JP3015092U - 定量採取用具付検体容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】臨床検査、医療研究における検体の、採取に使
用する検体採取用具として、衛生的であり、操作が簡便
で、かつ正確な検体量を採取できる、定量採取用具付検
体容器を提供する。 【構成】検体採取棒とこれを摺動可能に固定している容
器細管部、これを覆い検体採取棒を採取検体保留部であ
る容器本体内に押し込むための突起を有する蓋体、検体
採取後に棄却する筒体、要すれば検体を懸濁溶解するた
めの液体が充填可能な管状容器本体から成り、所望によ
り容器本体には検体液滴を取り出し口を設けることがで
きる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、臨床検査、医療研究の分野における検体の採取ないし保存を、簡便 かつ正確に行う、検体採取用具を装備した検体容器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

臨床検査に用いられる検査用検体採取器具としては、へら、マッチ棒、楊枝、 綿棒、その他種々のプラスチック成形品があり、それらにより採取された検体を 、空容器に移し入れて検査機関に搬送したり、懸濁ないし溶解するため別途用意 された、液体の入った容器に入れて、検体の懸濁液ないし溶液を調製して検査に 供している。 しかしながら、正確な検査を行うためには、検体の採取量や被検液の濃度を、 検査に適した所定の範囲に調整する必要があるが、いまだ実用性のある適当な製 品は実現されていない。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来、微量ないし少量の検体を、一定量採取するための考案としては、成形さ れた器具の一部に、溝あるいは凹凸を作り、その部分に検体を満たすことにより 行うものが多く、正確を期すためには、余分に付着した検体を、容器の縁や紙等 でしごく操作により除去している。 この場合、肝心の必要とする検体まで除去されることも多く、さらに容器の外 側に検体が付着すると、甚だ不快かつ不衛生である。 また、検体を液体に溶解ないし懸濁してから行う検査では、溶解液の入った容 器に、検体採取器具を蓋体に付随させて装着しておき、検体採取時に容器より蓋 体と共に抜き取り、使用する形式のものも考案されているが、抜き取った際、肝 心の溶解液が漏出して、検体が所定の濃度に希釈されなかったり、あるいは、最 初から検体採取器具が、液体と接触して濡れているため、検体が十分採取されな かったり、採取器具が液体の入った容器の所定の位置に固定される構造のため、 採取部に検体が強固に付着した場合は、懸濁あるいは溶解させることが、著しく 困難になることもある。 また、マススクリーニングと呼ばれる多数検体の同時検査においては、扱いに 不慣れな一般人に、自らの検体を処理させる必要があり、特に簡便性や正確性お よび清潔さが要求される。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は、前記の問題点を解消しようとするものである。 本考案においては、蓋体を外して、露出する棒状の検体採取用具の部分を、検 体に差し込み、棒の先端部に設けた採取部に検体を充満させ、ついで再び蓋体を 施すことにより、検体採取棒を容器本体内に押し込み、この際余剰の検体は、容 器内の細端部外壁と蓋体部内壁とで構成される空間内に密閉される。 採取された検体と検体採取棒は、共に容器本体内に放出されるため、溶解ない し懸濁の液体が充填されている場合は、容器を振盪することにより、検体採取棒 は撹拌子の機能をも果たし、溶解ないし懸濁の確実性が高められる。 以上は、一連の操作として容易に行うことができるので、扱いに不慣れな一般 人でも、簡便かつ正確に検体の採取が可能である。

【０００５】

【考案の構成および作用】

検体採取棒を、容器本体の一端に設けた細管部より、摺動可能の状態で突出さ せ、容器内壁からの小突起またはＯリングにより固定して栓体とする。 さらに検体採取棒を覆うように蓋体を施す。この蓋体は、検体採取棒の保護も 兼ねるものである。蓋体と容器蓋体止め部との間には、筒体を被せて提供される が、使用時に蓋体を外した後、この筒体は棄却する。 棄却する筒体は、使用前の蓋体と容器蓋体止め部の間隔を、確保するためもの であるから、他の物品または関連部位の構造変更によって、代用することは差し 支えない。 検体採取棒の先端部には、切り欠き、溝、穴等検体を充満できる部位を設ける 。 容器本体は、細長い形に成型することにより、全体が操作し易い検体採取用 具となる。 検体を採取した後、再び蓋体を被せ、容器本体の蓋体止め部まで蓋体を締め込 むことにより、蓋体内側に設けた突起によって、検体採取棒は容器本体内部に放 出される。蓋体内側の突起は、そのまま容器細管部に挿入され栓体となる。 容器本体の他の端部は、別の蓋体、栓あるいは熔着によって密閉されており、 溶解ないし懸濁のための液体が充填されている場合は、その端部を検査に必要な 液滴量を取り出し得るよう細管部を設け、またその内部に濾過機能を付加するこ とも可能である。

【０００６】

【実施例】

以下図面に基づき、本考案の実施例を、更に詳細に説明する。 １は蓋体で、容器細管部３の基部と摺動するべく固定されている。筒体４は使 用前の蓋体の位置を固定し、検体採取棒２の保護と位置保全のために被せてある 。 検体採取棒２は、容器細管部３の先端部内壁１１と、３の内壁段差部１２と 摺動するべく接しているＯリング１０とによって圧接固定されて、容器本体の栓 を兼ねている。 容器本体は、容器細管部３と採取検体保留部５（懸濁、溶解する場合は、液溜 め部になる）の外筒１６からなり、嵌合部１４とＯリング８とによって密接され ている。 外筒１６の他の一端１５は、検体を溶解懸濁する場合には、要すれば 濾過機能を付加するため濾過材６を挿入し（連続発泡あるいはメッシュ状の物体 を留置させ）、さらにその先に、所望量の液滴形成に適した内径に設定した、先 端部１５を設けることができる。この先端部１５は、熔着、または他の蓋体、栓 等によって密封された構造にするのが、好適である。 容器細管部３は、蓋体１と密着すべく容器蓋体止め部７と、ネジあるいは溝と 突起による段差圧着部１３を持つ。

【０００７】 検体を採取するに当たっては、まず蓋体１をはずし、同時に筒体４を棄却する 。 ついで、露出した検体採取棒２を、検体に突き刺すかあるいは絡める等の操 作によって、２の先端部に設けた採取部位に検体を充満させる。 蓋体１を再び元の位置に被せ、容器蓋体止め部７まで締め込む。この動作によ り蓋体１の内側突起９により、検体採取棒２は押し込まれ、採取検体保留部５の 内部へ放出される。同時に余剰の検体は、先端部内壁１１により擦り取られ、蓋 体１と容器細管部３とで構成される間隙、すなわち余剰検体留置部１７に密閉留 置される。 内側突起９は、蓋体１を締め込むことにより、先端部内壁１１と嵌合し、採取 検体保留部５の栓となる。 採取した検体を、懸濁あるいは溶解する場合には、あらかじめ採取検体保留部 ５に、その用に供する液体を充填して置き、蓋体１を締め込む操作の後、本器具 全体を振盪させる。 この時検体採取棒２は、撹拌子として機能し、懸濁あるいは溶解を完逐せしめ るのに有効である。 懸濁溶解液は、先端１５より蓋体あるいは栓を外して、または針、鋏による穴 明けなどにより開ロし、外筒１６を指で押して所要の液量を取り出す。

【０００８】

【考案の効果】

本考案は、前述したとおりの構成を有するものであるが、蓋体を締め込むとい うごく簡単な操作により、検体採取後の本器具を密閉でき、検体採取棒の材質、 棒の検体採取部位の形状を、適宜選択することにより、あらゆる種類の臨床検査 用の検体（血液、糞便、尿、その他の体液、粘膜、細胞）の採取に適用できる。 しかも、採取、留置、排出の行程を一方通行としたため、余分に採取した検体 を、再び暴露することがなく、所要の検体をそのまま、あるいは懸濁ないし溶解 して取り出すことができる。 本考案が対象とする検体は、多くの場合汚物であり、搬送中は十分な密閉度が 要求されるが、本考案の器具全体を細くして嵌合部を小さくし、摺動部にはＯリ ングなどを介して摺動を滑らかにし、かつ密閉度を向上し、検体の漏洩を防止す ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】定量採取用具付検体容器全体の縦断面図であ
る。

【符号の脱明】

１ 蓋体 ２ 検体採取棒 ３ 容器細管部 ４ 筒体 ５ 採取検体保留部 ６ 濾過材 ７ 容器蓋体止め部 ８ Ｏリング ９ 内側突起 １０ Ｏリング １１ 先端部内壁 １２ 内壁段差部 １３ 段差圧着部 １４ 嵌合部 １５ 先端部 １６ 外筒 １７ 余剰検体保留部

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】検体採取棒とこれを摺動可能に固定してい
   る容器細管部、これを覆い検体採取棒を採取検体保留部
   である容器本体内に押し込むための突起を有する蓋体、
   および容器本体を含む構成部分より成る定量採取用具付
   検体容器。
2. 【請求項２】容器本体に、検体液滴の取り出し口を設け
   た、請求項１に記載の定量採取用具付検体容器。