JP2972202B1 - ケーブル切断装置 - Google Patents

ケーブル切断装置

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JP2972202B1
JP2972202B1 JP31214298A JP31214298A JP2972202B1 JP 2972202 B1 JP2972202 B1 JP 2972202B1 JP 31214298 A JP31214298 A JP 31214298A JP 31214298 A JP31214298 A JP 31214298A JP 2972202 B1 JP2972202 B1 JP 2972202B1
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Abstract

【要約】 【課題】 本発明は、容易かつ正確に切断対象となって
いるケーブルを特定することができるケーブル切断装置
を提供することにある。 【解決手段】 切断対象となる通信用ケーブル1の一端
で、パイロット信号送出装置15から少なくとも一対の
心線導体を用いてパイロット信号を送出し、かつ、切断
対象となる通信用ケーブル1の他端で、電導性塗料11
を塗布して全ての心線導体を相互に導通させておく。そ
して、当該ケーブルの切断予定位置にあって、通信用ケ
ーブル1より外部に漏洩する磁界を磁気センサ部17で
検出し、検出された磁界信号に基づいて、電動ケーブル
カッタ制御装置51により検出対象の通信用ケーブルが
パイロット信号を電送中の通信用ケーブル1であるかを
判断して切断許可を与える。さらに、この切断許可に応
じて電動ケーブルカッタ19によりこの検出対象となっ
た通信用ケーブル1を切断する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、通信用ケーブルの
撤去工事等で撤去の対象となるケーブルを切断する場合
に、誤切断を防止することができるケーブル切断装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】通常、通信用ケーブルは数kmの長さを
有する長尺ケーブルであり、地下に埋設されることが多
い。この通信用ケーブルの撤去工事では、概ね数10m
毎に配置されているマンホール毎に切断作業を行った後
に、切断されたケーブルを地上に引き上げるという作業
がなされている。
【0003】マンホール内には複数の通信用ケーブルが
収容されており、切断位置になっているマンホールで
は、特に外見上同種の通信用ケーブルのうちどれが切断
対象となるケーブルかを判断しなければならない。この
ため、設備記録との照合や事前調査などを行って切断対
象となるケーブルを特定する必要がある。
【0004】しかしながら、このような事前作業だけで
は誤切断の危険性が残ることとなる。そこで、ケーブル
カッタ自体に切断対象となるケーブルの正否を判定する
ことができるケーブルカッタが提案されている。
【0005】ここで、図7を参照して、このようなケー
ブルカッタの一つとして電位検出方式のケーブルカッタ
による作業概要を説明する。
【0006】図7に示すように、通信用ケーブル1内に
は1対の通信線(心線)が複数含まれており、この通信
線の内1本は接地電位に保持され、他の1本は一定電圧
の通信信号が負荷されている。通信用ケーブルでは、こ
れらの心線を集合させて外側に金属シース3およびプラ
スチックからなるケーブル外被2等を積層して内部の心
線を保護するような構造が一般的に採用されている。
【0007】電位検出方式のケーブルカッタは、金属製
の切断刃を組み込んだ電動カッタを用いており、切断刃
に電位センサとしての機能も併せて持たせ、ケーブルを
切断しながら切断刃に触れる心線導体の電位をモニタす
るものである。この場合、誤って対象外のケーブル(通
信信号が流れている)を切断しようとしても、その心線
導体の電位は接地電位または通信用の一定電位であるの
で、いずれかの電位を検出した時点で刃の切断動作を緊
急停止させるようにしている。この結果、ケーブル外被
には傷が残るものの、通信中の心線を誤って切断せず、
作業信頼性を得ることができるという利点が得られる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ケーブ
ル外被2の内側に積層される金属シース3は内部心線の
保護だけでなく、通信用ケーブル間に発生する静電誘導
を防止するために接地されるのが一般的である。この場
合、電位検出方式のケーブルカッタでは、切断刃が金属
シース3による接地電位を検出して緊急停止するため、
次のような煩雑な工程が必要となる。
【0009】まず、通信用ケーブルの両端のケーブル外
被2および金属シース3を切断・除去し、ケーブル外被
3を接地から切り離しておく。次に、切断対象位置にお
いて電位検出方式のケーブルカッタを用いてケーブル切
断作業を行う。
【0010】このように、従来の技術を用いても誤切断
を防止することは可能である。しかしながら、1ヶ所の
ケーブル切断工事に対して、始点,切断対象点、終点の
3ヶ所でケーブル外被2および金属シース3を切断する
必要がある。さらに、誤って切断対象外のケーブルに対
して作業を進めた場合には、ケーブル上に残った「ため
らい傷」を修復するという作業が必要となる。この結
果、特に長尺ケーブルを撤去する際には、多大な稼働時
間を必要とするといった問題があった。
【0011】本発明は、上記に鑑みてなされたもので、
その目的としは、容易かつ正確に切断対象となっている
ケーブルを特定することができるケーブル切断装置を提
供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
上記課題を解決するため、切断対象となるケーブルの一
端で少なくとも一対の心線導体を用いてパイロット信号
を送出するパイロット信号送出装置と、切断対象となる
ケーブルの他端で全ての心線導体を相互に導通させる導
電性部材とを備え、当該ケーブルの切断予定位置にあっ
て、ケーブルより外部に漏洩する磁界を検出する磁気セ
ンサと、この磁気センサにより検出された磁界信号に基
づいて、検出対象のケーブルがパイロット信号を電送中
のケーブルであるかを判断して切断許可を与える切断判
断部と、切断判断部からの切断許可に応じてこの検出対
象となったケーブルを切断するケーブル切断機構とを有
することを要旨とする。
【0013】請求項2記載の発明は、上記課題を解決す
るため、前記パイロット信号送出装置は、周波数範囲が
100Hz〜10kHz、信号出力が1W以下のパイロ
ット信号を用いることを要旨とする。
【0014】請求項3記載の発明は、上記課題を解決す
るため、前記磁気センサは、前記ケーブル外被の表面に
沿って同心円状に複数対のコイルを対向させて配置し、
かつ、このコイルの巻き芯はケーブルの中心軸に対して
放射方向であることを要旨とする。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。
【0016】図1は、本発明の一実施の形態に係るケー
ブル切断装置のシステム構成を示す図である。
【0017】通信用ケーブルは、通常、各種通信端末装
置や交換機等の設備に接続されているが、ケーブル切断
装置の切断対象となる通信用ケーブル1は、図1に示す
ように、切断に先立って設備から切り離しておくことと
する。
【0018】また、通信用ケーブル1の先端部では、ケ
ーブル断面に対して導電性塗料11の塗布や導通用金属
板13の押し当てを行い、心線導体5を導通状態にして
おく必要がある。さらに、通信用ケーブル1を切断する
位置には、電動ケーブルカッタ19と磁気センサ部17
をケーブル外被2に取り付ける必要がある。
【0019】次に、図2を参照して、パイロット信号送
出部15の構成を説明する。
【0020】操作部21は、操作スイッチを有してお
り、作業者によるスイッチの操作を制御部23に伝え
る。制御部23は、CPU,ROM,RAMを有してお
り、内部ROMに記憶されている制御プログラムに従っ
て装置全体を制御する。
【0021】DDS方式信号源25は、周知の直接デジ
タル合成DDS(Direct Digital Synthesis)方式技術
に基づいて、制御部23により予め設定された周波数の
パイロット信号を発生する。AGCアンプ27は、DD
S方式信号源25からの入力信号の振幅の変動を検出し
て、出力信号の振幅を一定に保つように増幅器の利得を
自動的に制御し、出力信号の安定化を行っている。パワ
ーアンプ29は、入力されるパイロット信号を所定利得
だけ電力増幅して、通信用ケーブル1に出力する。
【0022】プリアンプ31は、通信用ケーブル1を介
して減衰して伝達してきたパイロット信号をフィードバ
ック信号として所定利得で増幅する前置増幅器である。
ローパスフィルタ33は、プリアンプ31から出力され
る信号に対して高域成分を減衰させてパイロット信号を
含む周波数成分を通過させるフィルタである。A/D変
換器35は、入力信号をデジタル信号にA/D変換して
量子化し、制御部23に出力する。
【0023】作業者は、操作部21に設けられた操作ス
イッチを投入することで、予め設定した周波数及び出力
のパイロット信号がパワーアンプ29から送出される。
なお、パイロット信号送出装置15では、磁気センサ部
17からのフィードバック信号をモニタし、一定出力の
パイロット信号を送出するようにDDS方式信号源25
を自動制御している。
【0024】次に、図3を参照して、磁気センサ部17
の構成を説明する。
【0025】磁気センサ部17は、通信用ケーブル1に
生じる磁気を検出するための2対(4個)のセンサコイ
ル41−1〜41−4と、鉄等の透磁率の高いカバーか
らなり、センサコイル41−1〜41−4を覆って外界
からの磁気をシールドするための外部シールド用磁性体
43とから構成されている。さらに、磁気センサ部17
は、ケーブル外被2の表面に沿って同心円状に2対のセ
ンサコイル41−1〜41−4を対向させて配置してい
るので、通信用ケーブル1中のどの心線導体にパイロッ
ト信号を電送してもパイロット信号による磁気信号を効
率的に検出することができる。かつ、センサコイルの巻
き芯は通信用ケーブル1の中心軸に対して放射方向にな
り、通信用ケーブル1に発生する磁束と直行して最大限
に検出するようにしているので、検出効率を最大限に向
上することができる。
【0026】また、外部シールド用磁性体43とセンサ
コイル41−1〜41−4の巻き芯との間に所定の間隙
を設けることで、センサコイル41−1〜41−4と外
部シールド用磁性体43とが磁気的に分離される。この
結果、外部シールド用磁性体43によって外部からの磁
気信号がシールドされ、把持する通信用ケーブル1から
漏洩されるパイロット信号をセンサコイル41−1〜4
1−4で検出した場合の検出感度を高めることができ
る。
【0027】さらに、1対(2個)のセンサコイル41
−1,41−3のみでは、パイロット信号が伝達さ心線
導体の位置に応じて偏りが生じ、その結果、ケーブル外
被2の円周方向に感度分布が偏る。そこで、本実施の形
態では、少なくとも2対(4個)のセンサコイル41−
1〜41−4を外部シールド用磁性体43内に配置する
こととする。
【0028】次に、図4を参照して、電動ケーブルカッ
タ19の構成を説明する。
【0029】電動ケーブルカッタ19は、後述する電動
ケーブルカッタ制御装置51から送られる切断許可に応
じて切断刃47を駆動して通信用ケーブル1を切断する
ための切断機構駆動部42と、切断機構駆動部42によ
る駆動力に応じて切断刃47を下方に押し下げ、支持刃
45との間に置かれた通信用ケーブル1を切断する切断
機構44とから構成されている。
【0030】次に、図5を参照して、電動ケーブルカッ
タ制御装置51の構成を説明する。
【0031】プリアンプ53−1〜53−4は、それぞ
れの入力端子から入力されたセンサコイル41−1〜4
1−4からの磁気信号を所定利得で増幅する前置増幅器
である。加算器55は、プリアンプ53−1〜53−4
でそれぞれ増幅された磁気信号を加算してローパスフィ
ルタ57に出力する。ローパスフィルタ57は、加算器
55から出力される磁気信号に対して高域成分を減衰さ
せてパイロット信号の周波数成分を通過させるフィルタ
である。A/D変換器59は、入力信号をデジタル信号
にA/D変換して量子化し、制御部61に出力する。制
御部61は、CPU,ROM,RAMを有しており、内
部ROMに記憶されている制御プログラムに従って装置
全体を制御する。操作部63は、切断操作スイッチを有
しており、作業者によるスイッチの操作を制御部61に
伝える。
【0032】特に、制御部61は、センサコイル41−
1〜41−4からの検出結果に基づいて、検出対象とな
っている通信用ケーブルが切断対象となっているケーブ
ルかを判断し、切断対象であるときには当該ケーブルの
切断許可を電動ケーブルカッタ19に出力するように制
御されている。
【0033】次に、図1〜図5を参照して、ケーブル切
断装置の動作を説明する。
【0034】図1に示すように、ケーブル切断装置によ
る切断対象となる通信用ケーブル1は、切断に先立って
各種通信端末装置や交換機等の設備から切り離されてい
るものとする。
【0035】まず、切断対象となる通信用ケーブル1の
先端部のケーブル断面に対して、導電性塗料11を塗布
して乾燥させるか、または導電性スプレーを噴霧して乾
燥させるか、さらに、導通用金属板13を押し当てる。
この結果、複数の心線導体5は全て導通することとな
る。なお、導電性塗料11または導電性スプレーに用い
る金属粉末/バインダ複合系としては、例えば銅/アク
リル系やニッケル/アクリル系等において、乾燥後の電
気抵抗が1Ω/sq(35μm)以下のものであって、
作業性の観点から乾燥時間が30分以内のものが望まし
い。
【0036】そして、切断対象となる通信用ケーブル1
の他の一端において、ケーブル断面から適当な2本の心
線を選び出し、パイロット信号送出装置15の出力端子
及び入力端子に接続する。この結果、切断対象となる通
信用ケーブル1の全長に渡って閉回路が形成される。こ
の場合、先端部の心線は導通用金属板13または導電性
塗料11により全て導通しているので、心線の選び方は
任意でよい。
【0037】ここで、パイロット信号送出装置15から
パイロット信号をこの閉回路を形成している通信用ケー
ブル1に送出する。なお、通信用ケーブル1の撤去工事
中には、工事が完了するまでパイロット信号の送出を継
続することとする。
【0038】詳しくは、図2を参照して、パイロット信
号送出部15の動作を説明する。
【0039】まず、作業者が操作部21に設けられた操
作スイッチを投入すると、制御部23では操作部21か
らの指示に従ってDDS方式信号源25にパイロット信
号の送出を指示する。DDS方式信号源25は、予め設
定した周波数及び出力のパイロット信号をAGCアンプ
27に出力し、AGCアンプ27によりパイロット信号
のレベル変動を安定化させる。そして、パワーアンプ2
9から通信用ケーブル1に一定出力のパイロット信号が
送出される。
【0040】パイロット信号送出装置15では、先端部
に塗装された導電性塗料11を介して長尺のケーブルか
ら戻ってくるフィードバック信号をプリアンプ31に入
力しる。このフィードバック信号をプリアンプ31で増
幅し、ローパスフィルタ33で不要帯域を除去した後に
A/D変換器35で量子化し、制御部23でモニタす
る。制御部23では、DDS方式信号源25を自動制御
して一定出力のパイロット信号を送出する。
【0041】次に、図3〜図5を参照して、実際に通信
用ケーブル1を切断する位置での作業等を説明する。
【0042】まず、電動ケーブルカッタ19と連結また
は一体化した磁気センサ部17を通信用ケーブルのケー
ブル外被2に取り付ける。
【0043】ここで、作業者が電動ケーブルカッタ制御
装置51の操作部63に設けられた切断操作スイッチを
投入すると、制御部61では操作部63からの指示に従
って通信用ケーブル1を切断する前に、以下の切断判断
処理を行う。
【0044】すなわち、磁気センサ部17に設けられた
センサコイル41−1〜41−4から出力される磁気信
号をプリアンプ53−1〜53−4でそれぞれ所定利得
で増幅して加算器55に入力して加算し、加算器55か
ら出力される磁気信号に対してローパスフィルタ57で
高域成分を減衰させてパイロット信号の周波数成分を通
過させる。そして、A/D変換器59では、入力信号を
デジタル信号にA/D変換して量子化し、制御部61に
出力する。
【0045】そして、制御部61では、センサコイル4
1によりパイロット信号に合致する周波数の磁気信号が
検出され、かつ、パイロット信号以外の信号を感知して
いないかを判断する。そして、パイロット信号以外の信
号を感知していない場合には、出力端子から切断許可を
電動ケーブルカッタ19に設けられた切断機構駆動部4
2に出力する。
【0046】切断機構駆動部42では、電動ケーブルカ
ッタ制御装置51から送られてきた切断許可に応じて切
断刃47を駆動し、この駆動力に応じて切断刃47を下
方に押し下げ、支持刃45との間に置かれた通信用ケー
ブル1を切断する。
【0047】一方、制御部61でセンサコイル41によ
りパイロット信号以外の信号を感知した場合には、現在
切断しようとしている通信用ケーブル1が切断対象外の
ケーブルであることを操作部63に設けられた指示ラン
プにより作業者に報知する。
【0048】切断終了後、作業者はケーブル断面に改め
て導電性塗料11を塗布しておき、当該位置でのケーブ
ル切断作業を完了し、次の切断位置に移動する。
【0049】なお、パイロット信号送出装置15におい
ても、同様に磁気センサ部17から出力される磁気信号
をモニタすることで、例えば局舎等において正しく切断
対象となる通信用ケーブル1にパイロット信号を送出し
ていることが確認できる。また、モニタ中のパイロット
信号が途絶(心線導体間の導通がなくなる)した後に、
再び回復(導電性塗料等によって導通が回復する)した
ことを検出することで、1回の切断作業が完了したこと
を遠隔モニタすることができる。
【0050】また、電動ケーブルカッタ19を単独で使
用する場合に、切断機構駆動部42に電動ケーブルカッ
タ制御装置51を接続しておけばよい。この場合、現在
切断しょうとしている通信用ケーブル1に通信信号が伝
達されているときには、切断作業が許可されないので、
誤切断を防止することができる。
【0051】
【実施例】以下、図6に示す表を参照して、磁気センサ
部17での測定結果について説明する。なお、通信用ケ
ーブルの長さは3km、外径は40mmのものを使用す
る。
【0052】実験(1)では、パイロット信号送出装置
15から信号周波数100Hz、信号出力1W(10
V,100mA)のパイロット信号を送出する。また、
2対(4個)のセンサコイル41を取り付けた磁気セン
サ部17を用いて信号注入端より500m,1000
m,1500m,2000m地点で通信用ケーブル1を
把持した。
【0053】その結果、いずれの地点においてもパイロ
ット信号が明瞭に確認された。また、同じ寸法のケーブ
ルを隣接して配置(パイロット信号は未送出)し、対象
ケーブルと同一地点で把持したが、パイロット信号から
の誘導に起因する磁気信号(漏話信号)は検出されなか
った。
【0054】次に、実験(2)では実験(1)に対し
て、信号周波数500Hz、1kHz、3kHz、10
kHzのパイロット信号を送出し、実験(1)と同様の
地点でケーブルを把持した。その結果、実施例1と全く
同様の結果が得られた。
【0055】次に、実験(3)では実験(1)に対し
て、パイロット信号の出力を2W(14V,140m
A)とした。この場合、いずれの地点においても隣接し
て配置したケーブルにおいてパイロット信号と同一周波
数の漏話信号が検出された。
【0056】実験(4)では、実験(1)に対して、パ
イロット信号の信号周波数を50Hzとした。この場
合、隣接して配置したケーブルにも同一周波数の信号が
検出された。
【0057】実験(5)では、実験(1)に対して、パ
イロット信号の信号周波数を100kHzとした。この
場合、信号注入端からの距離とともに検出信号が微弱な
ものとなった。その原因は、通信用ケーブルの伝送対象
である可聴周波数をはずれたために信号が減衰したため
と考えられる。
【0058】実験(6)では、実験(1)に対して、1
対(2個)のセンサコイルを使用して同様の測定を行っ
た。その結果、パイロット信号の検出感度に異方性の存
在することがわかった。すなわち、磁気センサ部17を
ケーブル外被2の円周方向に回転させたところ、最大感
度となる部位から90°回転した位置では全くパイロッ
ト信号を感知できなかった。この原因は、心線導体から
放射される磁気信号が空間的に一定方向にのみに偏るた
めと考えられる。
【0059】以上のような実験の結果、パイロット信号
送出装置15から送出するパイロット信号として、周波
数範囲が100Hz〜10kHz、信号出力が1W以下
の信号を用いることで、パイロット信号を電送中のケー
ブルから明瞭にパイロット信号を検出できるようにな
る。この結果、容易かつ正確に切断対象となっているケ
ーブルを特定することができる。
【0060】なお、本実施例は、特定の実験条件に基づ
いて計測された結果を記載するものであり、本発明がこ
れらによって何ら制限されるものではない。
【0061】
【発明の効果】請求項1記載の本発明によれば、切断対
象となるケーブルの一端で少なくとも一対の心線導体を
用いてパイロット信号を送出し、かつ、切断対象となる
ケーブルの他端で全ての心線導体を相互に導通させてお
く。そして、当該ケーブルの切断予定位置にあって、ケ
ーブルより外部に漏洩する磁界を検出し、検出された磁
界信号に基づいて、検出対象のケーブルがパイロット信
号を電送中のケーブルであるかを判断して切断許可を与
える。さらに、この切断許可に応じてこの検出対象とな
ったケーブルを切断することで、容易かつ正確に切断対
象となっているケーブルを特定するようにしているの
で、作業効率の向上に寄与することができ、かつ、ケー
ブルの誤切断を防止することができる。
【0062】また、請求項2記載の本発明によれば、パ
イロット信号として周波数範囲が100Hz〜10kH
z、信号出力が1W以下の信号を用いることで、パイロ
ット信号を電送中のケーブルから明瞭にパイロット信号
を検出できるようにしているので、容易かつ正確に切断
対象となっているケーブルを特定することができる。
【0063】また、請求項3記載の本発明によれば、磁
気センサは、ケーブル外被の表面に沿って同心円状に複
数対のコイルを対向させて配置しているので、ケーブル
中のどの心線導体にパイロット信号を電送してもパイロ
ット信号による磁気信号を効率的に検出することができ
る。かつ、このコイルの巻き芯はケーブルの中心軸に対
して放射方向となっているので、ケーブルに発生する磁
束と直行して最大限に検出するようにしているので、検
出効率を最大限に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】通信用ケーブルの構造を示す例である。
【図2】パイロット信号送出装置の構成を示すブロック
図である。
【図3】磁気センサ部の構成を示す模式図である。
【図4】電動ケーブルカッタの構成を示す図である。
【図5】電動ケーブルカッタ制御装置の構成を示すブロ
ック図である。
【図6】磁気センサ部での測定結果について説明するた
めの表である。
【図7】通信用ケーブルの構造を示す例である。
【符号の説明】 1 通信用ケーブル 2 ケーブル外被 3 金属シース 5 心線導体 11 導電性塗料 13 導通用金属板 15 パイロット信号送出装置 17 磁気センサ部 19 電動ケーブルカッタ 41−1〜41−4 センサコイル 42 切断機構駆動部 43 外部シールド用磁性体 44 切断機構 51 電動ケーブルカッタ制御装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 進藤 章 東京都新宿区西新宿8丁目14番24号 エ ヌ・ティ・ティ・ファネット・システム ズ株式会社内 (72)発明者 我妻 誠 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 柳川 勉 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日 本電信電話株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B21F 11/00 H01B 13/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 切断対象となるケーブルの一端で少なく
    とも一対の心線導体を用いてパイロット信号を送出する
    パイロット信号送出装置と、 切断対象となるケーブルの他端で全ての心線導体を相互
    に導通させる導電性部材とを備え、 当該ケーブルの切断予定位置にあって、 ケーブルより外部に漏洩する磁界を検出する磁気センサ
    と、 この磁気センサにより検出された磁界信号に基づいて、
    検出対象のケーブルがパイロット信号を電送中のケーブ
    ルであるかを判断して切断許可を与える切断判断部と、 切断判断部からの切断許可に応じてこの検出対象となっ
    たケーブルを切断するケーブル切断機構とを有すること
    を特徴とするケーブル切断装置。
  2. 【請求項2】 前記パイロット信号送出装置は、 周波数範囲が100Hz〜10kHz、信号出力が1W
    以下のパイロット信号を用いることを特徴とする請求項
    1記載のケーブル切断装置。
  3. 【請求項3】 前記磁気センサは、 前記ケーブル外被の表面に沿って同心円状に複数対のコ
    イルを対向させて配置し、かつ、このコイルの巻き芯は
    ケーブルの中心軸に対して放射方向であることを特徴と
    する請求項1記載のケーブル切断装置。
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