JP2985864B2 - 半導体封止用樹脂組成物 - Google Patents
半導体封止用樹脂組成物Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体装置を封止するた
めの樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、樹脂封止型
半導体装置を実装する際、ハンダ付け工程において封止
樹脂にクラックが発生するのを防止した半導体封止用樹
脂組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、半導体装置の高集積度化が急速に
進められており、素子サイズの大型化と配線の微細化が
著しく進展している。これら高集積化された半導体装置
も含め半導体装置は現在ほとんどが樹脂封止されている
が、これは信頼性の高い優れた性能を有する封止用樹脂
の開発に負うところが大きい。 【0003】一方、最近は、プリント基板への部品実装
においても高密度化、自動化が進められており、従来の
リードピンを基板の穴に挿入する“挿入実装方式”に代
り、基板表面に部品をハンダ付けする“表面実装方式”
がさかんになってきている。それに伴い、パッケージも
従来のDIP(デュアル・インライン・パッケージ)型
から高密度実装、表面実装に適した薄型のFPP(フラ
ット・プラスチック・パッケージ)型に移行しつつあ
る。 【0004】表面実装方式への移行に伴い、従来あまり
問題とならなかったハンダ付け工程が大きな問題となっ
てきている。従来のピン挿入実装方式ではハンダ付け工
程はリード部が部分的に加熱されるだけであったが、表
面実装方式ではパッケージ全体が熱媒に浸され加熱され
る。表面実装方式におけるハンダ付け方法としてはハン
ダ浴浸漬、不活性ガスの飽和蒸気による加熱(ベーパフ
ェイズ法)や赤外線リフロー法などが用いられるが、い
ずれの方法でもパッケージ全体が210〜270℃の高
温に加熱されることになる。そのため従来の封止用樹脂
で封止したパッケージはハンダ付け時に樹脂部分にクラ
ックが発生し、製品として使用できないという問題がお
きる。 【0005】ハンダ付け工程におけるクラックの発生
は、後硬化してから実装工程の間までに吸湿された水分
がハンダ付け加熱時に爆発的に水蒸気化、膨脹すること
に起因するといわれており、その対策として後硬化した
パッケージを完全に乾燥し密封した容器に収納して出荷
する方法が用いられている。 【0006】封止用樹脂の改良も種々検討されている。
例えば、封止用樹脂にゴム成分を配合し内部応力を低下
させる方法(特開昭58−219218号公報、特開昭
59−96122号公報)、無機充填剤の品種を選択す
る方法(特開昭58−19136号公報、特開昭60−
202145号公報)、無機充填剤の形状を球形化した
り、粒子径をコントロールすることにより応力、ひずみ
を均一化させる方法(特開昭60−171750号公
報、特開昭60−17937号公報)、撥水性の添加剤
やワックスにより吸水性を低下させ、ハンダ浴での水分
による応力発生を下げる方法(特開昭60−65023
号公報)などがある。 【0007】 【発明が解決しようとする問題点】しかるに乾燥パッケ
ージを容器に封入する方法は製造工程および製品の取扱
作業が煩雑になるうえ、製品価格がきわめて高価になる
欠点がある。 【0008】また種々の方法で改良された樹脂も、それ
ぞれ少しづつ効果をあげてきているが、実装技術の進歩
に伴うより過酷な要請に答えるには十分でない。具体的
にはこれら従来の方法で得られた樹脂により封止された
半導体装置を加湿処理後、例えば、85℃/85%RH
処理72時間、または121℃/2気圧PCT(プレッ
シャー・クッカー・テスト)処理72時間後にハンダ浴
に浸すと樹脂部分にはことごとく膨れまたはクラックが
発生する。すなわち、まだハンダ付け加熱時のクラック
発生を防止した十分満足できる封止用樹脂は得られてお
らず、表面実装化技術の進展に対応したハンダ耐熱性が
優れた封止用樹脂の開発が望まれているのが現状であ
る。 【0009】本発明の目的は、かかるハンダ付け工程で
生じるクラックの問題を解消した改良された封止用樹脂
を提供することにあり、表面実装ができる樹脂封止半導
体装置を可能にすることにある。 【0010】 【問題点を解決するための手段】すなわち本発明はエポ
キシ樹脂(A)、硬化剤(B)および粉末状充填剤
(C)を主成分とする半導体封止用樹脂組成物において
前記エポキシ樹脂(A)が下記式(I) 【化2】 (ただし、R1 〜R8 は水素原子、C1 〜C4 の低級ア
ルキル基またはハロゲン原子を示す。)で表わされる骨
格を有するエポキシ樹脂(a)を必須成分として含有
し、かつ前記粉末状充填剤(C)が粒子径14μ以下の
微粉末粒子を50重量%以上含有するとともに粒子径1
2μ以下の微粉末粒子を50重量%未満含有することを
特徴とする半導体封止用樹脂組成物である。 【0011】以下、本発明の構成を詳述する。 【0012】本発明の半導体封止用樹脂組成物はエポキ
シ樹脂(A)、硬化剤(B)および粉末状充填剤(C)
を主成分として含有する。 【0013】本発明におけるエポキシ樹脂(A)は下記
式(I) 【化3】 (ただし、R1 〜R8 は水素原子、C1 〜C4 の低級ア
ルキル基またはハロゲン原子を示す。)で表わされる骨
格を有するエポキシ樹脂(a)を必須成分として含有す
ることが重要である。エポキシ樹脂(a)を含有しない
場合はハンダ付け工程におけるクラックの発生防止効果
は発揮されない。 【0014】上記式(I)において、R1 〜R8 の好ま
しい具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、
プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−
ブチル基、tert−ブチル基、塩素原子、臭素原子な
どが挙げられる。 【0015】本発明におけるエポキシ樹脂(a)の好ま
しい具体例としては、4,4´−ビス(2,3−エポキ
シプロポキシ)ビフェニル、4,4´−ビス(2,3−
エポキシプロポキシ)−3,3´,5,5´−テトラメ
チルビフェニル、4,4´−ビス(2,3−エポキシプ
ロポキシ)−3,3´,5,5´−テトラメチル−2−
クロロビフェニル、4,4´−ビス(2,3−エポキシ
プロポキシ)−3,3´,5,5´−テトラメチル−2
−ブロモビフェニル、4,4´−ビス(2,3−エポキ
シプロポキシ)−3,3´,5,5´−テトラエチルビ
フェニル、4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキ
シ)−3,3´,5,5´−テトラブチルビフェニルな
どが挙げられる。 【0016】本発明におけるエポキシ樹脂(A)は上記
のエポキシ樹脂(a)とともに該エポキシ樹脂(a)以
外の他のエポキシ樹脂をも併用して含有することができ
る。併用できる他のエポキシ樹脂としては、例えばクレ
ゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラッ
ク型エポキシ樹脂、下記式(II)で表わされるノボラッ
ク型エポキシ樹脂、 【化4】 (ただし、nは0以上の整数を示す。) ビスフェノールAやレゾルシンなどから合成される各種
ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹
脂、複素環式エポキシ樹脂などが挙げられる。 【0017】エポキシ樹脂(A)中に含有されるエポキ
シ樹脂(a)の割合に関しては特に制限がなく必須成分
としてエポキシ樹脂(a)が含有されれば本発明の効果
は発揮されるが、より十分な効果を発揮させるために
は、エポキシ樹脂(a)がエポキシ樹脂(A)中に通常
10重量%以上、好ましくは20重量%以上含有せしめ
る必要がある。 【0018】本発明の樹脂組成物においてエポキシ樹脂
(A)の配合量は通常3〜30重量%、好ましくは5〜
25重量%である。 【0019】本発明における硬化剤(B)はエポキシ樹
脂と反応して硬化させるもののうち、例えば、フェノー
ルノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、下記式
(III)で表わされるノボラック樹脂、 【化5】 (ただし、nは0以上の整数を示す。) ビスフェノールAやレゾルシンから合成される各種ノボ
ラック樹脂、各種多価フェノール化合物などのフェノー
ル系化合物が好ましい。この他、無水マレイン酸、無水
フタル酸、無水ピロメリット酸などの酸無水物、メタフ
ェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミ
ノジフェニルスルホンなどの芳香族アミンなども用いる
ことができる。 【0020】本発明の樹脂組成物において硬化剤(B)
の配合量は通常1〜20重量%、好ましくは2〜15重
量%である。 【0021】本発明で使用するエポキシ樹脂(A)およ
び硬化剤(B)は耐湿性の点からナトリウムイオン、塩
素イオン、遊離の酸、アルカリやそれらを生成する可能
性のある不純物はできるだけ除去したものを用いること
が好ましい。 【0022】エポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)の配合
比は、機械的性質や耐熱性などの点からエポキシ樹脂に
対する硬化剤の化学当量比が0.5〜1.5、特に0.
7〜1.2の範囲にあることが好ましい。 【0023】本発明の樹脂組成物における粉末状充填剤
(C)は粒子径が14μ以下の微粉末粒子を50重量%
以上含有するとともに粒子径12μ以下の微粉末粒子を
50重量%未満含有するものである。14μ以下の微粉
末粒子を50重量%以上含有するとともに粒子径12μ
以下の微粉末粒子を50重量%未満含有することで、ハ
ンダ工程におけるクラックの発生防止効果が十分発揮さ
れるのである。 【0024】粉末状充填剤(C)の材質に関しては特に
制限がないが、通常は溶融シリカ、結晶シリカ、アルミ
ナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭酸マグネシウム、炭化
カルシウム、クレー、タルク、ケイ酸カルシウム、酸化
チタンなどが用いられる。これらは二種以上併用するこ
とができる。なかでも溶融シリカは線膨脹係数を低下さ
せる効果が大きく、低応力化に有効なため好ましく用い
られる。 【0025】粉末状充填剤(C)の粒子形状に関しても
特に制限はなく、通常は破砕状のもの、球状のものまた
は破砕状と球状を併用したものを用いることができる。 【0026】粉末状充填剤(C)の粒度分布に関して
も、粒子径が上記の範囲内にあるかぎり特に制限はな
い。異なる粒度分布を持った粉末状充填剤を二種以上併
用することもできる。 【0027】本発明の樹脂組成物において、線膨脹係数
が大きくなるのを防ぐ一方、成形性を十分にする観点か
ら、粉末状充填剤(C)の配合量は通常、50〜85重
量%、好ましくは65〜80重量%である。 【0028】また、本発明において、エポキシ樹脂と硬
化剤の硬化反応を促進するために硬化促進剤を用いても
よい。硬化促進剤としては硬化反応を促進させるものな
らば特に制限されない。例えば、2−メチルイミダゾー
ル、2−フェニルイミダゾールなどのイミダゾール類、
ベンジルジメチルアミン、1,8−ジアザビシクロ
(5,4,0)ウンデセン−7(DBUと略す)などの
アミン類、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホ
スホニウムテトラフェニルボレートなどの有機リン化合
物などが好ましく用いられる。 【0029】本発明の樹脂組成物は必要に応じてシリコ
ーンゴム、オレフィン系ゴム、ジエン系ゴムなどのゴム
状重合体、ワックスなどの離型剤、カーボンブラックな
どの着色剤、カップリング剤、臭素化化合物、酸化アン
チモンなどの難燃剤、シリコーンオイルなどを用いるこ
とができる。 【0030】本発明の樹脂組成物は溶融混練することが
好ましく、溶融混練は公知の方法を用いることができ
る。例えばバンバリーミキサー、ニーダー、ロール、一
軸もしくは二軸の押出機、コニーダーなどを用い、溶融
混練することができる。 【0031】 【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。 【0032】実施例中、部数、%はそれぞれ重量部と重
量%を意味する。 【0033】実施例1〜6、比較例1〜12 表1と表2に示した原料を表3に示した配合処方の組成
比で配合し、ミキサーによりドライブレンドした。これ
をロール表面温度90℃のミキシングロールを用いて5
分間加熱混練したのち、冷却、粉砕して樹脂組成物を製
造した。ここで、硬化剤は実施例3〜6については表1
の水酸基当量107のフェノールノボラック樹脂に代えて
下記式(IV)で表わされる水酸基当量175のフェノールア
ラルキル樹脂を用いた。 【0034】 【化6】(ただし、nは0以上の整数を示す。) これらの樹脂組成物と模擬素子を搭載した42アロイ製
リードフレームを用い、低圧トランスファー成形機によ
り180℃×2分の条件で44ピンフラットパッケージ
を成形し、次いで180℃で5時間後硬化した。 【0035】得られたフラットパッケージ硬化物を85
℃、85%RHで72時間加湿処理したのち、260℃
のハンダ浴に10秒間浸漬し、浸漬後のクラック発生状
況を調べた。 【0036】結果を表3に示す。 【0037】表3においてハンダ耐熱性をパッケージ2
0個中クラックが発生しなかったパッケージの個数で表
示した。 【0038】 【表1】【表2】【表3】【表4】表3の結果から次のことが明らかである。 【0039】実施例1〜6にみられるようにエポキシ樹
脂(a)を含有し、かつ粉末状充填剤が粒子径14μ以
下の微粉末粒子を50重量%以上含有するとともに粒子
径12μ以下の微粉末粒子を50重量%未満含有する本
発明の樹脂組成物で封止したパッケージは加湿処理後2
60℃のハンダ浴に浸漬してもほとんどクラックが発生
せず、ハンダ耐熱性が優れている。 【0040】一方、比較例1〜5にみられるように粉末
状充填剤が14μ以下の微粉末粒子を50重量%以上含
有するとともに粒子径12μ以下の微粉末粒子を50重
量%未満含有したとしても、エポキシ樹脂(a)を含有
しない樹脂組成物はほとんどのパッケージにクラックが
発生する。 【0041】比較例6〜8にみられるようにエポキシ樹
脂(a)を含有しても、粉末状充填剤が粒子径14μ以
下の微粉末粒子を50重量%未満しか含有しない樹脂組
成物はほとんどのパッケージにクラックが発生する。 【0042】比較例9にみられるようにエポキシ樹脂
(a)を含有せず、粉末状充填剤が粒子径14μ以下の
微粉末粒子を50重量%未満しか含有しない樹脂組成物
はすべてのパッケージにクラックが発生する。 【0043】 【発明の効果】本発明の樹脂組成物はハンダ耐熱性がき
わめて優れており、本発明の樹脂組成物で封止すること
により半導体装置を実装する際のハンダ付け工程におけ
る樹脂クラックの発生を防止することができる。この特
徴をいかして、表面実装用の半導体装置の封止など種々
の用途への応用が期待される。
めの樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、樹脂封止型
半導体装置を実装する際、ハンダ付け工程において封止
樹脂にクラックが発生するのを防止した半導体封止用樹
脂組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、半導体装置の高集積度化が急速に
進められており、素子サイズの大型化と配線の微細化が
著しく進展している。これら高集積化された半導体装置
も含め半導体装置は現在ほとんどが樹脂封止されている
が、これは信頼性の高い優れた性能を有する封止用樹脂
の開発に負うところが大きい。 【0003】一方、最近は、プリント基板への部品実装
においても高密度化、自動化が進められており、従来の
リードピンを基板の穴に挿入する“挿入実装方式”に代
り、基板表面に部品をハンダ付けする“表面実装方式”
がさかんになってきている。それに伴い、パッケージも
従来のDIP(デュアル・インライン・パッケージ)型
から高密度実装、表面実装に適した薄型のFPP(フラ
ット・プラスチック・パッケージ)型に移行しつつあ
る。 【0004】表面実装方式への移行に伴い、従来あまり
問題とならなかったハンダ付け工程が大きな問題となっ
てきている。従来のピン挿入実装方式ではハンダ付け工
程はリード部が部分的に加熱されるだけであったが、表
面実装方式ではパッケージ全体が熱媒に浸され加熱され
る。表面実装方式におけるハンダ付け方法としてはハン
ダ浴浸漬、不活性ガスの飽和蒸気による加熱(ベーパフ
ェイズ法)や赤外線リフロー法などが用いられるが、い
ずれの方法でもパッケージ全体が210〜270℃の高
温に加熱されることになる。そのため従来の封止用樹脂
で封止したパッケージはハンダ付け時に樹脂部分にクラ
ックが発生し、製品として使用できないという問題がお
きる。 【0005】ハンダ付け工程におけるクラックの発生
は、後硬化してから実装工程の間までに吸湿された水分
がハンダ付け加熱時に爆発的に水蒸気化、膨脹すること
に起因するといわれており、その対策として後硬化した
パッケージを完全に乾燥し密封した容器に収納して出荷
する方法が用いられている。 【0006】封止用樹脂の改良も種々検討されている。
例えば、封止用樹脂にゴム成分を配合し内部応力を低下
させる方法(特開昭58−219218号公報、特開昭
59−96122号公報)、無機充填剤の品種を選択す
る方法(特開昭58−19136号公報、特開昭60−
202145号公報)、無機充填剤の形状を球形化した
り、粒子径をコントロールすることにより応力、ひずみ
を均一化させる方法(特開昭60−171750号公
報、特開昭60−17937号公報)、撥水性の添加剤
やワックスにより吸水性を低下させ、ハンダ浴での水分
による応力発生を下げる方法(特開昭60−65023
号公報)などがある。 【0007】 【発明が解決しようとする問題点】しかるに乾燥パッケ
ージを容器に封入する方法は製造工程および製品の取扱
作業が煩雑になるうえ、製品価格がきわめて高価になる
欠点がある。 【0008】また種々の方法で改良された樹脂も、それ
ぞれ少しづつ効果をあげてきているが、実装技術の進歩
に伴うより過酷な要請に答えるには十分でない。具体的
にはこれら従来の方法で得られた樹脂により封止された
半導体装置を加湿処理後、例えば、85℃/85%RH
処理72時間、または121℃/2気圧PCT(プレッ
シャー・クッカー・テスト)処理72時間後にハンダ浴
に浸すと樹脂部分にはことごとく膨れまたはクラックが
発生する。すなわち、まだハンダ付け加熱時のクラック
発生を防止した十分満足できる封止用樹脂は得られてお
らず、表面実装化技術の進展に対応したハンダ耐熱性が
優れた封止用樹脂の開発が望まれているのが現状であ
る。 【0009】本発明の目的は、かかるハンダ付け工程で
生じるクラックの問題を解消した改良された封止用樹脂
を提供することにあり、表面実装ができる樹脂封止半導
体装置を可能にすることにある。 【0010】 【問題点を解決するための手段】すなわち本発明はエポ
キシ樹脂(A)、硬化剤(B)および粉末状充填剤
(C)を主成分とする半導体封止用樹脂組成物において
前記エポキシ樹脂(A)が下記式(I) 【化2】 (ただし、R1 〜R8 は水素原子、C1 〜C4 の低級ア
ルキル基またはハロゲン原子を示す。)で表わされる骨
格を有するエポキシ樹脂(a)を必須成分として含有
し、かつ前記粉末状充填剤(C)が粒子径14μ以下の
微粉末粒子を50重量%以上含有するとともに粒子径1
2μ以下の微粉末粒子を50重量%未満含有することを
特徴とする半導体封止用樹脂組成物である。 【0011】以下、本発明の構成を詳述する。 【0012】本発明の半導体封止用樹脂組成物はエポキ
シ樹脂(A)、硬化剤(B)および粉末状充填剤(C)
を主成分として含有する。 【0013】本発明におけるエポキシ樹脂(A)は下記
式(I) 【化3】 (ただし、R1 〜R8 は水素原子、C1 〜C4 の低級ア
ルキル基またはハロゲン原子を示す。)で表わされる骨
格を有するエポキシ樹脂(a)を必須成分として含有す
ることが重要である。エポキシ樹脂(a)を含有しない
場合はハンダ付け工程におけるクラックの発生防止効果
は発揮されない。 【0014】上記式(I)において、R1 〜R8 の好ま
しい具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、
プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−
ブチル基、tert−ブチル基、塩素原子、臭素原子な
どが挙げられる。 【0015】本発明におけるエポキシ樹脂(a)の好ま
しい具体例としては、4,4´−ビス(2,3−エポキ
シプロポキシ)ビフェニル、4,4´−ビス(2,3−
エポキシプロポキシ)−3,3´,5,5´−テトラメ
チルビフェニル、4,4´−ビス(2,3−エポキシプ
ロポキシ)−3,3´,5,5´−テトラメチル−2−
クロロビフェニル、4,4´−ビス(2,3−エポキシ
プロポキシ)−3,3´,5,5´−テトラメチル−2
−ブロモビフェニル、4,4´−ビス(2,3−エポキ
シプロポキシ)−3,3´,5,5´−テトラエチルビ
フェニル、4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキ
シ)−3,3´,5,5´−テトラブチルビフェニルな
どが挙げられる。 【0016】本発明におけるエポキシ樹脂(A)は上記
のエポキシ樹脂(a)とともに該エポキシ樹脂(a)以
外の他のエポキシ樹脂をも併用して含有することができ
る。併用できる他のエポキシ樹脂としては、例えばクレ
ゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラッ
ク型エポキシ樹脂、下記式(II)で表わされるノボラッ
ク型エポキシ樹脂、 【化4】 (ただし、nは0以上の整数を示す。) ビスフェノールAやレゾルシンなどから合成される各種
ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹
脂、複素環式エポキシ樹脂などが挙げられる。 【0017】エポキシ樹脂(A)中に含有されるエポキ
シ樹脂(a)の割合に関しては特に制限がなく必須成分
としてエポキシ樹脂(a)が含有されれば本発明の効果
は発揮されるが、より十分な効果を発揮させるために
は、エポキシ樹脂(a)がエポキシ樹脂(A)中に通常
10重量%以上、好ましくは20重量%以上含有せしめ
る必要がある。 【0018】本発明の樹脂組成物においてエポキシ樹脂
(A)の配合量は通常3〜30重量%、好ましくは5〜
25重量%である。 【0019】本発明における硬化剤(B)はエポキシ樹
脂と反応して硬化させるもののうち、例えば、フェノー
ルノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、下記式
(III)で表わされるノボラック樹脂、 【化5】 (ただし、nは0以上の整数を示す。) ビスフェノールAやレゾルシンから合成される各種ノボ
ラック樹脂、各種多価フェノール化合物などのフェノー
ル系化合物が好ましい。この他、無水マレイン酸、無水
フタル酸、無水ピロメリット酸などの酸無水物、メタフ
ェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミ
ノジフェニルスルホンなどの芳香族アミンなども用いる
ことができる。 【0020】本発明の樹脂組成物において硬化剤(B)
の配合量は通常1〜20重量%、好ましくは2〜15重
量%である。 【0021】本発明で使用するエポキシ樹脂(A)およ
び硬化剤(B)は耐湿性の点からナトリウムイオン、塩
素イオン、遊離の酸、アルカリやそれらを生成する可能
性のある不純物はできるだけ除去したものを用いること
が好ましい。 【0022】エポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)の配合
比は、機械的性質や耐熱性などの点からエポキシ樹脂に
対する硬化剤の化学当量比が0.5〜1.5、特に0.
7〜1.2の範囲にあることが好ましい。 【0023】本発明の樹脂組成物における粉末状充填剤
(C)は粒子径が14μ以下の微粉末粒子を50重量%
以上含有するとともに粒子径12μ以下の微粉末粒子を
50重量%未満含有するものである。14μ以下の微粉
末粒子を50重量%以上含有するとともに粒子径12μ
以下の微粉末粒子を50重量%未満含有することで、ハ
ンダ工程におけるクラックの発生防止効果が十分発揮さ
れるのである。 【0024】粉末状充填剤(C)の材質に関しては特に
制限がないが、通常は溶融シリカ、結晶シリカ、アルミ
ナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭酸マグネシウム、炭化
カルシウム、クレー、タルク、ケイ酸カルシウム、酸化
チタンなどが用いられる。これらは二種以上併用するこ
とができる。なかでも溶融シリカは線膨脹係数を低下さ
せる効果が大きく、低応力化に有効なため好ましく用い
られる。 【0025】粉末状充填剤(C)の粒子形状に関しても
特に制限はなく、通常は破砕状のもの、球状のものまた
は破砕状と球状を併用したものを用いることができる。 【0026】粉末状充填剤(C)の粒度分布に関して
も、粒子径が上記の範囲内にあるかぎり特に制限はな
い。異なる粒度分布を持った粉末状充填剤を二種以上併
用することもできる。 【0027】本発明の樹脂組成物において、線膨脹係数
が大きくなるのを防ぐ一方、成形性を十分にする観点か
ら、粉末状充填剤(C)の配合量は通常、50〜85重
量%、好ましくは65〜80重量%である。 【0028】また、本発明において、エポキシ樹脂と硬
化剤の硬化反応を促進するために硬化促進剤を用いても
よい。硬化促進剤としては硬化反応を促進させるものな
らば特に制限されない。例えば、2−メチルイミダゾー
ル、2−フェニルイミダゾールなどのイミダゾール類、
ベンジルジメチルアミン、1,8−ジアザビシクロ
(5,4,0)ウンデセン−7(DBUと略す)などの
アミン類、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホ
スホニウムテトラフェニルボレートなどの有機リン化合
物などが好ましく用いられる。 【0029】本発明の樹脂組成物は必要に応じてシリコ
ーンゴム、オレフィン系ゴム、ジエン系ゴムなどのゴム
状重合体、ワックスなどの離型剤、カーボンブラックな
どの着色剤、カップリング剤、臭素化化合物、酸化アン
チモンなどの難燃剤、シリコーンオイルなどを用いるこ
とができる。 【0030】本発明の樹脂組成物は溶融混練することが
好ましく、溶融混練は公知の方法を用いることができ
る。例えばバンバリーミキサー、ニーダー、ロール、一
軸もしくは二軸の押出機、コニーダーなどを用い、溶融
混練することができる。 【0031】 【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。 【0032】実施例中、部数、%はそれぞれ重量部と重
量%を意味する。 【0033】実施例1〜6、比較例1〜12 表1と表2に示した原料を表3に示した配合処方の組成
比で配合し、ミキサーによりドライブレンドした。これ
をロール表面温度90℃のミキシングロールを用いて5
分間加熱混練したのち、冷却、粉砕して樹脂組成物を製
造した。ここで、硬化剤は実施例3〜6については表1
の水酸基当量107のフェノールノボラック樹脂に代えて
下記式(IV)で表わされる水酸基当量175のフェノールア
ラルキル樹脂を用いた。 【0034】 【化6】(ただし、nは0以上の整数を示す。) これらの樹脂組成物と模擬素子を搭載した42アロイ製
リードフレームを用い、低圧トランスファー成形機によ
り180℃×2分の条件で44ピンフラットパッケージ
を成形し、次いで180℃で5時間後硬化した。 【0035】得られたフラットパッケージ硬化物を85
℃、85%RHで72時間加湿処理したのち、260℃
のハンダ浴に10秒間浸漬し、浸漬後のクラック発生状
況を調べた。 【0036】結果を表3に示す。 【0037】表3においてハンダ耐熱性をパッケージ2
0個中クラックが発生しなかったパッケージの個数で表
示した。 【0038】 【表1】【表2】【表3】【表4】表3の結果から次のことが明らかである。 【0039】実施例1〜6にみられるようにエポキシ樹
脂(a)を含有し、かつ粉末状充填剤が粒子径14μ以
下の微粉末粒子を50重量%以上含有するとともに粒子
径12μ以下の微粉末粒子を50重量%未満含有する本
発明の樹脂組成物で封止したパッケージは加湿処理後2
60℃のハンダ浴に浸漬してもほとんどクラックが発生
せず、ハンダ耐熱性が優れている。 【0040】一方、比較例1〜5にみられるように粉末
状充填剤が14μ以下の微粉末粒子を50重量%以上含
有するとともに粒子径12μ以下の微粉末粒子を50重
量%未満含有したとしても、エポキシ樹脂(a)を含有
しない樹脂組成物はほとんどのパッケージにクラックが
発生する。 【0041】比較例6〜8にみられるようにエポキシ樹
脂(a)を含有しても、粉末状充填剤が粒子径14μ以
下の微粉末粒子を50重量%未満しか含有しない樹脂組
成物はほとんどのパッケージにクラックが発生する。 【0042】比較例9にみられるようにエポキシ樹脂
(a)を含有せず、粉末状充填剤が粒子径14μ以下の
微粉末粒子を50重量%未満しか含有しない樹脂組成物
はすべてのパッケージにクラックが発生する。 【0043】 【発明の効果】本発明の樹脂組成物はハンダ耐熱性がき
わめて優れており、本発明の樹脂組成物で封止すること
により半導体装置を実装する際のハンダ付け工程におけ
る樹脂クラックの発生を防止することができる。この特
徴をいかして、表面実装用の半導体装置の封止など種々
の用途への応用が期待される。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
H01L 23/31
(56)参考文献 特開 昭61−259552(JP,A)
「日経ニューマテリアル 1987 3−
30」(昭和62年3月30日発行)第31〜32
頁
(58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名)
C08L 63/00 - 63/10
C08K 3/00 - 3/38
C08G 59/20 - 59/38
C08G 59/62
H01L 23/29
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)および粉末状充
填剤(C)を主成分とする半導体封止用樹脂組成物にお
いて前記エポキシ樹脂(A)が下記式(I) 【化1】 (ただし、R1 〜R8 は水素原子、C1 〜C4 の低級ア
ルキル基またはハロゲン原子を示す。)で表わされる骨
格を有するエポキシ樹脂(a)を必須成分として含有
し、かつ前記粉末状充填剤(C)が粒子径14μ以下の
微粉末粒子を50重量%以上含有するとともに粒子径1
2μ以下の微粉末粒子を50重量%未満含有することを
特徴とする半導体封止用樹脂組成物。 2.硬化剤(B)がフェノール系化合物であることを特
徴とする請求項1記載の半導体封止用樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10023274A JP2985864B2 (ja) | 1998-02-04 | 1998-02-04 | 半導体封止用樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10023274A JP2985864B2 (ja) | 1998-02-04 | 1998-02-04 | 半導体封止用樹脂組成物 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62245072A Division JPH0668010B2 (ja) | 1987-09-28 | 1987-09-28 | 半導体封止用樹脂組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1160698A JPH1160698A (ja) | 1999-03-02 |
JP2985864B2 true JP2985864B2 (ja) | 1999-12-06 |
Family
ID=12106035
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10023274A Expired - Lifetime JP2985864B2 (ja) | 1998-02-04 | 1998-02-04 | 半導体封止用樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2985864B2 (ja) |
-
1998
- 1998-02-04 JP JP10023274A patent/JP2985864B2/ja not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
「日経ニューマテリアル 1987 3−30」(昭和62年3月30日発行)第31〜32頁 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1160698A (ja) | 1999-03-02 |
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