JP2985337B2 - 半導体装置 - Google Patents

半導体装置

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    • H01L29/12Semiconductor bodies ; Multistep manufacturing processes therefor characterised by the materials of which they are formed
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はダイヤモンド半導体を用
いたダイオ−ド、トランジスタ、などのデバイスに関す
るものである。とくにキャリヤ濃度の温度変化が少ない
ダイヤモンド半導体に関する。
【0002】
【従来の技術】ダイヤモンド半導体は高温下、放射線下
などの環境下で安定に動作するデバイスとして或は高出
力での動作にも耐え得るデバイスとしてその応用が注目
されている。ダイヤモンド半導体が高温下でも動作可能
な理由として、バンドギャップが5.5eVと大きいこ
とが挙げられている。このことは、半導体のキャリアが
制御されなくなる温度範囲(真性領域)が1400℃以
下には存在しないことを示している。不純物のないダイ
ヤモンドは絶縁体であるが、適当な不純物を加えるとn
型またはp型の半導体になる。たとえばp型にするため
にはAl、Bを、n型にするためにはN、P、S等の不
純物を添加する。
【0003】しかし、Al、B、N、P、Sなどをダイ
ヤモンドにド−ピングしても、これら不純物のド−ピン
グレベルが深くキャリアを飽和領域で用いることが困難
であった。この点はシリコンと比較すれば問題の所在が
明らかになろう。シリコンの場合、p型不純物はボロン
であるがこの不純物準位は価電子帯から0.045eV
にある。n型不純物はP、As、Sbであるがこれらの
準位は伝導帯端から0.045eV、0.049eV、
0.039eVでありバンド端の極近くに浅い不純物準
位を作る。これは室温のエネルギ−0.025eVと同
等であるから、これらの不純物がもたらした正孔、電子
はそれぞれ価電子帯、伝導帯に励起されていて、その数
が室温付近の温度ではあまり変化しない。このような温
度域を飽和領域と言っている。ところがド−ピングした
不純物の準位が深いと、これより励起されるのに大きな
エネルギ−が必要であるから温度によって励起されたキ
ャリヤ密度が大きく異なる。キャリヤ密度はexp(−
ΔE/kT)に比例するが、ΔEが不純物準位にほぼ該
当するので、不純物準位が深いと温度Tによるキャリヤ
密度変化が著しい。半導体の抵抗はキャリヤ密度と移動
度とに依存し移動度も温度によって変化するがここでは
キャリヤ濃度の変化を問題にする。
【0004】半導体が飽和領域で用いられていないと温
度によってデバイスの特性が大きく変化する。温度変化
によってキャリヤ密度、抵抗率等が大きく変化するから
である。そして所望の特性を持った素子として機能する
温度範囲が狭くなる等問題が生じて来る。例えばボロン
をダイヤモンドにド−ピングした場合キャリアの活性化
エネルギ−は0.2〜0.4eVであり、室温から60
0℃の範囲でキャリアの濃度は2〜3桁変化する。ここ
で活性化エネルギ−というのは分布関数のexp(−Δ
E/kT)の中のΔEのエネルギ−のことである。これ
は、補償効果がない場合バンド端から不純物準位までの
エネルギ−の半分であり、補償効果がある場合はバンド
端から不純物準位までのエネルギ−と同じ値である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ダイヤモンドにおける
半導体としての利用価値を高めるためには動作温度領域
でキャリヤ密度が変化しないようにしなければならな
い。そうするためには不純物を大量にド−ピングして不
純物レベルを縮退させるという方法が考えられる。しか
しそうするとキャリヤ密度が高くなり過ぎ金属と同じよ
うになる。すると半導体に必要な性質、例えば電界によ
ってキャリヤの空乏層ができ電流を制御できるとか、p
n接合ができ整流性があるとかいった性質が失われてし
まう。こうなるのを避けて、キャリヤ密度は所望の範囲
にありながらしかもキャリヤ密度の温度による変化を少
なくしたダイヤモンド半導体を提供することが本発明の
目的である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体装置は、
ド−ピングレベルが深く室温では飽和領域にないド−パ
ントを有しているダイヤモンド半導体であって、該ド−
パントを多量にド−ピングした2次元的な広がりを持つ
高ド−プ半導体層と、ノンド−プ層あるいは低ド−プ層
とを交互に積層し全体として所望のキャリヤ濃度にして
あることを特徴とする。或は、ド−ピングレベルが深く
室温では飽和領域にないド−パントを有しているダイヤ
モンド半導体であって、該ド−パントを多量にド−ピン
グした多数の平行な高ド−プ半導体線膜と、この高ド−
プ半導体線膜を1次元的に閉じ込めるノンド−プ層ある
いは低ド−プ層とよりなり全体として所望のキャリヤ濃
度にしてあることを特徴とする。つまり高ド−プ2次元
層あるいは高ド−プ1次元線を低ド−プ層、ノンド−プ
層で囲んだ構造である。前者を2次元構造、後者を1次
元構造と呼ぶ。例えば2次元構造についていうと、アク
セプターのレベルが縮腿するほどに高濃度にド−ピング
したp+ 層とノンドープ層とを交互に多数層積層したp
+ −i−p+ −i−p+ −i・・多層構造を用いる。1
次元構造についていえば高濃度にド−ピングしたp+
膜を多数平行に設けこれを低ド−プ、ノンド−プ層で囲
む。つまりp+ 層、線膜をノンドープ層によって2次元
的、1次元的に閉じ込めることにより、キャリヤ密度の
温度変化を少なくし、且つそのド−ピング濃度を適当な
範囲に制御しようと言うものである。ド−ピング濃度は
キャリヤ密度にほぼ比例するから、所望の範囲のキャリ
ヤ密度の半導体をうることができる。これはn型のダイ
ヤモンドでも同様である。高密度にn型不純物をド−ピ
ングしたn+ 層とノンド−プ層とを交互に多数層積層
し、n+ −i−n+ −i−・・というような積層構造に
する。こうすると平均のキャリヤ密度は、それぞれの層
でのキャリヤ密度を層の厚みを掛けて平均したものであ
るから、層の厚みの比率を変えることによって任意の平
均キャリヤ密度を実現できる。
【0007】単にp型不純物を大量にド−ピングしたp
+ 層のみの膜ならフェルミレベルは価電子帯に近づき、
あるいは価電子帯中に入り込む。或は単にn型不純物を
大量にド−ピングしたn+ 層のみの膜ならフェルミレベ
ルは伝導帯に近付き或は伝導帯に入り込む。それぞれ自
由正孔、自由電子が大量に存在することになって金属的
な電気伝導を示すようになる。このような膜の電気伝導
は温度依存性がほとんどないようにすることができる。
しかしこうすると、ダイオ−ドやトランジスタとするた
めの最適なド−ピング濃度より遥かに高い。そこで本発
明においては、、フェルミレベルを伝導帯に近づけた状
態でド−ピング濃度を下げるために、厚いノンドープ層
によってド−ピング層をはさみド−ピング層を2次元的
に閉じ込めた構造とする。ド−ピング層の厚みをd、ノ
ンド−プ層の厚みをDとし、ド−ピング層の正孔濃度を
+ とすると、平均の正孔濃度pは、p=p+ d/(d
+D)となる。
【0008】
【作用】ダイヤモンドはバンドギャップが5.5eVと
大きいため、真性領域に相当する温度領域は、ダイヤモ
ンドが熱的に安定な1400℃以下には存在しない。ま
た化学的にも非常に安定である。又、ダイヤモンドの熱
伝導率は20(W/cm・K)とSiの10倍以上であ
り、放熱性にも優れている。さらに、ダイヤモンドは、
キャリアの移動度が大きい(電子移動度:2000(c
2 /V・秒)、ホール移動度:2100(cm2 /V
・秒)、300K)、誘電率が小さい(K=5.5)、
破壊電界が大きい(E=5×106 V/cm)などの特
徴を有しており、高周波で大電力用のデバイスを作製す
ることができる。
【0009】さらに、ダイヤモンドは不純物を含まない
と絶縁体であるという特徴も有しているため、素子を作
製する際、基板として用いるダイヤモンドと動作層のダ
イヤモンドとを電気的に完全に分離できるという利点が
ある。本発明は、高温での動作や高出力・高周波での動
作の可能な耐環境性にも優れたダイヤモンドデバイスを
実現するために、室温から600℃の範囲で飽和領域を
もつ半導体ダイヤモンドを形成することである。本発明
においては、不純物を大量にド−プしたp+ またn+
をノンド−プ層で挟んだもので、平均のキャリヤ密度は
半導体に適当な範囲でありながら、ド−ピング層ではキ
ャリヤ密度が高く、温度によるキャリヤ密度の変化が少
ない。このため全体としてキャリヤ密度の温度による変
化が少ないものとなる。適用される半導体性ダイヤモン
ドは、天然あるいは人工(高圧合成)のバルク単結晶で
あっても、気相合成による薄膜多結晶あるいは、薄膜単
結晶(エピタキシャル膜)であってもその効果は変わら
ない。
【0010】気相合成ダイヤモンド膜において、形成す
る方法としては、(1)直流または交流電界により放電
を起こし、原料ガスを活性化する方法、(2)熱電子放
射材を加熱し、原料ガスを活性化する方法、(3)ダイ
ヤモンドを成長させる表面をイオンで衝撃する方法、
(4)レーザーや紫外線などの光で原料ガスを励起する
方法、及び(5)原料ガスを燃焼させる方法等各種の方
法があるが、いずれの方法も本発明に用いることがで
き、発明の効果は変わらない。
【0011】
【実施例】[実施例1]人工の単結晶ダイヤモンド基板
(Ib)の(100)面上にマイクロ波プラズマCVD
法によって次のような条件でノンド−プ層とp+ 層を交
互に成膜を行った。 (1)ノンドープ層の成膜条件は以下のとおりである。 ガス流量 H2 流量 100sccm CH4 流量 6sccm 圧力 40Torr パワー 200W 基板温度 600℃ (2)p+ 層(ボロンド−プ層)の成膜条件は次のとおりである。 ガス流量 H2 流量 100sccm CH4 流量 6sccm B26 流量 1sccm (200ppm) 圧力 40Torr パワー 200W 基板温度 600℃
【0012】単結晶ダイヤモンドの(100)面にノン
ドープ層と高濃度層とを交互に積層するのであるが、膜
の厚さを異ならせた以下の2種類の試料を作った。 試料(a)ノンドープ層5000Å、p+ 層50Å
5サイクル成長 試料(b)ノンドープ層500Å、p+ 層50Å
10サイクル成長 どちらも電子線回折により(100)方向にエピタキシ
ャル成長していることを確認できた。この試料のホール
効果を測定した結果を図1に示す。横軸は絶対温度の逆
数に1000を乗じた1000/Tである。縦軸はキャ
リヤ密度である(cm-3)。この結果から温度によって
キャリヤ密度が殆ど変わらないということが分かる。つ
まり600℃〜室温の範囲で温度に依存しない飽和領域
の存在が確認された。また、(a)と(b)でキャリア
濃度の異なった試料を作製することができた。(a)は
+ を50Å、ノンドープ層を5000Åずつ積層した
ものであり、(b)はp+ 層を50Å、ノンドープ層を
500Å積層したものであるから、平均のキャリヤ密度
は(a)が(b)の1/10になるはずであるが実際の
測定によってもそのようになっていることが分かる。
【0013】[実施例2]人工ダイヤモンド(高圧合
成、Ib、ボロン添加)を基板に用いて、実施例1と同
じ条件で試料(a)、(b)を作製した。試料(a)、
(b)の縦方向の電気抵抗の温度依存性を測定した。図
2にその結果を示す。横軸は絶対温度の逆数に1000
を乗じたものであり、縦軸は比抵抗(Ωcm)である。
この結果から比抵抗の温度依存性の小さいことが分か
る。実施例1と同様600℃〜室温の範囲で飽和領域の
存在を確認できた。さらに図1と図2の結果を比較して
キャリヤの移動度(キャリヤ密度と比抵抗の積の逆数に
比例)がキャリヤ密度に殆どよらないということがわか
る。通常半導体にキャリヤを高密度にド−ピングすると
不純物散乱が増えて移動度が減少するものであるがこれ
らの結果から移動度が高密度ド−ピングにも拘らず減少
していない。
【0014】[実施例3]人工の単結晶ダイヤモンド基
板(Ib)の(100)面上にマイクロ波プラズマCV
D法によって次のような条件でノンド−プ層、p+ 層の
成長、p層のエッチングなどを交互に行い低ド−プ層の
中に、高ド−プ線膜を多数平行に形成した。 (1)ノンドープ層の成膜条件は以下のとおりである。 ガス流量 H2 流量 100sccm CH4 流量 6sccm 圧力 40Torr パワー 200W 基板温度 600℃ (2)p+ 層(ボロンド−プ層)の成膜条件は次のとおりである。 ガス流量 H2 流量 100sccm CH4 流量 6sccm B26 流量(200ppm) 2sccm 圧力 40Torr パワー 200W 基板温度 600℃
【0015】試料の作製方法を図3によって順に説明す
る。 (a)単結晶ダイヤモンド基板の(100)面にノンド
ープ膜を1000Å形成する。 (b)その上に高濃度ボロン膜を50Å程成長させる。 (c)さらにアルミを蒸着し、0.5μm 幅、4.5μ
m 間隔でアルミをパタ−ニングした。平行なアルミマス
クができたわけである。 (d)アルミマスクによって覆われていない部分を70
Å程エッチングする。その後アルミマスクを溶解除去す
る。 (e)さらにその上にノンド−プ層を1000Å成長さ
せた。 (f)この後、(b)〜(e)を3回繰り返した。多数
の平行な高濃度ボロンド−プ線膜が4層分形成できる。
【0016】こうして作られた試料は電子線回折により
(100)方向にエピタキシャル成長していることが確
認された。この試料のホール効果を測定した結果を図4
に示す。横軸は絶対温度の逆数に1000を乗じた10
00/Tである。縦軸はキャリヤ密度である(c
-3)。この結果から温度によってこの試料のキャリヤ
密度が殆ど変わらないということが分かる。600℃〜
室温の範囲で温度に依存しない飽和領域の存在が確認さ
れる。また、この方法で実施例1の(a)とキャリヤ濃
度の異なった試料を作製することができた。
【0017】
【発明の効果】本発明の半導体装置は室温〜600℃の
範囲でキャリア密度にほとんど温度依存性がない。しか
もキャリアの密度を自在に制御することができる。ま
た、単独の膜では高濃度のド−ピングによってキャリア
の移動度が減少する問題点があったが、本発明の構造に
よっては顕著な減少がみられないという利点がある。従
って本発明の半導体装置は高温までの温度範囲で安定し
たダイオ−ドやトランジスタ特性を示すデバイスを実現
する上に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体装置の試料(a)(ノンドープ
5000Å、p+ 50Å、5サイクル積層)と試料
(b)(ノンドープ500Å、p+ 50Å、10サイク
ル積層)についてホ−ル測定を行いキャリヤ密度の温度
依存性を求めた結果を示すグラフ。
【図2】本発明の半導体装置の試料(a)(ノンドープ
5000Å、p+ 50Å、5サイクル積層)と試料
(b)(ノンドープ500Å、p+ 50Å、10サイク
ル積層)について比抵抗の温度依存性を求めた結果を示
すグラフ。
【図3】本発明の実施例3に係る高濃度ド−プ線膜を有
するダイヤモンド半導体試料を作製するための工程を説
明する図。
【図4】本発明の実施例3に係る試料のキャリヤ濃度の
温度依存性を測定した結果を示すグラフ。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ド−ピングレベルが深く室温では飽和領
    域にないド−パントを有しているダイヤモンド半導体で
    あって、該ド−パントを多量にド−ピングした2次元的
    な広がりを持つ高ド−プ半導体層と、ノンド−プ層ある
    いは低ド−プ層とを交互に積層し全体として所望のキャ
    リヤ濃度にしてあることを特徴とする半導体装置。
  2. 【請求項2】 ド−ピングレベルが深く室温では飽和領
    域にないド−パントを有しているダイヤモンド半導体で
    あって、該ド−パントを多量にド−ピングした多数の平
    行な高ド−プ半導体線膜と、この高ド−プ半導体線膜を
    1次元的に閉じ込めるノンド−プ層あるいは低ド−プ層
    とよりなり全体として所望のキャリヤ濃度にしてあるこ
    とを特徴とする半導体装置。
  3. 【請求項3】 高ド−プ半導体層、高ド−プ半導体線膜
    のド−パント濃度が1019cm-3以上であり、ノド−プ
    層あるいは低ド−プ層のド−パント濃度が1017cm-3
    以下であることを特徴とする請求項1或は2に記載の半
    導体装置。
  4. 【請求項4】 前記ド−ピングレベルが0.1eV以上
    であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
    の半導体装置。
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