JP2995317B2 - 逆止弁 - Google Patents

逆止弁

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JP2995317B2
JP2995317B2 JP7213488A JP21348895A JP2995317B2 JP 2995317 B2 JP2995317 B2 JP 2995317B2 JP 7213488 A JP7213488 A JP 7213488A JP 21348895 A JP21348895 A JP 21348895A JP 2995317 B2 JP2995317 B2 JP 2995317B2
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健 高地
秀司 大貝
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ロングウェルジャパン株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、弁体が平行移動す
る逆止弁に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の典型的な逆止弁は、弾性を有する
薄板部材で構成された弁体の一端を流体孔の側方に止着
し、他端を流体孔に被せる構造であった。このような形
式の逆止弁は例えばエアコンプレッサの吸気弁や排気弁
として広く利用されている。
【0003】図10は、この典型的な逆止弁を排気弁2
として3つシリンダヘッドプレート4上面に並べて配設
し、典型的な逆止弁とは若干異なる半円弧状の薄板部材
で構成された弁体を吸気弁6としてシリンダヘッドプレ
ート4下面に配設したエアコンプレッサのシリンダヘッ
ド8の平面図である。排気弁2の基端2aはシリンダヘ
ッドプレート4上面に止着され、排気弁2の先端2bは
シリンダヘッドプレート4の中央部に一列等間隔に形成
された3つの排気孔10を覆っている。吸気弁6の両端
6a,6aは、シリンダヘッドプレート4下面に図示し
ないねじで止着され、吸気弁6の中間部6bによって、
シリンダヘッドプレート4に貫通形成された3つの吸気
孔12,13,14が覆われている。
【0004】シリンダ16の上端に形成されたフランジ
部16aの上面には、吸気弁6の下面と対向した弁受部
18が形成されている。この弁受部18は吸気弁6の最
大開放ストロークを規制して吸気弁6の変形過多による
損傷を防止するもので、吸気弁6の開放時の変形状態に
ほぼ対応した受面18を形成し、かつ、吸気弁6との密
着的べた当りを避けるためにシリンダボア20側へわず
かに傾斜させられている。また、排気弁2の上方にも弁
受部18と同様の機能を果たす別の図示しない弁受部が
配設され、排気弁2の変形過多による損傷を同様に防止
するようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述の吸気弁6は、そ
の両端6aが止着され中間部が上下に揺動するため吸気
弁6は開閉時にいわゆる片持梁的な変形をするので、そ
の中央部6bが最も開放ストロークが大きく、中央部6
bの両側部6cの開放ストロークがこれに次いでいる。
このため中央の吸気孔13と両側の吸気孔12,14を
比べると、中央の吸気孔13では単位開口面積当りの吸
気量(単位吸気量)が最大であるが、両側の吸気孔1
2,14では単位吸気量がかなり少ない。このように単
位吸気量が最大になる部分が範囲的に非常に限定されて
いるのが従来の逆止弁の欠点であった。このことは排気
弁2についても同様であり、排気弁2が片持梁的に変形
することから、排気孔10が最も広く開口される位置
は、排気弁2の先端2bの最も先端側の一部ということ
になる。このように、単位吸気量ないし単位排気量が弁
の場所によってばらつくということは、吸気抵抗ないし
排気抵抗を少なくする上で不利である。
【0006】また、前述の如く吸気弁6は片持梁的な変
形をするので、弁受部18の深さは吸気弁6の両端6a
に近い部分の下で最も浅く、吸気弁6の中央部6bの下
で最も深く形成しなければならず、そのために弁受部1
8の形状が非常に複雑でその加工が大変である。
【0007】また、排気弁2も片持梁的な変形をするの
で、弁受部の形状が複雑となり加工が大変なことは吸気
弁6と同様である。
【0008】本発明の目的は、弁体を平行移動させて開
閉する構成にして、吸気孔や排気孔などの流体孔を場所
によらず均一に開口させることができ、また弁体の弁受
部の形状も場所によらず一定として弁受部の加工を容易
化することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
本発明の逆止弁は、薄板部材で構成された弁体と、弁体
の外周部に沿って等間隔に形成された複数の弾性アーム
部と、アーム部の先端に形成された止着部とを有する。
この逆止弁を使用するときは、弾性アーム部相互間の弁
体部分を流体孔に被せ、弾性アーム部の先端を流体孔の
側方にねじ等で止着する。流体孔に被せた弁体部分に内
側から外側に向かう圧力が作用すると、弾性アーム部が
変形して弾性アーム部以外の弁体部分が平行に外側に移
動し、流体孔を開放する。このとき、弁体が平行移動す
ることにより流体孔と弁体との間隙はどの位置でも一定
であり、実質的に広い開口が実現する。
【0010】複数の弾性アーム部は、弁体の外周部に沿
って所定長の切込みを形成することにより容易に形成可
能である。弁体は円板状、円形リング状、矩形状等、流
体孔の形状等に合わせて様々な形状を採用可能である。
また弾性アーム部の数は最低2つあればよく、これら弾
性アーム部は弁体の中心に関して対称的に形成するのが
好ましい。例えば弾性アーム部をリング状の弁体の周囲
に2つ形成する場合は、これらを弁体の孔の中心に関し
て点対称に形成し、かつ、例えば弁体の4分の1の円周
の長さで延在させる。
【0011】本発明に係る逆止弁は、流体の逆流を阻止
する目的のあらゆる部位に使用可能であり、例えばエア
コンプレッサの吸気弁や排気弁として利用できる他、2
サイクルエンジンのリードバルブとしても使用可能であ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明をエアコンプレッサ
に適用した一実施例を図に基づいて説明する。図1は本
発明を適用したエアコンプレッサ用の吸気弁30であ
る。この吸気弁30の弁体30aは、適度の弾性を有す
る薄板鋼をリング状に切り出したもので、弁体30aの
外周部に一対のアーム部30bが弁体30aと一体、か
つ、弁体30aの中心Cに関して点対称に形成され、弁
体30aの中央には孔が形成されている。アーム部30
bは、弁体30aの外周部に沿って中心角で約90度の
長さ分だけ円弧状の切込32が形成され、この切込32
の外側部分がアーム部30bとされている。アーム部3
0bの幅及び長さは、必要とされるばね定数など設計条
件に対応して適宜増減することができる。アーム部30
bの先端部にはねじ孔34が形成され、このねじ孔34
に通したねじ36を図1(B)のようにシリンダヘッド
プレート38下面に止着することによりアーム部30b
の先端部がシリンダヘッドプレート38下面に止着され
る。
【0013】シリンダヘッドプレート38には、その中
央部に円形の排気孔40が形成され、この排気孔40の
両側位置に排気孔40の中心を曲率中心とする円弧状を
なす吸気孔42,42が一対で形成されている。そして
吸気孔42の下側に吸気弁30のアーム部30b相互間
の弁体30aが位置する。また排気孔40の上側には、
図1(C)の排気弁44の先端部44aが位置する。
【0014】図2〜図4に示すように、シリンダヘッド
プレート38が被冠するシリンダ46のフランジ部46
a上面には環状の弁受部48が形成されている。この弁
受部48は吸気弁30の最大開放ストロークを規制する
ためのものであって、従来は図11及び図12の弁受部
18のように非常に複雑な形状であったが、この実施の
形態ではシリンダボア50に隣接する等幅環状をなし、
かつ、一定の傾斜角でシリンダボア50側に傾斜した環
状面で構成される。従ってこの環状面はどの部分でも同
じ形状をなし、旋盤などで簡単に加工することができ
る。
【0015】シリンダヘッドプレート38の上面には、
図5のように排気孔40の周囲において浅い堀52が形
成されている。この堀52は排気弁44の下面との当り
を避けるためのものであって、堀52の一端は次第に浅
くなってシリンダヘッドプレート38の片側方向へ延在
している。このため排気孔40の上端縁40aは堀52
の中にあってシリンダヘッドプレート38上面と同一高
さで突出し、ここに排気弁44の先端44b下面が当接
するようになっている。排気弁44の基端44aは堀5
2の延在端近傍のシリンダヘッドプレート38上面にね
じで止着される。
【0016】吸気弁30は、図6(A)(B)のように
アーム部30bが弾性的に屈曲可能なため、シリンダボ
ア50内のピストンの下降によりシリンダボア50内が
負圧になると、図6(B)のように閉塞部30c及び連
結部30dが面一状平面を維持したまま一体となって下
降し、吸気孔42を開放する。この時、吸気弁30は全
体が平行移動して下降するので、吸気孔42と弁体30
aとの隙間は場所によらず一定で均一であるから、吸気
開口を最大かつ十分にとることができる。またこの吸気
時、アーム部30bを除く吸気弁30の下面は弁受部4
8に当接し、最大開放ストロークが弁受部48によって
規制される。弁受部48はシリンダボア50側へ傾斜し
ているので、ここに吸気弁30の下面が水平を保ったま
ま平行移動にて下降し当接しても、吸気弁30下面と弁
受部48とが密着的にべた当りせず、従ってピストンが
下死点に到達した瞬間、吸気弁30がスムーズに弁受部
48から離間し、応答性よく吸気孔42を閉塞する。
【0017】吸気弁30が上下動する時、アーム部30
bの傾斜に起因して弁体30aが微小角度ではあるが正
逆両方向に繰返し回動する。この弁体30aの回動は有
益であって、アーム部30bに無理な力が作用するのを
防止する効果があり、これによりアーム部30bが折損
しにくくなる。
【0018】次にピストンが上昇移動に転ずると、シリ
ンダ46内の圧力上昇にて排気弁44が押し上げられ、
排気孔40が開放される。排気弁44の実施の形態とし
ては図5のような大型の排気弁44を使用してもよい
が、図7のように吸気弁30と構造的に類似した排気弁
54を使用してもよい。この排気弁54は中央に孔のな
い円板状である以外は図6の吸気弁30と全く同様の構
成である。排気弁54で注意すべき点は、図7(B)の
ように排気孔40がアーム部54bよりもやや内側に位
置するように排気弁54の直径ないしアーム部54bの
幅を設定することである。排気弁54の上には、スペー
サ55を介在させて弁受部となるバックプレート56を
ねじ57で取付ける。これにより排気弁54はスペーサ
55の厚み分だけ上方に平行変位可能となる。なおバッ
クプレート56には排気弁54との密着を避けるために
透孔58を複数形成するか、又は透孔58に代えてバッ
クプレート56下面に凹凸を形成する。
【0019】以上、本発明の一実施例につき説明した
が、本発明は前記実施例に限定されることなく種々の変
形が可能であり、例えば図8(A)のように吸気弁30
のアーム部30bを1本増やして3本を円周方向等間隔
に配設してもよいし、図8(B)のように4本のアーム
部30bを2本一組で互いに対向状に延在させてもよい
し、図8(B)で隣接するアーム部30bの先端部を連
結して図8(C)のように実質2本のアーム部30bと
しその中央部に止着用のねじ孔34を形成してもよい
し、図8(D)のように逆止弁31を方形としてその両
側に互いに逆方向に延在したアーム部31bを形成して
もよい。このような方形の逆止弁31は流体孔33が方
形である場合に好適である。
【0020】また本発明の逆止弁は、図9のように中央
孔のない円板状の吸気弁30を例に説明すると、弁体3
0aの中央部に補強用の凸部77,78,79を形成し
たものであってもよい。図9(A)(A’)の凸部77
は弁体中央部から三方に延びた凸部77であり、図9
(B)(B’)の凸部78は弁体中央部の円形領域にお
いて緩やかに屈曲した凸部78であり、図9(C)
(C’)の凸部79は弁体中央部においていわゆる三巴
形に三方に延びた凸部79である。凸部77と79は図
9(A’)(C’)のように山形断面をなす。特に図9
(C)のように三巴形の凸部79にすると、弁体30a
を通過する流体に凸部79によって旋回作用を及ぼすこ
とができるので、そのような旋回作用が必要とされる使
用例で有益である。
【0021】さらに本発明はエアコンプレッサ以外にも
適用可能であり、例えば図13のような2ストロークエ
ンジン60のリードバルブとしても使用できる。従来の
リードバルブ62は、吸気管64内にあって鳥の嘴状に
一対の傾斜弁66をクランク室68側に向けた状態で互
いに当接させたものであったが、傾斜弁66の先端が尖
っているため、傾斜弁66とコンロッド70との干渉を
避けるためリードバルブ62をクランク室68から少し
離間させて配置する必要があった。従って、リードバル
ブ62の内側の吸気管64の端部内に滞留する混合気
が、掃気工程で燃焼室までスムーズに流れにくいという
問題があった。そこで本発明の逆止弁をリードバルブ7
2として図14のようにクランク室68内壁の吸気孔7
4に被せれば、吸気管64の端部がクランク室68容積
に関与しなくなり、その分だけクランク室68に吸入さ
れた混合気が強く圧縮され、掃気効率もよくなる。勿
論、リードバルブ72はフラットなため、クランク室6
8内壁に装着してもコンロッド70との干渉の心配はな
い。なお、リードバルブ72は管路内に配設することも
可能であり、この場合、リードバルブ72の外周部はね
じ又は挟み込みにより管路内壁に固定することができ
る。
【0022】
【発明の効果】本発明は前記の如く、弁体を平行移動に
て開閉させるようにしたので、流体孔を弁体の位置によ
らず均一に開口させることができ、このため弁の開口度
を十分広くでき、コンプレッサの吸気弁や排気弁として
利用することにより吸排気抵抗が非常に少ないコンプレ
ッサを実現できる。また吸排気抵抗が少ないから弁体の
開閉リフト量を小さくすることも可能となり、それに伴
い弁の開閉騒音も小さくできる。また弁体が平行移動す
るため、弁体の最大開放ストロークを規制する弁受部の
形状も場所によらずすべての位置で一定となるので単純
化されその加工もきわめて容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明に係る吸気弁の平面図と断面
図、(B)はシリンダヘッドプレートの平面図、(C)
は排気弁の平面図。
【図2】シリンダの平面図。
【図3】シリンダの断面図。
【図4】弁受部の拡大断面図。
【図5】シリンダヘッドプレートの斜視図。
【図6】(A)は変形前の吸気弁の斜視図、(B)は変
形後の吸気弁の斜視図。
【図7】(A)はシリンダヘッドプレートの変形例の斜
視図、(B)は排気弁の変形例の斜視図。
【図8】(A)(B)(C)及び(D)は、それぞれ吸
気弁の変形例の平面図。
【図9】(A)は吸気弁の変形例の平面図、(A’)は
同吸気弁の矢視断面図、(B)は吸気弁の別の変形例の
平面図、(B’)は同吸気弁の矢視断面図、(C)は吸
気弁のさらに別の変形例の平面図、(C’)は同吸気弁
の矢視断面図。
【図10】従来のシリンダヘッドプレートの平面図。
【図11】シリンダの断面図。
【図12】シリンダの平面図。
【図13】2サイクルエンジンの断面図。
【図14】本発明を適用したリードバルブの斜視図。
【符号の説明】
30 吸気弁 30a 弁体 30b アーム部 30c 閉塞部 30d 連結部 32 切込 38 シリンダヘッドプレート 40 排気孔 42 吸気孔 44 排気弁 48 弁受部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16K 15/00 - 15/20 F04B 39/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薄板部材で構成された弁体と、 前記弁体の外周部に沿って等間隔に形成された複数の弾
    性アーム部と、 前記アーム部の先端に形成された止着部とを有する逆止
    弁。
  2. 【請求項2】 前記弁体が適度の弾性を有する薄板で構
    成されると共に、前記複数の弾性アーム部が、前記弁体
    の外周部に沿って所定長の切込みを形成することにより
    形成されてなる請求項1記載の逆止弁。
  3. 【請求項3】 前記弁体がリング状をなし、前記複数の
    アーム部が前記弁体の外周部に沿って等間隔かつ所定長
    で延在してなる請求項2記載の逆止弁。
  4. 【請求項4】 前記アーム部が一対で対称的に形成さ
    れ、かつ、リング状の弁体の4分の1円周の長さで延在
    してなる請求項3記載の逆止弁。
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