JP2972783B2 - シリコン繊維 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ＳｉＯ_X （０＜ｘ
＜２）が表面に蒸着されている、又は中に混入されてい
るシリコン繊維に関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】衣類，
装飾品等の繊維製品に使用される繊維は、天然繊維と人
造繊維とに分けられ、衣料品、及びその他の繊維製品に
使用されている。天然繊維としては、植物繊維，動物繊
維，鉱物繊維があり、古くから利用されている。一方、
20世紀に入ると人造繊維の生産が開始され、人造繊維
は、合成繊維（レーヨン，ナイロン，アクリル，ポリエ
ステル等），半合成繊維（アセテート等），再生繊維，
及び人造無機繊維に大別される。また人造繊維にあって
は、従来からある繊維が有する耐水性，保温性等の特徴
の他に、近年では耐シワ性，形状記憶性，抗菌性等の特
徴を有する新たな素材の開発が進んでいる。

【０００３】本発明は、斯かる素材開発の動向を鑑みて
なされたものであり、マイナスイオン化した又はマイナ
スイオンを放出するＳｉＯ_X （０＜ｘ＜２）を合成繊維
に蒸着又は混入させることにより、静電気防止性および
抗菌性を有するシリコン繊維を提供することを目的とす
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の発明は、
繊維の表面にマイナスイオン化されたＳｉＯ_X （０＜ｘ
＜２）が蒸着されていることを特徴とする。

【０００５】請求項２記載の発明は、繊維の材料と、マ
イナスイオンを放出するＳｉＯ_X （０＜ｘ＜２）との混
合物からなることを特徴とする。

【０００６】ＳｉＯ_X からマイナスイオンが放出されて
プラスの帯電が中和またはマイナスへ転じられることに
より、静電気防止効果が得られる。またマイナスイオン
が酸素を活性化させるので、この活性酸素による抗菌効
果が得られる。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明をその実施の形態を
示す図面に基づき具体的に説明する。 実施の形態１． 図１は本発明に係るシリコン繊維を示す模式的断面図で
ある。ポリエステル系合成繊維（例えば商品名：テトロ
ン；東レ（株）製，帝人（株）製）１の表面にシリコン
薄膜層（15〜1000Å）２が蒸着形成されて、シリコン繊
維３となしてある。 このシリコン繊維は、図２に示す減
圧ＣＶＤ装置を使用し紡糸後の繊維の表面にシリコンを
蒸着させて得る。減圧ＣＶＤ装置の反応室11の側壁に
は、ガス導入管12と排気管13とが連結されている。また
ヒータ14が反応室内に設置されている。

【０００８】排気管13から排気を行って真空状態にし、
ガス導入管12から三塩化シラン（ＳｉＨＣｌ₃ ）ガスを
10^-3Torrで導入する。ヒータ14で約 200℃に加熱された
反応室11へ紡糸後の合成繊維１を通すと、合成繊維１の
表面にシリコン薄膜層２（例えば 350Å）が形成された
シリコン繊維３が得られる。この場合のシリコン薄膜層
２の組成はＳｉ又はＳｉＯ_X である。

【０００９】本発明に係るシリコン繊維を使用して作製
された衣料は、抗菌効果，静電気防止効果が得られる。
これはシリコン薄膜層２中のＳｉＯ_X がマイナスイオン
を放出する作用を有するためであると考えられる。マイ
ナスイオンは空中の酸素を活性化させて活性酸素を生成
する。そうすると衣料の表面及びその近傍に存在する菌
がこの活性酸素により死滅せしめられるのである。

【００１０】またマイナスイオンによってプラスの静電
気が除去される。実際に静電気電圧を測定したところ、
＋ 0.3kVから− 0.7kVに転じていた。近年ではスプレー
を使用して静電気を除去する等の方法も採られている
が、本発明に係るシリコン繊維製の衣料では身に付ける
だけでプラスの静電気に帯電することを防止することが
できる。

【００１１】さらにプラスの静電気雰囲気ではプラスイ
オン濃度が高く、人体，動植物体等の生命体に悪影響を
及ぼすことが知られている。例えば人体においては、不
快感，疲労感，不眠，食欲減退等の全身作用、血圧上昇
作用、血糖増加作用、血管収縮作用、利尿抑制作用等の
作用を有すると言われている。また体内におけるプラス
イオン量が増加すると新陳代謝が活発に行われず、抵抗
力も低下し、さらに肩こりにもなり易くなる。逆にマイ
ナスイオン雰囲気では、壮快感，催眠，食欲増進等の全
身作用、血圧下降作用、血糖現象作用、血管拡張作用、
利尿促進作用等の作用を有すると言われている。シリコ
ン繊維からなる衣料を身に付けると、プラスの静電気及
びプラスイオンが及ぼす上述した悪影響から人体を保護
し、マイナスイオンによる作用を得ることが可能であ
る。シリコン薄膜層２は洗濯耐性にも優れ、効果は永続
的である。

【００１２】本発明に係るシリコン繊維を使用してカー
テン等のインテリア用品を作製すると、上述したように
マイナスイオンの効果により、マイナスイオン雰囲気の
居住空間が得られ、上述した作用を得ることができる。
その他、あらゆる繊維製品にシリコン繊維を適用するこ
とが可能であり、上述したものと同様の効果が得られ
る。

【００１３】実施の形態２．図３は本発明に係るシリコ
ン繊維の他の形態を示す模式的断面図である。本形態に
おけるシリコン繊維４は、合成繊維の表面にシリコンが
蒸着されているのではなく、合成繊維の材料（例えばポ
リエステル）中にシリコンが混入されている。

【００１４】シリコン繊維４は、繊維の原料に３〜55％
のシリコン（ＳｉＯ _X ）を練り込んで紡糸することによ
り得られる。ここでシリコンは、マイナスイオン化され
た石英坩堝に所定時間入れておくことでマイナスイオン
化しておく。このマイナスイオン化の度合いが高いほ
ど、高い抗菌効果，静電気除去効果が得られる。

【００１５】実施の形態２のシリコン繊維においても、
実施の形態１と同様、あらゆる繊維製品にシリコン繊維
を適用することが可能であり、上述したものと同様の効
果が得られる。なお上述した形態例ではポリエステル系
の合成繊維を使用しているが、ポリアクリロニトリル
系，ポリアミド系，ポリ塩化ビニル系，ポリウレタン
系，ポリオレフィン系，ポリフルオロエチレン系等その
他の合成繊維に適用してもよい。また合成繊維のみなら
ずその他の繊維に適用してもよい。

【００１６】

【発明の効果】以上のように本発明に係るシリコン繊維
は、マイナスイオン化した又はマイナスイオンを放出す
るＳｉＯ_X （０＜ｘ＜２）を繊維に蒸着又は混入させる
ことにより、ＳｉＯ _X からマイナスイオンが放出されて
プラスの帯電が中和またはマイナスへ転じられて静電気
防止効果が得られる。またマイナスイオンが酸素を活性
化させるので、この活性酸素による抗菌効果が得られる
等、本発明は優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るシリコン繊維を示す模式的断面図
である。

【図２】シリコン薄膜層を蒸着形成するためのＣＶＤ装
置を示す模式図である。

【図３】本発明に係るシリコン繊維の他の形態を示す模
式的断面図である。

【符号の説明】

１ 合成繊維 ２ シリコン薄膜層 ３，４ シリコン繊維

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菊池 英明 大阪府大阪市旭区太子橋１−25−25 (72)発明者 伊藤 芳昭 愛知県名古屋市千種区南ヶ丘１丁目10番 21号 (56)参考文献 特開 平５−117965（ＪＰ，Ａ) 特開 平７−268768（ＪＰ，Ａ) 特開 平７−34317（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) D06M 11/00 - 11/84 D01F 1/00 - 1/10

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 繊維の表面にマイナスイオン化されたＳ
   ｉＯ_X （０＜ｘ＜２）が蒸着されていることを特徴とす
   るシリコン繊維。
2. 【請求項２】 繊維の材料と、マイナスイオンを放出す
   るＳｉＯ_X （０＜ｘ＜２）との混合物からなることを特
   徴とするシリコン繊維。