JP3001824U - 送電線鉄塔の閃絡検出装置 - Google Patents

送電線鉄塔の閃絡検出装置

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JP3001824U
JP3001824U JP1994003198U JP319894U JP3001824U JP 3001824 U JP3001824 U JP 3001824U JP 1994003198 U JP1994003198 U JP 1994003198U JP 319894 U JP319894 U JP 319894U JP 3001824 U JP3001824 U JP 3001824U
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剛次 中溝
繁明 笠置
尚 ▲つる▼山
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チクシ電気株式会社
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】鉄塔の構造、型式を問わず適用できる閃絡送電
線鉄塔検出装置を提供すること。 【構成】送電線鉄塔を構成する任意の少なくとも1本の
主柱の、最上部腕金の水平部材A,A,D,D
が固定される位置より上側に、この主柱を一次側とする
上部変流器Cu,Cuを、また任意の少なくとも1
本の主柱の、最下部腕金の固定位置および大地の間に、
この主柱を一次側とする下部変流器Cd,Cdを取
付け、上部および下部変流器の各和出力を差動的に合成
し、差動合成出力が予定値を超えたとき、当該送電線鉄
塔での閃絡発生を判定する。必要なら、他鉄塔での閃絡
事故電流や雷サージが架空地線Gを介して流入したとき
の差動合成手段の出力が十分小さくなるように、上部お
よび下部変流器の少なくとも一方の検出出力を差動合成
前に調整する。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は閃絡事故を生じた送電線鉄塔を検出するための閃絡送電線鉄塔検出装 置に関し、特に鉄塔の主柱構造や架空地線の数に制約されることなしに、種々の 形式の鉄塔に簡単に設置でき、閃絡検出の精度も高い閃絡送電線鉄塔検出装置に 関する。
【0002】
【従来の技術】
全ての産業の分野のみならず、多くの社会機構の中で利用されている電力は停 電による影響が大きいので、停電の原因となった事故箇所を如何に早期に発見す るかが大きな課題となっており、特に長距離の電力輸送をする送電線の閃絡事故 鉄塔を迅速かつ確実に検出、特定することが強く要望されている。
【0003】 このために、本考案者らは先に、閃絡事故鉄塔においては、腕金から主柱を通 して架空地線に流れ込む電流と当該主柱を通して大地へ流れ込む電流とは方向が 反対であるが、架空地線よりの雷電流(サージ)あるいは隣接鉄塔での閃絡事故 による地絡電流が架空地線を経て当該鉄塔に流入する場合は、架空地線から主柱 に流れ込む電流と当該主柱から大地へ流出する電流とは、方向も大きさも等しく なるという事実に基づいて、特願平5−41707号の発明を提案した。
【0004】 上記の方法は信頼性も高く、また閃絡電流より得られる電気エネルギも大きい ので、電池などの補助電源を用いなくても直接表示器を動作させることができる などの特徴をもっている。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
上記提案の発明においては、上部腕金の吊り斜め部材が主柱に連結される箇所 と鉄塔頂部の架空地線連結箇所との間に独立の主柱(閃絡地絡電流の分流路を持 たない主柱部分)が存在し、そこに上部変流器を設置できるような形式の鉄塔で あることが前提となっていた。このために、上部腕金の吊り斜め部材が主柱に連 結される箇所と鉄塔頂部の架空地線連結箇所との間に独立の主柱が存在しないよ うな形式の鉄塔には適用できないという問題があった。
【0006】 本考案は、鉄塔の構造、型式を問わず、上部腕金の吊り斜め部材が主柱に連結 される箇所と鉄塔頂部の架空地線連結箇所との間に独立の主柱が存在する場合は もちろん、このような独立の主柱が存在しないような形式の鉄塔にも適用できる 閃絡送電線鉄塔検出装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
送電線鉄塔を構成する任意の、少なくとも1本の主柱の、最上部腕金の水平部 材が固定される位置よりも上側部分に、この主柱を一次側とする少なくとも1つ の上部変流器を取付け、また任意の少なくとも1本の主柱の、最下部腕金の固定 位置および大地の間に、この主柱を一次側とする少なくとも1つの下部変流器を 取付け、上部変流器同士の出力和および下部変流器同士の出力和を差動的に合成 し、差動合成出力が予め設定された値を超えたとき、当該送電線鉄塔での閃絡発 生を示す閃絡信号を発生するようにする。必要なら、他鉄塔での閃絡事故電流や 雷サージが架空地線を介して流入したときの差動合成手段の出力が十分小さくな るように、上部および下部変流器の少なくとも一方の検出出力を差動合成前に調 整する手段を付加する。
【0008】 前記検出出力の調整は、上部および下部変流器の変流比の少なくとも一方、ま たは差動合成のための変圧器の変圧比の少なくとも一方を、それぞれの比の割合 が、上部変流器が取付けられた主柱の、最上部腕金の水平部材が固定される位置 、および最上部腕金の吊り斜め部材が固定される位置の間のインピーダンスと、 前記両位置間の主柱に対する並列電流分路のインピーダンスとの比の逆数になる ように設定すること、あるいは差動合成直前の上部および下部変流器出力対応電 圧を予定の同一電圧値に制限することによって実現される。
【0009】
【作用】
上部変流器を、当該鉄塔を通って架空地線へ流れる閃絡電流や架空地線から流 入する雷サージなどの一部が分流する並列電流分路(腕金の水平部材や吊り斜め 部材)を有しない上部主柱の独立部分にはもちろん、前記並列電流分路を有する ような上部主柱や、主柱の上部斜め部材にも取付けることができるので、取付け 対象となる鉄塔の構造、形式に制約されることなく、上部および下部変流器の検 出出力を差動合成し、差動合成出力が設定値を超えたことに基づいて鉄塔の閃絡 事故を監視することができる。他鉄塔での閃絡事故電流や雷サージが架空地線を 介して流入したときの差動合成手段の出力が十分小さくなるように、上部および 下部変流器の少なくとも一方の検出出力を差動合成前に調整すれば、鉄塔の閃絡 事故監視をより正確に行なうことができる。
【0010】 閃絡事故のうちでも、とくに大きな事故になるのは電力線を吊っている碍子の 破損事故であるが、破損事故は碍子に流れる閃絡電流の時間積分すなわち、その 電気エネルギの大きさに依存するから、本考案のように閃絡電流を時間積分して 閃絡電気エネルギに比例した値を得、この値を判定要素にすれば合理的であり、 検出の信頼性も向上する。のみならず、送電線には雷サ−ジや系統の開閉時に発 生するサ−ジが侵入することがあり、変流器の二次側には異常電圧が生じやすい が、本考案の回路構成によれば、エネルギ蓄積器によってこれらが平滑化される ので、機器の破損や誤動作を防止することができる。
【0011】
【実施例】
以下に図面を参照して本考案を詳細に説明する。 図1は本考案の1実施例の要部を示す鉄塔部の斜視図、図2は変流器の出力処 理装置の1例を示す回路図である。
【0012】 鉄塔を構成する4本の主柱T1〜T4の各上端部分は、図中に符号T10〜T40 で示すように、上部腕金の水平部材A1 、A2 、D1 、D2 が固定された個所か ら折り曲げられ、それぞれの主柱頂部が共通点Kで結合され、その結合点に架空 地線Gが連結される。以下の説明では、折り曲げられた部分の主柱を「上部斜め 部材」と称して主柱の他の部分と区別する。それぞれ対をなす水平部材A1 、A 2 およびD1 、D2 の各先端は互いに結合され、それらの頂点には、碍子Sを介 して電力線L1u,L2uが吊下げられる。腕金の水平部材対の前記結合頂点と、上 部斜め部材の共通結合点K(すなわち、架空地線Gとの連結点)との間には上部 腕金の吊り斜め部材A0 、D0 が張設される。
【0013】 中部および下部の腕金は、図示のように、各主柱T1〜T4に各基端部が連結 される水平部材対B1 、B2 と、E1 、E2 と、C1 、C2 と、F1 、F2 、並 びに吊り斜め部材対B01、B02と、E01、E02と、C01、C02と、F01、F02よ りなる。各水平部材対および吊り斜め部材対の先端はそれぞれ結合され、それら の頂点には、碍子を介して電力線L1v,L2vおよびL1w、L2wが吊下げられる。 図を見易くするために、図1では違ったように描かれているが、架空地線Gによ って規定される鉛直面は、1組の主柱T1 、T2 で規定される面と、他の1組の 主柱T3 、T4 で規定される面とのほぼ中央に位置し、1号および2号電力系統 を左右に分離している。
【0014】 いま架空地線によって規定される鉛直面の一方の側(図では、右側)にある1 号電力系統側の上部腕金先端に支持されている電力線L1uが雷撃を受けて、その 碍子Sで閃絡が起ったとすると、雷サージに続いて商用周波数の閃絡続流が、図 中に実線で示すように、腕金を経て鉄塔へ流れる。すなわち、水平腕金A1 、A 2 を通って4本の各鉄塔に達した電流I1 、I2 は、そこから各鉄塔の上部斜め 部材T10〜T40を通って上方の架空地線Gへ向かう電流Ig1〜Ig4と、下向きに 鉄塔主柱T1〜T4を通って大地へ流れる電流Ie1〜Ie4とに分流する。また一 部の電流Ia0は腕金先端から直接吊り斜め部材A0 を通って架空地線Gへ流れ、 さらに極く一部の電流Id0は、反対側系統の腕金D1 、D2 および吊り斜め部材 D0 を通って架空地線Gへ流れる。
【0015】 これらの各電流は次のような特徴を有する。 (a)上部斜め部材T10〜T40を通って上方の架空地線Gへ向かう電流Ig1〜 Ig4は全て上向きで、方向が同じである。 (b)鉄塔主柱T1〜T4を通って大地へ流れる電流Ie1〜Ie4は全て下向き で、方向が同じである。 (c)電流Ig1〜Ig4とIe1〜Ie4とは、その方向が反対である。
【0016】 また各部位の電流の大きさは、鉄塔の構造、形状や各部位(腕金や主柱)の大 きさ、アース抵抗、架空地線の電気抵抗、他鉄塔との間の架空地線の架設状況な どによって変化するが、殆どすべての場合に次の条件が成立する。 (d)閃絡事故を生じた系統側の主柱、上部斜め部材を流れる電流は、非閃絡 系統側のそれらを流れる電流よりも大きい。故に、Ig1、Ig2>Ig3、Ig4 (e)閃絡事故を生じた系統側の下部腕金と大地間の主柱を流れる電流は、非 閃絡系統側のそれらを流れる電流よりも大きい。故に、Ie1、Ie2>Ie3、Ie4 (f)主柱を大地に向かって流れる電流Ie1〜Ie4の大きさと、同じ主柱から 対応の上部斜め部材T10〜T40を経て架空地線へ流れる電流Ig1〜Ig4のそれと は等しくない。
【0017】 図1にはまた、当該鉄塔の近傍の他の鉄塔での閃絡事故による地絡電流、ある いは架空地線Gに対する雷撃による雷サージが架空地線Gを介して図1の鉄塔に 流れ込む場合の、種々の部位の電流を点線矢印で示している。架空地線Gを通っ て鉄塔頂部に到達した電流Is1の一部Is2はさらに架空地線を経て次の鉄塔(図 示せず)へと流れるが、残りは主柱の上部斜め部材T10〜T40および吊り斜め部 材A0 、D0 や水平部材A1 、A2 、D1 、D2 に流れ込み、さらに鉄塔主柱T 1〜T4を通って大地へ流れる。この場合は、図からも明らかなように、上部斜 め部材T10〜T40および下部腕金と大地との間の鉄塔主柱T1〜T4に流れる電 流の方向は同じである。また各部の電流の大きさは鉄塔の構造や各部材の大きさ 、素材などによっても異なるが、通常は、上部斜め部材T10〜T40の電流同士、 下部腕金と大地との間の鉄塔主柱T1〜T4の電流同士は互いにほぼ等しい。さ らに、下部腕金と大地との間の鉄塔主柱の電流は、吊り斜め部材A0 、D0 に分 流した電流が加わるので、上部斜め部材の電流よりも大きい。
【0018】 本考案は、上述のように、鉄塔各部の電流の方向と大きさが、当該鉄塔自体で の閃絡の場合と他鉄塔での閃絡、雷撃の場合とで相違する事実に着目してなされ たもので、図1の実施例では、1号および2号電力系統側からそれぞれ1本ずつ の主柱T1 、T3 を選択し、選択した主柱T1 、T3 の折り曲げ部分である上部 斜め部材T10、T30に上部変流器C1u、C2uを取付けると共に、同じ主柱の下部 腕金と大地との間には下部変流器C1d、C2dを取付け、上部変流器C1u、C2uの 出力の和と下部変流器C1d、C2dの出力の和との差を検出するようにしたもので ある。
【0019】 図2は本実施例における上部および下部変流器の電気的接続の1例を示す回路 図である。上部および下部変流器C1u、C2uおよびC1d、C2dの二次側出力はそ れぞれ同極性に加算的に接続され、それぞれの和出力が、差動合成器Rを構成す る変圧器TRu 、TRd の一次側に供給される。各変圧器の二次側出力は差動的 に直列接続されて電気エネルギ蓄積器Eに供給される。電気エネルギ蓄積器Eは 、例えば、図示のように、ダイオードREで合成出力電圧を整流し、コンデンサ C1 、C2 を充電するように構成できる。コンデンサC2 の端子電圧がスイッチ ング素子、例えばツェナーダイオードTS(一般的には検出器D)の動作電圧を 超えると、これが導通し、コンデンサC2 およびC1 の電荷が放電されてリレー コイルRY(表示器Iを構成する)が付勢される。
【0020】 当該鉄塔のいずれかの碍子に閃絡を生じた場合は、前述のように、当該鉄塔の 上部斜め部材T10、T30に流れる電流Ig1、Ig3と下部腕金と大地との間の鉄塔 主柱T1、T3に流れる電流Ie1、Ie3とは、その方向(極性)が反対であるか ら、変圧器TRu 、TRd の二次側出力は互いに加算されて十分に大きくなり、 ツェナーダイオードTSが導通され、コンデンサC2 およびC1 の電荷が放電さ れてリレーコイルRYが付勢され、適当な表示器I(図示しない表示、警報器) を駆動し、閃絡の発生を知らせる。ツェナーダイオードSの導通初期にはコンデ ンサC2 からコイルRYに突入電流が供給されるので、表示用リレー接点(図示 せず)の付勢が確実になり、その後はインダクタLを通してコンデンサC1 の電 荷が供給されるので表示用リレーの付勢を継続できる。この回路によれば、閃絡 電流のエネルギを有効に利用できる。なお、インダクタLやコンデンサC2 は省 略することができる。
【0021】 一方、架空地線Gを介して他の鉄塔からの閃絡電流や雷サージが流入した場合 には、同じく前述のように、当該鉄塔の上部斜め部材T10、T30に流れる電流I g1、Ig3と下部腕金と大地との間の鉄塔主柱T1、T3に流れる電流Ie1、Ie3 の方向は同じであるから、変圧器TRu 、TRd の二次側出力は互いに相殺され 、ツェナ―ダイオ―ドSは導通に至らず、リレ―コイルRYが付勢されることは ない。しかし、上述したところから理解されるように、これら電流の大きさは通 常は等しくないから、そのままでは零または十分小さい値にならず、当該鉄塔で の閃絡事故時の検出出力との差が小さくなるので、ツェナー電圧の設定が微妙に なり、事故の識別が確実にできなくなって誤動作の原因になる恐れがある。
【0022】 このような誤動作の恐れを解消するために、本実施例では、一方の変圧器TR u の変圧比を調整可能にしている。具体的には、変圧器TRu の一次側巻線に切 替(またはスライド)タップを設け、外部からの閃絡電流や雷サージの流入時に 、2つの変圧器TRu 、TRd の二次側出力が事実上等しくなって完全に相殺さ れるようにしている。図2の回路例の代わりに、両方の変圧器の変圧比を調整可 能にしたり、または上部および下部変流器の一方または両方の変流比を調整可能 にしてもよい。要は、上部変流器の出力の和と下部変流器の出力の和とが、当該 鉄塔に閃絡事故が生じていないときには、結果的に、なるべく完全に相殺される ように、検出された出力電流の値と変圧器二次側出力電圧との比を調整すると共 に、当該鉄塔に閃絡事故が生じた場合は、なるべく多くの電荷がコンデンサC2 、C2 に蓄積され、補助電源無しでも閃絡事故の表示を可能にすることである。
【0023】 なお、前記電流Ig1、Ig3とIe1、Ie3とが等しくならない理由は、明らかな ように、吊り斜め部材および水平部材が、上部斜め部材に対して電気的な並列分 流路を構成するためであるから、これらのインピーダンスを予め測定または演算 すれば、変圧器の変圧比や変流器の変流比の調整量を概略予測できる。図1の例 で具体的にいえば、上部斜め部材T10のインピーダンスをZ1 、これに対する並 列電流分路である吊り斜め部材A0 および水平部材A1 の直列回路のインピーダ ンスをZ2 とすると、上部変流器の一次側電流は下部変流器のそれの分流比倍す なわちZ2 /(Z1 +Z2 )倍となるので、両者の出力を相殺するには、変圧器 の変圧比または変流器の変流比を前記分流比の逆数に設定すればよい。
【0024】 図3は、外部からの閃絡電流や雷サージの流入時に、上部変流器および下部変 流器の各出力和を事実上等しくしてほぼ完全に相殺させるための他の例を示す回 路図である。図2との対比から分かるように、この回路は、各変圧器TRu 、T Rd の二次側に電圧制限(リミッタ/スライス)素子LMu 、LMd をそれぞれ 挿入した点に特徴がある。電圧制限素子は、図示のように、ツェナーダイオード を逆並列接続したもので良い。この回路では、上部および下部の各変流器対の出 力和が等しくなくて各変圧器TRu 、TRd の二次側出力電圧が相違していても 、これらの出力電圧は予め設定され、互いに等しい固定電圧に制限されるので、 当該鉄塔に閃絡事故が生じていないときは、上部変流器の出力の和と下部変流器 の出力の和とはほぼ完全に相殺されるようになる。したがって、図2に関して述 べたような変圧比や変流比の調整が不要になり、構成も簡略化できる利点がある 。
【0025】 上部および下部変流器の設置箇所は図1の例に限られるのではなく、1号およ び2号電力系統側から1本ずつの主柱を選択すればよい。すなわち、(T1 、T 4 )、(T2 、T3 )、(T2 、T4 )の組合せでもよい。また上記実施例では 、下部変流器を取付けた主柱の上部斜め部材に上部変流器が取付けられたが、こ れに限らず、下部変流器を取付けた主柱(例えば、T1 )とは異なる主柱の上部 斜め部材(例えば、T20)に上部変流器を取付けても、本考案は実施可能である 。
【0026】 さらに以上では、架空地線Gを含む鉛直面の両側に配置された1号および2号 電力系統側から1本ずつの主柱を選択したが、閃絡事故電流が大きい送電線の場 合は、例えば1号電力系統側で閃絡事故が生じたときでも、2号電力系統側の主 柱および上部斜め部材に相当大きな電流が流れ、補助電源を要することなしに表 示器を動作させるのに必要な電気エネルギを確保できるので、上部および下部変 流器はいずれかの電力系統側の主柱および上部斜め部材に1組設けるだけでもよ いし、また上部および下部変流器を互いに反対側の電力系統側に1組設けてもよ い。さらに以上では、2回線鉄塔に付いて述べたが、その他の4回線、6回線な どの多回線鉄塔や、1回線鉄塔にも適用できることはもちろんである。
【0027】 図4〜6は、他の形式の鉄塔に本考案を適用した場合の上部および下部変流器 の設置例を示す概略図であり、図1と同一符号は同一または同等部分を表わす。 図4は、図1と同様に、上部腕金A、Dと2条の架空地線G1 、G2 との間に、 上部変流器を取付ける独立主柱部分が存在しない例である。図5や図6は、上部 腕金A、Dと架空地線G1 (およびG2 )との間に上部変流器を取付ける独立主 柱部分が存在するので、実線で示したように、上部腕金の水平部材と吊り斜め部 材との連結点の間の主柱上部に上部変流器C1u、C2uを取付けてもよく、点線で 示したような主柱の独立部分に取付けてもよく、さらには一方の上部変流器(例 えば、C1u)は実線位置に、また他方の上部変流器(例えば、C2u)は点線位置 に取付けることもできる。
【0028】
【考案の効果】
本考案によれば、次のような効果が期待できる。 上部変流器を、当該鉄塔を通って架空地線へ流れる閃絡電流や架空地線から流 入する雷サージなどの一部が分流する並列電流分路(腕金の水平部材や吊り斜め 部材)を有しない主柱の独立部分にはもちろん、このような並列電流分路を有す る上部主柱や、主柱の上部斜め部材にも取付けることができるので、取付け対象 となる鉄塔の構造、形式に制約されることなく、本考案を適用して閃絡事故を監 視することができる。上部変流器の取付け箇所の自由度が大きいので、設置作業 が簡略化される。
【0029】 また上部および下部変流器の一次側となる主柱に流れる電流の差が大きい場合 でも、上部、下部変流器の変流比を調整したり、合成用変圧器の変圧比を調整し たり、あるいは合成用変圧器の出力電圧を制限(スライス)して定電圧化するこ とによって正常動作が保証されるので、変流器に対する要求精度が低くなり、コ スト低減が期待できる。さらに、検出判定部が能動素子を含まず、閃絡電流を閃 絡期間中積分して得られる電力を利用するので別個の電源設備が不要であり、保 守運営が簡単になる。上部変流器の設置位置が、上部腕金のさらに上側へ突出し ている主柱に比べて低い位置になるので、設置作業が楽であり、かつ安全である 。
【0030】 閃絡事故のうちでも、とくに大きな事故になるのは電力線を吊っている碍子の 破損事故であるが、破損事故は碍子に流れる閃絡電流の時間積分すなわち、その 電気エネルギの大きさに依存するから、本考案のように閃絡電流を時間積分して 閃絡電気エネルギに比例した値を得、この値を判定要素に用いれば合理的であり 、検出の信頼性も向上する。のみならず、送電線には雷サ−ジや系統の開閉時に 発生するサ−ジが侵入することがあり、変流器の二次側には異常電圧が生じやす いが、本考案の回路構成によれば、エネルギ蓄積器によってこれらが平滑化され るので、機器の破損や誤動作を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の1実施例の要部を示す鉄塔部の斜視図
である。
【図2】上記実施例における上部および下部変流器の電
気的接続の1例を示す回路図である。
【図3】上記実施例における上部および下部変流器の電
気的接続の他の例を示す回路図である。
【図4】本考案の他の実施例の要部を示す鉄塔部の概略
側図である。
【図5】本考案の別の実施例の要部を示す鉄塔部の概略
側図である。
【図6】本考案のさらに他の実施例の要部を示す鉄塔部
の概略側図である。
【符号の説明】
A〜F…腕金 A0 、D0 …吊り斜め部材 A1 、A2
、D1 、D2 …水平部材 C1u、C2u…上部変流器
C1d、C2d …下部変流器 D…検出器 E…電気エネ
ルギ蓄積器 I…表示器 L1u、L2u…電力線 R…差
動合成器 S…碍子 TRu 、TRd …変圧器 T1 〜
T4 …主柱 T10〜T40…上部斜め部材

Claims (20)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】それぞれの頂部が架空地線に連結された複
    数の主柱と、これらの主柱の互いに異なる高さ位置に固
    定され、少なくとも1系統の電力線を絶縁碍子を介して
    支持する複数の腕金とよりなる送電線鉄塔の閃絡検出装
    置であって、 任意の1本の主柱の、最上部腕金の水平部材が固定され
    た位置よりも上側部分に取付けられ、この主柱を一次側
    とする上部変流器と、 任意の1本の主柱の、最下部腕金の固定位置および大地
    の間に取付けられ、この主柱を一次側とする下部変流器
    と、 上部および下部変流器の出力を差動的に合成する手段
    と、 差動合成出力が予め設定された値を超えたとき、当該送
    電線鉄塔での閃絡発生を示す閃絡信号を発生する手段と
    を具備した送電線鉄塔の閃絡検出装置。
  2. 【請求項2】上部変流器が、主柱に電流分流路が存在せ
    ず、主柱が独立している部分に取付けられた請求項1記
    載の送電線鉄塔の閃絡検出装置。
  3. 【請求項3】上部変流器が、主柱に電流分流路が存在し
    ている部分に取付けられた請求項1記載の送電線鉄塔の
    閃絡検出装置。
  4. 【請求項4】上部変流器が、主柱の、最上部腕金の水平
    部材が固定される位置および最上部腕金の吊り斜め部材
    が固定される位置の間に取付けられた請求項1記載の送
    電線鉄塔の閃絡検出装置。
  5. 【請求項5】上部変流器および下部変流器が共通の主柱
    を一次側とする請求項1ないし4のいずれかに記載の送
    電線鉄塔の閃絡検出装置。
  6. 【請求項6】上部変流器および下部変流器が別個の主柱
    を一次側とする請求項1ないし4のいずれかに記載の送
    電線鉄塔の閃絡検出装置。
  7. 【請求項7】上部および下部変流器の出力を差動的に合
    成する手段は、上部および下部変流器の各出力が一次巻
    線にそれぞれ供給される1対の変圧器と、 前記1対の変圧器の各二次巻線を差動的に接続する手段
    とを具備した請求項1ないし6のいずれかに記載の送電
    線鉄塔の閃絡検出装置。
  8. 【請求項8】それぞれの頂部が架空地線に連結された複
    数の主柱と、これらの主柱の互いに異なる高さ位置に固
    定され、少なくとも1系統の電力線を絶縁碍子を介して
    支持する複数の腕金とよりなり、前記複数の主柱および
    腕金の一部は、前記架空地線によって規定される鉛直面
    の一方側に位置し、前記複数の主柱および腕金の残りの
    ものは前記鉛直面の他方側に位置する送電線鉄塔の閃絡
    検出装置であって、 前記鉛直面の一方側にある任意の1本の主柱の、最上部
    腕金の水平部材が固定された位置よりも上側部分に取付
    けられ、この主柱を一次側とする第1の上部変流器と、 前記鉛直面の一方側にある任意の1本の主柱の、最下部
    腕金の固定位置および大地の間に取付けられ、この主柱
    を一次側とする第1の下部変流器と、 前記鉛直面の他方側にある任意の1本の主柱の、最上部
    腕金の水平部材が固定される位置よりも上側部分に取付
    けられ、この主柱を一次側とする第2の上部変流器と、 前記鉛直面の他方側にある任意の1本の主柱の、最下部
    腕金の固定位置および大地の間に取付けられ、この主柱
    を一次側とする第2の下部変流器と、 第1、第2の上部変流器の出力の和および第1、第2の
    下部変流器の出力の和を差動的に合成する手段と、 差動合成出力が予め設定された値を超えたとき、当該送
    電線鉄塔での閃絡発生を示す閃絡信号を発生する手段と
    を具備した送電線鉄塔の閃絡検出装置。
  9. 【請求項9】第1および第2の上部変流器がそれぞれ、
    主柱に電流分流路が存在せず、主柱が独立している部分
    に取付けられた請求項8記載の送電線鉄塔の閃絡検出装
    置。
  10. 【請求項10】第1および第2の上部変流器の少なくと
    も一方が、主柱に電流分流路が存在している部分に取付
    けられた請求項8記載の送電線鉄塔の閃絡検出装置。
  11. 【請求項11】第1および第2の上部変流器の少なくと
    も一方が、主柱の、最上部腕金の水平部材が固定された
    位置および最上部腕金の吊り斜め部材が固定された位置
    の間に取付けられた請求項8記載の送電線鉄塔の閃絡検
    出装置。
  12. 【請求項12】前記鉛直面の同じ側にある上部変流器お
    よび下部変流器の少なくとも1組が同一の主柱に取付け
    られた請求項8ないし11のいずれかに記載の送電線鉄
    塔の閃絡検出装置。
  13. 【請求項13】前記鉛直面の同じ側にある上部変流器お
    よび下部変流器の少なくとも1組が別個の主柱に取付け
    られた請求項8ないし11のいずれかに記載の送電線鉄
    塔の閃絡検出装置。
  14. 【請求項14】第1、第2の上部変流器の出力の和およ
    び第1、第2の下部変流器の出力の和を差動的に合成す
    る手段は、上部および下部変流器の各出力の和が一次巻
    線にそれぞれ供給される1対の変圧器と、 前記1対の変圧器の各二次巻線を差動的に接続する手段
    とを具備した請求項8ないし13のいずれかに記載の送
    電線鉄塔の閃絡検出装置。
  15. 【請求項15】他鉄塔での閃絡事故電流や雷サージが架
    空地線を介して流入したときの差動合成手段の出力が十
    分小さくなるように、上部および下部変流器の少なくと
    も一方の検出出力を差動合成前に調整する手段をさらに
    具備した請求項1ないし14のいずれかに記載の送電線
    鉄塔の閃絡検出装置。
  16. 【請求項16】上部および下部変流器の少なくとも一方
    の検出出力を差動合成前に調整する手段は、上部および
    下部変流器の少なくとも一方の変流比ならびに前記1対
    の変圧器の少なくとも一方の変圧比を、他鉄塔での閃絡
    事故電流や雷サージが架空地線を介して流入したときの
    各一次側電流の大きさに応じて調整するように構成され
    た請求項15記載の送電線鉄塔の閃絡検出装置。
  17. 【請求項17】上部および下部変流器の少なくとも一方
    の検出出力を差動合成前に調整する手段は、前記1対の
    変圧器の各二次側出力を予定の定電圧に制限する定電圧
    制限手段である請求項15記載の送電線鉄塔の閃絡検出
    装置。
  18. 【請求項18】差動合成出力が予め設定された値を超え
    たとき、当該送電線鉄塔での閃絡発生を示す閃絡信号を
    発生する手段は、前記差動合成出力を整流する手段と、 整流された出力を蓄積するコンデンサと、 コンデンサの端子電圧が予め設定された値を超えたとき
    に導通するスイッチング素子を介して、前記コンデンサ
    の両端に接続されたリレーとを具備した請求項1ないし
    17のいずれかに記載の送電線鉄塔の閃絡検出装置。
  19. 【請求項19】前記コンデンサと並列に、リアクタおよ
    び第2のコンデンサの直列回路がさらに接続され、前記
    第2コンデンサと並列に、スイッチング素子およびリレ
    ーコイルの直列回路が接続された請求項18記載の送電
    線鉄塔の閃絡検出装置。
  20. 【請求項20】上部変流器と下部変流器の各変流比の割
    合ならびに、上部および下部変流器の出力がそれぞれ供
    給される各変圧器の変圧比の割合の一方が、上部変流器
    が取付けられた主柱の、最上部腕金の水平部材が固定さ
    れる位置、および最上部腕金の吊り斜め部材が固定され
    る位置の間のインピーダンスと、前記両位置間の主柱に
    対する並列電流分路のインピーダンスとの比の逆数にな
    るように設定された請求項16記載の送電線鉄塔の閃絡
    検出装置。
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