JP3004273B2 - 回転振動を緩衝する装置を製造するための方法 - Google Patents
回転振動を緩衝する装置を製造するための方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
産業上の利用分野
本発明は、例えば車両のパワートレーン内に配置され
た振動を緩衝する装置の製法に関する。 本発明が解決しようとする問題点 本発明の課題は、装置の簡単、迅速、安価かつ機能確
実な組立てを可能ならしめるような、この種の装置の製
法を提供することにある。本発明の別の課題は、この種
の装置の作用を改善し、その寿命を高めることにある。 問題点を解決するための手段 上記課題を解決した本発明の要旨は、緩衝手段に逆っ
て相対回転可能に支承された少なくとも2つのはずみ質
量体を備え、一方のはずみ質量体が機関に、他方のはず
み質量体が変速機に結合可能であり、かつ少なくとも一
方のはずみ質量体が、ペースト状媒体若しくは粘性媒体
によって部分的に充填された室を備え、この室内には、
両方のはずみ質量体間の相対回転に逆らう緩衝手段が収
容されている形式の特に車両のパワートレーン内の回転
振動を緩衝する装置を製造するための方法において、室
内に媒体を充填した後で、装置の釣り合わせつまりバラ
ンシングの前に、少なくとも室を有する方のはずみ質量
体を、媒体を室のできるだけ一定な半径方向内側位置に
分配することができる跳ね飛ばし回転数に回転させるこ
とにある。 発明の効果 本発明によって得られる利点は、発生した温度範囲に
わたつて状態変化まがつたく生じないか、可能な限りわ
ずかな状態変化しか生ぜず、要するに粘性の著しい変化
が生じないペースト状の媒体によつて室を充填するさい
に、周囲にわたつて均一な分配若しくは均一な充填高さ
が調整され、従つて装置の正確な釣り合いが可能になる
ことにある。 室の少なくとも部分的な充填は装置の多くの構造にお
いて、室を備えたはずみ質量体が、分配を生ぜしめる跳
ね飛ばし回転数に達する前に行われると有利である。 しかし、粘性媒体による室の充填中に、少なくとも室
を備えた方のはずみ質量体が、室の周囲にわたつて媒体
の均一な分配を生ぜしめる回転数で回転すると特に有利
である。しかし、多くの使用例では、粘性媒体を室内に
装入するさいに、少なくとも室を備えた方のはずみ質量
体がまず跳ね飛ばし回転数を下回る回転数で回転するの
が効果的である。 室内での粘性媒体の十分な分配を得るために、跳ね飛
ばし回転数が大体において釣り合い回転数の2倍ないし
15倍であると有利である。本装置を使用した場合少なく
とも大体において内燃機関の限界回転数の範囲に跳ね飛
ばし回転数が位置するのが効果的である。 前述のような高い回転数では、部品間に存在する自由
室内の空気が、粘性媒体に作用する高い遠心力によつて
押し出されるため、空気がこの自由室内に残留しない。
これによつて、装置の稼働後長い運転時間にわたつて、
粘性媒体を通過して空気が後から侵入することに起因す
る不釣り合いが生じない。正確な釣り合わせを可能なら
しめると共に後からの付加的な不釣り合いの発生を回避
するために、装置が釣り合わせ前にもたらされる回転数
は大体において4000ないし7000r.p.m.有利にはほぼ5000
ないし6000r.p.m.である。その場合、室内での粘性媒体
の十分な分配のために、少なくとも室を有する方のはず
み質量体が30秒ないし3分間跳ね飛ばし回転数に保持さ
れるのが効果的である。この跳ね飛ばし時間は使用媒体
の粘性と跳ね飛ばし回転数とに依存する。 跳ね飛ばし時間を削減すると共に、室内の粘性媒体の
十分な分配を得るために、少なくとも室を有する方のは
ずみ質量体を加熱するか又は粘性媒体を室内への装入前
に加熱するか又はその両方を加熱するのが特に有利であ
る。このような加熱によれば、跳ね飛ばし回転数をも削
減することができる。はずみ質量体及び(又は)粘性媒
体の目標加熱温度は80ないし250℃である。 本発明の多くの実施態様では、完成取り付けされたは
ずみ質量体の室内に、この室内に開口した閉鎖可能な開
口を通して粘性媒体を注入若しくは圧入することができ
れば有利である。その場合、充填前に完全な装置が前組
付けされる。本発明の別の実施態様では、室内への粘性
媒体の装入及び室内での粘性媒体の分配を両方のはずみ
質量体の組立て若しくは組合わせ前に行うのも有利であ
る。室のこのような少なくとも部分的な充填によれば、
この室を有するはずみ質量体の取り扱いが簡便となるば
かりか、両方の質量体の組合わせによつて閉鎖される室
領域を通して粘性媒体を装入することができる。後者の
利点は、付加的な充填口並びに閉鎖手段若しくはシール
手段が不要なことにある。多くの使用例では、装置を形
成する両方のはずみ質量体の組付け後に釣り合わせが行
われると有利である。その場合、釣り合わせ回転数は40
0ないし2000r.p.m.であることができる。 本発明装置の別の使用例若しくは実施態様では、粘性
媒体のための室を有するはずみ質量体並びに他方のはず
み質量体がそれぞれ別個に釣り合わされ、その後1つの
ユニツトに組合わされるのも有利である。粘性媒体とし
ては潤滑剤、グリース又は類似物のようなペースト状の
媒体が適当である。 実施例 第1図、第1a図及び第2図は回転衝撃緩衝のためのト
ルク伝達装置を示し、これは2つのはずみ車部分3,4に
分割された1つのはずみ車2を備えており、はずみ車部
分3は図示しない内燃機関のクランク軸5に固定ねじ6
を介して固定されている。はずみ車部分4には切り換え
可能な摩擦クラツチ7が固定されている。摩擦クラツチ
7の圧力板8とはずみ車部分4との間にクラツチ板9が
設けられており、これは図示しない変速装置の入力軸10
に取付けられている。摩擦クラツチ7の圧力板8ははず
み車部分4の方向で、クラツチカバー11に旋回可能に支
持された皿ばね12によつて負荷されている。摩擦クラツ
チ7の作動によつてはずみ車部分4ひいてははずみ車
2、要するに内燃機関が変速機の入力軸10に接続・解離
される。はずみ車部分3とはずみ車部分4との間に半径
方向外側の第1のダンパ13と、これに並列に接続された
第2の半径方向内側のダンパ14が設けられており、この
両方のダンパによつて両方のはずみ車部分間の相対回転
が可能である。 両方のはずみ車部分3,4は互いに相対回転可能に軸受
け15を介して支承されている。軸受け15は単列玉軸受け
の形態のころがり軸受けから成る。玉軸受け16の外輪17
ははずみ車部分4の切欠18内に、内輪19はクランク軸5
から離反方向で軸方向に伸びる、はずみ車部分3の中央
の円筒形の軸部20に配置されている。 内輪19はプレスばねによつて軸部上に固定されてお
り、かつ軸部20の肩21若しくははずみ車部分3と、リベ
ツト22aによつて軸部20の端面に固定された安全板22と
の間に締付けられている。 特に第1a図から判るように、玉軸受け14は断面L字形
の2つのリング23,24を介して軸方向で、はずみ車部分
4の肩25と、リベツト26を介して第2のはずみ車部分4
に固定的に結合されたリング板27との間に締付けられて
いる。 リング23,24の半径方向内向きの脚部23a,24aは半径方
向で部分的に内輪19にわたつて延びており、かつ軸方向
で内輪19に支持されており、これによつて玉軸受け16の
パツキンとしても役立つている。玉軸受け16の十分なシ
ールを保証するために、半径方向で延びる脚部23a,24a
はそれぞれ皿ばね28,29の形態の畜力部材によつて軸方
向で内輪19の端面に圧着されている。 内輪19とはずみ車部分3の軸部20に設けた段部20aと
の間にパツキンリング37が設けられており、これは段部
20aに設けた半径方向の環状溝37a内に収容されている。 第1図から判るように、はずみ車部分3は環状の室30
を制限するケーシングを形成しており、この室30内にダ
ンパ13,14が収容されている。環状の室30を有するはず
み車部分3は大体において2つのケーシング部分31,32
から成る。環状の室30を制限するケーシング部分31,32
は鋳造品から形成されている。ケーシング部分32はその
周囲に軸方向の円筒形の付加部32aを備えており、その
内周面35を介してケーシング部分32がケーシング部分31
の外周面34上に位置決めされている。ケーシング部分3
1,32の軸方向の固定は半径方向のピン38を介して行われ
ており、ピン38は外周面34及び内周面35の領域に配置さ
れている。ケーシング部分32はその肩39に始動歯冠40を
支持しており、これはピン38を部分的に軸方向で覆つて
おり、このためピン38は半径方向で移動不能である。外
部に対して環状の室30をシールするために、ピン38と室
30との間の領域にパツキングリング36が配置されてい
る。 両方のダンパ13,14は半径方向のフランジ41の形態の
1つの共通の出力部を備えており、これは軸方向で両方
のケーシング部分31,32の間に位置している。フランジ4
1は特に第2図から判るように、その半径方向内側の領
域によつて軸方向のはめ合い結合部42を介してリング板
27に回転不能に結合されており、リング板27はクランク
軸5の方向へ向いた、はずみ車部分4の付加部の端面に
リベツト26を介して固定されている。 フランジ41はその外周に半径方向のアーム44を備えて
おり、これは外側にダンパ13のコイルばね45の形態の畜
力部材のための負荷領域を形成している。周方向でみて
アーム44間に存在する、コイルばね45のための切欠46の
半径方向内側には、アーム44に湾曲状の窓47が設けられ
ており、この窓47内に内側のダンパ14のコイルばね48の
形態の畜力部材が収容されている。半径方向で切欠46と
窓47との間ではフランジ41が周方向で延びるウエブ49を
形成しており、これは半径方向のアーム44若しくは周方
向で窓47間に存在する、フランジ41の半径方向の領域50
を互いに結合せしめている。半径方向の領域50はコイル
ばね48のためのフランジ41の負荷領域を形成している。 環状の室30は半径方向外側に環状通路状若しくはトー
ラスに似た受容部51を形成しており、この受容部内に半
径方向でフランジ41のアーム44が係合している。 コイルばね45のための環状通路状の受容部51は大体に
おいて、周方向にわたつて延びる軸方向の凹設部52,53
によつて形成されており、この凹設部はケーシング部分
31,32の半径方向領域に形成されており、この凹設部内
にはフランジ41の両側で突起した、コイルばね45の領域
が軸方向で突入している。受容部51は半径方向内向きに
フランジ41のウエブ49によつて、わずかな隙間54は別と
して、閉鎖されている。 第1図から判るように、軸方向の凹設部52,53の横断
面はその湾曲状の延びが少なくとも近似的にコイルばね
45の横断面の周囲に適合するように形成されている。そ
れゆえ、凹設部52,53はコイルばね45のために支持領域
若しくは案内領域を形成しており、この領域にコイルば
ね45が支持される。凹設部52,53によつて形成された支
持領域をコイルばね45の外周に適合させることによつ
て、凹設部52,53の制限面とコイルばね45の線輪との摩
擦に基づく摩耗が著しく軽減される。なぜならば、コイ
ルばね45と凹設部との間の支持面が増大するからであ
る。 コイルばね45のための環状通路状の受容部51の半径方
向の支持領域における摩耗の阻止若しくは軽減のため
に、硬度の大きなスチールバンド81が配置されており、
これは受容部51の周囲にわたつて延びており、かつコイ
ルばね45を取り囲んでいる。スチールバンド81は円筒状
に形成されており、かつ切欠82内に収容されており、こ
の切欠は半径方向の切り込み若しくは半径方向のくぼみ
によつて形成されている。装置1の回転時にコイルばね
45はこれに作用する遠心力に基づいてその線輪を介して
スチールバンド81に支持される。 コイルばね45の負荷のために、アーム44の両側には凹
設部52,53内に周方向ストツパ55,55aが設けられてお
り、これは周方向でコイルばね45のための支持領域を形
成している。周方向ストツパ55,55aは凹設部52,53に適
合した部品、例えば鍛造品又はプレス成型品によつて形
成されており、これは一体成形されたリベツト58を介し
てケーシング部分31,32に固定的に結合されている。周
方向ストツパ55,55aの、周方向でみた端部領域はコイル
ばね45の良好な負荷を生じるように平面部を備えてい
る。 第2図から判るように、フランジ41のアーム44の両側
に配置された周方向ストツパ55,55aはアーム44に比して
周方向で長く延びており、図示の実施例では装置の第2
図に示す休止位置ではアーム44が周方向ストツパ55,55a
に対して中央に位置しており、従つて、周方向ストツパ
55,55aはアーム44の両側で同じ量だけ突出している。 ケーシング部分31,32は受容部51の半径方向内側で、
互いに向かいあつた円環状の面を形成する領域60,61を
備えており、これら領域間にフランジ41のための円環状
の通路62が形成されている。 第1図及び第2図に示す実施例では、この円環状の通
路62の幅はフランジ41の、通路内に収容される領域に比
して若干大きく、従つてフランジ41の少なくとも片側に
隙間54が生じている。 ケーシング部分31,32は円環状の通路62の半径方向内
側に軸方向に凹設部63,64を備えており、この凹設部内
に、フランジ41の両側で突出した、内側のコイルばね48
の領域が少なくとも部分的に突入している。 第1図から判るように、軸方向の凹設部63,64の横断
面はその弓状の延びが少なくとも半径方向外側の領域で
は、コイルばね48の横断面の周囲に適合しており、その
ため、コイルばね48は少なくとも軸方向で凹設部63,64
によつて保持又は案内されている。 外側の凹設部52,53と同様に内側の凹設部63,64の装置
の全周にわたつて延びている。これは例えば前鋳造され
た凹設部52,53及び63,64が回転作業によつて加工される
ことができるので有利である。コイルばね48の負荷のた
めに凹設部63,64内に周方向ストツパ65,66が取り付けら
れており、この周方向ストツパ65,66は周方向ストツパ5
5,55aと同様に形成されておりかつ同様にケーシング部
分31,32にリベツト結合されている。フランジ41の半径
方向領域50の両側に配置された周方向ストツパ65,66は
コイルばね48の負荷に役立つ領域50に比して周方向で大
きな延びを有している。半径方向の領域50に関連した周
方向ストツパ65,66の配置は装置1の休止位置で領域50
に対して片側で突出し、他方の側方で半径方向領域50と
合致するように行われる。さらに、半径方向領域50に関
連した周方向ストツパ65,66のずれは、周方向で互いに
相前後して配置された周方向ストツパ65,66が互いに逆
方向で、フランジ41の、周方向ストツパ65,66に対置さ
れた半径方向領域50に対してずれるように行われる。こ
の構成によつて、内側のコイルばね48は段階的に作用す
る2つのコイルばね48a,48bを形成する。 フランジ41のウエブ49は内側の凹設部63,64に関連し
て、コイルばね48が少なくとも遠心力の作用下で半径方
向でウエブ49に支持されるように設計される。 このことは、フランジ41が少なくとも表面硬化された
スチールから製作され、従つてコイルばね48のための支
持部の摩耗が削減されるので有利である。 第2図から判るように、アーム44若しくは周方向スト
ツパ55,55aと、これに向かい合つたコイルばね45の端部
との間にばね受け59が配置されており、その外周は環状
通路状の受容部51の横断面に適合している。 ばね受け59は軽度にテーパした突起59aを備えてお
り、これはコイルばね45内に軸方向で突入している。突
起59aの端部は図示の実施例では円錐状に形成されてい
るが、球状に形成されていてもよい。ばね受け59のこの
ような構成によつて、ばね受けが運転中にばね端部から
滑出する限りにおいて、ばね受けの再負荷又はばねの負
荷軽減時にばね受けが自動的にコイルばね内に挿入さ
れ、従つてコイルばね又はばね受けが損傷されない。外
側のコイルばね45が圧縮されかつ装置1が比較的高回転
数で回転したときばね受け59が滑出する。この運転状態
では、コイルばね45の線輪とこのコイルばねのためのケ
ーシング部分31,32の半径方向の支持領域との間に存在
する摩擦が高くなつて、コイルばね45は突然の負荷交番
衝撃時に少なくとも完全には負荷軽減することができな
い。負荷交番衝撃時に半径方向のアーム44によつて、遠
心力の作用下で外側に再び分配された粘性媒体へ圧迫が
生じることによつて、ばね受け59は負荷軽減されていな
いコイルばね45の端部から圧迫をうける。 環状の室30内には粘性媒体若しくは潤滑媒体、例えば
グリースが存在する。粘性媒体若しくは潤滑媒体のレベ
ルは装置1の回転状態で少なくとも中央領域若しくはダ
ンパ13の外側のコイルばね45の軸線まで達する。図示の
実施例では、このレベルが少なくとも内側のコイルばね
48の線輪の外側の領域まで達つしていると有利であり、
これによつて少なくともこの線輪とこれを半径方向で支
持する領域、本実施例の場合はフランジ41のウエブ49と
の間に、摩耗を軽減する潤滑が生じる。図示の実施例で
は、内側のコイルばね48の軸線まで粘性媒体若しくは潤
滑媒体が充填されると有利である。 粘性媒体若しくは潤滑媒体を収容した環状の室30を、
機関に結合されたはずみ車部分3に配置し、かつ摩耗ク
ラツチを支持するはずみ車部分4から空間的に分離した
ことによつて、摩耗クラツチとの関連において生じる熱
の粘性媒体若しくは潤滑媒体への影響が著しく排除され
る。 さらに、環状の室30若しくはケーシング部分32とはず
み車部分4との間に外側に開いた環状通路若しくは環状
ギヤツプ68が設けられており、この環状ギヤツプ68は通
気通路69との関連において冷却作用を一層改善する。通
気通路69はクラツチ板9のためのはずみ車部分4の摩擦
面4aの半径方向内側に設けられている。 特に第2図から判るように、フランジ41は中央の切欠
71を備えており、その輪郭が半径方向の成形部72を形成
しており、これが対向成形部73に係合しており、この対
向成形部ははずみ車部分4に結合された環状の板部分27
の外周部に設けられている。軸方向のはめ合い結合部42
を形成する成形部72及び対向成形部73によつて、フラン
ジ41が両方のケーシング部分31,32間に申し分なく位置
決めされ、その結果、円環状の通路62とフランジ41との
間に存在する隙間54は著しく小さく形成されてよい。さ
らに、はめ合い結合部によつて、構成部分の互いに異な
る接触面若しくは支持面間の軸方向の許容誤差を大きく
することができる。 特に第1a図から判るように、環状の室30のシールのた
めにケーシング部分32の半径方向内側領域と環状の板27
若しくははずみ車部分4の軸方向の付加部43との間にパ
ツキン74が配置されている。パツキン74は軸方向に弾性
的な円環状の板75を備えており、これはその半径方向内
側の領域で、軸方向の付加部43に固定された環状の構成
部分76に支持されかつその半径方向外側の領域でケーシ
ング部分32の半径方向内側の領域に軸方向で固定されて
いる。皿ばねに似て軸方向で変形可能な板75はその半径
方向外側及び内側の領域にプラスチツク被覆のような被
覆75a,75bを備えており、この被覆は例えば吹き付けに
よつて塗布される。この被覆75a,75bはわずかな摩擦係
数と若干の弾性的若しくは塑性的な変形性を有していな
ければならない。板75の半径方向外側の縁領域は環状の
支持体80内で密にかしめられている。板75の外側の領域
のこのかしめは、板75が円錐変形を完遂することができ
るように行われている。板75の外周を取り囲んでいる、
支持体80の領域80bは、ケーシング部分の半径方向内側
の領域に形成された軸方向のへこみ77内に収容されてい
る。板75の外周領域の軸方向の固定のために、環状の支
持体80は、ケーシング部分32の内側の縁32bを半径方向
でつかむ縁曲げされた領域80aを備えている。環状の支
持体80は皿ばね状に変形可能な板75のために円環状の旋
回支承部を形成している。 板75と協働するシール面を備えた環状の構成部分76
は、軸方向の付加部43の端面とリング板27との間に軸方
向で締め付けられた半径方向内側の板状の領域76aと、
円環状の外側の領域76bとを備えており、この領域76bに
は板75がその軸方向のプレロードで密着している。 環状の構成部分76の半径方向外側の領域76bは半径方
向内側の領域76bに対して軸方向で、はめ合い結合部42
の対向成形部73を備えたリング板27から引つ込んでい
る。第1a図から判るように、パツキン74は両方のはずみ
車部分3,4間に存在する環状ギヤツプ68に向かつて環状
の室30をシールしている。 両方のはずみ車部分3,4の軸方向のはめ合わせを可能
ならしめるために、板75の内径は半径方向の突起若しく
は対向成形部73の外径に比して大きい。板75を軸方向で
支持させている環状の構成部分76の領域76bは対向成形
部73よりさらに半径方向外側に延びている。 はめ合い結合部42及びパツキン74はトルク伝達装置1
の特別簡単な組み立てを可能ならしめる。すなわち、ま
ずはじめに、両方のはずみ車部分3,4が前組み立たさ
れ、次いで軸部20の端面に安全板22が軸方向ではめ合わ
せて固定することによつて軸方向で互いに結合される。
このことのためにまず、パツキン74がはずみ車部分3に
前組み立てされ、玉軸受け16がはずみ車部分4に嵌合さ
れる。両方のはずみ車部分3,4の組み立て時に内輪19が
ケーシング部分31の軸方向の軸部20の段部20aに押しは
められ、対向成形部73が成形部72に係合させられる。さ
らに、両方のはずみ車部分3,4のはめ合わせ時に板75の
半径方向内側の領域の被覆75bが、構成部分76の半径方
向外側の領域76bの対向シール面に当接し、そのため板7
5は皿ばねのように旋回してプレロードによつて領域76b
に当接する。両方のはずみ車部分3,4相互の最終的な軸
方向の固定はすでに述べたように、軸部20に安全板22を
固定することによつて行われる。 次に第1図、第1a図及び第2図に基づいて本発明装置
の作用を説明する。 第2図に示す休止位置からはずみ車部分3に対しては
ずみ車部分4が回転すると、フランジ41がはめ合い結合
部42を介して駆動され、これによつて、まず内側のばね
48bが周方向ストツパ65,66との間で圧縮される。一方の
回転方向若しくは他方の回転方向での回転角79,80だけ
相対的に回転した後に、半径方向の領域50が内側のコイ
ルばね48の端部に当接し、その結果、コイルばね48bに
対して付加的に両方のはずみ車部分3,4がさらに相対的
に回転するとコイルばね48aが圧縮される。一方の回転
方向若しくは他方の回転方向で回転角79a,90aだけ相対
的に回転すると、外側のコイルばね45が半径方向のアー
ム44によつて負荷され、従つて、引き続く相対回転時に
このコイルばねが周方向ストツパ55,55aと半径方向アー
ム44との間で圧縮される。図示の実施例では回転角79は
回転角79aに、回転角90は回転角90aにそれぞれ相応して
おり、従つてコイルばね48a及びコイルばね45は同時に
作用する。これによつて、第1図及び第2図に示す実施
例では2段階のばね特性曲線が生じる。しかし、回転角
79,90,79a,90aは部分的にのみ同じ値を有することがで
き、又は種々の値を有することもできる。それゆえ、両
方の回転方向で少なくとも3段階のばね特性曲線が可能
であるか、又は一方の回転方向で少なくとも2段階のば
ね特性曲線と他方の回転方向で少なくとも3段階のばね
特性曲線が可能である。 第2図で一点鎖線で示したように、周方向ストツパ6
5,66はさらにコイルばね48の、フランジ41内で抑えられ
たばね端に対して引つ込んでいることもでき、この場合
には、両方のはずみ車部分3,4間の相対運動の零位置を
中心に所定角度にわたつてばね力が生ぜず、かつ場合に
よつてはたんに液圧的な若しくは粘性的な緩衝及び摩擦
的な緩衝又はそのいずれかしか生じない。 図示の実施例ではコイルばね48a,48b,45の共通の圧縮
は、少なくとも内側のコイルばね48aが密着高さまで圧
縮され、これによつて両方のはずみ車部分3,4間の相対
回転が制限されるまで行われる。両方のはずみ車部分3,
4の相対回転時に凹設部52,53の面若しくはスチールバン
ド81での外側のコイルばね45の摩擦並びに領域76bでの
板75の摩擦による摩擦緩衝が生じる。半径方向内側のコ
イルばね48と、その半径方向の支持領域との間にも摩擦
緩衝が生じる。コイルばね45と半径方向の支持領域との
間に生じる摩擦緩衝は回転数に依存しており、回転数増
大に伴い緩衝作用が増大する。さらに、環状の室30内に
存在する粘性媒体若しくはペースト状の媒体の攪乱若し
くは圧迫による緩衝作用も生じる。特に、実際に閉じら
れた環状通路状の受容部51内に存在する粘性媒体は液圧
的な若しくは粘性的な緩衝を生ぜしめる。なぜならば、
環状通路状の受容部内のばね受け59がピストンに似た作
用を行うからである。外側のコイルばね45の圧縮時に、
アーム44によつて負荷されたばね受け59は周方向ストツ
パ55,55aに当接したばね受けへ向かつて運動し、これに
よつて、コイルばね内に存在する粘性媒体が主として絞
りに似た隙間54を通つて押し出される。粘性媒体のその
他の部分はばね受け59と環状通路状の受容部51との間で
圧迫される。初めは内向きに押し退けられた粘性媒体は
これに作用する遠心力によつて再び周方向にわたつて均
一に分配される。外側のコイルばね45の負荷軽減時にば
ね受け59の、ばね45とは逆の側に存在する粘性媒体が同
様にばね受けのところで圧縮されて隙間54を通つて押し
退けられ、これに作用する遠心力によつて再びコイルば
ね内に充填される。粘性媒体によつて生じる緩衝は粘性
媒体に作用する遠心力に依存する。換言すれば、回転数
増大に伴つて緩衝作用が増大する。 半径方向内側のコイルばね48の、粘性媒体内に浸され
た領域は同様に攪乱によつて粘性的若しくは液圧的な緩
衝作用を生ぜしめる。 少なくとも1つのばね受けに軸方向の切欠を設けるこ
とによつてかつ隙間54若しくはばね受けの外周を適当に
設計することによつて、粘性媒体によつて生じる緩衝作
用を変化させることができ、若しくはその都度の使用条
件に適合させることができる。さらに、若干のコイルば
ね45にだけばね受けを備えることによつて、粘性的な若
しくは液圧的な緩衝作用を適合させることができる。少
なくとも1つの内側のコイルばね48のばね端とフランジ
44の半径方向の領域50との間にばね受けを設けることも
できる。 特に第2図から判るように、はずみ車部分3の構成部
材3aはその外周部に半径方向のアーム86を有しており、
このアームにそれぞれ摩擦クラツチ7を固定するための
ねじ穴が設けらている。若干のアーム86がピンを受容す
るための孔を備えており、このピンは組み立て時に構成
部材3aへのクラツチカバーの正確な位置決めを保証す
る。 半径方向のアーム86ははずみ車部分3の簡単な構造を
可能ならしめる。さらに、半径方向のアーム86間に存在
するへこみ86aによつて、構成部材3aひいてはこれに取
り付けられるクラツチの冷却効果が改善される。なぜな
らば、クラツチカバーとへこみ86aとの間に空気循環が
生じるからである。 さらに、半径方向アーム86の存在によつて、構成部材
3aは与えられた質量で摩擦面4aの領域で比較的厚く形成
され、従つてこの領域の過熱が回避される。 粘性媒体によつて生じる緩衝作用の変化は、環状通路
状の受容部51が少なくとも1つのコイルばねの長さの少
なくとも部分範囲にわたつて一定の横断面を有せず、こ
れによつて、横断面が大きい領域ではずかな緩衝作用が
生じ、横断面が小さい領域では大きな緩衝作用が生じる
ことによつて得られる。受容部51のこの横断面変化は任
意の箇所又は複数の箇所に設けることができるが、圧縮
されないコイルばね45の端部にこのような横断面変化部
若しくは横断面拡大部を設けると特に効果的である。そ
の場合、横断面変化は急激的又は累進的であつてもよ
い。その場合、横断面拡大部は受容部51の半径方向内側
の半分の領域に設けられると有利である。この種の横断
面拡大部が第2図に符号89によつて示されている。この
横断面拡大部89はフランジ41に一体成形されており、こ
のフランジ41は受容部51を半径方向内側に向かつて制限
若しくは閉鎖している。しかし、横断面拡大部89は受容
部51を制限する凹設部52,53の適当な成形によつても得
ることができる。 室30内への粘性媒体の装入は両方のはずみ車部分3,4
の組み立て若しくははめ合わせ前に行うことができる。
室30はこのような少なくとも部分的な充填は、両方のは
ずみ車部分3,4のはめ合わせによつて閉鎖される、室30
の領域を通して粘性媒体を装入することによつて可能で
ある。 第1図、第1a図、第2図に示す実施例ではこの領域は
板75と軸部20との間に存在する。 潤滑剤、グリース又は類似物などのペースト状の媒体
から成ることのできる粘性媒体によつて室30内を充填す
るために、粘性媒体に作用する遠心力がこれを周方向に
わたつて均一に分配することができる回転数まではずみ
車部分3,4が回転させられる。このような方法によれ
ば、発生する温度領域にわたり可能なかぎり状態変化の
ない又は少ないペースト状の媒体、要するに少なくとも
粘性の著しい変化のない媒体によつて室30内を充填すれ
ば、室30の周囲にわたり均一な分配若しくは均一な充填
高さが得られ、そのため、次いで行われる装置1の極め
て正確な釣り合わせが可能となる。 跳ね飛ばし回転数は4000ないし7000r.p.m.、有利にほ
ぼ5000ないし6000r.p.m.である。室を備えたはずみ車部
分3は、他方のはずみ車部分4との組み付け前に釣り合
わせることができる。その場合、他方のはずみ車部分4
は同様にそれだけ釣り合わされ、そのため両方のはずみ
車部分3,4のはめ合わせの後には装置1が釣り合わされ
ている。両方のはずみ車部分を組み付けた後に釣り合わ
せ行つても効果的である。 室内での粘性媒体の十分な分配を生ぜしめる跳ね飛ば
し回転数はほぼ4000ないし7000r.p.m.、有利には5000な
いし6000r.p.m.である。跳ね飛ばし時間は30秒ないし3
分有利にはほぼ1分でる。はずみ質量体又は粘性媒体を
室内に充填する前に加熱すれば、跳ね飛ばし回転数並び
に跳ね飛ばし時間を軽減することができる。このような
加熱によれば室30内での粘性媒体の分配が良好となる。 はずみ車部分3,4若しくは装置1全体の釣り合わせは4
00ないし2000r.p.m.の回転数で行われてもよい。 第3図に示す実施例の装置101では、はずみ車部分103
の、機関に面した側壁103aに少なくとも1つの穴191が
設けられており、この穴を通してグリースなどの粘性媒
体を室130内に装入することができる。粘性媒体の装入
後、穴191がシール栓192によつて閉鎖される。シール栓
192は穴191内に圧入される。第3図に示す実施例ではシ
ール栓192がみぞ193を備えており、このみぞ193内にパ
ツキンリング194が収容されており、このパツキングリ
ングが穴191をシールしている。室130を制限するカバー
132は薄板成形部分によつて形成されており、これはリ
ベツト結合部材138によつて軸方向の突出部131の端面に
固定されている。遠心力によつて室130内から粘性媒体
が流出するのを阻止するために、リベツト結合部材138
の半径方向内側にパツキン136が配置されている。 カバー132の半径方向内側の領域とはずみ車部分104の
肩との間に皿ばね状のパツキン部材175が軸方向で緊張
されており、このパツキン部材は室130内を外部に対し
てシールしている。 両方のはずみ車部分103,104は転がり軸受け116によつ
て回転可能に支承されている。符号174は皿ばねを示
す。
た振動を緩衝する装置の製法に関する。 本発明が解決しようとする問題点 本発明の課題は、装置の簡単、迅速、安価かつ機能確
実な組立てを可能ならしめるような、この種の装置の製
法を提供することにある。本発明の別の課題は、この種
の装置の作用を改善し、その寿命を高めることにある。 問題点を解決するための手段 上記課題を解決した本発明の要旨は、緩衝手段に逆っ
て相対回転可能に支承された少なくとも2つのはずみ質
量体を備え、一方のはずみ質量体が機関に、他方のはず
み質量体が変速機に結合可能であり、かつ少なくとも一
方のはずみ質量体が、ペースト状媒体若しくは粘性媒体
によって部分的に充填された室を備え、この室内には、
両方のはずみ質量体間の相対回転に逆らう緩衝手段が収
容されている形式の特に車両のパワートレーン内の回転
振動を緩衝する装置を製造するための方法において、室
内に媒体を充填した後で、装置の釣り合わせつまりバラ
ンシングの前に、少なくとも室を有する方のはずみ質量
体を、媒体を室のできるだけ一定な半径方向内側位置に
分配することができる跳ね飛ばし回転数に回転させるこ
とにある。 発明の効果 本発明によって得られる利点は、発生した温度範囲に
わたつて状態変化まがつたく生じないか、可能な限りわ
ずかな状態変化しか生ぜず、要するに粘性の著しい変化
が生じないペースト状の媒体によつて室を充填するさい
に、周囲にわたつて均一な分配若しくは均一な充填高さ
が調整され、従つて装置の正確な釣り合いが可能になる
ことにある。 室の少なくとも部分的な充填は装置の多くの構造にお
いて、室を備えたはずみ質量体が、分配を生ぜしめる跳
ね飛ばし回転数に達する前に行われると有利である。 しかし、粘性媒体による室の充填中に、少なくとも室
を備えた方のはずみ質量体が、室の周囲にわたつて媒体
の均一な分配を生ぜしめる回転数で回転すると特に有利
である。しかし、多くの使用例では、粘性媒体を室内に
装入するさいに、少なくとも室を備えた方のはずみ質量
体がまず跳ね飛ばし回転数を下回る回転数で回転するの
が効果的である。 室内での粘性媒体の十分な分配を得るために、跳ね飛
ばし回転数が大体において釣り合い回転数の2倍ないし
15倍であると有利である。本装置を使用した場合少なく
とも大体において内燃機関の限界回転数の範囲に跳ね飛
ばし回転数が位置するのが効果的である。 前述のような高い回転数では、部品間に存在する自由
室内の空気が、粘性媒体に作用する高い遠心力によつて
押し出されるため、空気がこの自由室内に残留しない。
これによつて、装置の稼働後長い運転時間にわたつて、
粘性媒体を通過して空気が後から侵入することに起因す
る不釣り合いが生じない。正確な釣り合わせを可能なら
しめると共に後からの付加的な不釣り合いの発生を回避
するために、装置が釣り合わせ前にもたらされる回転数
は大体において4000ないし7000r.p.m.有利にはほぼ5000
ないし6000r.p.m.である。その場合、室内での粘性媒体
の十分な分配のために、少なくとも室を有する方のはず
み質量体が30秒ないし3分間跳ね飛ばし回転数に保持さ
れるのが効果的である。この跳ね飛ばし時間は使用媒体
の粘性と跳ね飛ばし回転数とに依存する。 跳ね飛ばし時間を削減すると共に、室内の粘性媒体の
十分な分配を得るために、少なくとも室を有する方のは
ずみ質量体を加熱するか又は粘性媒体を室内への装入前
に加熱するか又はその両方を加熱するのが特に有利であ
る。このような加熱によれば、跳ね飛ばし回転数をも削
減することができる。はずみ質量体及び(又は)粘性媒
体の目標加熱温度は80ないし250℃である。 本発明の多くの実施態様では、完成取り付けされたは
ずみ質量体の室内に、この室内に開口した閉鎖可能な開
口を通して粘性媒体を注入若しくは圧入することができ
れば有利である。その場合、充填前に完全な装置が前組
付けされる。本発明の別の実施態様では、室内への粘性
媒体の装入及び室内での粘性媒体の分配を両方のはずみ
質量体の組立て若しくは組合わせ前に行うのも有利であ
る。室のこのような少なくとも部分的な充填によれば、
この室を有するはずみ質量体の取り扱いが簡便となるば
かりか、両方の質量体の組合わせによつて閉鎖される室
領域を通して粘性媒体を装入することができる。後者の
利点は、付加的な充填口並びに閉鎖手段若しくはシール
手段が不要なことにある。多くの使用例では、装置を形
成する両方のはずみ質量体の組付け後に釣り合わせが行
われると有利である。その場合、釣り合わせ回転数は40
0ないし2000r.p.m.であることができる。 本発明装置の別の使用例若しくは実施態様では、粘性
媒体のための室を有するはずみ質量体並びに他方のはず
み質量体がそれぞれ別個に釣り合わされ、その後1つの
ユニツトに組合わされるのも有利である。粘性媒体とし
ては潤滑剤、グリース又は類似物のようなペースト状の
媒体が適当である。 実施例 第1図、第1a図及び第2図は回転衝撃緩衝のためのト
ルク伝達装置を示し、これは2つのはずみ車部分3,4に
分割された1つのはずみ車2を備えており、はずみ車部
分3は図示しない内燃機関のクランク軸5に固定ねじ6
を介して固定されている。はずみ車部分4には切り換え
可能な摩擦クラツチ7が固定されている。摩擦クラツチ
7の圧力板8とはずみ車部分4との間にクラツチ板9が
設けられており、これは図示しない変速装置の入力軸10
に取付けられている。摩擦クラツチ7の圧力板8ははず
み車部分4の方向で、クラツチカバー11に旋回可能に支
持された皿ばね12によつて負荷されている。摩擦クラツ
チ7の作動によつてはずみ車部分4ひいてははずみ車
2、要するに内燃機関が変速機の入力軸10に接続・解離
される。はずみ車部分3とはずみ車部分4との間に半径
方向外側の第1のダンパ13と、これに並列に接続された
第2の半径方向内側のダンパ14が設けられており、この
両方のダンパによつて両方のはずみ車部分間の相対回転
が可能である。 両方のはずみ車部分3,4は互いに相対回転可能に軸受
け15を介して支承されている。軸受け15は単列玉軸受け
の形態のころがり軸受けから成る。玉軸受け16の外輪17
ははずみ車部分4の切欠18内に、内輪19はクランク軸5
から離反方向で軸方向に伸びる、はずみ車部分3の中央
の円筒形の軸部20に配置されている。 内輪19はプレスばねによつて軸部上に固定されてお
り、かつ軸部20の肩21若しくははずみ車部分3と、リベ
ツト22aによつて軸部20の端面に固定された安全板22と
の間に締付けられている。 特に第1a図から判るように、玉軸受け14は断面L字形
の2つのリング23,24を介して軸方向で、はずみ車部分
4の肩25と、リベツト26を介して第2のはずみ車部分4
に固定的に結合されたリング板27との間に締付けられて
いる。 リング23,24の半径方向内向きの脚部23a,24aは半径方
向で部分的に内輪19にわたつて延びており、かつ軸方向
で内輪19に支持されており、これによつて玉軸受け16の
パツキンとしても役立つている。玉軸受け16の十分なシ
ールを保証するために、半径方向で延びる脚部23a,24a
はそれぞれ皿ばね28,29の形態の畜力部材によつて軸方
向で内輪19の端面に圧着されている。 内輪19とはずみ車部分3の軸部20に設けた段部20aと
の間にパツキンリング37が設けられており、これは段部
20aに設けた半径方向の環状溝37a内に収容されている。 第1図から判るように、はずみ車部分3は環状の室30
を制限するケーシングを形成しており、この室30内にダ
ンパ13,14が収容されている。環状の室30を有するはず
み車部分3は大体において2つのケーシング部分31,32
から成る。環状の室30を制限するケーシング部分31,32
は鋳造品から形成されている。ケーシング部分32はその
周囲に軸方向の円筒形の付加部32aを備えており、その
内周面35を介してケーシング部分32がケーシング部分31
の外周面34上に位置決めされている。ケーシング部分3
1,32の軸方向の固定は半径方向のピン38を介して行われ
ており、ピン38は外周面34及び内周面35の領域に配置さ
れている。ケーシング部分32はその肩39に始動歯冠40を
支持しており、これはピン38を部分的に軸方向で覆つて
おり、このためピン38は半径方向で移動不能である。外
部に対して環状の室30をシールするために、ピン38と室
30との間の領域にパツキングリング36が配置されてい
る。 両方のダンパ13,14は半径方向のフランジ41の形態の
1つの共通の出力部を備えており、これは軸方向で両方
のケーシング部分31,32の間に位置している。フランジ4
1は特に第2図から判るように、その半径方向内側の領
域によつて軸方向のはめ合い結合部42を介してリング板
27に回転不能に結合されており、リング板27はクランク
軸5の方向へ向いた、はずみ車部分4の付加部の端面に
リベツト26を介して固定されている。 フランジ41はその外周に半径方向のアーム44を備えて
おり、これは外側にダンパ13のコイルばね45の形態の畜
力部材のための負荷領域を形成している。周方向でみて
アーム44間に存在する、コイルばね45のための切欠46の
半径方向内側には、アーム44に湾曲状の窓47が設けられ
ており、この窓47内に内側のダンパ14のコイルばね48の
形態の畜力部材が収容されている。半径方向で切欠46と
窓47との間ではフランジ41が周方向で延びるウエブ49を
形成しており、これは半径方向のアーム44若しくは周方
向で窓47間に存在する、フランジ41の半径方向の領域50
を互いに結合せしめている。半径方向の領域50はコイル
ばね48のためのフランジ41の負荷領域を形成している。 環状の室30は半径方向外側に環状通路状若しくはトー
ラスに似た受容部51を形成しており、この受容部内に半
径方向でフランジ41のアーム44が係合している。 コイルばね45のための環状通路状の受容部51は大体に
おいて、周方向にわたつて延びる軸方向の凹設部52,53
によつて形成されており、この凹設部はケーシング部分
31,32の半径方向領域に形成されており、この凹設部内
にはフランジ41の両側で突起した、コイルばね45の領域
が軸方向で突入している。受容部51は半径方向内向きに
フランジ41のウエブ49によつて、わずかな隙間54は別と
して、閉鎖されている。 第1図から判るように、軸方向の凹設部52,53の横断
面はその湾曲状の延びが少なくとも近似的にコイルばね
45の横断面の周囲に適合するように形成されている。そ
れゆえ、凹設部52,53はコイルばね45のために支持領域
若しくは案内領域を形成しており、この領域にコイルば
ね45が支持される。凹設部52,53によつて形成された支
持領域をコイルばね45の外周に適合させることによつ
て、凹設部52,53の制限面とコイルばね45の線輪との摩
擦に基づく摩耗が著しく軽減される。なぜならば、コイ
ルばね45と凹設部との間の支持面が増大するからであ
る。 コイルばね45のための環状通路状の受容部51の半径方
向の支持領域における摩耗の阻止若しくは軽減のため
に、硬度の大きなスチールバンド81が配置されており、
これは受容部51の周囲にわたつて延びており、かつコイ
ルばね45を取り囲んでいる。スチールバンド81は円筒状
に形成されており、かつ切欠82内に収容されており、こ
の切欠は半径方向の切り込み若しくは半径方向のくぼみ
によつて形成されている。装置1の回転時にコイルばね
45はこれに作用する遠心力に基づいてその線輪を介して
スチールバンド81に支持される。 コイルばね45の負荷のために、アーム44の両側には凹
設部52,53内に周方向ストツパ55,55aが設けられてお
り、これは周方向でコイルばね45のための支持領域を形
成している。周方向ストツパ55,55aは凹設部52,53に適
合した部品、例えば鍛造品又はプレス成型品によつて形
成されており、これは一体成形されたリベツト58を介し
てケーシング部分31,32に固定的に結合されている。周
方向ストツパ55,55aの、周方向でみた端部領域はコイル
ばね45の良好な負荷を生じるように平面部を備えてい
る。 第2図から判るように、フランジ41のアーム44の両側
に配置された周方向ストツパ55,55aはアーム44に比して
周方向で長く延びており、図示の実施例では装置の第2
図に示す休止位置ではアーム44が周方向ストツパ55,55a
に対して中央に位置しており、従つて、周方向ストツパ
55,55aはアーム44の両側で同じ量だけ突出している。 ケーシング部分31,32は受容部51の半径方向内側で、
互いに向かいあつた円環状の面を形成する領域60,61を
備えており、これら領域間にフランジ41のための円環状
の通路62が形成されている。 第1図及び第2図に示す実施例では、この円環状の通
路62の幅はフランジ41の、通路内に収容される領域に比
して若干大きく、従つてフランジ41の少なくとも片側に
隙間54が生じている。 ケーシング部分31,32は円環状の通路62の半径方向内
側に軸方向に凹設部63,64を備えており、この凹設部内
に、フランジ41の両側で突出した、内側のコイルばね48
の領域が少なくとも部分的に突入している。 第1図から判るように、軸方向の凹設部63,64の横断
面はその弓状の延びが少なくとも半径方向外側の領域で
は、コイルばね48の横断面の周囲に適合しており、その
ため、コイルばね48は少なくとも軸方向で凹設部63,64
によつて保持又は案内されている。 外側の凹設部52,53と同様に内側の凹設部63,64の装置
の全周にわたつて延びている。これは例えば前鋳造され
た凹設部52,53及び63,64が回転作業によつて加工される
ことができるので有利である。コイルばね48の負荷のた
めに凹設部63,64内に周方向ストツパ65,66が取り付けら
れており、この周方向ストツパ65,66は周方向ストツパ5
5,55aと同様に形成されておりかつ同様にケーシング部
分31,32にリベツト結合されている。フランジ41の半径
方向領域50の両側に配置された周方向ストツパ65,66は
コイルばね48の負荷に役立つ領域50に比して周方向で大
きな延びを有している。半径方向の領域50に関連した周
方向ストツパ65,66の配置は装置1の休止位置で領域50
に対して片側で突出し、他方の側方で半径方向領域50と
合致するように行われる。さらに、半径方向領域50に関
連した周方向ストツパ65,66のずれは、周方向で互いに
相前後して配置された周方向ストツパ65,66が互いに逆
方向で、フランジ41の、周方向ストツパ65,66に対置さ
れた半径方向領域50に対してずれるように行われる。こ
の構成によつて、内側のコイルばね48は段階的に作用す
る2つのコイルばね48a,48bを形成する。 フランジ41のウエブ49は内側の凹設部63,64に関連し
て、コイルばね48が少なくとも遠心力の作用下で半径方
向でウエブ49に支持されるように設計される。 このことは、フランジ41が少なくとも表面硬化された
スチールから製作され、従つてコイルばね48のための支
持部の摩耗が削減されるので有利である。 第2図から判るように、アーム44若しくは周方向スト
ツパ55,55aと、これに向かい合つたコイルばね45の端部
との間にばね受け59が配置されており、その外周は環状
通路状の受容部51の横断面に適合している。 ばね受け59は軽度にテーパした突起59aを備えてお
り、これはコイルばね45内に軸方向で突入している。突
起59aの端部は図示の実施例では円錐状に形成されてい
るが、球状に形成されていてもよい。ばね受け59のこの
ような構成によつて、ばね受けが運転中にばね端部から
滑出する限りにおいて、ばね受けの再負荷又はばねの負
荷軽減時にばね受けが自動的にコイルばね内に挿入さ
れ、従つてコイルばね又はばね受けが損傷されない。外
側のコイルばね45が圧縮されかつ装置1が比較的高回転
数で回転したときばね受け59が滑出する。この運転状態
では、コイルばね45の線輪とこのコイルばねのためのケ
ーシング部分31,32の半径方向の支持領域との間に存在
する摩擦が高くなつて、コイルばね45は突然の負荷交番
衝撃時に少なくとも完全には負荷軽減することができな
い。負荷交番衝撃時に半径方向のアーム44によつて、遠
心力の作用下で外側に再び分配された粘性媒体へ圧迫が
生じることによつて、ばね受け59は負荷軽減されていな
いコイルばね45の端部から圧迫をうける。 環状の室30内には粘性媒体若しくは潤滑媒体、例えば
グリースが存在する。粘性媒体若しくは潤滑媒体のレベ
ルは装置1の回転状態で少なくとも中央領域若しくはダ
ンパ13の外側のコイルばね45の軸線まで達する。図示の
実施例では、このレベルが少なくとも内側のコイルばね
48の線輪の外側の領域まで達つしていると有利であり、
これによつて少なくともこの線輪とこれを半径方向で支
持する領域、本実施例の場合はフランジ41のウエブ49と
の間に、摩耗を軽減する潤滑が生じる。図示の実施例で
は、内側のコイルばね48の軸線まで粘性媒体若しくは潤
滑媒体が充填されると有利である。 粘性媒体若しくは潤滑媒体を収容した環状の室30を、
機関に結合されたはずみ車部分3に配置し、かつ摩耗ク
ラツチを支持するはずみ車部分4から空間的に分離した
ことによつて、摩耗クラツチとの関連において生じる熱
の粘性媒体若しくは潤滑媒体への影響が著しく排除され
る。 さらに、環状の室30若しくはケーシング部分32とはず
み車部分4との間に外側に開いた環状通路若しくは環状
ギヤツプ68が設けられており、この環状ギヤツプ68は通
気通路69との関連において冷却作用を一層改善する。通
気通路69はクラツチ板9のためのはずみ車部分4の摩擦
面4aの半径方向内側に設けられている。 特に第2図から判るように、フランジ41は中央の切欠
71を備えており、その輪郭が半径方向の成形部72を形成
しており、これが対向成形部73に係合しており、この対
向成形部ははずみ車部分4に結合された環状の板部分27
の外周部に設けられている。軸方向のはめ合い結合部42
を形成する成形部72及び対向成形部73によつて、フラン
ジ41が両方のケーシング部分31,32間に申し分なく位置
決めされ、その結果、円環状の通路62とフランジ41との
間に存在する隙間54は著しく小さく形成されてよい。さ
らに、はめ合い結合部によつて、構成部分の互いに異な
る接触面若しくは支持面間の軸方向の許容誤差を大きく
することができる。 特に第1a図から判るように、環状の室30のシールのた
めにケーシング部分32の半径方向内側領域と環状の板27
若しくははずみ車部分4の軸方向の付加部43との間にパ
ツキン74が配置されている。パツキン74は軸方向に弾性
的な円環状の板75を備えており、これはその半径方向内
側の領域で、軸方向の付加部43に固定された環状の構成
部分76に支持されかつその半径方向外側の領域でケーシ
ング部分32の半径方向内側の領域に軸方向で固定されて
いる。皿ばねに似て軸方向で変形可能な板75はその半径
方向外側及び内側の領域にプラスチツク被覆のような被
覆75a,75bを備えており、この被覆は例えば吹き付けに
よつて塗布される。この被覆75a,75bはわずかな摩擦係
数と若干の弾性的若しくは塑性的な変形性を有していな
ければならない。板75の半径方向外側の縁領域は環状の
支持体80内で密にかしめられている。板75の外側の領域
のこのかしめは、板75が円錐変形を完遂することができ
るように行われている。板75の外周を取り囲んでいる、
支持体80の領域80bは、ケーシング部分の半径方向内側
の領域に形成された軸方向のへこみ77内に収容されてい
る。板75の外周領域の軸方向の固定のために、環状の支
持体80は、ケーシング部分32の内側の縁32bを半径方向
でつかむ縁曲げされた領域80aを備えている。環状の支
持体80は皿ばね状に変形可能な板75のために円環状の旋
回支承部を形成している。 板75と協働するシール面を備えた環状の構成部分76
は、軸方向の付加部43の端面とリング板27との間に軸方
向で締め付けられた半径方向内側の板状の領域76aと、
円環状の外側の領域76bとを備えており、この領域76bに
は板75がその軸方向のプレロードで密着している。 環状の構成部分76の半径方向外側の領域76bは半径方
向内側の領域76bに対して軸方向で、はめ合い結合部42
の対向成形部73を備えたリング板27から引つ込んでい
る。第1a図から判るように、パツキン74は両方のはずみ
車部分3,4間に存在する環状ギヤツプ68に向かつて環状
の室30をシールしている。 両方のはずみ車部分3,4の軸方向のはめ合わせを可能
ならしめるために、板75の内径は半径方向の突起若しく
は対向成形部73の外径に比して大きい。板75を軸方向で
支持させている環状の構成部分76の領域76bは対向成形
部73よりさらに半径方向外側に延びている。 はめ合い結合部42及びパツキン74はトルク伝達装置1
の特別簡単な組み立てを可能ならしめる。すなわち、ま
ずはじめに、両方のはずみ車部分3,4が前組み立たさ
れ、次いで軸部20の端面に安全板22が軸方向ではめ合わ
せて固定することによつて軸方向で互いに結合される。
このことのためにまず、パツキン74がはずみ車部分3に
前組み立てされ、玉軸受け16がはずみ車部分4に嵌合さ
れる。両方のはずみ車部分3,4の組み立て時に内輪19が
ケーシング部分31の軸方向の軸部20の段部20aに押しは
められ、対向成形部73が成形部72に係合させられる。さ
らに、両方のはずみ車部分3,4のはめ合わせ時に板75の
半径方向内側の領域の被覆75bが、構成部分76の半径方
向外側の領域76bの対向シール面に当接し、そのため板7
5は皿ばねのように旋回してプレロードによつて領域76b
に当接する。両方のはずみ車部分3,4相互の最終的な軸
方向の固定はすでに述べたように、軸部20に安全板22を
固定することによつて行われる。 次に第1図、第1a図及び第2図に基づいて本発明装置
の作用を説明する。 第2図に示す休止位置からはずみ車部分3に対しては
ずみ車部分4が回転すると、フランジ41がはめ合い結合
部42を介して駆動され、これによつて、まず内側のばね
48bが周方向ストツパ65,66との間で圧縮される。一方の
回転方向若しくは他方の回転方向での回転角79,80だけ
相対的に回転した後に、半径方向の領域50が内側のコイ
ルばね48の端部に当接し、その結果、コイルばね48bに
対して付加的に両方のはずみ車部分3,4がさらに相対的
に回転するとコイルばね48aが圧縮される。一方の回転
方向若しくは他方の回転方向で回転角79a,90aだけ相対
的に回転すると、外側のコイルばね45が半径方向のアー
ム44によつて負荷され、従つて、引き続く相対回転時に
このコイルばねが周方向ストツパ55,55aと半径方向アー
ム44との間で圧縮される。図示の実施例では回転角79は
回転角79aに、回転角90は回転角90aにそれぞれ相応して
おり、従つてコイルばね48a及びコイルばね45は同時に
作用する。これによつて、第1図及び第2図に示す実施
例では2段階のばね特性曲線が生じる。しかし、回転角
79,90,79a,90aは部分的にのみ同じ値を有することがで
き、又は種々の値を有することもできる。それゆえ、両
方の回転方向で少なくとも3段階のばね特性曲線が可能
であるか、又は一方の回転方向で少なくとも2段階のば
ね特性曲線と他方の回転方向で少なくとも3段階のばね
特性曲線が可能である。 第2図で一点鎖線で示したように、周方向ストツパ6
5,66はさらにコイルばね48の、フランジ41内で抑えられ
たばね端に対して引つ込んでいることもでき、この場合
には、両方のはずみ車部分3,4間の相対運動の零位置を
中心に所定角度にわたつてばね力が生ぜず、かつ場合に
よつてはたんに液圧的な若しくは粘性的な緩衝及び摩擦
的な緩衝又はそのいずれかしか生じない。 図示の実施例ではコイルばね48a,48b,45の共通の圧縮
は、少なくとも内側のコイルばね48aが密着高さまで圧
縮され、これによつて両方のはずみ車部分3,4間の相対
回転が制限されるまで行われる。両方のはずみ車部分3,
4の相対回転時に凹設部52,53の面若しくはスチールバン
ド81での外側のコイルばね45の摩擦並びに領域76bでの
板75の摩擦による摩擦緩衝が生じる。半径方向内側のコ
イルばね48と、その半径方向の支持領域との間にも摩擦
緩衝が生じる。コイルばね45と半径方向の支持領域との
間に生じる摩擦緩衝は回転数に依存しており、回転数増
大に伴い緩衝作用が増大する。さらに、環状の室30内に
存在する粘性媒体若しくはペースト状の媒体の攪乱若し
くは圧迫による緩衝作用も生じる。特に、実際に閉じら
れた環状通路状の受容部51内に存在する粘性媒体は液圧
的な若しくは粘性的な緩衝を生ぜしめる。なぜならば、
環状通路状の受容部内のばね受け59がピストンに似た作
用を行うからである。外側のコイルばね45の圧縮時に、
アーム44によつて負荷されたばね受け59は周方向ストツ
パ55,55aに当接したばね受けへ向かつて運動し、これに
よつて、コイルばね内に存在する粘性媒体が主として絞
りに似た隙間54を通つて押し出される。粘性媒体のその
他の部分はばね受け59と環状通路状の受容部51との間で
圧迫される。初めは内向きに押し退けられた粘性媒体は
これに作用する遠心力によつて再び周方向にわたつて均
一に分配される。外側のコイルばね45の負荷軽減時にば
ね受け59の、ばね45とは逆の側に存在する粘性媒体が同
様にばね受けのところで圧縮されて隙間54を通つて押し
退けられ、これに作用する遠心力によつて再びコイルば
ね内に充填される。粘性媒体によつて生じる緩衝は粘性
媒体に作用する遠心力に依存する。換言すれば、回転数
増大に伴つて緩衝作用が増大する。 半径方向内側のコイルばね48の、粘性媒体内に浸され
た領域は同様に攪乱によつて粘性的若しくは液圧的な緩
衝作用を生ぜしめる。 少なくとも1つのばね受けに軸方向の切欠を設けるこ
とによつてかつ隙間54若しくはばね受けの外周を適当に
設計することによつて、粘性媒体によつて生じる緩衝作
用を変化させることができ、若しくはその都度の使用条
件に適合させることができる。さらに、若干のコイルば
ね45にだけばね受けを備えることによつて、粘性的な若
しくは液圧的な緩衝作用を適合させることができる。少
なくとも1つの内側のコイルばね48のばね端とフランジ
44の半径方向の領域50との間にばね受けを設けることも
できる。 特に第2図から判るように、はずみ車部分3の構成部
材3aはその外周部に半径方向のアーム86を有しており、
このアームにそれぞれ摩擦クラツチ7を固定するための
ねじ穴が設けらている。若干のアーム86がピンを受容す
るための孔を備えており、このピンは組み立て時に構成
部材3aへのクラツチカバーの正確な位置決めを保証す
る。 半径方向のアーム86ははずみ車部分3の簡単な構造を
可能ならしめる。さらに、半径方向のアーム86間に存在
するへこみ86aによつて、構成部材3aひいてはこれに取
り付けられるクラツチの冷却効果が改善される。なぜな
らば、クラツチカバーとへこみ86aとの間に空気循環が
生じるからである。 さらに、半径方向アーム86の存在によつて、構成部材
3aは与えられた質量で摩擦面4aの領域で比較的厚く形成
され、従つてこの領域の過熱が回避される。 粘性媒体によつて生じる緩衝作用の変化は、環状通路
状の受容部51が少なくとも1つのコイルばねの長さの少
なくとも部分範囲にわたつて一定の横断面を有せず、こ
れによつて、横断面が大きい領域ではずかな緩衝作用が
生じ、横断面が小さい領域では大きな緩衝作用が生じる
ことによつて得られる。受容部51のこの横断面変化は任
意の箇所又は複数の箇所に設けることができるが、圧縮
されないコイルばね45の端部にこのような横断面変化部
若しくは横断面拡大部を設けると特に効果的である。そ
の場合、横断面変化は急激的又は累進的であつてもよ
い。その場合、横断面拡大部は受容部51の半径方向内側
の半分の領域に設けられると有利である。この種の横断
面拡大部が第2図に符号89によつて示されている。この
横断面拡大部89はフランジ41に一体成形されており、こ
のフランジ41は受容部51を半径方向内側に向かつて制限
若しくは閉鎖している。しかし、横断面拡大部89は受容
部51を制限する凹設部52,53の適当な成形によつても得
ることができる。 室30内への粘性媒体の装入は両方のはずみ車部分3,4
の組み立て若しくははめ合わせ前に行うことができる。
室30はこのような少なくとも部分的な充填は、両方のは
ずみ車部分3,4のはめ合わせによつて閉鎖される、室30
の領域を通して粘性媒体を装入することによつて可能で
ある。 第1図、第1a図、第2図に示す実施例ではこの領域は
板75と軸部20との間に存在する。 潤滑剤、グリース又は類似物などのペースト状の媒体
から成ることのできる粘性媒体によつて室30内を充填す
るために、粘性媒体に作用する遠心力がこれを周方向に
わたつて均一に分配することができる回転数まではずみ
車部分3,4が回転させられる。このような方法によれ
ば、発生する温度領域にわたり可能なかぎり状態変化の
ない又は少ないペースト状の媒体、要するに少なくとも
粘性の著しい変化のない媒体によつて室30内を充填すれ
ば、室30の周囲にわたり均一な分配若しくは均一な充填
高さが得られ、そのため、次いで行われる装置1の極め
て正確な釣り合わせが可能となる。 跳ね飛ばし回転数は4000ないし7000r.p.m.、有利にほ
ぼ5000ないし6000r.p.m.である。室を備えたはずみ車部
分3は、他方のはずみ車部分4との組み付け前に釣り合
わせることができる。その場合、他方のはずみ車部分4
は同様にそれだけ釣り合わされ、そのため両方のはずみ
車部分3,4のはめ合わせの後には装置1が釣り合わされ
ている。両方のはずみ車部分を組み付けた後に釣り合わ
せ行つても効果的である。 室内での粘性媒体の十分な分配を生ぜしめる跳ね飛ば
し回転数はほぼ4000ないし7000r.p.m.、有利には5000な
いし6000r.p.m.である。跳ね飛ばし時間は30秒ないし3
分有利にはほぼ1分でる。はずみ質量体又は粘性媒体を
室内に充填する前に加熱すれば、跳ね飛ばし回転数並び
に跳ね飛ばし時間を軽減することができる。このような
加熱によれば室30内での粘性媒体の分配が良好となる。 はずみ車部分3,4若しくは装置1全体の釣り合わせは4
00ないし2000r.p.m.の回転数で行われてもよい。 第3図に示す実施例の装置101では、はずみ車部分103
の、機関に面した側壁103aに少なくとも1つの穴191が
設けられており、この穴を通してグリースなどの粘性媒
体を室130内に装入することができる。粘性媒体の装入
後、穴191がシール栓192によつて閉鎖される。シール栓
192は穴191内に圧入される。第3図に示す実施例ではシ
ール栓192がみぞ193を備えており、このみぞ193内にパ
ツキンリング194が収容されており、このパツキングリ
ングが穴191をシールしている。室130を制限するカバー
132は薄板成形部分によつて形成されており、これはリ
ベツト結合部材138によつて軸方向の突出部131の端面に
固定されている。遠心力によつて室130内から粘性媒体
が流出するのを阻止するために、リベツト結合部材138
の半径方向内側にパツキン136が配置されている。 カバー132の半径方向内側の領域とはずみ車部分104の
肩との間に皿ばね状のパツキン部材175が軸方向で緊張
されており、このパツキン部材は室130内を外部に対し
てシールしている。 両方のはずみ車部分103,104は転がり軸受け116によつ
て回転可能に支承されている。符号174は皿ばねを示
す。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の1実施例の断面図、第1a図は第1図の
符号Xで示す部分の拡大図、第2図は第1図からクラツ
チを欠載して矢印IIの方向から見た図、第3図は本発明
の別の実施例の部分断面図である。 1……トルク伝達装置、2……はずみ車、3,4……はず
み車部分、3a……構成部材、4a……摩擦面、5……クラ
ンク軸、6……固定ねじ、7……摩擦クラツチ、8……
圧力板、9……クラツチ板、10……入力軸、11……クラ
ツチカバー、12……皿ばね、13,14……ダンパ、15……
軸受け、16……玉軸受け、17……外輪、18……切欠、19
……内輪、20……軸部、20a……段部、21……肩、22…
…安全板、22a……リベツト、23,24……リング、23a,24
a……脚部、25……肩、26……リベツト、27……リング
板、28,29……皿ばね、30……室、31,32……ケーシング
部分、32a……付加部、32b……縁、34……外周面、35…
…内周面、38……ピン、40……始動歯冠、41……フラン
ジ、42……はめ合い結合部、44……アーム、45……コイ
ルばね、46……切欠、47……窓、48,48a,48b……コイル
ばね、49……ウエブ、50……領域、51……受容部、52,5
3……凹設部、54……隙間、55,55a……周方向ストツ
パ、58……リベツト、59……ばね受け、59a……突起、6
0,61……領域、62……通路、63,64……凹設部、65,66…
…周方向ストツパ、68……環状ギヤツプ、69……通気通
路、71……切欠、72……成形部、73……対向成形部、74
……パツキン、75……板、75a,75b……被覆、76……構
成部分、76a,76b……領域、80……支持体、80a,80b……
領域、81……スチールバンド、82……切欠、86……アー
ム、86a……へこみ、89……横断面拡大部
符号Xで示す部分の拡大図、第2図は第1図からクラツ
チを欠載して矢印IIの方向から見た図、第3図は本発明
の別の実施例の部分断面図である。 1……トルク伝達装置、2……はずみ車、3,4……はず
み車部分、3a……構成部材、4a……摩擦面、5……クラ
ンク軸、6……固定ねじ、7……摩擦クラツチ、8……
圧力板、9……クラツチ板、10……入力軸、11……クラ
ツチカバー、12……皿ばね、13,14……ダンパ、15……
軸受け、16……玉軸受け、17……外輪、18……切欠、19
……内輪、20……軸部、20a……段部、21……肩、22…
…安全板、22a……リベツト、23,24……リング、23a,24
a……脚部、25……肩、26……リベツト、27……リング
板、28,29……皿ばね、30……室、31,32……ケーシング
部分、32a……付加部、32b……縁、34……外周面、35…
…内周面、38……ピン、40……始動歯冠、41……フラン
ジ、42……はめ合い結合部、44……アーム、45……コイ
ルばね、46……切欠、47……窓、48,48a,48b……コイル
ばね、49……ウエブ、50……領域、51……受容部、52,5
3……凹設部、54……隙間、55,55a……周方向ストツ
パ、58……リベツト、59……ばね受け、59a……突起、6
0,61……領域、62……通路、63,64……凹設部、65,66…
…周方向ストツパ、68……環状ギヤツプ、69……通気通
路、71……切欠、72……成形部、73……対向成形部、74
……パツキン、75……板、75a,75b……被覆、76……構
成部分、76a,76b……領域、80……支持体、80a,80b……
領域、81……スチールバンド、82……切欠、86……アー
ム、86a……へこみ、89……横断面拡大部
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.緩衝手段に逆って相対回転可能に支承された少なく
とも2つのはずみ質量体を備え、一方のはずみ質量体が
機関に、他方のはずみ質量体が変速機に結合可能であ
り、かつ少なくとも一方のはずみ質量体が、ペースト状
媒体若しくは粘性媒体によって部分的に充填された室を
備え、この室内に、両方のはずみ質量体間の相対回転に
逆らう緩衝手段が収容されている形式の特に車両のパワ
ートレーン内の回転振動を緩衝する装置を製造するため
の方法において、室内に媒体を充填した後で、装置(1;
101)の釣り合わせつまりバランシングの前に、少なく
とも室(30;130)を有する方のはずみ質量体(3;103)
を、媒体を室(30;130)のできるだけ一定な半径方向内
側位置に分配することができる跳ね飛ばし回転数に回転
させることを特徴とする、回転振動を緩衝する装置を製
造するための方法。 2.はずみ質量体(3;103)を、跳ね飛ばし回転数にも
たらす前に、室(30;130)を部分的に充填する特許請求
の範囲第1項記載の方法。 3.室(30;130)の部分的な充填をはずみ質量体(3;10
3)の回転中に行なう、特許請求の範囲第1項記載の方
法。 4.跳ね飛ばし回転数を釣り合わせ回転数の2ないし15
倍にする、特許請求の範囲第1項から第3項までのいず
れか1項記載の方法。 5.跳ね飛ばし回転数を4000ないし7000r.p.m.にする、
特許請求の範囲第1項から第4項までのいずれか1項記
載の方法。 6.はずみ質量体(3;103)を30秒ないし3分の間跳ね
飛ばし回転数に維持する、特許請求の範囲第1項から第
5項までのいずれか1項記載の方法。 7.粘性媒体を容易かつ良好に分配するために、少なく
とも室(30;130)を有する方のはずみ質量体(3;103)
を加熱する、特許請求の範囲第1項から第6項までのい
ずれか1項記載の方法。 8.粘性媒体を室(30;130)内に装入する前に加熱す
る、特許請求の範囲第1項から第7項までのいずれか1
項記載の方法。 9.はずみ質量体(3;103)及び粘性媒体の少なくとも
いずれかを80℃ないし250℃の温度に加熱する、特許請
求の範囲第1項から第8項までのいずれか1項記載の方
法。 10.粘性媒体を、はずみ質量体(103)の室(130)内
へ、この室内に開口した閉鎖可能な開口(191)を通し
て噴入若しくは注入する、特許請求の範囲第1項から第
9項までのいずれか1項記載の方法。 11.室(30;130)に粘性媒体を充填する前に装置(1;
101)全体を前組立する、特許請求の範囲第1項から第1
0項までのいずれか1項記載の方法。 12.まず粘性媒体をはずみ質量体(3;103)の室(30;
130)内へ分配し、次いで両方のはずみ質量体(3,4;10
3,104)を互いに組合わせる、特許請求の範囲第1項か
ら第10項までのいずれか1項記載の方法。 13.組立完了した装置(1;101)を釣り合わせる、特
許請求の範囲第1項から第12項までのいずれか1項記載
の方法。 14.釣り合わせ回転数を400ないし2000r.p.m.にす
る、特許請求の範囲第1項から第13項までのいずれか1
項記載の方法。 15.装置(1;101)の組立て前に、粘性媒体のための
室を有するはずみ質量体(3;103)と他方のはずみ質量
体(4;104)とをそれぞれ別個に釣り合せる、特許請求
の範囲第1項から第14項までのいずれか1項記載の方
法。 16.粘性媒体若しくはペースト状媒体として、潤滑
剤、グリース又はこれと類似のものを使用する、特許請
求の範囲第1項から第15項までのいずれか1項記載の方
法。
Applications Claiming Priority (6)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
DE8623931 | 1986-09-06 | ||
DE8623931.7 | 1986-09-06 | ||
DE3631986.4 | 1986-09-19 | ||
DE3631986 | 1986-09-19 | ||
DE3642688.1 | 1986-12-13 | ||
DE3642688 | 1986-12-13 |
Related Child Applications (2)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP06554199A Division JP3388199B2 (ja) | 1986-09-06 | 1999-03-11 | 回転振動を緩衝する装置 |
JP23604699A Division JP3390152B2 (ja) | 1986-09-06 | 1999-08-23 | 回転振動を緩衝する装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6372918A JPS6372918A (ja) | 1988-04-02 |
JP3004273B2 true JP3004273B2 (ja) | 2000-01-31 |
Family
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