JP2995727B2 - 微生物による木材疎水性成分の分解除去方法、並びに、微生物による改質されたメカニカルパルプの生産方法及びその方法により得られる改質されたメカニカルパルプ - Google Patents
微生物による木材疎水性成分の分解除去方法、並びに、微生物による改質されたメカニカルパルプの生産方法及びその方法により得られる改質されたメカニカルパルプInfo
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特定のシュードモナス
菌で製紙原料及び/または白水を処理することによる、
メカニカルパルプ(以下、MPと略す。)製造工程、及
び/またはMPを使用する製紙工程に存在する木材疎水
性成分(ピッチ系成分)を分解除去する方法、及び改質
されたMPを生産する方法、そしてその生産方法により
得られる改質されたMPに関する。
菌で製紙原料及び/または白水を処理することによる、
メカニカルパルプ(以下、MPと略す。)製造工程、及
び/またはMPを使用する製紙工程に存在する木材疎水
性成分(ピッチ系成分)を分解除去する方法、及び改質
されたMPを生産する方法、そしてその生産方法により
得られる改質されたMPに関する。
【0002】
【従来の技術】MPは、丸太あるいはチップをグライン
ダーあるいはリファイナーで磨砕する、という簡単な機
械処理で木材をパルプ化して得られるもので、アルカリ
等の化学薬品を使って得られる化学パルプに比較して、
収率が高く、コストも安く、不透明度が高いという長所
を有する。従って、特に近年では、環境保護、即ち木材
繊維の有効利用の観点より、MPの収率の高さに注目が
集まり、市場でもMP高含有の紙製品が目立ち始めてい
るが、その反面、MPは機械的な磨砕をパルプ化の手段
とするため、木材成分がほとんど変化せずにパルプ中に
残留し、その使用にあたっては、このことに起因する種
々の障害に直面することともなる。
ダーあるいはリファイナーで磨砕する、という簡単な機
械処理で木材をパルプ化して得られるもので、アルカリ
等の化学薬品を使って得られる化学パルプに比較して、
収率が高く、コストも安く、不透明度が高いという長所
を有する。従って、特に近年では、環境保護、即ち木材
繊維の有効利用の観点より、MPの収率の高さに注目が
集まり、市場でもMP高含有の紙製品が目立ち始めてい
るが、その反面、MPは機械的な磨砕をパルプ化の手段
とするため、木材成分がほとんど変化せずにパルプ中に
残留し、その使用にあたっては、このことに起因する種
々の障害に直面することともなる。
【0003】一般に木材は、セルロース、ヘミセルロー
ス及びリグニンの主要3成分の他に有機溶媒抽出物であ
る木材疎水性成分を含んでいる。この木材疎水性成分は
樹種によって、その材中の含量が1〜10%程度の範囲
でばらつき、また質的にも異なるが、MPの主原料であ
る針葉樹材は、樹脂酸、脂肪酸グリセライド、及び脂肪
酸等の木材疎水性成分を多量に含有していることが知ら
れている。
ス及びリグニンの主要3成分の他に有機溶媒抽出物であ
る木材疎水性成分を含んでいる。この木材疎水性成分は
樹種によって、その材中の含量が1〜10%程度の範囲
でばらつき、また質的にも異なるが、MPの主原料であ
る針葉樹材は、樹脂酸、脂肪酸グリセライド、及び脂肪
酸等の木材疎水性成分を多量に含有していることが知ら
れている。
【0004】しかし、かかる疎水性成分はセルロースの
水素結合を妨げるため、MPのような木材疎水性成分高
含有のパルプから作られた紙は、繊維間結合が弱く、紙
力(紙の強度)に劣るものとなるのである。また、これ
らの成分は、パルプ化の際に一部がパルプから離脱し
て、白水中に浮遊状態になったり、繊維表面に付着し、
またはこれを被覆する形となるが、これがパルプ製造か
ら製紙に至る工程中で、紙、タンク、ワイヤー部あるい
はロール部等に堆積し、紙汚れや紙切れなどの、いわゆ
るピッチトラブルを生じさせる原因となる。さらに、木
材疎水性成分である樹脂酸の一種、アビエチン酸類は、
魚毒性を有することが知られており、従って、かかる成
分を含有する白水等を工程外に排出する場合には、その
除去等、何等かの処理を行なうことが必要となる。
水素結合を妨げるため、MPのような木材疎水性成分高
含有のパルプから作られた紙は、繊維間結合が弱く、紙
力(紙の強度)に劣るものとなるのである。また、これ
らの成分は、パルプ化の際に一部がパルプから離脱し
て、白水中に浮遊状態になったり、繊維表面に付着し、
またはこれを被覆する形となるが、これがパルプ製造か
ら製紙に至る工程中で、紙、タンク、ワイヤー部あるい
はロール部等に堆積し、紙汚れや紙切れなどの、いわゆ
るピッチトラブルを生じさせる原因となる。さらに、木
材疎水性成分である樹脂酸の一種、アビエチン酸類は、
魚毒性を有することが知られており、従って、かかる成
分を含有する白水等を工程外に排出する場合には、その
除去等、何等かの処理を行なうことが必要となる。
【0005】木材疎水性成分を除去するため従来から行
なわれてきた方法の一つに、原木の丸太を伐採した後、
これを屋外に積み上げて長期にわたって放置する、いわ
ゆるシーズニングと呼ばれる処理がある。しかし、この
処理には長い時間と広大な土地を要し、しかも得られる
パルプの収率・白色度を低下させる、という問題があ
る。また、オフィオストマ(Ophiostoma)属に属する子
嚢菌で木材チップを処理することも提案されている(特
開平6−245758)が、やはりその処理には比較的
長期間を要する。加えてこの方法では、木材疎水性成分
の分解除去自体に対して、あまり高い効果が得られてい
ない。
なわれてきた方法の一つに、原木の丸太を伐採した後、
これを屋外に積み上げて長期にわたって放置する、いわ
ゆるシーズニングと呼ばれる処理がある。しかし、この
処理には長い時間と広大な土地を要し、しかも得られる
パルプの収率・白色度を低下させる、という問題があ
る。また、オフィオストマ(Ophiostoma)属に属する子
嚢菌で木材チップを処理することも提案されている(特
開平6−245758)が、やはりその処理には比較的
長期間を要する。加えてこの方法では、木材疎水性成分
の分解除去自体に対して、あまり高い効果が得られてい
ない。
【0006】一方、本出願人は先に、特願昭63−31
4408号(特公平4−29794号)において、製紙
原料及び/または白水中の脂肪酸トリグリセライドを酵
素リパーゼによって分解することによる、ピッチトラブ
ルの防止法を提案した。しかしこの方法も、ピッチトラ
ブルの防止のみを目的とした場合には優れた効果がある
ものの、トリグリセライド以外の木材疎水性成分はリパ
ーゼによっても分解されず残存するため、MPの改質、
即ちセルロースの水素結合を妨害する、パルプ表面の疎
水性成分を分解除去し、強度の優れた紙を与えるパルプ
とする、ということまでは望めなかった。
4408号(特公平4−29794号)において、製紙
原料及び/または白水中の脂肪酸トリグリセライドを酵
素リパーゼによって分解することによる、ピッチトラブ
ルの防止法を提案した。しかしこの方法も、ピッチトラ
ブルの防止のみを目的とした場合には優れた効果がある
ものの、トリグリセライド以外の木材疎水性成分はリパ
ーゼによっても分解されず残存するため、MPの改質、
即ちセルロースの水素結合を妨害する、パルプ表面の疎
水性成分を分解除去し、強度の優れた紙を与えるパルプ
とする、ということまでは望めなかった。
【0007】MPの改質については、従来からもリファ
イニング条件の変更等、様々な試みがなされてきたが、
根本的な解決法はなく、特にフリーネスを一定にして紙
力を向上させることは困難であった。もっとも、木材疎
水性成分除去のため、パルプを有機溶媒で抽出したり、
界面活性剤で処理する等の方法も考えられるが、少量の
パルプで実験的に行う場合はともかく、実際の工程にお
いては、設備や溶媒・処理液の回収等の問題から、現在
のところ到底受け入れられるものではない。
イニング条件の変更等、様々な試みがなされてきたが、
根本的な解決法はなく、特にフリーネスを一定にして紙
力を向上させることは困難であった。もっとも、木材疎
水性成分除去のため、パルプを有機溶媒で抽出したり、
界面活性剤で処理する等の方法も考えられるが、少量の
パルプで実験的に行う場合はともかく、実際の工程にお
いては、設備や溶媒・処理液の回収等の問題から、現在
のところ到底受け入れられるものではない。
【0008】また、排水中の樹脂酸の問題については、
上記したいずれの方法においても検討したものはない。
上記したいずれの方法においても検討したものはない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、MP
の製造工程、及び/またはこれを用いた製紙工程におい
て、木材疎水性成分のうち樹脂酸類、脂肪酸グリセライ
ド類、及び脂肪酸類を温和な処理で効率的に分解除去す
ることにより、パルプ製造から製紙に至る一連の工程に
おいてピッチトラブルを防止するとともに、紙力等の紙
質特性に優れた紙を与えるMPを生産する方法、及びそ
の処理により木材疎水性成分を分解除去して改質され
た、MPを提供することにある。
の製造工程、及び/またはこれを用いた製紙工程におい
て、木材疎水性成分のうち樹脂酸類、脂肪酸グリセライ
ド類、及び脂肪酸類を温和な処理で効率的に分解除去す
ることにより、パルプ製造から製紙に至る一連の工程に
おいてピッチトラブルを防止するとともに、紙力等の紙
質特性に優れた紙を与えるMPを生産する方法、及びそ
の処理により木材疎水性成分を分解除去して改質され
た、MPを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的は、樹脂酸類分
解性、脂肪酸グリセライド類分解性、及び脂肪酸類分解
性を兼ね備えたシュードモナス菌を使用して、製紙原料
及び/または白水に存在する木材疎水性成分を分解する
ことにより達成された。
解性、脂肪酸グリセライド類分解性、及び脂肪酸類分解
性を兼ね備えたシュードモナス菌を使用して、製紙原料
及び/または白水に存在する木材疎水性成分を分解する
ことにより達成された。
【0011】即ち、本発明の第一は、製紙原料及び/ま
たは白水に存在する木材疎水性成分を、樹脂酸類分解
性、脂肪酸グリセライド類分解性、及び脂肪酸類分解性
を併せ持つシュードモナス菌で分解することを特徴とす
る、MP製造工程、及び/またはMPを使用する製紙工
程における、木材疎水性成分の分解除去方法に関する。
また本発明の第二は、製紙原料に存在する木材疎水性成
分を、樹脂酸類分解性、脂肪酸グリセライド類分解性、
及び脂肪酸類分解性を併せ持つシュードモナス菌で分解
することを特徴とする、強度の優れた紙を与えるMPの
生産方法に関し、さらに本発明の第三は、かかる生産方
法により得られる、強度の優れた紙を与えるMPに関す
る。以下に、本発明を詳細に説明する。
たは白水に存在する木材疎水性成分を、樹脂酸類分解
性、脂肪酸グリセライド類分解性、及び脂肪酸類分解性
を併せ持つシュードモナス菌で分解することを特徴とす
る、MP製造工程、及び/またはMPを使用する製紙工
程における、木材疎水性成分の分解除去方法に関する。
また本発明の第二は、製紙原料に存在する木材疎水性成
分を、樹脂酸類分解性、脂肪酸グリセライド類分解性、
及び脂肪酸類分解性を併せ持つシュードモナス菌で分解
することを特徴とする、強度の優れた紙を与えるMPの
生産方法に関し、さらに本発明の第三は、かかる生産方
法により得られる、強度の優れた紙を与えるMPに関す
る。以下に、本発明を詳細に説明する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明では基本的に、上記三つの
分解性を兼ね備えた細菌であれば何れをも使用すること
ができるが、特にシュードモナス・レジノボランス(Ps
eudomonas resinovorans 以下、P.レジノボランスと
略す。)等、シュードモナス属に属する菌は、通常のパ
ルプ製造、製紙工程において使用される条件下で、本発
明の目的とする効果を達成できる点でふさわしい。中で
も、P.レジノボランスATCC−14235は、かか
る条件下、これら木材疎水性成分に対して優れた分解能
を発揮する。
分解性を兼ね備えた細菌であれば何れをも使用すること
ができるが、特にシュードモナス・レジノボランス(Ps
eudomonas resinovorans 以下、P.レジノボランスと
略す。)等、シュードモナス属に属する菌は、通常のパ
ルプ製造、製紙工程において使用される条件下で、本発
明の目的とする効果を達成できる点でふさわしい。中で
も、P.レジノボランスATCC−14235は、かか
る条件下、これら木材疎水性成分に対して優れた分解能
を発揮する。
【0013】なお、カビなどの糸状菌はパルプと共に抄
紙され、紙中で菌体を核とした固まりをつくって断紙の
原因となる等のトラブルを起こし易い。それに対し、本
発明で用いるのは大きさ数ミクロンの細菌なので、紙中
に抄き込まれることもあまりなく、加えて、MP繊維の
表面に存在する、非常に複雑な微細構造に自由に入り込
んで、そこに存在する木材疎水性成分を分解除去するこ
とをも可能とする。
紙され、紙中で菌体を核とした固まりをつくって断紙の
原因となる等のトラブルを起こし易い。それに対し、本
発明で用いるのは大きさ数ミクロンの細菌なので、紙中
に抄き込まれることもあまりなく、加えて、MP繊維の
表面に存在する、非常に複雑な微細構造に自由に入り込
んで、そこに存在する木材疎水性成分を分解除去するこ
とをも可能とする。
【0014】また本発明は、GP(砕木パルプ)、RG
P(リファイナー砕木パルプ)、TMP(サーモメカニ
カルパルプ)などのMPに対して適用することができ
る。これらは漂白工程を経たものであっても構わない。
P(リファイナー砕木パルプ)、TMP(サーモメカニ
カルパルプ)などのMPに対して適用することができ
る。これらは漂白工程を経たものであっても構わない。
【0015】これらのパルプを改質し、強度の優れた紙
を与えるパルプとするためには、その含有する木材疎水
性成分のうち、樹脂酸類及び脂肪酸グリセライド類のそ
れぞれ50%以上を分解除去する必要がある。脂肪酸の
分解除去は、パルプのこうした改質に対してはさほど重
要ではないが、本発明の処理により、パルプ中にそもそ
も存在していた脂肪酸の他に、脂肪酸グリセライド類の
分解により生じた脂肪酸が加わり、これらが微生物の栄
養源となって、パルプ製造・製紙工程におけるスライム
トラブル等、雑菌汚染によるトラブルを発生させるおそ
れがあるため、本発明で用いる菌にはやはり、脂肪酸分
解能を有することが要求される。
を与えるパルプとするためには、その含有する木材疎水
性成分のうち、樹脂酸類及び脂肪酸グリセライド類のそ
れぞれ50%以上を分解除去する必要がある。脂肪酸の
分解除去は、パルプのこうした改質に対してはさほど重
要ではないが、本発明の処理により、パルプ中にそもそ
も存在していた脂肪酸の他に、脂肪酸グリセライド類の
分解により生じた脂肪酸が加わり、これらが微生物の栄
養源となって、パルプ製造・製紙工程におけるスライム
トラブル等、雑菌汚染によるトラブルを発生させるおそ
れがあるため、本発明で用いる菌にはやはり、脂肪酸分
解能を有することが要求される。
【0016】本発明の処理は、木材チップ、パルプスラ
リー、循環白水等に対して行うことができるが、その中
でも、磨細工程後のパルプスラリーに対して処理を行う
ことが、適正な菌の増殖、効率的な木材疎水性成分の分
解除去の上で最も適している。処理のための温度、pH
は、使用するシュードモナス菌の種類によっても異なる
が、通常は、温度20〜35℃、pH5〜8の範囲で処
理することが望ましい。またシュードモナス菌は、単に
その菌体を工程中の製紙原料や白水に添加しても、ある
いは担体結合法、包埋法などの公知の方法で固定化し
た、いわゆる固定化微生物として使用してもよい。
リー、循環白水等に対して行うことができるが、その中
でも、磨細工程後のパルプスラリーに対して処理を行う
ことが、適正な菌の増殖、効率的な木材疎水性成分の分
解除去の上で最も適している。処理のための温度、pH
は、使用するシュードモナス菌の種類によっても異なる
が、通常は、温度20〜35℃、pH5〜8の範囲で処
理することが望ましい。またシュードモナス菌は、単に
その菌体を工程中の製紙原料や白水に添加しても、ある
いは担体結合法、包埋法などの公知の方法で固定化し
た、いわゆる固定化微生物として使用してもよい。
【0017】なお、この処理は好気的条件下で行う。シ
ュードモナス菌は比較的酸素の乏しい条件下でも成育は
するが、木材疎水性成分を効率よく分解させようという
目的のためには、酸素の存在が必要である。特に、その
処理液を強撹拌したり、空気や酸素等を強制的に吹き込
むなどして十分な酸素を供給することで、より優れた木
材疎水性成分分解能を発揮することができる。
ュードモナス菌は比較的酸素の乏しい条件下でも成育は
するが、木材疎水性成分を効率よく分解させようという
目的のためには、酸素の存在が必要である。特に、その
処理液を強撹拌したり、空気や酸素等を強制的に吹き込
むなどして十分な酸素を供給することで、より優れた木
材疎水性成分分解能を発揮することができる。
【0018】処理に使用する菌体の量は、104 〜108 個
の範囲にあることが望ましい。菌体量がこの範囲内にあ
れば、上記の温度、pHの範囲において、処理液中の木
材疎水性成分は0.5〜6時間、通常は2〜4時間の滞
留時間で、本発明の目的を達成可能なレベルまで分解除
去される。もっともこの木材疎水性成分の除去率は、そ
の処理条件を変えることにより調節することも、もちろ
ん可能である。単にピッチトラブルの防止のみを目的と
する場合ならば、パルプの改質を目的とする場合ほどの
除去率は要求されない。
の範囲にあることが望ましい。菌体量がこの範囲内にあ
れば、上記の温度、pHの範囲において、処理液中の木
材疎水性成分は0.5〜6時間、通常は2〜4時間の滞
留時間で、本発明の目的を達成可能なレベルまで分解除
去される。もっともこの木材疎水性成分の除去率は、そ
の処理条件を変えることにより調節することも、もちろ
ん可能である。単にピッチトラブルの防止のみを目的と
する場合ならば、パルプの改質を目的とする場合ほどの
除去率は要求されない。
【0019】
【作用】本発明はシュードモナス菌によって、製紙原料
及び/または白水中の樹脂酸類、脂肪酸グリセライド
類、及び脂肪酸類を高率で分解除去することにより、パ
ルプ製造から製紙に至る一連の工程においてピッチトラ
ブルを防止するとともに、紙質特性(紙強度等)の優れ
た紙を与えるMPの提供を可能とした。
及び/または白水中の樹脂酸類、脂肪酸グリセライド
類、及び脂肪酸類を高率で分解除去することにより、パ
ルプ製造から製紙に至る一連の工程においてピッチトラ
ブルを防止するとともに、紙質特性(紙強度等)の優れ
た紙を与えるMPの提供を可能とした。
【0020】前述のように、樹脂酸、脂肪酸グリセライ
ド、脂肪酸は、MPの主原料である針葉樹材中の主要な
疎水性成分であるが、MP繊維は非常に複雑な微細構造
を有しており、通常はかかる微細構造から効率良く木材
疎水性成分を分解除去することが難しい。しかし本発明
においては、これら疎水性成分の分解能を有するシュー
ドモナス菌が、この微細構造に入り込んでこれらを分解
するため、繊維表面に存在し、繊維間結合を阻害してい
た成分が高い効率で均一に除去されて、繊維間の水素結
合が増加し、裂断長などの紙強度が大幅に向上するもの
と考えられる。
ド、脂肪酸は、MPの主原料である針葉樹材中の主要な
疎水性成分であるが、MP繊維は非常に複雑な微細構造
を有しており、通常はかかる微細構造から効率良く木材
疎水性成分を分解除去することが難しい。しかし本発明
においては、これら疎水性成分の分解能を有するシュー
ドモナス菌が、この微細構造に入り込んでこれらを分解
するため、繊維表面に存在し、繊維間結合を阻害してい
た成分が高い効率で均一に除去されて、繊維間の水素結
合が増加し、裂断長などの紙強度が大幅に向上するもの
と考えられる。
【0021】なお、ここで用いるシュードモナス菌は、
この3成分の分解能を有することが必須の要件であっ
て、この要件を備えることによって初めて、本発明の目
的を何ら支障なく達成することが可能となる。
この3成分の分解能を有することが必須の要件であっ
て、この要件を備えることによって初めて、本発明の目
的を何ら支障なく達成することが可能となる。
【0022】
【実施例】以下に、本発明を実施例に基づいて説明す
る。
る。
【0023】[実施例1]パルプの菌処理 10l容角型ステンレス製ポットに用意した1%濃度の
アカマツ材GPスラリー5lを、1N−NaOHにてp
H7.0に調整し、これにP.レジノボランスATCC
−14235の培養液500ml(菌体として約1.5
g相当)を加え、30℃で5時間、撹拌機(商品名:ス
リーワンモーター)に直径12cmのローター羽(4
枚)を取り付けたものを用い、180r.p.m.で強撹拌す
ることにより処理を行った。
アカマツ材GPスラリー5lを、1N−NaOHにてp
H7.0に調整し、これにP.レジノボランスATCC
−14235の培養液500ml(菌体として約1.5
g相当)を加え、30℃で5時間、撹拌機(商品名:ス
リーワンモーター)に直径12cmのローター羽(4
枚)を取り付けたものを用い、180r.p.m.で強撹拌す
ることにより処理を行った。
【0024】なお、P.レジノボランスATCC−14
235の培養は、ポリペプトン17g、ソイトン3g、
リン酸1水素カリウム2.5g、グルコース2.5g、
塩化ナトリウム5gを、水1000gに溶解した栄養培
地を用いて30℃で行い、培養約1日後のものを上記の
菌処理に供した。
235の培養は、ポリペプトン17g、ソイトン3g、
リン酸1水素カリウム2.5g、グルコース2.5g、
塩化ナトリウム5gを、水1000gに溶解した栄養培
地を用いて30℃で行い、培養約1日後のものを上記の
菌処理に供した。
【0025】抽出成分の分析 抽出溶媒にベンゼン:エタノール 2:1溶液を用い
て、ソックレスー抽出装置で6時間、菌処理後のパルプ
について溶媒抽出を行った。
て、ソックレスー抽出装置で6時間、菌処理後のパルプ
について溶媒抽出を行った。
【0026】抽出物の一部は、ジエチルアセタール法で
エチル化した後、ガスクロマトグラフィー(GC)分析
にて脂肪酸と樹脂酸の定量を行い、また一部はイヤトロ
スキャン(IATROSCAN MK−5、IATRO
N LABORATORIES INC.製)により脂
肪酸トリグリセライドの定量を行った。
エチル化した後、ガスクロマトグラフィー(GC)分析
にて脂肪酸と樹脂酸の定量を行い、また一部はイヤトロ
スキャン(IATROSCAN MK−5、IATRO
N LABORATORIES INC.製)により脂
肪酸トリグリセライドの定量を行った。
【0027】手抄シートの作製 菌処理後のパルプに、硫酸バンド3%を添加した後、手
抄装置(有効直径16cm)により白水を循環させなが
ら2gのシートを作製し、それぞれJIS、JAPAN
TAPPI等に定める試験法に従い、坪量(JIS
P−8124)、密度(JIS P−8118)、比破
裂度(破裂度(JIS P−8112)と坪量より算
出)、比引裂度(引裂度(JIS P−8116)と坪
量より算出)、裂断長(引張強さ(JIS P−811
3)と坪量より算出)、点滴吸水度(JAPAN TA
PPI No.33)、及び動摩擦係数(JAPAN
TAPPI No.30−79)について紙試験を行っ
た。抽出成分の分析及び紙試験の結果を表1に示す。
抄装置(有効直径16cm)により白水を循環させなが
ら2gのシートを作製し、それぞれJIS、JAPAN
TAPPI等に定める試験法に従い、坪量(JIS
P−8124)、密度(JIS P−8118)、比破
裂度(破裂度(JIS P−8112)と坪量より算
出)、比引裂度(引裂度(JIS P−8116)と坪
量より算出)、裂断長(引張強さ(JIS P−811
3)と坪量より算出)、点滴吸水度(JAPAN TA
PPI No.33)、及び動摩擦係数(JAPAN
TAPPI No.30−79)について紙試験を行っ
た。抽出成分の分析及び紙試験の結果を表1に示す。
【0028】[比較例1]P.レジノボランス培養液に
代えて、菌を接種していない栄養培地500mlをスラ
リーに添加した他は、実施例1と同様にして菌処理、抽
出成分の分析及び紙試験を行った。結果を表1に示す。
代えて、菌を接種していない栄養培地500mlをスラ
リーに添加した他は、実施例1と同様にして菌処理、抽
出成分の分析及び紙試験を行った。結果を表1に示す。
【0029】[比較例2]P.レジノボランスATCC
−14235に代えて、シュードモナス・プチダバイオ
バーB(Pseudomonas putida biovar B)ATCC−
17484を使用した他は、実施例1と同様にして菌処
理、抽出成分の分析及び紙試験を行った。結果を表1に
示す。
−14235に代えて、シュードモナス・プチダバイオ
バーB(Pseudomonas putida biovar B)ATCC−
17484を使用した他は、実施例1と同様にして菌処
理、抽出成分の分析及び紙試験を行った。結果を表1に
示す。
【0030】[比較例3]P.レジノボランスATCC
−14235に代えて、シュードモナス・プチダバイオ
バーA JCM−6157を使用した他は、実施例1と
同様にして菌処理、抽出成分の分析及び紙試験を行っ
た。結果を表1に示す。
−14235に代えて、シュードモナス・プチダバイオ
バーA JCM−6157を使用した他は、実施例1と
同様にして菌処理、抽出成分の分析及び紙試験を行っ
た。結果を表1に示す。
【0031】[比較例4]実施例1のP.レジノボラン
ス培養液に代えて、液状品のリパーゼ酵素(レジナーゼ
A2X、ノボ・ノルディスク バイオインダストリー
(株)製)1000u(ユニット)を添加してパルプス
ラリーの処理を行った他は、実施例1と同様にして菌処
理、抽出成分の分析及び紙試験を行った。結果を表1に
示す。
ス培養液に代えて、液状品のリパーゼ酵素(レジナーゼ
A2X、ノボ・ノルディスク バイオインダストリー
(株)製)1000u(ユニット)を添加してパルプス
ラリーの処理を行った他は、実施例1と同様にして菌処
理、抽出成分の分析及び紙試験を行った。結果を表1に
示す。
【0032】
【表1】
【0033】表1に示す結果から明らかなように、本発
明の実施例1では、木材疎水性成分の主要成分である、
樹脂酸類、脂肪酸グリセライド類、脂肪酸類の分解率が
いずれも約80%以上を示した。これに対して、比較例
でこれらの成分の分解率が全て50%を超えたものはな
い。また実施例1において菌処理後のパルプより得られ
た紙は、比破裂度、比引裂度、裂断長がいずれも比較例
1に対して10%以上向上しており、しかもこれらは、
エージング後、即ち加熱処理後の点滴吸水度も低く(比
較例1に対し、吸水性が3.5倍に増加)、動摩擦係数
も高い値を示した(比較例1に対して10%以上)。紙
力の向上以外に観察される、このような吸水性、動摩擦
係数の増加もやはり、紙の吸水性を減少させ、あるいは
紙表面を滑りやすくさせる疎水性成分が、パルプの菌処
理により分解除去された結果であると考えられる。
明の実施例1では、木材疎水性成分の主要成分である、
樹脂酸類、脂肪酸グリセライド類、脂肪酸類の分解率が
いずれも約80%以上を示した。これに対して、比較例
でこれらの成分の分解率が全て50%を超えたものはな
い。また実施例1において菌処理後のパルプより得られ
た紙は、比破裂度、比引裂度、裂断長がいずれも比較例
1に対して10%以上向上しており、しかもこれらは、
エージング後、即ち加熱処理後の点滴吸水度も低く(比
較例1に対し、吸水性が3.5倍に増加)、動摩擦係数
も高い値を示した(比較例1に対して10%以上)。紙
力の向上以外に観察される、このような吸水性、動摩擦
係数の増加もやはり、紙の吸水性を減少させ、あるいは
紙表面を滑りやすくさせる疎水性成分が、パルプの菌処
理により分解除去された結果であると考えられる。
【0034】一方、比較例2で得られたパルプから抄か
れた紙は、吸水性等の値では実施例1で得られた紙に匹
敵するものの、動摩擦係数の値でこれらと比べ0.1程
度も低い値を示した。これも、ここでパルプの処理に用
いた菌が、主要な木材疎水性成分のうち、脂肪酸グリセ
ライドや脂肪酸をほとんど分解しなかったためであろ
う。
れた紙は、吸水性等の値では実施例1で得られた紙に匹
敵するものの、動摩擦係数の値でこれらと比べ0.1程
度も低い値を示した。これも、ここでパルプの処理に用
いた菌が、主要な木材疎水性成分のうち、脂肪酸グリセ
ライドや脂肪酸をほとんど分解しなかったためであろ
う。
【0035】[実施例2]10l容角型ステンレス製ポ
ットに用意した1%濃度のアカマツ材GP5lを、1N
−NaOHにてpH7.0に調整し、これにP.レジノ
ボランスATCC−14235の培養液500ml(菌
体として約1.5g相当)を接種して、実施例1と同様
の撹拌機を用い、30℃で強撹拌することにより処理を
行いつつ、この処理液から一定時間毎にパルプをサンプ
リングし、そこに含まれるアビエチン酸の量を測定し
た。
ットに用意した1%濃度のアカマツ材GP5lを、1N
−NaOHにてpH7.0に調整し、これにP.レジノ
ボランスATCC−14235の培養液500ml(菌
体として約1.5g相当)を接種して、実施例1と同様
の撹拌機を用い、30℃で強撹拌することにより処理を
行いつつ、この処理液から一定時間毎にパルプをサンプ
リングし、そこに含まれるアビエチン酸の量を測定し
た。
【0036】なおアビエチン酸の定量は、実施例1と同
様の操作によりパルプ抽出物をGC分析に供することで
行った。結果を図1に示す。
様の操作によりパルプ抽出物をGC分析に供することで
行った。結果を図1に示す。
【0037】[比較例5]パルプの菌処理を静置条件下
で行った他は、実施例2と同様にしてアビエチン酸の定
量を行った。結果を図1に示す。
で行った他は、実施例2と同様にしてアビエチン酸の定
量を行った。結果を図1に示す。
【0038】図1より明らかなように、実施例2では菌
処理を強撹拌条件下で行うことで、静置条件下で菌処理
を行った比較例5と比べて、酸素が培養液中に十分供給
されたためアビエチン酸が非常に効率良く分解された。
処理を強撹拌条件下で行うことで、静置条件下で菌処理
を行った比較例5と比べて、酸素が培養液中に十分供給
されたためアビエチン酸が非常に効率良く分解された。
【0039】
【効果】本発明は、樹脂酸類、脂肪酸グリセライド類、
脂肪酸類の3成分に対する分解性を同時に有するシュー
ドモナス菌にて、製紙原料及び/または白水を処理する
ことのみにより、MPの改質、ピッチトラブルの防止、
排液の浄化、及び白水の安定化を達成した。
脂肪酸類の3成分に対する分解性を同時に有するシュー
ドモナス菌にて、製紙原料及び/または白水を処理する
ことのみにより、MPの改質、ピッチトラブルの防止、
排液の浄化、及び白水の安定化を達成した。
【0040】MPの改質について述べれば、本発明で
は、通常のパルプ製造、製紙工程中において製紙原料及
び/または白水を、かかる分解性を有するシュードモナ
ス菌で処理することで、フリーネス等の他の特性に悪影
響を与えたり、実操業でのトラブルを起こすおそれがな
く、これを用いて得られる紙の強度や、吸水性・滑り難
さ等の表面性の点で、MPを改質することができる。ま
たMPのかかる改質を、バイオ技術を用い、温和な条件
で達成する本発明は、環境保護の面からも社会の要請に
適合していると言える。
は、通常のパルプ製造、製紙工程中において製紙原料及
び/または白水を、かかる分解性を有するシュードモナ
ス菌で処理することで、フリーネス等の他の特性に悪影
響を与えたり、実操業でのトラブルを起こすおそれがな
く、これを用いて得られる紙の強度や、吸水性・滑り難
さ等の表面性の点で、MPを改質することができる。ま
たMPのかかる改質を、バイオ技術を用い、温和な条件
で達成する本発明は、環境保護の面からも社会の要請に
適合していると言える。
【0041】ピッチトラブルの防止については、本発明
では、脂肪酸グリセライドの他、樹脂酸類、脂肪酸類を
も分解することによりこれを防止する。なお、単にピッ
チトラブルの防止のみを目的とする場合は、それほど高
レベルの疎水性成分の除去は要求されない。従ってこの
場合は、MPの改質を目的とする場合よりも、より短時
間及び/または少量の菌体での処理により、十分目的を
達成することができる。
では、脂肪酸グリセライドの他、樹脂酸類、脂肪酸類を
も分解することによりこれを防止する。なお、単にピッ
チトラブルの防止のみを目的とする場合は、それほど高
レベルの疎水性成分の除去は要求されない。従ってこの
場合は、MPの改質を目的とする場合よりも、より短時
間及び/または少量の菌体での処理により、十分目的を
達成することができる。
【0042】さらに本発明の方法では、製紙原料及び白
水中の樹脂酸を分解するため、魚毒性のあるアビエチン
酸等の排液への混入を防止することができる。
水中の樹脂酸を分解するため、魚毒性のあるアビエチン
酸等の排液への混入を防止することができる。
【0043】加えて本発明によれば、パルプ製造・製紙
工程における循環白水を安定化することもできる。即
ち、新聞抄紙工程などの循環白水系には多くの微生物が
生息しており、連続操業においてしばしば、その増殖に
起因する菌糸状のスライムが生じ、断紙等のトラブルの
原因となるが、本発明においては、白水中に特定の細菌
を人為的に添加することにより、この菌をその白水中の
主要な微生物群として、循環白水系をより安定したもの
にすることができるのである。
工程における循環白水を安定化することもできる。即
ち、新聞抄紙工程などの循環白水系には多くの微生物が
生息しており、連続操業においてしばしば、その増殖に
起因する菌糸状のスライムが生じ、断紙等のトラブルの
原因となるが、本発明においては、白水中に特定の細菌
を人為的に添加することにより、この菌をその白水中の
主要な微生物群として、循環白水系をより安定したもの
にすることができるのである。
【図1】本発明における酸素供給条件とアビエチン酸分
解能の関係を示す図である。
解能の関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤田 夕子 東京都北区王子5丁目21番1号 日本製 紙株式会社 中央研究所内 (56)参考文献 特開 平6−220787(JP,A) 特表 平6−501062(JP,A) 特表 平6−506591(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D21C 9/08,3/22
Claims (9)
- 【請求項1】 好気的条件下、製紙原料及び/または白
水に存在する木材疎水性成分を、樹脂酸類分解性、脂肪
酸グリセライド類分解性、及び脂肪酸類分解性を併せ持
つシュードモナス菌で分解することを特徴とする、メカ
ニカルパルプ製造工程、及び/またはメカニカルパルプ
を使用する製紙工程における、木材疎水性成分の分解除
去方法。 - 【請求項2】 樹脂酸類分解性、脂肪酸グリセライド類
分解性、及び脂肪酸類分解性を併せ持つシュードモナス
菌として、シュードモナス・レジノボランス(Pseudomo
nas resinovorans)を用いる、請求項1に記載の木材疎
水性成分の分解除去方法。 - 【請求項3】 シュードモナス・レジノボランスとし
て、シュードモナス・レジノボランスATCC−142
35を用いる、請求項2に記載の木材疎水性成分の分解
除去方法。 - 【請求項4】 好気的条件下、製紙原料に存在する木材
疎水性成分を、樹脂酸類分解性、脂肪酸グリセライド類
分解性、及び脂肪酸類分解性を併せ持つシュードモナス
菌で分解することを特徴とする、強度の優れた紙を与え
るメカニカルパルプの生産方法。 - 【請求項5】 樹脂酸類分解性、脂肪酸グリセライド類
分解性、及び脂肪酸類分解性を併せ持つシュードモナス
菌として、シュードモナス・レジノボランスを用いる、
請求項4に記載の強度の優れた紙を与えるメカニカルパ
ルプの生産方法。 - 【請求項6】 シュードモナス・レジノボランスとし
て、シュードモナス・レジノボランスATCC−142
35を用いる、請求項5に記載の強度の優れた紙を与え
るメカニカルパルプの生産方法。 - 【請求項7】 好気的条件下、製紙原料に存在する木材
疎水性成分を、樹脂酸類分解性、脂肪酸グリセライド類
分解性、及び脂肪酸類分解性を併せ持つシュードモナス
菌で分解することにより得られる、強度の優れた紙を与
えるメカニカルパルプ。 - 【請求項8】 樹脂酸類分解性、脂肪酸グリセライド類
分解性、及び脂肪酸類分解性を併せ持つシュードモナス
菌として、シュードモナス・レジノボランスを用いて得
られることを特徴とする、請求項7に記載の強度の優れ
た紙を与えるメカニカルパルプ。 - 【請求項9】 シュードモナス・レジノボランスとし
て、シュードモナス・レジノボランスATCC−142
35を用いて得られることを特徴とする、請求項8に記
載の強度の優れた紙を与えるメカニカルパルプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7276026A JP2995727B2 (ja) | 1995-10-24 | 1995-10-24 | 微生物による木材疎水性成分の分解除去方法、並びに、微生物による改質されたメカニカルパルプの生産方法及びその方法により得られる改質されたメカニカルパルプ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7276026A JP2995727B2 (ja) | 1995-10-24 | 1995-10-24 | 微生物による木材疎水性成分の分解除去方法、並びに、微生物による改質されたメカニカルパルプの生産方法及びその方法により得られる改質されたメカニカルパルプ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09119085A JPH09119085A (ja) | 1997-05-06 |
JP2995727B2 true JP2995727B2 (ja) | 1999-12-27 |
Family
ID=17563767
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7276026A Expired - Fee Related JP2995727B2 (ja) | 1995-10-24 | 1995-10-24 | 微生物による木材疎水性成分の分解除去方法、並びに、微生物による改質されたメカニカルパルプの生産方法及びその方法により得られる改質されたメカニカルパルプ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2995727B2 (ja) |
-
1995
- 1995-10-24 JP JP7276026A patent/JP2995727B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09119085A (ja) | 1997-05-06 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |