JP2982934B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2982934B2 JP5221401A JP22140193A JP2982934B2 JP 2982934 B2 JP2982934 B2 JP 2982934B2 JP 5221401 A JP5221401 A JP 5221401A JP 22140193 A JP22140193 A JP 22140193A JP 2982934 B2 JP2982934 B2 JP 2982934B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はオーディオ機器、ビデオ
機器及びコンピューターなどに用いられる磁気テープ、
磁気シート、磁気ディスクなどの塗布型磁気記録媒体に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気記録の高密度化に伴なって、磁気ヘ
ッドと磁性層とのスペーシングロスによる再生出力の低
下や磁性層の凹凸に由来するノイズの発生を避けるた
め、磁性層の表面はより平滑になってきている。ところ
が、磁性層表面が平滑になると、磁性層と記録再生装置
内の各部品との実質接触面積が増大して、摩擦が高くな
ったり張り付きを起こしたりするようになり、その結
果、磁性層の摩耗による損傷、あるいは剥落が発生しや
すくなって、ドロップアウトの増加や耐久性の低下がみ
られるようになってきた。
【0003】更に、磁気記録媒体の使用環境はますます
多様になってきており、例えば低温低湿あるいは高温高
湿のような厳しい使用条件でも高い耐久性の保証できる
磁気記録媒体が求められている。このような問題を改良
するために、従来から高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル
などの潤滑剤を磁性層中に添加したり、磁性層表面に塗
布したりして、磁性層表面の摩擦を下げ、耐久性や耐摩
耗性の向上を図ろうという試みがなされている。
【0004】ところが、従来知られている潤滑剤の使用
方法では、高い信頼性の要求される磁気記録媒体を得る
上で、耐久性や耐摩耗性の改善が必ずしも充分とは言い
難かった。他方、耐久性を向上させるための別の手段と
して、磁性層に研磨剤と呼ばれる硬質微粒子を添加する
方法も知られている。しかしながら、相当量の研磨剤を
添加することにより確かに耐久性は向上するものの、磁
性層の表面性が劣化して電磁変換特性を損なったり磁気
ヘッドを傷つける様になるため、その添加量には限度が
あり、他の特性を犠牲にせずに耐久性を充分に改善する
ことは困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐久性に優
れ、磁性層が傷つきにくい磁気記録媒体を提供すること
を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来の磁
気記録媒体の欠点を解決すべく鋭意検討した結果、磁性
層の構造及び機械的性質を特定することで、上記目的を
達成できることを見い出し、本発明に到達した。即ち本
発明の要旨は、非磁性支持体上に少なくとも強磁性粉
末、バインダー樹脂及び潤滑剤を含む磁性層を有する磁
気記録媒体において、磁性層の空孔率が5〜20vol
%であり、かつ磁性層のビッカース硬度が40〜80で
あることを特徴とする円盤状塗布型磁気ディスク、に存
する。
【0007】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明において、磁性層の空孔率は磁性層の体積飽和磁化
量Bm(G)より評価する。すなわち、磁性塗膜を構成
する原材料である磁性粉末、バインダー樹脂及びその他
の添加剤すべての体積の合計を100(%)としたとき
の磁性粉末の体積分率をx(%)とすると、磁性粉末の
体積飽和磁化量をbm(G)とした場合、もし塗膜に空
孔が存在しないならばBm=(bm×x)/100とな
るはずであるが、実際には磁性塗膜中の空孔のためにB
mは上記の値より小さくなる。
【0008】そこで、Bm=(bm×x)/(100+
y)となる様なyを計算で求め、(y×100)/(1
00+y)(%)を磁性層の空孔率とする。また、本発
明において磁性層の硬度は、ダイアモンド三角錐(対稜
角80度)の先端を有する圧子を磁性層に押し込み速度
10nm/秒で押し込み、圧子にかかる荷重がW(g
f)になった時点での押し込み深さd(μm)から W=aHd2 /2 (aは圧子形状により決まる定
数) 従って、押し込み深さの2乗に対する押し込み荷重Wの
傾きからビッカース硬度Hを求める。このときの押し込
み深さは磁性層膜厚の70〜90%となるようにする。
これより深く圧子を押し込むと、非磁性支持体の影響を
受けて硬度が高めに評価されてしまい、磁性層全体の硬
度を代表する値とならない。
【0009】本発明者らは、磁性層の空孔率と磁性層の
硬度を様々に検討した結果、それらが特定の組合せのと
きに、特に磁気記録媒体の耐久性が顕著に向上する事を
見いだした。本発明において、磁性層の空孔率は5〜2
0vol%であるが、より好ましくは8〜15vol%
である。又、磁性層のビッカース硬度は40〜80であ
り、より好ましくは60〜80である。
【0010】塗布型磁気記録媒体の磁性層では、その空
孔の中に潤滑剤が保持されている。磁性層の空孔率が大
きくなりすぎると、潤滑剤の大部分が磁性塗膜中に吸収
され、磁性層表面に存在する潤滑剤が不足するために塗
膜の耐摩耗性が低下し、磁気ヘッドなどと摺接した時
に、粉落ち、磁性層表面の研磨、削れなどの塗膜損傷が
発生する。
【0011】一方、磁性層の空孔率が小さくなりすぎる
と、潤滑剤が磁性層表面上に過剰に存在する事になり、
潤滑剤の表面張力によりヘッドとメディアとが張り付
き、ヘッド−メディア間でスティッキングが生じやすく
なる。この場合も磁性層に過大な摩擦力がかかることに
なり、塗膜に損傷を生ずるので好ましくない。磁性層の
硬度が高い場合には、磁気ヘッドなど記録再生装置内の
各部品と摺動した時にスクラッチ傷が発生しやすく好ま
しくない。この理由は必ずしも明らかではないが、磁性
層の弾性が不足して、磁気ヘッドなどにより磁性層表面
に加えられるずり応力を分散することができず、局所的
に歪が集中するため、磁性層の剥落が生じやすいものと
推測している。
【0012】磁性層の硬度が低い場合には、磁気ヘッド
などにより磁性層が研磨され、磁性層の平滑化が起こ
り、磁気ヘッドなどとの実質接触面積の増大に伴なう摩
擦の上昇、さらには磁性層の破壊が生ずるので好ましく
ない。さらに本発明では、磁性層の表層(表面から深さ
が0.1μmまでの範囲)の硬度を磁性層全体の平均よ
りも10%以上高くすることが好ましい。
【0013】磁性層表層の硬度は、上述の磁性層の硬度
と同じ条件で圧子を押し込み、深さ0.1μmに達した
時点での押し込み荷重W’(gf)から W’=aH’×(0.1)2 /2(aは圧子形状により
決まる定数) に従って、ビッカース硬度H’として求める。磁性層表
層の硬度を高くすることによって、磁気ヘッドや記録再
生装置内の各部品との摺動によるスクラッチ傷の発生が
抑えられる。又、磁性層内部が表層より硬度が低く弾性
的であるため、磁気ヘッドなどからのずり応力が分散さ
れ、上述したような、磁性層全体の硬度を上げた場合に
起こる不具合は生じない。
【0014】本発明に用いられる強磁性粉末としては、
強磁性酸化鉄粉末、強磁性金属粉末のいずれもが使用可
能である。強磁性酸化鉄粉末としては、強磁性γ−酸化
鉄粉末のみならず、強磁性酸化鉄であれば2価の鉄/3
価の鉄の比に特に制限されることはなく、又、他にCo
ドープの強磁性γ−酸化鉄粉末、バリウムフェライト粉
末、ストロンチウムフェライト粉末などが使用できる。
強磁性金属粉末としては、金属鉄粉のみならず、強磁性
合金粉末、例えばFe−Co、Fe−Ni、Co−N
i、Fe−Co−Niなどがあげられる。これら強磁性
合金は、他の元素、Al、Si、S、Sc、Ti、V、
Cr、Mn、Cu、Zn、Y、Mo、Rh、Pd、A
g、Sn、Sb、B、Ba、Ta、W、Re、Au、H
g、Pb、P、La、Ce、Pr、Nd、Te、Biな
どを含んでいてもよい。これらの強磁性粉末は、既知の
方法によって製造される。
【0015】強磁性粉末の形状、サイズは特に制限され
ないが、形状としては針状、板状が電磁変換特性の上か
らは好ましい。サイズとしては、高密度記録を達成する
ために、酸化鉄粉末の場合は1次粒子径で0.05μm
以下、BETで30m2 /g以上が好ましく、金属粉末
の場合は1次粒子径で0.1μm以下、BETで40m
2 /g以上が好ましいが、1次粒子径がそれより大きく
てもよい。強磁性粉末のpH、表面処理は特に制限なく
用いることができる。
【0016】強磁性粉末は、磁性層中、通常50〜90
wt%、好ましくは55〜85wt%となるように使用
される。本発明に用いられるバインダー樹脂としては特
に制限はなく、従来、磁気記録媒体に用いられてきた熱
可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂、および
これらの混合物などで、非磁性支持体との接着性や耐摩
耗性に優れるものならば適宜使用できる。例えばポリウ
レタン樹脂、ポリエステル樹脂、繊維素系樹脂、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル系共重合体、塩化ビニル−アクリル系
共重合体、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂などが用いら
れ、これらの樹脂を単独で、あるいは数種類組み合わせ
て用いることもできる。
【0017】バインダー樹脂には、例えば−COOH、
−SO3 M、−OSO3 M、−PO 32 、−OPO3
2 、−N+123 - などの極性官能基を導入
して、磁性粉末やその他の添加粒子の分散性をあげるこ
ともできる(ここでMは水素イオン、アルカリ金属イオ
ン、または置換もしくは未置換のアンモニウムイオンで
ある。R1 、R2 、R3 は水素または脂肪族炭化水素基
で、互いに同じでも異なっていてもよい。Xはハロゲン
を表わす)。バインダー樹脂は磁性層中、通常2〜50
wt%、好ましくは5〜35wt%となるように使用さ
れる。
【0018】さらにイソシアネート基を複数有する低分
子ポリイソシアネート化合物を含有させることにより磁
性層内に三次元網目構造を形成させ、機械的強度を向上
させることができる。低分子ポリイソシアネート化合物
としては、トリレンジイソシアネートのトリメチロール
プロパンアダクト体などが挙げられる。低分子ポリイソ
シアネート化合物は、バインダー樹脂100重量部に対
して5〜100重量部使用するのが好ましい。
【0019】本発明に用いられる潤滑剤としては、例え
ば飽和または不飽和の脂肪酸およびその塩、脂肪酸アミ
ド、脂肪酸エステル、高級脂肪族アルコール、高級脂肪
族アミン、パラフィン類、変性または未変性のシリコー
ンオイル、動植物油、鉱油、ペルフルオロポリエーテ
ル、フルオロカーボンなどがあげられる。使用量は、磁
性層中に添加する場合、通常、強磁性粉末100重量部
に対して3〜10重量部が適当である。磁性層表面にト
ップコ―トする場合は、20〜100mg/m2が適当
である。
【0020】また、磁性層を形成する磁性塗料には、必
要に応じて研磨剤、分散剤、帯電防止剤等の公知の添加
剤を使用することができる。研磨剤としては、Al
23、SiO2、SnO2、TiO2、Cr23、α−F
23 などの硬質微粒子があげられる。耐摩耗性や潤
滑性に優れたグラファイト、MoS2 、サーマルカーボ
ンなどの無機微粉末、シリコーン樹脂、ポリエチレン、
ポリテトラフルオロエチレン、尿素樹脂などの樹脂微粉
末なども使用可能である。これらは、電磁変換特性に悪
影響を与えないように、粒径が0.05〜0.5μmの
微細なものが好ましい。使用量は、強磁性粉末100重
量部に対して3〜10重量部が適当である。
【0021】分散剤としては、脂肪酸およびその塩、脂
肪酸アミド、脂肪酸エステル、高級アルコール、脂肪族
アミン、ポリアルキレンオキシド、アルキルリン酸エス
テル、糖類、レシチンなどがあげられる。分散剤の使用
量は、通常、強磁性粉末100重量部に対して、0.1
〜5重量部である。帯電防止剤としては、カーボンブラ
ック、SnO2 、ITO、金属粉末などの導電性微粉
末、アルキレンオキシド系などのノニオン系界面活性
剤、ホスホニウム系、またはスルホニウム系などのカチ
オン系界面活性剤、カルボン酸系、リン酸系、硫酸エス
テル系、またはリン酸エステル系などのアニオン系界面
活性剤、アミノ酸系、またはアミノスルホン酸系などの
両性界面活性剤などがあげられる。帯電防止剤の使用量
は、通常、強磁性粉末100重量部に対して、0.1〜
10重量部の範囲である。
【0022】なお、ここで例としてあげた潤滑剤、分散
剤、帯電防止剤などの添加剤は、上述した作用効果のみ
を有するものと限定して例示したものではなく、実際に
は、例えば潤滑剤が分散剤として作用することもありう
る。従って、上記作用により例示した化合物の作用が、
上記作用に限定されないことは言うまでもなく、複数の
効果を合わせ持つ添加剤を用いるときには、その効果を
考慮した上で使用量が決定される。
【0023】次に、本発明の磁気記録媒体を製造する方
法について述べる。強磁性粉末、バインダー樹脂及び潤
滑剤、必要に応じて他の添加剤などを溶剤と混合、混
練、分散して磁性塗料を調製する。溶剤としては、従
来、磁性塗料に使われてきたものを、特に制限なく用い
ることができる。混合、混練、分散する方法、そのため
に使用する装置などに関しても、特に限定されない。ま
た、各成分の添加順序も任意に設定できる。
【0024】こうして調製された磁性塗料は、適当なフ
ィルターで濾過した後、非磁性支持体上に塗布される。
磁性層は、公知の技術に従って、単層または多層に形成
される。本発明でいう磁性層の硬度とは、磁性層全体の
機械的特性を代表する値であるから、多層の場合でも全
磁性層の厚みの70〜90%まで圧子を押し込んで測定
する。
【0025】磁性層の厚さとしては、乾燥後の厚さで、
通常、0.1〜2μm、好ましくは、0.2〜1.5μ
mの範囲となる様に塗布される。非磁性支持体の材質と
しては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−
2,6−ナフタレートなどのポリエステル類、ポリエチ
レンなどのポリオレフィン類、セルローストリアセテー
トなどのセルロース誘導体、ポリカーボネート、ポリイ
ミド、ポリアミドイミドなどの樹脂、さらにはアルミ箔
などの金属箔などを用いることができる。
【0026】支持体の形態としては、テープ、ディス
ク、フィルム、シート、カード、ドラムなど、いずれも
適用可能である。磁性塗料の塗布は支持体上に直接行な
うこともできるが、接着層、導電層などの中間層を介し
て塗布することもできる。非磁性支持体上に塗布された
磁性層は、テープ状の磁気記録媒体として用いられる場
合には、磁性層中の強磁性粉末を配向させるため磁場配
向処理を行なってから乾燥される。一方、ディスク状の
磁気記録媒体として用いられる場合には、磁気特性の方
向依存性を取り除くために、磁場による無配向処理を行
なってから乾燥される。この後、必要に応じてカレンダ
ーによる表面平滑化処理を行ない、さらに必要に応じて
熱硬化処理、放射線硬化処理などを行なった後、適当な
形状に裁断する。
【0027】磁性層の表面粗さは、高密度記録媒体を指
向する本発明の主旨からして、Raで0.01μm以下
の平滑なものが望ましい。磁性層の空孔率をコントロー
ルするには、磁性粉末とバインダー樹脂との親和性を高
め、磁性粉末の分散性を向上させることが重要である。
即ち、スルホン酸基やカルボキシル基、アミノ基などの
極性官能基を導入したバインダー樹脂を使用することに
より磁性層の充填率を向上し、磁性層の空孔率を低減す
ることができる。また磁性層の充填性を機械的に変化さ
せて空孔率をコントロールすることもできる。即ち、カ
レンダー処理時の温度、圧力を変えることにより磁性層
の空孔率をコントロールすることができる。
【0028】また、磁性層の硬度をコントロールするに
は、例えば使用するバインダー樹脂の弾性率を変える、
塗膜を構成するピグメントとバインダー樹脂の構成比率
を変える、極性官能基を導入したバインダー樹脂の使用
量を加減することで磁性粉の分散程度を変えるなどの方
法がいずれも可能である。また、カレンダー条件を調節
することによって磁性層の硬度を変えることもできる。
これらの方法は、同時に磁性層の空孔率も変えてしまう
ため、磁性層の形成には上記手法の周到な組合せが必要
とされる。
【0029】磁性層の表面硬度を高くする方法は、磁性
層を多層とし、その最上層の硬度を高くすること、磁性
層の上に硬質樹脂からなる保護層を設けることなどが考
えられるが、単層磁性層の場合でもカレンダー処理条
件、例えば従来の弾性ロールに代えて金属製のカレンダ
ーロールを用いることで、磁性層の表層をより圧密し、
硬度を高めることが可能である。
【0030】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はその要旨を越えない限り、これらにより
限定されるものではない。 実施例1〜4及び比較例1〜4
【0031】
【表1】 Coドープしたγ−酸化鉄粉末 100重量部 (保磁力 900Oe:比表面積 30m2 /g) 塩化ビニル系樹脂 12重量部 ウレタン系樹脂 12重量部 レシチン 1重量部 アルミナ微粒子(平均粒子径0.3μm) 5重量部 カーボンブラック(平均粒子径0.03μm) 8重量部 ブチルステアレート 5重量部 メチルエチルケトン 195重量部 シクロヘキサノン 195重量部
【0032】上記組成の磁性塗料を1mmΦのジルコニ
アビーズを用いてサンドグラインダーで分散調整した
後、ポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製、商品
名コロネートL)を5重量部加え、さらに均一に混合分
散した。この磁性塗料を2μmの平均孔径のフィルター
を通した後、厚さ75μmのポリエステルフィルム上
に、乾燥後の磁性層の厚さが1.5μmになるように塗
布した。
【0033】その後、カレンダー処理を行ない、円盤状
に打ち抜いてフロッピーディスクを作製して評価した。
耐久性は、ヘッド位置Tr.79にしてドライブ中で回
転させ、温度60℃、湿度30%の条件下において、明
瞭なヘッド摺動痕が発生した時点を終点として寿命を評
価した。
【0034】スクラッチ傷は、2枚のディスクを接触荷
重300gf/cm2で3回摺合わせた時にできる擦り
傷の様子を、目視で3段階評価した。上記組成の磁性塗
料中の塩化ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂及びカレンダ
−条件を表−1の通りにして、実施例1〜4及び比較例
1〜4のフロッピーディスクを作製し、評価した。評価
結果を表−2に示す。
【0035】
【表2】 但し、表−1中の記号は次の通りである。
【0036】
【表3】塩化ビニル系樹脂 A:極性官能基含有塩化ビニル−アクリル共重合体(日
本ゼオン社製 MR110) B:極性官能基含有塩化ビニル−アクリル共重合体(M
R110)と、極性官能基を持たない塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体(UCC社製 VAGH)との1:1混
合物 C:極性官能基を持たない塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合体(UCC社製、VAGH)ウレタン系樹脂 D:極性官能基含有ポリウレタン樹脂(東洋紡績社製
UR8200) E:極性官能基を持たないポリウレタン樹脂(日本ポリ
ウレタン社製 N−2304)カレンダ−条件 F:温度90℃、線圧230kg/cm G:温度70℃、線圧200kg/cm
【0037】
【表4】 スクラッチ傷の評価基準 ○:無傷、△:軽い擦り
傷、×:激しい擦り傷
【0038】
【発明の効果】本発明による磁気記録媒体は、耐久性な
らびに耐スクラッチ傷性に優れている。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に少なくとも強磁性粉
    末、バインダー樹脂及び潤滑剤を含む磁性層を有する磁
    気記録媒体において、磁性層の空孔率が5〜20vol
    %であり、かつ磁性層のビッカース硬度が40〜80
    あることを特徴とする円盤状塗布型磁気ディスク。
  2. 【請求項2】 磁性層のビッカース硬度が60〜80で
    ある請求項1に記載の塗布型磁気ディスク
  3. 【請求項3】 磁性層表面(表面から深さが0.1μm
    までの範囲)におけるビッカース硬度が磁性層のビッカ
    ース硬度より10%以上高い値である請求項1又は2に
    記載の塗布型磁気ディスク。
  4. 【請求項4】 潤滑剤の使用量が、強磁性粉末100重
    量部に対して3〜10重量部である請求項1乃至3のい
    ずれか1つに記載の塗布型磁気ディスク。
  5. 【請求項5】 磁性層が、さらに研磨剤を含む請求項1
    乃至4のいずれか1つに記載の塗布型磁気ディスク。
  6. 【請求項6】 研磨剤の粒径が0.05〜0.5μmで
    ある請求項5に記載の塗布型磁気ディスク。
  7. 【請求項7】 研磨剤の使用量が、強磁性粉末100重
    量部に対して3〜10重量部である請求項5又は6に記
    載の塗布型磁気ディスク。
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