)生理的食塩水に懸濁
し、脂質濃度を10及び20mg/mlとした。
使用した他の薬物は、次の通りである:卵白アルブミ
ン(Sigma,St.Louis,MO)、フロイントの完全アジュバ
ント(Difco Laboratories,Detroit,MI)、ジフェンヒ
ドラミン塩酸塩(Sigma,ST.Louis,MO)、ペントバルビ
タールナトリウム溶液(Abbott Laboratories,North Ch
icago,IL)ヒスタミン2塩酸塩(和光純薬、大阪、日
本)。
測定 図1に示すように、気道開口時圧力(Pao)、気管チ
ューブの外側圧力を、示差圧力変換器(TP−603型、日
本光電、東京、日本)を使って測定した。さらに、食道
圧(Peso)を、気道に挿入し、低圧変換器(MPU−0.1A
日本光電)に接続した水充填ポリエチレンカテーテル
(外径:1.4mm、内径:1.0mm)によって測定した。その
後、モルモットを小さな気密プラスチックボックス内に
入れ、空気の速度()をリリー型(Lilly−type)呼
吸気流計(TV241T型、日本光電)と、ボックスの小窓に
配した低圧変換器(TP−602T、日本光電)で測定した。
流速をコンピュータで積分し、換気量(V)を測定し
た。これらのパラメータ、、V、Pao、Pesoを連続的
にマルチチャンネルレコーダ(P−0770c、日本光電)
に記録した。アムダーとミード(Amdur MO,Mead J:Mech
anics of respiration in unanesthetized guinea pig
s;Am J Physiol 1958;192:364−368)が述べた方法によ
って、肺の動的コンプライアンス(Cdyn)及び肺抵抗
(RL)は、図2に示す数字について計算した。
Cdynは、体重(kg)で除し、また、使用したRLは、体
重を掛けた数値であった。末梢気道の変化と主気管支の
変化を比較するため、ベースライン値に対するCdyn及び
RLの逆数(1/RL)を計算した。
Paoは、連続測定し、CdynとRLは、抗原吸入のすぐ前
(ベースライン)、ピーク、抗原感作18、23分後に測定
した。これらの各時間の数値の変化は、ベースライン値
のパーセント変化として表した。即ち、それぞれ、%Pa
o、%Cdyn、%1/RLである。回復率は、18分の数値に対
する23分の数値のパーセント変化として決定した。
プロトコール 以下のプロトコールに従って、合計27匹のモルモット
を検討した。ジフェンヒドラミン塩酸塩の投与後、呼吸
機能を測定した(ベースライン)。次に、モルモットを
噴霧型卵白アルブミンで感作した。Paoが最大値に達す
る約14分後、2回目の呼吸機能測定を行なった。気管支
収縮が持続期に入った(Paoの減少速度が遅くなった)1
8分目に、3回目の呼吸機能測定を行なった(PSF投与
前)。20分後、サーファクタントTAの10mg/ml(PSF 10m
g/ml投与群、n=9)、20mg/ml(PSF投与群、n=
9)、又は、生理的食塩水(対照群、n=9)のいずれ
かの吸入を90分間実施した。吸入剤は、上述の超音波ネ
ブライザー装置で発生させた。ネブライザーが生じる生
理的食塩水、PSF10mg/ml、PSF20mg/mlの粒子の空気力学
的直径の中央値は、それぞれ、3.59±1.96μm(平均値
±標準偏差)、3.64±1.87μm及び3.63±1.98μmであ
った。4回目の呼吸機能の測定は、卵白アルブミン感作
の23分後に実施した(PSFもしくは食塩水吸入終了後1.5
分後)。
ヒスタミン誘発気管支収縮 別のモルモットを、上述の通りに、麻酔し、人工換気
した後、換気を中断させずに5分間隔で、ヒスタミンを
増量しながら静脈内投与した。5匹のモルモットでは、
サーファクタントTA 20mg/mlの吸入剤を、ヒスタミン誘
発の10分前に90秒間吸入させた。他の5匹には、対照と
して生理的食塩水の吸収剤を同じ方法で投与した。
統計解析 データは、平均値±標準誤差で示す。統計的な差は、
マン−ホイットニー(Mann−Whitney)のU検定で決定
し、P<0.05を有意と見なした。
結果 喘息モデルにおけるPSF吸入の効果 全実験動物のPao、Cdyn、RLのベースライン値は、そ
れぞれ、10.5±0.27cmH2O、133±0.07ml/cmH2O・kg、6.
91±0.27cmH2O・秒・kg10-2/mlであった。群間で、これ
らの数値に有意差は認められなかった。
図3に示すように、Pao増加%は、対照群(n=9)
で、吸入後13分目に、267±39%の最大値に対して、こ
れらは、その後18分目に245±32%まで、23分目に222±
25%まで減少した。PSF 10mg/ml投与群では、Pao増加%
は、15分目に269±23%の最大値に達し、その後18分目
に253±23%、23分目に210±22%まで減少した。PSF 20
mg/ml投与群では、Paoの増加%は、14分目に272±32%
の最大値に達し、その後、18分目に252±29%まで、23
分目に196±31%まで減少した。Paoの回復率(18分目か
ら23分目への数値の変化%)は、対照群が5.9±2.4%、
PSF 10mg/ml投与群が20.7±2.2%(p<0.01)、PSF 20
mg/ml投与群が23.4±4.7%(p<0.01)であった。
本実験の%Cdynの変化を図4に示す。全モルモットに
おける%Cdynの最小値は、10.3±0.3%で、抗原感作後1
4.3±0.5分目に見られた。3群間で、最小値と発現時間
に有意差がなかった。一方、Cdynの回復率は、対照群が
14.6±1.9%、PSF 10mg/ml投与群が43.5±10.3%(p<
0.02)、PSF 20mg/ml投与群が52.0±9.5%(p<0.01)
であった。従って、PSF投与群では、Cdynが、より速や
かに回復した。
%1/RLの変化を図5に示す。全実験動物の%1/RL最小
値は、13.7±0.9%であった。これらの群間で、最小値
に有意然は認められなかった。1/RLの回復率は対照群が
34.5±15.7%、PSF 10mg/ml投与群が39.5±5.5%(N
S)、PSF 20mg/ml投与群が102.4±15.7%であった(p
<0.01)。従って、1/RL変化に関しては、対照群とPSF
10mg/ml投与群の間には有意差は見られなかったが、回
復率は、PSF 20mg/ml投与群が他の群よりも有意に高か
った。
ヒスタミン誘発気管支収縮に対するPSF吸入の影響 図6はヒスタミン誘発気管支収縮に対するPSF 20mg/m
lの90秒間吸入の影響を示す。この実験では、PSFの直接
的な気管支拡張作用は認められなかった。
考察 この実験に使用したモルモットは、明確な特徴のある
気管支喘息用実験モデルの1種である。モルモットを同
種細胞親和性抗血清で受動感作し、内在ヒスタミンの介
在する気管支収縮を完全に遮断するため、高用量ジフェ
ンヒドラミン塩酸塩で前処理した。ヒスタミンの作用を
遮断することによって、用量−反応と再現性が得られ、
エアゾール化した抗原で感作した時、過敏性反応が起こ
る。発明者の以前の研究では、この種のアレルギー性気
管支収縮は、大部分が、アナフィラキシーの遅反応物質
(SRS−A)の選択的阻害剤であるFPL55712の持続注入
や、ロイコトリエンレセプター拮抗剤のAS−35の吸入に
よる前処理によって抑制された。これらのことから、本
実験に見られる卵白アルブミン吸入後の気管支収縮は、
主としてSRS−Aが介在するアレルギー性のものであろ
う。
PSFのエアゾール化の問題点は、肺の中に限られた量
の液体しか沈着できないことである。ウサギ(2.5mg/g
肺、又は、10mg/kg体重)の肺洗浄で回収した総リン脂
質に関するオヤーザンとクレメンツ(Oyarzun MJ,Cleme
nts JA:Control of lung surfactant by ventilation,a
drenergic mediators,and prostaglandins in the rabb
it;Am Rev Respir Dis 1978;117:879−91)のデータに
基づいて、正常な400gのモルモットの肺に存在するPSF
の量が4mgであると推定した。本実験で吸入させたエア
ゾール型サーファクタントTAの合計量は、およそ1−2m
gで、肺及び肺気管支へのサーファクタントTAの沈着量
は、約46%であるから、肺及び肺気管支への沈着量は、
肺に正常に存在する量のおよそ1/8−1/4である。呼吸器
内に吸入したエアゾール粒子の沈着は、慣性の法則、ブ
ラウン拡散、重力沈降のメカニズムに起因し、その粒子
径から気管支および肺胞への沈着量を推定できる。閉塞
性疾患の場合には、衝突による沈着量が増加する。PSF
溶液の平均粒子径は、約3.6μmで、PSF、生理的食塩
水、及びアルブミン溶液の間で、粒子径に差がなかった
ので、これらの溶液の沈着部位は等しくなり、気管支収
縮後に、主として、上部気道に沈着する、と推定でき
る。
本実験では、エアゾール型外因性PSF(サーファクタ
ントTA)の投与によって、内因性SRS−A介在の気管支
収縮に伴う異常動的コンプライアンス(Cdyn)と肺抵抗
(RL)が回復した。低用量では、PSFは、Cdynの回復に
対してのみ、有効であったが、高用量では、CdynとRLの
両方の回復に有効であった。CdynとRLは、それぞれ、下
部気道と上部気道を応答させるパラメータであるので、
吸入したPSFが、上部気道よりも末梢気道に対して有効
なことが結果から示唆される。一方、PSFの前投与は、
注入ヒスタミン誘発の気管支収縮に影響を与えておら
ず、これは、PSFが直接的な気管支拡張作用も、非特異
的気管支収縮能も持たないことを表している。
一方、表面張力が肺胞に最も近い気道で高いと、肺胞
の液体が呼気開始時に、気道に移動する、と考えること
もできる。液体は、空気の通路を狭め、さらに多くの液
体を気道に移動させ、肺胞の虚脱が発生する。PSFを投
与することにより、この虚脱を防止することができる。
上述の結果から、アレルギー性気管支収縮に対して外
因性PSF(サーファクタントTA)投与が有効であるとい
うことができる。
サーファクタントTAは、主に、疎水性アポ蛋白からな
る蛋白質を1%含有する。これらの蛋白質は、構造、表
面活性、表面皮膜形成のために重要であることから、PS
Fは蛋白質を含有していることが望ましい。しかしなが
ら、アポ蛋白を持たないエキソサーフのような合成PSF
でも弱いながら活性を有している。
アレック、エキソサーフ、アルビオファクト、サーフ
ァクタントCK及びヒューマンサーフについて、サーファ
クタントTAと同様の方法で試験を行なった結果を図7〜
図21に示す。
〔喘息患者に対する作用〕
呼吸機能試験を、FVC(努力肺活量)、FEV1.0(1秒
間)、MMF(中間呼気流量)、△N2、TLC(全肺気量)、
RV(残気量)、PaO2(動脈血酸素分圧)及びPaCO2(動
脈血二酸化炭素分圧)の項目(臨床検査技術全書、第9
巻、生理機能検査 367−393ページ、医学書院)につい
て行なった。測定装置は、ドライスパイロメータ(FUDA
C−60、福田電子、東京、日本)及び血液ガスシステム2
78(Ciba Corning Diagnostic Co.,Medfield,USA)を使
用した。
FVC、FEV1.0、MMFは呼気を最大まで行なわせ、できる
だけ速やかに放出させて得る最大呼気流量により得た。
△N2を示す肺胞プラトー(alveolar plateau)の傾き
は、一回肺窒素洗出し法により窒素濃度曲線から得られ
る。TLCはヘリウム希釈閉鎖回路法により得た。RV/TLC
値は残気率を表す。試験は90分以内に完結するように
し、検査はPSF投与前とPSF投与20分後に行なった。
喘息発作を持つアレルギー性喘息患者11人をPSF投与
群6人と対照群5人とに分け、PSF投与群には、10mgの
サーファクタントTAを懸濁した1ml生理的食塩水をジェ
ットネブライザー(タイプ95−Bネブライザーシステ
ム、日立、東京)で100%O2を用い吸入した。ネブライ
ザーは、3.5%kgf/cm2に圧縮された空気51 l/minジェッ
トフローで操作した。
測定結果を表1及び表2に示す。
呼吸機能検査及び血液ガス検査において、PSF投与の
効果を次式のパーセンテージとして表し、その結果を表
3に示す。
対照群ではFVC、FEV1.0、MMF、PaO2の値はほとんど変
化しなかったが、△N2値は有意に増加した。PSF投与群
では全患者のFVC、FEV1.0、MMF、PaO2及び△N2値が著明
に改善された。
また、TLC及びRVの平均値は、対照群では有意の変化
はなかったが、PSF群では吸入後有意に減少した。RV/TL
Cもまた、PSF群では減少した。
このことは、PSFが細気管支を安定化し、末梢肺法で
の最大換気を引き起こし、空気とらえこみ(air trappi
ng)を防御するという作用により、収縮した細気管支に
対し気管支拡張作用を有し、喘息症状を抑えるというこ
とを意味する。
血液ガス分析試験中PaCO2値は、両者で有意の相違が
なかった。また、PSF群のPaO2は処置後有意に増加した
が、対照群では変化がなかった。これは、PSFが肺胞で
の酸素の取り込みを改善していることを示す。
PSF群の全患者は、吸入後発作及び喘息の症状が軽減
した。一方、対照群とされた5人の患者は発作及び喘息
鳴が変わらないか悪化した。
以上のように、PSFを有効成分とする薬剤は有用な喘
息治療剤であるということができる。
〔急性毒性試験〕
5週令の雄性ICRマウス及び5週令の雄性ウィスター
系ラットに、サーファクタントTAを経口及び腹腔内の2
形態で投与しLD50値を求めた。LD50値はマウスでは経口
で3g/kg以上、腹腔内で2g/kg以上であった。同じくラッ
トでは経口で4g/kg以上、腹腔内で2.5g/kg以上であっ
た。
〔亜急性毒性試験〕
成熟したウィスター系ラットに、1月間サーファクタ
ントTAを500mg/kg腹腔内投与した。1月後のラットの体
重増減並びに肺臓及び他の主要臓器における肉眼的観察
及び組織学的観察には何ら異常が認められなかった。ま
た、異種蛋白に起因する生体異常もなかった。
〔用法・用量〕
本発明により提供される喘息治療剤は、成人に対して
は1mg〜50mgのPSFを1回投与量として含有する。用法
は、上述の用量を水又は生理的食塩水のような電解質溶
液に懸濁し、0.1〜100mg/mlの濃度に調製し、喘息の発
現前後気道内に注入又は噴霧させる。投与回数は1〜10
回が適当である。患者の症状又は併用療法に応じて、上
述の用量、用法及び回数を適宜変更してもよい。
本発明喘息治療剤は必要に応じて安定剤、保存剤、等
張剤、緩衝剤若しくは懸濁化剤等の医薬品添加物又は殺
菌剤を含有してもよい。剤型は液剤又は用時に懸濁して
用いる粉末剤が適当であり、バイアル瓶又はアンプル瓶
等の密封容器内に充填され、無菌製剤として保存され
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−160721(JP,A) 特開 昭57−95920(JP,A) 特開 昭58−164513(JP,A) 特開 昭58−183620(JP,A) 特開 昭58−183621(JP,A) 特開 昭60−34905(JP,A) 特開 昭61−65821(JP,A) 特開 昭57−99524(JP,A) 特開 昭59−76016(JP,A) 特開 昭59−181219(JP,A) 特開 昭60−237023(JP,A) 特開 昭64−63526(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 31/66 - 31/685 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】肺表面活性物質(PSF)を有効成分とする
    喘息治療剤。
  2. 【請求項2】肺表面活性物質(PSF)が全体としてリン
    脂質を40重量%以上含有する肺表面活性物質(PSF)で
    ある請求項1の喘息治療剤。
  3. 【請求項3】リン脂質の主要成分がホスファチジルコリ
    ン又はコリンホスホグリセリドである請求項2の喘息治
    療剤。
  4. 【請求項4】肺表面活性物質(PSF)がサーファクタン
    トTA、サーファクタントCL、合成サーファクタントX1、
    合成サーファクタントX2、サーファクタントCK、アルビ
    オファクト、アレック又は10ml中に108mgのジパルミト
    イルフォスファチジルコリン(dipalmitoylphosphatidy
    lcholine)、12mgのセチルアルコール(cetyl alcoho
    l)、8mgのチロキサポール(tyloxapol)及び47mgの塩
    化ナトリウムが含まれている合成肺表面活性物質のいず
    れかである請求項1の喘息治療剤。
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