JP2977890B2 - 静磁場を用いる鋼スラブの連続鋳造方法 - Google Patents

静磁場を用いる鋼スラブの連続鋳造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、連続鋳造によって得られた鋼スラブの内
部品質のより一層の改善を図ろうとするものである。
(従来の技術) 幅広の鋼板の製造に用いられるスラブの如き鋼片の連
続鋳造においては、溶鋼を収容したタンディッシュと連
鋳鋳型との間の溶鋼流路として、通常耐火物製の浸漬ノ
ズルが用いられている。この浸漬ノズルは、とくにアル
ミキルド鋼の連続鋳造時にノズル内面にアルミナが析出
し易いため、鋳造時間の経過に伴い溶鋼流路が狭めら
れ、所望の溶鋼流量を得ることができない問題があっ
た。このため通常は溶鋼の供給する間中、ノズル内にア
ルゴンなどの不活性ガスを供給してこれに対処していた
が、不活性ガスの供給速度が大きい場合には、該ガスが
鋳型内の浴上に浮上できずに凝固シェル第1図あるいは
第4図中のaにラップされるため、最終製品で欠陥とな
ることがあり、また不活性ガスを単に吹き込むだけで
は、ノズル目詰まりの回避効果は充分でなく、ノズル交
換の頻繁な取替えを必要とし、とくに、ノズルの先端部
に左右対象な吐出口を備えた2孔ノズル形式の浸漬ノズ
ルにおいては、吐出口の左右の非対称な閉塞により品質
低下を招く問題があった。
このような問題を解決する試みとしては、アルミナと
低融点の化合物を作るCaOを含有するノズルを用いる試
みもあるが、充分な効果は得られていない。
(発明が解決しようとする課題) 連続鋳造における上述したような問題を解消し内部品
質の良好な鋼スラブを得ることができる連続鋳造方法を
提案することがこの発明の目的である。
(課題を解決するための手段) 炭素濃度が500ppm以下になる、主にAlで脱酸した低炭
素アルミキルド鋼を用いて連続鋳造の際におけるノズル
詰まりについて種々調査、検討を重ねた結果、溶鋼中の
酸素濃度を30ppm以下、より好ましくは20ppm以下に調整
し、浸漬ノズルのノズル本体先端に溶鋼の吐出孔を設け
たストレートノズルを用いるとノズル詰まりがほとんど
ないことが、明らかとなった。また、このようなストレ
ートノズルにおいては、溶鋼の吐出流が鋳型の出側(下
方)に向かうため、溶鋼中の介在物やガス気泡などがク
レータの奥深くまで侵入するおそれがあるが、介在物等
の侵入防止のためには連鋳鋳型に、該鋳型の長辺壁に直
交する静磁場を作用させる静磁場発生装置を配置して下
方に向かう溶鋼流に制動を加えることが極めて有効であ
ることの知見を得た。
この発明は、上記の知見に立脚するものである。すな
わち、タンディッシュに収容した酸素含有量が30ppm以
下になる溶鋼を、一対の短辺壁と一対の長辺壁の組合せ
からなる連鋳鋳型内に、該タンディッシュと繋がる浸漬
ノズルを通し不活性ガスを吹き込むことなしに供給して
鋼スラブを連続鋳造するに当たり、上記連鋳鋳型に静磁
場発生器を配置するとともに上記浸漬ノズルとしてノズ
ル本体の先端を開放したストレートノズルを用意して、
この浸漬ノズルの先端部を静磁場発生器の磁極領域に位
置させた状態で、不活性ガスを吹き込むことなしに該浸
漬ノズルから溶鋼を吐出させ、その吐出溶鋼流に、鋳型
の長辺壁と直交する静磁場を作用させて制動を加えるこ
とを特徴とする静磁場を用いる鋼スラブの連続鋳造方法
であり、静磁場の磁束密度または発生領域については連
鋳鋳型からその出側に沿って小さくする。
さて、第1図(a)(b)にこの発明の実施に用いて
好適な連続鋳造装置の要部の構成を示し、図における番
号1は、一対の短辺壁1aと長辺1bからなる連鋳鋳型、2
はタンディッシュと繋がる浸漬ノズルであって、この浸
漬ノズル2はノズル本体の先端部を開放して溶鋼の吐出
孔とした構造になっている。また、3は連鋳鋳型1の長
辺壁1bの背面にて配置され浸漬ノズル2からの吐出溶鋼
流に鋳型の長辺壁1bと直交する向きの静磁場を作用させ
る静磁場発生器である。
(作用) 溶鋼の吐出孔が左右対称になる第2図に示すような2
孔式浸漬ノズルは、ノズルから噴出させた溶鋼流がクレ
ータの奥深くまで流入して注入溶鋼中の介在物や気泡が
凝固シェルのトラップされないように、また噴出流がモ
ールド内の浴面へ向かってモールドパウダーの巻き込み
を起こさないような構造がとられているが、このような
構造になる浸漬ノズルは、とくに吐出孔近傍においてア
ルミナなどが析出し易く、ノズル詰まりを起こしやすい
ことは前述した。
この発明においては、浸漬ノズルをノズル本体の先端
が開放された構造になる第3図に示すようなストレート
ノズルを用い、このノズルより連鋳鋳型内へ供給する溶
鋼に対して、連鋳鋳型に配置した静磁場発生器の磁極領
域で制動を加えつつ連続鋳造するようにしたから、アル
ミナの析出に起因したノズル詰まりを起こすような不具
合はなく、従って所望の速度で溶鋼を鋳型内に注入して
も介在物が溶鋼の奥深くまで侵入したり、溶鋼の上昇流
が浴面のパウダーを巻き込むようなこともない。
この発明においては、磁界適用領域から流出する溶鋼
流の流速の均一化を図るために第4図に示すように磁界
の磁束密度を鋳型の上方から下方に沿って小さくするの
がよいが、このような静磁界を発生させるにあたっては
静磁場発生器3の形状を予めそのような形状にしておけ
ばよい。
(実施例) 実験例−1 2ストランド連鋳機を適用して取鍋精錬を経た、C濃
度360ppm、Al濃度450ppm、酸素濃度27ppmになる溶鋼
を、ストレートノズル(誠磁場発生器をノズルの吐出口
から100mm上方にその上端が、また吐出口から500mm下方
に下端がくるように配置)、2孔型の浸漬ノズル(吐出
口が静磁場のほぼ中央になるように配置)をそれぞれ用
いて下記の条件で3チャージ分を継続して連続鋳造し、
ノズル内のアルミナの付着状況を調査した。
その結果、ストレートノズルを使用した場合において
は、アルミナの付着層は最大で2mm程度であってノズル
詰まりが極めて小さかったのに対して、ノズル内に10
/minのノズル詰まり防止用ガスを吹き込んだ2孔型浸漬
ノズルを使用した場合にはノズル吐出口近傍に最大で10
mm厚みになるアルミナ付着物の層が認められた。
鋳造条件 連鋳鋳型のサイズ:短辺壁230mm、長辺壁1600mm 鋳造速度:1.7m/min タンディッシュのスーパーヒート:約30℃ 静磁場発生器:長さ500mm、幅500mm 静磁場:約2000ガウス 実験例−2 取鍋内の溶鋼(実験例−1と同一の組成)にAl粉末を
添加して取鍋内溶鋼浴面上のスラグ中のFeOを還元し
て、FeO濃度を3%以下とした取鍋精錬を行って溶鋼中
のO濃度を15〜18ppmとしたのち、ストレートノズル
(静磁場発生器をノズルの吐出口から100mm上方にその
上端が、また吐出口から500mm下方に下端がくるように
配置)、2孔型の浸漬ノズル(吐出口が静磁場のほぼ中
央になるように配置)をそれぞれ用いて実験例−1と同
様、下記の鋳造条件のもとに、3チャージ連続的に連続
鋳造を行い、その際のノズル(浸漬ノズル)のアルミナ
の付着状況を調査した。なお、この実験例−2ではノズ
ル内には一切ノズル詰まり防止用のガスは吹き込まなか
った。
鋳造条件 連鋳鋳型のサイズ:短辺壁230mm、長辺壁1600mm 鋳造速度:1.7m/min タンディッシュのスーパーヒート:約30℃ 静磁場発生器:長さ500mm、幅500mm 静磁場:約2000ガウス この実験例−2のうち、ストレートノズルを使用した
ものはこの発明に従う適合例(浸漬ノズルとしてストレ
ートノズルを使用し、静磁場にて制動を加えるとともに
ノズル内にノズル詰まり防止用のガスを吹き込まない
例)であって、この場合、連続鋳造中に鋳造速度が低下
するようなことはなく、鋳造終了後に浸漬ノズルを回収
してその内面を観察したところ、1〜2mmのアルミナが
付着しているのみであった。これに対して2孔型の浸漬
ノズルを使用した場合には3チャージ目においてノズル
詰まりのために所定の注入速度が達成できず、鋳造速度
が1.7m/minから1.2m/minに低下した。
実験例−3 上掲第4図に示したような静磁場発生器(静磁場の上
端の幅550mm、静磁場の下端の幅450mm)をそれぞれ連続
鋳造用鋳型に配置した2ストランド連続鋳造機を適用し
て実験例−1と同様の溶鋼、条件で連続鋳造を行い、鋳
造後の浸漬ノズルのアルミナの付着状況を調査したとこ
ろ、2孔型の浸漬ノズルを用いた場合においては、その
ノズルの先端を静磁場のほぼ中央に吐出口がくるように
配置しておいても、ノズル内面のアルミナの付着量は最
大で10mm厚みの付着層があったが、浸漬ノズルとしてス
トレートノズルを用いた場合においては付着層の厚みが
最大2mm程度であった。
以上の実験例−1〜3にて得られた連鋳スラブを次
に、熱間圧延、冷間圧延して厚さ0.8mmの冷延板とし、
得られた鋼板の表面欠陥(ふくれ性欠陥とすじ状欠陥の
合計)の発生率について調査した。その結果を第5図に
示す。
第5図において、ストレートノズルを使用して連続鋳
造を行った場合には表面面欠陥の発生率が2孔型の浸漬
ノズルを使用した場合に比べて小さいことがわかる。そ
の理由は、連続鋳造用鋳型における磁界の適用によっ
て、溶鋼の注入流がクレータの奥深くまで侵入すること
がないためであると考えられる。とくに、実験例−2の
適合例が良好なのは溶鋼のO濃度が低く、また、ふくれ
性欠陥の主因となるArガスの吹き込みを行っていないた
めと考えられる。なお、実験例−2において2孔型の浸
漬ノズルを使用した場合においてもかなり良い結果が得
られているが、ノズル内にノズル詰まり防止用のガスを
吹き込まないために、ノズル詰まりが発生して所望の鋳
造速度が得られず、生産性の点で問題がある。
実験例−1と実験例−3との比較においては、実験例
−3でストレートノズルを使用した場合の結果が優れて
いるが、これは台形状の磁界を適用することによって溶
鋼の流速が第4図に示すように均一化されるために介在
物やアルゴン気泡の侵入深さが浅くなり、鋳型内での介
在物の浮上が促進されるためである。
なお、この発明では磁界の適用領域をノズルの下端部
を含みこれよりも下方の領域に適用することが肝要であ
る。それは、ノズル下端すなわちノズル先端部の吐出口
と磁界の間にすき間があると、ノズルから吐出した下降
流が磁界発生部で反力を受けるため、磁界発生領域部へ
の溶鋼の侵入が妨げられ、このすき間から溶鋼流が逃げ
ることになる。その結果、従来の2孔型の浸漬ノズルに
近い水平方向の流れとなるため、この流れが鋳型短辺壁
に衝突し該短辺壁に沿って深く下降するためである。ま
た、実験例−2のように溶鋼のO濃度を20ppm以下とす
るとノズル詰まり防止用のArガスなどを吹き込み等を行
わなくともノズル詰まりを起こすようなことはなく、表
面欠陥の極めて少ない冷延鋼板を得ることができるので
ある。
(発明の効果) かくしてこの発明によれば、連続鋳造用の浸漬ノズル
に不活性ガスを吹き込むような操作を行わずともノズル
閉塞をおこすことがなく、内部品質の良好なスラブを得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)(b)は連続鋳造装置の構成を示した図 第2図(a)(b)(c)は従来の浸漬ノズルを示した
図 第3図(a)(b)はこの発明に従う鋳造方法に適用し
て好適な浸漬ノズルを示した図 第4図は連続鋳造用鋳型内に溶鋼を注入した状況を示し
た図 第5図は実施例の結果を比較して示した図である。 1……連続鋳型、2……浸漬ノズル 3……静磁界発生器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−92311(JP,A) 特開 昭63−230258(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B22D 11/10 350 B22D 11/10 330

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】タンディッシュに収容した酸素含有量が30
    ppm以下になる溶鋼を、一対の短辺壁と一対の長辺壁の
    組合せからなる連鋳鋳型内に、該タンディッシュと繋が
    る浸漬ノズルを通して供給しつつ鋼スラブを連続鋳造す
    るに当たり、 上記連鋳鋳型に静磁場発生器を配置するとともに上記浸
    漬ノズルとしてノズル本体の先端を開放したストレート
    ノズルを用意して、この浸漬ノズルの先端部を静磁場発
    生器の磁極領域に位置させた状態で、不活性ガスを吹き
    込むことなしに該浸漬ノズルから溶鋼を吐出させ、その
    吐出溶鋼流に、鋳型の長辺壁と直交する静磁場を作用さ
    せて制動を加えることを特徴とする静磁場を用いる鋼ス
    ラブの連続鋳造方法。
  2. 【請求項2】静磁場の磁束密度または発生領域を連鋳鋳
    型の入側から出側に沿って小さく請求項1記載の方法。
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