JP2960916B2 - 熱可塑性ウレタン樹脂粉末及び熱可塑性樹脂成形品 - Google Patents

熱可塑性ウレタン樹脂粉末及び熱可塑性樹脂成形品

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パウダースラッシ
ュ成形に好適な熱可塑性ウレタン樹脂粉末と、その樹脂
粉末を用いてパウダースラッシュ成形された熱可塑性樹
脂成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】各種製品の表皮等に用いられるシート
(皮膜)状の熱可塑性樹脂成形品の成形方法として、パ
ウダースラッシュ(以下単にスラッシュとも記す)成形
法がある。このスラッシュ成形法は、加熱したスラッシ
ュ成形型の型面に熱可塑性樹脂粉末を付着させて溶融樹
脂層を形成し、冷却硬化後、型面の樹脂製皮膜(シー
ト)を脱型して所望の成形品を得る方法である。熱可塑
性樹脂粉末としては、軟質塩化ビニル樹脂(PVC)粉
末が一般的である。前記スラッシュ成形法は、アンダー
カットや深絞り等を有する複雑形状のシート状成形品を
容易に得られ、その成形品の肉厚も均一にでき、さらに
は材料の歩留まりが良いため、自動車内装材の表皮等に
用いられる熱可塑性樹脂成形品の成形法として多用され
ている。
【0003】ところで、自動車用内装材でも、エアバッ
グドアを有するインストルメントパネルにあっては、衝
突の際のエアバッグ膨張時に、エアバッグドアがスムー
ズに開くことができるようにするため、表皮にはエアバ
ッグドアの周囲等の位置に破断用脆弱部が形成される。
その破断用脆弱部は、通常、表皮の裏面側に形成した断
面V字やU字形等のノッチ(切り込み)によって構成さ
れる。さらに、前記破断用脆弱部は、季節等によって大
きく変化する車内温度に影響を受けることなく、衝撃時
に常に安定して破断できるようにする必要があり、その
目安として80℃〜−35℃の範囲が設定されることが
多い。
【0004】しかし、前記スラッシュ成形用の軟質塩化
ビニル樹脂粉末においては、スラッシュ成形により得ら
れる熱可塑性樹脂成形品の表面感触をソフトにするた
め、多量の可塑剤が配合される。通常、前記可塑剤量
は、塩化ビニル樹脂100重量部に対して40〜150
重量部の範囲とされ、その可塑剤含有量が多量であるた
め、得られる軟質塩化ビニル樹脂成形品は、温度変化に
よる引張強度の差が大きくなり、広範な温度範囲に渡っ
て前記破断用脆弱部を安定して破断させにくい問題があ
る。なお、スラッシュ成形品からなる通常の軟質塩化ビ
ニル樹脂成形品の引張強度は、80℃で30〜50N、
−35℃で300〜400Nであり、温度の影響がきわ
めて大であった。さらに、前記軟質塩化ビニル樹脂成形
品は、可塑剤が多量に含まれる軟質塩化ビニル樹脂粉末
から成形されているため、長期間の使用に際して成形品
内の可塑剤が揮発したり成形品表面へ移行し、それによ
って成形品の強度が変化し、経時的に品質が変化する問
題がある。例えば、あらかじめ強度が低くされる前記破
断用脆弱部付近の成形品表面に、劣化による亀裂を生じ
る等である。なお、最近では、前記軟質塩化ビニル樹脂
に代えて、熱可塑性ポリウレタン樹脂のみを使う試みも
なされているが、性能等の点で充分とは言い難いのが現
状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、軟質PVC
に含まれる多量の可塑剤によって引き起こされる、熱可
塑性樹脂成形品の強度に対する大なる温度依存性や、熱
可塑性樹脂成形品における可塑剤の移行による品質の経
時変化の問題を解決する、熱可塑性ウレタン樹脂粉末と
熱可塑性樹脂成形品の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】熱可塑性ウレタン樹脂粉
末に関する発明は、ポリイソシアネートとポリアミンの
反応物からなって、尿素結合を有し、分子量5000以
下、25℃で固体状、150℃の粘度が500cps以
の化合物(以下添加用化合物と記す。)と、Tgが−
10℃以下の流動性付与剤とを含有してなることを特徴
とする。前記ポリイソシアネートとポリアミンの反応物
としては、イソフォロンジイソシアネート1モルまたは
4,4’−ジシクロヘキシルメタンジソシアネート1モ
ルと、ジブチルジアミン2モルの反応物が好ましい。
【0007】前記熱可塑性ウレタン樹脂粉末は、前記条
件を満たす添加用化合物と流動性付与剤との併用によっ
て、スラッシュ成形品における強度の温度依存性が小さ
くなる。前記強度の温度依存性に対する改善効果の原理
は確かではないが、次のように考えられる。すなわち、
前記条件の添加用化合物が、スラッシュ成形品に対し
て、低温領域における樹脂の高分子鎖の動きを制限し、
また、前記条件の流動性付与剤が樹脂高分子鎖に可塑効
果をもたらし、それらの組み合わせによって、強度の温
度依存性が小さくなると推察される。
【0008】さらに前記添加用化合物は、尿素結合を有
する化合物であって分子量5000以下のものからなる
ため、ウレタン樹脂のウレタン基、ウレア基等のハード
セグメントとの相溶性が高く、効率良く流動性の調整を
発現することができる。
【0009】一方、本発明の熱可塑性樹脂成形品は、前
記熱可塑性ウレタン樹脂粉末を用いてスラッシュ成形さ
れたものであって、80℃での引張強度が20N以上、
−35℃での引張強度が200N以下であることを特徴
とする。
【0010】前記スラッシュ成形された熱可塑性樹脂成
形品は、80℃での引張強度が20N以上、−35℃で
の引張強度が200N以下であるため、スラッシュ成形
品からなる従来の軟質塩化ビニル樹脂成形品と比べて、
高温、低温での引張強度の差が小さく、使用温度範囲の
広い用途に好適である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明において使用される添加用
化合物は、25℃で固体状を呈し、かつ150℃の粘度
が500cps以下、好ましくは50cps以上、25
0cps以下のもので、ポリイソシアネートとポリアミ
ンとの反応物から、当該条件を満たすものが選択され
る。特に添加用化合物は、熱可塑性ウレタン樹脂との相
溶性の点から、ポリイソシアネートとポリアミンとの反
応物が好適である。前記ポリイシシアネートとポリアミ
ンとの反応物としては、イソフォロンジイソシアネート
(以下IPDIと記す)とジブチルアミンとの反応物
が挙げられる。また、この添加用化合物としては、前記
理由から、尿素結合を有する分子量5000以下、特に
は分子量200以上、4000以下の化合物が好まし
い。その化合物としては、IPDI1モルとジブチルア
ミン2モルの反応物、4,4’−ジシクロヘキシルメタ
ンジイソシアネート(以下水添MDIと記す)1モルと
ジブチルアミン2モルの反応物を挙げることができる。
【0012】本発明で使用される流動性付与剤は、可塑
剤と同様の作用をするものでTg(ガラス転移点)が−
10℃以下、好ましくは−90℃以上、−12℃以下の
もので、フタル酸エステル化合物、トリメット酸エステ
ル化合物、ホスフィン系化合物などから、Tgが前記範
囲にあり、可塑剤として使用可能なものが挙げられる。
特に、熱可塑性ウレタン樹脂との相溶性の点からフタル
酸エステル化合物、ホスフィン化合物が好ましい。
【0013】前記添加用化合物と流動性付与剤を含有さ
せる熱可塑性ウレタン樹脂としては、スラッシュ成形に
適するように、最終粉末としての熱軟化点が150℃以
上で240℃以下となるものが選択される。この熱可塑
性ウレタン樹脂は、公知の如く、ポリイソシアネートと
高分子ポリオール及び必要に応じて用いられる鎖延長剤
や停止剤を反応させて得られるものである。
【0014】前記ポリイソシアネートとしては、脂肪族
ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香
脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネー
ト、あるいはそれらの変性物等が単独で、あるいは2以
上用いられる。前記脂肪族ポリイソシアネートとして
は、エチレレンジイソシアネート、テトラメチレンジイ
ソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,
2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート等が挙げ
られる。脂環式ポリイソシアネートとしては、IPD
I、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロ
ヘキシレンジイソシアネート等が挙げられる。芳香脂肪
族ポリイソシアネートとしては、キシリレンジイソシア
ネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレン
ジイソシアネート等が挙げられる。芳香族ポリイソシア
ネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニ
ルメタンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネー
ト等が挙げられる。
【0015】前記高分子ポリオールとしては、ポリエー
テルジオールやポリエステルジオールが好適である。前
記ポリエーテルジオールとしては、ポリオキシエチレン
グリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオ
キシエチレン−ポリオキシプロピレングリコール、ポリ
テトラメチレンエーテルグリコール、トリエチレングリ
コール等が挙げられる。また、前記ポリエステルジオー
ルとしては、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンア
ジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリネオペ
ンチルアジペート、ポリカプロラクトンジオール、ポリ
カーボネートジオール等が挙げられる。
【0016】前記鎖延長剤としては、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、エ
チレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレン
トリアミン、1,4ジアミノシクロヘキサン、イソホロ
ンジアミン(以下IPDAと記す)、キシリレンジアミ
ン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、トリレンジ
アミン等が挙げられる。
【0017】前記停止剤としては、メチルアルコール、
エチルアルコール、ジエチルアミン、ジブチルアミン、
ジエタノールアミン等が挙げられる。
【0018】前記熱可塑性ウレタン樹脂に対する添加用
化合物と流動性付与剤の含有量は、この熱可塑性ウレタ
ン樹脂粉末の用途によるが、通常、熱可塑性ウレタン樹
脂100重量部に対して添加用化合物が0.1〜10重
量部、流動性付与剤が1〜25重量部とされる。特に前
記流動性付与剤の量は、従来の軟質塩化ビニル樹脂粉末
における可塑剤の量と比べて少なくてよく、その場合で
も、この発明の熱可塑性ウレタン樹脂粉末からスラッシ
ュ成形される熱可塑性樹脂成形品の表面感触をソフトに
できる。
【0019】また、粉末化については、特に限定される
ものではない。例えば、熱可塑性ウレタン樹脂が不溶の
溶剤中で、ウレタン化反応させた樹脂が分散した溶剤を
遠心分離により固液分離して得る方法、水中でウレタン
プレポリマーとアミンとを混合し、ウレア反応の進行に
より得られた樹脂が分散した水溶液を遠心分離により固
液分離して得る方法、高温で溶解した熱可塑性ウレタン
樹脂を水中に押し出して分散させた後に遠心分離して得
る方法などが挙げられる。なお、前記添加用化合物と流
動性付与剤は、粉末化の前に熱可塑性ウレタン樹脂に配
合しても良いし、粉末化後にブレンドしても良い。
【0020】一方、本発明の熱可塑性樹脂成形品は、前
記熱可塑性ウレタン樹脂粉末を用いて、公知のスラッシ
ュ成形により、所望形状に成形されたもので、JIS
K6301による引張強度が80℃で20N以上、−3
5℃で200N以下である。この熱可塑性樹脂成形品の
厚みは、該成形品の用途によって異なるが、エアバッグ
ドアを有するインストルメントパネルの表皮に用いられ
る場合には、通常、0.3〜2.0mmとされる。ま
た、前記破断用脆弱部が形成される熱可塑性樹脂成形品
にあっては、適宜の時点で破断用脆弱部が形成される。
その破断用脆弱部の形成は、一般的にはスラッシュ成形
後の熱可塑性樹脂成形品の裏面に対して熱刃を押し当て
たり、レーザーを照射する等により、ノッチ等からなる
薄肉部を形成することにより行われる。
【0021】
【実施例】以下実施例によって本発明を説明するが、本
発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の記
載において、「部」は重量部、「%」は重量%を示す。
【0022】<実施例1> ・25℃で固体、150℃の粘度が90cpsの添加用
化合物とTgが−21℃の流動性付与剤の例 (添加用化合物の製造) トルエン70部とイソプロピルアルコール30部及びジ
ブチルアミン25.8部をフラスコに入れて30℃以下
に冷却し、撹拌しながら前記フラスコ内にIPDIの2
2.2部を4時間かけて滴下し、添加用化合物が溶解し
た溶液を得た。この溶液を添加用化合物液1とする。な
お、この添加用化合物液1に含まれる添加用化合物は、
ポリイソシアネートとポリアミンの反応物からなるもの
であって、尿素結合を有し、分子量が480、また25
℃で固体状であり、150℃における粘度が90cps
であった。
【0023】 (熱可塑性ウレタン樹脂溶液の製造例) ヒドロシキル価56のポリカプロラクトンジオール
[「プラクセルL220AL」、ダイセル化学工業
(株)製]200部を、フラスコに入れ、3mmHgの
減圧下で、110℃、1時間加熱した。次いでIPDI
を55.5部投入し、110℃で撹拌しながら10時間
反応させ、末端にイソシアネート基を有するポリウレタ
ンプレポリマーを得た。これにトルエン394部を入れ
て撹拌し、40℃に冷却した後、IPDAの23部とジ
エタノールアミン3部と、イソプロピルアルコール16
9部の混合液を入れて撹拌し、熱可塑性ウレタン樹脂5
0%の溶液844.5部を得た。この溶液を熱可塑性ウ
レタン樹脂溶液1とする。
【0024】 (熱可塑性ウレタン樹脂粉末の製造) 前記ウレタン樹脂溶液1の200部に、前記添加用化合
液1を3部、流動性付与剤としてTgが−21℃のD
IDP(ジイソデシルフタレート)を16部、耐光安定
剤[「イルガノックス1010」、日本チバガイギー
(株)製]0.5部、グレイ系顔料1.5部、ブロック
ドイソシアネート[「B−1530」、ヒュルスジャパ
ン(株)製]5部を入れ、その混合溶液とPVA(ポリ
ビニルアルコール)1.2部が溶解した温度60℃の温
水300部をディスポーザーを用いて混合し、樹脂の分
散した水溶液を得た。次いで、その水溶液を60℃で減
圧にして、水溶液からトルエン、イソプロピルアルコー
ルを除去し、さらに遠心分離により固液分離させた後、
乾燥、粉砕して本発明の熱可塑性ウレタン樹脂粉末(P
1)を得た。
【0025】<実施例2> ・25℃で固体、150℃の粘度が100cpsの添加
用化合物と、Tgが−21℃の流動性付与剤の例 実施例1の添加用化合物の製造においてIPDIの2
2.2部を水添MDIの26.2部に変更した以外は、
実施例1と同様にして添加用化合物の溶解した溶液を得
た。この溶液を添加用化合物液2とする。なお、この
加用化合物液2に含まれる添加用化合物は、水添MDI
とジブチルアミンの反応物からなるものであって、尿素
結合を有し、分子量が520、また25℃で固体状であ
り、150℃における粘度が100cpsであった。こ
添加用化合物液2の3部を、前記実施例1における
加用化合物液1の3部に変えて、本発明の熱可塑性ウレ
タン樹脂粉末(P2)を得た。
【0026】<実施例3> ・25℃で固体、150℃の粘度が90cpsの添加用
化合物とTgが−13℃の流動性付与剤の例 実施例1における流動性付与剤としてのDIDPを、T
gが−13℃のホスフィン系化合物20部に変えて本発
明の熱可塑性ウレタン樹脂粉末(P3)を得た。
【0027】<比較例1> 実施例1において添加用化合物液1に代えてDIDPを
3部使用し、その他は実施例1と同様にして比較例1の
樹脂粉末(Q1)を得た。なお、前記DIDPは、25
℃で液状で尿素結合を有しないものである。
【0028】<比較例2> 実施例1において、流動性付与剤としてのDIDPに代
えて、Tgが−5℃のジエチルフタレートを用い、その
他は実施例1と同様にして比較例2の樹脂粉末(Q2)
を得た。
【0029】 (熱可塑性樹脂成形品の製造実施例) 前記実施例1〜3で得た熱可塑性ウレタン樹脂粉末P
1,P2,P3と、比較例1,2で得た樹脂粉末Q1,
Q2及び比較例3として市販の軟質PVC粉末を、26
0℃に加熱したスラッシュ成形金型の型面に接触させて
溶融樹脂層を型面に形成し、冷却硬化後に脱型する公知
のパウダースラッシュ成形法に従い、厚み1mmの熱可
塑性樹脂成形品をそれぞれ製造した。次いで、各熱可塑
性樹脂成形品に対し、JIS K 6301に従って、
80℃及び−35℃における引張強度(破断強度とも称
される)と伸び率(破断伸びとも称される)を測定し
た。その結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】表1から理解されるように、実施例の熱可
塑性ウレタン樹脂粉末を用いてスラッシュ成形された熱
可塑性樹脂成形品は、比較例の樹脂粉末及び軟質PVC
粉末を用いてスラッシュ成形された熱可塑性樹脂成形品
と比べ、引張強度及び伸び率における温度依存性が小さ
い。従って、実施例の熱可塑性樹脂成形品に、前記エア
バッグドアのための破断用脆弱部を形成してインストル
メントパネル用表皮として用いれば、車両使用の際に予
期される温度範囲でのエアバッグ膨張時に、破断用脆弱
部が常に安定かつスムーズに破断するようになり、エア
バッグドアの一定かつ迅速な開きを実現するようにな
る。また、実施例の熱可塑性樹脂成形品は、表面のソフ
ト感が良好であった。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の熱可塑
性ウレタン樹脂粉末及びその樹脂粉末を用いてスラッシ
ュ成形された熱可塑性樹脂成形品は、軟質塩化ビニル樹
脂のように多量の可塑剤を用いることなく、成形品の表
面感触をソフトにできるため、成形品を長期間使用して
も、可塑剤の揮発や成形品表面への可塑剤の移行による
不具合を生じにくく、長期に渡って良好な品質を維持す
ることができる。
【0033】また、この発明の熱可塑性ウレタン樹脂粉
末及びその樹脂粉末を用いてスラッシュ成形された熱可
塑性樹脂成形品は、成形品の引張強度が、高温時と低温
時とで差が小さいため、成形品の使用温度範囲が広い場
合に好適である。特に、自動車のインストルメントパネ
ル用表皮のように、エアバッグドア用に破断用脆弱部が
形成され、高温時においても低温時においても前記破断
用脆弱部がエアバッグ膨張によって一定してかつ迅速に
破断するのが求められる用途にとっては、きわめて有用
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29K 75:00 B29L 31:58 (72)発明者 船戸 利恭 愛知県安城市今池町3−1−36 株式会 社イノアックコーポレーション安城事業 所内 (56)参考文献 特開 平10−77403(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 75/00 - 75/12 B29C 41/18 B60K 37/00 B60R 21/045 B60R 21/20

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリイソシアネートとポリアミンの反応
    物からなって、尿素結合を有し、分子量5000以下、
    25℃で固体状、150℃の粘度が500cps以下
    化合物と、Tgが−10℃以下の流動性付与剤とを含有
    してなる熱可塑性ウレタン樹脂粉末。
  2. 【請求項2】 請求項1において、ポリイソシアネート
    とポリアミンの反応物が、イソフォロンジイソシアネー
    ト1モルまたは4,4’−ジシクロヘキシルメタンジソ
    シアネート1モルと、ジブチルジアミン2モルの反応物
    である熱可塑性ウレタン樹脂粉末。
  3. 【請求項3】 請求項1または2における熱可塑性樹脂
    粉末を用いてパウダースラッシュ成形された熱可塑性樹
    脂成形品であって、引張強度が80℃で20N以上、−
    35℃で200N以下である熱可塑性樹脂成形品。
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