JP2974551B2 - 電気分析用電池セル及び電気分析装置 - Google Patents

電気分析用電池セル及び電気分析装置

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JP2974551B2
JP2974551B2 JP5163606A JP16360693A JP2974551B2 JP 2974551 B2 JP2974551 B2 JP 2974551B2 JP 5163606 A JP5163606 A JP 5163606A JP 16360693 A JP16360693 A JP 16360693A JP 2974551 B2 JP2974551 B2 JP 2974551B2
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  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Electric Means (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電池反応を利用して試
料物質を定量する電気分析法に用いる電池セル及び電気
分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電気分析法による測定においては、定電
圧又は定電流下で試料物質に酸化還元などの反応が起こ
る際の電気的な変化を測定することで、もとの試料質量
を定量する電気分解による方法が一般に知られており、
近年では導電性多孔質電極などを用いる測定方法に応用
されている。
【0003】イオン電極では、試料中に検出部である電
極を浸漬させ隔膜中を通過したイオンや電極膜と試料物
質から生成するイオンの間の平衡電位を電気的に測定す
る方法が一般に広く用いられている。導電性多孔質電極
を用いた方法では導電性の多孔質体に電解液を含浸させ
た検出室内で試料を直接電気分解して測定する方法(特
開平1−195358号公報)などが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、電気分解を用
いた電気分析法による測定に際しては、目的とする試料
物質の電気分解を行う為に、電極に対して外部より一定
の電圧を印加しておくか、又は一定の電流を通電してお
く必要があるが、電圧印加時に、両電極間が非平衡状態
となり、いわゆる容量性電流が生じる。したがって、目
的とする試料物質を電気分解して測定できるようになる
までには電圧を印加するたびごとに長時間の安定化時間
を要するといった大きな問題点がある。また定電圧発生
装置や定電流発生装置が必要になるなど、装置自体が複
雑になる問題点もある。
【0005】また、上記イオン電極においては、隔膜中
のイオン移動速度や、平衡に達するまでの応答速度が遅
く測定に長時間を要すことや、測定のたびに洗浄が必要
であること等の問題があった。本発明者らは、前記の従
来技術における問題点を解消し、外部からの電圧や電流
等の電気エネルギーを必要とせず、しかも、簡便迅速
に、測定すべき試料物質の定量を行うことのできる新規
な電気分析方法を先に提案した(特願平5−30928
号)。
【0006】この新規な電気分析方法は、試料物質を含
有する作用極と電池活物質を含有する対極とを有し、両
電極の隣接部位にイオン流通可能な物質を含んでなる電
池セルを使用し、両電極間に外部から電圧を印加するこ
となく両電極間に発生する電圧、電流又は電気量を測定
して試料物質を定量するものであり、作用極の構成成分
と試料物質との酸化還元反応によって作用極と対極との
間に生じる電位差によって発生する電気量が試料物質の
存在量と密接に関連すること、及び両電極の構成成分を
選択することで電極反応が自発的にかつ迅速に進行する
ことを利用するものである。
【0007】ここで、電池活物質とは、電気化学反応に
おいて、起電力を与える電気化学的活性種であって放電
反応に係わる化学種をさす。本発明は、本発明者らの提
案に係る前記新規な電気分析方法に用いるのに好適な電
池セル及び分析装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明では、試料が電池
活物質である場合には電解質溶液を含浸し、試料がメデ
ィエーターとの電気化学的反応で電池活物質を生成する
場合には、電解質及び/またはメディエーターを含浸し
た親水性かつ導電性の材料からなる作用極と、貫通穴を
有し該貫通穴に前記作用極を収容すると共に前記作用極
に接続された電極端子を側面に有する上部部材と、電池
活物質を含浸した親水性かつ導電性の材料からなる対極
と、凹部を有し該凹部に前記対極を収容すると共に前記
対極に接続された電極端子を側面に有し、底面に液補充
穴を有する下部部材と、前記液補充穴を閉塞する蓋部材
と、前記上部部材及び下部部材の間に挟持されたイオン
透過性の隔膜と、前記上部部材の貫通穴に螺合され前記
作用極を押圧する押えネジとで電池セルを構成する。ま
た、前記作用極に用いる導電性材料の外周にその導電性
材料に接する状態で濾紙などの吸水性材料を配すること
により、作用極中の溶液の拡散を速やかにして放電反応
を迅速にするとともに、センサーとして使用する際に投
入する試料により、作用極中の溶液量が導電性材料が保
持できる容量を超え、余剰となった場合に吸水性材料で
その余剰溶液を吸収することにより、作用極を交換する
ことなくさらに連続して使用することができる。
【0009】この電池セルは、電流積算手段と、表示部
と、分析項目選択部と、前記電流積算手段による電流の
積算開始を指示するスタートボタンと、電流積算値を物
質量に換算して前記表示部に表示させる演算手段とを有
し、電池セルの一対の電極端子と各々接触可能な一対の
端子が露出された電流分析計の電池セル挿入部位に着脱
自在に挿入することにより試料の定量分析を簡易に行う
ことができる。表示部、積算電流値を換算することなく
そのまま表示するようにすることもできる。本発明の電
池セル及び電気分析計はNADH、アスコルビン酸又は
過マンガン酸カリウムを指標としたCODの分析に好適
である。
【0010】
【作 用】作用極中の電池活物質と対極中の電池活物質
が反応するとき発生する電気エネルギーを電池電流とし
て取り出し、それを積算することにより試料物質の定量
を行うことができる。そして、両極に入れる電池活物質
を選択することで種々の成分を分析することができる。
【0011】上部フェルト押えネジで上部フェルトを押
圧することにより、フェルトと隔膜の密着性が確保され
分析感度が向上する。対極への電池活物質の補充は、電
池セル底面の液補充穴から行われる。電池セル上部のゴ
ムキャップは電極が乾燥するのを防ぐ作用をする。
【0012】
【実施例】以下に、本発明の実施例を説明する。 〔実施例1〕本発明による電池セルの実施例を図により
説明する。図1は本実施例の電池セルの斜視図、図2は
断面図、図3は分解組立図である。ただし、図1はキャ
ップを外した状態を示している。
【0013】本実施例の電池セルは、プラスチック等の
電気絶縁性材料で作られた上部部材1及び下部部材2、
上部フェルト3及び下部フェルト4、隔膜5、シリコー
ン樹脂等で作られたパッキン6,7、鍔付きの押えネジ
8、集電用電極線13,14が接続された電極端子1
1,12、底蓋15、及びキャップ9からなる。隔膜5
には、ガラスフィルター、塩橋、イオン交換膜などイオ
ン透過性の隔膜等が用いられ、安定した測定を行うため
にはイオン交換膜、例えば陽イオン交換膜を用いること
が好ましい。
【0014】上部フェルト3はカーボンフェルトなど導
電性に優れたもので親水性の素材であればいずれの素材
でも使用できるが、後述するように、大きさは直径(3
0±10)mm程度で厚さは2〜6mmが望ましい。下
部フェルト4は導電性で親水性の素材であればどの様な
ものでも良いが、大きさと厚さは上部フェルト3と同程
度のものが隔膜5との接触面積が同じになり、電気抵抗
も少なく望ましい。
【0015】集電用電極線13,14は白金又は金を使
用することで腐食による電気抵抗値の上昇が避けられ
る。電極端子11,12は金で被覆されており、電気抵
抗が小さいため測定装置側の接点と接触するだけで充分
な導通が得られる。上部部材1は上下方向に貫通穴20
を有し、底面に下部部材の凹部に嵌合する凸状段部を有
する。また、側面から貫通穴20に至る細孔が設けら
れ、この細孔には電極端子11に半田付けされた集電用
電極線13が通されている。細孔の一部を横切って、上
面から細孔の下方まで延びるシーリング穴16が設けら
れ、集電用電極線13を挿入した後、シーリング穴に樹
脂を充填して電極を固定すると共に細孔を樹脂で塞ぐこ
とにより、電極セル中の液が細孔から漏洩するのを防止
している。
【0016】下部部材2は上面に2段の凹部21,22
を有し、底部には液補充穴23が設けられている。ま
た、側面から凹部22に至る細孔をが設けられ、この細
孔には電極端子12に半田付けされた集電用電極線14
が通されている。電極の固定と細孔からの液の漏洩防止
のために、上部部材1と同様にシーリング穴17を設
け、集電用電極線14を挿入した後、樹脂を充填するこ
とによって細孔を密閉している。液補充穴23にはO−
リング付きの底蓋15が着脱自在に取り付けられてい
る。
【0017】電池セルの組立は、下部部材2の深い凹部
22に下部フェルト4を挿入し、その上に正極と負極の
溶液が混合しないように上下縁部をパッキン6,7で挟
んだ円形の隔膜5をパッキン7が浅い環状凹部21に位
置するようにして重ねる。その上に、上部フェルト3を
貫通孔20に挿入した上部部材1をその底面の凸状段部
が下部部材2の凹部21に嵌合するようにして載置す
る。この状態で、上下板部材1,2をネジ25等の適当
な固着手段で締め付けて結合する。さらに、押えネジ8
を上部板部材1の貫通孔20に切られたネジにねじ込ん
で、集電用電極13を上部フェルト3に確実に接触させ
ると共に、上部フェルト3を下方に押しつけ隔膜5に密
着させる。
【0018】本実施例の電池セルの場合、上部フェルト
3部分が作用極、下部フェルト4部分が対極となり、両
極に入れる電池活物質を選択することで種々の成分を分
析することができる。すなわち、いずれかの極に試料と
して添加された電池活物質である目的物質、又は電極に
含有されるメディエータと試料との反応により生成され
る電池活物質により発生する電気エネルギーを電池電流
として取り出し、それを積算することにより、試料の定
量を行うことができる。
【0019】電池セルの電極端子は、電池反応で発生し
た電流を取り出すためのものである。したがって、本発
明の電池セルには外部から電圧又は電流を印加する機構
は無い。作用極に注入された試料はその試料の分析終了
時点では電池反応に対して不活性な物質に変換されてい
るので、続けて次の試料を電池セルの作用極に注入する
ことにより複数の試料を連続して分析することができ
る。
【0020】電池反応によって消費された電池活物質は
必要に応じて補充する。対極への電池活物質の補充は、
底蓋15を取り外し、液補充穴23から行われる。補充
穴23の大きさは、あまり小さいと電池活物質の補充が
困難になるので、直径10mm以上とするのが好まし
い。電極上部のゴムキャップ9は、分析中あるいは電池
セルの保存中に電極が乾燥するのを防ぐ作用をする。上
部フェルト押えネジによりフェルトと隔膜の密着性が確
保され分析感度が向上する。例えば、後述の実施例3の
条件でNADHを測定した場合、押えネジが無いと、押
えネジのある場合に比べて測定値は低下し、理論値の6
0%程度しか得られず、繰り返し再現性もCV10%以
上で正確な測定ができない。
【0021】〔実施例2〕上記電池セルを用いた本発明
による電気分析計の構成について図4により説明する。
本発明による電気分析計40は、端子43,44を備え
る切り欠き部42、電源スイッチ45、スタートボタン
46、選択ボタン47及び表示部48を有する。切り欠
き部42に、図1〜図3によって説明した前記実施例1
の電池セル10を一点鎖線で示すように挿入すると、電
池セル10の電極端子11,12が分析計の端子43,
44と接触し、測定可能な状態になる。分析計内部には
クーロンメーター(電気量積算計)及びマイクロプロセ
ッサが組み込まれている。
【0022】分析に当たっては、切り欠き部42に所定
の電池活物質を入れた電池セルを装着し、定量すべき目
的物質を選択ボタン47で選択し、スタートボタン46
を押し、試料を電池セル上に添加することで試料中の目
的物質濃度が定量される。選択ボタン47は、クーロン
メータによる積算電気量を目的物質量に換算する換算式
を選択するためのものであり、スタートボタンは内部の
メモリをクリアして前回の測定値を消去するためのもの
である。
【0023】本発明の分析計では、電池セル10は分析
計本体40から簡単に着脱可能であり、電源を投入した
ままで着脱してもスタンバイ時間無しですぐに分析可能
である。従って、電池活物質の種類を変えた複数の電池
セルを用意し、それを測定のたびに交換し、連続的に多
成分を測定する自動分析が可能になる。
【0024】〔実施例3〕実施例1の電池セルを実施例
2の電気分析計に組み込みNADHの測定を行った。電
池セル10の上部フェルト3及び下部フェルト4には、
上面面積7cm2、厚さ5mm、体積3.5cm3のカー
ボンフェルト(日本カーボン製 GF−20−5F)を
用い、隔膜5にはイオン交換膜(旭硝子製 陽イオン交
換膜CMV)を用いた。作用極に0.1Mフェナジンメ
トサルフェート溶液、対極に0.1Mヘキサシアノ鉄
(III)酸カリウム溶液(各0.1Mリン酸緩衝液pH
7.0に溶解)各3mlづつを入れ、各種濃度のNAD
H溶液(40mMリン酸緩衝液pH7.0に溶解)の測
定を行った。各10μlの試料に対しての測定結果を図
5に示したが、NADHの濃度と電流積算計の測定値と
の間には良好な直線関係が得られた。
【0025】また、繰り返し再現性については、いずれ
の試料の場合も、10回繰り返した時のCV値は2%以
内であり優れた再現性を示した。5×10-4MNADH
溶液10μlを繰り返し測定した結果、200回以上安
定して測定できた。そのときのCV値は2%以内であっ
た。対極側の下部フェルト4として上面面積7cm2
厚さ5mm、体積3.5cm3のものを用い、作用極側
の上部フェルト3として面積が2〜12cm2の範囲、
体積が1〜6cm3の範囲で異なる種々の大きさのもの
を用いて同様な測定を行ったところ、表1に示す結果が
得られた。
【0026】
【表1】
【0027】表1において、測定可能回数は、NADH
(1×10-4M)10μlを試料として連続測定を行っ
たとき、電池効率が90%以上得られる回数を表す。ま
た、バックグラウンド電流は、電池セルを装着したとき
にクーロンメーターに流れる微弱な電流を表す。バック
グラウンド電流の原因としては、セル中の電池活物質に
起因する容量性電流などがある。これは測定時のノイズ
となり、正確な分析の妨害となる。通常の測定におい
て、精度を確保するためにはS/N比1%以内が必要で
あるが、この条件を満たすバックグラウンド電流は本実
験では10μA以下である。
【0028】このことから、上部フェルトと下部フェル
トの上面面積は7±3cm2、体積は3.5±1.5m
lが望ましいことが分かる。この範囲より小さいと投入
できる試料が少なくなり、その結果、連続的に測定でき
る回数が少なくなり、耐久性が劣る。逆にこの範囲を越
えると、バックグラウンド電流が高くなり測定精度が低
下する。また、溶液の拡散が悪く、抵抗も大きいために
電池効率(理論量に対する実際の反応量)が低くなり正
確な測定ができない。実際に、電池効率が50%以下の
場合にはS/N比が1%以上となるなど、測定誤差や繰
り返し再現性の点で好ましくない。通常、電池セルを使
用して分析する分析装置においては、電池効率は50%
以上が必要であり、望ましくは80%以上が好適であ
る。本実施例における好適な範囲(上部フェルトと下部
フェルトの上面面積が7±3cm2、体積3.5±1.
5ml)においては電池効率は80%以上であり精度良
く測定ができる。
【0029】〔実施例4〕実施例3で使用したのと同じ
電池セル及び電気分析計を用い、グルタミン酸脱水素酵
素で生成するNADHの定量によって試料中のグルタミ
ン酸量を測定した。グルタミン酸脱水素酵素は特願平4
−194245号に記載されたもので、本発明者らが見
出したものである。本酵素の反応は以下の通りである。
【0030】
【化1】
【0031】すなわち、特願平4−194245号明細
書の実施例1記載のグルタミン酸脱水素酵素含有溶液
(4U/ml20mMリン酸緩衝液pH7.0溶液)1
0μlと、基質としてNAD+を含む各種濃度のグルタ
ミン酸ナトリウム溶液(20mMリン酸緩衝液pH7.
0溶液、NAD+は20mg/ml含有)990μlを
30℃で3分間混合した溶液10μlを前記実施例3と
同様の条件で測定した。
【0032】図6に結果を示すが、NADHを指標とし
た測定値とグルタミン酸濃度の間には良好な直線関係が
得られた。同様にして市販醤油中のグルタミン酸含量を
測定し、アミノ酸分析計の測定値と比較した結果、アミ
ノ酸分析計(日本電子製 JLC−300)による測定
値は11.3g/l、本発明による測定値は11.2g
/lとよく一致した。また、同じ試料についてグルタミ
ン酸測定キット(BMY社製)を用いて測定した結果は
11.0g/lであった。なお、測定時間はアミノ酸分
析計が1試料に約1.5時間、グルタミン酸測定キット
が20分を要したのに対し、本発明によれば約50秒
(酵素反応時間を入れると約4分)で測定でき、迅速測
定が可能であった。さらに、本実施例において、使用す
る酵素は通常用いられる固定化法により作用電極すなわ
ち上部フェルト中に固定化して使用することも可能であ
った。
【0033】〔実施例5〕実施例3で用いたのと同じ電
池セル及び電気分析計を用い、電池セルの作用極に0.
1M塩化カルシウムを含有する1N塩酸溶液3mlを電
極液として使用し、対極に電池活物質となる0.01M
ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムと0.1M塩化カリウ
ムを含有する1N塩酸溶液3mlを電極液として入れ、
各種試料のCODを測定した。
【0034】試料としては、愛知県半田市の工場排水2
種類(A,B)、同下水処理水2種類(C,D)及びグ
ルコース標準液(JISK8824)1mgO/l、1
0mgO/lを用いた。測定は次の通り行った。ねじ付
き試験管(内容量10ml)に各試料2ml、47%硫
酸0.4ml、N/40過マンガン酸カリウム0.2m
lをこの順に入れ混合し、密栓した。5分間加熱したの
ち、室温まで冷却しこの混合溶液の10μlを上記装置
の作用極にシリンジで添加し測定した。
【0035】その結果を、同じ試料についてJISK0
102記載の方法で測定した値と比較した結果を表2に
示すが、両者の測定値は良く一致した。測定に要した時
間は約30秒と短時間で、試料も微量で測定ができた。
【0036】
【表2】
【0037】〔実施例6〕実施例3で用いたのと同じ電
池セル及び電気分析計を用い、電池セルの作用極に10
mMメチレンブルー溶液(0.4Mリン酸緩衝液pH
5.0に溶解)3ml、対極に0.4Mヘキサシアノ鉄
(III)酸カリウム溶液(0.4Mリン酸緩衝液pH
7.3)3mlを電極液として入れ、1〜200mg/
100mlの各種濃度のアスコルビン酸溶液の測定を行
った結果、アスコルビン酸溶液の各濃度と本発明による
電気量測定値の間には良好な直線関係が得られた。な
お、その際の試料物質量は5μlと微量であり、測定時
間は約40秒と迅速であり、同じ試料を繰り返し測定し
たときの変動計数(CV値)は2%以下ときわめて安定
したものであった。
【0038】〔実施例7〕実施例3で用いたのと同じ電
池セル及び電気分析計を用い、電池セルの作用極にpH
5.0の0.4Mリン酸緩衝液3mlを電極液として使
用し、対極に0.1Mヘキサシアノ鉄(III)酸カリウ
ム溶液3ml(0.4Mリン酸緩衝液pH7.3)を電
極液として入れ、各種市販食品中のアスコルビン酸の測
定を行った。また、同じ試料についてインドフェノール
滴定法及びHPLC法(高速液体クロマトグラフ法)
(社団法人日本食品衛生協会発行、食品衛生検査指針1
989年版361〜363頁)による測定を行い各々を
比較した結果、表3に示すように良く一致した測定結果
が得られた。
【0039】
【表3】
【0040】〔実施例8〕実施例1で使用した電池セル
であって、その上部フェルト3(直径20mm)の外周
部に濾紙(アドバンテック社製 濾紙No.2 内周直
径20mm、外周直径40mmの同心円状に成形)をフ
ェルト3に接触する様に設置した以外は実施例1と同様
の電池セルを用い、実施例3と同様の条件でNADHの
測定を行った結果、濾紙のない電池セルに比べて1回の
測定に要する時間も短く、作用極の交換なしに安定して
測定できる回数も300回以上と良好な結果を得た。
【0041】
【発明の効果】本発明の電池セル及び電気分析計による
と、外部より電圧等の電気エネルギーを加えることなく
迅速かつ再現性よく試料物質を定量することができる。
そして、電池セルの両極に入れる電池活物質を選択する
ことで種々の成分を分析することができ、グルタミン酸
やアスコルビン酸などの食品成分分析や、過マンガン酸
カリウムを指標としたCODなどの水質分析などを簡便
に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による電池セルの斜視図。
【図2】図1に示した電池セルの断面図。
【図3】図1に示した電池セルの分解組立図。
【図4】本発明による電気分析計の実施例の斜視図。
【図5】NADH濃度と測定値との関係を示すグラフ。
【図6】グルタミン酸濃度と測定値との関係を示すグラ
フ。
【符号の説明】
1:上部部材 2:下部部材 3:上部フェルト
4:下部フェルト 5:隔膜 6,7:パッキン 8:押えネジ
9:キャップ 10:電池セル 11,12電極端子 13,1
4:集電用電極線 15:底蓋 16,17:シーリング穴 20:貫
通穴 21,22:凹部 23:液補充穴 25:ネジ
40:電気分析計 42:切り欠き部 43,44:端子 45:電源
スイッチ 46:スタートボタン 47:選択ボタン 48:
表示部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−189455(JP,A) 特開 平1−195358(JP,A) 特開 平2−85757(JP,A) 特開 平3−197859(JP,A) 特開 昭63−187150(JP,A) 特開 平6−300734(JP,A) 特開 昭59−124351(JP,A) 実開 平4−15058(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 27/42 G01N 27/416

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解質溶液及び/または、メディエータ
    ーを含浸した親水性かつ導電性の材料からなる作用極
    と、貫通穴を有し該貫通穴に前記作用極を収容すると共
    に前記作用極に接続された電極端子を側面に有する上部
    部材と、電池活物質を含浸した親水性かつ導電性の材料
    からなる対極と、凹部を有し該凹部に前記対極を収容す
    ると共に前記対極に接続された電極端子を側面に有し、
    底面に液補充穴を有する下部部材と、前記液補充穴を閉
    塞する蓋部材と、前記上部部材及び下部部材の間に挟持
    されたイオン透過性の隔膜と、前記上部部材の貫通穴に
    螺合され前記作用極を押圧する押えネジとを含み、作用
    極中の電池活物質と対極中の電池活物質の電池反応によ
    り発生する電池電流を前記一対の電極端子から取り出す
    ことのできる電池セル。
  2. 【請求項2】 NADH、アスコルビン酸又は過マンガ
    ン酸カリウムを指標としてCOD(化学的酸素要求量)
    を測定するCOD分析用センサーとして用いられる請求
    項1記載の電池セル。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の電池セルを着脱可
    能な切り欠き部と、前記切り欠き部に露出し前記電池セ
    ルの一対の電極端子と各々接触可能な一対の端子と、該
    端子間に接続された電流積算手段と、表示部と、分析項
    目選択部と、前記電流積算手段による電流の積算開始を
    指示するスタートボタンと、電流積算値を物質量に換算
    して前記表示部に表示させる演算手段とを含む電気分析
    計。
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