JP2963276B2 - 受光素子 - Google Patents

受光素子

Info

Publication number
JP2963276B2
JP2963276B2 JP4130922A JP13092292A JP2963276B2 JP 2963276 B2 JP2963276 B2 JP 2963276B2 JP 4130922 A JP4130922 A JP 4130922A JP 13092292 A JP13092292 A JP 13092292A JP 2963276 B2 JP2963276 B2 JP 2963276B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
receiving element
element according
light receiving
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP4130922A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05322645A (ja
Inventor
力 宮坂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP4130922A priority Critical patent/JP2963276B2/ja
Publication of JPH05322645A publication Critical patent/JPH05322645A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2963276B2 publication Critical patent/JP2963276B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は極めて速い応答速度と広
い受光面積を同時に有する新規な光電変換型受光素子に
関するものであり、パルスレーザーを主体とする光学情
報伝達系の光検出器やトリガーとして有用な受光素子に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】レーザーパルス光を利用した高速現象の
計測技術は光化学反応、光物理変化の追跡を目的とした
実験、研究の手段として広く利用されているほか、産業
用の計測機器にも広く応用されている。また、レーザー
光学は光情報通信機器や光スイッチシステム、さらには
光コンピュータにおける高速情報処理ネットワークの情
報伝達手段としても中心的に関わっている。これらのレ
ーザー光学系やそのほかのオプトエレクトロニクスシス
テムにおいて受光素子は光情報伝達の速度と光情報の時
間分解性能(情報密度)を決定する重要なデバイスとし
て役立っている。情報伝達の速度と情報密度は受光素子
の応答の速さに大きく依存し、これらはより高速で応答
する受光素子を用いることで改善される。
【0003】汎用の受光素子としては、光電子増倍管と
光半導体が知られている。光電子増倍管は二次電子放出
効果によって超高感度のフォトンカウンティングを実行
するが、極めて高感度なために測光する対象の光源の光
強度が十分に低いことが必要であり、また応答の立ち上
がり時間は通常10-9〜10-8秒の範囲に制約される。
光電子増倍管はまた高電圧源を必要とし高価であること
も欠点である。この点ではよりコンパクトで使いやすく
安価な受光素子として各種の光半導体が実用化されてい
る。代表的なものはシリコン、ゲルマニウム、カドミウ
ム、ガリウム、砒素などを含む化合物を主体とする光伝
導素子や接合構造型のフォトダイオードであり、これら
は可視から赤外の波長領域にかけて最大感度を有し、主
にバイアス電圧の印加のもとで効率のよい光電効果を与
える。光半導体は近年高性能化の図られた多くの構造の
ものが実用化しており、その原理と性能については、応
用光エレクトロニクスハンドブック、野田健一、大越孝
敬、監修、昭晃堂(1989年)あるいはAmnon Yariv
著、"Introduction to Optical Electronics,3rd Ed.",
Holt,Reinhart and Winston,Inc., New York,1985.に記
載されている。例えば、pn接合に絶縁層を挿入したp
inフォトダイオードは広く利用されているものの1つ
である。このダイオードは低電圧(約10V)の印加の
もとで動作し、半導体レーザーの出力モニター用として
また光通信の受光素子として活用されてきた。市販され
ている多くのものは1〜10mm2 の受光面積で10-8
〜10-5秒の応答立ち上がり時間を有する。この種のダ
イオードの立ち上がり時間は接合素子の受光面積を小さ
くし、接合容量の低減を図ることで改善される。従っ
て、実質的に10-9秒より小さい速い応答立ち上がりを
得るためには、素子の最終形態としては通常1mm2
下の受光面積が要求される。また、応答速度の点では、
金属−半導体のショットキー接合型ダイオードがすぐれ
ており、10-11 秒オーダーの応答が得られている(S.
Y.Wang and D.M.Bloom,Elec.Lett.,vol 19,p554(198
3))。しかし、この場合にも1つの接合チップの受光面
積を100μm2 以下に非常に小さくして素子を作製す
る必要が生じる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】固体の光半導体材料か
ら成る従来の受光素子では、高速応答を取り出すための
設計上、有効受光面積が小さいこと、また素子に外部か
ら電圧を印加して使用しなければならないこと、また高
感度であるためにレーザー光など高強度の光を受光素子
に直接入射できないこと、さらに感光部がダイオードの
微細パターンが加工された構造のため素子が高価である
ことなどの欠点があった。従って、本発明の目的は受光
面積が大きく、かつ外部電圧を印加する必要なく使用で
きて、高速の応答を有し、構造が単純で安価な受光素子
を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】従来の受光素子にかかる
以上の問題を解決するためには、シリコンなどの固体接
合素子を用いる光電変換方法に頼らず、極めて速い光電
応答が固体の接合構造中でなく単一材料を構成する分子
自体によって生じるような材料を受光層に用いることが
必要である。このような光電応答性を持った分子材料は
限られているが、応答速度と感度の点ですぐれたものは
バクテリオロドプシンとその誘導体である。
【0006】従って、上記の課題は、光学的に透明な導
電性層(カソード電極)上に、バクテリオロドプシンも
しくはその誘導体を含む感光性薄膜、親水性電解質の
層、対電極(アノード電極)が順次接合して形成される
光電変換セルが閉じた構造の導電性ケース中に収納さ
れ、該光電変換セルのカソード電極もしくはアノード電
極のいずれか一方が該導電性ケースに接地され、カソー
ド電極とアノード電極間に発生する光電流を負荷抵抗で
電圧に変換した信号が該導電性ケースの外部に出力され
ることを特徴とする受光素子を用いて達成することがで
きた。
【0007】本発明に感光材料として用いられるバクテ
リオロドプシンは光合成反応中心クロロフィル蛋白質と
ならび感光性色素蛋白質を代表する物質であり、また視
物質ロドプシンと並んでレチナールを発色団とするレチ
ナール蛋白質の典型として知られている。バクテリオロ
ドプシンは、高度好塩菌ハロバクテリア(Halobacterium
halobium)の細胞形質膜より、たとえば D.Oesterhalt,
W.Stoeckenius, Methods in Enzymology, 31, pp667-6
78(l974)に記載されている方法に従って、紫膜と呼ばれ
るディスク状膜断片(サイズ約0.5μm)の形で精製
することができる。バクテリオロドプシンは従って一般
にはこの紫膜の形態のまま使用されることが多い。バク
テリオロドプシンは蛋白質部分のオプシンとその中に埋
め込まれオプシンとシッフ結合をする発色団のレチナー
ルからなっており、このシッフ結合がもたらすオプシン
シフトと呼ばれる長波長シフトによって広い可視吸収
(550〜570nmに極大)が賦与されている。
【0008】バクテリオロドプシンは光励起されるとレ
チナールのtrans−cis光異性化反応に伴って1
-11 秒以内に最初の準安定中間体であるK中間体を生
じる。それに続き、熱的緩和の過程でL、M、Oといっ
た各種中間体の生成を経て、反応は10ms以内に1サ
イクルして最終的にtrans型レチナールを含むバク
テリオロドプシンが再生する(R. R. Birge, Annu. Rev.
Phys. Chem., 41,683(1990)参照)。M中間体の生成の
前後ではこの膜蛋白質の本来の仕事であるプロトンの輸
送が40μsから1msの時間オーダーで起こる。バク
テリオロドプシンに関わる重要な物理現象は、このよう
な光サイクルの過程でレチナールおよび蛋白質の構造変
化に由来する電荷の移動が起こることであり、この電荷
の変位(charge displacement) はバクテリオロドプシン
の外部の導電材料(電極)に静電効果として電流を誘導
させる(変位電流)。この電流応答は初期の準安定中間
体であるK中間体の生成の時限、すなわち10-11 秒以
内に生じることが期待でき、実際にその速さに等しい応
答が R. Simmeth and G. W. Rayfield, Biophys. J., 5
7, 1099 (1990)において報告されている。
【0009】バクテリオロドプシンを含む薄膜による光
電変換を計測した例は、たとえばK.Singh, et.al., Bio
phy. J., 31, pp393-402(1980), K. Ihara and Y. Muko
hara, FEBS Letters, 240, pp148-152(1988), S. Y. Li
u, Biophys. J., 57, pp943-950(1990) とその引用文献
に示されており、このなかでもっとも一般的な方法はバ
クテリオロドプシンあるいは紫膜の配向性薄膜を2種の
電極の間に挟んでサンドイッチ型の乾式ボルタイックセ
ルを作製し電極間に生じる光起電力効果を計測する方法
である。その基本はたとえばK.Nagyにより、Biochim. B
iophys. Res. Commun., 85,383(1978)に記載されてい
る。しかし、これらの従来の方法では本発明に有用な高
速の光電流応答を効率良く得ることは難しい。
【0010】本発明において用いる光電変換素子は高速
で且つ高効率の光電流応答を与えることを必要とする。
このような素子は T. Miyasaka, K. Koyama, and I. It
oh,Science, 255, 342(1992)に記載されている以下の接
合構造に基づいて構成される。すなわち、光電変換素子
はカソードとアノード(対極)の2種の電極とそれらに
挟まれたバクテリオロドプシンの薄膜および電解質を含
む親水性層からなっており、バクテリオロドプシン薄膜
の一方の面はカソード極に他方の面は親水性電解質層に
接合し、結果として、カソード極/バクテリオロドプシ
ン層/親水性電解質層/アノード極という接合構造を作
っている。このような湿式型の接合素子によって、本発
明の目的にかなった電流応答を最も効率良く取り出すこ
とができる。
【0011】図1は本発明の受光素子の典型的な構造を
示す。バクテリオロドプシンを含む光電変換素子は光学
的に透明なカソード極(1)、バクテリオロドプシン薄
膜(2)、高分子電解質ゲルの層(3)、アノード極
(4)から構成されるサンドイッチ型セルであり、この
セルは静電遮蔽のための導電性のケース(5)の内部に
収納され、アノード極からのリ−ド端子は導電性ケース
のボディーに接地されている。アノードとカソードの電
極間には電流−電圧変換用の負荷抵抗(50ohm未
満)(6)が挿入され、カソード極はボディーに取りつ
けられた同軸ケーブル用コネクター(7)の芯に結線さ
れている。図中、(8)は電極層の被覆された基板材
料、(9)は素子の支持具、(10)は受光素子の受光
口を示す。コネクター(出力端子)につなぐ同軸ケーブ
ルは二重シールドされたものがより好ましい。負荷抵抗
は応答速度を速くする目的で50ohm以下、好ましく
は10ohm以下とすることが望ましい。導電性ケース
として好ましいものは電気伝導度が103 ohm-1cm
-1より十分に大きい、あるいは面抵抗が10ohm/c
2 より十分に小さい材料(好ましくは金属材料)で覆
われた収納箱である。
【0012】本発明で用いるバクテリオロドプシンの薄
膜を作製する方法としては、例えばK.Nagy,Biochem.Bio
phys.Res.Commun., 85,pp383-390(1978)および G.Var
o, Acta Biol.Acad.Sci.Hung., 32,301-310(1981)に記
載されているように電場を用いて紫膜が配向した電着膜
を形成する方法、S-B.Hwang,et al., J.Membr.Biol., 3
6, pp115-135(1977); J. Schildkraut and A. Lewis, T
hin Solid Films, 134,pp13-26(1985); T.Furuno,et.a
l., Thin Solid Films, 160, pp145-151(1988)などに記
載されている紫膜のLangmuir膜およびLang
muir−Blodgett(LB)膜の作製法、A.
E. Blaurockk, J. Mol. Biol., 93, pp139-158 (1975)
あるいは K.Singh, et.al., Biophys. J., 31, pp393-4
02(1980)に記載されているようなカチオン性膜などの荷
電をもった担体への静電吸着を利用する方法などが挙げ
られる。これらの方法の中で、本発明の素子に用いる上
で応答効率および応答速度の点で好ましいものはLB膜
作製方法である。LB膜は、水面上に展開し2次元的に
分散した紫膜の1層から成る薄膜を固体基板上に順次移
し取り、累積することによって得られる超薄膜であり、
この作製方法は、G.G.Roberts, Langmuir-Blodgett Fil
ms,Plenum,New York,1990 に記載されている。LB膜は
紫膜が均一な表面密度で配列した膜であり、上記の湿式
型サンドイッチセルの感光膜として紫膜を用いたときに
高い効率で光電流を発生する。感光膜が薄いことは光吸
収量をセンシングに必要な最少程度に抑え、測光の対象
となるレーザー光などが必要以上素子に吸収されること
によって生じる素子の加熱を防ぐことができるために有
利である。この意味で本受光素子に用いる紫膜のLB膜
は厚さが100nm未満、LB膜層数にして20層未満
であることが好ましい。なお、LB膜をカソード電極上
に形成する上で、LB膜中に伝導率を上げる目的で金属
もしくは有機物を含む導電性を持った材料をドープする
ことができる。
【0013】本発明でカソードに用いる光学的に透明な
導電性電極の層として好ましいものは、電解に対して電
気化学的に安定で耐腐食性の高い貴金属材料(金、プラ
チナ、銀など)や、酸化スズ、酸化インジウム、および
その複合材料(酸化インジウムスズ)(ITO)に代表
される導電性金属酸化物材料の薄膜である。アノード用
の電極材料にも同様な耐腐食性の材料が用いられるが、
好ましいものは光反射性の高い貴金属類、特に、金、
銀、プラチナなどである。
【0014】バクテリオロドプシン薄膜と接合して用い
る親水性の電解質層には、電気化学的に不活性な電解質
(支持電解質)を含む水溶液やこれと水溶性高分子材料
との混合物が好ましく用いられる。電解質としては、塩
化カリウム、塩化ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ナト
リウムなどの無機塩が好ましく、これらは0.1〜5m
ol/Lの濃度範囲で用いられる。親水性電解質はバイ
ンダーとして水溶性高分子材料を含み、流動性の低いゲ
ル状態となっていることが素子の実用強度を高める点で
好ましい。高分子材料としては、水溶性のキチン誘導
体、ゼラチン、寒天、ポリアクリルアミドやその他の親
水性の合成高分子材料を用いることができる。電解質の
pHは5〜8.5の範囲であることが好ましく、電解質
層中にはpH緩衝剤が含まれないことが好ましい。電解
質層の厚みは電気抵抗を低減する目的で十分に薄いこと
が必要であり、500μm未満であることが望ましく、
100μm未満であることがさらに望ましい。電解質層
中には、光ハレーション防止のために適当な染料や顔料
を添加したり、素子の腐食防止のための保候剤を添加す
ることもできる。
【0015】本発明で用いるバクテリオロドプシンの誘
導体としては化学的な手法によってレチナールを合成の
レチナール類似体に置換して得られるバクテリオロドプ
シンの異性体や遺伝子工学的方法によって蛋白質構造を
改変して得られたバクテリオロドプシンの異性体も含ま
れる。これらの異性体はその光学吸収の波長域が天然の
バクテリオロドプシンとはそれぞれ異なるため、波長感
度の異なる光センサの構築に利用することができる。吸
収波長の異なるバクテリオロドプシン異性体の第1のグ
ループは、発色団であるレチナールをレチナールの類似
体と置換することによって得られるものである。このよ
うなレチナールの化学的置換の方法はたとえば、T. Iwa
sa, et.al., Biochemistry, 23, pp838-843(1984) に記
載されている。レチナール類似体とそれが置換して得ら
れるバクテリオロドプシンの吸収極大波長の例を以下に
示す。 (1)全トランスレチナール(天然型) (570nm) (2)5,6−デヒドロレチナール (475nm) (3)7,8−デヒドロレチナール (400nm) (4)3,4−デヒドロレチナール (593nm) (5)フルオロベンゼンレチナール (516nm) (6)フェニルレチナール (510nm) (7)ナフタレンレチナール (500nm) (8)3,7−ジメチルドデカペンタエナール (520nm) (9)レトロ−γ−レチナール (430nm) 第2の異性体のグループは、蛋白質部分であるオプシン
のアミノ酸の配列を部分的に変える操作によって得るこ
とができる。このようなアミノ酸配列の交換は例えば
T.Mogi et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 85, 4418-41
52(1988) に示されるように、遺伝子組み替え操作によ
ってオプシンの変異体を作らせて得ることができる。
【0016】以下に本発明の実施例を示すが、本発明の
好ましい態様はこれらに限定されるものではない。
【0017】
【実施例1】D. Oesterhalt and W. Stoeckenius, Meth
ods in Enzymology, 31,667(1974)の方法にしたがっ
て、密度勾配遠心法を用いて Halobacterium Holobium
の菌体からバクテリオロドプシンを含む紫膜を分離精製
し、純水に分散して吸光度6.0(560nm)のサス
ペンジョンを調製した。
【0018】紫膜の分散水溶液100μLにヘキサン1
00μLとDMF20μLを加えて振とうミキサーにか
けて紫膜の単分子膜展開用懸濁液を調製した。この懸濁
液を単分子膜製造水槽の純水相の上に展開し、水面上に
紫膜の1層が配列してなるバクテリオロドプシンの単分
子膜を作製した。この単分子膜を30mN/mの表面圧
力に圧縮した後、この圧力のもとで水平付着法によっ
て、膜厚4000Å、伝導度3×103 Ω-1cm-1のS
nO2 層(光透過率90%)が被覆された透明な導電性
ガラス基板(カソード電極、2.5×2.8cm)の表
面に移し取り、付着操作をくり返して最終的に10層の
紫膜(厚み約500Å)を基板上に累積した。このよう
にしてカソード基板上にバクテリオロドプシンの薄膜が
形成された。
【0019】バクテリオロドプシンの担持されたSnO
2 基板(厚さ1.1mm)上に厚さ200μmのテフロ
ン製のリング型スペーサ(リングの内径2.0cm)を
介してアノードの金電極(厚さ1mmのガラス基板上に
1000Åの金薄膜を被覆したもの)を置き、スペ−サ
で設けられた間隙に、高分子バインダ−として4%のカ
ルボキシメチルキチンおよび支持電解質として2Mの塩
化カリウムを含む粘性の電解質水溶液(pH7)を注入
した。このようにしてSnO2 /バクテリオロドプシン
/電解質/金電極の接合からなる光電変換素子を作製し
た。この素子が作る受光面は直径2.0cmの円であ
り、受光有効面積は約3cm2 である。
【0020】この光電変換素子を内径4cm、奥行き8
cm、厚さ1mmの銅製の円筒型ケースの中に受光面
(SnO2 電極側)がケースの受光口側を向き、入射光
路と垂直となるように設置し、図1の方式に従って、ア
ノード、カソードをそれぞれケースのボディーおよび同
軸ケーブルのコネクターの芯部と結線した。両電極間に
は10ohmの負荷抵抗を挿入した。しかし、両電極間
には素子の外部からもしくは内部でバイアス電圧はまっ
たく印加していない。ケースの受光口には面抵抗が5o
hm/cm2 のITO膜がコーティングされたガラスを
窓として取り付け、ITO膜はケースのボディーに電気
的に接地した。このようにして、受光素子の本体を作製
した。
【0021】受光素子の応答性能の評価を、パルスレー
ザーを光源に用いて実施した。パルスレーザはパルス光
の出力約1mJのYAGレーザーであり、第2高調波で
ある532nmの波長の光をパルス幅約10nsで発振
させた。このレーザーパルスが与える直径約1cmの光
束を上記の受光素子にフィルターを通さず直接入射し
た。レーザーの光束は直径約2cm2 の受光面内に収ま
るようにした。受光素子からの出力信号をオシロスコー
プ(Tektronix7912AD, 500MHz)に入力して、受光素子の
応答を端子間バイアス電圧ゼロの状態でモニターした。
この結果、第2図に示したような時間応答が得られた。
受光素子からの応答信号は、入射するレーザーパルスの
波形に遅れなく追従しており、受光素子がnsのオーダ
ーの高速応答を高いS/N比で実現していることが確認
された。
【0022】次にこの受光素子にさらにパルス幅の短い
532nmのレーザーパルスを入射し、負荷抵抗を低減
した条件下で応答の立ち上がり時間の評価を実施したと
ころ、受光素子は100psのパルス光に対しても実質
的な遅延なく応答し、応答時間は遅くとも20ps(2
×10-11 s)に達することが判明した。すなわち、本
発明の受光素子は、バクテリオロドプシンのK中間体の
生成の時限(<10ps)で高速応答を与えることが確
認された。
【0023】上記の10nsパルスのYAGレーザーを
用いて、レーザーの出力を変えた条件下で受光素子の応
答の光量依存性を計測した。その結果、受光素子の応答
はレーザーの出力10-6〜10-1Jの範囲でレーザー出
力(光量)に対して良好な直線性を与えた。受光面がレ
ーザーの光束に対して十分に広いことから、本発明の受
光素子が光量計測用の素子としても有用であることが示
された。
【0024】
【発明の効果】本発明の受光素子は、広い受光面積を有
しながら10-9秒以下の速い立ち上がりを有する光パル
スに対して高速に応答してその信号を分解する能力があ
り、印加電圧を用いずに動作でき、かつ安価に製作でき
るものである。
【0025】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の受光素子の全体の構造を示し、1は透
明導電性電極(カソード)、2はバクテリオロドプシン
(紫膜)の薄膜、3は親水性電解質の層、4は対極(ア
ノード)、5は導電性ケース(円筒型)、6は負荷抵
抗、7は同軸ケーブル用コネクタ、8は電極用基板(ガ
ラスなど)、9は支持具、10は受光口を示す。
【図2】YAGレーザーからのパルス光(532nm)
に対して本発明の受光素子を用いて得られた光電気応答
の信号波形を示す。Aは入力パルスの対時間波形、Bは
素子の応答波形である。
フロントページの続き (56)参考文献 電気化学及び工業物理化学,Vol. 60,N.10,p879(1992) 生体エネルギー変換機能利用のための 基盤技術に関する研究(第1期)成果報 告書(昭和61−63年度)p144−157 (1990) Synth Met,Vol.28,N o.1/2,pC787−C792 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01J 1/00 G01N 27/327 G01N 27/416 H01L 51/00 JICSTファイル(JOIS)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学的に透明な導電性層(カソード電
    極)上に、バクテリオロドプシンもしくはその誘導体を
    含む感光性薄膜、親水性電解質の層、対電極(アノード
    電極)が順次接合して形成される光電変換セルが閉じた
    構造の導電性ケース中に収納され、該光電変換セルのカ
    ソード電極もしくはアノード電極のいずれか一方が該導
    電性ケースに接地され、カソード電極とアノード電極間
    に発生する光電流を負荷抵抗で電圧に変換した信号が該
    導電性ケースの外部に出力されることを特徴とする受光
    素子。
  2. 【請求項2】 カソード電極を構成する透明な導電性層
    が酸化スズもしくは酸化インジウムを含むことを特徴と
    する請求項1に記載の受光素子。
  3. 【請求項3】 光電変換セルがもつ有効受光面積が、感
    光性薄膜が連続して成る単一のセル当たり20mm2
    上であることを特徴とする請求項1に記載の受光素子。
  4. 【請求項4】 親水性電解質が水溶性高分子材料のゲル
    を含む電解質であることを特徴とする請求項1に記載の
    受光素子。
  5. 【請求項5】 親水性電解質の層の厚さが500μm未
    満であることを特徴とする請求項1に記載の受光素子。
  6. 【請求項6】 感光性薄膜の厚さが100nm未満であ
    ること特徴とする請求項1に記載の受光素子。
  7. 【請求項7】 電圧変換の負荷抵抗が50ohm以下で
    あること特徴とする請求項1に記載の受光素子。
  8. 【請求項8】 感光性薄膜がLangmuir-Blodgett 法によ
    って形成された累積膜であること特徴とする請求項1に
    記載の受光素子。
  9. 【請求項9】 対極(アノード電極)の材料が、金、
    銀、プラチナから選ばれることを特徴とする請求項1に
    記載の受光素子。
JP4130922A 1992-05-22 1992-05-22 受光素子 Expired - Fee Related JP2963276B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4130922A JP2963276B2 (ja) 1992-05-22 1992-05-22 受光素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4130922A JP2963276B2 (ja) 1992-05-22 1992-05-22 受光素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05322645A JPH05322645A (ja) 1993-12-07
JP2963276B2 true JP2963276B2 (ja) 1999-10-18

Family

ID=15045876

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4130922A Expired - Fee Related JP2963276B2 (ja) 1992-05-22 1992-05-22 受光素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2963276B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6616368B2 (ja) * 2017-09-14 2019-12-04 ファナック株式会社 レーザ加工前に光学系の汚染レベルに応じて加工条件を補正するレーザ加工装置

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Synth Met,Vol.28,No.1/2,pC787−C792
生体エネルギー変換機能利用のための基盤技術に関する研究(第1期)成果報告書(昭和61−63年度)p144−157(1990)
電気化学及び工業物理化学,Vol.60,N.10,p879(1992)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05322645A (ja) 1993-12-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3071789B2 (ja) 無機酸化還元活性物質をベースとする超小型電気化学デバイス
KR101027083B1 (ko) 색소증감 태양전지
Ileperuma et al. Dye-sensitised photoelectrochemical solar cells with polyacrylonitrile based solid polymer electrolytes
US8035185B2 (en) Electrode, method of making same, photoelectric transfer element, method of manufacturing same, electronic device and method of manufacturing same
He et al. Photoelectric properties of oriented bacteriorhodopsin/polycation multilayers by electrostatic layer-by-layer assembly
Levy et al. Directed photocurrents in nanostructured TiO2/SnO2 heterojunction diodes
US5107104A (en) Photoelectric transducer having photosensitive chromoprotein film, i.e. bacteriorhodopsin
Guadalupe et al. Transport properties of cationic dyes in nafion films: unusually high diffusion coefficients and aggregation effects
Minami et al. Photoelectrochemical study on copper phthalocyanine films
Heineman et al. Mercury film nickel minigrid optically transparent thin layer electrochemical cell
JP2963276B2 (ja) 受光素子
JP2002100418A (ja) 色素増感型太陽電池及びその製造方法
Austin et al. Electrochemical and photoelectrochemical properties of rhodamine B
EP2472627A1 (en) Protein photoelectric conversion element, and tin-substituted cytochrome c
Licht et al. Multiple-bandgap photoelectrochemistry: Inverted semiconductor ohmic regenerative electrochemistry
US6087651A (en) Highly sensitive light reception element
Otero et al. Photosensitization of thin SnO2 nanocrystalline semiconductor film electrodes with metalloporphyrins and alkyl‐substituted metalloporphyrins
JPH03237769A (ja) カラー画像受光素子
US4217402A (en) Photoelectrochemical cells having gelled electrolyte
Miyasaka Design of intelligent optical sensors with organized bacteriorhodopsin films
JPH06174544A (ja) 受光素子
Wang et al. Photoswitch based on bacteriorhodopsin Langmuir–Blodgett films
JPH06186078A (ja) 光電変換材料
CN111812082A (zh) 光电化学电致变色间接分析检测装置及其制作方法
JPH05206489A (ja) 光電変換素子

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070806

Year of fee payment: 8

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070806

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080806

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees