JP2971757B2 - 新規微生物およびそれを用いたポリエステルの分解方法 - Google Patents

新規微生物およびそれを用いたポリエステルの分解方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般に、優れたポリエ
ステル分解能を有した新規微生物、優れたポリエチレン
グリコール(以下、「PEG」と称する)分解能を有し
た新規微生物、および当該新規微生物の共生系を用いた
ポリエステル、特に、芳香族ポリエステルの分解方法に
関する。 具体的には、本発明による新規微生物は、フ
タル酸エステル、フタル酸あるいはPEG、およびその
誘導体を分解する能力を利用した、これら化合物の分
解、ならびにこれら化合物の分解を通じた有用成分の取
得に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来
より、脂肪族ポリエステルの分解についてはもはや周知
の域に達しているものの、芳香族ポリエステルの分解に
ついては困難とされてきた〔「生分解性高分子材料」、
pp.263-276 (1990) 、工業調査会、東京〕。 また、高
分子PEGの分解に関して、好気的共生系細菌または嫌
気的細菌による分解が報告されているが〔F. Kawai, CR
C Ctit. Rev. Biotechnol., 6, 273-307 (1987) 〕、ス
フィンゴモナス属に属する細菌については、スフィンゴ
モナス・マクロゴルタビダスならびにスフィンゴモナス
・テラエが、それぞれPEG4000とPEG20000(商品
名:PEGシリーズ(第一工業製薬株式会社))を資化で
きる菌であることが報告されているに過ぎない〔M. Tak
euchi, et al., System. Appl. Microbiol., 16, 227-2
38 (1993)〕。 また、スフィンゴモナス・テラエは、
リゾビウム属に属する細菌との共存下でしか、PEGを
資化できないという条件上の制約がある。
【0003】同様に、フタール酸エステル資化菌につい
ての報告もあるが〔倉根隆一郎、「バイオサイエンスと
インダストリー」、46、5、pp.3173-3177 (1988);「微
生物工学技術ハンドブック」、pp.477-490 (1990) 、朝
倉書店、東京〕、ポリエステルを特異的に分解する細菌
に係る報告は、未だされていない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した
従来技術の背景に鑑みて、フタール酸エステル分解能な
らびにPEG分解能双方を備えた微生物を検索すべく鋭
意検討を重ねた結果、本願出願人の四日市工場敷地内の
土壌から分離した混合培養試料、および大阪市住吉区内
の畑の土壌から分離した混合培養試料から、所望の特性
を有した細菌の単離に至り、本願発明を完成ならしめた
のである。
【0005】すなわち、本願発明の要旨とするところ
は: (1) 脂肪族および芳香族ポリエステルを分解し、かつフ
タール酸資化能を有するコマモナス・アシドヴォラン
ス; (2) ポリエチレングリコール資化能を有するスフィンゴ
モナス属に属する新規微生物; (3) 前記微生物(1) および(2) の混合体〔共生系〕を調
製し、そして脂肪族および芳香族ポリエステルに作用さ
せる工程を含む、ポリエチレングリコールを含んだ脂肪
族および芳香族ポリエステルの分解方法; (4) 前記微生物(1) を、フタル酸エステルおよび/また
はフタル酸に作用させる工程を含む、フタル酸エステル
またはフタル酸の分解方法;および (5) 前記微生物(2) を、ポリエチレングリコールおよび
/またはポリエチレングリコール誘導体に作用させる工
程を含む、ポリエチレングリコールおよび/またはポリ
エチレングリコール誘導体の分解方法である。
【0006】本願発明によって取得された三つの代表的
な新規微生物〔それぞれ、「N2」、「K1」、「N
6」と命名した〕の生物学的特徴を決定するために、こ
れら新規微生物が有する菌学的性質、すなわち、形態的
性質、培地における生育状態、および生理学的性質に関
して検定を行った。
【0007】なお、分類学上の諸性質は、以下の文献を
参照して決定した。
【0008】I 「微生物の分類と同定」(長谷川武
治、編著)、学会出版センター、(1975) II 「微生物の化学分類実験法」(駒形和男、編)、学
会出版センター、(1982) III Barrow G.I. and Feltham R.K.A., "Cowan and St
eel's Manual for theIdentification of Medical Bact
eria", 3rd edition (1993), CambridgeUniversity Pre
ss. IV Board R.G., Jones D. and Skinner F.A., "Identi
fication Methods inApplied and Environmental Micro
biology", (1992) Society for AppliedBacteriology T
echnical Series 29. Blackwell Scientific. 検定の結果を、以下に列挙する。
【0009】N2の菌学的性質
【0010】
【表5】
【0011】
【表6】
【0012】K1の菌学的性質
【0013】
【表7】
【0014】N6の菌学的性質
【0015】
【表8】
【0016】なお、上記したK1およびN6は、細胞壁
脂肪酸組成ならびにキノン組成が、従前のスフィンゴモ
ナス・マクロゴルタビダスならびにスフィンゴモナス・
テラエとは全く異なり、特に、N6は、この細菌単独で
も、PEGを特異的に資化できる特徴を有していた。
【0017】上記した各新規微生物の諸性質について、
バージェイのマニュアル〔Bergey'sManual of Systemat
ic Bacteriology, Vols. 1-4〕と対照させて検索したと
ころ、N2は、コマモナス・アシドヴォランスが有する
諸性質とよく対応したので、コマモナス・アシドヴォラ
ンス PAO-N2 と命名した。 一方で、K1とN6は、共
にコリネ型細菌であるものの、同マニュアルにおいて該
当する種は検索されなかったが、M. Takeuchi らのスフ
ィンゴモナス属細菌の同定に関する報告〔M.Takeuchi,
et al., System. Appl. Microbiol., 16, 227-238 (199
3)〕ならびに同文献にて参考文献として挙げられている
文献の開示から、スフィンゴモナス属に属するものと判
断し、スフィンゴモナス PAO-K1 およびスフィンゴモナ
ス PAO-N6 とそれぞれ命名した。 しかしながら、前述
したように、本願発明のK1とN6は、細胞壁脂肪酸組
成、キノン組成、ならびにPEG資化能が独特であるこ
とから、これら参考文献に開示されたスフィンゴモナス
属細菌とは別異のものであると考えられる。
【0018】なお、本願発明にて得られた、これらコマ
モナス・アシドヴォランス PAO-N2、スフィンゴモナス
PAO-K1 およびスフィンゴモナス PAO-N6 は、平成6年
9月19日に、茨城県つくば市東町1丁目1番3号に所在
の通商産業省工業技術院微生物工業技術研究所にて寄託
され、そして、〔PAO-N2の名称で〕受託番号 FERM P-14
541 ;〔PAO-K1の名称で〕受託番号 FERM P-14542 ;
〔PAO-N6の名称で〕受託番号 FERM P-14543 が付与され
ており、本願発明は、これら寄託微生物自体はもちろ
ん、前述した能力を有するその変異体および子孫まで意
図するものである。
【0019】次に、このようにして得られた細菌の混合
培養系でのポリエステルの分解方法〔実験室規模〕の概
略を述べると、まず、ポリエステルを構成するPEGの
分子量に対応できるよう、コマモナス・アシドヴォラン
ス PAO-N2 と、スフィンゴモナス PAO-K1 あるいはスフ
ィンゴモナス PAO-N6 を、選択・準備する。 そして、
培地として、下記表9に記載の培地組成に従って調製し
た基本培地を用いた。
【0020】
【表9】
【0021】この基本培地に、適当なポリエステルを加
えて滅菌した後に、コマモナス・アシドヴォランス PAO
-N2 と、スフィンゴモナス PAO-K1 あるいはスフィンゴ
モナス PAO-N6 を植菌して、振とうする。 振とう培養
した後、培養物から菌体を遠心分離で除去し、上澄液中
の未分解物の残存量および分解生成物を、ゲル浸透クロ
マトグラフィー(以下、「GPC」と称する)に適用し
て分析する。
【0022】この培養条件は、使用する微生物の生育温
度範囲、好ましくは最適生育温度の範囲に設定すべきで
あるが、この範囲は、培地の組成、pHその他の条件によ
っても変化するので一律に規定できないが、通常は、10
〜30℃、好ましくは、20〜30℃と設定し、また、pHは中
性付近(6.0〜7.5)に設定するのが、良好な分析条件を整
える上で好ましい。
【0023】培養条件は、通常好気的条件が、微生物の
良好な生育をもたらす上で好ましく、例えば、振とう培
養法または通気撹拌培養法などが利用できる。 培養時
間としては、ポリエステルおよび分解生成物であるPE
Gが十分に分解できるまで行えばよく、通常、5〜7日
間〔PEG4000ポリエステルおよびPEG6000ポリエス
テル〕あるいは7〜10日間〔PEG20000 ポリエステル
(商品名:PAOGEN PP-15(第一工業製薬株式会社)〕で
あるが、一般的には、好ましくは、それぞれ7日以上お
よび14日以上である。 培養の際には、混合培養系に、
微生物の生育に十分な栄養物を補給する必要があり、通
常、無機塩、窒素源等が加えられる。
【0024】この無機塩としては、燐酸塩、マグネシウ
ム塩、カルシウム塩等が、また、窒素源としては、混合
培養系にて資化されるものであればよく、例えば、硫酸
アンモニウム、燐酸アンモニウム、塩化アンモニウム、
硝酸アンモニウム、および硝酸塩等が該当し、これらの
1種以上を任意に選択して使用することができる。 さ
らに、混合培養系での微生物の成長促進のための栄養源
として、適量のビタミン、酵母エキスなどを添加でき
る。 本発明では、使用する微生物が資化できるPEG
またはジアルキルフタル酸エステルを含む培養液で予め
培養して得られる菌体を、上述した基本培地と同様の組
成を有する液体に添加して、反応を行うこともできる。
【0025】また、本発明では、炭素源としてのPEG
または非イオン性界面活性剤等のPEG誘導体を含ん
だ、上述した基本培地と同様の組成からなる培地を滅菌
し、これに、スフィンゴモナス PAO-K1 あるいはスフィ
ンゴモナス PAO-N6 を植菌して、振とう培養する態様も
含む。
【0026】また、本発明では、スフィンゴモナス PAO
-K1 あるいはスフィンゴモナス PAO-N6 が資化できるP
EGあるいはその誘導体を含む培地であらかじめ培養し
て得られる菌体を、上述した基本培地と同様の組成から
なる液体に添加して、反応を行うこともできる。
【0027】さらに、本発明では、フタル酸またはその
エステルを炭素源とし、上述した基本培地と同様の組成
からなる培地を滅菌した後、これにコマモナス・アシド
ヴォランス PAO-N2 を植菌して、振とう培養する態様も
包含され、加えて、前述のスフィンゴモナス PAO-K1 あ
るいは PAO-N6 と同様に、このコマモナス・アシドヴォ
ランス PAO-N2 が資化できる炭素源を含む培地で予め培
養して得られる菌体を、上述した基本培地と同様の組成
からなる液体培地に添加し、反応を行うこともできる。
【0028】本発明のその他の態様および利点は、以下
に例示的に示した実施例の開示から明らかである。
【0029】
【実施例】実施例1:菌株の単離 前出の基本培地の単一炭素源として、PEG4000〔商品
名:PEGシリーズ(第一工業製薬株式会社)〕フター
ル酸ポリエステルあるいはPEG6000〔商品名:PEG
シリーズ(第一工業製薬株式会社)〕フタール酸ポリエ
ステルを含む、前出の組成を有する基本培地に、前述し
た本願出願人の四日市工場敷地内の土壌から分離した混
合培養試料、および大阪市住吉区内の畑の土壌から分離
した混合培養試料を含めた、日本国内各地から収集した
268種の土壌試料の水懸濁上澄液、および下水処理場か
ら入手した4種の活性汚泥試料を馴養させて得た上澄液
を、前記培地に接種した。
【0030】そして、細菌の生育に伴う培地の濁りが認
められた試料を常法(前出の「微生物工学技術ハンドブ
ック」の開示)により、集積培養を、数回繰り返した。
その結果、15種の土壌試料について良好な生育が認め
られた。 さらに、最終的に最も優れた生育を示した細
菌として、PEG4000フタール酸ポリエステルを用いた
培地から1種(混合培養系K)、そして、PEG6000フ
タール酸ポリエステルを用いた培地から1種(混合培養
系N)を、それぞれ選択した。 それぞれの培養系か
ら、ポリエステルの分解資化に関与する細菌を純粋分離
することで、培養系Kには、コマモナス・アシドヴォラ
ンス PAO-N2 とスフィンゴモナス PAO-K1が、また、培
養系Nには、コマモナス・アシドヴォランス PAO-N2 と
スフィンゴモナス PAO-N6 が含まれていることを、前出
の菌学的性質に関する分析結果から判明した。
【0031】実施例2:ポリエステル分解能〔ポリエス
テル濃度依存性〕の検定 前出の基本培地の単一炭素源として、PEG6000を含む
培地100mlを、500mlの坂口フラスコ〔振とうフラスコ40
70 FK-500:岩城硝子〕に入れた。 そして、この培地
を、120℃で、15分間、オートクレープ〔オートクレー
プ S-90-N:トミー精工〕で加熱殺菌した後、数白金耳
のスフィンゴモナス PAO-K1 をこの培地に接種し、30℃
で、3〜4日間、往復振盪培養機〔往復式振盪培養機 R
LR-3:いわしや生物科学株式会社〕にて振とう(105往
復/分)培養した〔前培養1〕。また、コマモナス・ア
シドヴォランス PAO-N2 を、ジブチルフタール酸(0.2
%:DBP)培地でスフィンゴモナス PAO-K1 の場合と
同様にして培養を行った〔前培養2〕。 一方、前培養
1および2に代わって、スフィンゴモナス PAO-K1とコ
マモナス・アシドヴォランス PAO-N2 を、基本培地の単
一炭素源としてPEG4000フタル酸ポリエステル培地
に、それぞれ数白金耳ずつ、混合接種したものを、上述
した方法に従って培養を行い、これを前培養とした〔前
培養3〕。
【0032】次に、PEG6000ポリエステルの濃度を変
えて調製した前記基本培地を、同様に、 120℃で、5分
間、オートクレープ〔オートクレープ S-90-N:トミー
精工〕で加熱殺菌し、前培養3で得られた培養物の5ml
を、この培地に接種し、30℃で、3日間、振とう(105
往復/分)培養を行った。
【0033】得られた培養液を、9000rpm で、20分間、
遠心分離〔高速冷却遠心分離機20PR-52 :日立工機〕
し、その上澄液を、GPCに適用し、分析を行った。
なお、GPCを用いた測定条件は、以下の通りである。
【0034】 使用機器:東ソー高速GPC装置 HLC
-8020 カラム: Tosoh TSHGEL G5000PWXL-G4000PWXL-G30
00PWXL-G2500PWXL(内径:7.8mm 、長さ:30cm) 溶媒: 0.1M 塩化ナトリウム(流速:0.7ml/min.、
温度:40℃) 検出器:RI(示差屈折率)検出 その分析結果を、下記表10に示した。
【0035】
【表10】
【0036】実施例3:ポリエステル分解能〔培養日数
依存性〕の検定 実施例2と同様にして調製した、PEG4000ポリエステ
ル濃度を0.5 %とした培地 100mlを、 500mlの坂口フラ
スコに入れ、オートクレープ殺菌した。 そして、実施
例2と同様にして前培養した、前培養3で得られた培養
物の5mlをこの培地に接種して、30℃で、振とう(105
往復/分)培養を行った。
【0037】この培養によって増殖した細菌の生育度は
λ=610nm での吸光度で、また、炭素源分解率を、実施
例2でのGPC測定条件と同一の測定条件下で、GPC
にて分析し、その結果を、下記表11に示した。
【0038】
【表11】
【0039】実施例4:ポリエステル分解能〔ポリエス
テル濃度依存性〕の検定 前出の基本培地の単一炭素源として、PEG6000を用い
た以外は、実施例2に記載の方法に準じて、スフィンゴ
モナス PAO-K1 の前培養〔前培養4〕、コマモナス・ア
シドヴォランス PAO-N2 の前培養〔前培養5〕、およ
び、スフィンゴモナス PAO-K1 とコマモナス・アシドヴ
ォランス PAO-N2 の混合培養〔前培養6〕を行った。
【0040】次に、PEG6000ポリエステルの濃度を変
えて調製した前記基本培地を、実施例2の場合と同様に
して、 120℃で、5分間、オートクレープ〔オートクレ
ープS-90-N :トミー精工〕で加熱殺菌し、前培養6で
得られた培養物の5mlを、この培地に接種し、30℃で、
7日間、振とう(105往復/分)培養を行った。 得られ
た培養液を、9000rpm で、20分間、遠心分離〔高速冷却
遠心分離機20PR-52 :日立工機〕し、その上澄液を、G
PCに適用し、分析を行った。 なお、GPCの測定条
件は、実施例2と同一条件とした。 その分析結果を、
下記表12に示した。
【0041】
【表12】
【0042】実施例5:ポリエステル分解能〔培養日数
依存性〕の検定 実施例4と同様にして調製した、PEG6000ポリエステ
ル濃度を0.5 %とした培地 100mlを、 500mlの坂口フラ
スコに入れ、オートクレープ殺菌した。 そして、実施
例4と同様にして前培養した、前培養6で得られた培養
物の5mlをこの培地に接種して、30℃で振とう(105 往
復/分)培養を行った。 この培養によって増殖した細
菌の生育度はλ=610nm での吸光度で、また、炭素源分
解率を、GPCによって分析し、その結果を、下記表13
に示した。 なお、GPCの測定条件は、実施例2と同
一条件とした。
【0043】
【表13】
【0044】実施例6:ポリエステル分解能〔培養日数
依存性〕の検定 前培養2で得られた培養物の10mlを、PEG 20000ポリ
エステル 0.5%を含む100ml の前出の基本培地にて、30
℃で、1日間、振とう(105 往復/分)培養を行い、こ
の培養懸濁液を、9000rpm で、20分間、遠心分離で菌体
を除去した後に、得られた培養上澄を濾過滅菌した。
そして、培養ろ液の基質とPEGの生成量に関して、実
施例2と同一条件にてGPC分析を行ったところ、ポリ
エステルはすべてPEG 20000に分解されていたことが
判明した(データ示さず)。 一方で、前出の基本培地
の単一炭素源として、PEG 20000を用いた以外は、実
施例2に記載の方法に準じて、スフィンゴモナス PAO-N
6 の前培養〔前培養7〕を行った。 そして、前記濾過
滅菌した培養上澄に、前培養7で得られた培養物の10ml
を植菌し、30℃で、15日間、振とう(105 往復/分)培
養を行った。 そして、培養開始後の8日目と15日目に
培養液を採取し、この培養により増殖した細菌の生育度
をλ=610nm の吸光度で、また、菌体を除去した上澄液
中のPEGの量の変化を、実施例2と同一条件にて、G
PCによって分析を行い、その結果を、下記表14に示し
た。 なお、8日目の分析後に、1N水酸化ナトリウム
にて反応液のpHを、7.0 に補正した。
【0045】
【表14】
【0046】実施例7:ポリエステル分解能〔ポリエス
テル種依存性〕の検定 0.2 %のジブチルフタール酸(DBP)を含む基本培地
にて、3日間、生育させたコマモナス・アシドヴォラン
ス PAO-N2 の培養液を、9000rpm で、20分間、遠心分離
して得た上澄液あるいは菌体に、 0.5%濃度のPEG40
00とフタル酸からなるポリエステル、PEG4000とイソ
フタル酸からなるポリエステル、あるいはPEG4000と
テレフタル酸からなるポリエステルのいずれか、およ
び、反応液の最終濃度が0.05Mになるように燐酸緩衝液
(pH 7.0)を加えて、30℃で、反応を進行せしめた。 こ
の反応を開始して後、1日目および3日目における基質
の分解につき、実施例2と同一条件にてGPCにて分析
を行い、その結果を、下記表15に示した。
【0047】
【表15】
【0048】実施例8:ポリエステル分解能〔ポリエス
テル種依存性〕の検定 0.2 %のジブチルフタール酸(DBP)を含む基本培地
にて、3日間、生育させたコマモナス・アシドヴォラン
ス PAO-N2 の培養液を、9000rpm で、20分間、遠心分離
して得た上澄液に、PEG4000とフタル酸からなるポリ
エステル(DMPPAO)、 0.5%濃度のPEG4000と
イソフタル酸からなるポリエステル(DMIPAO)、
あるいはPEG4000とテレフタル酸からなるポリエステ
ル(DMTPAO)のいずれかを反応基質とした。 そ
して、これら基質に作用させる酵素として、コマモナス
・アシドヴォランス PAO-N2 の培養上澄液に加え、エス
テラーゼ(100U)〔Pseudomonas sp. 由来:A. Sugihara
et al., Biosci. Biotech.Biochem. 58, 752-755 (199
4)に開示されたもの〕、リパーゼ (7000U)〔Candida cy
lindracea 由来:名糖産業株式会社〕、リパーゼ (11U)
Fusariumsp. 由来:Y. Shimada et al., J. Ferment.
Bioeng., 75, 349-352 (1993)に開示されたもの〕、お
よびリパーゼ (500U) 〔Rhizopus arrhizus 由来:Sigm
aChemical社、セントルイス、米国〕を用意した。 そ
して、反応液の最終濃度が0.05Mになるように燐酸緩衝
液(pH 7.0)を加えて反応を進行せしめた。 この反応
を、30℃で、3日間進行せしめた後、基質の分解につ
き、実施例2と同一条件にてGPCで分析を行い、その
結果を、下記表16に示した。
【0049】
【表16】
【0050】実施例9:ポリエステル分解能〔ポリエス
テル種依存性〕の検定 0.2 %のジブチルフタール酸(DBP)を含む基本培地
にて、3日間、生育させたコマモナス・アシドヴォラン
ス PAO-N2 の培養液を、9000rpm で、20分間、遠心分離
して得た上澄液あるいは菌体に、 0.5%濃度の(1) PEG4
000 とフタル酸からなるポリエステル、(2) PEG6000 と
フタル酸からなるポリエステル、(3)PEG20000とフタル
酸からなるポリエステル〔商品名:PAOGEN PP-15(第一
工業製薬株式会社)〕、(4) PEG9000-PEG2000-PEG9000
とフタル酸からなるポリエステル〔商品名:PAOGEN EP-
15(第一工業製薬株式会社)〕、および(5) PEG20000と
セバシン酸〔脂肪酸〕からなるポリエステルのいずれか
を加え、反応液の最終濃度が0.05Mになるように燐酸緩
衝液(pH 7.0)を加えて反応を進行せしめた。 30℃に
て、3日間反応を進め、その際の基質の分解につき、実
施例2と同一条件にてGPCにて分析を行い、その結果
を、下記表17に示した。
【0051】
【表17】
【0052】
【発明の効果】本発明により、フタル酸エステル、イソ
フタル酸エステルおよびテレフタル酸エステルを特異的
に分解する上に、分解物たるフタル酸をも資化できる、
コマモナス・アシドヴォランス PAO-N2 ;そして、PE
Gあるいはその誘導体を資化できるスフィンゴモナス P
AO-K1 ならびにスフィンゴモナス PAO-N6 の、各新規微
生物が提供されるのである。
【0053】すなわち、本発明によって提供されたこれ
ら新規微生物は、上記したポリエステルやPEGを炭素
源として含む増殖培地にて、それらポリエステルを分解
し、PEGを資化分解できるのみならず、これらの新規
微生物を混合培養することで、PEGフタル酸ポリエス
テルを効率よく分解し、かつ分解産物を完全に資化分解
することができるなどの効果を奏する。 また、本願発
明のこれら作用効果を加味すれば、バイオリアクター、
廃水処理、プロテインエンジニアリング等の分野での広
範な応用も、当然期待できるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI //(C12N 1/20 C12R 1:01) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 1/20 C08G 63/88 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂肪族および芳香族ポリエステルを分解
    し、かつフタール酸資化能を有することを特徴とするコ
    マモナス・アシドヴォランス。
  2. 【請求項2】 前記ポリエステルが、フタール酸、イソ
    フタール酸、テレフタール酸、およびこれらの組み合わ
    せからなるグループから選択されるポリエステルを含む
    請求項1に記載のコマモナス・アシドヴォランス。
  3. 【請求項3】 前記コマモナス・アシドヴォランスが、
    以下の菌学的性質、すなわち; 【表1】 【表2】 の菌学的性質を有する請求項1または2に記載のコマモ
    ナス・アシドヴォランス。
  4. 【請求項4】 前記コマモナス・アシドヴォランスが、
    コマモナス・アシドヴォランスPAO-N2(PAO-N2: FERM P
    -14541)である請求項3に記載のコマモナス・アシドヴ
    ォランス。
  5. 【請求項5】 スフィンゴモナス属に属する新規微生
    物、スフィンゴモナスPAO-K1(PAO-K1: FERM P-14542)
    であって、 該新規微生物が、平均分子量4,000のポリエチレングリ
    コールを資化する能力を有し、かつ以下の菌学的性質、
    すなわち; 【表3】 の菌学的性質を有する、ことを特徴とするスフィンゴモ
    ナス属に属する新規微生物。
  6. 【請求項6】 スフィンゴモナス属に属する新規微生
    、スフィンゴモナスPAO-N6(PAO-N6: FERM P-14543)
    であって、 該新規微生物が、平均分子量20,000のポリエチレングリ
    コールを資化する能力を有し、かつ以下の菌学的性質、
    すなわち; 【表4】 の菌学的性質を有することを特徴とするスフィンゴモ
    ナス属に属する新規微生物。
  7. 【請求項7】 ポリエチレングリコールを含む脂肪族お
    よび芳香族ポリエステルの分解方法であって、下記工
    程、すなわち;脂肪族および芳香族ポリエステルを分解
    し、かつフタール酸資化能を有するコマモナス・アシド
    ヴォランスと、ポリエチレングリコール資化能を有する
    スフィンゴモナス属に属する新規微生物の混合体を調製
    し、および脂肪族および芳香族ポリエステルに、前記混
    合体を作用させる、 工程を含む、ことを特徴とするポリエチレングリコール
    を含む脂肪族および芳香族ポリエステルの分解方法。
  8. 【請求項8】 前記コマモナス・アシドヴォランスが、
    コマモナス・アシドヴォランス PAO-N2(PAO-N2: FERM
    P-14541)である請求項に記載のポリエチレングリコ
    ールを含む脂肪族および芳香族ポリエステルの分解方
    法。
  9. 【請求項9】 前記スフィンゴモナス属に属する新規微
    生物が、スフィンゴモナス PAO-K1(PAO-K1: FERM P-14
    542)である請求項に記載のポリエチレングリコール
    を含む脂肪族および芳香族ポリエステルの分解方法。
  10. 【請求項10】 前記スフィンゴモナス属に属する新規
    微生物が、スフィンゴモナス PAO-N6(PAO-N6: FERM P-
    14543)である請求項に記載のポリエチレングリコー
    ルを含む脂肪族および芳香族ポリエステルの分解方法。
  11. 【請求項11】 フタル酸エステルおよび/またはフタ
    ル酸の分解方法であって、下記工程、すなわち; フタル酸エステルおよび/またはフタル酸を、脂肪族お
    よび芳香族ポリエステルを分解し、かつフタール酸資化
    能を有するコマモナス・アシドヴォランスに作用させる
    工程を含む、ことを特徴とするフタル酸エステルおよび
    /またはフタル酸の分解方法。
  12. 【請求項12】 前記コマモナス・アシドヴォランス
    が、コマモナス・アシドヴォランス PAO-N2(PAO-N2: F
    ERM P-14541)である請求項11に記載のフタル酸エステ
    ルまたはフタル酸の分解方法。
  13. 【請求項13】 ポリエチレングリコールおよび/また
    はポリエチレングリコール誘導体の分解方法であって、
    下記工程、すなわち; ポリエチレングリコールおよび/またはポリエチレング
    リコール誘導体を、請求項5または6に記載の新規微生
    物に作用させる工程を含む、ことを特徴とするポリエチ
    レングリコールおよび/またはポリエチレングリコール
    誘導体の分解方法。
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