JP2970667B1 - 光パルス応答計測装置 - Google Patents

光パルス応答計測装置

Info

Publication number
JP2970667B1
JP2970667B1 JP25581698A JP25581698A JP2970667B1 JP 2970667 B1 JP2970667 B1 JP 2970667B1 JP 25581698 A JP25581698 A JP 25581698A JP 25581698 A JP25581698 A JP 25581698A JP 2970667 B1 JP2970667 B1 JP 2970667B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical
pulse
response
optical pulse
signal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP25581698A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000088658A (ja
Inventor
憲介 小川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP25581698A priority Critical patent/JP2970667B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2970667B1 publication Critical patent/JP2970667B1/ja
Publication of JP2000088658A publication Critical patent/JP2000088658A/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Materials By The Use Of Optical Means Adapted For Particular Applications (AREA)
  • Photometry And Measurement Of Optical Pulse Characteristics (AREA)

Abstract

【要約】 【課題】 光ファイバー通信や光情報処理に用いる物質
や素子の低パルスエネルギー領域での光パルス相関によ
る応答の時間波形およびスペクトルを、繰り返し表示し
かつ積算、平均化あるいは平滑化処理を施す。 【解決手段】 変調信号発生部109で異なる変調周波
数を発生させ、励起用ビーム103および計測用光ビー
ム102を変調部107,108で100kHz以上のおのお
の異なる周波数で電気変調し、その差周波あるいは和周
波成分に同期する信号のみを測定部110からの応答信
号として位相弁別検出部112で抽出し、波形表示部1
06で繰り返し表示および積算、平均化あるいは平滑化
可能な構成として光パルス応答を計測する。これによ
り、低ノイズ化・高ダイナミックレンジ化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二つの光パルス間
の相関を利用して、物質の超高速光応答を電気的に計測
する光パルス応答計測装置に関し、特に、光通信・光情
報処理に用いる物質あるいは素子の時間波形およびスペ
クトルを繰り返し表示し、同時に積算、平均化、あるい
は平滑化処理を施すことが可能な光パルス応答計測装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、光を計測する場合、時間領域で
の応答が極めて速いため、普通の電子的計測装置ではそ
の応答に追い付けず、計測できなかった。そこで、従来
より、二つの光パルスを物質に照射して、一方の光パル
スで他方の光パルスの時間領域を拡張することにより、
光通信・光情報処理に用いる物質の超高速光応答を電気
的に計測していた。従来の二つのパルス間の相関を利用
した光パルス応答評価技術としては、例えば、モード同
期レーザーからの光パルスをビームスプリッタで二経路
に分離し、一方の経路に遅延時間を与え、この遅延時間
を掃引しながら、パルス間相関により生じた光応答を繰
り返し表示するものである。スピーカーを振動させるこ
とで遅延時間を掃引し、AlGaAsにおける光キャリアの動
特性を測定した事例が、フィジカルレビューレターズ1
983年第51巻9号840〜843ページ(Physical
Review Letters Vol. 51, No. 9, pp. 840-843 (198
3))に報告されている。また、この用途に用いる掃引型
遅延時間発生装置の精度を向上する事例が、レビューオ
ブサイエンテイフィックインスツルメンツ1991年第
62巻3号579〜583ページ(Review of Scientif
ic Instruments Vol. 62, No. 3 pp. 579-583 (1991))
に報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、光ファイバ
ー通信や光情報処理に用いる物質や素子の特性を知り、
これを最適化するには、光パルスに対する応答を時間波
形およびスペクトルとして計測し評価することが必要で
ある。しかし、上述の光パルス応答評価技術を、光ファ
イバー通信や光情報処理に用いる物質や素子の応答を評
価する目的に利用するためには以下のような問題があ
る、 二つのパルス間の相関による光パルス応答を測定する
に際し、ビームスプリッタで二経路に分割し、片方に遅
延時間を与えた後、信号変調処理をすることなく直接被
測定物に入射するという方法と取っている。しかし、光
ファイバー通信や光情報処理に用いる光のパルスエネル
ギーは10pJ(p=10の−(マイナス)12乗)あるいはそ
れ以下である。信号変調処理を施すことなく直接被測定
物に入射したのでは、単一の光パルス自体による発光成
分を除去して、ノイズを低減しダイナミックレンジを上
昇することはできない。二経路に分離した光ビーム双方
を各々異なる電気周波数で変調し、その相関成分のみを
抽出して繰り返し表示および積算、平均化あるいは平滑
化する光パルス応答計測装置が必要になる。
【0004】また、従来の二つのパルス間の相関を利
用した光パルス応答評価技術では、時間波形のみを計測
する構成となっている。光ファイバー通信や光情報処理
に用いる物質や素子の応答を評価するには、応答の生ず
るスペクトル領域を同時に把握する必要がある。スペク
トル領域の把握は、光パルス圧縮や光スイッチに利用さ
れる自己位相変調・相互位相変調などの特性を評価する
上でも不可欠であり、時間波形およびスペクトルを繰り
返し表示および積算、平均化あるいは平滑化する光パル
ス応答計測装置が必要となる。 また、従来の二つのパルス間の相関を利用した光パル
ス応答評価技術では、被測定物の温度、電気バイアス、
測定用光源の波長などの測定制御パラメーターは、自動
制御ではなく、手動により変化させる方法をとってい
る。そのため、系統的に測定パラメーターを変化させな
がら、時間波形を取得する効率は低い。測定パラメータ
を自動制御し、系統的に時間波形・スペクトルを取得す
ることが、データ取得効率の向上に必要である。
【0005】そこで、本発明の目的は、これら従来の課
題を全て解決し、光ファイバー通信や光情報処理に用い
る物質や素子の低パルスエネルギー領域での光パルス応
答を、二つのパルス間の相関を利用して評価するに際し
て、ノイズが低減し、ダイナミックレンジが上昇し、さ
らに時間波形とスペクトルの両方を繰り返し表示し、か
つ積算、平均化あるいは平滑化処理することが可能で、
測定パラメーターを自動制御することが可能な光パルス
応答計測装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の光パルス応答評価装置では、励起用および
計測用光ビームを100kHz以上のおのおの異なる周波数で
電気変調し、その差周波あるいは和周波成分に同期する
信号のみを応答信号として位相弁別抽出し、繰り返し表
示および積算、平均化あるいは平滑化可能な構成とし
た。これにより、二パルスの相関による光応答を計測す
る装置の低ノイズ化・高ダイナミックレンジ化ができ、
光ファイバー通信や光情報処理に用いる物質や素子の低
パルスエネルギー領域での光パルス応答を計測すること
ができる。そして、被測定物の光パルス応答のスペクト
ル解析を行うことが可能な測定部の構成、あるいは励起
用および計測用光パルスの波長をおのおの個別に制御す
ることが可能な光源の構成を取ることにより、光パルス
応答の時間波形およびスペクトルを繰り返し表示および
積算、平均化あるいは積算化することができる。さら
に、本発明の光パルス応答評価装置では、光源、光ビー
ム変調部、測定部、検出部などをすべてネットワーク接
続して一括制御できる構成を取ることにより、測定パラ
メータを自動制御できる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の原理および実施例
を、図面により詳細に説明する。 (原理)超高速光通信や情報処理に用いる光エレクトロニ
クス素子を開発するには、物質の持つ超高速非線形光学
応答を時間およびスペクトル領域で計測し、最適化する
ことが必要である。毎秒1テラビット(テラ=10の12乗)
あるいはそれを越える伝送速度では、フェムト秒(フェ
ムト=10の−(マイナス)15乗)の時間スケールで生ずる
非線形光学応答を光パルス応答として計測する技術が必
要になる。通常の計測器による直接波形測定では、1ps
以下の時間スケールでの光パルス応答を任意の光パルス
繰り返し周期で行うことは困難であり、光パルス間の相
関による時間分解測定が利用される。この測定技術で
は、時間軸は二つの光パルス間の相対的な遅延時間とし
て与えられる。この遅延時間を与える方法は、光学ステ
ージも用いて片方のパルスの伝送距離を変化させ、その
距離変化分を光の伝送時間の変化分に換算することによ
る。非線形光学応答の強度を得る方法は、二光パルスの
うち一方を光励起を行うポンプパルスとし、他方をポン
プパルスによる光励起に伴う物質の反射率や吸収係数な
どの変化を検出するためのプローブパルスとし、ポンプ
パルス照射によるプローブパルスの強度変化をモニター
することによる。ポンプ・プローブパルス間の遅延時間
を掃引しながらプローブパルスの強度変化をモニターす
ることにより、光パルス応答の時間波形を計測すること
ができる。また、ポンプ・プローブパルス間の遅延時間
を決めておき、モニターする波長を掃引しながらプロー
ブパルスの強度変化をモニターすることにより、光パル
ス応答のスペクトルを計測することができる。光パルス
応答の時間波形あるいはスペクトル波形をデジタルオシ
ロスコープなど波形表示機器上に表示させることによ
り、その機器の持つ高速のデータ処理機能を活用した計
測装置を構成することができる。
【0008】図10(a)(b)は、本発明の光パルス
応答計測装置の原理を示す図である。非線形光学応答で
強度の変化を得るために、図10(a)に示すように、
ポンプパルス11を物質10に照射して、物質10内で
光キャリア10aを発生させ、その光キャリアにより出
射される再結合発光の光パルス応答13を得る。そし
て、非線形定数の時間変化を調べるために、別のパルス
(プローブパルス)12を物質10に照射し、二つのパ
ルスに時間差を与えるため、その一方(ポンプパルス1
1)に遅延時間発生部で発生した遅延時間を与える。ポ
ンプパルス11およびプローブパルス12間の遅延時間
を掃引しながらプローブパルス12の強度変化を監視す
ることで、光パルス応答13の時間波形を計測できる。
ポンプパルス11の照射により発生した光キャリアの電
子と正孔が再結合し、散乱発光10bが生じるが、その
散乱発光10bが強い場合には、図10(b)に示すよ
うに、その散乱発光10bによる信号がバックグラウン
ドノイズ15となり、応答信号としての相関成分14は
ノイズ15上に乗る形状となる。バックグラウンド成分
が大きいと、モニター信号の精度が低下して、ダイナミ
ックレンジが下ってしまう。
【0009】そこで、本発明では、ポンプパルス11と
プローブパルス12をそれぞれ異なる周波数f1,f2
で変調し、それらの差または和の周波数で変調された信
号成分のみを検出することにより、バックグラウンド成
分を除去している。ここでは、InGaAsなど光通信用半導
体材料の非線形反射・透過特性を光パルス応答として計
測する用途に用いる場合を例に取ると、ポンプパルス1
1は光励起用であり、通常10pJ程度以上のパルスエネル
ギーを持つ。一方、プローブパルス12は検出用として
それ自身による光励起をさけるため、ポンプパルス11
の1%程度以下のパルスエネルギーに抑えられる。よっ
て、ポンプパルス照射によるプローブパルス12の強度
変化を検出する際、ポンプパルス照射により発生した光
キャリアの再結合発光が相対的に強くなり、その再結合
発光による信号が背景ノイズ15として混入してしま
う。この背景ノイズを除去し、ポンプ・プローブパルス
間の相関により発生した信号部分のみを取り出すために
は、ポンプパルスビームおよびプローブパルスビームの
双方をおのおの異なる周波数f1・f2で変調し、その差周
波(|f1-f2|)または和周波(f1+f2)で変調された信号
成分のみを位相検波器を備えた機器で検出すればよい。
【0010】(実施例)図1は、本発明の第1の実施例を
示す光パルス応答の時間波形を計測する光パルス応答計
測装置の全体構成図である。まず、光パルス応答の時間
波形の表示および測定制御・データ処理について、図1
により説明する。パルス光源101は、異なる二つの光
パルスビーム102および103を同じ時間タイミング
で発生するものである。例えば、光パルスビーム102
をプローブパルスビーム、光パルスビーム103をポン
プパルスビームとする。光路長を周期的に掃引する遅延
時間発生部104を用いて、ポンプパルス103の遅延
時間を周期的に掃引する。遅延時間発生部104から出
力される光路長信号を、時間基準信号(T)105とし
て波形表示部106に入力する。遅延時間発生部104
の機能は、波形表示部106で表示される時間波形の時
間軸を拡大することである。例えば、遅延時間発生部1
04で遅延時間掃引幅を6ps、掃引繰り返しを12Hzと設
定して、波形表示部106で時間波形を表示するとき、
波形表示部106の実際の掃引幅は2msとなる。この場
合、時間軸の拡大率は約3.3億倍となる。また、遅延時
間掃引幅を3ps、繰り返しを8Hzとすると、時間拡大率は
約10億(10の9乗)倍に達する。さらに、遅延時間発
生部104の光路掃引誤差を減少することにより、遅延
時間掃引幅を3ps以下にすることが可能である。その結
果、本発明の構成により、光学応答の時間波形を毎秒1
秒より速い繰り返しで表示するとき、時間拡大率を最大
で10億(10の9乗)倍以上にすることができる。そこ
で、図1では、プローブパルスビーム102およびポン
プパルスビーム103を変調するためのビーム変調部1
07および108を設けている。各々のビーム変調部1
07,108に供給する周波数f1・f2の変調用電気信
号、その差周波または和周波の位相弁別用参照電気信号
REFを供給するために、各変調用および参照用電気信号
間で位相同期のとれた変調信号発生部109を設ける。
周波数f1およびf2で変調されたプローブおよびポンプパ
ルスビーム102,103を計測対象の物質を設置した
測定部110に導入する。
【0011】InGaAsなどの光通信用半導体材料の再結合
発光の超高速特性を光パルス応答として計測する場合に
は、ポンプパルス103のみを被計測物質に照射し、出
射される再結合発光とプローブパルス102を二次非線
形光学効果を示す媒質に入射し、非線形光学周波数混合
を用いて時間波形を計測する。この場合には、光学周波
数混合の効率ができるだけ上昇するようにプローブパル
ス102の強度は高く保たれるが、再結合発光あるいは
プローブパルス102自体の光学周波数混合がバックグ
ラウンドノイズとして混入することを避けるには、前述
のようにポンプ・プローブパルス双方を異なる電気変調
周波数で変調し、相関成分のみ取り出すことが必要にな
る。測定部110では、ポンプ・プローブパルス間相関
により発生した信号が応答信号111として出力され
る。この応答信号111の例は、ポンプパルス103に
よって反射あるいは透過率が変化したプローブ光パルス
102の強度を、測定部110内の光検出器で検知し、
信号強度に応じて増幅された電気信号、またはポンプパ
ルス103によって発生した再結合発光をプローブパル
ス102との非線形光学周波数混合で光学周波数変換さ
れた光成分を検出器で検知し増幅された電気信号であ
る。波長をパラメーターとして時間波形を測定したい場
合には、検出器の前に分光器などスペクトル解析部を設
け、スリット幅を調節して得たいスペクトル領域の信号
のみを検出器へと送るようにすればよい。スペクトル全
域の信号を得たいときには、スリットを全開するか、ス
ペクトル解析部を取り外せばよい。
【0012】応答信号111は、位相弁別検出部112
へと入力され、変調電気信号の差周波あるいは和周波の
参照信号REFに同期する相関信号のみが抽出される。位
相弁別検出部112で抽出した相関信号を時間ベース信
号Tに応じて変化するポンプ・プローブ相関信号Y(T)
として波形表示部106に入力し、積算・平均化処理に
よる高速ノイズ除去を施し、波形表示部106上に時間
波形として表示する。波形表示部106は通常のオシロ
スコープでよく、遅延時間発生部104からの時間基準
信号Tにより、実際には短いスケールであるが距離を変
えることで時間スケールを長いスケールに変換してい
る。表示した時間波形を制御部113に転送し、制御部
113でデジタルデータとして保存する。また、制御部
113の演算回路とメモリーを利用して、データの更な
る積算・平均化あるいはデータを利用した計算・解析を
行うことができる。この制御部113は、実験条件を制
御するためにも用いられる。制御される実験条件は、パ
ルス光源101から出射される光パルスのピーク波長、
遅延時間発生部104で生ずる遅延時間の大きさと、遅
延時間掃引の周期、変調信号発生部109で発生する変
調電気信号の周波数f1・f2、測定部110において被測
定物に印加する電気バイアス、温度および検出信号増幅
率、位相弁別検出部112の感度・積算時定数・フィル
ター特性などである。従って、上記の各装置は制御部1
13と接続され(図1の破線参照)、制御・データ信号
の送受を行うことができるようにネットワークが構成さ
れている。
【0013】図2は、本発明の第2の実施例を示す光パ
ルス応答のスペクトル波形を計測するための光パルス応
答計測装置の全体構成図である。光パルス応答のスペク
トル波形の表示および測定制御・データ処理の動作を、
図2により説明する。パルス光源201は、異なる2つ
の光パルスビーム202および203を同じ時間タイミ
ングで発生する。光パルスビーム202をプローブパル
スビーム、光パルスビーム203をポンプパルスビーム
とする。遅延時間発生部204においてポンプパルスに
一定の遅延時間を与える。ポンプ・プローブ相関信号の
みを抽出するため、プローブ・ポンプパルスビームをビ
ーム変調部205および206を通し、異なる電気周波
数f1・f2で変調する。変調電気信号および参照電気信号
は、変調信号発生部207において発生される。被測定
物を設けた測定部208に変調されたポンプ・プローブ
パルスを入射する。被測定物からのポンプ・プローブ相
関信号を応答信号209として位相弁別検出部210に
入力する。また、測定部208に設けたスペクトル解析
装置からの波長基準信号(W)211を波形表示部21
2に入力する。ここで、Wは波長であって、AC信号を
入力して光スペクトルアナライザでプリズム回折効果に
より波長を変化させる。位相弁別検出部210において
抽出した差周波または和周波成分を波長掃引に伴う相関
信号の強度変化Y(W)として波形表示部212に入力
することによって、スペクトル波形を得る。データ処理
・実験条件の制御を制御部213を用いて行うため、破
線で示したように各部がネットワーク接続される(破線
参照)。ポンプパルス203に与える遅延時間をパラメ
ーターとして変化させ、その度にスペクトル波形を計測
することにより、時間分解スペクトル波形を得ることが
できる。このようにして得た時間分解スペクトル波形
は、被測定物の相互位相変調に伴う非線形屈折率の超高
速応答に関する情報を与えるため、光パルス圧縮素子や
光スイッチの開発に有効である。
【0014】以下、本発明の第3の実施例について説明
する。図1に示した時間波形を計測する構成、および図
2に示したスペクトルを計測する構成を、単一のシステ
ムとして統合することができる(第3の実施例)。すな
わち、遅延時間発生部104,204やスペクトル解析
装置の設定と接続ケーブルの系統を切り替えることによ
り、時間波形およびスペクトルが単一の装置により計測
できる。図1と図2の間で異なっている箇所は、図1の
波形表示部106の時間軸信号は遅延時間発生部104
から接続され、図2の波形表示部212の時間軸信号は
測定部208から接続されている点であるため、切り換
えコネクタで時間波形測定の場合には遅延時間発生部1
04,204側へ、スペクトルの測定の場合には測定部
110,208側へ、切り換えるようにすればよい。そ
れ以外は共通の接続構成でよい。時間波形とスペクトル
を計測する場合の違いは、以下の4点である。(1)時
間波形計測の場合、遅延時間発生部104で遅延時間を
掃引し、遅延時間モニター用信号を波形表示部106の
掃引用基準信号として使用する。(2)スペクトル計測
の場合、遅延時間発生部204でまず一定の遅延時間を
発生し、測定部208内のスペクトル解析装置からの波
長掃引信号を掃引用基準信号として波形表示部212に
入力する。スペクトル計測後遅延時間を変化させ、再度
スペクトルを計測する。この操作を繰り返し、遅延時間
をパラメーターとしてスペクトル波形が得られる。
(3)スペクトル計測時には、スペクトル解析装置の波
長分解能を光パルスのスペクトル幅よりも狭くすること
が必要である。(4)時間波形計測時には、スペクトル
解析装置は波長掃引せず、一定の波長で使用することが
できる。この場合、時間波形計測後波長を変化させ、再
度時間波形を計測する。この操作を繰り返すことによ
り、波長をパラメーターとして時間波形が得られる。
【0015】図3は、図1および図2におけるパルス光
源の構成図である。第4の実施例として、光パルスビー
ム102および103としてピーク波長がおのおの等し
い光パルス(波長1500nm帯)を発生するパルス光源10
1を用いて、InGaAs薄膜の反射および吸収における光パ
ルス応答の時間波形を計測する構成を説明する。このよ
うな光源の例は、モード同期Ti:sapphireレーザーで同
期励起された光パラメトリック発振器がある。装置全体
の構成は、図1のようになり、またパルス光源101の
構成は、図3のようになる。光パルス列を発生する光パ
ルス発生部301からの光パルスビームをビームスプリ
ッター302により二つの経路に分割する。ビームスプ
リッター302を透過した方のビーム303を、図1の
光パルスビーム102として利用する。ビームスプリッ
ター302で反射したビーム304の進行方向をミラー
305で曲げ透過したビーム303と平行にし、図1の
光パルスビーム103とする。透過したビーム303と
反射したビーム304とでは、伝送距離が異なるため伝
送時間が異なりタイミングがずれてしまう。そこで、伝
送時間補正部306を設け、タイミングを合わせる。こ
こで、伝送時間補正部306は伝送経路長を調整するこ
とができる光学遅延回路で構成される。本実施例では、
光通信素子に用いる材料であるInGaAsの光パルス応答の
時間波形を計測する場合を取り上げる。そこで、光パル
ス光源301は波長1500nm帯をカバーするものを用い
る。実際に使用するものは、繰り返し80MHzで光パルス
の半値全幅120fs、パルススペクトル幅20nmの光パラメ
トリック発振器である。繰り返し1GHz以上での計測を行
いたい場合などは、半導体モード同期レーザーなどを用
いればよい。
【0016】図1の遅延時間発生部104で生じた時間
基準信号105は、周期的に掃引される光路長を電圧信
号として出力したものである。その電圧を遅延時間に変
換することで時間基準が得られる。ここでは、その校正
値は2000fs/Vである。波形表示部106には、積算演算
や平均化などのデータ処理機能を有するデジタルオシロ
スコープを用いる。入力チャンネルは、強度信号Y(T)
表示・データ処理用に1〜2チャンネル、時間基準信号
T表示・データ処理用に1チャンネル、遅延時間掃引に
オシロスコープを同期させるためのトリガー信号用に1
チャンネルと、少なくとも4チャンネル必要である。オ
シロスコープのサンプリングレートとしては、平均化処
理に使用可能な最大ビット数を確保し得るレート以上で
あることが必要条件である。本実施例では、遅延時間掃
引周波数は20Hz以下でデータレコード長は10Kバイト以
下とし、サンンプリングレートは全チャンネル毎秒1Gサ
ンプルである。
【0017】図4は、図1および図2における変調信号
発生部の構成例を示す図である。ビーム変調部107、
108には、音響光学変調素子を用いる。波長1500nm帯
では、音響光学結晶としてカルコゲナイド結晶を用いた
素子を使用する。変調電気信号および参照信号を供給す
る図1の変調信号発生部109の構成は、図4(a)また
は(b)に示したものである。図4(a)は、3台の信号発
生部を用いて変調信号と参照信号を発生する。図4(b)
では、2台の信号発生部とミキサーおよび電気フィルタ
ーを用いて変調・参照信号を得る。まず、図4(a)の構
成を説明する。信号発生部401〜403が同期して電
気信号発生するために、1台から同期信号404を発生
し、他の2台はこの同期信号と同調させる。ここでは、
信号発生部403を同期信号源CLKとする。信号発生部
401、信号発生部402および信号発生部403か
ら、おのおの周波数f1の変調信号405、周波数f2の変
調信号406および参照信号(REF)407を発生させ
る。変調信号405、406で光パルスビーム102、
103を変調する。参照信号(REF)407の周波数
は、差周波で位相弁別検出部112を動作させる場合に
はf1-f2の絶対値、また和周波の場合にはf1+f2となる。
【0018】本実施例では、図3の光パルス発生部30
1のパルス繰り返し周波数は80MHzである。効率の高い
変調を行うためには、変調周波数はパルス繰り返し周波
数よりも十分低くなければならない。本実施例では、f1
およびf2をおのおの1020kHzおよび850kHzとする。よっ
て、その差周波および和周波は、おのおの170kHzおよび
1870kHzとなる。パルス繰り返し周波数に対する変調周
波数の設定は、時間波形のノイズが最小となるように設
定すればよい。変調周波数が高いほど光源の持つ1/fノ
イズは減少するが変調効率が低下し、位相弁別検出部1
12での応答信号検出感度が低下し、ノイズが相対的に
上昇してしまう。そこで、変調周波数のある領域でノイ
ズが最小となる。本実施例では、それは170kHz付近であ
った。
【0019】次に、図4(b)の構成を説明する。信号発
生部408および信号発生部409を同期信号410で
同調させ、変調信号411、412をTTL出力ポートよ
り発生する。信号発生部408および信号発生部409
の波形出力ポートからの信号をミキサー413に導入
し、差周波をローパスフィルター414および和周波を
ハイパスフィルター415を通して抽出し、参照信号4
16、417を得る。図4(a)もしくは(b)のいずれの
構成を選択するかは、各装置の性能に依存する。(a)で
は、3台の信号発生部を同調させるため、同調ずれが問
題となりやすい。その反面、参照信号407もデジタル
波形とすることができ、参照信号の波形歪みを抑えるこ
とができる。一方、(b)では、同調対象は2台の信号発
生器408、409だけであり、同調ずれの可能性は低
くなる。しかし、参照信号波形がミキサー413および
フィルター414、415の周波数特性に左右されるた
め、波形歪みの確率が高くなる。実施例中で評価した限
りでは、(a),(b)ともにノイズ特性に相違は見られな
い。すなわち、両者の差は、検出器などで発生するノイ
ズよりは低い。他の例に応用する場合には、装置の性能
や機器間の配線の特性に応じて選択する必要がある。
【0020】図5は、図1および図2における測定部の
構成例を示す図である。測定部110について、反射型
の配置での時間波形計測に適する構成を説明する。本実
施例での被測定物であるInGaAs薄膜を試料保持部501
に設置する。試料保持部501は、外部から光パルスビ
ーム504、505を被測定物に入射し、被測定物から
反射された光パルスビームを外部に出射できるよう、使
用する波長領域で透明な窓を有する。なお、被測定物を
冷却・加熱する必要がある場合には、試料保持部501
は恒温漕の機能も兼ねる。被測定物に電気バイアス加え
る場合には、バイアス制御部502を試料保持部501
に接続する。温度制御が必要な場合には、温度制御部5
03を試料保持部501に接続する。バイアス制御部5
02および温度制御部503は、図1に示した制御部1
13と接続され、制御部113により制御される。
【0021】図1の光パルスビーム102をビーム変調
部107で変調し、図5のプローブパルスビーム504
として被測定物に入射する。図1の光パルスビーム10
3をビーム変調部108で変調し、図5のポンプパルス
ビーム505として、遅延時間発生部104で遅延時間
を掃引しながら被測定物に入射する。プローブ・ポンプ
パルスビーム504、505は、レンズ506を通して
被測定物の表面で集光される。被測定物表面上のビーム
スポットを、カメラ507でモニターする。モニター画
像は、図1の制御部113へ転送されて、画像処理され
る。ポンプ・プローブパルスビームの重なりが最大、か
つスポットサイズが最小となるように、制御部113か
らパルス光源101内部のミラー305とレンズ506
おのおののマウント駆動部に位置補正信号が送られる。
プローブパルスビーム504はレンズ506で平行光に
戻され、スペクトル解析部である分光器508で特定の
スペクトル領域の成分が抽出され、光検出器509で電
気信号に変換される。この電気信号は、プローブパルス
ビーム504の強度に比例する。したがって、ポンプパ
ルスビーム505の照射に伴うプローブパルスビーム5
04の反射強度変化に応じて、電気信号は遅延時間の関
数として変化する。この電気信号を図1の応答信号11
1として位相弁別検出部112に入力する。ここでは、
測定部110は反射型の配置で計測することを念頭に置
いたが、透過型の配置でも以下の変更を行うことにより
時間波形を計測できる。まず、試料保持部501が背面
にも透明な窓を持つように変更する。次に、背面側にも
レンズを設け、透過したプローブパルスビーム504を
平行光とする。光検出器508を試料保持部501の背
面側に置き換えて、透過したプローブパルスビーム50
4の強度を検出すればよい。
【0022】以上のようにして、図1の装置の構成でIn
GaAs薄膜の光パルス応答の反射型および透過型配置での
時間波形が計測される。得られる時間波形から、可飽和
吸収あるいは二光子吸収に関する緩和時間や強度が求め
られる。また、時間波形の波長依存性から、相互位相変
調によるスペクトル変化を見積もることができる。本装
置で得られる時間波形を解析することにより、InGaAs薄
膜の超高速光応答を光通信あるいは光情報処理用の素子
の仕様に向け、最適化することができる。本実施例で示
した技術は、被測定物はInGaAs薄膜に限らず、他の光通
信用半導体材料にも適用できる。また、パルス光源10
1として紫外・可視・近赤外の波長領域で光パルスを発
生する光源を選択することにより、紫外・可視・近赤外
の波長領域で光応答を示す無機・有機物質の光パルス応
答の時間波形を計測することができる。実験条件を制御
するためには、制御部113を用いるが、制御するため
の数値パラメーターは使用者が入力する必要がある。入
力する装置としては、キーボードやマウスなどの入力端
末装置を使用すればよい。
【0023】図6および図7は、本発明の第5の実施例
を示すピーク波長の異なる二つのパルスビームを用いた
光パルス応答計測装置の光源の説明図である。第1およ
び第2の実施例では、ポンプ・プローブパルスのピーク
波長が同一であった。ポンプ・プローブパルス間でピー
ク波長が異なるパルスを用いると、ポンプパルスで励起
した光キャリアのスペクトル拡散にともなう時間波形を
得ることができる。この目的には、図1の装置全体構成
図において光パルスビーム102、103が互いに異な
るピーク波長となるようにパルス光源101を選択すれ
ばよい。そこで、ピーク波長の異なる2本のパルスビー
ムを発生する光源を、第2の実施例として図6および図
7を用いて説明する。光パルス発生部601は、図1の
光パルス発生部101と同じく、波長1500nm帯をカバー
する光パラメトリック発振器(繰り返し80MHz、光パル
スの半値全幅120fs、パルススペクトル幅20nm)であ
る。光パルス発生部601からの光パルスビームをビー
ムスプリッター602により2方向に分割する。ビーム
スプリッター602を透過したビーム603を波長変換
し、図1の光パルスビーム102とし、プローブパルス
ビームとして用いる。ビームスプリッター602で反射
したビーム604をミラー605で進路変更して、他方
のビームと平行に伝送させる。このビームを光パルスビ
ーム103とし、ポンプパルスビームとして用いる。ビ
ームスプリッター602を透過したビーム603を波長
変換し、光パルスビーム102とする構成について述べ
る。まず、ビーム603をスペクトル幅拡大部606に
入射する。拡大したスペクトル幅のうち、使用したい波
長成分を光学フィルター607を用いて抽出する。スペ
クトル幅拡大部606および光学フィルター607の持
つ群速度分散を補正しパルス時間幅の拡がりを抑えるた
めに、光パルスを群速度分散補正部608に導く。群速
度分散補正部608から出射された光パルスビームが光
パルスビーム102となる。光学フィルター607の透
過特性を変化することにより、光パルスビーム102の
ピーク波長を制御することができる。また、それに応じ
て群速度分散補償部608における補償量を調整するこ
とにより、パルスの時間幅の拡がりが除去される。
【0024】本実施例で使用するスペクトル幅拡大部6
06、光学フィルター607および群速度分散補償部6
08の具体例を、図7に示す。スペクトル幅拡大部60
6は、光ファイバー701である。すなわち、光ファイ
バー701は、強い光を入射するとスペクトルが変化す
るため、スペクトル幅拡大部66として好適な材料とな
る。この光ファイバー701は、波長1550nmで群速度分
散がゼロになる単一モードシリカ光ファイバーで、長さ
1mである。図6でビームスプリッター602を透過した
ビームを入射ビーム702とし、レンズ703で光ファ
イバー701端面に集光する。光ファイバー701を伝
送する際の光パルスの自己位相変調によりスペクトル幅
が拡大する。光ファイバー701の別の端面から出射す
るビームをレンズ704で平行光束に戻し、プリズム対
705、706を透過させる。スペクトル幅拡大部60
6を通ることで、波長の相違が生じ、それに伴って屈折
率が異なり、屈折率が大きいと光速が遅くなる。プリズ
ム対705,706は、逆の収差特性を与えることによ
り、パルス幅の広がりを補正するために用いられる。す
なわち、プリズム706を透過した後の光ビームは、伝
送方向と直交する断面で波長分散が生じている。そこ
で、光ビームの断面内の適当な位置にスリット707を
置き、必要な波長成分のみをスリット窓から選択して透
過させる。スリット窓の位置と幅を調整することによ
り、光パルスのピーク波長とスペクトル幅を変化させる
ことができる。透過した波長成分は、ルーフミラー70
8で位置を上方にシフトし逆方向に伝送し、再びプリズ
ム対706、705を透過した後、ミラー対709、7
10により、出射ビーム711として抽出される。出射
ビーム711は図1の光パルスビーム102、すなわち
プローブパルスビームとして用いられる。
【0025】ここで、スリット707は、図6の光学フ
ィルター607として機能する。この場合、スリット7
07は群速度分散のない光学フィルターの機能を提供す
るので、光ファイバー701の群速度分散のみを補償す
ればよい。また、前述のように、相対する向きにおかれ
た2個のプリズムからなるプリズム対705、706が
群速度分散補償部608の役割を担う。プリズム706
を並進させることにより、分散補償量を調整することが
できる。以上のことから、プリズム706およびスリッ
ト707おのおのをモータードライブ機能を持つ光学ス
テージ上に設置することにより、制御部113でプロー
ブパルスビームのピーク波長とスペクトル幅ならびにパ
ルス時間幅の最適化を行うことができる。以上、本実施
例で説明した光源をパルス光源101として用いること
により、ポンプ・プローブパルスビームのピーク波長を
おのおの独立に変化させて時間波形を計測することが可
能となる。
【0026】図8は、図1における測定部の内部構成図
である。第1の実施例では、時間波形の計測を行う配置
として反射型および透過型をとりあげた。第6の実施例
では、図8の配置での測定系を測定部110の内部に具
備する場合の時間波形の計測について説明する。図8
(a)には、発光の時間波形を計測するための光学測定系
の例を示す。ポンプパルスビームを励起パルスビーム8
01としてレンズ802を通して被測定物表面に集光す
る。被測定物は試料保持部803中に配置されている。
簡単のため、図では制御部およびカメラなどは省略して
いる。被測定物から出射する発光804を曲面ミラー8
05で集光して2次非線形結晶806に入射する。用い
た2次非線形結晶806は、LiIO3である。プローブパ
ルスビームをゲートパルスビーム807として、発光8
04と空間的に重なるように2次非線形結晶806に入
射する。プローブパルスは、2次非線形結晶806での
波長変換効率が最大となるように最大パワーに保たれ
る。ただし、その最大パワーは2次非線形結晶806の
破壊パワー値より低いものとする。ここで、ポンプパル
スビーム801の遅延時間を図1の遅延時間発生部10
4により掃引すると、発光804とゲートパルス807
が時間的に重なった時だけ波長変換光808が発生す
る。波長変換光808は、発光804とゲートパルス8
07の光学的和周波として発生される。このようにし
て、波長変換光として時間分解発光が得られる。これを
光検出器508で検出し応答信号111とすることで、
発光の時間波形が得られる。
【0027】次に、図8(b)の光電流検出型の測定系を
説明する。プローブパルスおよびポンプパルスをおのお
の入射パルスビーム809、810とし、おのおの等し
いパワーに保たれ、レンズ811を通して集光され、被
測定物に入射される。被測定物は、試料保持部812内
に配置されている。被測定物に光パルスが入射すると、
過渡的な光伝導が発生する。被測定物が非線形光学効果
を有すると、光伝導度に非線形性が現れる。よって、光
パルス間の遅延時間を掃引して光電流を測定することに
より、光電流パルス応答の時間波形が得られる。この方
法は、光導波路のように出射される光強度が弱い構造で
の光応答の時間波形計測に有効である。出射される光パ
ルスを検出する代わりに電流を直接検出することによ
り、検出感度が増す。被測定部から出力される光電流を
負荷813を通して電圧に変換し、光伝導信号814が
得られる。これが応答信号111となる。入射パルスビ
ーム810の遅延時間を掃引して、時間波形が得られ
る。
【0028】図9は、図2における測定部の構成例を示
す図である。第7の実施例として、スペクトル計測装置
に使用する測定部の構成を、図9により説明する。測定
の配置は反射型で説明する。透過型配置での測定系は、
第2の実施例で説明した変更を施すことにより、構成す
ることができる。その他の構成部分の性能は第2の実施
例に記述したものと等しい。図2の光パルスビーム20
2をプローブパルスビーム901としてレンズ902で
集光し、被測定物に入射する。被測定物は、例えばInGa
As薄膜である。この場合、測定する波長領域は1500nm帯
である。被測定物は、試料保持部903に設置されてい
る。図2の光パルスビーム203を、ポンプパルスビー
ム904として被測定物に入射する。ポンプ・プローブ
ビームスポットの重なりを最大とし、スポットサイズが
最小となるように制御するための画像情報を、カメラ9
05により得る。ポンプパルスビーム904とプローブ
パルスビーム901との間で、相互位相変調が発生す
る。このため、反射プローブパルスビーム906のスペ
クトルには、相互位相変調による位相変化が微分形とな
って反映される。このスペクトル特性を検出するため、
反射プローブパルスビーム906を光スペクトル解析部
907に入力する。光スペクトル解析部907では、反
射プローブパルスビーム906の強度が波長の関数とし
て得られる。
【0029】光スペクトル解析部907は、回転する回
折格子を有する分光器である。本実施例では、5Hzの繰
り返し周波数で回折格子が回転する分光器を使用するこ
とにより、波長軸が5Hzで周期的に掃引される。この周
期的な波長掃引を周期的な電圧信号として取り出し、波
長掃引信号908とする。この波長掃引信号908が図
2の波長基準信号(W)211となり波形表示部212
に入力される。同時に、波長の絶対値と掃引信号の電圧
の絶対値の対応を測定し、波長基準信号(W)211の
校正を行う。例えば、2.5V=1500nmおよび100nm/Vのよう
に校正される。一方、反射プローブパルスビーム906
は、光スペクトル解析部907の回折格子で波長分解さ
れた強度スペクトルとして光検出器909で受光され、
応答信号910として図2の位相弁別検出部210に入
力される。プローブ・ポンプパルスビーム901、90
4はおのおのビーム変調部205、206を通して周波
数f1・f2で変調されている。位相弁別検出部210で
は、応答信号910の差周波成分がポンプ・プローブ相
関によるスペクトル特性信号Y(W)として抽出され、波
形表示部212に入力される。このようにして、相互位
相変調によるスペクトル特性が得られる。
【0030】なお、図2の構成は、前述の第3の実施例
で述べたように、図1の構成と統合して単一のシステム
として時間軸・スペクトル軸上での光応答を計測するシ
ステムとして使用することができる。この場合、計測目
的に応じて、設定と接続を切り替えればよい。例えば、
緩和時間の値とその波長依存性を得たいときには、図1
の構成を選択し、波長をパラメーターとして時間波形を
計測する方が適当である。また、非線形位相変調による
スペクトル変化などを調べるときには、図2の構成を選
択し、時間をパラメーターとしてスペクトルを計測する
ことが適切となる。ポンプパルスビームの遅延時間を遅
延時間発生部204で変化させ、スペクトル波形を順次
表示・保存・解析することにより、相互位相変調の過渡
特性を評価することが可能となる。それにより、非線形
屈折率の大きさと時間応答が得られる。以上より、本装
置は非線形過渡スペクトル応答を表示し・データ処理す
ることのできる時間分解光スペクトルアナライザーの機
能を実現する。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
二つのパルス間の相関を利用して被測定物の光パルス応
答を評価するに際して、ノイズを低減させ、ダイナミッ
クレンジを上昇させ、さらに時間波形とスペクトルの両
方を計測することが可能であり、かつ積算、平均化ある
いは平滑化処理することが可能である。そして、測定パ
ラメーターを自動制御することができる光パルス応答計
測装置を実現することができるので、光ファイバー通信
や光情報処理に用いる物質や素子の低パルスエネルギー
領域での光パルス応答を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す光パルス応答の時
間波形を計測するための装置の全体構成図である。
【図2】本発明の第2の実施例を示す光パルス応答のス
ペクトル波形を計測するための装置の全体構成図であ
る。
【図3】図1、図2に用いられるピーク波長が等しい2
本の光パルスビームを発生するパルス光源の構成図であ
る。
【図4】図1、図2に用いられる変調信号発生部の構成
図である。
【図5】図1、図2に用いられる反射型光パルス応答時
間波形計測用測定部の構成図である。
【図6】本発明におけるピーク波長が異なる2本の光パ
ルスビームを発生するパルス光源の構成図である。
【図7】図6の具体例を示す光パルスの波長変換部分の
構成図である。
【図8】図1における時間波形を計測するための測定部
の構成図である。
【図9】図2における光パルス応答のスペクトル波形を
計測するための測定部の構成図である。
【図10】本発明の光パルス応答計測装置の原理を示す
図である。
【符号の説明】
101,201:パルス光源、102,202,50
4,702,807,901:プローブパルスビーム、
103,203,505,801,810,904:ポ
ンプパルスビーム、104,204:遅延時間発生部、
105:時間基準信号、106,212:波形表示部、
107,205:ビーム変調部1、108,206:ビ
ーム変調部2、109,207:変調信号発生部、11
0,208:測定部、111,209,910:応答信
号、112,210:位相弁別検出部、113,21
3:制御部、211:波長基準信号、301:光パルス
発生部、302,305,602:ビームスプリッタ
ー、303,603:スプリッター透過ビーム、30
4,604:スプリッター反射ビーム、306:伝送時
間補正部、401,402,403,408,409:
信号発生部、404,410:同期信号、407:参照
信号、405,406,407,411,412:変調
信号、413:ミキサー、414:ローパスフィルタ
ー、415:ハイパスフィルター、416:参照信号(|
f1-f2|) 、417:参照信号(f1+f2)、501,80
3,812,903:試料保持部、502:バイアス制
御部、503:温度制御部、506,703,704,
802,811,902:レンズ、507,905:カ
メラ、508:分光器、509,909:光検出器、6
01:光パルス発生部、605:ミラー、606:スペ
クトル幅拡大部、607:光学フィルター、608:群
速度分散補償部、701:光ファイバー、702:入射
ビーム、705,706:プリズム、707:スリッ
ト、708:ルーフミラー、709,710:ミラー、
711:出射ビーム、801:励起パルスビーム、80
4:発光、805:曲面ミラー、806:2次非線形結
晶、807:ゲートパルスビーム、808:波長変換
光、809:入射パルスビーム1、810:入射パルス
ビーム2、813:負荷、814:光伝導信号、90
6:反射プローブパルスビーム、907:光スペクトル
解析部、908:波長掃引信号。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二つの光パルス照射に伴う被測定物質の
    光学応答の時間波形およびスペクトルを表示する光パル
    ス応答計測装置であって、 励起用および計測用光ビームを異なる周波数で電気変調
    するビーム変調部と、 上記励起用光ビームに対して遅延時間を発生させる遅延
    時間発生部と、 変調された光ビームを上記被測定物質に照射することに
    より、上記異なる周波数の差周波あるいは和周波成分に
    同期する信号のみを応答信号として出力する測定部と、 該応答信号を入力して位相弁別抽出する位相弁別検出部
    と、 上記遅延時間発生部からの時間基準信号または上記測定
    部からの波長基準信号のいずれかを切り換え接続すると
    ともに、上記位相弁別検出部からの相関信号を接続し
    て、時間波形またはスペクトルを繰り返し表示および積
    算、平均化あるいは平滑化して出力する波形表示部とを
    有することを特徴とする光パルス応答計測装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の光パルス応答計測装置
    において、 前記波形表示部は、被測定物質の光学応答の時間波形を
    毎秒1回より速い繰り返しで表示する場合に、表示画面
    上で時間軸の最大拡大倍率を10の9乗倍以上に拡張さ
    せることを特徴とする光パルス応答計測装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の光パルス応答
    計測装置において、 前記測定部は、中心波長が1200ナノメートルから1
    600ナノメートルの範囲にある光パルスに対し、光フ
    ァイバー通信に使用される物質もしくは素子の光応答を
    計測することを特徴とする光パルス応答計測装置。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の光
    パルス応答計測装置において、 前記遅延時間発生部は、遅延時間を掃引しながら励起パ
    ルスを被測定物に入射することにより、スペクトルの計
    測時に二つのパルス間の遅延時間を可変にし、 前記測定部は、遅延時間の関数としてスペクトルを計測
    することを特徴とする光パルス応答計測装置。
  5. 【請求項5】 請求項1または4のいずれかに記載の光
    パルス応答計測装置において、 前記二つの光パルスの波長を、独立可変にしたことを特
    徴とする光パルス応答計測装置。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載の光
    パルス応答計測装置において、 前記各部に接続され、光パルスの波長、光パルスの遅延
    時間、波形表示の繰り返し周波数、被測定物に加える電
    圧、被測定物の温度、波形を検出する感度もしくは光パ
    ルス列を変調する周波数を入力端末を用いて制御する制
    御部を具備したことを特徴とする光パルス応答計測装
    置。
JP25581698A 1998-09-09 1998-09-09 光パルス応答計測装置 Expired - Fee Related JP2970667B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25581698A JP2970667B1 (ja) 1998-09-09 1998-09-09 光パルス応答計測装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25581698A JP2970667B1 (ja) 1998-09-09 1998-09-09 光パルス応答計測装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2970667B1 true JP2970667B1 (ja) 1999-11-02
JP2000088658A JP2000088658A (ja) 2000-03-31

Family

ID=17284033

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP25581698A Expired - Fee Related JP2970667B1 (ja) 1998-09-09 1998-09-09 光パルス応答計測装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2970667B1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113708878A (zh) * 2021-08-27 2021-11-26 中国科学院国家授时中心 一种基于光纤的时间和频率同时传递系统以及方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104075875B (zh) * 2014-06-04 2017-05-24 华南师范大学 一种测量微纳器件延迟特性的测量装置和测量方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113708878A (zh) * 2021-08-27 2021-11-26 中国科学院国家授时中心 一种基于光纤的时间和频率同时传递系统以及方法
CN113708878B (zh) * 2021-08-27 2023-11-03 中国科学院国家授时中心 一种基于光纤的时间和频率同时传递系统以及方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000088658A (ja) 2000-03-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6611336B1 (en) Pulse measurement using frequency shifting techniques
US6479822B1 (en) System and Method for terahertz frequency measurements
Dorrer High-speed measurements for optical telecommunication systems
US6573700B2 (en) Method of characterizing free-space radiation using a chirped optical pulse
CN107219002B (zh) 一种超高分辨率光谱测量方法及系统
US7006230B2 (en) Interferometric method and apparatus for the characterization of optical pulses
JP2009288236A (ja) 変調を利用する光スペクトルアナライザ
US5256968A (en) Measurement of high-frequency electrical signals by electro-optical effect
JP5148381B2 (ja) 光測定装置
JP2970667B1 (ja) 光パルス応答計測装置
US7411683B2 (en) Electric field measurement of optical waveforms
JP3239925B2 (ja) 光サンプリング光波形測定装置
EP0250917B1 (en) Method for signal transmission and optical communications
KR100337646B1 (ko) 광 펄스 파형 측정 장치
JP2022164179A (ja) シングルコム分光装置
Bai et al. Ultra-wideband instantaneous frequency measurement based on differential photonic time-stretch
US6856927B2 (en) Method and apparatus for the characterization of optical pulses and modulators
Li et al. Ultrafast single-shot optical vector network analyzer based on coherent time-stretch
JPH0247562A (ja) 超広域信号の周波数分析用電気光学測定装置
CN114200215B (zh) 一种基于射频谱转换的实时自相关仪及波形测量方法
JP3544901B2 (ja) 光信号電界の時間波形測定方法及び装置
Xu et al. Broadband electro-optic dual-comb interferometer with high-resolution
Zhang et al. Temporal focusing based ultrafast high-resolution spectroscopy
CN117783668A (zh) 一种光电探测器频率响应测试方法
JP2023091329A (ja) テラヘルツ波形検出装置、テラヘルツ波形の検出方法

Legal Events

Date Code Title Description
S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees