JP3004553B2 - 進水船の着水後の行脚制動方法 - Google Patents

進水船の着水後の行脚制動方法

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JP3004553B2
JP3004553B2 JP6321417A JP32141794A JP3004553B2 JP 3004553 B2 JP3004553 B2 JP 3004553B2 JP 6321417 A JP6321417 A JP 6321417A JP 32141794 A JP32141794 A JP 32141794A JP 3004553 B2 JP3004553 B2 JP 3004553B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、船台進水における進水
船の着水後の行脚制動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】進水作業においては、進水船の着水後は
船台周囲の地形,航路等による種々の制約や障害物等が
あることが多いので、なるべく早い時期に進水船の行脚
を停止させることが必要である。そのため、進水船の行
脚を停止させるために、従来、図3平面図に示すような
手段で進水船を制動している。すなわち、まず同図
(A)の左半部に示すように、進水前日までに制動用ド
ラグにワイヤロープを接続し、このワイヤロープ付き制
動用ドラグを両舷に適当数取り付ける。次に、進水作業
当日、同図(A)の右半部に示すように、滑走着水後、
進水船の船首が船台端を通過したとき、直ちに引抜き錨
を投下し、同時に進水船にワイヤロープで固縛されてい
た進水台と前部鞍板とを進水船から外し、投入落下させ
る。投入落下させた進水台の最後部のブイを進水船の船
首が通過したことを確認して制動用ドラグを投入する。
ここで、制動用ドラグは、同図(B)に示すように、ワ
イヤロープにて進水船に接続されたままであるので、進
水船はこの制動用ドラグに引っ張られる形で行脚が停止
する。最後に同図(C)の右半部に示すように、進水船
の行脚停止を確認してから操船用曳船を呼び、その後両
舷甲板上のドラグ用ワイヤロープの接続を解放する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな進水船の制動手段においては、下記のような問題が
ある。 (1)最近は進水船の進水重量増加に伴い、着水後の惰
力航走速力が増大してきた。これとともに惰力航走距離
も伸長してきたので、進水水域を大幅に拡大しなければ
ならなくなっている。しかし、一方、港湾での制約ある
いは地形上の制約のために進水水域の拡大が不可能なケ
ースも少なくない。そこで、この惰力航走距離をいかに
して短くするかが課題となっている。 (2)従来のドラグによる制動方式では、ドラグを接続
するための艤装工事,解放した後のドラグの回収工事等
に莫大な費用を要する。
【0004】本発明はこのような事情に鑑みて提案され
たもので、惰力航走距離を短縮し、ドラグの回収作業を
不要とする低コストで安全迅速かつ経済的な進水船の着
水後の行脚制動方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】そのために本発明は、船
を傾斜船台上で建造したのち船台の滑走着水後、水面に
浮上し水上を惰力航走する進水船の行脚を制動するに際
して、同進水船にあらかじめその船首から左右1対の係
留索を海面近くまで下げておき、進水の際、前部鞍板及
び進水台が同進水船から分離したとき直ちに両舷側にそ
れぞれ曳船を呼び、上記各曳船の曳索を同進水船の上記
各係留索にそれぞれ接続したのち、同両曳船の後進制動
力を使用して、同進水船の行脚を制動することを特徴と
する。
【0006】
【作用】このような構成によれば、下記の作用が行われ
る。 (1)早期に曳船を船首に連結することにより、進水船
の行脚を曳船の後進力で停止させることができるように
なり、ドラグを用いるよりも大幅に惰力航走距離を短く
することができる。 (2)あらかじめ進水船の船首,係留索を海面上に下げ
ておき、これを曳船の曳索と接続することにより、ごく
短時間で制動用の曳船の後進力を利用することができ
る。
【0007】
【実施例】本発明の一実施例を図面について説明する
と、図1はその進水船の滑走着水後の制動要領を示す工
程図であり、同図(A),同図(B),同図(C)はそ
れぞれその第1工程,第2工程,第3工程を示す平面
図、図2は図1における進水船の船首部の係留索と曳船
の曳索とを接続する要領を示す平面図である。
【0008】まず第1工程を説明すると、図1(A)の
左半部に示す進水船1がその右半部に示すように滑走着
水後、進水船1の船首が船台端2を通過したとき直ちに
引き抜き錨3を投下し、同時に進水船にワイヤロープで
固縛されていた進水台4と前部鞍板5を進水船1から外
し、投入落下させる。
【0009】次に、進水船の船首が投入落下させた進水
台最後のブイを通過したことを確認して、同図(A)右
半部に示すように、待機していた両舷の曳船6,7を船
首に接近させ同図(B)に示すように、ただちに同船首
の曳索8,9をとる。
【0010】曳索をとったならば、同図(B)右半部に
示すように、ただちに曳船による後進力によって惰力航
走している進水船の行脚を停止させる。
【0011】進水船の行脚が停止した後は、同図(C)
に示すように、他の2隻の支援曳船10,11の応援を
受け、計4隻の曳船による通常の岸壁への係留作業を行
う。その際、曳索をとる要領を説明すると、図2船首部
平面図に示すように、進水船1の船首から係留用ナイロ
ンロープ12,13を両舷各1本ずつ海面上適当な位置
まで接続用ラインとして落下させておく。制動用曳船は
6,7はあらかじめ曳船の船首部分に曳索14,15を
繰り出しておくとともに、曳索至近距離にワイヤストロ
ップ16,17及びシャークル18,19を用意してお
く。曳索連結作業の指示を受けて、曳船にあらかじめ積
み込んであるボートフック(爪竿)で係留用ナイロンロ
ープをたぐり寄せ、ワイヤストロップ及びシャークルを
用いて曳索と手早く連結するのである。
【0012】
【発明の効果】このような方法によれば、下記の効果が
奏せられる。 (1)進水船の惰力航走を停止させるために、ドラグを
使用せず曳船を使用して惰力を停止する方法を採ること
により、ドラグ関連工事すなわちドラグ等の整備,艤装
工事,回収作業が全く不要となる。 (2)曳船を早くとるために、進水船の船首の係留索と
曳船の曳索とを連結する方法を採った結果、短時間で本
船の係留索と曳船の曳索との連結が可能となる。 (3)早期に曳船を本船船首にとることにより、進水船
の行脚を停止させ、惰力航走距離が短くなり、定められ
た進水区域内で進水船を停止させることができる。
【0013】要するに本発明によれば、船を傾斜船台上
で建造したのち船台の滑走着水後、水面に浮上し水上を
惰力航走する進水船の行脚を制動するに際して、同進水
船にあらかじめその船首から左右1対の係留索を海面近
くまで下げておき、進水の際、前部鞍板及び進水台が同
進水船から分離したとき直ちに両舷側にそれぞれ曳船を
呼び、上記各曳船の曳索を同進水船の上記各係留索にそ
れぞれ接続したのち、同両曳船の後進制動力を使用し
て、同進水船の行脚を制動することにより、惰力航走距
離を短縮し、ドラグの回収作業を不要とする低コストで
安全迅速かつ経済的な進水船の着水後の行脚制動方法を
得るから、本発明は産業上極めて有益なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す平面図的工程図であ
る。
【図2】図1において、本船の船首部の係留索と曳船の
曳索とを接続する要領を示す平面図である。
【図3】従来の進水船の滑走着水後の行脚を停止させる
ための制動要領を示す平面図である。
【符号の説明】
1 進水船(本船) 2 船台端 3 引抜き錨 4 進水台 5 前部鞍板 6 曳船 7 曳船 8 曳索 9 曳索 10 支援曳船 11 支援曳船 12 係留索(ナイロンロープ) 13 係留索(ナイロンロープ) 14 曳索 15 曳索 16 ストロップ 17 ストロップ 18 シャークル 19 シャークル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−135391(JP,A) 特開 昭54−77994(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B63C 1/10 101 B63C 3/00 - 3/02 B63C 3/14 B63B 21/00 B63B 21/56 B63B 35/66

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 船を傾斜船台上で建造したのち船台の滑
    走着水後、水面に浮上し水上を惰力航走する進水船の行
    脚を制動するに際して、同進水船にあらかじめその船首
    から左右1対の係留索を海面近くまで下げておき、進水
    の際、前部鞍板及び進水台が同進水船から分離したとき
    直ちに両舷側にそれぞれ曳船を呼び、上記各曳船の曳索
    を同進水船の上記各係留索にそれぞれ接続したのち、同
    両曳船の後進制動力を使用して、同進水船の行脚を制動
    することを特徴とする進水船の着水後の行脚制動方法。
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