JP2961351B2 - 海洋浮体構造物 - Google Patents
海洋浮体構造物Info
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Description
物に関し、更に詳しくは、海洋浮体構造物に装備される
海水タンク、代表的にはタンカー、貨物輸送船等の船舶
に装備されるバラストタンクの腐食を防止するようにし
た海洋浮体構造物に関する。
の時でも船体が安定するようバラストタンクを装備して
いる。バラストタンクに注入される海水は、鋼に対し腐
食作用を持っており、バラストタンクを構成している鋼
の腐食を促進する。このバラストタンクの腐食において
は、海水で満たされている部分の腐食速度はそれほど大
きくはなく、むしろ水面上の空間部に接するタンク内壁
の腐食が激しいことが知られている。これは、空間部の
内壁が常に湿潤状態であり、腐食を起こす酸素が空気中
から十分に供給され続けられることによる。
として、バラストタンク内を減圧して酸素濃度を低減す
る方法が特開昭48−73993号公報により提案され
ている。
下になるように、例えば、0.2気圧まで減圧すると、8
0トン/m2 の大気圧(外圧と内圧の差圧)がバラスト
タンク外壁に生じる。この結果、通常の板厚では変形を
生じたり、航海中の波浪の影響により鋼板に亀裂が非常
に発生しやすくなる。このため、鋼板厚みを増加させた
り、梁の本数を増やす必要があり、経済性を喪失するた
め実用的でなかった。さらに、広大なバラストタンクを
真空ポンプで減圧するには、多数の真空ポンプを必要と
し、この量が少ないと減圧に時間を要するばかりでな
く、真空ポンプに負荷がかかりすぎて、モーターの焼き
付き等の異常事態発生の危険性が高まる。
減圧して酸素濃度を低減するバラストタンク防食方法
は、実用化されていない。
よりタールエポキシ塗料等による塗装により行われてい
る。しかし、船舶の中でも特にタンカーは、座礁時のオ
イル流出防止の観点から二重殻構造(ダブルハル)が義
務付けられるようになり、通常は、その二重殻部分がバ
ラストタンクとした使用されるが、そのバラストタンク
は単殻構造の専用バラストタンクに比し、塗装面積が著
しく増大し、経済性の著しい悪化を招く。そのため、塗
装に代わる経済的な防食方法が求められている。
が、特開平4−55188号公報にみられるように、イ
ナートガスをバラストタンク内の空間部に導入して酸素
濃度を低減する方法である。
号公報に示されている方法では、そのイナートガスとし
てボイラー排ガスが用いられている。ボイラー排ガスは
船内で自家製造されるので非常に経済的である。しか
し、排ガス中に含まれるSO2 やCO2 ガスが腐食を促
進するため、実効ある防食性が得られなかった。また、
これらの汚染ガスを除去して使用する場合でも、汚染ガ
ス除去に高価な洗浄装置が必要となる上、排ガス中に2
〜5%程度の酸素ガスが残存するため、腐食速度の低減
は可能であっても、塗装を省略できるレベルに腐食を抑
えることはできない。
スを用いる場合は、その実効性および経済性を別にして
もなお供給の面で大きな問題がある。
候により調整されるため、航海中にバラストタンク内の
イナートガス量を調整する必要がある。船内で自家製造
されるイナートガスはこの調整が可能であるが、自家製
造されないイナートガスは船舶が港湾に停泊していると
きにしかガス供給を受けることができないため、この調
整が不可能である。また、バラストタンクを備える船舶
はあらゆる国や港へ航海するが、自家製造されないイナ
ートガスを用いる場合は、そのガスの種類によっては現
地で迅速にガス入手を行えない危険性がある。
ナートガスを用いることにより、防食塗装なしで海水タ
ンクの防食を図る経済的で実効性の高い方法により、防
食塗装なしで海水タンクの防食を図り、しかも、その防
食に排ガス以外のイナートガスを用いるにもかかわら
ず、その供給上の不安を解消する海洋浮体構造物を提供
することにある。
は、内壁が防食塗装の省略された裸使用である海水タン
クと、液体窒素を貯蔵する液体窒素タンクと、前記海水
タンク内の空間部の酸素濃度を検出し、検出された酸素
濃度が2%以下に保持されるように、前記空間部へ窒素
を供給する配管系とを具備する。
窒素タンクに貯蔵する液体窒素を自家製造するために、
更に液体窒素製造装置を具備する。
窒素タンクから海水タンクへ窒素を供給する配管系に、
液体状態の窒素を気化させる蒸発機を設けたものであ
る。
いく。 アノード反応:Fe→Fe2++2e- カソード反応:1/2O2 +H2 O+2e- →2OH-
ド反応が抑制され、全体として腐食反応が抑制されるこ
とが分かる。通常、大気中には20%の酸素が含まれて
いるが、バラストタンクの空間部の酸素濃度を2%以下
にすれば、その腐食速度を1/10以下に減ずることが
でき、その結果として海水タンクの内壁が防食塗装の省
略された裸使用であるにもかかわらず、その内壁の腐食
が効果的に抑制される。なお、裸使用とは、建造後に防
食・防錆のための塗装を行わずに使用することを意味す
る当該分野の慣用語であり、建造中の赤錆等の発生を防
止するめに部材に行われる1次防錆処理まで排除するも
のではない。
ガスを海水タンクに吹き込めば良いわけであるが、この
時、ボイラーの燃焼排ガスを用いると、SO2やCO2
ガス等の腐食性ガス及び酸素が混入しているため、腐食
抑制の効果は少ない。アルカリ水を通してSO2を除去
したガスを用いてもCO2や酸素の影響で、腐食速度は
1/2程度にしかならず、実用性のある防食効果は得ら
れない。
素ガスを用いる。アルゴンガスも防食に有効なイナート
ガスであるが、ボイラー排ガスを除くと、窒素ガス以外
のイナートガスは非常に高価であるので、窒素ガスを用
いる必要がある。
るときには、タンク内を加圧状態に保つことが望まし
く、具体的には大気圧に比し0.01〜0.2気圧の加圧状
態が望ましく、0.02〜0.1気圧の加圧状態が特に望ま
しい。こうすることにより、海水タンク内の酸素濃度を
最小量の窒素ガスで効率的に低下させることが可能にな
り、この時の酸素濃度を0.5%以下まで下げることがで
きる。酸素濃度を0.5%以下にすると、鋼材の腐食速度
は、通常の大気条件に対し1/40以下に低下し、海水
タンクを無塗装で使用することが可能になる。なお、加
圧が過ぎると、鋼板に圧力がかかるため、鋼板に変形を
生じたり、波浪の影響により亀裂を生じ易くなるので、
好ましくない。
いて詳述する。
搭載するのは、必要に応じ、いつでもバラストタンクに
窒素ガスを供給できるようにするためである。単にバラ
ストタンク内に窒素ガスを供給するだけであれば、港湾
に停泊中にタンクローリー車を横付けして供給すること
も可能であるが、バラストタンク内のバラスト海水量
は、天候により調整を行うため、航海中においても、常
時窒素ガスを供給可能にしておく必要がある。また、窒
素を貯蔵するには、気体の状態で貯蔵する方法も考えら
れるが、液体窒素の状態は、気体状態の1/500以下
になるため、タンクが小規模で済むという利点がある。
気体状態では、例えば100気圧に加圧しても、体積が
1/100にしかならず、かつ加圧状態に耐えられる強
度を保つには、タンク壁の肉厚を厚くする必要があり経
済的でない。このため液体窒素タンクが必須となる。
述のように港湾に停泊している間にタンクローリーから
行うこともできるが、船体に液体窒素製造装置を搭載し
ておく方が好適である。船舶はあらゆる国や港へ航海す
ることになるが、現地で迅速に液体窒素を入手できると
は限らないからである。液体窒素製造設備は比較的高価
であるが、バラストタンク容量の大きい大型船舶におい
ては、液体窒素製造設備を設置しても経済性を損なうこ
とはない。
に供給されるが、空荷時はバラスト海水が満水状態にな
るため、窒素はほとんど必要とされない。荷積み時にバ
ラストタンクより海水が排水されるが、この排水に併せ
て窒素の注入を行う。この時、バラストタンクは密閉状
態を保つと共に、窒素供給を停止して航海している間も
密閉を保つことが肝要である。
される窒素は、蒸発機により予め気化させておくことが
好ましい。液体窒素状態で連続的に長時間バラストタン
クに窒素を供給し続けると、一時的にバラストタンク内
が冷却され、その温度が0℃以下になると、排水途中の
海水が氷結したり、バラストタンクを構成する鋼材が低
温脆化割れを起こす危険が出てくるためである。
の排水、ボイラー排熱等を利用することができ、これら
は経済的でもある。
ストタンクに窒素を注入後、次の注入までの間すなわち
通常一往復する間に、液体窒素タンクが満たんにできる
ような能力のものを選択する必要があることは言うまで
もない。
てバラストタンク、液体窒素タンク、液体窒素製造装置
および蒸発機を装備した船舶を示す。また、図2にその
船舶における窒素供給系統を示す。
カーであり、その二重殻の部分を船長方向に区切って形
成した複数のバラストタンク1,1…を備えている。バ
ラストタンク1,1…の各内壁は裸使用であり、タール
エポキシ塗料等による防食塗装は施されていない。各バ
ラストタンク1は、バラストポンプ2により海水が注入
・排出されることにより海水量が調節される構成になっ
ている。また、各バラストタンク1内の空間部に窒素ガ
スを常時充満させるために、デッキ上には液化窒素製造
装置3、液化窒素タンク4および蒸発機5が設置されて
いる。
空気を原料として液化窒素を製造する。製造された液化
窒素は一旦液化窒素タンク4に貯蔵される。タンク内の
液化窒素は、必要に応じて蒸発機5に送られ、ここで窒
素ガスに気化される。その窒素ガスは供給弁6,6…を
介してバラストタンク1,1…へ供給される。供給弁
6,6…は後述する吐出弁7,7…と共に制御器8によ
り次のようにして開度が制御される。
て、バラストタンク1内の空間部を窒素ガスに置換す
る。その後は、空間部の圧力を圧力計9によりモンダリ
ングしてその圧力情報を制御器8に与える。バラストタ
ンク1内の海水を排出し始めると、空間部の圧力が下が
る。このとき制御器8は、空間部が若干加圧状態を維持
するように、供給弁6を用いて、空間部に窒素ガスを供
給する。窒素ガスの供給時に空間部の圧力が下がると、
大気が空間部に侵入し、窒素ガスを必要以上に消費する
からである。バラストタンク1内に海水を注入するとき
は、吐出弁7を用いて空間部の窒素ガスを大気中に放出
する。
を検出し、その酸素濃度が管理値(2%以下)を超えな
いように、空間部に適宜窒素ガスをパージする。このと
きも、空間部が若干加圧状態となるように、供給弁6お
よび吐出弁7の開度が制御される。なお、制御器8は、
必要量の窒素ガスが確保されるように蒸発器5等も制御
する。
舶以外に、浮力調整用バラストタンクを備えた浮体空港
島や浮体橋等を含む。本発明はこれらに装備された浮力
調整用バラストタンク等の防食も行うことができる。
試験では、図3に示す400×200×200mmのア
クリル製試験槽11に人工海水12を100mmの高さ
になるように入れた後、サンプル13として150×7
0×3.2mmのSS−41鋼板を側壁(気液界面)、天
井(気相部)、底面(液相部)に設置した。SS−41
鋼板は予め研磨により除錆したものを用いた。
すガスをタンク14から1リットル/分の流量で1時間流
し、槽内の雰囲気を置換した。この後は、1リットル/分の
流量で、5分間/日の割合でガス置換を行った。酸素濃
度計15により槽内の空間部の酸素濃度をモニタリング
したところ、この置換により、空間部の酸素濃度はほぼ
一定に保たれた。また、試験槽11を加振台16の上に
設置し、10秒サイクルで±10°の傾斜を与えること
により加振した。これにより、側壁部には±17mmの
振動が与えられた。
プルを取り出し、その錆をクエン酸アンモニウムで除去
し、最大減肉量を測定した。結果を表2に示す。試験例
2〜4では、酸素濃度が2%以下に制限され、また残部
が不活性な窒素ガスだけで構成され、腐食性を有するガ
スを含まないため、効果的に腐食が抑制されている。一
方、試験例1及び5〜7では酸素濃度が高いとか、腐食
性ガスの影響といった理由で、腐食制御の効果が乏しい
ことがわかる。通常、船舶においては2mmの腐食しろ
を見込んでいるため、試験例2〜4に認められる腐食速
度では、鋼材を塗装することなしにいわゆる裸使用が可
能である。
1実施例として、積載量1万トン級貨物船に液体窒素タ
ンク、液体窒素蒸発機及びバラストタンクへの供給配管
を設置した。バラストタンクの容量は4000m3 であ
り、液体窒素タンク容量は15m3 である。バラストタ
ンク内壁は、裸使用であり特に塗装等の防錆処理を施し
ていない。
1週間約500kmの距離を1往復し、1年間に50往
復(航行距離約5万km)した。この間、バラストタン
ク内は、液体窒素タンクから蒸発機を介して気化された
窒素ガスによりパージされ、酸素濃度計でモニタリング
された酸素濃度は常時0.5%以下で平均0.2%であっ
た。また、窒素ガス注入に際しては、バラストタンク内
を大気圧より0.03気圧高く管理すると共に、内壁の鋼
材温度を0℃以下にならないよう管理した。
減肉量を測定した。鋼材の腐食は、バラスト満水時の喫
水線付近が最も目立ったが、減肉量は10μm以下であ
り、大きな腐食は起こっていないことがわかる。この腐
食速度は、20年後においても減肉量0.2mm以下と推
定され、裸使用が十分可能なことを示している。
給は、港湾停泊時にタンクローリーより行った。
2実施例として、積載量27万トン級タンカーに液体窒
素製造装置、液体窒素タンク、液体窒素蒸発機及びバラ
ストタンクへの供給配管を設置した。バラストタンクの
容量は11万m3 であり、液体窒素タンク容量は300
m3 である。バラストタンク内壁は、裸使用であり特に
塗装等の防錆処理を施していない。液体窒素製造装置の
液体窒素製造能力は20m3 /日である。
往復/2月の割合で6往復/年した。この間、バラスト
タンク内は液体窒素タンクから蒸発機を介して気化され
た窒素ガスによりパージされ、酸素濃度計でモニタリン
グされた酸素濃度は常温0.5%以下で平均0.2%であっ
た。また、窒素ガス注入に際しては、バラストタンク内
を大気圧より0.03気圧高く管理すると共に、内壁の鋼
材温度を0℃以下にならないよう管理した。また、バラ
ストタンク注入により減少した液体窒素は、液体窒素製
造装置を航行中に連続運転することにより補充し、バラ
スト海水を排水し、窒素ガスを補充する必要が生じると
きには、液体窒素タンクが満たんになるようにした。
の減肉量を測定した。鋼材の腐食はバラスト満水時の喫
水線付近が最も目立ったが、減肉量は10μm以下であ
り、大きな腐食は起こっていないことがわかる。この腐
食速度は20年後においても減肉量0.2mm以下と推
定され、裸使用が十分可能なことを示している。
構造物では、窒素ガスにより海水タンクの内壁腐食が防
食塗装の省略された裸使用で効果的、経済的に抑制され
るのみならず、窒素ガス供給のために液体窒素タンクが
装備されているので、自家製造されないイナートガスを
使用するにもかかわらず、供給の不安がない。
体窒素製造装置が装備されているので、長期間窒素の供
給を受けることができない遠洋航海等のときにもイナー
トガス供給の不安が一切ない。
素供給に伴う海水タンクの冷却が会費され、海水タンク
の温度低下による動作不良や損傷が防止される。
示すタンカーの模式図である。
統図である。
を示す模式図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 内壁が防食塗装の省略された裸使用であ
る海水タンクと、液体窒素を貯蔵する液体窒素タンク
と、前記海水タンク内の空間部の酸素濃度を検出し、検
出された酸素濃度が2%以下に保持されるように、前記
空間部へ窒素を供給する配管系とを具備することを特徴
とする海洋浮体構造物。 - 【請求項2】 液体窒素タンクに貯蔵する液体窒素を自
家製造するために、液体窒素製造装置を具備することを
特徴とする請求項1に記載の海洋浮体構造物。 - 【請求項3】 液体窒素タンクから海水タンクへ窒素を
供給する配管系に、液体状態の窒素を気化させる蒸発機
を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の海
洋浮体構造物。
Priority Applications (2)
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JP32148494A JP2961351B2 (ja) | 1994-11-29 | 1994-11-29 | 海洋浮体構造物 |
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Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32148494A JP2961351B2 (ja) | 1994-11-29 | 1994-11-29 | 海洋浮体構造物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH08150992A JPH08150992A (ja) | 1996-06-11 |
JP2961351B2 true JP2961351B2 (ja) | 1999-10-12 |
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Family Applications (1)
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JP32148494A Expired - Fee Related JP2961351B2 (ja) | 1994-11-29 | 1994-11-29 | 海洋浮体構造物 |
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KR100852528B1 (ko) * | 2007-02-12 | 2008-08-14 | 대우조선해양 주식회사 | 액화천연가스 운반선용 메인 보일러의 레이업 방법 |
-
1994
- 1994-11-29 JP JP32148494A patent/JP2961351B2/ja not_active Expired - Fee Related
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