JP2991988B2 - 高齢者疑似体験用キット - Google Patents

高齢者疑似体験用キット

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JP2991988B2
JP2991988B2 JP9070284A JP7028497A JP2991988B2 JP 2991988 B2 JP2991988 B2 JP 2991988B2 JP 9070284 A JP9070284 A JP 9070284A JP 7028497 A JP7028497 A JP 7028497A JP 2991988 B2 JP2991988 B2 JP 2991988B2
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ankle
elderly
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fixing device
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義量 鷹野
康夫 須藤
徹 国原
万里子 服部
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CHOJU SHAKAI BUNKA KYOKAI
DAITOKYO KASAI KAIJO HOKEN KK
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CHOJU SHAKAI BUNKA KYOKAI
DAITOKYO KASAI KAIJO HOKEN KK
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  • Measurement Of The Respiration, Hearing Ability, Form, And Blood Characteristics Of Living Organisms (AREA)
  • Professional, Industrial, Or Sporting Protective Garments (AREA)
  • Outerwear In General, And Traditional Japanese Garments (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高齢になったとき
の身体的機能の低下や心理的変化を疑似的に体験するた
め、特に高齢者特有の筋力の衰えによる足関節の緩慢な
動きを再現するための高齢者疑似体験用キットに関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、世界的規模の人口増加問題ととも
に先進諸国では高齢化に対して国や企業がどのように取
り組むべきかという問題が浮上している。すでに身体的
機能に低下がある高齢者であっても、公的あるいは民間
による福祉事業により生活を援助してもらうことが可能
である。
【0003】また上述したような人的援助の他に、各種
の身体的な障害に合わせて腕や足等の動作を補助する補
助具や視力、聴覚を通常の生活レベルまで再現する眼
鏡、補聴器等のように各種の器具が利用されている。こ
れらの器具の中には日々改良されるものや新しく考案さ
れて登場したものまで様々である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した福
祉事業にしても器具の開発にしても、到来していない高
齢化や高齢化による身体的機能の低下を経験していない
人にとっては無縁のものであり、これに対して一般の人
が積極的に関心をもつということは期待できなかった。
【0005】最近、新聞や雑誌等のメディアを通して高
齢者に対する福祉の重要性を問いかけたり人々の関心を
引きつける努力がなされている。しかしながら、高齢化
による障害がどの程度生活に不具合を及ぼすものなのか
実際に体験してもらわないと実感することは困難であっ
た。このような理由から疑似的にでも体験してみないと
上述した福祉事業にしても器具の開発にしても柔軟な発
想あるいは新しい発想を得ることは困難であるという問
題があった。
【0006】そこで本発明は、上記のような問題点を解
消するためになされたもので、高齢者特有の筋力の衰え
による足関節の緩慢な動きを再現することによって高齢
者がかかえる身体的機能の低下や心理的変化を高い再現
性をもって疑似体験することができる高齢者疑似体験具
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明に係る高齢者疑似体験具は、高齢による身体
的機能の低下を疑似的に再現するために人体に装着して
使用される高齢者疑似体験用キットであって、高齢者疑
似体験用キットのうち、足首半固定具は、履物を挿入可
能なように爪先方向に向かって筒状に形成されるととも
に爪先に開口部を有する筒状部位と、筒状部位の後部か
ら上方へ向かって後側が展開形状に形成され履物の挿入
後に被覆して固定される展開部位とから成ることを特徴
とする。
【0008】この手段によれば、履物を履いたままで、
筒状部位に足の爪先から挿入して、足の甲に筒状部位が
フィットしたところで展開形状の後側を被覆して固定す
ると、足首近傍および足首関節が被覆される。装着者に
は、足首関節が任意の角度で半固定され、歩く際につま
先の上がりが規制された足首関節の緩慢な動きが再現さ
れる。
【0009】また、請求項2において、請求項1記載の
高齢者疑似体験用キットは、足首半固定具が、靴型形状
を呈し足首近傍および足首関節を靴の上から被覆可能な
足首当て部材と、この足首当て部材の左右両側面に取付
けされる足首当板と、足首当て部材に接続され足首当て
部材を巻回して足首への固定を可能とする帯状の紐状部
材とから成り、足首当て部材は筒状部位と展開部位とか
ら成ることを特徴とする。
【0010】この手段によれば、靴を履いたままで、足
首当て部材の筒状部位に足の爪先から挿入して、足の甲
に筒状部位がフィットしたところで開口部から爪先部分
が露出し、この状態で展開部位の左右両端を掛着して筒
状を形成すると、足首近傍および足首関節が被覆され
る。足首を両側面から挟むように足首当板を取付けした
状態で紐状部材を足首当て部材の上から巻回すると、足
首半固定具が足首関節に固定される。装着者には、足首
当板によって足首関節が任意の角度で半固定され、歩く
際につま先の上がりが規制された足首関節の緩慢な動き
が再現される。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、本発
明に係る高齢者疑似体験用キットの好適な一実施の形態
を詳細に説明する。
【0012】本実施の形態においては高齢者疑似体験用
キット(以下キットと称する)1は、図1に示したキッ
ト1のうち、足首半固定具60(61)について説明す
る。
【0013】足首半固定具60(61)は、図3に示し
た如く、横から見るとくの字に屈曲した靴型形状を有し
ている。足首半固定具60(61)は、靴型形状の足首
当て部材62と、この足首当て部材62の足首の両側面
に取り付けられる足首当板63,63と、足首当て部材
62を足首に固定する帯状の紐状部材64,64とを備
えている。
【0014】足首当て部材62は、図3に示した如く、
屈曲部位から一端(足首から爪先方向)に向かって筒状
に設けられ(筒状部位621)、他端(足首から膝方
向)に向かって展開形状(展開部位622)をもつよう
に設けられている。この展開部位622もまた左右縁部
に一本のスリット62A,62Bが設けられるととも
に、足首に巻回した際に掛着する掛着面を設けている。
また、くの字の屈曲部位には穴62aが設けられ、先端
に開口部62bが形成されている。穴62aには足首の
曲がる部分を位置させ、その際に、開口部62bから爪
先部分が露出するように構成される。そして、上記筒状
部位621の下面には、図2および図3に示した如く、
2本の紐状部材64,64が取り付けられており、各々
が足首当て部材62を少なくとも一周以上巻回できる長
さを有している。
【0015】次に、足首半固定具60の装着手順につい
て図4から図7を用いて説明する。まず、体験者は靴を
履いたままで、図4に示した如く、足首当て部材60の
筒状部位621に足の爪先から挿入して、足の甲に筒状
部位621がフィットしたところで、穴62aに足首の
曲がる部分が位置し、開口部62bから爪先部分が露出
する。この状態で、展開部位622の掛着面66を掛着
して筒状を形成し、仮止めを完了する。
【0016】さらに、図5に示した如く、足首を両側面
から挟むように足首当板63,63を取り付ける。そし
て、図6、図7に示した如く、2本の紐状部材64,6
4を甲に向かって穴62aのあたりでクロスするように
巻きつけ、足首当て部材62に掛着して固定する。この
ように、装着した後、そのまま行動を起こすことができ
る。
【0017】このように、足首当て部材62が足首関節
の位置で足首当板63,63により挟持された状態で紐
状部材64,64により巻き付けられるので、足首の捩
じり角度が規制され、足首に曲がり難さを与えることが
でき、高齢者特有の筋力の衰えにより生じる足関節の緩
慢な歩行の動きを常に正確に再現することができる。特
に歩行時につま先が上がりにくくなる症状を強制的に起
こすので、つまづきやすくなる状態を良好に再現するこ
とができる。
【0018】ここで、高齢者疑似体験者(以下体験者と
称する)400による高齢者疑似体験の一例について説
明する。体験者400が図1に示した足首半固定具を装
着して歩行する場合、図8に示した如く、足首の動きに
遊びが殆ど得られないので、つま先が十分に上がらない
状態となる。本来、爪先はあと角度θ3程度の上がりが
得られるが、足首半固定具により図8に示した如く、身
体的機能の低下を再現することで安全な歩行が困難とな
る。これは高齢に達しておらずこのような身体的機能の
低下を実感していない体験者400にとって心理的な不
安を募らせることはもちろん、いかに高齢者が困難な歩
行をしいられているかを理解するのに十分な体験であ
る。
【0019】以上説明したように足首半固定具60は、
履物の上から固定することできるので、日常生活してい
る履物の上からそのまま簡単に装着することができ、現
実の生活体験状態から足首関節の動きを規制あるいはに
ぶらせることで、頭で考えている動作のイメージと実際
の動作との間に生じるギャップを身体的機能の低下とし
て実感させることができる。従って、高齢者がかかえる
身体的機能の低下や心理的変化について高い再現性をも
って疑似体験することができる。
【0020】
【実施例】本発明によるキット1は、複数の疑似体験具
を組み合わせて使用することで、さらに高い再現性をも
って疑似体験を可能にすることができる。以下、図面に
基づいて詳述する。
【0021】本実施例による高齢者疑似体験用キット
(以下にキットと称する)1は、図1に示した如く、耳
栓10,11と、眼鏡20と、荷重用上着30と、肘固
定具40,41と、膝固定具50,51と、足首半固定
具60,61と、手首荷重用バンド部材70,71と、
足首荷重用バンド部材80,81と、手袋90,91
と、杖具100とを備えている。体験者400において
は、キット1の各具を身体に装着することで高齢者の身
体的機能を疑似的に再現するというものである。
【0022】上記耳栓10,11は高周波をカットする
ためのフィルタであり、その特性として、高齢者が聞き
取れる範囲の聴力を疑似的に再現するため、例えば3,
000から4,000ヘルツの音域を遮断して通常の話
し声の例えば500から1,000ヘルツの音域を通し
やすくした機能をもっている。これはJIS第一種型に
依存する。そして耳栓10(11)は、図9に示した如
く、柔軟性および可撓性を得るために例えば発泡ポリマ
に特殊樹脂加工を施した構造である。これにより、耳穴
への挿入時には、耳栓10(11)は、容易に圧縮し
て、耳穴のサイズや外耳道の形状に適合して柔軟に変形
する。耳穴に挿入された後に、耳栓10(11)は、圧
縮から一転してゆるやかな膨張を開始して、耳の壁面に
その壁面の形状に倣うように凹凸をもってフィットす
る。これにより耳への確実な装着が得られ、例えば、通
常の話し声よりも高い音域の警報音や叫びを聞き取りに
くくして、高齢者特有の難聴を疑似的に再現することが
できる。
【0023】上記眼鏡20は、図10に示した如く、ベ
ースとなる透明保護メガネ22の透視面22a裏面に黄
色フィルタ24とグレー系フィルム26とを貼り合わせ
た積層構造をもっている。貼り合わせについては、透明
保護メガネ22、黄色フィルタ24、グレー系フィルム
26の各縁部を接着剤等で接着させたり、透視面22a
に溝等の係止部を設け、黄色フィルタ24とグレー系フ
ィルム26の弾性を利用して上記係止部に嵌め込む様に
しても良い。以上の積層構造により、黄色フィルタ24
により白内障による色覚変化やぼやけて見える視野を再
現することができる。
【0024】実際の白内障には、水晶体が混濁し硬化す
るものと、さらに黄色系の色素が沈着したものとがあ
り、本実施例ではこの症状を上記黄色フィルタ24によ
り再現させることができる。またグレー系フィルム26
により視野の薄暗さや視野の狭さを再現することができ
る。実際の視野狭窄では、視力の低下、上眼瞼の下垂、
眼球の落ち込みが現れて、上記の症状を起こすが、本実
施例ではグレー系フィルム26を通した視界から疑似的
に体験することができる。これらの症状を同時に得るこ
とで、体験者400は視界の悪さに不安を抱くことにな
る。
【0025】上記荷重用上着30は、図11に示した如
く、体験者400の体重に対比させた重りを挿入するた
めの上段ポケット31,32および下段ポケット33,
34を前面に設けている。重り35,36はそれぞれ5
00g(グラム)程度の重量をもち、重り37,38は
それぞれ1kg(キログラム)程度の重量をもってい
る。疑似体験の際には、例えば、体重60kg未満の体
験者400については、上段ポケット31,32あるい
は下段ポケット33,34の各々に500gの重り3
5,36を挿入して合計1kgの荷重をかける。また体
重60kg以上の体験者400については、上段ポケッ
ト31,32あるいは下段ポケット33,34の各々に
1kgの重り37,38を挿入して合計2kgの荷重を
かける。このように荷重用上着30の前面に荷重をかけ
たことで、高齢者特有の前屈姿勢を再現することができ
る。
【0026】上記肘固定具40(41)は、図12に示
した如く、展開形状が矩形状の肘当て部材42と、この
肘当て部材42を肘に固定する帯状の紐状部材46,4
8とを備えている。そして、肘固定具40(41)はポ
リウレタン弾性繊維の不織布構造をもっている。
【0027】肘当て部材42において、腕を被覆した際
に外側に位置する表面42aには、肘当て部材42を腕
に巻回した際に腕の両側部を挟持できるようにガイドチ
ューブ44,44が離間して配置される。このガイドチ
ューブ44,44の内部には、表面42aの面方向で屈
曲自在の金属板45,45が収納されている。金属板4
5,45はほぼ中央で軸45a、45aを中心に肘当て
部材42のよじれの程度に応じて屈曲を得ることができ
る。また、肘当て部材42の左右の縁部には、上記軸4
5a、45aの位置に平行して凹所49a,49aが設
けられるとともに、この凹所49a,49bと上縁部と
の間にはスリット49a,49aが設けられている。さ
らに、腕を被覆した際に内側に位置する裏面42bに
は、左右いずれか一方の縁部に掛着面が設けられてお
り、肘当て部材42を巻回した際に掛着される構成であ
る。
【0028】そして、紐状部材46は、肘当て部材42
の上部、かつ、ガイドチューブ44,44の対抗してい
る一方の縁部に取り付けられ、他方の縁部に設けたリン
グ47で折り返したときに余り片が得られる程度の長さ
を有している。また、紐状部材46の先端部には、マジ
ックテープ等の掛着面46aが形成され、上記の折り返
しにより紐状部材46自身に掛着できるように構成され
る。
【0029】また、紐状部材48,48は、肘当て部材
42の上部、かつ、ガイドチューブ44,44の非対抗
している各縁部に斜めに取り付けられており、腕固定具
40を腕に装着した際に一周以上巻回できる程度の長さ
を有している。この紐状部材48,48もまた先端部に
マジックテープ等の掛着面が形成されており、肘当て部
材42に掛着できる構成である。
【0030】次に、腕固定具40の装着手順について図
13から図16を用いて説明する。まず、手のひらを上
に向け、腕の裏側から肘当て部材42(裏面42b)を
巻いて掛着面により仮止めする。この装着では、凹所4
9a,49aが上にくるようにしてガイドチューブ4
4,44を側面にあてがい、肘当て部材42左右縁部を
重ねて仮止めして、丁度腕の曲がる位置に円形状の穴4
9a’を形成する(図13)。
【0031】さらに、図14に示した如く、紐状部材4
6をリング47で折り返し、適度に絞り込んだところで
先端の掛着面46aを掛けて固定する。そして、2本の
紐状部材48,48を腕の先端に向かって穴49’のあ
たりでクロスするように巻きつけ、肘当て部材42(表
面42a)に掛着して固定する(図15,図16)。
【0032】このように、肘当て部材42が紐状部材4
6,48,48により巻き付けられるので、ガイドチュ
ーブ44,44に収納された金属板45,45は軸45
a,45aの位置での屈曲度が規制され、腕に曲がり難
さを与えることができ、高齢者特有の筋力の衰えにより
生じる肘関節の緩慢な動きを常に正確に再現することが
できる。
【0033】また、肘固定具40(41)が不織布構造
のため、程度の伸縮が得られて長時間の使用においても
持続性、適応性の低下はないので、使用頻度が高くても
安心して利用することができる。
【0034】また、手首荷重用バンド部材70,71と
足首荷重用バンド部材80,81はどちらも同様の内部
構成をもつので、代表例として手首荷重用バンド部材7
0について説明する。手首荷重用バンド部材70は、図
17に示した如く、帯状の本体72の長手方向に複数の
重り74a,74b,74c,74d,74eを並べて
収納させた構造をもっている。本体72は、弾力性およ
び可撓性をもつシート材で構成されており、これにより
手首に対して傷害を与えず、安心して巻回することがで
きる。また本体72の両端部にはマジックテープ等の掛
着部材76と被掛着部材78とが設けられており、それ
ぞれ体験者400の手首の太さに応じて掛着位置を適宜
調節できる面積を有する。
【0035】そして、本体72の内部に収納される重り
74a,74b,74c,74d,74eは均一の重量
をもっており、手首に装着した際に手首の回りに均等の
荷重を加えて手首のバランスを良好に保持することがで
きる。手首荷重用バンド部材70,71の場合には、例
えばひとつあたり0.75kgの重りを採用し、また足
首荷重用バンド部材80,81の場合には、例えばひと
つあたり1.0kgの重りを採用すれば良い。
【0036】さらに、手袋90(91)は、図18に示
した如く、手に接触させるゴム製手袋92と、このゴム
製手袋92を被覆するように積層させる布製手袋93
と、さらに布製手袋93を被覆するように積層される伸
縮性の合成繊維からなる伸縮性手袋94との3つの層か
ら構成される。なお、ゴム製手袋92と布製手袋93は
どちらも手指全体を被覆する形状を有しており、伸縮性
手袋96は少なくとも手のひらと指の第2関節までを被
覆する形状を有している。
【0037】この3層からなる手袋90を手に装着する
場合には、図19に示した如く、ゴム製手袋92、布製
手袋93、伸縮性手袋94の順で実施され、最後の伸縮
性手袋94については、母指の先端を縫い付けてあり、
他の指は必ず第2関節までを被覆させるように設けてい
る。このようにして対象物を触れたりつかんだり押した
りしたときに間接的な感触が、手指の触覚、圧覚、温覚
などを鈍化させて、通常受ける感覚に比べて感覚機能の
低下を体験することができる。また布製手袋93により
上記感覚機能の低下が助長されるとともに、手や指の微
妙な動きが阻害されて通常の動きに比べて緩慢な動作を
得ることができる。
【0038】また、伸縮性手袋94については、母指全
体を被覆しているために母指の折り曲げやその付け根の
自由度が奪われ、他の指の付け根を圧迫しているために
付け根間の動きが阻害されることになる。これにより、
スイッチ等の押し動作やガス栓等のひねり動作、引き出
し取っ手等の引き動作が普段どおりにいかず、苛立ちや
不安など、精神的なダメージを与えることができる。ま
た、物がつかみにくい、落としやすい等といった高齢者
特有の症状も再現することができる。
【0039】以上の手首荷重用バンド部材70,71
を、図20に示した如く、前述の肘固定具40,41、
手袋90,91とともに使用することで、高齢者特有の
筋力の低下により腕全体(手を含む)の緩慢な動きをよ
り正確に再現することができる。
【0040】また、上記膝固定具50(51)は、図2
1に示した如く、展開形状が矩形状の膝当て部材52
と、この膝当て部材52を膝に固定する帯状の紐状部材
56a,56b,56c,57,57とを備えている。
なお、膝固定具50(51)はポリウレタン弾性繊維の
不織布構造をもっている。
【0041】膝当て部材52において、膝を被覆した際
に外側に位置する表面52aには、膝当て部材52を膝
に巻回した際に膝の両側部を挟持できるようにガイドチ
ューブ53,53が離間して配置される。このガイドチ
ューブ53,53の内部には、表面52aの面方向で屈
曲自在の金属板54,54が収納されている。金属板5
4,54はほぼ中央で前述の肘当て部材42と同様の軸
53a,53aを中心に膝当て部材52のよじれの程度
に応じて屈曲を得ることができる。また、膝当て部材5
2の左右の縁部には、上記軸53a、53aの位置に平
行して凹所52A,52Bが設けられるとともに、この
凹所52A,52Bと上縁部、下縁部との各間にはスリ
ット52C,52D,52E,52Fが設けられてい
る。そして、膝当て部材52の中心部には、穴52Gが
開口され、この穴52Gの位置を膝の曲がる位置とす
る。さらに、腕を被覆した際に内側に位置する裏面52
bには、左右いずれか一方の縁部に掛着面が設けられて
おり、肘当て部材52を巻回した際に掛着される構成で
ある。
【0042】そして、紐状部材55aは、膝当て部材5
2の上部、かつ、ガイドチューブ53,53の対抗して
いる一方の縁部に取り付けられ、他方の縁部に設けたリ
ング56aで折り返したときに余り片が得られる程度の
長さを有している。同様に、膝当て部材52の下部に
も、紐状部材55aとリング56bの組が設けられてい
る。さらに、紐状部材55cは、紐状部材55bと逆回
りで膝当て部材52を巻回するように、穴52Gと紐状
部材55b間に、ガイドチューブ44,44の非対抗し
ている一方の縁部に取り付けられ、他方の縁部にリング
56cが設けられている。また、紐状部材55a,55
b,55cの各先端部には、マジックテープ等の掛着面
が形成され、各々の折り返しにより自身に掛着できるよ
うに構成される。
【0043】また、紐状部材57,57は、膝当て部材
52の下部、かつ、ガイドチューブ53,53の非対抗
している各縁部に斜めに取り付けられており、膝固定具
50を膝に装着した際に一周以上巻回できる程度の長さ
を有している。この紐状部材57,57もまた先端部に
マジックテープ等の掛着面が形成されており、膝当て部
材52に掛着できる構成である。
【0044】次に、膝固定具50の装着手順について図
22から図27を用いて説明する。まず、図22に示し
た如く、膝裏に穴52Gがくるように、かつ、軸53
a,53aが膝の両側部に位置するように、膝の裏側か
ら膝当て部材52(裏面52b)を巻いて掛着面により
仮止めする。この装着では、凹所52A,52Bが膝の
位置にくるようにしてガイドチューブ53,53を足の
側面にあてがい、膝当て部材52左右縁部を重ねて仮止
めして、丁度膝の位置に円形状の穴52’を形成する。
【0045】さらに、図23に示した如く、紐状部材4
5bをリング56bで折り返し、適度に絞り込んだとこ
ろで先端の掛着面を掛けて固定する。そして、2本の紐
状部材57,57を膝上に向かって穴52’のあたりで
クロスするように巻きつけ、膝当て部材52(表面52
a)に掛着して固定する(図24,図25)。
【0046】次に、図26、図27に示した如く、紐状
部材55c,55aをリング56c,56aでそれぞれ
折り返し、適度に絞り込んだところで先端の掛着面を掛
けて固定する。
【0047】このように、膝当て部材52が紐状部材5
5a,55b,55c,57,57により巻き付けられ
るので、ガイドチューブ53,53に収納された金属板
54,54は各軸の位置での屈曲度が規制され、膝に曲
がり難さを与えることができ、高齢者特有の筋力の衰え
により生じる膝関節の緩慢な動きを常に正確に再現する
ことができる。
【0048】また、膝固定具50(51)が不織布構造
のため、程度の伸縮が得られて長時間の使用においても
持続性、適応性の低下はないので、使用頻度が高くても
安心して利用することができる。
【0049】上述の通り、足首半固定具60(61)
は、横から見るとくの字に屈曲した靴型形状を有してお
り、靴型形状の足首当て部材62と、この足首当て部材
62の足首の両側面に取り付けられる足首当板63,6
3と、足首当て部材62を足首に固定する帯状の紐状部
材64,64とを備えている。なお、足首半固定具60
(61)はポリウレタン弾性繊維の不織布構造をもって
いる。これにより、適度の伸縮が得られて長時間の使用
においても持続性、適応性の低下がないので、使用頻度
が高くても安心して利用することができる。
【0050】足首当て部材62は、屈曲部位から一端
(足首から爪先方向)に向かって筒状に設けられ(筒上
部位621)、他端(足首から膝方向)に向かって展開
形状(展開部位622)をもつように設けられている。
この展開部位もまた左右縁部に一本のスリット62A,
62Bが設けられるとともに、足首に巻回した際に掛着
する掛着面を、向かって右側に設けている。また、くの
字の屈曲部位には穴62aが設けられ、先端に開口部6
2bが形成されている。穴62aには足首の曲がる部分
を位置させ、その際に、開口部62bから爪先部分が露
出するように構成される。そして、上記筒状部位621
の下面には、2本の紐状部材64,64が取り付けられ
ており、各々が足首当て部材62を少なくとも一周以上
巻回できる長さを有している。
【0051】次に、足首半固定具60の装着手順は上述
の通りであり、重複する説明を省略する。なお、足首当
板63,63を取り付ける際には、足首当板63,63
の足首側の面にマジックテープ等の掛着面を設けておけ
ば、足首当板63,63を単独で足首当て部材60に固
定することができる。
【0052】そして、以上の足首半固定具60,61
を、図28に示した如く、前述の足首荷重用バンド部材
80,81、膝固定具50,51とともに使用すること
で、高齢者特有の筋力の低下により足全体(爪先含む)
の緩慢な動きをより正確に再現することができる。
【0053】杖具100は、図29に示した如く、棒状
に設けた杖本体101と、この杖本体101の上端に設
けた把持部112と、上記杖本体101の下端に嵌め込
まれたストッパ114とを備えている。杖本体101は
折り畳み自在の多関節機構と長さ調節の機構とを有して
いる。杖本体101は、把持部112を接続した第1筒
体102と、この第1筒体102に一部を被嵌されてス
ライド自在の第2筒体104と、この第2筒体104に
屈曲自在に接続された第3筒体106と、この第3筒体
106に屈曲自在に接続された第4筒体108と、この
第4筒体108に屈曲自在に接続された第5筒体110
とから構成される。
【0054】次に、杖具100の内部構成について図3
0を用いて詳述する。第1筒体102には、等間隔で5
つの穴102a,102b,102c,102d,10
2eが設けられ、第2筒体104の内面に弾性部材10
5aの一端が取り付けられ、弾性部材105aの他端に
ボタン105を取り付けて、弾性部材105aが自然の
状態でボタン105を内面に設けた穴104aから突出
させるようにボタン機構が設けている。第2筒体104
は第1筒体102にボタン105でロックされることに
なる。ボタン105は弾性部材105aの弾性力を用い
て穴104aからの突出、へこみを自在に行うことがで
き、突出してロックをし、へこんでロックを解除する。
第1筒体102の端部には、つまみ103が取り付けら
れており、このつまみ103を矢印Q2方向に回すと第
1筒体102と第2筒体104間での相対的なスライド
が可能な状態を形成し、矢印Q2方向とは逆に回すとつ
まみ103が第2筒体104を締めつけて上記スライド
を不能にする状態を形成する。
【0055】杖本体101の長さを伸長させる場合に
は、つまみ103を矢印Q2の方向に回して締めつけを
緩めると同時に、ボタン105を矢印Q1方向に押し込
んでロックを解除させ、矢印Q3方向にスライドさせる
ことで、穴102aから102eの方向にボタン105
によるロック位置を設定することができる。また、長さ
を収縮させる場合には、上記と逆の動作を行えばよい。
【0056】また、杖本体101の第2筒体104、第
3筒体106、第4筒体108、第5筒体110の各関
節121,122,123について図30を用いて説明
する。図30には、関節の代表として、第4筒体108
と第5筒体110間の関節123の断面が示されてい
る。第5筒体110の上縁部は第4筒体108の下縁部
に嵌挿自在の形状を有している。他の関節についても同
様である。第2筒体104、第5筒体110の内部に
は、ゴムバンド116の各端部を固定する固定部材10
4b,110bが設けられ、各関節121,122,1
23を嵌挿状態にした際に、ゴムバンド116が伸長さ
れるようにゴムバンド116の長さが設定されている。
【0057】杖具100を折り畳む場合には、図30お
よび図31に示した如く、第2筒体104、第3筒体1
06、第4筒体108、第5筒体110間の各関節12
1,122,123において、既に伸長状態のゴムバン
ド116をさらに伸長させて嵌挿状態を解除し(矢印W
回り)、それぞれ屈曲させることで長手方向においてコ
ンパクトな収縮状態を可能にする。また展開させる際に
は、逆の操作を行えばよい。
【0058】ここで、体験者400による高齢者疑似体
験の一例について説明する。体験者400が図1に示し
たキット1を装着して歩行する場合、図8に示した如
く、足首の動きに遊びが殆ど得られないので、つま先が
十分に上がらず、胸部に荷重がかけられていることから
も全体的に前傾姿勢となり、なお一層のつま先の上がり
を困難にする。さらに足首に荷重をかけて膝を十分に曲
げることができないようにしたことからもつま先の上げ
にくさを助長する。本来、背筋は角度θ1程度の起き上
がりがあり、膝も角度θ2程度の曲がりが得られ、さら
に爪先はあと角度θ3程度の上がりが得られるが、キッ
ト1により図8に示した如く、身体的機能の低下を再現
することで安全な歩行が困難となる。これは高齢に達し
ておらずこのような身体的機能の低下を実感していない
体験者400にとって心理的な不安を募らせることはも
ちろん、いかに高齢者が困難な歩行をしいられているか
を理解するのに十分な体験である。
【0059】このような困難な歩行に加えて、聴力、視
力の低下も疑似的に再現されるので、心理的にも内方へ
の不安をさらに募らせることができ、これが慎重で無理
のない歩行を無意識のうちに行ってしまうという体験も
得ることができる。またこのような歩行能力においては
必然的に杖具100の必要性を実感することができる。
例えば、その人にとって適した長さへの微妙な調節がど
の程度できることが重要なのか等を考える材料となって
技術的な前進に寄与することができる。これは上述した
キット1の各部のすべてに共通していえることである。
【0060】以上説明したようにキット1は、一対の耳
栓10,11、視力を低下させる眼鏡20、重りを有す
る荷重用上着30、肘固定具40、手首荷重用バンド部
材70、三層構造の一対の手袋90、膝固定具50、足
首荷重用バンド部材80、履物の上から固定する足首半
固定具60とから組み合わせて具体化したので、日常生
活している被服や履物の上からそのまま簡単に装着する
ことができ、現実の生活体験状態から身体上の各部の動
きや感覚を規制あるいはにぶらせることで、頭で考えて
いる動作のイメージと実際の動作との間に生じるギャッ
プを身体的機能の低下として実感させることができる。
【0061】具体的には、耳栓10,11により音の高
音域をカットして聞きづらくしたので、老人性難聴に特
有な聞きにくさを再現することができる。眼鏡20によ
り視野狭窄と色覚変化を光学的に形成するので、白内障
による色覚変化やぼやけて見える状態や視野の狭さ、薄
暗さを再現することができる。そして、荷重用上着30
の前面に例えば装着者の体重に対比させた重りを収納し
たので、加齢に伴う前かがみの姿勢を再現することがで
きる。また肘固定具40,41を用いて肘当て部材で肘
関節を任意の角度に設定して紐状部材で肘に固定した
り、重りを収納した手首荷重用バンド部材80,81に
よって手首や足首の周囲に分散して重りを装着するの
で、肘より先の筋力の衰えによりおこる肘関節の緩慢な
動きを再現することができる。さらに、ゴム製および布
製の第1、第2の手袋の上に指の第2関節までを被覆す
る伸縮性の第3の手袋を積層した手袋90,91によっ
て、積層構造を密着化したうえで手のひらや甲よりも手
指の触覚、圧覚、温覚を僅かに残した状態でこれらの感
覚を低下させ、物をつかみにくくしたり落としやすい手
の状態を再現することができる。また膝固定具50,5
1を用いて膝関節を任意の角度に固定して、さらに重り
を収納した足首荷重用バンド部材70,71を装着する
ので、筋力の低下に伴い膝関節が動きにくくなる状態を
再現することができる。そして、履物の上から足首半固
定具60,61を用いて足首関節を任意の角度で半固定
したので、歩く際につま先の上がりを規制してつまずき
やすくなる状態を再現することができ、折り畳み式の杖
具100とすることで、平地、階段、エレベータ、エス
カレータ等のように様々な場所で杖具が必要となった
り、不要となったりすることがあり、その都度行われる
展開と折り畳みを容易かつ迅速に行うことができる。
【0062】このように身体上の各部の動きや感覚を規
制あるいはにぶらせることで、頭で考えている動作のイ
メージと実際の動作との間に生じるギャップを身体的機
能の低下として実感させることができる。特に視覚、聴
覚について身体的機能を低下させ、生活上、判断力の低
下を強制的に促すことができる。従って、高齢者がかか
える身体的機能の低下や心理的変化を高い再現性をもっ
て疑似体験することができる。
【0063】次に、上述した実施例のキット1の全部あ
るいは一部を利用して身体的機能を検査する方法につい
ての一実施例について説明する。図32は実施例による
高齢者疑似体験用キットを用いた身体的機能検査方法を
実現するシステムの一例を示す外観斜視図である。本シ
ステムは、図32に示した如く、体験者400にキット
1を装着させて行うことが前提となる。実施例では、身
体的機能の検査項目として、手指機能と手機能との2種
類の機能を例に挙げる。手指機能検査とは、手指による
押し、引き、ひねりの操作にかかる反応時間をみるもの
であり、手機能検査とはドアのノブ、ハンドル、レバー
の操作にかかる反応時間をみるものである。
【0064】図32において、200は手指機能検査装
置であり、これは体験者が操作する体験者用操作盤20
0Aと、インストラクタが操作する指令操作盤200B
と、体験者用操作盤200Aと指令操作盤200B間を
電気的に接続する着脱自在のケーブル200Cとから構
成される。
【0065】体験者用操作盤200Aは、図32に示し
た如く、検査にかかる時間をカウントアップして表示す
る時間表示カウンタ210と、オン/オフスイッチ21
2と、引き出し取手214と、ガス栓216と、オン/
オフスイッチ212を点灯で指示するとともに消灯で操
作完了を呈示する表示ランプ218と、引き出し取手2
14を点灯で指示するとともに消灯で操作完了を呈示す
る表示ランプ220と、ガス栓216を点灯で指示する
とともに消灯で操作完了を呈示する表示ランプ222
と、オン/オフスイッチ212の操作回数をカウントア
ップして表示する回数表示カウンタ224と、引き出し
取手214の操作回数をカウントアップして表示する回
数表示カウンタ226と、ガス栓216の操作回数をカ
ウントアップして表示する回数表示カウンタ228とを
備えている。
【0066】指令操作盤200Bは、図32に示した如
く、電源を投入するための電源SW(スイッチ)250
と、バッテリ量を目盛りで表示するバッテリ表示部25
2と、検査にかかる時間をカウントアップして表示する
時間表示カウンタ254と、操作完了時に発生させるブ
ザー音の音量を設定する音量SW256と、前述のオン
/オフスイッチ212、引き出し取手214、ガス栓2
28の動作指令を規則的に発するか、不規則に発するか
を設定する動作指令SW258と、検査を開始するため
のスタートSW260と、検査を終了するためのリセッ
トSW262とを備えている。
【0067】さらに、上記指令操作盤200Bは、ケー
ブル200Cと電気的に接続されて信号の入出力を行う
入出力I/F(インターフェース)と、時間を計測する
タイマと、電源SW250の押圧により電力を供給する
バッテリと、検査にかかる全体の制御を行う制御部とを
内蔵している。
【0068】そして、300は手機能検査装置であり、
これは体験者400が操作する体験者用操作盤300A
と、インストラクタが操作する指令操作盤300Bと、
体験者用操作盤300Aと指令操作盤300B間を電気
的に接続する着脱自在のケーブル300Cとから構成さ
れる。
【0069】体験者用操作盤300Aは、図32に示し
た如く、開閉自在の4つのドア310,312,31
4,316と、ドア310に設けたレバーハンドル31
8と、ドア312に設けたノブ320と、ドア314に
設けたレバー322と、ドア316に設けたプッシュプ
ルハンドル324と、ドア310,312,314,3
16の枠にそれぞれ設けた表示ランプ326,328,
330,332とを備えている。上記表示ランプ32
6,328,330,332は、前述の表示ランプ21
8,220,222と点灯、消灯を行うための機能は同
様である。なお、体験者用操作盤300Aでは、開閉動
作に着目してドアを例に挙げている。
【0070】指令操作盤300Bは、図32に示した如
く、電源を投入するための電源SW350と、バッテリ
量を目盛りで表示するバッテリ表示部352と、検査に
かかる時間をカウントアップして表示する時間表示カウ
ンタ354と、操作完了時に発生させるブザー音の音量
を設定する音量SW356と、前述の4つのドア31
0,312,314,316のいずれかひとつを切り換
えにより設定する動作指令SW358と、検査を開始す
るためのスタートSW360と、検査を終了するための
リセットSW362と、操作の指示回数を設定するとと
もに表示する指示回数設定/表示部364とを備えてい
る。指令操作盤300Bの内部構成もまた前述した指令
操作盤200Bと同様である。
【0071】次に手指機能検査装置200の動作につい
て説明する。図33は図32に示した手指機能検査装置
による制御動作を説明するフローチャートである。手指
機能検査装置200は、手指動作の指令を指令操作盤2
00Bから体験者用操作盤200Aにケーブル200C
を介して伝達することで手指機能を検査するものであ
る。
【0072】まず、電源SW250が押圧されると、指
令操作盤200Bに電力が供給され、同時にケーブル2
00Cを介して体験者用操作盤200Aにも電力が供給
される。これにより手指機能検査装置200の検査準備
が完了する。このとき体験者400は手指検査に必要な
キット1の全部あるいは一部を装着して検査の態勢を整
える。
【0073】この状態でインストラクタによりスタート
SW260が押圧されると(ステップ1001)、タイ
マ266に経過時間の計測を開始させ、経過時間の表示
を時間表示カウンタ254および210に行わせる(ス
テップ1002)。この時点で動作指令SW258がセ
ットされている位置から操作内容が判定される(ステッ
プ1003)。この判定の結果、ガス栓216、引き出
し取手214、オン/オフスイッチ212に向かっての
左方向への規則的な操作であれば、まずガス栓216に
対応した表示ランプ222が点灯される(ステップ10
04)。
【0074】体験者400による操作完了が検知される
と(ステップ1005)、表示ランプ222は消灯さ
れ、ブザーが設定レベルの音量で出力され、さらに回数
表示カウンタ228がひとつカウントアップされて、ガ
ス栓216、引き出し取手214、オン/オフスイッチ
212までの1セットの終了が検出される(ステップ1
006〜1009)。現段階では、ガス栓216の操作
が終了しただけなので、再びステップ1004に処理が
移行して、次の引き出し取手214の動作指令、操作完
了の検知が実行される。オン/オフスイッチ212まで
の処理が終了すると、1セット終了として、再びステッ
プ1004に処理を移行させて、第2セットが開始され
る。このようにして、第5セットまでの処理が終了する
と、タイマの計測が停止させる(ステップ1013)。
なお、インストラクタは5セット終了までにかかった時
間を反応時間として記録する。
【0075】そして、処理はステップ014に移行し
て、リセットスイッチ262が押下された場合には、各
回数表示カウンタとタイマがリセットされる(ステップ
1015)。
【0076】また、ステップ1003において、オン/
オフスイッチ212、引き出し取手214、ガス栓21
6に向かっての右方向への規則的な操作であれば、まず
オン/オフスイッチ212に対応した表示ランプ218
が点灯され、順次引き出し取手214、ガス栓216に
操作の指示が移行する。動作内容については、上述した
ステップ1005〜1010と同様のため、説明を省略
する。
【0077】さらに、ステップ1003において、オン
/オフスイッチ212、引き出し取手214、ガス栓2
16の内で、不規則な操作であれば、ステップ1012
で不規則な表示を行い、以降は上述したステップ100
5〜1010と同様のため、説明を省略する。
【0078】そして、キット1を装着しないでも同様の
操作を行うことで、通常の状態と疑似的に身体的機能を
低下させた状態との間での反応時間を客観的に比較する
ことができる。一例として、高齢者に適した操作部を開
発する場合には、所定の時間内に操作できる回数が多け
れば多いほど操作性が良いという評価を得ることができ
る。操作性としては操作上の負担が少なく簡単に操作で
きることが望ましいので、客観的な評価を得るには適し
た装置といえる。またこのような検査を通して体験した
者は、身体的機能の低下のある高齢者がどの程度生活に
支障を来しているのかを実感することができる。
【0079】また、手機能検査装置300についても、
全体の動作としては手指検査装置200と同様のために
説明を省略するが、得られる効果としては、どのドアが
開けやすいか、開けにくいか、という操作性上の客観的
な評価を行うことができる。特に、手機能検査では、イ
ンストラクタが操作回数を任意に設定して反応時間に大
きな差が出るように時間幅をもたせたので、一回一回の
操作でロスする時間が蓄積してそのロスを大きな値とし
てとらえることができる。これにより、簡単な検査で身
体的機能を容易に評価することができる。
【0080】以上説明したように実施例によれば、高齢
者特有の疑似的な手指の身体的機能を再現して呈示され
た内容の動作が行われるまでの反応時間を計測するよう
にしたので、疑似的な身体的機能のもとでどれくらいの
反応時間を要するものか客観的にとらえるこができる。
また、大掛かりな装置構成をともなわずに高齢者特有の
身体的機能を簡便に評価することができる。具体的に
は、軽量化と言う点でバッテリ式としており持ち運びに
便利である。また、指令操作盤や体験者様操作盤の操作
面を傾斜をもたせているのでこの点でも、インストラク
タ、体験者のいずれにとっても操作性に優れているとい
うメリットがある。
【0081】また、手指動作の完了確認を消灯、任意の
音量またはカウント表示で呈示するようにしたので、体
験者に対して、視覚、聴覚を通した手指動作の指示や完
了を伝達することができる。これにより、視覚による判
断能力、聴覚による判断能力、または、知覚による判断
能力を評価することができる。
【0082】さらに、各手指動作を規則的または不規則
に指示するようにしたので、規則的な指示や不規則な指
示を表示ランプを通して視覚的に伝達することができ
る。これにより、規則的な、あるいは、不規則な動作指
示に対する反応時間を客観的に評価することができる効
果が得られる。
【0083】本実施例では、手指機能検査装置200に
3種類の操作部(オン/オフスイッチ212、引き出し
取手226、ガス栓228)を設けていたが、装置構成
が大掛かりにならないのであれば4種類以上の操作部を
設けても良い。また手機能検査装置300のドアの数に
ついても同様に増やしても良い。
【0084】
【発明の効果】本発明によると、高齢者疑似体験用キッ
トを足首当て部材を筒状部位と展開部位とから構成した
足首半固定具を組み合わせて具体化したので、日常生活
している履物の上からそのまま簡単に装着することがで
き、屋外においても疑似体験することができる。そし
て、これを装着することによって足首関節を任意の角度
で半固定したので、歩く際につま先の上がりを規制して
つまずきやすくなる状態を再現し、歩行時の足首関節の
動きを規制あるいはにぶらせることができる。従って、
現実の生活体験状態において頭で考えている動作のイメ
ージと実際の動作との間に生じるギャップを身体的機能
の低下として実感させることができ、高齢者がかかえる
身体的機能の低下や心理的変化を高い再現性をもって疑
似体験することができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による高齢者疑似体験用キットの全体構
成を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示した足首半固定具の構成を示す側面図
である。
【図3】図1に示した足首半固定具の正面図である。
【図4】図1に示した足首半固定具の装着手順を説明す
る斜視図である。
【図5】図1に示した足首半固定具の装着手順を説明す
る斜視図である。
【図6】図1に示した足首半固定具の装着手順を説明す
る斜視図である。
【図7】図1に示した足首半固定具の装着手順を説明す
る斜視図である。
【図8】図1に示したキット全体の装着例を示す側面図
である。
【図9】図1に示した耳栓の断面構造を示す側断面図で
ある。
【図10】図1に示した眼鏡の積層構造を示す側断面図
である。
【図11】図1に示した荷重用上着の要部の断面を示す
側断面図である。
【図12】図1に示した肘固定具の構成を示す正面図で
ある。
【図13】図12に示した肘固定具の装着手順を説明す
る斜視図である。
【図14】図12に示した肘固定具の装着手順を説明す
る斜視図である。
【図15】図12に示した肘固定具の装着手順を説明す
る斜視図である。
【図16】図12に示した肘固定具の装着手順を説明す
る斜視図である。
【図17】図1に示した手首荷重用バンド部材および足
首荷重用バンド部材の代表的な内部構造を示す側断面図
である。
【図18】図1に示した手袋の分解斜視図である。
【図19】図18に示した手袋の装着例を示す正面図で
ある。
【図20】実施例による腕および手の装着例を示す斜視
図である。
【図21】図1に示した膝固定具の構成を示す正面図で
ある。
【図22】図21に示した膝固定具の装着手順を説明す
る斜視図である。
【図23】図21に示した膝固定具の装着手順を説明す
る斜視図である。
【図24】図21に示した膝固定具の装着手順を説明す
る斜視図である。
【図25】図21に示した膝固定具の装着手順を説明す
る斜視図である。
【図26】図21に示した膝固定具の装着手順を説明す
る斜視図である。
【図27】図21に示した膝固定具の装着手順を説明す
る斜視図である。
【図28】実施例による足および足首の装着例を示す斜
視図である。
【図29】図1に示した杖具の構成を示す側面図であ
る。
【図30】図29に示した杖具の要部断面図である。
【図31】図29に示した杖具の折り畳み方法を説明す
る側面図である。
【図32】実施例による高齢者疑似体験用キットを用い
た身体的機能検査方法を実現するシステムの一例を示す
外観斜視図である。
【図33】図32に示した手指機能検査装置による制御
動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 高齢者疑似体験用キット 60,61 足首半固定具 62 足首当て部材 63 足首当板 64 紐状部材 621 筒状部位 622 展開部位
フロントページの続き (72)発明者 国原 徹 東京都港区海岸1−5−20 東京瓦斯株 式会社内 (72)発明者 服部 万里子 東京都渋谷区松濤1−1−3松濤栄光ビ ル4階 株式会社服部メディカル研究所 内 (56)参考文献 実開 平4−87875(JP,U) 実開 平4−87876(JP,U) 実開 平4−87877(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G09B 9/00 A61B 5/11

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高齢による身体的機能の低下を疑似的に
    再現するために人体に装着して使用される高齢者疑似体
    験用キットであって、 高齢者疑似体験用キットのうち、足首半固定具は、履物
    を挿入可能なように爪先方向に向かって筒状に形成され
    るとともに爪先に開口部を有する筒状部位と、筒状部位
    の後部から上方へ向かって後側が展開形状に形成され履
    物の挿入後に被覆して固定される展開部位とから成るこ
    とを特徴とする高齢者疑似体験用キット。
  2. 【請求項2】 前記足首半固定具は、靴型形状を呈し足
    首近傍および足首関節を靴の上から被覆可能な足首当て
    部材と、この足首当て部材の左右両側面に取付けされる
    足首当板と、足首当て部材に接続され足首当て部材を巻
    回して足首への固定を可能とする帯状の紐状部材とから
    成り、足首当て部材は筒状部位と展開部位とから成るこ
    とを特徴とする請求項1記載の高齢者疑似体験用キッ
    ト。
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