JP3011895B2 - ロック機構付きスライドスイッチ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はロック機構付きスラ
イドスイッチ、特に搭載される機器の小型化に適合しう
るロック機構の構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、ページャ、携帯電話、モーバイル
コンピュータ等の携帯端末は、めざましい発展を遂げて
いる。今日でも機能の充実のみならずより一層の小型化
が図られ、携帯性が追究されている。携帯端末は、通
常、バッグやポケットの中に入れられて持ち運ばれるこ
とになるが、何らかの弾みで電源スイッチ等がオン若し
くはオフされる可能性もあり得るので、電源スイッチ等
にロック機構を設けて誤動作を防止している。

【０００３】図５は、従来の携帯端末のスライド式の電
源スイッチのロック機構部分の要部のみを示した概略的
な底面図である。図５に示した電源スイッチは、スライ
ドさせることによって電源のオン／オフをするスライド
スイッチ１であり、携帯端末の筐体２の側面に設けられ
ている。スライドスイッチ１の操作つまみ１ａは、筐体
２の側面の角孔２ａから突出しており、矢印Ａ方向に操
作される。ロックスイッチ３は、筐体２の底面に設けら
れた角孔２ｂからそのロック操作つまみ３ａが突出して
おり、外部からロックスイッチ３を矢印Ｂ方向にスライ
ドさせることができるよう構成されている。

【０００４】例えば、図５（ａ）が電源オフの状態であ
るとすると、この状態から操作つまみ１ａを操作し、ス
ライドスイッチ１を矢印Ｃ方向にスライドさせて電源を
オンにする。そして、ロック操作つまみ３ａを操作し、
ロックスイッチ３を図５（ｂ）に示した矢印Ｄ方向にス
ライドさせる。これにより、ロックスイッチの係止片３
ｂは、ロックスイッチ３の電源オフ方向へのスライドを
抑止するので、携帯端末の電源スイッチが何らかの弾み
でオフされるという誤動作を防止することができる。

【０００５】また、図６は、電源スイッチの他のロック
機構を示した概略的な分解斜視図である。この電源スイ
ッチのロック機構は、矢印Ｅ方向へのスライドスイッチ
４に設けられた切欠き部５に、携帯端末の筐体の底面に
設けられた角孔６から突出したロックスイッチ７の操作
つまみ７ａを矢印Ｆ方向にスライドさせロックスイッチ
７を挿入することによってかんぬき状に係止する。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】携帯端末の小型化を図
る際、ロック機構自体も小型化され、スライドスイッチ
と係合するロックスイッチの部分も更に小さくされるこ
とは必然的であると考えられる。

【０００７】しかしながら、スライドスイッチとの係合
部分を小さくすると、スライドスイッチを係止するスラ
イドスイッチとの引っかかり部分の面積をも小さくなる
ため、ロックスイッチの係止片がスライドスイッチにう
まくひっかからずに離脱するなどしてロック機構として
の機能が損なわれる可能性が生じてくる。

【０００８】また、引っかかり部分の面積を小さくする
と係合部分にかかる荷重が増大するため、機構自体の破
損がしやすくなってしまう。

【０００９】本発明は以上のような問題を解決するため
になされたものであり、その目的は、より一層小型化さ
れた場合でもロック機能を確実に発揮しうるロック機構
付きスライドスイッチを提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】以上のような目的を達成
するために、第１の発明に係るロック機構付きスライド
スイッチは、筐体に設けられたスイッチ用孔から操作可
能なスイッチ操作部位を有するスライドスイッチ部と、
前記筐体に設けられたロック用孔から操作可能なロック
操作部位を有し、前記スライドスイッチ部の配設方向に
スライド可能に設けられたロックスイッチ部とを有し、
前記スライドスイッチ部及び前記ロックスイッチ部は、
それぞれ対向する係合部位を同一のギザギザ形状とし、
前記ロックスイッチ部を前記スライドスイッチ部の配設
方向へスライドさせ相互のギザギザ形状の係合部位を噛
み合わせることによって前記スライドスイッチ部のスラ
イド動作を抑止するものである。

【００１１】また、前記スライドスイッチ部は、前記筐
体内に別途配設されているスライドスイッチが有する突
出形状のノブを挟持し連動してスライドさせるスライド
連結部を有し、前記スライド連結部は、組立時に前記ノ
ブを内部に導きやすくするためのガイドをノブ入口側に
設けたものである。また、前記ロックスイッチ部をその
摺動端で係止する機構を設けたものである。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて、本発明の
好適な実施の形態について説明する。

【００１３】図１は、本発明に係るロック機構付きスラ
イドスイッチの一実施の形態を示した分解斜視図であ
り、携帯端末内部の要部のみを示している。図２は、ロ
ック機構付きスライドスイッチを組み立て、携帯端末の
筐体内に組み入れたときの側断面図である。本実施の形
態における携帯端末の電源スイッチは、携帯端末の筐体
１１の側面に設けられており、筐体１１の側面には電源
をオン／オフするための操作部位を外部から操作させる
ための角孔１１ａが、また、筐体１１の底面には電源ス
イッチを係止するロックスイッチの操作部位を外部から
操作させるための孔１１ｂがそれぞれ設けられている。
本実施の形態におけるロック機構付きスライドスイッチ
は、電源スイッチつまみ１２とロックスイッチ１３とか
ら構成される。電源スイッチつまみ１２は、角孔１１ａ
から操作可能な操作部位を有するスライドスイッチ部で
あり、電源をオン／オフするための電源スイッチであ
る。ロックスイッチ１３は、孔１１ｂから操作可能な操
作部位を有し、電源スイッチつまみ１２と係合可能に設
けられており、電源スイッチつまみ１２と係合しスライ
ド動作を抑止することによって電源のオン／オフの状態
を保持する。

【００１４】電源スイッチつまみ１２は、その側断面を
Ｌ字形状としており、筐体１１の角孔１１ａと対向した
面に頭部１４が、Ｌ字部内面に一対の電源スイッチ連結
部１５が設けられている。電源スイッチつまみ１２は、
その頭部１４を角孔１１ａから突出した状態で筐体１１
に取り付けられ外部から操作させる操作部位としてい
る。プリント基板１６の上面には、携帯端末の電源スイ
ッチ本体部１７が設けられているが、電源スイッチ連結
部１５は、電源スイッチ本体部１７から突出したノブ１
７ａを挟持した状態で取り付けられる。電源スイッチ連
結部１５の上部すなわちノブ入口側には、逆八の字状の
ガイド１５ａが設けられており、組立時にノブ１７ａを
内部に導き挟持しやすくしている。更に、電源スイッチ
つまみ１２の厚み部分すなわちロックスイッチ１３と係
合する部分である一側面には、波形形状の連続した段溝
が形成され、いわゆるギザギザ部１８を構成している。

【００１５】一方、ロックスイッチ１３は、略板形状を
しており、筐体１１の孔１１ｂと対向する底面には頭部
１９が、一側面には板ばね２０が設けられている。ロッ
クスイッチ１３は、その頭部１９を孔１１ｂから突出し
た状態に筐体１１に取り付けられ外部から操作させる操
作部位としている。図３は、角孔１１ａの方向からのロ
ックスイッチ１３部分の側断面図であるが、孔１１ｂの
幅より頭部１９の先端の幅を広くすることによって操作
性を向上させるとともに筐体１１を逆さまにしても孔１
１ｂから離脱しにくくしている。更に、孔１１ｂの一部
を頭部１９の先端の幅とほぼ同じにすることで組立を容
易にしている。ロックスイッチ１３は、角孔１１ａがあ
る筐体１１の側面と直交する方向に摺動するが、板ばね
２０は、摺動端でストッパ２１と係合してロックスイッ
チ１３を保持するように機能する。更に、ロックスイッ
チ１３の厚み部分すなわち電源スイッチつまみ１２のギ
ザギザ部１８と対向し係合する部分である一側面には、
波形形状の連続した段溝が形成され、いわゆるギザギザ
部２２を構成している。このギザギザ部２２の段溝の深
さや頂上部間の間隔は、ギザギザ部１８と同一である。

【００１６】本実施の形態において特徴的なことは、電
源スイッチ部分である電源スイッチつまみ１２とそのロ
ック機構を司るロックスイッチ１３との係合部分を波形
形状（ギザギザ）とし、その波形形状を噛み合わせるこ
とによって電源スイッチつまみ１２のスライド動作を抑
止するようにしたことである。このように、係合部分を
波形形状とすることでロック機構部分をより小さくして
も電源スイッチつまみ１２とロックスイッチ１３との係
合部分の面積を確保することができるため、電源スイッ
チつまみ１２を確実にロックでき、また、破損しにく
い。

【００１７】図４は、図１に示したロック機構付きスラ
イドスイッチの要部のみを示した平面図であり、以下に
この図を用いて本実施の形態における動作について説明
する。

【００１８】例えば、図４（ａ）が電源オフの状態であ
るとすると、この状態から頭部１４を角孔１１ａの他端
側すなわち矢印Ａ方向に操作し、電源スイッチつまみ１
２を図４（ｂ）に示した位置までスライドさせて電源を
オンにする。このとき、板ばね２０は、その電源スイッ
チつまみ１２に対向する面側でストッパ２１と係合して
いるため、ロックスイッチ１３は、電源スイッチつまみ
１２と係合していない状態で係止されている。

【００１９】次に、ロックスイッチ１３の頭部１９を孔
１１ｂの他端側すなわち図４（ｂ）に示した矢印Ｂ方向
に操作し、ロックスイッチ１３を図４（ｃ）に示した位
置までスライドさせる。すなわち、電源スイッチつまみ
１２とロックスイッチ１３とは、それぞれのギザギザ部
１８，２２が噛み合った状態で係合することになる。ま
た、このとき、板ばね２０は、その電源スイッチつまみ
１２に対向していない面側でストッパ２１と係合してい
るため、ロックスイッチ１３は、電源スイッチつまみ１
２と係合した状態で係止されている。これにより、電源
スイッチつまみ１２は、ロックスイッチ１３により確実
にロックされ、電源オフの方向にスライドすることがで
きなくなる。

【００２０】一方、電源をオンからオフの状態にすると
きは、上記の逆の操作を行えばよい。また、本実施の形
態における電源スイッチつまみ１２とロックスイッチ１
３とのギザギザ部１８，２２は、図４（ｄ）に示したよ
うにずれた位置で噛み合うので、電源をオフの状態でも
ロックすることができる。もちろん、ギザギザ部１８，
２２がずれた位置で噛み合うようにするためには、電源
スイッチつまみ１２のスライド幅とギザギザ部１８，２
２の段溝のピッチ幅とを調整する必要がある。

【００２１】以上のように、本実施の形態によれば、電
源スイッチつまみ１２とロックスイッチ１３との係合部
分にギザギザ部１８，２２を設け、ロック時にはギザギ
ザ部１８，２２が噛み合うような構造としたので、携帯
端末の小型化が進み、ロック機構部分をも小さくなった
としても電源スイッチつまみ１２を係止する部分の面積
を確保することができる。これにより、電源スイッチつ
まみ１２を確実にロックすることができ、また、破損し
にくい構造とすることができる。

【００２２】また、携帯端末の筐体自体は小型化せずに
ロック機構付きスライドスイッチのみを小さくすれば、
筐体内部の実装スペースを広くすることもできる。

【００２３】ところで、ロック機構部分を小さくすると
いうことは、電源スイッチつまみ１２とロックスイッチ
１３の幅を狭くするか、あるいは厚みを薄くするという
ことである。前者の場合、係合する部分を波形形状とし
たことで段溝の深さや頂上部間の間隔を調整すれば、あ
る程度の係合面積を確保することができる。特に、電源
スイッチつまみ１２等の幅方向にスライド操作による荷
重負荷がかかるため波形形状としたことは、非常に効果
的である。また、後者の場合は、多少ギザギザ部１８，
２２の噛み合わせが外れやすくなるが、電源スイッチつ
まみ１２及びロックスイッチ１３の上下方向のずれを抑
止する手段を設けることによってその欠点を防止するこ
とができる。

【００２４】なお、上記実施の形態では、プリント基板
１６上に電源スイッチ本体部１７が設けられている携帯
端末の例で説明したが、本発明に係るロック機構付きス
ライドスイッチは、その他の機器や小型化を問題としな
いような機器にも利用することができることは、言うま
でもない。

【００２５】

【発明の効果】本発明によれば、スライドスイッチ部
と、スライドスイッチ部をロックするためのロックスイ
ッチ部との係合部分を波形形状とし、その波形形状を噛
み合わせることによってスライドスイッチ部のスライド
動作を抑止するようにしたので、機器（筐体）ひいては
ロック機構部分が小型にされたとしてもスライドスイッ
チ部を係止する部分の面積をある程度確保することがで
きる。これにより、スライドスイッチ部を確実にロック
でき、また、ロック機構部分を破損しにくい構造とする
ことができる。

【００２６】また、筐体内に突出形状のノブを有するス
ライドスイッチが別途配設されている場合、そのノブを
挟持し連動してスライドさせるスライド連結部のノブ入
口側に組立時にノブを内部に導きやすくするためのガイ
ドを設けたので、組立が容易になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係るロック機構付きスライドスイッ
チの一実施の形態を示した分解斜視図である。

【図２】 本実施の形態におけるロック機構付きスライ
ドスイッチを組み立てたときの側断面図である。

【図３】 本実施の形態におけるロックスイッチ部分を
筐体側面の角孔側からの見たときの側断面図である。

【図４】 本実施の形態におけるロック機構付きスライ
ドスイッチの要部のみを示した平面図である。

【図５】 従来の携帯端末のスライド式の電源スイッチ
のロック機構部分の要部のみを示した概略的な底面図で
ある。

【図６】 従来の電源スイッチの他のロック機構を示し
た概略的な分解斜視図である。

【符号の説明】

１１ 筐体、１１ａ 角孔、１１ｂ 孔、１２ 電源ス
イッチつまみ、１３ロックスイッチ、１４，１９ 頭
部、１５ 電源スイッチ連結部、１６ プリント基板、
１７ 電源スイッチ本体部、１７ａ ノブ、１８，２２
ギザギザ部、２０ 板ばね、２１ ストッパ。

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 筐体に設けられたスイッチ用孔から操作
   可能なスイッチ操作部位を有するスライドスイッチ部
   と、 前記筐体に設けられたロック用孔から操作可能なロック
   操作部位を有し、前記スライドスイッチ部の配設方向に
   スライド可能に設けられたロックスイッチ部と、 を有し、 前記スライドスイッチ部及び前記ロックスイッチ部は、
   それぞれ対向する係合部位を同一のギザギザ形状とし、 前記ロックスイッチ部を前記スライドスイッチ部の配設
   方向へスライドさせ相互のギザギザ形状の係合部位を噛
   み合わせることによって前記スライドスイッチ部のスラ
   イド動作を抑止することを特徴とするロック機構付きス
   ライドスイッチ。
2. 【請求項２】 前記スライドスイッチ部は、前記筐体内
   に別途配設されているスライドスイッチ本体部が有する
   突出形状のノブを挟持し連動してスライドさせるスライ
   ド連結部を有し、 前記スライド連結部は、組立時に前記ノブを内部に導き
   やすくするためのガイドをノブ挿入口側に設けたことを
   特徴とする請求項１記載のロック機構付きスライドスイ
   ッチ。
3. 【請求項３】 前記ロックスイッチ部をその摺動端で係
   止する機構を設けたことを特徴とする請求項１記載のロ
   ック機構付きスライドスイッチ。