JP3003989B2 - 豚流行性下痢ウイルス(pedv)感受性細胞の作出法 - Google Patents

豚流行性下痢ウイルス(pedv)感受性細胞の作出法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は豚流行性下痢ウイル
ス(以下「PEDV」と略称する)を産生するトリプシ
ン耐性豚細胞の作出方法、PEDVの増殖単離方法およ
びその診断法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】豚流
行性下痢(PED)は、1971年に英国で豚の急性下
痢症が発生し、その原因はそれまで知られていた下痢の
起因微生物ではなく、新しく発見されたコロナウイルス
によることが明らかにされ、PEDVと名づけられた。
PEDは今や世界的に発生が見られ、わが国においても
1982年に初発生があり、1994年以後全国的に発
生を見ている。PEDVは全ての年令の豚に感染し、感
染豚は嘔吐、発熱、水様性の下痢(または軟便)、食欲
不信等の症状を呈する。哺乳豚が感染すると10〜10
0%の死亡率となり、母豚では泌乳の減少や停止などを
起こし、さらには死流産を起こすこともある。本病によ
る経済的損失は、流産や死産、哺乳豚の死亡、下痢によ
る発育低下、飼料効率の低下、薬剤費や労賃の増加など
により甚大な金額となる。PEDVはVero細胞にト
リプシンを低濃度添加して培養することにより増殖する
ことが報告されているが、下痢便からウイルスを分離す
るには、下痢便を細胞に接種して、数回継代培養するこ
とが必要で短期間に診断することが困難であった。さら
にPEDVが関与する下痢の内、数少ない症例でPED
Vが分離ささるに過ぎない。また、PEDVの培養には
培養液にトリプシンを添加しなければならない。トリプ
シンの作用により健康な細胞は障害を受けるのでウイル
スを大量に得ることが難しい。このようなことから、本
ウイルスに関する研究ならびに本病の診断、予防法など
の研究のために、本ウイルスに感受性があり、トリプシ
ンに耐性を示す継代細胞の樹立が強く望まれている。
【0003】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに、本発明は子豚および豚胎子の多くの臓器から培養
細胞を作出し、それぞれの培養細胞からトリプシンによ
る障害が低い細胞を取り出した。さらに、PEDVを接
種、培養し、ウイルスが増殖したかどうかを細胞変性を
指標にウイルス感受性細胞を見出したものである。これ
らの細胞は下記の実施例により詳述する。
【0004】実施例 1トリプシン耐性豚腎(TR−SK)細胞の作出 子豚の腎臓を採取し、0.25%トリプシン溶液と0.
2%EDTA溶液の等量混合液を加え、細胞を単離し、
細胞培養液(イーグルMEM液に容量百分率で非働化牛
血清10%、トリプトースホスフェートブロス10%、
カナマイシン100μg/ml、およびファンギゾン1
μg/mlを混合したもの)で細胞浮遊液を調製した。
この細胞浮遊液を細胞培養マイクロプレートに分注し、
培養した。培養1週間後にマイクロプレートの底面に細
胞の増殖が見られた。ついで、0.25%トリプシン溶
液と0.2%EDTA溶液の等量混合液を加え、細胞を
単離し、再度細胞培養液で細胞浮遊液を調製した。この
細胞浮遊液を細胞培養マイクロプレートに分注し培養し
た。培養後3日で細胞のシートが形成された。この細胞
シートをトリプシン添加培養液(イーグルMEM液に容
量百分率でトリプトースホスフェートブロス10%、カ
ナマイシン100μg/ml、ファンギゾン1μg/m
lおよびトリプシン10μg/mlに混合したもの)で
3回洗浄して、同培養液で培養した。培養後2〜4日で
トリプシンに感受性のある細胞はマイクロプレートの底
面から剥離し培養液中に浮遊した。さらに培養を継続し
た結果、3〜5週後に増殖する細胞が散見された。この
ような状態に達したときに、これまでの培養液を棄てて
5%に牛胎子血清を加えたトリプシン添加培養液を加え
てさらに培養を継続した。増殖する細胞がシートを形成
した段階で培養液を除き、細胞を継代した(トリプシン
/EDTA溶液で細胞を単離し、細胞培養液で再度培養
する)。上記操作を3回繰り返し、トリプシン耐性細胞
を作出した。
【0005】実施例 2トリプシン耐性豚小腸上皮(TR−SSI)細胞の作出 豚胎子の小腸を摘出し、小腸粘膜をメスなどの甲で剥離
して、細胞培養液に浮遊させた。ついで、この浮遊液を
マイクロプレートに分注し37℃で培養した。3〜4週
間経過すると培養細胞の増殖が見られた。この細胞を実
施例1に記載の方法にしたがいトリプシン耐性小腸上皮
(TR−SSI)細胞を作出した。
【0006】実施例 3 上記実施例のように、豚腎、豚小腸上皮以外に、豚膀胱
上皮、豚血管内皮、豚肺胞上皮を使って同様な処理を行
うことにより、トリプシン耐性でPEDウイルスを生産
する細胞を得ることができた。
【0007】実施例 4PEDVの増殖・単離法 TR−SK細胞およびTR−SSI細胞においても下記
の方法によりPEDVを培養増殖することができた。単
層を形成した細胞を前記のトリプシン溶液で細胞をばら
ばらにした。これを細胞培養液中に約100万個/ml
に浮遊させ、ついで培養瓶に分注し37℃で1〜3日間
培養した。単層を形成したところでPEDVを接種し、
37℃で60〜90分感作し、ウイルスを完全に細胞に
吸着させた。ついで前記ウイルス液を除去し75μg/
mlの割合にトリプシンを添加した培養液で1〜4日間
培養した。このように各細胞はいずれもウイルス接種後
1〜5日で特有の細胞変性効果を示してくるので、この
時期に培養液を採取した。このように採取した培養液に
含まれるウイルス量はいずれも107.0 TCID50/m
l以上であった。
【0008】実施例 5下痢の原因の診断方法 下痢便や腸管等を試料製作用培養液(ニッスイ製イーグ
ルMEM液、pH7.2)で10%乳剤を作製した。こ
の試料をマイクロプレートでシートを形成させたTR−
SK細胞あるいはTR−SSI細胞に接種し、60〜9
0分間感作した。接種試料を除き、75μg/mlの割
合にトリプシンおよび1%にゼラチンを添加したMEM
培養液、およびトリプシンを添加していないMEM培養
液を加え、平行して培養した。試料中にPEDウイルス
が存在する場合は、トリプシン添加培養液で培養した細
胞では1〜3日で明瞭な特徴のある細胞変化が現れ、マ
イクロプレートの底面から剥離した。一方、トリプシン
を添加していないMEM培養液で培養した細胞では細胞
変化は観察されなかった。試料中にPEDVが存在しな
い場合は、両接種細胞で細胞の変化は起きなかった。試
料中にPEDV以外のウイルスが存在する場合は、培養
液にトリプシンの添加の有無に関係なく細胞の変化(ウ
イルスの種類により特徴的な細胞変化)が起きた。この
方法により下痢の原因がPEDVによるものかどうかを
診断することができた。さらに詳しくは、トリプシン添
加培養液で培養した細胞は1〜3日で明瞭な特徴のある
細胞変化が現れたところで細胞を遠心により集め、スラ
イドグラスに塗沫し蛍光抗体法または酵素抗体法の1つ
であるストレプトアビジン−ビオチン法(以下「ABC
法」と呼ぶ)によりPEDV抗原を同定した。
【0009】実施例 6TR−SK細胞およびTR−SSI細胞を用いた中和抗
体測定による診断法 PEDVに感染した豚の体内にはウイルスに対する中和
抗体が産生される。この中和抗体を測定することにより
PEDVに感染したかどうか診断することができる。本
中和抗体測定にはTR−SK細胞またはTR−SSI細
胞を用いることにより可能になった。まず、2倍段階希
釈した非働化した血清50μlと等量の200TCID
50/mlにPEDV液を混合して、37℃で60分間反
応させた。マイクロプレートに培養したTR−SK細胞
またはTR−SSI細胞に上記のウイルスと血液の混合
液50μlを接種し、37℃で60分間吸着させた。接
種液を取り除き、75μg/mlの割合にトリプシンお
よび1%にゼラチンを添加したMEM培養液で3回洗浄
した後、同培養液で37℃で培養した。PEDVによる
細胞変化が見られない場合を抗体陽性として、細胞変化
を抑制する血清の最高希釈倍数を中和抗体価とした。こ
のようにして求めた中和抗体価がウイルス感染前よりも
ウイルス感染後の血清で上昇している場合、PEDVに
感染していると診断できる。PEDVの感染により下痢
症状を呈した豚の、発症中および発症後3週目の血清中
の中和抗体を測定した結果、発症中では抗体は陰性で、
発症後3週目には64〜256倍に中和抗体が上昇して
いた。このことから、この下痢の原因はPEDVによる
ものと診断することができた。
【0010】実施例 7PEDVに感染したTR−SK細胞あるいはTR−SS
I細胞を使用したPEDV抗体の検出法 実施例3の方法によりTR−SK細胞あるいはTR−S
SI細胞にPEDVを感染させ、2日間培養した。培養
液中に浮遊する細胞および底面に付着している細胞を
0.25%トリプシン溶液と0.2%EDTA溶液の等
量混合液を加え、単離し、両者の細胞を1000回転5
分間の遠心で沈澱に集めた。このウイルス感染細胞を少
量のリン酸緩衝食塩液に浮遊させ、スライドグラス用カ
バースリップの表面に塗沫し乾燥させた。このように作
製したPEDV感染細胞を使用し、間接蛍光抗体法によ
り血清中のPEDVに対する抗体を検出することがで
き、PEDの診断ができた。
【効果】以上の説明で分かるように、本発明の各細胞に
よる培養法は、PEDVを良く増殖せしめ、かつこれら
細胞培養におけるウイルスの継代および定量が可能とな
った。また、ウイルス感染細胞を使用することにより本
ウイルス抗体を測定することができた。さらに、本ウイ
ルスの研究ならびに本病の診断の有力な手段が確立さ
れ、また本発明の培養法により本病を予防するための不
活性化ウイルスワクチンおよび弱毒生ワクチンの製造の
基礎が確立される等本病の対策に貢献することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−95789(JP,A) 特開 昭48−62989(JP,A) 特開 昭62−179385(JP,A) J.Vet.Med.Sci. (1992)Vol.54,No.2,p. 313−318 SCIENCE(1986)Vol.233, No.4760,p.215−219 Journal of Immuno logical Methods (1983)Voi.56,p.305−317 AIDS RESEARCH AND HUMAN RETROVIRUSE S(1991)Vol.7,p.83−88 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 5/06 C12N 7/00 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 豚由来の培養細胞を、トリプシン添加細
    胞培養液で培養し、トリプシン耐性細胞を採取すること
    を特徴とする、豚流行性下痢ウイルス生産細胞の作出方
    法。
  2. 【請求項2】 トリプシン添加培養液はイーグルMEM
    液に容量百分率でトリプトースホスフェートブロス10
    %、カナマイシン100μg/ml、ファンギゾン1μ
    g/mlおよびトリプシン10μg/mlを混合したも
    のである、請求項記載の作出方法。
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AIDS RESEARCH AND HUMAN RETROVIRUSES(1991)Vol.7,p.83−88
J.Vet.Med.Sci.(1992)Vol.54,No.2,p.313−318
Journal of Immunological Methods(1983)Voi.56,p.305−317
SCIENCE(1986)Vol.233,No.4760,p.215−219

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