JP2985864B2 - 半導体封止用樹脂組成物 - Google Patents

半導体封止用樹脂組成物

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JP2985864B2
JP2985864B2 JP10023274A JP2327498A JP2985864B2 JP 2985864 B2 JP2985864 B2 JP 2985864B2 JP 10023274 A JP10023274 A JP 10023274A JP 2327498 A JP2327498 A JP 2327498A JP 2985864 B2 JP2985864 B2 JP 2985864B2
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正幸 田中
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は半導体装置を封止するた
めの樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、樹脂封止型
半導体装置を実装する際、ハンダ付け工程において封止
樹脂にクラックが発生するのを防止した半導体封止用樹
脂組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、半導体装置の高集積度化が急速に
進められており、素子サイズの大型化と配線の微細化が
著しく進展している。これら高集積化された半導体装置
も含め半導体装置は現在ほとんどが樹脂封止されている
が、これは信頼性の高い優れた性能を有する封止用樹脂
の開発に負うところが大きい。 【0003】一方、最近は、プリント基板への部品実装
においても高密度化、自動化が進められており、従来の
リードピンを基板の穴に挿入する“挿入実装方式”に代
り、基板表面に部品をハンダ付けする“表面実装方式”
がさかんになってきている。それに伴い、パッケージも
従来のDIP(デュアル・インライン・パッケージ)型
から高密度実装、表面実装に適した薄型のFPP(フラ
ット・プラスチック・パッケージ)型に移行しつつあ
る。 【0004】表面実装方式への移行に伴い、従来あまり
問題とならなかったハンダ付け工程が大きな問題となっ
てきている。従来のピン挿入実装方式ではハンダ付け工
程はリード部が部分的に加熱されるだけであったが、表
面実装方式ではパッケージ全体が熱媒に浸され加熱され
る。表面実装方式におけるハンダ付け方法としてはハン
ダ浴浸漬、不活性ガスの飽和蒸気による加熱(ベーパフ
ェイズ法)や赤外線リフロー法などが用いられるが、い
ずれの方法でもパッケージ全体が210〜270℃の高
温に加熱されることになる。そのため従来の封止用樹脂
で封止したパッケージはハンダ付け時に樹脂部分にクラ
ックが発生し、製品として使用できないという問題がお
きる。 【0005】ハンダ付け工程におけるクラックの発生
は、後硬化してから実装工程の間までに吸湿された水分
がハンダ付け加熱時に爆発的に水蒸気化、膨脹すること
に起因するといわれており、その対策として後硬化した
パッケージを完全に乾燥し密封した容器に収納して出荷
する方法が用いられている。 【0006】封止用樹脂の改良も種々検討されている。
例えば、封止用樹脂にゴム成分を配合し内部応力を低下
させる方法(特開昭58−219218号公報、特開昭
59−96122号公報)、無機充填剤の品種を選択す
る方法(特開昭58−19136号公報、特開昭60−
202145号公報)、無機充填剤の形状を球形化した
り、粒子径をコントロールすることにより応力、ひずみ
を均一化させる方法(特開昭60−171750号公
報、特開昭60−17937号公報)、撥水性の添加剤
やワックスにより吸水性を低下させ、ハンダ浴での水分
による応力発生を下げる方法(特開昭60−65023
号公報)などがある。 【0007】 【発明が解決しようとする問題点】しかるに乾燥パッケ
ージを容器に封入する方法は製造工程および製品の取扱
作業が煩雑になるうえ、製品価格がきわめて高価になる
欠点がある。 【0008】また種々の方法で改良された樹脂も、それ
ぞれ少しづつ効果をあげてきているが、実装技術の進歩
に伴うより過酷な要請に答えるには十分でない。具体的
にはこれら従来の方法で得られた樹脂により封止された
半導体装置を加湿処理後、例えば、85℃/85%RH
処理72時間、または121℃/2気圧PCT(プレッ
シャー・クッカー・テスト)処理72時間後にハンダ浴
に浸すと樹脂部分にはことごとく膨れまたはクラックが
発生する。すなわち、まだハンダ付け加熱時のクラック
発生を防止した十分満足できる封止用樹脂は得られてお
らず、表面実装化技術の進展に対応したハンダ耐熱性が
優れた封止用樹脂の開発が望まれているのが現状であ
る。 【0009】本発明の目的は、かかるハンダ付け工程で
生じるクラックの問題を解消した改良された封止用樹脂
を提供することにあり、表面実装ができる樹脂封止半導
体装置を可能にすることにある。 【0010】 【問題点を解決するための手段】すなわち本発明はエポ
キシ樹脂(A)、硬化剤(B)および粉末状充填剤
(C)を主成分とする半導体封止用樹脂組成物において
前記エポキシ樹脂(A)が下記式(I) 【化2】 (ただし、R1 〜R8 は水素原子、C1 〜C4 の低級ア
ルキル基またはハロゲン原子を示す。)で表わされる骨
格を有するエポキシ樹脂(a)を必須成分として含有
し、かつ前記粉末状充填剤(C)が粒子径14μ以下の
微粉末粒子を50重量%以上含有するとともに粒子径1
2μ以下の微粉末粒子を50重量%未満含有することを
特徴とする半導体封止用樹脂組成物である。 【0011】以下、本発明の構成を詳述する。 【0012】本発明の半導体封止用樹脂組成物はエポキ
シ樹脂(A)、硬化剤(B)および粉末状充填剤(C)
を主成分として含有する。 【0013】本発明におけるエポキシ樹脂(A)は下記
式(I) 【化3】 (ただし、R1 〜R8 は水素原子、C1 〜C4 の低級ア
ルキル基またはハロゲン原子を示す。)で表わされる骨
格を有するエポキシ樹脂(a)を必須成分として含有す
ることが重要である。エポキシ樹脂(a)を含有しない
場合はハンダ付け工程におけるクラックの発生防止効果
は発揮されない。 【0014】上記式(I)において、R1 〜R8 の好ま
しい具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、
プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−
ブチル基、tert−ブチル基、塩素原子、臭素原子な
どが挙げられる。 【0015】本発明におけるエポキシ樹脂(a)の好ま
しい具体例としては、4,4´−ビス(2,3−エポキ
シプロポキシ)ビフェニル、4,4´−ビス(2,3−
エポキシプロポキシ)−3,3´,5,5´−テトラメ
チルビフェニル、4,4´−ビス(2,3−エポキシプ
ロポキシ)−3,3´,5,5´−テトラメチル−2−
クロロビフェニル、4,4´−ビス(2,3−エポキシ
プロポキシ)−3,3´,5,5´−テトラメチル−2
−ブロモビフェニル、4,4´−ビス(2,3−エポキ
シプロポキシ)−3,3´,5,5´−テトラエチルビ
フェニル、4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキ
シ)−3,3´,5,5´−テトラブチルビフェニルな
どが挙げられる。 【0016】本発明におけるエポキシ樹脂(A)は上記
のエポキシ樹脂(a)とともに該エポキシ樹脂(a)以
外の他のエポキシ樹脂をも併用して含有することができ
る。併用できる他のエポキシ樹脂としては、例えばクレ
ゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラッ
ク型エポキシ樹脂、下記式(II)で表わされるノボラッ
ク型エポキシ樹脂、 【化4】 (ただし、nは0以上の整数を示す。) ビスフェノールAやレゾルシンなどから合成される各種
ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹
脂、複素環式エポキシ樹脂などが挙げられる。 【0017】エポキシ樹脂(A)中に含有されるエポキ
シ樹脂(a)の割合に関しては特に制限がなく必須成分
としてエポキシ樹脂(a)が含有されれば本発明の効果
は発揮されるが、より十分な効果を発揮させるために
は、エポキシ樹脂(a)がエポキシ樹脂(A)中に通常
10重量%以上、好ましくは20重量%以上含有せしめ
る必要がある。 【0018】本発明の樹脂組成物においてエポキシ樹脂
(A)の配合量は通常3〜30重量%、好ましくは5〜
25重量%である。 【0019】本発明における硬化剤(B)はエポキシ樹
脂と反応して硬化させるもののうち、例えば、フェノー
ルノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、下記式
(III)で表わされるノボラック樹脂、 【化5】 (ただし、nは0以上の整数を示す。) ビスフェノールAやレゾルシンから合成される各種ノボ
ラック樹脂、各種多価フェノール化合物などのフェノー
ル系化合物が好ましい。この他、無水マレイン酸、無水
フタル酸、無水ピロメリット酸などの酸無水物、メタフ
ェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミ
ノジフェニルスルホンなどの芳香族アミンなども用いる
ことができる。 【0020】本発明の樹脂組成物において硬化剤(B)
の配合量は通常1〜20重量%、好ましくは2〜15重
量%である。 【0021】本発明で使用するエポキシ樹脂(A)およ
び硬化剤(B)は耐湿性の点からナトリウムイオン、塩
素イオン、遊離の酸、アルカリやそれらを生成する可能
性のある不純物はできるだけ除去したものを用いること
が好ましい。 【0022】エポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)の配合
比は、機械的性質や耐熱性などの点からエポキシ樹脂に
対する硬化剤の化学当量比が0.5〜1.5、特に0.
7〜1.2の範囲にあることが好ましい。 【0023】本発明の樹脂組成物における粉末状充填剤
(C)は粒子径が14μ以下の微粉末粒子を50重量%
以上含有するとともに粒子径12μ以下の微粉末粒子を
50重量%未満含有するものである。14μ以下の微粉
末粒子を50重量%以上含有するとともに粒子径12μ
以下の微粉末粒子を50重量%未満含有することで、ハ
ンダ工程におけるクラックの発生防止効果が十分発揮さ
れるのである。 【0024】粉末状充填剤(C)の材質に関しては特に
制限がないが、通常は溶融シリカ、結晶シリカ、アルミ
ナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭酸マグネシウム、炭化
カルシウム、クレー、タルク、ケイ酸カルシウム、酸化
チタンなどが用いられる。これらは二種以上併用するこ
とができる。なかでも溶融シリカは線膨脹係数を低下さ
せる効果が大きく、低応力化に有効なため好ましく用い
られる。 【0025】粉末状充填剤(C)の粒子形状に関しても
特に制限はなく、通常は破砕状のもの、球状のものまた
は破砕状と球状を併用したものを用いることができる。 【0026】粉末状充填剤(C)の粒度分布に関して
も、粒子径が上記の範囲内にあるかぎり特に制限はな
い。異なる粒度分布を持った粉末状充填剤を二種以上併
用することもできる。 【0027】本発明の樹脂組成物において、線膨脹係数
が大きくなるのを防ぐ一方、成形性を十分にする観点か
ら、粉末状充填剤(C)の配合量は通常、50〜85重
量%、好ましくは65〜80重量%である。 【0028】また、本発明において、エポキシ樹脂と硬
化剤の硬化反応を促進するために硬化促進剤を用いても
よい。硬化促進剤としては硬化反応を促進させるものな
らば特に制限されない。例えば、2−メチルイミダゾー
ル、2−フェニルイミダゾールなどのイミダゾール類、
ベンジルジメチルアミン、1,8−ジアザビシクロ
(5,4,0)ウンデセン−7(DBUと略す)などの
アミン類、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホ
スホニウムテトラフェニルボレートなどの有機リン化合
物などが好ましく用いられる。 【0029】本発明の樹脂組成物は必要に応じてシリコ
ーンゴム、オレフィン系ゴム、ジエン系ゴムなどのゴム
状重合体、ワックスなどの離型剤、カーボンブラックな
どの着色剤、カップリング剤、臭素化化合物、酸化アン
チモンなどの難燃剤、シリコーンオイルなどを用いるこ
とができる。 【0030】本発明の樹脂組成物は溶融混練することが
好ましく、溶融混練は公知の方法を用いることができ
る。例えばバンバリーミキサー、ニーダー、ロール、一
軸もしくは二軸の押出機、コニーダーなどを用い、溶融
混練することができる。 【0031】 【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。 【0032】実施例中、部数、%はそれぞれ重量部と重
量%を意味する。 【0033】実施例1〜6、比較例1〜12 表1と表2に示した原料を表3に示した配合処方の組成
比で配合し、ミキサーによりドライブレンドした。これ
をロール表面温度90℃のミキシングロールを用いて5
分間加熱混練したのち、冷却、粉砕して樹脂組成物を製
造した。ここで、硬化剤は実施例3〜6については表1
の水酸基当量107のフェノールノボラック樹脂に代えて
下記式(IV)で表わされる水酸基当量175のフェノールア
ラルキル樹脂を用いた。 【0034】 【化6】(ただし、nは0以上の整数を示す。) これらの樹脂組成物と模擬素子を搭載した42アロイ製
リードフレームを用い、低圧トランスファー成形機によ
り180℃×2分の条件で44ピンフラットパッケージ
を成形し、次いで180℃で5時間後硬化した。 【0035】得られたフラットパッケージ硬化物を85
℃、85%RHで72時間加湿処理したのち、260℃
のハンダ浴に10秒間浸漬し、浸漬後のクラック発生状
況を調べた。 【0036】結果を表3に示す。 【0037】表3においてハンダ耐熱性をパッケージ2
0個中クラックが発生しなかったパッケージの個数で表
示した。 【0038】 【表1】【表2】【表3】【表4】表3の結果から次のことが明らかである。 【0039】実施例1〜6にみられるようにエポキシ樹
脂(a)を含有し、かつ粉末状充填剤が粒子径14μ以
下の微粉末粒子を50重量%以上含有するとともに粒子
径12μ以下の微粉末粒子を50重量%未満含有する本
発明の樹脂組成物で封止したパッケージは加湿処理後2
60℃のハンダ浴に浸漬してもほとんどクラックが発生
せず、ハンダ耐熱性が優れている。 【0040】一方、比較例1〜5にみられるように粉末
状充填剤が14μ以下の微粉末粒子を50重量%以上含
有するとともに粒子径12μ以下の微粉末粒子を50重
量%未満含有したとしても、エポキシ樹脂(a)を含有
しない樹脂組成物はほとんどのパッケージにクラックが
発生する。 【0041】比較例6〜8にみられるようにエポキシ樹
脂(a)を含有しても、粉末状充填剤が粒子径14μ以
下の微粉末粒子を50重量%未満しか含有しない樹脂組
成物はほとんどのパッケージにクラックが発生する。 【0042】比較例9にみられるようにエポキシ樹脂
(a)を含有せず、粉末状充填剤が粒子径14μ以下の
微粉末粒子を50重量%未満しか含有しない樹脂組成物
はすべてのパッケージにクラックが発生する。 【0043】 【発明の効果】本発明の樹脂組成物はハンダ耐熱性がき
わめて優れており、本発明の樹脂組成物で封止すること
により半導体装置を実装する際のハンダ付け工程におけ
る樹脂クラックの発生を防止することができる。この特
徴をいかして、表面実装用の半導体装置の封止など種々
の用途への応用が期待される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01L 23/31 (56)参考文献 特開 昭61−259552(JP,A) 「日経ニューマテリアル 1987 3− 30」(昭和62年3月30日発行)第31〜32 頁 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 63/00 - 63/10 C08K 3/00 - 3/38 C08G 59/20 - 59/38 C08G 59/62 H01L 23/29

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)および粉末状充
    填剤(C)を主成分とする半導体封止用樹脂組成物にお
    いて前記エポキシ樹脂(A)が下記式(I) 【化1】 (ただし、R1 〜R8 は水素原子、C1 〜C4 の低級ア
    ルキル基またはハロゲン原子を示す。)で表わされる骨
    格を有するエポキシ樹脂(a)を必須成分として含有
    し、かつ前記粉末状充填剤(C)が粒子径14μ以下の
    微粉末粒子を50重量%以上含有するとともに粒子径1
    2μ以下の微粉末粒子を50重量%未満含有することを
    特徴とする半導体封止用樹脂組成物。 2.硬化剤(B)がフェノール系化合物であることを特
    徴とする請求項1記載の半導体封止用樹脂組成物。
JP10023274A 1998-02-04 1998-02-04 半導体封止用樹脂組成物 Expired - Lifetime JP2985864B2 (ja)

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「日経ニューマテリアル 1987 3−30」(昭和62年3月30日発行)第31〜32頁

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