JP2970560B2 - 多段コレクタ電位低下型進行波管 - Google Patents

多段コレクタ電位低下型進行波管

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JP2970560B2
JP2970560B2 JP30930096A JP30930096A JP2970560B2 JP 2970560 B2 JP2970560 B2 JP 2970560B2 JP 30930096 A JP30930096 A JP 30930096A JP 30930096 A JP30930096 A JP 30930096A JP 2970560 B2 JP2970560 B2 JP 2970560B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多段コレクタ電位
低下型進行波管に関し、特に多段コレクタの電位低下構
造に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、通信の方式がアナログ通信からデ
ジタル通信に移行している中で、周波数の若干異なる多
数の波を同時に増幅して伝送する方式が多く用いられる
ようになった。この通信方式においても、高周波増幅器
として進行波管が頻繁に用いられている。
【0003】代表的な多段コレクタ電位低下型進行波管
の一つである2段コレクタを有するヘリックス型進行波
管の動作原理を図2に基いて説明する。
【0004】電子銃部21に内蔵される通常負の電圧に
設定される陰極2から電子ビーム24が出射され、出射
された電子ビーム24は、通常接地電位として設定され
るヘリックス電圧により加速されながら、遅波回路部4
に至る。このとき、陰極2から出射された電子ビーム2
4は、集束電極25により所定のビーム径に集束され
る。
【0005】遅波回路部4において、電子ビーム24
は、周期永久磁界発生装置26により集束された状態を
維持して遅波回路部4を通過する。この際、高周波入力
部7より入力されたマイクロ波が遅波回路部4を通過す
るときの軸方向速度が電子ビーム24の軸方向速度とほ
ぼ等しくなるように陰極2の電圧は選択される。電子ビ
ーム24は、遅波回路部4においてマイクロ波と相互作
用を起こし、電子ビーム24のエネルギーにより、マイ
クロ波は増幅されて高周波出力部8より取り出される。
【0006】その後、電子ビーム24は、電子ビーム2
4が有するエネルギー状態によって電子ビーム24の捕
捉用電極である第一コレクタ電極5或いは第二コレクタ
電極6に捕捉される。
【0007】従来の多段コレクタ電位低下型進行波管で
は、陰極2に印加されている負の電圧を基準として、第
一コレクタ電極5に印加される電圧は、第二コレクタ電
極6に印加される電圧よりも高い値に設定される。この
とき、第二コレクタ電極6に印加されている電圧は、陰
極2に印加される電圧よりも高い値となっている。
【0008】図5は、従来例に係る2段コレクタを有す
る電位低下型進行波管の電圧印加方式を示す図である。
陰極2に印加された負の電圧をVc、第一コレクタ電極
5及び第二コレクタ電極6に印加される正の電圧をVc
o11及びVco12とすると、Vco11>Vco1
2の関係にあり、接地電位であるヘリックス電圧を基準
にすると、第一コレクタ電極5に印加される電圧はVc
+Vco11、第二コレクタ電極6に印加される電圧は
Vc+Vco12となる。このとき、特殊な場合を除い
ては、電圧Vco11及びVco12が電圧Vcの絶対
値よりも大きくなることはない。
【0009】遅波回路部4を通過した電子ビーム24
は、高周波と相互作用を行ったために速度分布を有して
いる。そのため、第一コレクタ電極5に印加される電圧
Vco11は、電子ビーム24の中でも最も速度の遅い
電子のエネルギー量に見合った電圧に設定される。
【0010】上述した進行波管において、周波数が若干
異なる多数の波を同時に増幅する場合に、進行波管の非
線形性により発生する混変調歪みが問題となっている。
混変調歪みは、進行波管の遅波回路部4の設計定数だけ
でなく、コレクタ電極5,6から遅波回路部4への戻り
電子によっても劣化が引き起こされる。
【0011】たとえば図11に示されるように、二段コ
レクタを有する進行波管の下流に位置する第二コレクタ
電極の電圧を変化させた場合に、混変調歪みに影響が発
生する。第二コレクタ電極に印加される電圧の設定値
は、効率を最優先に設定されるため、電子ビーム上流に
位置する第一コレクタ電極の電圧よりも低く設定され、
その電圧設定値によって混変調歪みに大きな劣化を引き
起こすことになる。そのため、戻り電子を効果的に抑制
する必要がある。
【0012】また、混変調歪みを小さくする目的におい
て、なるべく増幅器の線形領域を利用して通信を行うた
めに、飽和出力レベルから10dB程度低いレベルで使
われることが多い。出力レベルが低くなるので、その分
だけ効率を高くするためにコレクタ電極を多段にするこ
とや、コレクタ電極の印加電圧を下げて低消費電力化す
ることなどが考えられる。これらの場合、単に多段化し
たり低電圧化しても効率は高くなるものの、遅波回路部
への不要な電子の飛び込みや、コレクタ電極からの戻り
電子による混変調歪みの劣化を招くことになる。
【0013】図6は、特開平5−94776号公報に開
示された進行波管の多段コレクタを示す構造図である。
【0014】図6において、第一コレクタ電極5、第二
コレクタ電極6、第三コレクタ電極38、二次電子3
1、一次電子32、逆行電子33、電子ビーム24、第
一電子遮蔽電極34、第二電子遮蔽電極35、電子遮蔽
電極電界36、絶縁石37を有しており、進行波管の効
率向上を目的として構成された構造となっている。
【0015】このものは、陰極電圧を基準として、第一
コレクタ電極の電圧>第二コレクタ電極の電圧>第三コ
レクタ電極の電圧の順位で設定される電圧よりも低い電
圧に設定される第一電子遮蔽電極34及び第二電子遮蔽
電極35により発生される電子遮蔽電極電界36によ
り、第二コレクタ電極6及び第三コレクタ電極38から
発生する二次電子31や逆行電子33を抑制することを
可能とする内容のものである。
【0016】図7(a)は、実開昭58−070659
号公報に開示された進行波管の多段コレクタを示す構造
図、図7(b)は、図7(a)のA−A’線断面図であ
る。
【0017】図7において、遅波回路部46、磁器支持
体40、シェル41、絶縁磁器42、第一コレクタ電極
5、第二コレクタ電極6、コレクタ絶縁磁器43、コレ
クタ44、電子ビーム24、磁石45を有しており、進
行波管の戻り電子対策を目的として、コレクタ4に入射
した電子ビームを磁界により集束してより奥へ入射させ
るとともに、偏磁によって電子ビームの軌道を変えて戻
り電子が遅波回路部へ戻るのを抑制することができるよ
うに構成されている。
【0018】このものは、第一コレクタ電極5及び第二
コレクタ電極6で発生した二次電子や戻り電子に対して
磁場の影響を利用して軌道を変える内容のものである。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術を用いた伝
送通信において、進行波管で発生する歪みを小さくする
上で入出力電力特性直線性領域を利用するために、入力
電力を上昇させても出力電力が上昇しなくなる飽和出力
から10dB程度低い小信号レベルで動作する進行波管
の場合、コレクタ電極に発生する二次電子や逆行電子な
どの戻り電子が、遅波回路部を一次電子とは逆向きに通
過するために、ヘリックス電流が増加するばかりでな
く、高周波特性にも影響を与えるという課題があった。
【0020】飽和出力から10dB程度低い小信号レベ
ルで動作する進行波管の場合、コレクタを一段のコレク
タ構造にしたとしても、多段のコレクタ構造にしたとし
ても、第一コレクタ電極に入射された電子のうち、特
に、その先端部に入力されたものは、二次電子の発生や
反射電子が存在するために遅波回路部へ戻るものがあ
る。これらの戻り電子によって高周波特性は、影響を受
けることになる。戻り電子により発生する発振なども、
その代表例である。
【0021】また、図11に示されるように第二コレク
タ電極の電圧を第一コレクタ電極の電圧よりも高い電圧
となる範囲以外では、近年デジタル通信を行う上で問題
となる混変調歪みに対しても大きな影響を及ぼすことに
なる。
【0022】図6に示された技術では、第一電子遮蔽電
極34及び第二電子遮蔽電極35により発生される電子
遮蔽電極電界36により第二コレクタ電極6及び第三コ
レクタ電極38から発生する二次電子31や逆行電子3
3を抑制することが可能であるが、第一電子遮蔽電極3
4、第二電子遮蔽電極35に印加する電圧が陰極電圧を
基準として第三コレクタ電極38に印加される電圧より
も低く、電子遮蔽用の電極が第一コレクタ電極5と第二
コレクタ電極6との間或いは第二コレクタ電極6と第三
コレクタ電極38との間に位置するため、第一コレクタ
電極5に入射した電子が二次電子31として放出された
場合、電圧の高い遅波回路部へ戻ってしまうという問題
がある。
【0023】また、本来第二コレクタ電極に入射できる
だけのエネルギー量を持った電子が、第一コレクタ電極
と第二コレクタ電極との間に存在する第一次遮蔽電極の
電界の影響により逆行電子となる場合も考えられる。
【0024】図7に示された技術では、進行波管の戻り
電子対策を目的として、コレクタ4に入射した電子ビー
ムを磁界により集束してより奥へ入射させるとともに、
偏磁によって電子ビームの軌道を変えて戻り電子が遅波
回路部へ戻るのを抑制することができるように構成され
たものであり、第一コレクタ電極5及び第二コレクタ電
極6で発生した二次電子や戻り電子に対して磁場の影響
を利用して軌道を変えている。そのため、一次電子を含
めたすべての電子に影響を及ぼすことになる。すべての
電子に対して効果的な磁場を作ることができないため、
一度コレクタに入射したとしても、電界の影響により遅
波回路部へ引き戻され、戻り電子となる電子が存在す
る。
【0025】また、従来の多段コレクタ電位低下型進行
波管では、二次電子などのコレクタからの戻り電子抑制
に対する方法が完全でないために、抑制されなかったコ
レクタからの戻り電子により、高周波特性の劣化を招く
という課題があった。
【0026】進行波管は、遅波回路部を進行する高周波
の軸方向速度とほぼ同程度の軸方向速度を有する電子ビ
ームを相互作用させ、必要な高周波特性を得るように設
計される。しかし、戻り電子が存在すると、戻り電子と
も相互作用を起こし、高周波特性の劣化を招くことにな
る。
【0027】本発明では、その原因となる戻り電子を完
全に抑制できるコレクタを提供することにある。その目
的のためには、図6に示される従来構造では第一コレク
タで発生する二次電子などの戻り電子に対しては効果は
なく、不適であることは明らかである。また図7に示さ
れる従来構造においても、第一コレクタ以降からすべて
の戻り電子に対し有効でないため不適である。
【0028】したがって本発明の目的は、飽和出力から
10dB程度低い小信号レベルで動作する進行波管の高
周波特性に影響を及ぼす、コレクタ電極からのすべての
二次電子、逆行電子を抑制し、良好な高周波特性を有す
る進行波管を提供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明に係る多段コレクタ電位低下型進行波管は、
電子銃部と、高周波回路部と、コレクタ電極とを有する
多段コレクタ電位低下型進行波管であって、 電子銃部
は、陰極から電子ビームを高周波回路に出射するもので
あり高周波回路部は、電子銃部から出射された電子ビ
ームを高周波と相互作用させるものでありコレクタ電
極は、電子を捕捉するものであって、3段に設けたもの
でありさらに前記3段のコレクタ電極は、飽和出力よ
り低い出力電力で使用される場合に、電子ビーム上流に
位置する第一コレクタ電極の電圧に比較して第二コレク
タ電極の電圧を高くし、また、第三コレクタ電極に印加
される電圧は第二コレクタ電極の電圧よりも低い電圧関
係に設定したものである。
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】また、前記電子ビーム最上流に位置する第
一コレクタ電極に印加する電圧は、前記電子ビーム上流
から2番目に位置する第二コレクタ電極に印加される電
圧よりも低く設定したものである。
【0035】
【作用】本発明による多段コレクタ電位低下型進行波管
では、陰極電圧を基準として第一コレクタ電極に印加さ
れる電圧よりも第二コレクタ電極に印加される電圧が高
くなっているため、第一コレクタ電極で二次電子などが
発生しても、遅波回路部側ではなく、第二コレクタ電極
側に電子が引張られるために戻り電子が発生しない。
【0036】また、第二コレクタ電極で二次電子が発生
しても、第一コレクタ電極の電圧の影響により再び第二
コレクタ電極に入射することになり、遅波回路部への戻
り電子は発生しない。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0038】(参考例)図1は、本発明の参考例を示す
構成図である。図1は、本発明の参考例に係る2段コレ
クタを有する進行波管への電圧印加方式を示すものであ
る。
【0039】図1において、本発明の参考例1に係る多
段コレクタ電位低下型進行波管は、電子銃部と、高周波
回路部と、コレクタとを有している。
【0040】電子銃部は、ヒータ1と陰極2と陽極3と
を有し、陰極2から電子ビ−ムを高周波回路部としての
遅波回路部4に出射するものであり、高周波回路部とし
ての遅波回路部4は、高周波入力部7と高周波出力部8
とを有し、電子銃部から出射された電子ビ−ムを高周波
と相互作用させるようになっている。
【0041】コレクタは、電子を捕捉するものであっ
て、2段に設けたものであり、該コレクタは、飽和出力
より低い出力電力で動作させる場合に、陰極電圧10を
基準として電子ビーム上流に位置する第一コレクタ電極
5の電圧を電子ビ−ム下流に位置する第二コレクタ電極
6の電圧よりも低く設定してある。
【0042】具体的には本発明においては、進行波管の
出力が、入力電力を上昇させても出力電力が上昇しなく
なる飽和出力から10dB程度低い出力レベルで使用さ
れる場合に、陰極電圧10を基準として印加される第一
コレクタ電極5の電圧12に比較して第二コレクタ電極
6の電圧13を数十Vから数百Vの範囲の高い電圧に設
定したものである。図1において、11は陽極、14は
接地電位を示す。
【0043】このとき、第一コレクタ電極5の電圧12
は、使用出力レベルにおいて最低の速度となる電子を捕
捉することができる最低の電圧に設定することが望まし
い。
【0044】図4は、出力レベルが飽和出力から10d
B程度低いときのコレクタ部に入射する電子ビームのエ
ネルギー分布を示す図である。図4において、横軸は電
子ビームのエネルギー量を遅波回路電圧で正規化したも
のであり、縦軸は電子ビームの量を総電子ビーム量で正
規化したものである。すなわち、横軸目盛りが大きい方
が電子のエネルギーは大きくなる。横軸の値をxとした
場合、電子ビームの入射できる最低の電圧は、次式によ
り求められる。 (電子ビーム入射可能電圧)=(陰極電圧)×(1−
x) また、縦軸は電子ビームの量を表し、横軸0.9のとき
にはそれぞれ以上のエネルギーを有する電子ビーム量
は、次式で求められる。 (電子ビーム量)=(総電子ビーム量)×0.47
【0045】図4(図1)によれば、第一コレクタ電極
5の電圧12は、陰極電圧10の約82%の電位低下を
行うことができる。そして、第二コレクタ電極6の電圧
13は、第一コレクタ電極5に印加された電圧12より
も数十Vから数百Vの範囲の高い電圧を印加することに
なる。
【0046】次に本発明の参考例の動作について図2及
び図3を参照して詳細に説明する。
【0047】図2において、電子銃部21の陰極2から
より出射された電子ビーム24は、集束電極25により
遅波回路部4を通過するために必要な外径に集束され、
高周波の軸方向速度とほぼ同程度の速度を持つように遅
波回路部4に入射される。
【0048】遅波回路部4に入射した電子ビーム24
は、周期永久磁界発生装置26により集束を保った状態
で、最終的により多くのエネルギーが電子ビーム24か
ら高周波へ変換されるように高周波と相互作用を行った
後に2段構造のコレクタ部23に入射する。
【0049】第一コレクタ電極5の電圧12は、これら
の電子ビーム24のうちの最も速度の遅い電子、すなわ
ちエネルギーレベルの最も低い電子が入射できる電圧に
設定されているため、高周波との相互作用を終えた電子
は、すべて第一コレクタ電極5内部に取り込まれること
になる。
【0050】図3を参照すると、第一コレクタ電極5に
入射した電子のうち軌道が乱れて第一コレクタ電極5に
入射するわずかの電子を除いてほとんどの電子は、第二
コレクタ電極6に入射することになる。第一コレクタ電
極5に入射した電子は、第一コレクタ電極5を形成する
金属固有の二次電子放出係数によってある確率で二次電
子31を放出させる。
【0051】発生した二次電子31は、第二コレクタ電
極6に印加されている電圧13が第一コレクタ電極5に
印加されている電圧12よりも高いために遅波回路部4
には戻らず、各々の放出角によって第一コレクタ電極5
或いは第二コレクタ電極6に入射することになる。第二
コレクタ電極6に入射した電子は、同様の理由により二
次電子41を放出するが、放出された二次電子41は、
第二コレクタ電極6に印加された電圧13が第一コレク
タ電極5に印加された電圧12よりも数十Vから数百V
高いために、第二コレクタ電極6側に引かれて再び第二
コレクタ電極6に入射することになり、遅波回路部4へ
の戻り電子とはならない。
【0052】次に本発明の参考例について図面を参照し
て詳細に説明する。
【0053】図1を参照すると、本発明の参考例は、進
行波管の出力が飽和出力から10dB程度低い出力レベ
ルで使用される場合に、通常3〜15kV程度の電圧が
設定される陰極電圧10を基準として、通常陰極電圧1
0の50%程度の電圧が設定される第一コレクタ電極5
の電圧12に比較して第二コレクタ電極6の電圧13と
して100V以下の範囲の高い電圧を印加するようにし
たものである。このとき、第一コレクタ電極5の電圧1
2は、使用出力レベルにおいて最低の速度となる電子を
捕捉することのできる最低の電圧に設定されることが望
ましい。
【0054】次に図2及び図3を参照して動作について
説明する。
【0055】電子銃部21の陰極2より出射された電子
ビーム24は遅波回路部4に入射され、高周波と相互作
用を行った後、コレクタ部23に入射する。第一コレク
タ電極5の電圧12は、これらの電子ビーム24のうち
の最も速度の遅い電子、すなわち、エネルギーレベルの
最も低い電子が入射できる電圧に設定されているので、
高周波との相互作用を終えた電子は、すべて第一コレク
タ電極5に取り込まれることになる。
【0056】第一コレクタ電極5に入射した電子のほと
んどが第二コレクタ電極6に入射することになるが、軌
道の乱れたごくわずかの電子は、第一コレクタ電極5に
入射することになる。第一コレクタ電極5に入射された
電子は、第一コレクタ電極5表面に衝突し、第一コレク
タ電極5を形成する金属固有の二次電子放出係数によっ
てある確率で二次電子31を放出する。
【0057】放出された二次電子31は、第二コレクタ
電極6に印加された電圧13が第一コレクタ電極5に印
加された電圧12よりも高いために、その放出角によっ
て第一コレクタ電極5に入射するか、或いは第二コレク
タ電極6側に引かれて第二コレクタ電極6へ入射するこ
とになり、遅波回路部4への戻り電子とはならない。
【0058】この場合、第一コレクタ電極5に印加され
ている電圧12よりも第二コレクタ電極6に印加されて
いる電圧13の方が高く、またその範囲が100V以下
であるので、単一構造のコレクタを有する進行波管に対
しての消費電力の増加をわずかに押さえることができ、
戻り電子による高周波特性の劣化もなくすことができ
る。
【0059】(実施形態)次に本発明の実施形態
ついて図面を参照して詳細に説明する。
【0060】本発明の実施形態に係る多段コレクタ電
位低下型進行波管おいては、コレクタは、3段に設けた
ものである。具体例を図8に基いて説明する。図8に示
す具体例では、3段のコレクタ電極構造を有しており、
本発明の実施形態2では、進行波管の出力が飽和出力か
ら10dB程度低い出力レベルで使用される場合に、陰
極電圧10を基準として印加される第一コレクタ電極5
の電圧12に比較して第二コレクタ電極6の電圧13と
して数十Vから数百Vの範囲の高い電圧を印加してい
る。また、第三コレクタ電極38に印加される電圧13
aは、コレクタで消費される電力が最低となるように第
二コレクタ電極6よりも低い電圧に設定される。
【0061】このとき、第一コレクタ電極5の電圧12
は、本発明の参考例と同様に使用出力レベルにおいて最
低の速度となる電子を捕捉することができる最低の電圧
に設定されることが望ましい。第二コレクタ電極6の電
圧13は、第一コレクタ電極5に印加された電圧12よ
りも数十Vから数百Vの範囲の高い電圧を印加され、第
三コレクタ電極38には、コレクタ部23で発生する電
力が最低になるように第二コレクタ電極6に印加されて
いる電圧13よりも低い電圧13aが印加される。
【0062】次に本発明の実施形態の動作について図
9及び図10を参照して詳細に説明する。
【0063】図9において、電子銃部21の陰極2より
出射された電子ビーム24は、図2の場合と同様に第一
コレクタ電極5内部に取り込まれることになる。
【0064】図10を参照すると、第一コレクタ電極5
に入射した電子のうち軌道が乱れて第一コレクタ電極5
に入射するわずかの電子を除いてほとんどの電子は、第
二コレクタ電極6に入射することになる。第二コレクタ
電極6に入射した電子は、第二コレクタ電極6と第三コ
レクタ電極38に印加されている電圧と電子が持ってい
るエネルギー量とに従って第二コレクタ電極6と第三コ
レクタ電極38に分配されて入射することになる。
【0065】第一コレクタ電極5に入射した電子は、第
一コレクタ電極5を形成する金属固有の二次電子放射係
数によってある確率で二次電子31を放出させる。発生
した二次電子31は、第二コレクタ電極6に印加されて
いる電圧13が第一コレクタ電極5に印加されている電
圧12よりも高いために、遅波回路部4には戻らず、各
々の放出角によって第一コレクタ電極5或いは第二コレ
クタ電極6に入射することになる。
【0066】第二コレクタ電極6に入射した電子は、同
様の理由により二次電子31を放出するが、放出された
二次電子31は、第二コレクタ電極6に印加された電圧
13が第一コレクタ電極5に印加された電圧12よりも
数十Vから数百V高いために、第二コレクタ電極6側に
引かれて再び第二コレクタ電極6に入射することにな
り、遅波回路部4への戻り電子とはならない。また、第
三コレクタ電極38に入射した電子も同様に二次電子3
1を放出するが、第二コレクタ電極6に印加されている
電圧12のために、第一コレクタ電極5や遅波回路部4
に戻ることはない。
【0067】(実施例)次に本発明の実施例につい
て図面を参照して詳細に説明する。
【0068】図8を参照すると、本発明の実施例は、
動作状態、電圧の設定範囲は参考例と同様であり、第三
コレクタ電極38が付加されていることが異なる。第三
コレクタ電極38は、コレクタ部23での発生熱量が最
低となるように第二コレクタ電極6の電圧よりも低い電
圧が印加される。このとき、第一コレクタ電極5の電圧
12は、使用出力レベルにおいて最低の速度となる電子
を捕捉することのできる最低の電圧に設定されることが
望ましい。
【0069】次に図9及び図10を参照して動作につい
て説明する。
【0070】電子銃部21の陰極2から出射された電子
ビーム24は、図2の場合と同様に第一コレクタ電極5
内部に取り込まれることになる。第一コレクタ電極5に
入射した電子は、第一コレクタ電極5の表面に衝突し、
第一コレクタ電極5を形成する金属固有の二次電子放射
係数によってある確率で二次電子31を放出する。
【0071】放出された二次電子31は、第二コレクタ
電極6に印加された電圧13が第一コレクタ電極5に印
加された電圧12よりも高いために、その放出角によっ
て第一コレクタ電極5に入射するか、或いは第二コレク
タ電極6側に引かれて第二コレクタ電極6へ入射するこ
とになり、遅波回路部4への戻り電子にはならない。
【0072】また、第二コレクタ電極6に入射した電子
は、そのエネルギー量によって第二コレクタ電極6或い
は第三コレクタ電極38に入射する。第二コレクタ電極
6に入射した電子は、第一コレクタ電極5と同様に二次
電子31を放出するが、第一コレクタ電極5と第二コレ
クタ電極6の電圧差により、第二コレクタ電極6に入射
することになり、やはり遅波回路部4への戻り電子とは
ならない。第三コレクタ電極38に入射した電子も、ま
た同様に二次電子31を放出するが、第二コレクタ電極
6に印加されている電圧のために遅波回路部4に戻るこ
とはない。
【0073】この場合、第一コレクタ電極5に印加され
ている電圧12よりも第二コレクタ電極6に印加されて
いる電圧13の方が高く、またその範囲が100V以下
であり、第三コレクタ電極38に印加されている電圧1
3aが第二コレクタ電極6よりも低く設定されており、
その設定値がコレクタ部23での発生電力を小さくする
ように決定されているため、実施例1に示される進行波
管に対して僅かに消費電力を小さくすることができ、戻
り電子による高周波特性の劣化もなくすことができる。
【0074】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、
二コレクタ電極に入射した電子は二次電子を放出する
が、放出された二次電子は、第二コレクタ電極に印加さ
れた電圧が第一コレクタ電極に印加された電圧よりも数
十Vから数百V高いため、第二コレクタ電極側に引かれ
て再び第二コレクタ電極に入射することになり、遅波回
路部の戻り電子とはならず、また第三コレクタ電極に入
射した電子も同様に二次電子を放出するが、第二コレク
タ電極に印加されている電圧のため、第一コレクタ電極
や遅波回路部に戻ることはなく、コレクタ電極で発生す
る二次電子や、戻り電子によって発生する高周波特性の
劣化を防止することができ、これにより、高効率で高周
波特性の良い進行波管が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の参考例に係る2段コレクタを有する進
行波管の電圧印加方式を示す構成図である。
【図2】2段コレクタを有するヘリックス型進行波管を
示す断面図である。
【図3】進行波管のコレクタ部を示す断面図である。
【図4】電子ビームのエネルギー準位分布を示す図であ
る。
【図5】従来の2段コレクタを有する進行波管の電圧印
加方式を示す構成図である。
【図6】特開平5−94776号公報に示された進行波
管の多段コレクタを示す構造図である。
【図7】(a)は、実開昭58−070659号公報に
示された進行波管の多段コレクタを示す構造図、(b)
は、(a)のA−A’線断面図である。
【図8】本発明の実施形態における進行波管の電圧印
加方式を示す構成図である。
【図9】3段コレクタを有するヘリックス型進行波管を
示す断面図である。
【図10】本発明の実施形態における進行波管のコレ
クタ部を示す断面図である。
【図11】第二コレクタ電極の電圧に対する混変調積を
示す図である。
【符号の説明】
1 ヒータ 2 陰極 3 陽極 4 遅波回路部 5 第一コレクタ電極 6 第二コレクタ電極 7 高周波入力部 8 高周波出力部 9 ヒータ電圧 10 陰極電圧 11 陽極電圧 12 第一コレクタ電極電圧 13 第二コレクタ電極電圧 14 接地電位 21 電子銃部 23 コレクタ部 24 電子ビーム 25 集束電極 26 周期永久磁界発生装置 31 二次電子 32 一次電子 33 逆行電子

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子銃部と、高周波回路部と、コレクタ
    電極とを有する多段コレクタ電位低下型進行波管であっ
    て、 電子銃部は、陰極から電子ビームを高周波回路に出射す
    るものであり、 高周波回路部は、電子銃部から出射された電子ビームを
    高周波と相互作用させるものであり、 コレクタ電極は、電子を捕捉するものであって、3段に
    設けたものであり、 さらに前記3段のコレクタ電極は、飽和出力より低い出
    力電力で使用される場合に、電子ビーム上流に位置する
    第一コレクタ電極の電圧に比較して第二コレクタ電極の
    電圧を高くし、また、第三コレクタ電極に印加される電
    圧は第二コレクタ電極の電圧よりも低い電圧関係に設定
    したものであることを特徴とする多段コレクタ電位低下
    型進行波管。
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