JP3002722B2 - 円筒形カーディオイドハイドロホン - Google Patents

円筒形カーディオイドハイドロホン

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JP3002722B2
JP3002722B2 JP9106303A JP10630397A JP3002722B2 JP 3002722 B2 JP3002722 B2 JP 3002722B2 JP 9106303 A JP9106303 A JP 9106303A JP 10630397 A JP10630397 A JP 10630397A JP 3002722 B2 JP3002722 B2 JP 3002722B2
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cardioid
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宏幸 三上
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防衛庁技術研究本部長
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所定の方向からの
音波を受波するべく、カーディオイド指向性を有する円
筒形カーディオイドハイドロホンに関し、水中音響機器
として、例えばえい航式ソーナーやソノブイの受波セン
サとして利用できる円筒形カーディオイドハイドロホン
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】3個の受波センサを用いてカーディオイ
ド指向性を得るには、例えば3個の無指向性受波センサ
を直線状に配列し、受波感度の等しい両端の受波センサ
出力E 1 ,E2 を逆相並列接続すると、圧力傾度型とな
って、その出力E3 は(1)式で表される。
【0003】
【数1】
【0004】上記出力と、位相をπ/2だけずらし、か
つ、受波センサの感度を等しく調整等を行う電子回路部
を介して中央配置の無指向性受波センサと直列または並
列接続した合成出力によって得ることができる。
【0005】すなわち、(1)式において、kd・si
nθ/2≪1の場合
【0006】
【数2】
【0007】k=2π/λ (λ:音波の波長)
【0008】中心配置の受波センサの指向性を
【0009】
【数3】
【0010】とすると、3個の受波センサ出力の合成和
は、(3)式になる。
【0011】
【数4】
【0012】これがカーディオイド指向特性“A(1+
cosθ)”になるためには、A=A0 kd,φ=±j
π/2とする必要がある。
【0013】すなわち、出力を圧力傾度型の最大出力で
ある直線配列方向の値と一致させ、位相をπ/2だけず
らせば、それらの合成和によってカーディオイド指向性
が得られる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
にしてカーディオイド指向性を得る場合、受波センサを
ベース上に所要の間隔に配列し、受波センサとして円筒
形圧電磁器振動子を用いてカーディオイドハイドロホン
を構成した場合、入射音波がベースや受波センサ間での
反射による音波の重畳の影響によって指向性パターンが
乱されることがある。
【0015】また、構造が複雑になるばかりか、そのよ
うな構造にあっては円筒形圧電磁器振動子の配列構成の
組立部全体に複雑な共振を生じ、それが音響信号に重畳
することによって、極めて好ましくない周波数特性のハ
イドロホンになり、これによっても指向性パターンが乱
されることになる。
【0016】また、組立部全体の振動による共振特性を
有する場合には、水温や水圧によっても特性が著しく変
わるため、計測のつど補正や補正のための余分な計測作
業と共に煩雑で細かい計算作業が発生する。しかも、複
合による影響を個々の要因毎に分離することが至難であ
り、正確な補正を行うことも難しく、ひいては、計測精
度の劣化に及ぼす影響も否めない。
【0017】ところで、上記の配列構成によってハイド
ロホンを製作する場合、従来方法によれば、ハイドロホ
ン各部の材質は、合成ゴム又は合成樹脂製のブーツ、キ
ャップ、ゴム座及びチタン・ジルコン酸鉛系磁器振動子
等の構成部品の他は、主として、黄銅とアルミ合金であ
り、このため、比較的大重量となる。
【0018】それに伴って強度のある太いケーブルを使
うはめになって、ますます重量増となり、持ち運びやケ
ーブル捌き作業にそれだけ人手を余分に要することにな
る。特に、試験の目的によっては、ハイドロホンを中性
浮力にしてケーブルによってえい航する場合とか水中に
浮遊させて音響計測をする必要のある時もあるが、上記
の材質の場合には、重量の点で、それらの実現が難し
い。
【0019】そこで、本発明は、上述した従来の問題点
を一挙に解決すべく、小型軽量で単一円筒によってカー
ディオイド指向性を形成することができる円筒形カーデ
ィオイドハイドロホンを提供することを目的とするもの
である。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の要旨とするところは、ハイドロホンの受
波センサにおいて、軽量で硬質のポリ塩化ビニル分割円
筒をコンパウンド接合した円筒基盤を補強材とし、その
内周面上と外周面上に電気音響変換素子として、軽量で
可撓性を有するシート状の高分子圧電材を装着して前記
欠点を解決すべくなされたものである。
【0021】これを、図1乃至図5の実施の形態を参照
して説明すれば、本発明の請求項1の円筒形カーディオ
イドハイドロホンは、単一円筒で形成されるハイドロホ
ンの円筒受感部として、軸方向に分割された貫通孔付き
円筒基盤を補強材とし、前記円筒基盤の内周面上と外周
面上に該円筒基盤の分割部分を境にして、可撓性を有す
る高分子圧電材をそれぞれ装着し、前記円筒基盤の一方
の周面上に装着した高分子圧電材を同相並列接続又は同
相直列接続して無指向性出力とし、前記円筒基盤の他方
の周面上に装着した高分子圧電材を逆相並列接続又は逆
相直列接続して双指向性出力とし、前記無指向性出力と
双指向性出力との合成出力によりカーディオイド指向性
を得ることを特徴としている。
【0022】また、請求項2の発明は、上記2組の円筒
受感部を備え、該2組の円筒受感部をその対向する一端
で環状ベースに対称に取付けて形状及び質量中心で支持
し、機械的振動により各円筒受感部に発生する加速度出
力電圧を相殺するよう構成したことを特徴としている。
【0023】さらに、請求項3の発明は、請求項1又は
2の円筒形カーディオイドハイドロホンにおいて、前記
無指向性出力と双指向性出力とをインピーダンス変換し
て出力する前置増幅器と、前記双指向性出力の互いに1
80度の向きの最大感度と前記無指向性出力の感度を等
しくさせる主増幅器と、前記無指向性出力又は双指向性
出力の位相をπ/2ずらす移相器とを備えたことを特徴
としている。
【0024】本発明の円筒形カーディオイドハイドロホ
ンの円筒受感部に適用している高分子圧電材は、従来の
箔膜程度のPVDFフィルムのように、補強材である基
盤の伸縮による歪みに依存した出力電圧を得るものとは
異なり、0.5mm以上の厚さを有するPFDFであ
り、主として、高分子圧電材自体の体積変化によって出
力電圧を得るものである。
【0025】そして、本発明の円筒形カーディオイドハ
イドロホンの円筒受感部に適用している高分子圧電材を
従来の圧電磁器と比較すると、主たる特徴としては、次
のようになる。 (1)可撓性を有するので、他の物体に沿わせたり接着
することが容易 (2)衝撃に強く、落としても割れない。 (3)g(電圧出力)定数が大きいので、受波感度が高
い (4)密度は約1.9g/cm2 であり、比較的軽量で
ある。
【0026】なお、ハイドロホンを作る場合には、高分
子圧電材をそのまま使うことは出来ないので、水圧等に
耐えうる何らかの補強材が必要であり、本発明の例で
は、振動の独立化のために、軽量で硬質のポリ塩化ビニ
ル円筒を分割して、それをコンパウンド接合した円筒基
盤を用いている。
【0027】すなわち、円筒受感部は、貫通孔付き分割
円筒をコンパウンド接合した円筒基盤の内周面上と外周
面上に沿って装着するものである。ここでは、装着の一
例として貫通孔付き分割円筒をコンパウンド接合した円
筒基盤の内周面及び外周面に高分子圧電材を装着した円
筒受感部について説明する。
【0028】さらに、それらを包囲する籠形のケースで
構成し、器体等からの伝達振動の影響を回避するため、
他の固体と直接触れないように該ケースを発砲体でブー
ツ内に保持し、該ケース及びブーツ内に充填した液体を
音響媒体として、上記ブーツ外からの音波を上記高分子
圧電材に伝達するよう構成するものである。
【0029】そして、本発明は、ハイドロホンの円筒受
感部において、軽量で硬質のポリ塩化ビニル貫通孔付き
分割円筒基盤のを補強材とし、その内周面と外周面上に
電気音響変換素子として、軽量で可撓性を有するシート
状の高分子圧電材を装着し、そのうちの外周面上の高分
子圧電材の出力を逆相にして並列接続し、(1)式で示
す圧力傾度型の双指向性を得る。
【0030】さらに、これと内周面上に装着した高分子
圧電材出力の振幅を等しくし、位相をπ/2だけずらし
て接続すると、(2)式に示すカーディオイド指向性が
得られる。
【0031】また、加速度感度の低減のために、2組の
円筒受感部を備え、円筒受感部をその対向する一端で環
状ベースに取付けて形状及び質量中心で支持しており、
機械的振動による各受感部に発生する出力で相殺する電
気的回路接続により加速度出力電圧を抑制し、S/Nの
低下を回避するものである。
【0032】さらに、円筒受感部に伝わる加速度をさら
に低減させるため、円筒受感部を包囲する籠形ケース共
に振動を減衰させる効果もある発砲体内に埋納保持させ
ている。
【0033】また、水中音の受感部は発砲体及び油内に
浮いている状態にさせて、他の器体と直接触れることの
無いようにさせ、器体等からの振動の影響を避けてい
る。これにより、良好な受波感度周波数特性とカーディ
オイド指向特性が得られる。
【0034】従って、加速度出力は円筒受感部の加速度
出力電圧の相殺効果と発砲体による振動減衰効果によ
り、加速度出力抑制効果は従来の受波器よりも大幅に改
善される。受感部には器体の振動に基づく雑音出力が生
じないので、広範囲に渡って平坦特性を有する広帯域の
受波感度周波数特性になる。
【0035】本発明のハイドロホンは、1個の円筒形で
カーディオイド指向性を形成させることができるので、
3個の受波センサを個々に配置してカーディオイド指向
性を形成させる場合に比べて、音響的反射の影響が発生
しないという大きな利点があるほか、構造が単純にな
る。
【0036】本発明のハイドロホンには、水圧によって
変化するような遮音材等の空気を含む部材を用いていな
いこと、また、センサ部の支持部材は無垢、受感部の内
外面等全周に渡って水圧が均等に加わるので、従来品に
比べて水圧による特性の変化は極めて小さい。
【0037】本発明のハイドロホンの軽量化を図るため
に、各部材は合成ゴムまたは合成樹脂製であり、センサ
は比重約2.5の高分子圧電材であって、従来の圧電磁
器振動子の比重約7.5に比して小さい上、非金属材料
を用いて製作できるので極めて軽量である。
【0038】このため、受波センサを長尺のホース等に
市販品の絶縁油等と共に収納するだけで、水中浮遊ハイ
ドロホンや中性浮力のハイドロホンが容易に実現可能と
なる。
【0039】ハイドロホンの受波センサが衝撃によるひ
び割れや破損の発生が起こりにくい高分子圧電材である
から、軽量で作業の煩雑性の解消及びハイドロホンの破
損や損傷の対策のための代替品の用意等も不必要であ
る。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1
乃至図5に基づいて説明する。図1は本発明による円筒
形カーディオイドハイドロホンの一実施の形態を示す
図、図2は同ハイドロホンによる水平指向性パターンを
示す図、図3は同ハイドロホンにおけるセンサ部の配線
構成を示す図、図4は同ハイドロホンにおけるセンサ部
の中央縦断面図、図5は同ハイドロホンにおけるセンサ
部のI−I線横断面図である。
【0041】図1に示すように、円筒形カーディオイド
ハイドロホンは、センサ部1、前置増幅器2、制御部3
を備えて概略構成される。
【0042】センサ部1は、図4及び図5に示すよう
に、例えばポリ塩化ビニルのような軽量で硬質の材質か
らなる円筒基盤4を補強材としている。円筒基盤4は、
軸方向に均等に分割された2つの半筒部4a,4bで構
成される。これら半筒部4a,4bは、軸方向の両端面
がコンパウンド5で接合されて単一の円筒を形成し、独
立振動する構成となっている。
【0043】図4に示すように、センサ部1は、上記構
成による2組の円筒基盤4(4A,4B)を装備してい
る。円筒基盤4A,4Bは、対向する一端が軽金属製の
環状ベース6にそれぞれ装着され、環状ベース6の上下
に対称に取付けられる。
【0044】各円筒基盤4A,4Bの内周面には、接合
部であるコンパウンド5部分を境として、互いに相対す
るように高分子圧電材7(7a,7b,7c,7d)が
それぞれ装着されている。円筒基盤4Aの内周面に装着
された高分子圧電材7a,7bは、図3に示すように、
音波に対して同相に並列接続され、その両端が前置増幅
器2における一方のインピーダンス変換回路2aの入力
端子に接続されている。また、円筒基盤4Bの内周面に
装着された高分子圧電材7c,7dは、図3に示すよう
に、音波に対して同相に並列接続され、その両端が円筒
基盤4Aの内周面に装着された高分子圧電材7a,7b
に並列接続されている。
【0045】これにより、インピーダンス変換回路2a
からは、高分子圧電材7a,7b,7c,7dから高イ
ンピーダンスで入力される信号が低インピーダンスに変
換されて増幅された無指向性の出力が得られる(図2の
出力B)。
【0046】同様に、各円筒基盤4A,4Bの外周面に
も、接合部であるコンパウンド5部分を境として、互い
に相対するように高分子圧電材7(7e,7f)がそれ
ぞれ装着されている。円筒基盤4Aの外周面に装着され
た高分子圧電材7e,7fは、図3に示すように、音波
に対して逆相に並列接続され、その両端が前置増幅器2
における他方のインピーダンス変換回路2bの入力端子
に接続されている。また、円筒基盤4Bの外周面に装着
された高分子圧電材7g,7hは、図3に示すように、
音波に対して逆相に並列接続され、その両端が円筒基盤
4Aの外周面に装着された高分子圧電材7e,7fに並
列接続されている。
【0047】これにより、インピーダンス変換回路2a
からは、高分子圧電材7e,7f,7g,7hから高イ
ンピーダンスで入力される信号が低インピーダンスに変
換されて増幅された双指向性の出力が得られる(図2の
出力A)。
【0048】このように、図4及び図5に示す実施の形
態では、円筒基盤4A,4Bの内周面側に形成された無
指向性出力を得るための1個の受波センサ8aと、円筒
基盤4A,4Bの外周面側に形成された双指向性出力を
得るための2個の受波センサ8b,8cとにより、1組
の円筒受感部8を構成している。そして、センサ部1
は、環状ベース6を境に、2組の円筒受感部8を備えて
いる。
【0049】上記のように構成されたセンサ部1は、全
体を包囲するように籠形のケース9に挿入され、このケ
ース9と環状ベース6と円筒受感部8を含めた形状及び
質量中心点で支持されている。具体的には、図4に示す
ように、環状ベース6の側端面よりネジ10で締結され
る。これにより、機械的振動により各円筒受感部8に発
生する加速度出力電圧を相殺している。
【0050】図4に示すように、センサ部1が固定され
たケース9は、音響透過の良好なる発泡体11により合
成ゴムや合成樹脂等のブーツ12内に保持されている。
また、ケース9及びブーツ12内には、音響媒体として
の充填液13が充填されている。
【0051】図4に示すように、ブーツ12内における
センサ部1の上部には、例えばアルミや樹脂等による軽
金属製のケース14が挿入されている。ケース14の底
部には、円筒基盤4Aの各高分子圧電材7a,7b,7
e,7fと前置増幅器2との間をリード線15により電
気的に接続するための貫通端子16が設けられている。
【0052】図4に示すように、ケース14には、ケー
ス14の開口部を上部から覆うようにして防水製のキャ
ップ17が挿入されている。ブーツ12及びキャップ1
7は、例えば金属バンド等の締めつけバンド18によ
り、ケース14に対してそれぞれ固定されている。ケー
ス14とキャップ17で形成される空間には、この空間
を埋めて空気層を無くすための充填材19が充填されて
いる。
【0053】前置増幅器2は、キャップ17の上部の開
口穴より導出されるケーブル20を介して制御部3に電
気的に接続されている。制御部3は、インピーダンス変
換回路2a,2bに接続された主増幅器3a,3bと、
一方の主増幅器(図1の例では、双指向性出力側の主増
幅器3b)に接続された移相器3cを備えて構成され
る。
【0054】主増幅器3a,3bでは、インピーダンス
変換回路2bからの双指向性出力の互いに180度の向
きの最大感度と、インピーダンス変換回路2aからの無
指向性出力の感度とが等しくなるように、相対的電圧増
幅度の調整を行って信号の増幅を行っている。更に、こ
の主増幅器3a,3bでは、えい航式ソーナー等のアク
ティブなハイドロホンとして使用される場合、受波され
る周波数が判っているので、その周波数に合わせて振幅
が設定される。これに対し、ソノブイ等のパッシブなハ
イドロホンとして使用される場合には、受波される周波
数が判らないので、その都度振幅調整がなされる。ま
た、移送器3cは、一方の主増幅器(図1の例では、双
指向性出力側の主増幅器3b)からの信号の位相をπ/
2ずらして出力している。
【0055】尚、円筒基盤4において、高分子圧電材7
が装着されていない部分には貫通孔21が形成されてい
る。これにより、円筒基盤4自身の軽量化が図れ、圧力
歪みを避けるとともに、ブーツ12外からの音波を円筒
基盤4の内部に通過させることができる。また、前置増
幅器2の各インピーダンス変換回路2a,2bは、ケー
ブル20を介して供給される直流電源によって動作する
ものである。
【0056】上記のように構成された円筒形カーディオ
イドハイドロホンによれば、ブーツ7外からの音波は、
ケース4及びブーツ7内に充填した充填液11を音響媒
体として、高分子圧電材2a,2b,2c,2d及び2
e,2f,2g,2hに伝達される。この音波によって
生じた機械的ひずみは、前置増幅器2のインピーダンス
変換回路2a,2bを介して電気的出力(無指向性出力
及び双指向性出力)に変換され、この電気的出力はケー
ブル20を介して制御部3に入力される。その後、制御
部3の主増幅器3a,3bにおいて、双指向性出力の互
いに180度の向きの最大感度と、無指向性出力の感度
とが等しくなるように、相対的電圧増幅度が調整され
る。そして、移相器3cにより位相がπ/2ずれた双指
向性出力と、無指向性出力との合成出力によりカーディ
オイド指向性が得られる(図2の出力C)。
【0057】ところで、上述した実施の形態では、各円
筒基盤4A,4Bの内周面に装着される高分子圧電材
(7a,7bと7c,7d)を音波に対して同相に並列
接続し、各円筒基盤4A,4Bの外周面に装着される高
分子圧電材(7e,7fと7g,7h)を音波に対して
逆相に並列接続したものについて図示して説明したが、
各円筒基盤4A,4Bの内周面に装着される高分子圧電
材(7a,7bと7c,7d)を音波に対して同相に直
列接続し、各円筒基盤4A,4Bの外周面に装着される
高分子圧電材(7e,7fと7g,7h)を音波に対し
て逆相に直列接続しても同様の効果を得ることができ
る。また、円筒基盤4A,4Bの内周面に装着される高
分子圧電材(7a,7bと7c,7d)と、円筒基盤4
A,4Bの外周面に装着される高分子圧電材(7e,7
fと7g,7h)の接続状態を逆転させてもよい。
【0058】
【発明の効果】このように、本発明は、単一円筒で形成
されるハイドロホンの受波センサとして、軸方向に分割
された貫通孔付き円筒基盤を補強材とし、円筒基盤の内
周面上と外周面上に円筒基盤の分割部分を境にして、可
撓性を有する高分子圧電材をそれぞれ装着し、円筒基盤
の一方の周面上に装着した高分子圧電材を同相並列接続
又は同相直列接続して無指向性出力とし、円筒基盤の他
方の周面上に装着した高分子圧電材を逆相並列接続又は
逆相直列接続して双指向性出力とし、これら無指向性出
力と双指向性出力の振幅を等しく調整し、位相をπ/2
だけずらして両出力を合成することによってカーディオ
イド指向性を得ることができる。
【0059】本発明のハイドロホンは、1個の円筒形で
カーディオイド指向性を形成させることができるので、
3個の受波センサを個々に配置してカーディオイド指向
性を形成させる場合に比べて、音響的反射の影響が発生
しないという大きな利点があるほか、構造が単純、か
つ、軽量となる利点もある。
【0060】また、加速度出力は受感部の加速度出力電
圧の相殺効果と発砲体による振動減衰効果により、加速
度出力抑制効果は従来の受波器よりも大幅に改善され
る。受感部には器体の振動に基づく雑音出力が生じない
ので、広範囲に渡って平坦特性を有する広帯域の受波感
度周波数特性になる。
【0061】本発明のハイドロホンには、水圧によって
変化するような遮音材等の空気を含む部材を用いていな
いこと、また、支持部材は無垢、受感部の内外面等全周
に渡って水圧が均等に加わるので、従来品に比べて水圧
による特性の変化は極めて小さい。
【0062】ハイドロホンの受波センサが衝撃によるひ
び割れや破損の発生が起こりにくい高分子圧電材である
から、軽量で作業の煩雑性の解消及びハイドロホンの破
損や損傷の対策のための代替品の用意等も不必要とな
る。
【0063】本発明の実施の形態の効果は下記のとおり
である。本発明のハイドロホンの軽量化を図るために、
各部材は合成ゴムまたは合成樹脂製であり、センサは比
重約2.5の高分子圧電材であって、従来の圧電磁器振
動子の比重約7.5に比して小さい上、非金属材料を用
いて製作できるので極めて軽量である。
【0064】このため、受波センサを長尺のホース等に
市販品の絶縁油等と共に収納するだけで、水中浮遊ハイ
ドロホンや中性浮力のハイドロホンが容易に実現でき
る。また、受波センサを長尺のホース等に市販品の絶縁
油等と共に収納するだけで、水中浮遊ハイドロホンや中
性浮力のハイドロホンが容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による円筒形カーディオイドハイドロホ
ンの一実施の形態を示す図である。
【図2】同ハイドロホンによる水平指向性パターンを示
す図である。
【図3】同ハイドロホンにおけるセンサ部の配線構成を
示す図である。
【図4】同ハイドロホンにおけるセンサ部の中央縦断面
図である。
【図5】同ハイドロホンにおけるセンサ部のI−I線横
断面図である。
【符号の説明】
1…センサ部、2…前置増幅器、2a,2b…インピー
ダンス変換回路、3…制御部、4(4A,4B)…円筒
基盤、5…コンパウンド、6…環状ベース、7(7a〜
7h)…高分子圧電材、8…円筒受感部、8a〜8c…
受波センサ、9…ケース、10…ネジ、11…発泡体、
12…ブーツ、13…充填液、14…ケース、15…リ
ード線、16…貫通端子、17…キャップ、18…締め
つけバンド、19…充填材、20…ケーブル、21…貫
通孔。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H04R 17/00 330 G01S 7/52 B (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04R 1/44 H04R 1/44 330 G01S 7/521 H04R 17/00 330

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単一円筒で形成されるハイドロホンの円
    筒受感部として、軸方向に分割された貫通孔付き円筒基
    盤を補強材とし、前記円筒基盤の内周面上と外周面上に
    該円筒基盤の分割部分を境にして、可撓性を有する高分
    子圧電材をそれぞれ装着し、前記円筒基盤の一方の周面
    上に装着した高分子圧電材を同相並列接続又は同相直列
    接続して無指向性出力とし、前記円筒基盤の他方の周面
    上に装着した高分子圧電材を逆相並列接続又は逆相直列
    接続して双指向性出力とし、前記無指向性出力と双指向
    性出力との合成出力によりカーディオイド指向性を得る
    ことを特徴とする円筒形カーディオイドハイドロホン。
  2. 【請求項2】 上記請求項1に記載の2組の円筒受感部
    を備え、該2組の円筒受感部をその対向する一端で環状
    ベースに対称に取付けて形状及び質量中心で支持し、機
    械的振動により各円筒受感部に発生する加速度出力電圧
    を相殺するよう構成したことを特徴とする円筒形カーデ
    ィオイドハイドロホン。
  3. 【請求項3】 前記無指向性出力と双指向性出力とをイ
    ンピーダンス変換して出力する前置増幅器と、前記双指
    向性出力の互いに180度の向きの最大感度と前記無指
    向性出力の感度を等しくさせる主増幅器と、前記無指向
    性出力又は双指向性出力の位相をπ/2ずらす移相器と
    を備えた請求項1又は2記載の円筒形カーディオイドハ
    イドロホン。
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