JP2988312B2 - エレベータの群管理制御装置 - Google Patents

エレベータの群管理制御装置

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JP2988312B2 JP7070587A JP7058795A JP2988312B2 JP 2988312 B2 JP2988312 B2 JP 2988312B2 JP 7070587 A JP7070587 A JP 7070587A JP 7058795 A JP7058795 A JP 7058795A JP 2988312 B2 JP2988312 B2 JP 2988312B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ニューラルネットを用
いて呼びの割り当てを行うエレベータの群管理制御装置
に係り、特にビルの交通状況が変動した場合でも安定し
た性能を維持することのできるエレベータの群管理制御
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エレベータの群管理制御といえば
評価関数を用いた呼び割り当て方式や、ファジー理論を
用いたエキスパートシステムによる呼び割り当て制御が
主流であったが、最近では生物の神経回路をモデルにし
たニューラルネットを用いて呼びの割り当てを行うとい
う新しい方式が提案されている。
【0003】ニューラルネットとは、人間の脳をまねた
ネットワークで、神経細胞モデル(ニューロン)が複数
個、複雑に接続され、各ニューロンの動作及びニューロ
ン間の接続形態をうまく決めることによって、パターン
認識機能や知識処理機能を埋め込むことができるという
ものであり、例えば「日経エレクトロニクス」1987
年8月10日号(No427)のP115〜P124や1
989年2月に産業図書株式会社から刊行された図書
「PDPモデル」などに開示されており、特にニューロ
ンを階層構造に配置したものは「バックプロパゲーショ
ン」と呼ばれる自律的学習アルゴリズムを利用できるこ
とに特徴がある。
【0004】このニューラルネットを用いると、割り当
てアルゴリズムを人間が一切考える必要はなく、しかも
各種の交通状況に対応して、結果的には最適な割り当て
かごを決定する判断システムを自動的に生成できるとい
う優れた効果があり、例えばエレベータの呼び割り当て
に用いた例としては、特開平1−275381号「エレ
ベータの群管理制御装置」や、特開平3−31173号
「エレベータの群管理制御装置」、特願平5−2438
17号「エレベータ呼び割当て用ニューラルネットの学
習方法」などがある。
【0005】ここで呼び割り当て用ニューラルネットの
一例を図5に示す。図5に示すように、呼び割り当て用
のニューラルネットNNは、入力パターン(エレベータ
システム状態データ)に対応する入力層NR1 と、出力
パターン(割り当て適性)に対応する出力層NR3 と、
入力層と出力層の中間に置かれる中間層NR2 のニュー
ロンとで構成される。
【0006】入力パターンは、エレベータシステムの状
態を表す種々のデータ(乗場呼びの発生階と方向、各号
機の位置と運転方向、かご呼び、荷重状態等)を、呼び
の割り当てに必要なパラメータとして、ニューラルネッ
トに入力できる形に変換したものであり、入力層のニュ
ーロンの数はそのパラメータの総数に対応する。
【0007】この入力層の各ニューロンに入力データを
与えると、出力層に向かって順に信号が伝わり、その結
果出力層の各ニューロンからそれぞれ何らかの値が出力
される。出力層では、エレベータの台数分のニューロン
があり、さまざまな入力パターンに対して、割り当てに
最適である号機に対応するニューロンが「1」(最大
値)を、その他のニューロンは「0」を出力するように
予め学習されている。
【0008】従って、出力パターンの各ニューロンの値
の中で、「1」(最大値)に最も近い値を出力したニユ
ーロンが割り当てに最適であることを示すことになり、
このニューロンに対応する号機が割り当て号機として選
択される。なお、中間層(実施例では一層であるが、複
数であってもよい)のニューロンの数は、エレベータの
台数やビルの性質等に応じて適宜定められる。
【0009】また、図示を省略しているが、各ニューロ
ン間にはニューロンの結び付きの強さを表す結合重み
(シナプスウェイト)が設定されている。この結合重み
は、最初は適当な値に設定されているが、その後「バッ
クプロパゲーション」と呼ばれる学習アルゴリズムを用
いて、より精度の高い呼び割り当てができるように修正
していくことができる。
【0010】このバックプロパゲーションについてはよ
く知られているので詳細な説明は省略するが、予め作成
された学習用サンプル(入力パターンと、その入力パタ
ーンに対する望ましい出力パターンすなわち教師信号と
を対にしたもの)を用い、同一の入力パターンに対する
出力パターンと教師信号とを比較し、その誤差を最小化
するように結合重みを修正していくアルゴリズムで、ま
ず最初はすべての重みを初期化(例えばランダムな値に
設定)しておき、入力層の各ニューロンに学習用サンプ
ルの入力パターンを与える。そしてこのときの出力パタ
ーンとその学習用サンプルの出力パターン(教師信号)
とを比較し、その差(誤差)を用いて、その差が小さく
なるように各結合重みの値を出力層側から順に修正して
いくのである。
【0011】そして、多数の学習用サンプルを用いて誤
差が収束するまでこれを繰り返すと、ニューラルネット
に教師信号と同レベルの呼び割当機能が自動的に埋め込
まれたことになり、学習用の入力パターンだけでなく未
知の入力パターンに対しても、教師信号と同レベルの呼
び割り当てを行なうことができるようになる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】この割当用ニューラル
ネットの学習は、一般にエレベータの設置前に予めシミ
ュレーション等によって作成した学習用サンプル、或い
は現場で実測したデータによって作成した学習用サンプ
ルを用いて行うが、学習完了後にビルの交通状況が大き
く変動したような場合、ニューラルネットが学習した内
容と実際の交通状況が大きく異なってしまい、現状にそ
ぐわない乗場呼びの割当てを行ってしまうという問題が
あった。
【0013】本発明はこのような問題点に鑑みてなされ
たもので、ニューラルネットの学習完了後にビルの交通
状況が大きく変動したような場合でも、安定した性能を
維持することのできる群管理システムを提供することを
目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、乗場呼びが発生すると評価関数による割
り当てやファジー群管理等を用いた割り当てなどの従来
方式による割り当てを行う従来方式割り当て手段と、エ
レベータの稼働中に前記従来方式割り当て手段による割
り当てを行い学習用サンプルを随時作成する学習用サン
プル作成手段と、記憶量が一定量に達すると古い学習用
サンプルを捨て新しい学習用サンプルを優先して記憶す
るリングバッファ構造の記憶手段と、該記憶手段に記憶
された学習用サンプルを新しい方から所定数選択し、そ
の所定数の学習用サンプルを用いてニューラルネットの
学習を継続的に行う学習手段とを備えたことを特徴とす
る。
【0015】
【作用】本発明によるエレベータの群管理装置において
は、常に最新の交通状況を基に作成された学習用サンプ
ルでニューラルネットの再学習が繰り返し行われること
になる。
【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を参照
しながら説明する。
【0016】図1は、本発明の全体の構成を示すブロッ
ク図で、図中、1は各階床に設けられた乗場呼び釦(1
つの階床分のみを図示し、他の階については省略してい
る)、2は乗場呼び信号、A1は1号機の運行を管理す
る運行制御装置、同様にA2〜Anは2号機〜n号機用
の運行制御装置、3は各号機の状態(かご位置や運転方
向、走行または停止の別、戸の開閉状態、かご呼び、荷
重、サービス階、異常等)を表すかご情報信号、10は
この乗場呼び信号2とかご情報信号3からなるエレベー
タシステム状態データに基づいて乗場呼びを最適な号機
に割り当て、それを割り当て信号4として出力する群管
理装置であり、各運行制御装置A1〜Anはこの割り当
て信号4で割り当てられた乗場呼びと自号機のかご内で
登録されたかご呼びに順次応答するようにかごの運行を
制御する。
【0017】群管理装置10はマイクロコンピュータ等
で構成され、入出力インターフェィス11と、従来方
式、例えば評価関数による割り当てやファジー群管理等
を用いて割り当てを行う従来方式割り当て手段12と、
エレベータの稼働中に学習用サンプルを作成する学習用
サンプル作成手段13と、新たに作成された学習用サン
プルを優先して記憶する記憶手段14と、呼び割り当て
用のニューラルネット15と、ニューラルネット15の
出力パターンから最適と思われる号機を選択して乗場呼
びに割り当てる割り当て判定手段16と、記憶手段14
に記憶された学習用サンプルのうち最新の学習用サンプ
ルを所定数選択し、それを用いてニューラルネットの学
習を行う学習手段17とを備えており、これらの各手段
はマイクロコンピュータ内のソフトウェア上で実現され
る。
【0018】る。図2は、エレベータの稼働中に学習用
サンプルを作成する手順の一例を示すフローチャートで
ある。
【0019】まず、ステップS1で新たな乗場呼びが発
生したか否かを判定し、呼びが発生するとステップS2
で、その呼びの発生時点におけるエレベータシステムの
状態をニューラルネットの入力パターンに変換する。ス
テップS3では新規乗場呼びを含むすべての未応答呼び
を対象として、従来方式割り当て手段により再割り当て
を行う。このとき未応答呼び全てを再割り当てするので
はなく、新規乗場呼びだけを割り当て、他の呼びについ
ては待ち時間が所定値を越えるものだけ割り当て変更す
るようにしてもよい。
【0020】ステップS4では乗場呼びにかごが応答し
て停止(サービス)したか否かを確認し、応答して停止
するとそのサービス号機を割り当て号機としてニューラ
ルネットの出力パターンに変換する。このように、割り
当て変更或いは再割り当て等により、当初割り当てられ
た号機と実際にサービスした号機とが異なる場合、すな
わち当初の割り当てが結果的に最善でなかった場合(但
し専用運転に切り換えられたためにサービスできなかっ
たような場合は除く)は、実際にサービスした号機を割
り当て号機として出力パターンに変換する。
【0021】そしてステップS6で、その呼びの入力パ
ターン(システム状態データ)と出力パターン(教師信
号)とを対にして学習用サンプルとして記憶する。この
ようにして上記の手順を繰り返すと、エレベータの稼働
中に学習用サンプルが次々と記憶されていくことにな
る。
【0022】図3は、学習用サンプルを記憶するための
バッファ(学習サンプルバッファ)を示す図で、リング
バッファ構造であり、学習用サンプルを順次登録してい
くが、一杯になれば最初に戻って古い学習用サンプルを
捨て、新しい学習用サンプルを登録していくことによ
り、常に最新のN個の学習用サンプルが登録されるよう
になっている。なお、この学習サンプルバッファの記憶
容量は、一回の学習に用いる学習用サンプルの数Lより
も十分大きくする必要がある。
【0023】次に、本発明による学習の手順を図4に示
すフローチャートにより説明する。まず、ステップS1
1でバッファに登録された学習用サンプルが所定数以上
になったか否かを判定し、所定数以上登録された時点で
学習を開始する。次にステップS12では学習は収束し
たか否かを、またステップS13では新しい学習用サン
プルが登録されたか否かを確認する。これらはそれぞ
れ、学習が既に収束しているのに学習を繰り返したり、
或いは新しい学習用サンプルが登録されておらず前回と
全く同じ学習用サンプルで学習を繰り返すような無駄を
防止するためである。
【0024】新しい学習用サンプルが登録されている場
合には、ステップS14で最新の学習用サンプルの番号
(図3の0〜N)を変数Xにセットする。次にステップ
S15で、X番目の学習用サンプルをニューラルネット
にセットし、その入力パターンからステップS16で各
層の出力を計算する。ステップS17ではその出力と教
師信号の出力パターンとから誤差を計算し、ステップS
18で各層の結合重みの修正を行う。
【0025】ステップS19では、学習回数が所定数L
に達したか否かを確認し、まだであればステップS20
を経てステップS22でXの値をデクリメントし、Xが
0になればステップS21でXの値を最大値であるN
(図3参照)にする。
【0026】こうしてステップS15〜S22を繰り返
すと、最新の学習用サンプルから順にL個の学習用サン
プルが選択されて学習が行われ、学習が収束するまで上
記の手順が繰り返される。学習を終了するとそのニュー
ラルネットは呼びの割り当てに使用できるようになり、
その後も上記の手順を繰り返すことにより、常に最新の
学習用サンプルを含む所定数の学習用サンプルが選択さ
れて学習が繰り返し実施され、ニューラルネットは常に
現在の交通状況に対応した割り当て性能が保たれること
になる。
【0027】なお、上記の手順では、学習の収束後も新
しい学習用サンプルが一つでも登録されると学習を再開
するようになっているが、一定数以上新しい学習用サン
プルが登録されたときに学習を再開するようにしてもよ
く、また、一定時間毎に学習を再開させるようにするこ
ともできる。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、エレベータの稼働中に
随時学習用サンプルを作成し、常に最新の学習用サンプ
ルを用いて継続的に学習できるようにしたので、エレベ
ータの設置後にビルの交通状況が変動したとしても、ニ
ューラルネットは常に安定した性能を維持することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の全体の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明における学習用サンプルの作成手順を示
すフローチャートである。
【図3】学習用サンプルを記憶するバッファの構造を説
明する図である。
【図4】本発明における学習の手順を示すフローチャー
トである。
【図5】呼び割当て用ニューラルネットの一例を示す図
である。
【符号の説明】
A1〜An 1〜n号機の運行制御装置 1 乗場呼び釦 2 乗場呼び信号 3 かご情報信号 4 割り当て信号 10 群管理装置 11 入出力インターフェイス 12 従来方式割り当て手段 13 学習用サンプル作成手段 14 記憶手段 15 ニューラルネット 16 割り当て判定手段 17 学習手段
フロントページの続き (72)発明者 緑谷 武 大阪府茨木市庄1丁目28番10号 株式会 社フジテック技術研究所内 (72)発明者 田辺 友晃 大阪府茨木市庄1丁目28番10号 株式会 社フジテック技術研究所内 (72)発明者 太田 直樹 大阪府茨木市庄1丁目28番10号 株式会 社フジテック技術研究所内 審査官 志水 裕司 (56)参考文献 特開 平3−31173(JP,A) 特開 平4−39277(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B66B 1/18 - 1/20

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の階床に対し複数台のエレベータを
    就役させ、乗場呼びが発生すると、その時のエレベータ
    システムの状態を表す種々のデータを、ニューラルネッ
    トの入力パターンとして使用できる形に変換して割当用
    のニューラルネットに入力し、その出力パターンから最
    適なかごを選択して、その乗場呼びに割り当てるように
    したエレベータの群管理制御装置において、 乗場呼びが発生すると評価関数による割り当てやファジ
    ー群管理等を用いた割り当てなどの従来方式による割り
    当てを行う従来方式割り当て手段と、エレベータの稼働
    中に前記従来方式割り当て手段による割り当てを行い学
    習用サンプルを随時作成する学習用サンプル作成手段
    と、記憶量が一定量に達すると古い学習用サンプルを捨
    て新しい学習用サンプルを優先して記憶するリングバッ
    ファ構造の記憶手段と、該記憶手段に記憶された学習用
    サンプルを新しい方から所定数選択し、その所定数の学
    習用サンプルを用いてニューラルネットの学習を継続的
    に行う学習手段とを備えたことを特徴とするエレベータ
    の群管理制御装置。
  2. 【請求項2】 前記ニューラルネットの学習は、新たに
    所定数の学習用サンプルが作成される毎に行うようにし
    たことを特徴とする請求項1記載のエレベータの群管理
    制御装置。
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