JP2988052B2 - 不織布の製造方法及び装置 - Google Patents

不織布の製造方法及び装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は不織布の製造方法及びそ
の装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】不織布の製造方法には、加熱溶融した熱
可塑性樹脂を紡糸口金より吐出し、4000m/分から
6000m/分の高速エジェクターで糸条を吸引開繊し
た後、移動するネット上に噴射捕集する方法が一般的で
ある。また前記糸条の開繊程度が不織布の目付斑を左右
しシートの品位及び品質に大きく影響することがわかっ
ている。
【0003】これら糸条の開繊方法としては、特開昭5
7−89635では高速吸引エジェクターにより吸引し
た糸条を帯電性のある鉛を主体とした金属衝突板に衝突
させ摩擦帯電させ開繊、目付斑の小さい均一なウェブを
製造する方法を、また特開昭60−28566では、ポ
リエステル系連続フィラメントを高速気流で吸引走行中
に銅−鉛の合金で鉛の成分比率が20〜60%である金
属に衝突させて、摩擦帯電させ単糸開繊性にすぐれた目
付の均一なウェブを提供することを開示している。
【0004】特開昭59−204958ではフィラメン
ト群に高圧直流電極によりコロナ放電電界領域に通過さ
せ帯電させた後、20kV以上に加電された導電性物質
に衝突させ開繊する方法、また特公昭63−24106
では摩擦帯電させたフィラメント群の通路に直流高電圧
電源により同付号の静電気の反発力で拡幅調整する方
法、更に特開昭59−187659ではエアーサッカー
により吸引した長繊維群にコロナ放電により強制帯電さ
せ衝突板に衝突させるとともに最終段の衝突板付近で走
行している糸条に2次エアーを吹付け均一で充分幅の拾
いウェブを得る方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】近年不織布の需要は着
実に増大しているが、低目付化、高品位化、高物性化に
あわせ、低価額化など不織布に要求されている特性も多
い。これら要求特性を満足するためには不織布の製造に
際し、高速エジェクターで吸引した糸条を開繊し、いか
に目付斑の小さい均一性にすぐれ、欠点のないシート
を、エジェクター当りの繊維本数を維持しながら得るか
ということが課題であった。しかし、従来の開繊方法で
は帯電開繊した糸条がネット上に捕集されるまでの間の
金属接触部で開繊糸条が付着、開繊性を悪化させる現象
があり、目付斑の改善には限界があった。
【0006】例えば、鉛を主体とする衝突板に衝突さ
せ、繊維を帯電開繊させる衝突板帯電方式においても開
繊フィラメントと共に噴出する高速エアーを制御する際
や衝突角度を変更し繊維の配列を変更する際、衝突板滑
走長が長くなるに従い、また衝突板角度がきつくなるに
従って、開繊フィラメントの付着現象が強くなり、フィ
ラメントが失速、ネット上に捕集する際には開繊不良と
なり目付斑が大きくなるなど、満足できる条件を確保す
ることは容易でなかった。また加電した導電性物質に衝
突させフィラメントの付着現象を防ぎ開繊したシートを
得る方法もあるが、ドリップの引掛りなど欠点発生の際
の復帰処理など安全上の問題もあり作業ロスが多くなる
などの欠点があった。またフィラメントをコロナ放電電
界領域に通過させて後、エジェクターパイプ内面あるい
は、衝突板上を滑走させネット上に捕集する方法につい
ては、帯電されたフィラメントがエジェクターパイプ内
で反発し合い、また帯電したフィラメントから滑走面へ
の放電現象があるため、パイプ内面、衝突板滑走面に押
し付けられるように滑走し開繊不良の原因になった。す
なわち、フィラメント滑走面に微小の傷が発生しても単
繊維が引掛り易く、ボタ状欠点が発生するなどの問題が
あった。これらの現象はエジェクター当りの糸条本数が
増加するにともない顕在化する傾向にあり、不織布の生
産性を向上させる上での大きなネックとなるなど問題が
あった。
【0007】本発明の目的は上述のような諸問題を解決
し目付斑が小さく、高品位の不織布を効率的に製造する
方法を提供せんとすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題点
を解決するため鋭意検討を行った結果、本発明に到達し
た。すなわち本発明は、繊維を帯電させて開繊し、捕集
して不織布を製造するに際し、帯電以降ネット捕集まで
の間の繊維接触部に非導電物質を用いることを特徴とす
る不織布の製造方法及びそのための不織布製造装置であ
る。
【0009】糸条に帯電させて以降の繊維接触部が導電
性部材であった場合、電荷が帯電された繊維よりエジェ
クターパイプ、及びその滑走部、又衝突板の滑走部に移
行するため高速滑走糸条が滑走中導電性金属部材に付
着、失速現象が発生するため、開繊性が悪化し、満足す
べき目付斑の小さいシートが得られなかった。特に滑走
長が長くなったり、衝突板の角度を小さくした際、顕著
となり、またエジェクター当りの繊維本数をアップして
も同様の傾向である。
【0010】本発明はこれらの問題を解決し、目付斑の
小さく高品位の不織布を効率的に製造する方法及び装置
を提供したものである。
【0011】本発明に言う熱可塑性繊維とは、ポリエス
テル、ポリアミド、ポリオレフィン、あるいはポリエス
テルとポリエチレンとの芯鞘複合繊維、などいずれの繊
維でも良く、また溶融ポリマー中にあらかじめ帯電剤、
耐候剤、耐熱安定剤、着色剤など添加剤を添加しても良
い。
【0012】また帯電以降ネット捕集までの間の繊維接
触部に用いる非電導物質としては、セラミックス、ナイ
ロン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニール樹脂、
ポリスチロール樹脂、テフロン樹脂など非電導物質であ
れば特に限定されるものでないが、特に滑走部が熱可塑
性繊維と同極帯電性の合成樹脂であることが帯電繊維の
付着現象が全くなく好ましい結果を示す。更に非電導物
質中に表面摩擦係数を変更するためのシリカ、炭酸カル
シュールなど不活性粒子あるいは静電防止剤など添加し
たものを用いてもよい。
【0013】また糸条の開繊方法として高速吸引エジェ
クターにより吸引した糸条を帯電性のある衝突板に衝突
させ摩擦帯電させ開繊させる方式において、繊維衝突後
の衝突板の滑走長は5mm〜40mmが良く、滑走長が5mm
以下の場合、噴射ノズルから空気流とともに噴出する繊
維の一部が衝突板に衝突しない場合があり、十分な開繊
効果が得られない。滑走長が40mm以上では摩擦帯電し
た繊維の付着現象がはじまり噴射繊維が失速、目付斑が
急激に悪化する。衝突板の材質としては鉛を主体とした
金属が効果的である。
【0014】また非導電物質の滑走長は20mm〜100
mmが良く、滑走長が20mm以下では噴射ノズルから噴出
する空気流及び噴出する繊維がマシン周辺から流入する
気流により外乱を受けやすく、100mm以上となると滑
走面への付着現象もなく開繊性は良好であるが、衝突板
が大きくなりすぎるため交換作業性が悪くなるため好ま
しくない。
【0015】本発明につき更に詳しく説明するため図面
を用いて説明をするが、本実施態様のみに限定されるこ
とは言うまでもない。
【0016】第1図(イ)及び(ロ)は、本発明の実施
態様を示す概略図である。第1図(イ)において溶融さ
れた熱可塑性合成樹脂は多数の細孔を有する紡糸口金1
より押出され、押出された繊維糸条2は冷却用チムニー
3により冷却固化され高圧直流電極4によるコロナ放電
電界域5を通過し帯電する。帯電した開繊糸条は高速吸
引エジェクター6により吸引引伸ばされ、エジェクター
パイプ7を通過し噴射ノズル8より4000〜6000
m/分の高速空気流とともに噴出される。この際用いら
れるエジェクターパイプ及び噴射ノズルは、パイプ内壁
を滑走する繊維からの電荷移行による付着失速を抑制す
るため非導電物質を用いることが良い。非電導性物質と
しては部材の全体が非電導である必要は無く、繊維との
接触部が非電導性であれば良い。一般には非電導性物質
のコーティングしたものを使用することが良く、紡糸口
金1とエジェクター6の距離は繊維の固化点がエジェク
ター内に入らない範囲であれば極力短縮することが紡糸
速度がアップしやすくなり好ましい。噴射ノズル8より
噴出された糸条は、鉛を主成分とする衝突板9に衝突、
更に開繊後、移動するネット10に捕集される。
【0017】第1図(ロ)に衝突板の拡大部分図を示し
たが、第1図(ロ)に示すとおり、衝突板は取付ベース
板12にセットされた鉛を主体とする衝突板13があ
り、開繊繊維の滑走面14には、非電導性樹脂を貼合せ
てある。
【0018】捕集されたウェッブは搬送され高温に加熱
されたエンボスロール11により部分的に熱接着し目付
斑の小さい、また欠点のない良好なシートを得ることが
できる。
【0019】
【作用】熱可塑性合成繊維を高速吸引するエジェクター
で引取ると同時に衝突板に衝突させる摩擦帯電あるい
は、紡出糸条に高電圧を印加帯電させ繊維を開繊させた
以降、ネット捕集までの間の繊維接触部が非電導物質で
構成されているため、帯電繊維より滑走面への電荷移動
がなく金属部材への付着、失速現象の発生がないためネ
ット上に捕集されるまで繊維が1本1本開繊されてお
り、目付斑の小さい極めて均一な不織布を得ることが出
来る。また繊維の付着現象がないため、各部材へ微小傷
が発生していても欠点とならず、品位、品質にすぐれた
不織布を得ることが可能となる。
【0020】
【実施例】以下実施例にもとずき更に詳細に説明する
が、実施例において目付変動率は1m2 のサンプルシー
トを幅50mm、長さ50mmの大きさに分割400個の小
片にし、その重量を測定し次式により求めた。
【0021】
【数1】
【0022】xi : 各小片の重量 (g) xav : 小片サンプルの重量平均値 (g) n : 小片サンプル数 シート欠点数は幅1mのシートを長さ1000m、繰返
しn数5の検反を行ないその平均値より求めた。
【0023】実施例1 固有粘度が0.66、融点が262℃であるポリエチレ
ンテレフタレートを高融点成分に、またテレフタール酸
とイソフタール酸のモル比が90/10、固有粘度が
0.70、融点が230℃の共重合ポリエチレンテレフ
タレート/イソフタレートを低融点成分とし紡糸温度2
85℃で溶融した後、孔径0.3mmφ、孔数100ホー
ルを有する多数の口金より押出し、それぞれ糸条を冷却
固化した後20kVの高圧直流電極によるコロナ放電電
界域を通過させ、単糸繊度が2デニールとなる様、高速
吸引エジェクターにより吸引、内面をセラミックコーテ
ィングしたエジェクターパイプ及び噴射ノズルを使用、
鉛を主体とした長さ30mmの衝突板の下流側に厚さ0.
2mm、長さ30mmのポリエステルフィルムを貼合せて滑
走部を形成した衝突板に衝突させ、速度30m/分で移
動する捕集ネットに捕集、230℃に加熱したエンボス
ロールにより部分的に熱接着した平均目付が50g/m
2 である不織布を得た。繊維滑走部での付着現象もなく
繊維は1本1本均一に開繊されており、目付変動率は
6.5%と極めて低くシートの欠点数も0.2個と少な
く品位、品質とも極めて良いものであった。
【0024】比較例1 エジェクターパイプがSUSであり、衝突板滑走部が亜
鉛とニッケルの合金である以外は全て実施例1と同条件
により不織布を得た。
【0025】エジェクターパイプ、及び衝突板滑走部で
繊維が付着する現象があった。得られたシートは部分的
に濃淡があり、目付変動率は15%と実施例に比べ高い
ものでありシート欠点数も8個と高く品位的に不十分な
ものであった。
【0026】実施例 実施例1と同様の方法で衝突部が鉛を主体とした金属板
であり、滑走部がポリエステルフィルムを貼合せたもの
を用い、鉛を主体とした金属板の長さを3mm、5mm、2
0mm、30mm、40mm、50mm及びポリエステルフィル
ムを貼合せてなる滑走板の長さを10mm、20mm、50
mm、80mm、100mm、120mmに変更し検討した結果
を表−1に示した。
【0027】
【表1】
【0028】実施例2から実施例13の目付変動率は比
較的小さく品位、品質的に良好なものであった。またシ
ートの欠点数は比較例1に比べ良好であり、問題なかっ
た。なお衝突板の長さが3mm、50mmのものについては
品位の点で多少問題があり、非電導物質からなる繊維接
触部が120mmのものについては品位、品質上の問題は
なかったが作業性に困難を要した。
【0029】
【発明の効果】本発明による不織布は前述のように合成
繊維を帯電開繊以降の繊維接触部が非導電性物質である
ため、接触部への電荷の移動、繊維の付着現象もなく、
品位、品質にすぐれたシートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図は、本発明の実施態様を示す概略図、
(イ)は全体図、は(ロ)は衝突板部の拡大図である。
【符号の説明】 1:紡糸口金 2:繊維糸条 3:チムニー 4:直流電極 5:放電電界域 6:エジェクター 7:エジェクターパイプ 8:噴射ノズル 9:衝突板 10:捕集ネット 11:エンボスロール 12:衝突板取付ベース 13:鉛衝突板 14:滑走面

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維を帯電させて開繊し、捕集して不織
    布を製造するに際し、帯電以降ネット補集までの間の繊
    維接触部に非導電物質を用いることを特徴とする不織布
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 帯電方法が繊維を衝突板に衝突させる摩
    擦帯電であることを特徴とする請求項1記載の不織布製
    造方法。
  3. 【請求項3】 衝突板が鉛を主体とする金属からなる衝
    突板であることを特徴とする請求項2記載の不織布製造
    方法。
  4. 【請求項4】 帯電方法が高圧電極による印加帯電であ
    ることを特徴とする請求項1記載の不織布製造方法。
  5. 【請求項5】 非電導物質からなる繊維接触部が滑走部
    であることを特徴とする請求項1記載の不織布製造方
    法。
  6. 【請求項6】 滑走部が熱可塑性繊維と同極に帯電する
    合成樹脂であることを特徴とする請求項5記載の不織布
    製造方法。
  7. 【請求項7】 衝突板での滑走長が5〜40mm、非電導
    物質からなる繊維接触部での滑走長が20〜100mmで
    あることを特徴とする請求項2記載の不織布製造方法。
  8. 【請求項8】 高速吸引するエジェクターと、繊維を摩
    擦帯電させるための衝突板又は繊維に高電圧を印加帯電
    させるための高圧電極からなる帯電部と、帯電部と捕集
    ネットの間に非電導物質からなる繊維接触部を有する不
    織布製造装置。
  9. 【請求項9】 帯電部が鉛を主体とした金属からなる衝
    突板であり、非電導物質からなる繊維接触部が滑走部で
    あることを特徴とする特許請求範囲第8項記載の不織布
    製造装置。
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JP2008115505A (ja) * 2006-11-07 2008-05-22 Japan Vilene Co Ltd 衝突部材、粉体含有繊維ウエブ製造装置、粉体含有繊維ウエブの製造方法、及び粉体含有繊維ウエブ
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