JP2958384B2 - 透明導電体膜を含む多層膜の作製方法 - Google Patents

透明導電体膜を含む多層膜の作製方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、透明導電体膜を含む多
層膜の作製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】透明導電体膜は、例えば、液晶ディスプ
レイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PD
P)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(EL
D)、エレクトロクロミックディスプレイ等のディスプ
レイ、または太陽電池等の窓材として数多く利用されて
いる。透明導電体膜を含む多層膜は、透明導電体膜上に
積層する機能膜としての、例えば、酸化物膜を種々変え
ることで、様々な用途に用いられている。例えば、酸化
物膜を蛍光体膜にすることで、エレクトロルミネッセン
スディスプレー、エレクトロクロミック膜にすること
で、エレクトロクロミックディスプレーや、エレクトロ
クロミック調光デバイスなど、あるいは、抵抗体、強誘
電体、磁性体の応用が考えられる。また、透明導電体膜
上に積層する機能膜としては、酸化物膜に限らず、目的
に応じて種々な膜が考えられている。
【0003】従来、透明導電体膜の作製方法としては、
例えば、「表面技術vol.43,No.2,p.2 (1992)」等に開示
されているように、スパッタ法や蒸着法が、一般的によ
く知られている。また、特公昭54−28396号公報
に開示されているように、塗布熱分解法による酸化イン
ジウム被膜の製造方法も知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】透明導電体膜に求めら
れる特性としては、透明性(高い可視光透過率)、導電
性のみでなく、環境安定性、特に熱に対する安定性が求
められている。というのは、透明導電体膜作製後、その
上層に機能膜を作製する場合、高温に晒される場合があ
り、また、機能膜作製後、結晶性を向上させるためや欠
陥を低減するため熱処理を施す必要があるためである。
【0005】しかしながら、従来においては、透明導電
体膜として知られている酸化インジウム/酸化錫(IT
O)は、通常多結晶体として成膜されるが、このような
透明導電体膜は、その上に積層する機能膜の形成に際し
て加熱処理を行なう場合、例えば、「表面技術vol.43,N
o.12,p.98(1992) 」等に開示されているように、加熱処
理によって、透明導電体の導電性が変化するという欠
点、すなわち、その後の加熱により抵抗率が増加するこ
とが知られている。
【0006】一方、前述した特公昭54−28396号
公報には、塗布熱分解法によって酸化インジウム被膜を
形成することが開示されているだけで、その形成した酸
化インジウム被膜の上に更に他の被膜を積層することに
ついては、なにも記載がないのである。
【0007】本発明の目的は、このような従来技術の問
題点にかんがみ、透明導電体膜上に、その導電性を変化
させることなく機能膜を積層できるようにする方法を提
供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明による透明導電体
膜を含む多層膜の作製方法は、透明基板上に有機インジ
ウム化合物含有溶液を、塗布、熱分解して、酸化インジ
ウム系透明導電体膜を形成し、次いで、前記透明導電体
膜上に、直接的または間接的に、酸化インジウム系以外
の機能膜を、加熱プロセスを含むプロセスにより形成す
ることを特徴とする。
【0009】
【作用】有機インジウム化合物含有溶液の塗布、熱分解
の手段により形成された透明導電体膜は、この透明導電
体膜上に、機能膜を成膜後、熱処理を施しても、透明導
電体膜の導電性が下がらないので、透明導電体膜を必要
とする多層膜の作製に利用できる。
【0010】
【実施例】次に、添付図面を参照して、本発明の透明導
電体膜を含む多層膜の作製方法を実施する具体例につい
て、本発明をより詳細に説明する。
【0011】先ず、その具体例について説明する前に、
本発明の多層膜の作製方法を実施するのに使用しうる各
構成部分の材料等の例について説明しておく。本発明に
使用される透明基板の例としては、石英、無アルカリガ
ラス、ほうけい酸ガラス等の耐熱性透明基板が挙げられ
る。透明基板の厚さは、特に限定されない。また透明導
電体膜の形成に使用される有機インジウム化合物として
は、(R1 COO)3In[式中R1 は、炭素原子数4
〜16のアルキル基を示す]、(CH3 COCHCOC
3 3 In等が挙げられる。
【0012】また、透明導電体膜上に形成する有機イン
ジウム金属化合物含有溶液には、有機インジウム金属化
合物の他に、導電性を向上させるために、有機スズ化合
物を加えても良い。有機スズ化合物としては、(R2
OO)2 Sn[式中R2 は、炭素原子数4〜16のアル
キル基を示す]、(CH3 COCHCOCH3 2 Sn
等が挙げられる。有機スズ化合物の添加量は、スズ/イ
ンジウムのモル比にして、0〜40%が望ましい。スズ
のモル比をこれ以上多くすると導電性が低くなる。
【0013】有機インジウム化合物含有溶液の溶媒とし
ては、石英、無アルカリガラス、ほうけい酸ガラス等の
透明基板へのぬれ性の点から、オクタン、デカン、ドデ
カン、トリデカン等の脂肪族炭化水素が、特に望ましい
が、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチ
レン等のハロゲン化炭化水素等、有機インジウム化合物
の溶解性を有する溶媒であればよい。溶液の濃度は、固
形分比が5〜50%の範囲が望ましい。
【0014】また、添加剤として、溶液を増粘化して、
基板との密着性を高めるためにエチルセルロース、ニト
ロセルロース等のセルロース誘導体を添加したり、ある
いは基板とのぬれ性を改善するためリノール酸、リノレ
ン酸等の不飽和カルボン酸を添加してもよい。添加量
は、それぞれ0〜50%の範囲が望ましい。
【0015】また、透明導電体膜上に形成される多層膜
として、蛍光体膜の場合、これを有機金属化合物含有溶
液の塗布、熱分解により形成するときには、Ca、W、
Ba、Si、Zn、Cd、P、Sr、Mg、As、G
e、Y、V、Ga、Pb、Mn、Ti、Sn、Eu、E
r、Sm、Tm、Tb、Al、Nd、Ce、Bi等を含
有する有機金属化合物が使用される。また、その他蛍光
体膜となる膜を積層後に熱処理することにより形成する
ときには、特に、II−VI属の化合物としてMgS、Ca
S、SrS、ZnS、CdS等の硫化物、ZnO、Zn
2 SiO4 :Mn 2+、CaWO4 、Y2 3 :Eu3+
BaMg2 Al1627:Eu2+、YAlO 3 :Er3+
Ga2 2 S:Tb3+等の酸化物、BaF2 、Ca
2 、MgF2:Mn2+等のフッ化物、LaPO4 :C
3+、Tb3+、(Ba、Ca、Mg)3(PO4 3
l:Eu2+等のリン酸、ハロリン酸化化合物等が使用さ
れる。
【0016】エレクトロクロミック膜としては、これを
有機金属化合物含有溶液の塗布、熱分解により形成する
ときには、V、W、Ni、Mo、Ti等を含有する有機
金属化合物が使用される。また、その他エレクトロクロ
ミック膜となる膜を積層後に熱処理することにより形成
するときには、特に、V2 5 、WO3 、NiO、Mo
2 等が使用される。
【0017】磁性体膜を作製するためのものとしては、
Fe、Co、Ba、Mn、Ni、Zn、Y、Mg、G
d、Sr、V等を含有する有機金属化合物が使用され
る。
【0018】強誘電体膜を作製するためのものとして
は、Ti、Ba、Pb、La、Zr、Li、Ge、Z
n、Sr、Mg、Ca、Ta、Nb、V、W、Mn、C
u、Ga、Al等を含有する有機金属化合物が使用され
る。
【0019】絶縁体膜としては、これを有機金属化合物
含有溶液の塗布、熱分解により形成するときには、S
i、Bi、Pb、Sn、Al、Ti、B、Zr、Ca、
Ba、Ta等を含有する有機金属化合物が使用される。
また、その他絶縁体膜となる膜を積層後に熱処理するこ
とにより形成するときには、特に、SiO2 、Y
2 3、Al2 3 、Ta2 5 、PbTiO3 、Ba
Ta2 6 、SrTiO3 、Si3 4 等が挙げられ
る。
【0020】有機金属化合物含有溶液の溶媒としては、
有機金属化合物の溶解性を有する溶媒であればよい。例
えば、オクタン、デカン、トリデカン等の脂肪族炭化水
素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチ
レン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、エタノ
ール、ブタノール、ターピオネール、エチレングリコー
ル等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、
シクロヘキサノン等のケトン類、ジエチルエーテル、テ
トラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ベ
ンジル等のエステル類等が挙げられる。
【0021】溶液の濃度は、固形分比が5〜50%の範
囲が望ましい。市販の金属レジネートを使用する場合
は、上記の溶媒で希釈してもよいが、金属レジネートを
そのまま用いてもかまわない。
【0022】また、添加剤として、溶液を増粘化して、
基板との密着性を高めるためにエチルセルロース、ニト
ロセルロース等のセルロース誘導体を添加したり、ある
いは基板とのぬれ性を改善するためリノール酸、リノレ
ン酸等の不飽和カルボン酸を添加してもよい。添加量
は、それぞれ0〜50%の範囲が望ましい。
【0023】有機インジウム化合物含有溶液およびその
他の有機金属化合物含有溶液の塗布方法としては、例え
ば、バーコート塗布、スピンコート塗布、スプレー塗
布、スクリーン印刷、ディップ塗布等の方法が挙げられ
る。
【0024】有機インジウム化合物含有溶液の塗布膜の
熱分解の方法は、電気炉等で、400〜1500°Cの
温度で、30分〜10時間行なう。焼成温度が、低いと
有機インジウム化合物の熱分解が不充分で導電性が低
く、高いと基板成分が酸化インジウム膜中に侵入し、導
電性が低くなる。焼成時間は、10時間以上行っても構
わないが、特に10時間以上行なう必要はない。焼成の
雰囲気は、空気中、窒素、酸素フロー中、窒素、酸素置
換雰囲気、減圧雰囲気等が挙げられる。焼成された酸化
物の膜厚は、0.05〜10μmが望ましい。これより、
薄いと導電性が低く、厚すぎると透明性が悪くなる。ま
た、膜厚を厚くするために、有機インジウム化合物含有
溶液の塗布、熱分解を、繰り返しても構わない。
【0025】その他の有機金属化合物含有溶液の塗布膜
の熱分解の方法は、電気炉等で、400〜1500°C
の温度で、30分〜10時間行なう。焼成の雰囲気は、
空気中、窒素、酸素フロー中、窒素、酸素置換雰囲気、
減圧雰囲気等が挙げられる。焼成されたそれぞれの酸化
物の膜厚は、0.05〜10μmが望ましい。また、膜厚
を厚くするために、同一の有機金属化合物含有溶液の塗
布、熱分解を、繰り返しても構わない。
【0026】多層膜の構成としては、透明基板上に有機
インジウム化合物含有溶液の塗布、熱分解で形成された
透明導電体膜上に、1層または多層の有機インジウム化
合物以外の有機金属化合物含有溶液の塗布、熱分解で形
成された1層または多層の酸化物膜が挙げられる。ま
た、有機インジウム化合物含有溶液の塗布、熱分解で形
成された透明導電体膜上あるいは、1層または多層の有
機インジウム化合物以外の有機金属化合物含有溶液の塗
布、熱分解で形成された1層または多層の酸化物膜の上
あるいは、それらの間の層として、有機金属化合物含有
溶液の塗布、熱分解以外の方法、例えば、蒸着やスパッ
タ等で形成された金属膜、酸化物膜、窒化物膜、硫化物
膜等の1層または多層を含んでいても構わない。
【0027】また、有機金属化合物含有溶液の塗布、熱
分解によらず、その他機能膜となる膜を積層後熱処理す
ることにより機能膜を形成する場合には、スパッタ法、
蒸着法、CVD法、MOCVD法等の真空系を使うドラ
イな方法、透明導電体膜と同様のペーストを用いた塗
布、印刷によるウエットな方法のどちらをも使用でき
る。積層膜の熱処理は、通常の電気炉(マッフル炉)、
赤外炉、ベルト炉等やレーザ等による局所的な熱処理を
行ってもよい。熱処理温度としては、基板の軟化温度以
下であればよいが、熱処理の目的として結晶性の向上、
欠陥の低減等を行なう場合は、通常は、400°C〜1
100°C程度が用いられる。また、熱処理雰囲気とし
ては、熱処理中に酸化されることを嫌う場合は、窒素、
アルゴン等の不活性雰囲気、また同時に還元処理を行な
う場合、これに加えて、水素、水蒸気等の還元雰囲気で
行なう。その他、大気中、酸素中、減圧雰囲気等が挙げ
られる。
【0028】次に、本発明の透明導電体膜を含む多層膜
の作製方法を実施する実施例について説明する。
【0029】[実施例1]本発明の作製方法にしたがっ
て、図1に模式的に示す断面を有する多層膜構造体を作
製するために、(C8 17COO)3 In0.5g、(C
8 17COO)2Sn0.013g をドデカン1.857g
に溶かす。この溶液をワイヤーバー(#10)で、石英
基板1に塗布し、45°Cで30分間乾燥後、空気中
で、800°C、1時間焼成して、In2 3 /SnO
2 膜2を得る。この膜2は、透明導電体膜であり、シー
ト抵抗は、0.8kΩ/□、可視光透過率は、95%、膜
厚は、0.2μmであった。
【0030】この透明導電体膜2の上に、Siレジネー
ト(NEケムキャット社製)0.5g、n−ブタノール1.
0gの溶液をワイヤーバー(#10)で塗布し、45°
Cで30分間乾燥後、空気中で、800°Cにて1時間
焼成して、膜厚0.2μmのSiO2 膜3を得る。さら
に、SiO2 膜3の上に、(C8 17COO)2 Zn1.
66g、Siレジネート(NEケムキャット社製)0.5
9g、(C8 17COO)2 Mn0.056gをターピネ
オール1.5gの溶液をワイヤーバー(#10)で塗布
し、45°Cで30分間乾燥後、空気中で、800°
C、1時間焼成して、膜厚0.3μmのZn2 SiO4
Mn膜4である蛍光体層を得る。さらに、この蛍光体層
4の上にSiO2 膜5を前記と同様に積層後、このSi
2 膜5の上に、Alを0.5μmの膜厚に蒸着して、電
極層6を設けることで、図1に断面を模式的に示すよう
な多層膜が得られた。この多層膜に電圧を150V印加
すると、緑色の蛍光が確認された。
【0031】次に、本発明の作製方法による効果を確認
するため、前述の本発明による[実施例1]と比較しう
るように、従来方法によって同様の構造の多層膜を作製
してみた比較例1について説明する。
【0032】[比較例1]石英基板1に、In2 3
SnO2 を真空蒸着で、膜厚0.2μmのITO透明導電
体膜2を形成する。この透明導電体膜2の上に、前述の
[実施例1]と同様の方法で、SiO2 膜3、Zn2
iO4 :Mn膜4、SiO2 膜5、Al膜6を積層し
て、透明導電体膜2を真空蒸着で作製したことを除き、
前述の[実施例1]と同様の構成の多層膜が得られた。
この多層膜に電圧を300V印加しても蛍光の発色は、
確認されなかった。
【0033】真空蒸着のITO透明導電体膜(比較例
1)と塗布熱分解法のITO透明導電体膜(実施例1)
との耐熱性を比べると図2のように、塗布熱分解法のI
TO透明導電体膜は、熱処理によって、抵抗値がかわら
ないのに対して、真空蒸着のITO透明導電体膜は、抵
抗が高くなる。このため、真空蒸着のITO透明導電体
膜の上に塗布熱分解法で他の膜を積層させた比較例にお
いて、蛍光が見られなかったものと思われる。真空蒸着
のITO透明導電体膜の他に、スパッタ法で作製したI
TO透明導電体膜においても真空蒸着と同様に熱処理に
よって、抵抗値の上昇する現象がみられた。
【0034】[実施例2](C8 17COO)3 In0.
5g、(C8 17COO)2 Sn0.013gをドデカン
1.857gに溶かす。この溶液をワイヤーバー(#1
0)で、石英基板に塗布し、45°Cで30分間乾燥
後、空気中で、800°C1時間焼成して、In2 3
/SnO2 膜を得る。この膜のシート抵抗は、0.8kΩ
/□、可視光透過率95%、膜厚0.2μmの透明導電体
膜が得られた。この透明導電体膜の上に、タングステン
酸2−エチルヘキシルアンモニウム溶液をスピンコータ
ーで、塗布し、空気中で、800°C15分間焼成し
て、膜厚0.2μmの酸化タングステン膜を得る。
【0035】タングステン酸2−エチルヘキシルアンモ
ニウム溶液の調整は、以下のように行った。2−エチル
ヘキシルアミン5.69gに水20mlと濃塩酸40ml
を加えA液を調整した。また、タングステン酸5.00
g、水酸化ナトリウム16.0g、水60mlを混合し、
B液を調整した。A液にB液を徐々に加え、さらに、2
−エチルヘキシルアミン3.86g加え、塩化メチレン6
0mlで3回抽出した。有機層から、溶媒留去した後、
キシレン50mlとリノール酸2−エチルヘキシルアン
モニウム14.86gを加えて、タングステン酸2−エチ
ルヘキシルアンモニウム溶液を得た。
【0036】透明導電体膜上に、形成された酸化タング
ステン膜に、対向電極として、NiO膜を形成させたI
TOコートガラスを20μmのギャップが生じるように
配設し、電解質として1mol/lの濃度を有するLi
ClO4 のプロピレンカーボネート溶液を用いて、エレ
クトロクロミックセルを作製した。
【0037】このエレクトロクロミックセルの酸化タン
グステン膜を負極として直流3Vを印加したところ、E
CDは黒青色に変化し、電圧印加3分後、700nmの
吸光度変化は0.4であった。さらに、極性を逆にして3
Vを印加したところ、黒青色は消えた。この発色消色
は、繰り返し行うことができた。
【0038】[比較例2]石英基板に、In2 3 /S
nO2 を真空蒸着で、膜厚0.2μのITO透明導電体膜
を形成する。この透明導電体膜の上に、実施例2と同様
にして、酸化タングステン膜、NiO膜対向電極および
LiClO4 のプロピレンカーボネート溶液で電解質層
を設けることで、透明導電体膜を真空蒸着で、作製した
ことを除き実施例2と同様の構成のエレクトロクロミッ
クセルが得られた。このエレクトロクロミックセルの酸
化タングステン膜を負極として直流3Vを印加したとこ
ろ、ECDは黒青色に変化し、電圧印加3分後、700
nmの吸光度変化は0.2であった。
【0039】[実施例3]先ず、2−エチルヘキサン酸
インジウム0.5gと2−エチルヘキサン酸スズ0.046
gにn−ドデカン4.0gを加え、充分撹拌することによ
り、均一溶液にした。次に、この溶液をスピンコータを
用いてガラス基板(コーニング 7059)上に塗布
し、大気中800°C、30分焼成した。そして、この
塗布、焼成工程を繰り返し、膜厚0.2μm、90Ω/□
の透明導電体膜を作製した。その後、フォトリソグラフ
ィーによりストライプ状の透明導電体膜とした。
【0040】この透明導電体膜上にスパッタリングによ
りTa2 5 薄膜を0.1μm着膜し、絶縁層とした。次
に、ZnS:Mn(Mn濃度として1wt%含有)のタ
ーゲットを用いて電子線蒸着法により0.3μmの蛍光体
層(発光層)を着膜、積層した。その後、結晶性を向上
させるため600°C、1時間、大気中で熱処理を行っ
た。さらに、上記と同様の絶縁膜を積層し、最後に透明
導電体膜と交差するようにマスクを用いてアルミニウム
膜を0.5μmの厚さに抵抗加熱法で着膜し、二重絶縁層
構造を持つ薄膜EL素子を作製した。
【0041】この薄膜EL素子は、発光開始電圧150
V/1KHzでアンバーイエローの発光が認められ、ま
た、発光輝度の高いEL素子が得られた。
【0042】[比較例3]透明導電体膜を電子線蒸着法
で作製した他は、実施例3と同様の方法によりEL素子
を作製した。
【0043】この薄膜EL素子は、発光開始電圧が25
0V/1KHzで初めて発光が認められ、また飽和発光
輝度も実施例3よりも低いものであった。
【0044】[実施例4]基板を石英基板に換えた他
は、実施例3と同様の方法を用いて透明導電体膜を作製
した。この透明導電体膜上にスパッタリングによりSi
2 薄膜を0.1μm厚に着膜し、絶縁層とした。次に、
下記組成の蛍光体ペーストを用いて、絶縁層上にスピン
コート法により塗布し、大気中で、800°C、30分
焼成して蛍光体膜(発光層)を着膜した。その後、大気
中で、1000°C、3時間熱処理を行った。
【0045】次に、上記と同様の絶縁層を作製した後、
最後に透明導電体膜と交差するようにマスクを用いてア
ルミニウム膜を0.5μm厚に抵抗加熱法で着膜し、二重
絶縁構造を持つ薄膜EL素子を作製した。
【0046】 蛍光体用ペースト(発光層形成用組成物) 2−エチルヘキサン酸Zn 1.42g Siレジネート(NEケムキャット製) 0.28g 2−エチルヘキサン酸Mn 0.03g PBMAの10wt%α−テルピネオール溶液 1.73g フタル酸ジオクチル 1.73g リノール酸 1.73g
【0047】この薄膜EL素子は、発光開始電圧100
V/1KHzで緑色発光が認められ、また発光輝度の高
いEL素子が得られた。
【0048】[比較例4]透明導電体膜を電子線蒸着法
で作製した他は、実施例4と同様の方法によりEL素子
を作製した。
【0049】この薄膜EL素子は、300V/1KHz
以上の電圧を印加しても発光が認められなかった。
【0050】本発明は、耐熱性の透明導電体膜を下層に
含む多層膜の作製方法に関するものであり、前述の実施
例では、薄膜EL素子やエレクトロクロミックセルの作
製例であったが、耐熱性透明導電性膜を作製後、この上
に他の機能膜を着膜し、その後熱処理するプロセスを含
めばこれら実施例に限定されるものではない。
【0051】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、透
明基板上に有機インジウム金属化合物含有溶液を、塗布
や印刷により付与し、その後熱分解して、酸化インジウ
ム含有透明導電体膜を形成するものであり、比較的高温
プロセスを用いて透明導電体膜を作製するため、その後
作製プロセスと同等もしくはこれ以上の熱を与えても、
抵抗率が変化せず、そのためにこの膜上に機能膜となる
膜を積層後、さらに熱処理をほどこしても素子性能を低
下させることがない。
【0052】EL素子等で透明導電体膜、絶縁膜、蛍光
体膜を積層後、さらに蛍光体膜の結晶性を向上させるた
めに熱処理をほどこしても透明導電体膜の抵抗率が変化
しないため発光開始電圧、輝度等のEL素子特性が劣化
することがない。
【0053】また、本発明は、透明導電体膜を必要とす
る積層膜を作製する場合、比較的高温プロセスが必要で
あったり、また成膜後に膜質を改善する目的で熱処理を
ほどこす必要がある場合に大きな効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による透明導電体膜を含む多層膜の構成
例を示す断面模式図である。
【図2】従来法と本発明の方法による透明導電体膜の抵
抗変化を比較して示す図である。
【符号の説明】
1 石英基板 2 透明導電体層 3 絶縁層 4 蛍光体層 5 絶縁層 6 電極層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−310970(JP,A) 特開 平4−97837(JP,A) 特開 昭57−24678(JP,A) 特公 平2−33075(JP,B2) 特公 昭54−28396(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B32B 1/00 - 35/00 G02F 1/13 - 1/137

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板上に有機インジウム化合物含有
    溶液を、塗布、熱分解して、酸化インジウム系透明導電
    体膜を形成し、次いで、前記透明導電体膜上に、直接的
    にまたは間接的に、酸化インジウム系以外の機能膜を、
    加熱プロセスを含むプロセスにより形成することを特徴
    とする、透明導電体膜を含む多層膜の作製方法。
  2. 【請求項2】 前記の加熱プロセスを含むプロセスは、
    有機インジウム化合物以外の有機金属化合物溶液を、塗
    布、熱分解して、前記機能膜としての金属酸化物膜を形
    成するプロセスである請求項1記載の透明導電体膜を含
    む多層膜の作製方法。
  3. 【請求項3】 前記の加熱プロセスを含むプロセスは、
    機能膜となる膜を積層後、熱処理することにより前記機
    能膜を形成するプロセスである請求項1記載の透明導電
    体膜を含む多層膜の作製方法。
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