JP2991624B2 - シンクロトン放射用真空ビームダクトのアブソーバ - Google Patents

シンクロトン放射用真空ビームダクトのアブソーバ

Info

Publication number
JP2991624B2
JP2991624B2 JP6254027A JP25402794A JP2991624B2 JP 2991624 B2 JP2991624 B2 JP 2991624B2 JP 6254027 A JP6254027 A JP 6254027A JP 25402794 A JP25402794 A JP 25402794A JP 2991624 B2 JP2991624 B2 JP 2991624B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
absorber
beam duct
cooling
vacuum
vacuum beam
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP6254027A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0831600A (ja
Inventor
俊秀 高間
浩太郎 藤本
明夫 小村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Zosen Corp
Original Assignee
Hitachi Zosen Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Zosen Corp filed Critical Hitachi Zosen Corp
Priority to JP6254027A priority Critical patent/JP2991624B2/ja
Publication of JPH0831600A publication Critical patent/JPH0831600A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2991624B2 publication Critical patent/JP2991624B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Particle Accelerators (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、荷電粒子の粒子加速器
の真空ビームダクトにおけるシンクロトン放射光のパワ
ーを吸収させるために設けられるアブソーバに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】電子、陽子などの荷電粒子の粒子加速器
は、荷電粒子の軌道が偏向磁石の磁界中で曲げられたと
き、シンクロトン放射光(X線〜可視光〜赤外線までを
含む光)を発生する。この粒子加速器から取り出された
シンクロトン放射光は、X線リソグラフィー、物質(金
属材料をはじめ有機物、蛋白など)の構造分析、および
医療診断に有効に使用されている。
【0003】電子が軌道半径ρ(m)で曲げられたとき
に発生する放射光のパワーP(kW)は、 P(kW)=88.47 E4(GeV)I(A) /ρ(m) となる(工業調査会発行「シンクロトン放射技術」富増
多喜夫著;参照)。E=1(GeV) 、I=0.3 (A) 、ρ=
2.8 (m) の場合、全放射パワーP=9.5 (kW)となる。ま
た電子軌道の周長を18mとすると、軌道に沿って、0.53
kW/mのエネルギーで真空ビームダクト(真空チェンバ
ー)壁面が照射される。
【0004】真空ビームダクトの材料は、従来はステン
レス鋼が使用されていたが、特殊押出し法によるアルミ
合金がガス放出率が極めて低く、かつステンレス鋼に比
べて熱伝導率が15倍大きいことにより、電子ビームスポ
ットが真空ビームダクトの壁面に衝突した場合にも加熱
溶融することなく使用できるため、アルミ合金の材料が
実用化されてきている。
【0005】前記0.53kW/mの放射光が、真空ビームダク
トの壁面に照射された場合、熱エネルギーになり材料を
加熱させる。この場合の単位体積当りの温度上昇値Δt
は、アルミ合金材料(比熱;0.2 kcal/kg ℃、比重;2.
7 *10-3)として試算すると、 Δt=(0.53*860 kcal/h) /(0.2 kcal/kg ℃*100 cm*1cm*1cm*2.7 *10-3) =8440 ℃ となり、溶融してしまうので、通常水冷した無酸素銅を
アブソーバ(熱吸収体)として真空ビームダクト内に差
込み、シンクロトン放射光の熱を吸収している。銅を使
用するのは、熱伝導率が大きいためである。
【0006】従来のアブソーバの構造の一例を図15、お
よび図16に示す。真空ビームダクト1の偏向磁石の磁界
作用範囲Aに外方に沿って凸部2を設け、この凸部2
に、2本のアブソーバ3を、その側面が真空ビームダク
ト1の電子軌道Bから磁界に直角に放射されるシンクロ
トン放射光Lの進行方向に向くようにそれぞれ取付けら
れている。
【0007】アブソーバ3は、図16に示すように、無酸
素銅からなる棒状で中空の棒体4にその先端で開口し
た、冷却水Wを通す管状の中管5を挿入し、また棒体4
に、中管5の冷却水Wの開口部とは反対側にこの冷却水
Wの出口となる出口管6を設けて、冷却水Wで熱を吸収
する構造としている。また、アブソーバ3には、棒体4
を中心に支持する支持体7が設けられており、この支持
体7によりアブソーバ3は、凸部2の取付け座2Aに、
真空を維持できるように取付けられている。
【0008】しかし、このアブソーバ3では、1本当り
の熱負荷が大きくなる欠点があるため、図17に示すアブ
ソーバ11が設けられるようになってきている。このアブ
ソーバ11は分布形アブソーバと称されているもので、そ
の一側面が真空ビームダクト1の外壁の一部に沿うよう
に取付けられている。
【0009】このアブソーバ11は、アブソーバ部を形成
する棒体12にその軸長さ方向に水冷管13を通し、この水
冷管13に流した冷却水Wで熱を吸収する構造としてい
る。棒体12と水冷管13はともに、無酸素銅により形成さ
れている。またアブソーバ11は、その一端が水冷管13の
一端に設けた支持体14Aにより凸部2に固定され、他端
が水冷管13の他端に設けた支持体14Bにより凸部2に摺
動自在に支持されている。支持体14A,14Bは、真空ビ
ームダクト1内に曝されているため、真空気密性を保証
した、無酸素銅/アルミ合金のクラッド材(接合材)で
形成されている。上記支持体14Bの外方には、アブソー
バ11(棒体12)と真空ビームダクト1の線膨張係数が異
なるため、アブソーバ11と真空ビームダクト1の伸び差
を保証するベローズ15を設けている。16は、水冷管13に
外部の冷却水管を接続するジョイントである。
【0010】この分布形のアブソーバ11は、電子軌道B
より放射されるシンクロトン放射光Lを棒体12で受ける
ため、軸長さ当りの熱負荷を小さくできるという利点を
有している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の分布形
のアブソーバ11では、アブソーバ11の固定部(支持体14
A,14B)に真空気密性を保証した異種金属接合材を使
用しなければならないので、構造が複雑になり、接合材
の製作上の管理、溶接上の管理に十分な注意を払わなけ
ればならないという問題があった。
【0012】本発明は上記問題を解決するものであり、
真空気密性が保証される材料を必要とせず、容易に製作
できるシンクロトン放射用真空ビームダクトのアブソー
バを提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、第1発明のシンクロトン放射用真空ビームダクトの
アブソーバは、荷電粒子の粒子加速器の真空ビームダク
トにおけるシンクロトン放射光のパワーを吸収されるた
めに設けられるアブソーバであって、真空ビームダクト
の外方に沿って設けた溝部に嵌め込まれる棒体のアブソ
ーバ部と、このアブソーバ部および前記溝部の上端に沿
って設けられ、前記溝部上端に真空シール溶接される冷
却部から構成され、前記アブソーバ部を無酸素銅で成形
し、前記冷却部を前記真空ビームダクトと同一の材料で
成形し、これらアブソーバ部と冷却部を固体接合して形
成したことを特徴とするものである。
【0014】また第2発明のシンクロトン放射用真空ビ
ームダクトのアブソーバは、荷電粒子の粒子加速器の真
空ビームダクトにおけるシンクロトン放射光のパワーを
吸収されるために設けられるアブソーバであって、真空
ビームダクトの外方に沿って設けた凸部内に、その長さ
方向に渡って嵌入される冷却部と、前記凸部内に、前記
冷却部の真空ビームダクト内方側に沿って配置されるア
ブソーバ部から構成され、前記アブソーバ部を無酸素銅
で成形し、前記冷却部を前記真空ビームダクトと同一の
材料で成形し、これらアブソーバ部と冷却部を固体接合
して形成したことを特徴とするものである。
【0015】さらに第3発明のシンクロトン放射用真空
ビームダクトのアブソーバは、荷電粒子の粒子加速器の
真空ビームダクトにおけるシンクロトン放射光のパワー
を吸収するために設けられるアブソーバであって、冷却
剤を通す無酸素銅パイプからなり、真空ビームダクトの
外方に沿って設けた溝部に差込まれるアブソーバ部と、
前記無酸素銅パイプの外装に固体接合したアルミ合金パ
イプをその長さ方向に切断しその一部を取外して成形さ
れ、その切断部が前記溝部の上端に真空シール溶接され
る外装部とから構成したことを特徴とするものである。
【0016】また第4発明のシンクロトン放射用真空ビ
ームダクトのアブソーバは、荷電粒子の粒子加速器の真
空ビームダクトにおけるシンクロトン放射光のパワーを
吸収されるために設けられるアブソーバであって、前記
真空ビームダクトの外方に沿って設けた溝部上に、その
長さ方向に渡って配置され、真空シール溶接される冷却
部と、前記溝部内に、前記冷却部の真空ビームダクト内
方側に沿って、その長さ方向に隙間を設けて配置された
板状体のアブソーバ部から構成され、前記アブソーバ部
を無酸素銅で成形し、前記冷却部を前記真空ビームダク
トと同一の材料で成形し、これらアブソーバ部と冷却部
を固体接合して形成したことを特徴とするものである。
【0017】
【作用】上記第1発明の構成により、アブソーバ部と冷
却部を形成する(固体接合)クラッド材は真空気密性を
要求されないことから、構造部材用のクラッド材を使用
してアブソーバが形成され、よって数メートル程度の長
いアブソーバを製作でき、熱負荷を低減することができ
る。また、冷却部が大気中にあるため、冷却液の入口、
出口位置を自由に設計でき、冷却液温度、アブソーバ表
面温度が許容値以下になるように最適な冷却を行うこと
ができる。
【0018】また上記第2発明の構成により、アブソー
バ部と冷却部を形成するクラッド材は真空気密性を要求
されないことから、構造部材用のクラッド材を使用して
アブソーバが形成され、よって数メートル程度の長いア
ブソーバを製作でき、熱負荷を低減することができる。
また、冷却部が嵌入されるため、上記第1発明の如き真
空シール溶接が不用となり、製作を容易にすることがで
きる。
【0019】さらに第3発明の構成により、無酸素銅パ
イプによって真空ビームダクト内にアブソーバが形成さ
れることによって簡単な構造で形成され、したがって製
作が容易であり、またクラッド材を使用してアブソーバ
が形成されることにより、数メートル程度の長いアブソ
ーバを製作でき、熱負荷を低減することができる。
【0020】また上記第4発明の構成により、アブソー
バ部は冷却部の真空ビームダクト内方側に沿って隙間を
設けて配置されることから、無酸素銅で成形されるアブ
ソーバ部と、前記真空ビームダクトと同一の材料で成形
される冷却部とのバイメタル効果による真空シール部分
への応力集中が緩和され、よって応力による真空破壊が
防止される。また、数メートル程度の長いアブソーバが
製作可能となる。また、冷却部が大気中にあるため、冷
却液の入口、出口位置を自由に設計できる。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。 「第1実施例」本発明の第1実施例を図1〜図3に示
す。
【0022】図示するように、真空ビームダクト21には
その外方に沿って溝部22を設け、この溝部22に沿って両
側に突出させて、後述するアブソーバを挟持する支持部
23を設けている。
【0023】アブソーバ24は、上記支持部23に挟持され
る棒体のアブソーバ部25と、このアブソーバ部25および
支持部23の上部に沿って設けられた冷却部26から構成さ
れている。この支持部23の上端と冷却部26間は、真空シ
ール溶接されて、真空ビームダクト21内の真空が維持さ
れている。
【0024】アブソーバ部25は無酸素銅、冷却部26は真
空ビームダクト21と同一材料のアルミ合金で成形され、
アブソーバ部25と冷却部26は固体接合されている。すな
わち、アブソーバ24は、無酸素銅とアルミ合金のクラッ
ド材で形成されている。クラッド材を使用する理由は、
アブソーバ部25と冷却部26との界面に気相があると、真
空中において、熱伝導断熱層になるため、シンクロトン
放射光Lの熱を逃すことができなくなるためである。し
たがって、ボルトによる結合はできない。
【0025】また、上記冷却部26の外方の両端には、一
対の冷却管27が差し込まれ、内部にはこれら冷却管27間
を導通させる冷却孔28が設けられ、この冷却管27と冷却
孔28を通る冷却水Wで熱を吸収する構造としている。図
1において、29はイオンポンプである。
【0026】なお、真空ビームダクト21のベンド部で
は、予め上記クラッド材を曲げ加工したアブソーバ24を
使用している。このクラッド材は、無垢のクラッド材を
製作し、水冷用の冷却孔28の加工を行って成形してもよ
く、また孔空きの型材を使用して固体接合して成形して
もよい。
【0027】上記構成のアブソーバ24によれば、クラッ
ド材は真空気密性は要求されず、アブソーバ24(無酸素
銅)と、真空ビームダクト21(アルミ合金)の材料の線
膨張係数の違いにより、界面に働く剪断力に耐える構造
部材として考えればよく、アブソーバ24は一般に使用さ
れる、圧接、ロールクラッド、爆着、HIP(Hot Isos
tatic Press )法などで製作される材料で形成すること
ができる。
【0028】また、このように構造部材用のクラッド材
を使用してアブソーバ24を形成できることにより、数メ
ートル程度の長いアブソーバを製作でき、熱負荷を低減
することができる。
【0029】さらに、冷却水Wの流路が大気中にあるた
め、冷却水Wの入口、出口(冷却管27)位置を図1に想
像線で示すように自由に配置でき、冷却水温度、アブソ
ーバ部25の表面温度が許容値以下になるように最適な冷
却を行うことができる。図4に、シンクロトン放射光L
照射による温度分布の計算例を示す。アブソーバ部25の
無酸素銅の表面温度は局部的に80℃程度まで上昇する
が、十分に低いことがわかる。 「第2実施例」本発明の第2実施例を図5〜図9に示
す。
【0030】真空ビームダクト21’の外方に沿って凸部
31を設け、この凸部31内に、上記第1実施例のアブソー
バ24’を嵌入させている。このアブソーバ24’では、冷
却部26’に軸方向に貫通する冷却管27’を設け、この冷
却管27’の両端を前記凸部31の側部31Aから突出させ、
この冷却管27’と側部31A間を溶接することにより、ア
ブソーバ24’を真空ビームダクト21’に固定している。
なお、冷却部26’と冷却管27’は同一材料で成形されて
いる。
【0031】この構成により、第1実施例のアブソーバ
24と同様に、クラッド材は真空気密性は要求されず、構
造部材用のクラッド材を使用でき、また構造部材用のク
ラッド材を使用してアブソーバ24’を形成できることに
より、数メートル程度の長いアブソーバを製作でき、熱
負荷を低減することができる。さらに第1実施例の如き
真空シール溶接が不用となり、製作を容易にすることが
できる。
【0032】なお、アブソーバ24’の熱膨張が大きい場
合には、一端の冷却管27’と側部31A間を摺動自在と
し、図9に示すように、冷却管27’の外方に伸びJの補
償用のベローズ32を設ける。ベローズ32は、真空ビーム
ダクト21’と同一材料で成形する。 「第3実施例」本発明の第3実施例を図10〜図13に示
す。なお、第1実施例と同様、図11に示すように、真空
ビームダクト21にはその外方に沿って溝部22を設け、こ
の溝部22に沿って両側に突出させて、後述するアブソー
バを挟持する支持部23を設けている。
【0033】アブソーバ24”は、図12に示す無酸素銅パ
イプ41の外面にアルミ合金パイプ42を固体接合したクラ
ッド材を、図13のように、その一部のアルミ合金パイプ
42を長さ方向に両側から切断しほぼ2分の1を取外して
内部の無酸素銅パイプ41を露出させて成形したものであ
り、この露出された無酸素銅パイプ部をアブソーバ部2
5”としている。なお、無酸素銅パイプ41の外径は図11
に示すように、上記溝部22の巾より小さくし、アルミ合
金パイプ42の外径は溝部22の巾より大きくし、アルミ合
金パイプ42の切断長さは、上記溝部22の長さに合わせて
いる。
【0034】このアブソーバ24”の真空ビームダクト21
への取付けは、図10,図11に示すようにアブソーバ部2
5”(アルミ合金パイプ41の削除部)を上記溝部22に差
込み、アルミ合金パイプ41の切断面を溝部22の支持部23
の上端、および溝部22の側面に真空シール溶接すること
により行っている。この真空シール溶接、および無酸素
銅パイプ41とアルミ合金パイプ42を固体接合しているこ
とにより真空ビームダクト21内の真空が維持されてい
る。
【0035】また、無酸素銅パイプ41には冷却水Wが導
通され、アブソーバ部25”にシンクロトン放射光Lによ
り発生する熱を吸収する構造としている。上記構成のア
ブソーバ24”によれば、効率良く熱を吸収することがで
きるとともに、構造が簡単であり、製作を容易にするこ
とができる。また、クラッド材を使用してアブソーバ2
4”を形成できることにより、数メートル程度の長いア
ブソーバを製作でき、熱負荷を低減することができる。 「第4実施例」本発明の第4実施例を図14に示す。第1
実施例と同様に、真空ビームダクト21にはその外方に沿
って溝部22を設け、この溝部22に沿って両側に突出させ
て、後述するアブソーバを挟持する支持部23を設けてい
る。
【0036】アブソーバ24"'は、上記支持部23の上部に
沿って設けられ、その真空ビームダクト21側凸部26Aが
溝部22内に隙間43を設けて、かつ溝部22の長さ方向に渡
って配置された冷却部26"'と、溝部22内に、冷却部26"'
凸部26Aの真空ビームダクト21内方側に沿って、その長
さ方向に隙間(スリット)44を設けて配置された板状体
のアブソーバ部25"'から構成されている。また支持部23
の上端と冷却部26"'間は、真空シール溶接され(真空シ
ール溶接部46)、真空ビームダクト21内の真空が維持さ
れている。
【0037】アブソーバ部25"'は無酸素銅、冷却部26"'
は真空ビームダクト21と同一材料のアルミ合金で成形さ
れ、アブソーバ部25"'と冷却部26"'は固体接合されてい
る。すなわち、アブソーバ24"'は、無酸素銅とアルミ合
金のクラッド材で形成されている。クラッド材を使用す
る理由は、アブソーバ部25"'と冷却部26"'との界面に気
相があると、真空中において、熱伝導断熱層になるた
め、シンクロトン放射光の熱を逃すことができなくなる
ためである。したがって、ボルトによる結合はできな
い。
【0038】また、上記冷却部26"'の外方の一部には、
冷却管(図示せず)が差し込まれるプラグ45が設けられ
ている。このプラグ45から冷却部26"'内部の冷却孔28へ
冷却水Wが流入、あるいは排出され、よってアブソーバ
部25"'にシンクロトン放射光により発生する熱が吸収さ
れる。
【0039】上記構成のアブソーバ24"'によれば、アブ
ソーバ部25"'は四方に隙間43,44を設けて配置されるこ
とから、無酸素銅で成形されるアブソーバ部25"'と、ア
ルミ合金で成形される冷却部26"'とのバイメタル効果に
よる真空シール溶接部46への応力集中が緩和され、よっ
て応力による真空破壊を防止することができる。また構
造部材用のクラッド材を使用してアブソーバ24"'を形成
できることにより、数メートル程度の長いアブソーバを
製作でき、熱負荷を低減することができる。
【0040】さらに、冷却水Wの流路(冷却孔28)が大
気中にあるため、冷却水Wのプラグ45の位置を自由に配
置でき、冷却水温度、アブソーバ部25"'の表面温度が許
容値以下になるように最適な冷却を行うことができる。
【0041】なお、上記第1〜第4実施例において、ア
ブソーバ24,24’,24"'の冷却部26,26’,26"'、およ
びアブソーバ24”の外装部はアルミ合金で成形されてい
るが、真空ビームダクト21が純アルミ、あるいはステン
レス鋼であるときは、同一の純アルミ、あるいはステン
レス鋼で成形する。また冷却液として冷却水Wを使用し
ているが、他の冷却媒体を使用することも可能である。
【0042】
【発明の効果】以上のように第1発明によれば、真空気
密性を要求するクラッド材を使用しないで、構造部材用
のクラッド材を使用してアブソーバを形成でき、よって
製作が容易になるとともに、数メートル程度の長いアブ
ソーバを製作でき、熱負荷を低減することができる。ま
た、冷却部が大気中にあるため、冷却液の入口、出口位
置を自由に設計でき、冷却液温度、アブソーバ表面温度
が許容値以下になるように最適な冷却を行うことができ
る。
【0043】また第2発明によれば、真空気密性を要求
するクラッド材を使用しないで、構造部材用のクラッド
材を使用してアブソーバが形成され、よって数メートル
程度の長いアブソーバを製作でき、熱負荷を低減するこ
とができる。また、冷却部が嵌入されるため、上記第1
発明のような真空シール溶接が不用となり、製作を容易
にすることができる。
【0044】さらに第3発明によれば、無酸素銅パイプ
によって真空ビームダクト内にアブソーバが形成される
ことにより、簡単な構造で形成でき、製作を容易にする
ことができる。またクラッド材を使用してアブソーバが
形成されることにより、数メートル程度の長いアブソー
バを製作でき、熱負荷を低減することができる。
【0045】また第4発明によれば、アブソーバ部は冷
却部の真空ビームダクト内方側に隙間を設けて配置され
ることから、無酸素銅で成形されるアブソーバ部と、前
記真空ビームダクトと同一の材料で成形される冷却部と
のバイメタル効果によるシール部分への応力集中を緩和
でき、よって応力による真空破壊を防止でき、数メート
ル程度の長いアブソーバを製作できる。また、冷却部が
大気中にあるため、冷却液の入口、出口位置を自由に設
計でき、冷却液温度、アブソーバ表面温度が許容値以下
になるように最適な冷却を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例におけるアブソーバを取り
つけたシンクロトン放射用真空ビームダクトの要部平面
断面図である。
【図2】図1のA−A矢視図である。
【図3】図2の要部拡大図である。
【図4】図1のアブソーバの温度分布図である。
【図5】本発明の第2実施例におけるアブソーバを取り
つけたシンクロトン放射用真空ビームダクトの平面断面
図である。
【図6】図5のB−B矢視図である。
【図7】図5の要部拡大図である。
【図8】図7のE−E矢視図である。
【図9】図5の要部の変形例を示す平面断面図である。
【図10】本発明の第3実施例におけるアブソーバを取り
つけたシンクロトン放射用真空ビームダクトの要部斜視
図である。
【図11】図10のF−F矢視図である。
【図12】図10のアブソーバを形成するクラッド材の斜視
図である。
【図13】図10のアブソーバの斜視図である。
【図14】本発明の第4実施例におけるアブソーバを取り
つけたシンクロトン放射用真空ビームダクトの要部斜視
図である。
【図15】従来のアブソーバを取りつけたシンクロトン放
射用真空ビームダクトの平面構成図である。
【図16】図10のアブソーバの断面図である。
【図17】従来の他のアブソーバを取りつけたシンクロト
ン放射用真空ビームダクトの要部平面断面図である。
【符号の説明】 21,21’ 真空ビームダクト 22 溝部 23 支持部 24,24’,24”,24"' アブソーバ 25,25”,25"' アブソーバ部 26,26’,26"' 冷却部 27,27’ 冷却管 28 冷却孔 31 凸部 32 ベローズ 41 無酸素銅パイプ 42 アルミ合金パイプ 43,44 隙間 45 プラグ 46 真空シール溶接部 W 冷却水 L シンクロトン放射光
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−5399(JP,A) 特開 平5−36500(JP,A) 特開 平6−140199(JP,A) 実開 平6−62500(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H05H 13/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 荷電粒子の粒子加速器の真空ビームダク
    トにおけるシンクロトン放射光のパワーを吸収するため
    に設けられるアブソーバであって、 真空ビームダクトの外方に沿って設けた溝部に嵌め込ま
    れる棒体のアブソーバ部と、このアブソーバ部および前
    記溝部の上端に沿って設けられ、前記溝部上端に真空シ
    ール溶接される冷却部から構成され、前記アブソーバ部
    を無酸素銅で成形し、前記冷却部を前記真空ビームダク
    トと同一の材料で成形し、これらアブソーバ部と冷却部
    を固体接合して形成したことを特徴とするシンクロトン
    放射用真空ビームダクトのアブソーバ。
  2. 【請求項2】 荷電粒子の粒子加速器の真空ビームダク
    トにおけるシンクロトン放射光のパワーを吸収するため
    に設けられるアブソーバであって、 真空ビームダクトの外方に沿って設けた凸部内に、その
    長さ方向に渡って嵌入される冷却部と、前記凸部内に、
    前記冷却部の真空ビームダクト内方側に沿って配置され
    るアブソーバ部から構成され、前記アブソーバ部を無酸
    素銅で成形し、前記冷却部を前記真空ビームダクトと同
    一の材料で成形し、これらアブソーバ部と冷却部を固体
    接合して形成したことを特徴とするシンクロトン放射用
    真空ビームダクトのアブソーバ。
  3. 【請求項3】 荷電粒子の粒子加速器の真空ビームダク
    トにおけるシンクロトン放射光のパワーを吸収するため
    に設けられるアブソーバであって、 冷却剤を通す無酸素銅パイプからなり、真空ビームダク
    トの外方に沿って設けた溝部に差込まれるアブソーバ部
    と、前記無酸素銅パイプの外装に固体接合したアルミ合
    金パイプをその長さ方向に切断しその一部を取外して成
    形され、その切断部が前記溝部の上端に真空シール溶接
    される外装部とから構成したことを特徴とするシンクロ
    トン放射用真空ビームダクトのアブソーバ。
  4. 【請求項4】 荷電粒子の粒子加速器の真空ビームダク
    トにおけるシンクロトン放射光のパワーを吸収するため
    に設けられるアブソーバであって、 真空ビームダクトの外方に沿って設けた溝部上に、その
    長さ方向に渡って配置され、真空シール溶接される冷却
    部と、前記溝部内に、前記冷却部の真空ビームダクト内
    方側に沿って、その長さ方向に隙間を設けて配置された
    板状体のアブソーバ部から構成され、前記アブソーバ部
    を無酸素銅で成形し、前記冷却部を前記真空ビームダク
    トと同一の材料で成形し、これらアブソーバ部と冷却部
    を固体接合して形成したことを特徴とするシンクロトン
    放射用真空ビームダクトのアブソーバ。
JP6254027A 1994-02-22 1994-10-20 シンクロトン放射用真空ビームダクトのアブソーバ Expired - Fee Related JP2991624B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6254027A JP2991624B2 (ja) 1994-02-22 1994-10-20 シンクロトン放射用真空ビームダクトのアブソーバ

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2292594 1994-02-22
JP6-22925 1994-05-13
JP9938894 1994-05-13
JP6-99388 1994-05-13
JP6254027A JP2991624B2 (ja) 1994-02-22 1994-10-20 シンクロトン放射用真空ビームダクトのアブソーバ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0831600A JPH0831600A (ja) 1996-02-02
JP2991624B2 true JP2991624B2 (ja) 1999-12-20

Family

ID=27284034

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6254027A Expired - Fee Related JP2991624B2 (ja) 1994-02-22 1994-10-20 シンクロトン放射用真空ビームダクトのアブソーバ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2991624B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102371475B (zh) * 2011-10-27 2014-04-16 陆学中 碎纸刀片加工工艺
CN112399696A (zh) * 2020-09-28 2021-02-23 上海高鹰科技有限公司 一种嵌入式真空扫描盒钛膜冷却装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0831600A (ja) 1996-02-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3048389B2 (ja) ヒートパイプ放熱器
US6263046B1 (en) Heat pipe assisted cooling of x-ray windows in x-ray tubes
US6307916B1 (en) Heat pipe assisted cooling of rotating anode x-ray tubes
JP2991624B2 (ja) シンクロトン放射用真空ビームダクトのアブソーバ
US20040223588A1 (en) X-ray tube window and surrounding enclosure cooling apparatuses
Avery Thermal problems on high flux beam lines
US20050226386A1 (en) Electron collector system
Mastinu et al. A method to obtain a Maxwell–Boltzmann neutron spectrum at kT= 30 keV for nuclear astrophysics studies
CH695644A5 (fr) Générateur de rayons X à dissipation thermique améliorée et procédé de réalisation du générateur.
JP2003314979A (ja) 板型ヒートパイプ、その実装構造および板型ヒートパイプの製造方法
RU2228553C2 (ru) Нейтронопроизводящее устройство электроядерной установки
Berger et al. Mechanical and thermal design of vacuum chambers for a 7 T multipole wiggler for BESSY II
Hoard Vacuum pipe for e/sup+/e/sup-/interactions
JPS58224261A (ja) 太陽熱集熱板の製造方法
JP2014235968A (ja) 回転陽極型x線管
JP2558622Y2 (ja) ベリリウムとアルミとの溶接容器
JP3638622B2 (ja) 放射光用加速器
KR20240122786A (ko) 열 전도 플레이트
Bieler et al. Design of a high power synchrotron radiation absorber for HERA
Krasikov et al. The ITER thermal shields for the magnet system: specific design, assembly and structural issues
JPH06151097A (ja) 銅製水冷管付アルミニウム合金製真空チェンバー
Jaski et al. Design and Application of CVD Diamond Windows for X‐Rays at the Advanced Photon Source
JP3271046B2 (ja) 荷電粒子加速リングのアブソーバ
JPH11160474A (ja) 核融合炉増殖ブランケットの第一壁の製作方法
JPH06140192A (ja) 粒子加速器の真空チェンバー

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees