JP2959442B2 - 作業足場の架設構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、橋梁の断面修復、
補修ないしは補強作業等を行うための作業足場の架設構
造に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば箱桁式橋梁の断面修復や断面補
修、ないしは断面補強作業等を行うに当っては、図３に
示すように、橋梁１の下方に作業足場２を配置し、作業
足場２の両側部の上に延びる一対の吊材３の上端を橋梁
１の両側部に懸架することにより、作業足場２を橋梁１
に吊持している。

【０００３】工事対象となる橋梁１は、内部中空の箱桁
１ａの上部両側にアーム状の張出し１ｂを一体に形成
し、かつ各張出しの縁部にガードレール１ｃを一体に立
設したもので、張出し１ｂを含む上面全体を路面として
用いている。

【０００４】一般に、この種の橋梁１の路面は一方通行
用の専用道路であって、二車線としている場合が多く、
この場合には路幅を走行車線ａと追越し車線ｂおよび走
行車線側ａの路肩ｃと、追越し車線ｂ側の中分側路肩ｄ
とに区分し、また一般に走行車線ａと追越し車線ｂの路
幅を等しく、路肩ｃを待避場所として路肩ｄより広く割
付けている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】従って、該種工事対象
橋梁１に加わる荷重モーメントは、車両が原則として通
行しない路肩側よりも、車両が常時通行している追越し
車線ｂ側に偏っていることに加え、作業足場３の吊り荷
重や補修用の資機材が加わり、交通に供用しつつ工事を
行う場合には現断面の耐力が問題となる。

【０００６】また、桁や床板などの補修・補強工事では
大小の差があるものの、現構造面をはつることになり、
一時的とはいえ断面が縮小するため、足場荷重の増加は
橋梁を構成する部材に負担を生ずる。

【０００７】ところで、該種専用道路に用いられる橋梁
は上下車線用に隣接かつ並列して配置されている場合が
多く、一方の橋梁の工事を行っているときに他方の橋梁
の工事がなされていないことも多い。

【０００８】この発明は、以上の点に着眼したものであ
って、工事対象橋梁の下方に架設される作業足場の吊持
点の他端を隣接する他方の橋梁に取ることで、工事対象
橋梁の耐力確保を図った作業足場の架設構造を提供する
ことを目的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】この発明のうち、請求項
１記載の発明では、近接して並設された一対の橋梁のう
ち、工事対象橋梁の下方に作業足場を架設して前記工事
対象橋梁の断面修復、補修ないしは補強工事等を行う場
合に使用される作業足場であって、前記作業足場の一端
を前記工事対象橋梁に吊持させるとともに、他端を前記
隣接橋梁に吊持させることにより、工事対象橋梁の荷重
の負担を減じ、耐力を確保できる。

【００１０】請求項２記載の発明では、前記作業足場の
一方の吊持点を前記工事対象橋梁の外側縁とし、他方の
吊持点を前記隣接橋梁の内側縁とすることにより、特に
荷重モーメントが加わる追越し車線側の荷重を軽減でき
る。

【００１１】請求項３記載の発明では、前記各橋梁の側
縁に沿って一対の仮設レールを敷設するとともに、前記
作業足場の各吊持点には前記レール上を転動するガイド
輪を設け、前記作業足場を前記レールに沿って移動可能
としたことにより、工事に支障を生ずることなく、作業
足場架設規模を縮小し全体に加わる荷重を軽減した。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、この発明を箱桁式橋梁の足
場に適用した場合に付いて、その好ましい実施の形態を
添付図面を参照して説明する。なお、この発明の要部以
外は従来と同一なので、同一部分には同一符号を付し、
新規部分あるいは新たに説明を加える部分に付いてのみ
異なる符号を用いて説明する。

【００１３】図１はこの発明の第一の実施の形態に係る
作業足場の架設構造を示すものである。

【００１４】図において、工事対象橋梁１は、従来とほ
ぼ同様に、内部中空の箱桁１ａの上部両側にアーム状の
張出し１ｂを一体に形成し、かつ各張出しの縁部にガー
ドレール１ｃを一体に立設したもので、張出し１ｂを含
む上面全体を路面として用い、かつ車線ａ，ｂ、及び路
肩ｃ，ｄとも従来と同様の割付となっている。また、こ
の実施の形態では工事対象橋梁１の隣に約１ｍ程度の間
隔をおいてこれと同一形態の橋梁１０が並設されてい
る。

【００１５】工事対象橋梁１の下方に配置される作業足
場１２は、橋梁の幅方向に沿って配置されたトラス構造
のガーダ１４の幅方向両側にＨ型鋼からなる一対の吊材
１６の下端を連結し、これを図の紙面と直交する方向に
適宜間隔で多数配置し、これら各ガーダ１４の上部に直
交して多数の端太１８を掛渡し、さらにその上部を足場
板２０で覆ったものである。

【００１６】また交通振動などによるガーダ１４の横ぶ
れを防止するために、ガーダ１４と吊材１６との間は斜
めに掛渡された支持部材２２によって連結されている。

【００１７】そして、一方の吊材１６の上端は工事対象
橋梁１外側縁、すなわち待避側路肩ｃ側におけるガード
レール１ｃの外側フランジ２４に支持固定されている。
これに対し、他方の吊材１６は隣接橋梁１０の内側縁、
すなわち中分路肩ｄ側におけるガードレール１ｃの外側
フランジ２４に支持固定され、これによって作業足場１
２の荷重の半分を隣接橋梁１０に預け、工事対象橋梁１
の荷重負担を低減し、十分な耐力を確保できるようにし
ている。

【００１８】また、このような吊持形態の場合は特に工
事対象橋梁１の荷重モーメントがかかる追越し車線ｂ及
び中分側路肩ｄの荷重負担がないため、さらに有利なも
のとなる。

【００１９】図２はこの発明の第二の実施の態様を示す
ものである。図において、各ガイドレール１ｃの外側フ
ランジ２４上には仮設のレール３０が敷設されていると
ともに、吊材１６の上端には転動輪３２が設けられ、前
記レール３０上に回転可能に設置されている。なお、隣
接橋梁１０側は省略するが、同一の構成となっている。

【００２０】従ってこの実施の形態では、転動輪３２を
介して作業足場１２は工事対象橋梁１の長手方向に沿っ
て移動可能であり、通常は工事区間の全長に亘って作業
足場を架設しなくてはならないが、施工終了毎に移動で
きるので、作業足場の規模を縮小し、橋梁１，１０に対
する作業足場１２の荷重負担を減少できる。

【００２１】

【発明の効果】以上各実施の形態で説明したように、請
求項１に記載の発明にあっては、工事対象橋梁の荷重の
負担を減じ、耐力を確保でき、はつりなどによる部材減
少に伴う負担を防止できる。

【００２２】請求項２に記載の発明では、特に荷重モー
メントが加わる追越し車線側の荷重を軽減できる。

【００２３】請求項３に記載の発明では、前記作業足場
を前記レールに沿って移動可能としたことにより、工事
に支障を生ずることなく作業足場の架設規模を縮小し、
全体に加わる荷重を軽減できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の第一の実施の形態に係る作業足場の
架設構造を示す正断面図である。

【図２】この発明の第二の実施の形態に係る部分断面図
である。

【図３】従来の作業足場の架設構造を示す正断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 工事対象橋梁 １ａ 箱桁 １ｂ 張出し １ｃ ガイドレール １０ 隣接橋梁 １２ 作業足場 １４ ガーダ １６ 吊材 ３０ レール ３２ 転動輪

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 近接して並設された一対の橋梁のうち、
   工事対象橋梁の下方に作業足場を架設して前記工事対象
   橋梁の断面修復、補修ないしは補強工事等を行う場合に
   使用される作業足場であって、 前記作業足場の一端を前記工事対象橋梁に吊持させると
   ともに、他端を前記隣接橋梁に吊持させたことを特徴と
   する作業足場の架設構造。
2. 【請求項２】 前記作業足場の一方の吊持点を前記工事
   対象橋梁の外側縁とし、他方の吊持点を前記隣接橋梁の
   内側縁としたことを特徴とする請求項１記載の作業足場
   の架設構造。
3. 【請求項３】 前記各橋梁の側縁に沿って一対の仮設レ
   ールを敷設するとともに、前記作業足場の各吊持点には
   前記レール上を転動するガイド輪を設け、前記作業足場
   を前記レールに沿って移動可能としたことを特徴とする
   請求項１または２記載の作業足場の架設構造。