JP2957999B1 - 溶銑脱硫装置におけるインペラの浸漬深さ制御方法 - Google Patents

溶銑脱硫装置におけるインペラの浸漬深さ制御方法

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JP2957999B1 JP21244998A JP21244998A JP2957999B1 JP 2957999 B1 JP2957999 B1 JP 2957999B1 JP 21244998 A JP21244998 A JP 21244998A JP 21244998 A JP21244998 A JP 21244998A JP 2957999 B1 JP2957999 B1 JP 2957999B1
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
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Abstract

【要約】 【課題】 溶銑撹拌用のインペラについて、その浸漬深
さを正確に、かつ自動的に制御することのできるインペ
ラの浸漬深さ制御方法を提供する。 【解決手段】 溶銑脱硫装置における溶銑撹拌用のイン
ペラ1を、昇降手段10によって溶銑鍋30中の溶銑3
5中に上方から浸漬するに際し、 インペラ1が受ける浮力の変化に基づく昇降手段1
0の駆動力変化を検知することによって溶銑35中への
インペラ1の全没時期を知り、 その後、昇降手段10によるインペラ1の下降スト
ロークを検知することによって溶銑35中のインペラ1
の浸漬深さを知る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】請求項に係る発明は、溶銑鍋
などの容器に入った溶銑から硫黄(S)分を除去するた
めの、インペラを用いた機械的撹拌式の溶銑脱硫装置に
関連し、溶銑を効果的に撹拌すべくインペラの浸漬深さ
を制御する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】製鉄所では、製鋼工程を能率的に行うこ
と等を目的として溶銑に脱硫処理を施すのが一般的であ
る。脱硫は、石灰(CaO)やソーダ灰(Na2CO3
などの脱硫剤を溶銑中に投入することにより行うもの
で、溶銑に浸漬させるランスを通じて脱硫剤を吹き込む
インジェクション法や、シャフトの先に設けられたイン
ペラ(回転羽根)によって溶銑と脱硫剤とを撹拌する機
械的撹拌法などが広く知られている。インジェクション
法では、吹き込まれた脱硫剤が未反応のまま浮上してし
まうことも多いのに対し、機械的撹拌法では、溶銑と脱
硫剤とが十分に混合されて脱硫反応が促進されるという
利点がある。
【0003】機械的撹拌法に関する従来の技術は、特公
昭42−12343号公報などに記載されている。そし
て同公報には、溶銑鍋内の溶銑中に脱硫剤をうまく巻き
込ませて効果的に脱硫を進行させるためには、インペラ
を所定の大きさ(外径)にして所定の速度で回転させる
のがよいとしている。
【0004】しかし、脱硫効果を高めるためには、溶銑
中の適切な深さ位置にインペラを浸漬することも重要で
ある。溶銑鍋内における溶銑中でのインペラの位置が適
切でないと、インペラの回転エネルギーを効率的に溶銑
に伝えることができないからである。
【0005】インペラは何らかの昇降手段によって上下
に移動させられ、溶銑鍋の溶銑に対して上方から浸漬さ
せられるのが一般である。その際、溶銑中のインペラの
浸漬深さは、従来、下記イ)またはロ)のようにして制御さ
れるのが一般的である。
【0006】イ) マイクロ波レベル計などのレベル計に
よって溶銑の湯面高さを事前に計測しておき、その湯面
の位置からどれだけインペラを下降させたかを検出する
ことによって溶銑中でのインペラの深さを知る。適切な
深さになったと判断した時点で、昇降手段を止めてイン
ペラの下降を停止する。
【0007】ロ) インペラの下降状態をテレビカメラで
監視することにより、インペラが溶銑中に完全に浸漬し
た時点を把握し、その時点からのインペラの下降量によ
って溶銑中でのインペラの深さを知る。適切な時点でイ
ンペラの下降を停止することは上記イ)と同じである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】インペラの浸漬深さを
上記イ)またはロ)のようにして制御する場合には、それぞ
れつぎのような不都合がある。すなわち、イ ) レベル計による湯面高さの計測は湯面の真上から行
うものであるため、インペラやその昇降手段のない位置
にレベル計を配置しておいて、溶銑鍋がインペラ等の真
下へ移動する前にそのレベル計を使用しなければならな
い。つまり、上記のようにレベル計を用いる制御は、イ
ンペラを浸漬する前の溶銑の静止湯面を計測するもので
あり、インペラを浸漬することによって変化した湯面を
計測するものではないため、湯面の変化分だけ浸漬深さ
の計測精度が低い。インペラの通常の体積に基づいて浸
漬時の湯面上昇を予測し、それによって浸漬深さを補正
するとしても、インペラの体積は一定でなく、溶損や摩
耗等によって小さくなり地金の付着等によって大きくな
るなど変動するため、正確な補正を行うことは不可能で
ある。
【0009】ロ) テレビカメラを用いる場合には、イン
ペラの下降状態をそのカメラを通してオペレータが監視
していなければならないので、溶銑の脱硫工程について
自動化・省力化をはかることが困難になる。また、溶銑
の湯面上に厚いスラグ層がある場合には、どの時点で溶
銑中にインペラが浸漬したのか不明であるため、正確な
検出が難しいという不都合もある。
【0010】請求項の発明は、上記のような課題を考慮
し、インペラの浸漬深さを正確に、かつ自動的に制御す
ることのできるインペラの浸漬深さ制御方法を提供しよ
うとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載した溶銑
脱硫装置におけるインペラの浸漬深さ制御方法は、溶銑
脱硫装置における溶銑撹拌用のインペラを、昇降手段に
よって上方から溶銑中に浸漬するに際し、 インペラが受ける浮力の変化に基づく昇降手段の駆
動力変化を検知することによって溶銑中へのインペラの
全没時期を知り、 その後、昇降手段によるインペラの下降ストローク
を検知することによって溶銑中のインペラの浸漬深さを
知る− ことを特徴とする。によって知る浸漬深さが適切
になった時点で、昇降手段によるインペラの下降を停止
するとよい。なお、ここでいう「インペラ」とは、回転
手段にて回転駆動されるシャフトの先に設けられた回転
羽根をいう。またインペラの「全没」とは、インペラす
なわち回転羽根が上端の部分まで溶銑中に漬かり、その
上方のシャフトの部分が漬かり始める状態をいう。「昇
降手段」としては、モータ(電動機)を駆動源にし各種
の伝動機構を介してインペラを昇降させるもののほか、
油圧モータや油圧シリンダを駆動源にして同様にインペ
ラを昇降させるものなどが考えられる。そしてその「駆
動力」とは、モータや油圧モータのトルクやシリンダの
推力、さらには駆動用媒体である電力(電流)や油圧力
をいう。
【0012】この制御方法にはつぎのような作用があ
る。すなわち、 a) 従来(前記のイ))のようにインペラを漬けない状態
での溶銑の湯面のみを計測して浸漬深さを推定するので
はなく、上記のようにインペラが実際に溶銑中に漬か
った状態で生じる現象(すなわち昇降手段の駆動力変
化)を検知し、それに基づいて浸漬深さを制御する。し
たがって、インペラが溶銑中に全没した時期を的確に把
握でき、溶銑中のインペラの浸漬深さを正確に制御する
ことができる。インペラが実際に漬かった状態での現象
を把握することから、損耗や地金付着等によってインペ
ラが体積変化をしていても、にいうインペラの全没時
期を誤認することはない。なお、インペラの上方のシャ
フトの部分について損耗や地金の付着が生じている場合
には、上記の過程で予測不能な湯面上昇があってイン
ペラの浸漬深さに誤差を生じさせ得るが、インペラとは
違って円柱状等の単純な形状をしたシャフトの表面には
損耗や地金付着等が生じにくく体積変化が少ないため、
問題になるほどの誤差を生じることはない。
【0013】b) スラグと溶銑との比重の相違に応じた
浮力変化に基づいて、溶銑中にインペラが全没した時期
を、スラグ中への浸漬状態とは区別して把握することが
可能である。そのため、溶銑の湯面上に厚いスラグ層が
あって溶銑の湯面が隠れている場合にも、溶銑中へのイ
ンペラの浸漬深さを正確に制御することができる。
【0014】c) 昇降手段の駆動力変化を検知すること
は、各種センサーや計測器類を使用することによって人
手に頼らずに行うことが可能である。たとえば、昇降手
段の一部に歪みゲージを貼り付けてその信号から同手段
の駆動力(トルクや推力)変化を検出するようにしても
よいほか、同手段が駆動源として油圧機器を含む場合に
は作動油の圧力を計測することにより駆動力変化を検知
することもできる。また、同手段がモータ(電動機)を
含む場合には、後述のようにそのモータの電流値を計測
して駆動力変化を検知するのもよい。いずれも、従来
(前記のロ))とは違ってオペレータがインペラ等を監視
する必要がないため、溶銑の脱硫工程を自動化し省力化
することが可能になる。
【0015】請求項2に記載の浸漬深さ制御方法は、請
求項1の制御方法において、インペラの全没時期に対応
する昇降手段の駆動力変化を検知するために、予想され
る全没時期に対して1秒ないし数十秒前の範囲内で、容
器内の溶銑の量と下降開始当初のインペラの高さおよび
昇降手段によるインペラの下降速度等との関係に基づい
て決定される時間分先行した時期から、当該昇降手段の
駆動力変化を監視することを特徴とする。なお、監視を
始めるその時期は、全没の1秒ないし数十秒前であるこ
とに加え、その時期から全没までの時間がインペラの下
降開始時期から全没までの時間のたとえば3分の1以下
になるような時期とする。
【0016】溶銑中へのインペラの全没時期を上記のよ
うに昇降手段の駆動力変化に基づいて検知するには、当
然ながら、ある一定の期間中、当該駆動力の変化を監視
しなければならない。請求項2のこの制御方法は、その
ような監視を、溶銑へ向けてインペラを下降させ始める
時期からではなく、上記のようにインペラが溶銑中に全
没する直前と予想される時期から行う。インペラを下降
させ始めてからその予想される時期までの間は当該駆動
力の監視をしないため、その間にどのような外乱(たと
えば昇降手段に生じる振動)等が生じても、それによっ
てインペラの全没時期を誤認することがない。つまり、
その間は昇降手段をいかに高速度で駆動しても制御上の
ミスが生じないため、とくに高級な計測機器を使用しな
くても、正確かつ迅速にインペラの浸漬深さを制御する
ことができる。
【0017】なお、インペラが溶銑中に全没する直前の
時期は、請求項2の方法では、容器(溶銑鍋)内の溶銑
の量と下降開始当初のインペラの高さ、および昇降手段
によるインペラの下降速度等との関係で予想する。ある
いは、インペラの受ける浮力が溶銑中での浸漬深さとと
もに増大することに基づいてその時期を予想するのもよ
い(請求項3ではこれに従っている)。昇降手段の駆動
力変化を検知するための計測機器が高速度の処理能力を
もたない場合には、当該時期までは高速度で昇降手段を
駆動し、その時期以降はその計測機器の能力に応じた速
度にすることによって、制御の精度と迅速さとの両立を
はかることができる。
【0018】請求項3に記載の浸漬深さ制御方法は、と
くに、 1) 昇降手段におけるインペラの昇降駆動源としてモー
タ(電動機)を使用するものとし、 2) 下降中のインペラが空中にある(つまりインペラの
下端がまだ溶銑およびスラグよりも上にある)ときの上
記モータの電流値(A)を知るとともに、インペラが溶
銑中に全没するとき受ける浮力によって生じる上記モー
タの電流値の変化量のうち、インペラが、交換前に想定
され得る最も激しい損耗状態にある場合の値である最小
変化量(ΔC)を定めておき、検出される電流値が前記
Aの値から前記ΔCだけ減ったA−ΔCになったときか
、単位下降ストロークあたりのその電流値の変化
監視し、 3) 単位下降ストロークあたりのその電流値の変化量
(電流値の減少率。下降ストロークと電流値とを直交座
標における縦軸・横軸にとったときの勾配に相当するも
の)が不連続に変化したときを、溶銑中へのインペラの
全没時期と判断する−ことを特徴とする。
【0019】この制御方法は、インペラの浮力に基づく
昇降手段の駆動力変化を、上記1)の昇降用モータについ
て電流値の変化を監視することにより検知する。モータ
の電流値はそのモータの出力トルクに比例するため、そ
の変化を監視することにより、昇降手段の駆動力変化を
検知できるからである。しかも、モータを駆動源にして
インペラを昇降させることも、そのモータについて電流
値変化を監視することもともに極めて一般的であり構成
容易であるため、この制御方法には、実施のための装置
を低コストで容易に構成できるという利点がある。
【0020】インペラの全没時期は、上記3)のように単
位下降ストロークあたりの電流値の変化量が不連続に変
化したときをもってその時期と判断する。インペラは外
径が大きいため、それが溶銑中に浸漬しつつあるときは
溶銑中の体積の増加によって浮力が急速に増大し、した
がって単位下降ストロークあたりで上記モータの電流値
は大きく変化する(浮力が増大するのにつれて、インペ
ラを吊り下げている上記モータのトルクが減少するので
電流値は減少する)。しかし、インペラが全没してその
上部のシャフトが溶銑中に浸漬し始めるときには、シャ
フトがインペラよりも小径であることに基づいて単位下
降ストロークあたりの電流値の変化量(減少率)は不連
続に小さくなる。それゆえに、上記3)のようにしてイン
ペラの全没時期を把握することによって、インペラの浸
漬深さを正確に制御することが可能になるのである。
【0021】またこの制御方法では、インペラが溶銑中
に全没する直前の時期を、上記2)のようにして予想す
る。すなわち、モータの電流値が、インペラが空中にあ
るときのモータの電流値(A)とインペラの形状変化か
ら考えられる電流値の最小変化量(ΔC)との差(A−
ΔC)になったときを、インペラが全没直前の時期であ
ると予想する。そしてその時期から、単位下降ストロー
クあたりのそのモータの電流値の変化を監視するので
ある。損耗や地金付着等によってインペラの形状が変化
したとしても、それが溶銑中に全没する直前にはモータ
の電流値は必ず上の(A−ΔC)に達する。したがって
その時点から電流値の変化を監視すれば、インペラが
溶銑中に全没した時期を比較的らくに知ることができ、
溶銑中でのインペラの浸漬深さを知ることができる。
お、上記した電流値の最小変化量(ΔC)は、インペラ
が溶銑中に全没するとき受ける浮力によって生じる上記
モータの電流値の変化量のうち、インペラが、交換前に
想定され得る最も激しい損耗状態にある場合の値であ
る。
【0022】
【発明の実施の形態】図1および図2に発明の実施につ
いての一形態を紹介する。図1は、溶銑鍋30とともに
溶銑脱硫装置の全体を示す概要図である。また図2
(a)は、図1の脱硫装置による溶銑35中へのインペ
ラ1の浸漬状態を示す模式図であり、図2(b)は、図
1の装置における昇降用モータ11の電流値(横軸)と
インペラ1の浸漬深さ(縦軸)との関係を示すグラフで
ある。図2(b)における縦軸は同(a)の図中の高さ
と尺度を合わせてあり、インペラ1の下端部1aのレベ
ルについて破線により両図にわたる目盛を付けている。
【0023】図1に示す溶銑脱硫装置は、下部に備える
インペラ1を溶銑鍋30中の溶銑35内に浸漬し回転す
ることによって溶銑35を撹拌し、別途投入する脱硫剤
をその溶銑35中に拡散させるものである。インペラ1
は、上部に一体化したシャフト2と、その上部を分離可
能に連結するフランジ部分3、および減速機4等を介し
てモータ5に連結しており、そのモータ5を駆動源とし
て回転する。インペラ1を保持するとともにモータ5な
どを搭載したケージ15は、溶銑鍋30を設置する所定
の位置の真上において、後述する昇降手段10によって
上下に移動し得るように吊り下げている。ケージ15が
揺れずに鉛直に昇降し得るよう、その外側にはガイド輪
や案内軌道(図示せず)を設けてもいる。
【0024】インペラ1およびその上部のシャフト2
は、高温度の溶銑35中に浸漬されることから、耐熱性
等に優れるセラミック材を外側に貼り付けて構成してい
る。溶銑鍋30が、約3.7mの内径(上端付近の内
径)を有し、一回あたり約3.6mの深さにまで溶銑3
5を入れることによって250トン前後の溶銑35を保
持し得るのに対し、インペラ1は、外径を約1.5m
(溶銑鍋30の内径の40%前後)、羽根の幅(高さ方
向の寸法)を約0.8mとしている。そしてこのインペ
ラ1は、溶銑との接触等により外径が約1.3mになる
まで損耗した時点で、シャフト2とともにフランジ3の
部分で取り外し交換することにしている。
【0025】インペラ1の回転駆動源であるモータ5と
しては交流モータ(かご形誘導モータ)を使用し、その
電源供給部にインバータ(図示せず。一次周波数制御手
段。この例ではトランジスタインバータ)を接続してい
る。インバータを用いていわゆるVVVF(Variable V
oltage Variable Frequency)の制御を行うことによ
り、モータ5として構造の簡単なかご形誘導モータを使
用しながらも、その回転数を広範囲に任意に変化させた
り出力トルクを一定にしたりすることが可能になる。
【0026】ケージ15ごとインペラ1を昇降させる昇
降手段10としては、昇降の駆動源であるモータ(やは
りかご形誘導モータ)11の出力軸11aを、減速機1
2を介して回転ドラム13に接続するとともに、ケージ
15の吊り下げワイヤ14をそのドラム13に巻き掛け
ている。モータ11等によってドラム13を回転させる
ことにより、ワイヤ14を介してケージを昇降させるの
である。上方からケージ15を吊るので、モータ11と
減速機12・回転ドラム13などは溶銑鍋30の設置位
置の上部において建屋(図示せず)に取り付けているこ
とは言うまでもない。
【0027】この昇降手段10のモータ11には、断路
器17・電磁開閉器18・サーマルリレー19を含む給
電線とともに、つぎのような制御手段20を接続してい
る。すなわち、図1に示す電流変換器21とコントロー
ラ22、および回転カウンター23である。電流変換器
21は、給電線を通ってモータ11へ送られる電流値を
制御信号に変換する制御機器。コントローラ22は、そ
の変換されたその信号から電流値の変化量を読んだうえ
それに応じてモータ11の回転を制御する機器である。
また、カウンター23は、モータ11の出力軸11aの
回転角度を検知・発信するセンサーであり、その信号を
コントローラ22へ送っている。
【0028】図1の脱硫装置における以上のような構成
は、溶銑鍋30内の溶銑35を効果的に撹拌して迅速に
脱硫処理を完了できるようにしたものである。すなわ
ち、まずインペラ1の外径や幅を前記のように大きめに
設定しているのは、大きなインペラなら、溶銑中に漬け
た状態で十分なトルクを与える限り溶銑を短時間で加速
でき、また、回転速度が低くても(たとえば150rp
m程度以下でも)容器内の溶銑の大部分に運動エネルギ
ーを伝えられるため、脱硫処理の促進が容易である、と
いう理由による。また、インペラ1の回転駆動源である
モータ5にインバーターを接続してVVVFの制御を行
っているのは、それにより、インペラ1の回転速度を広
範囲にスムーズに変更するとともに低速回転時にも高い
トルクを発生させて、脱硫処理の進行に応じた適切な撹
拌状態を実現するためである。そして、昇降手段10に
おけるモータ11に上記のような制御手段20を接続し
ているのは、インペラ1から溶銑35への運動エネルギ
ーの伝達効率を高めるべく、下記のように溶銑35中の
インペラ1の浸漬深さを定めるためである。
【0029】昇降手段10と制御手段20によって溶銑
35中のインペラ1の浸漬深さを制御する手順はつぎの
とおりである。
【0030】 図1の状態から昇降手段10を用いて
インペラ1をケージ15とともに下降させ始めるとき、
インペラ1の下端部1aがまだ溶銑35(およびスラグ
36)より上にある段階で、制御手段20におけるコン
トローラ22にモータ11の電流値(図2(b)に示す
電流値A)を計測させ記憶させる。インペラ1の下降
中、ワイヤ14やガイド輪の振動等によってその値は変
化するが、ここではその平均値を計測・記憶させる。な
お、インペラ1を下降させる間、モータ11は、インペ
ラ1を引き上げる向きにトルクを発生しながらインペラ
1を下げる向きに回転する。
【0031】 モータ11の電流値が、あらかじめ設
定した最小変化量ΔCだけ上記から減少して値(A−Δ
C)になった時点より、コントローラ22にその電流値
の変化を監視させる。監視させる電流値の変化とは、単
位下降ストロークあたりの電流値の変化、すなわち図2
(b)に示される勾配の変化をいう。インペラ1の下降
ストロークは、図1に示すドラム13の回転数に比例す
るので、モータ11の出力軸11aに取り付けたカウン
ター23の信号から把握させる。このにおいて、上記
に引き続きインペラ1を下降させ続けると、スラグ3
6および溶銑35の中に漬かっていくにつれインペラ1
が浮力を受けるため、モータ11のトルクは減少し、し
たがってモータ11の電流値も図2(b)のように減っ
ていく。ただし、溶銑35上に図2(a)のように浮い
ているスラグ36は溶銑35よりも比重が小さい(溶銑
35の半分程度)ため、インペラ1の下端部1aがスラ
グ36中にある間は電流値の減少割合が少ない。モータ
の電流についてあらかじめ設定する上記の最小変化量Δ
Cは、インペラ1が、想定し得る最も激しい損耗状態
(つまり交換されているべき状態)にあって溶銑35中
に全没する場合にも、浮力のために必ず減少するモータ
11の電流変化量をいい、実際のインペラ1が溶銑35
中に全没するまでの電流値変化(図2(b)のΔD)よ
りも若干(1〜3割程度)少ないものとする。
【0032】 上記のように監視状態にしたコントロ
ーラ22により、単位下降ストロークあたりの電流値の
変化量の不連続変化(図2(b)における勾配の屈曲点
B)を検知させる。インペラ1が溶銑35中に全没する
と、その上部のシャフト2が溶銑35中に浸漬し始める
が、インペラ1に比べてシャフト2は径が細く水平横断
面積も5分の1以下であるため、その後の浮力の増加割
合は小さくて電流の減少量がわずかになる。したがっ
て、図2(b)中の屈曲点Bのように単位下降ストロー
クあたりの電流値の変化量が不連続に変化(減少)した
時点をもって、インペラ1が全没した、すなわちインペ
ラ1の上端部1bが溶銑35の湯面35a下に漬かっ
た、と判断するのである。
【0033】 上記によって溶銑35中へのインペ
ラ1の全没を検知させたのち、そのコントローラ22に
さらに、カウンター23の信号に基づいて全没時点から
のインペラ1の下降ストロークを検知させる。全没時点
からそのインペラ1がどれだけ下降したかをこうして検
知すると、溶銑35中のインペラ1の深さを知ることが
できる。その深さが所定のものになれば、その時点でコ
ントローラ22によりモータ11を止めてインペラ1の
昇降を停止させる。この例では、インペラ1による溶銑
35の撹拌効率が最大になるよう、溶銑35中に全没し
たレベルから約0.9mだけインペラ1を下降させるこ
ととしている。
【0034】
【発明の効果】請求項1に記載した溶銑脱硫装置におけ
るインペラの浸漬深さ制御方法には、つぎのような効果
がある。すなわち、 a) インペラが損耗したりその表面に地金が付着したり
しても、溶銑中でのそのインペラの浸漬深さを正確に制
御することができる。インペラが溶銑中に全没した時期
を的確に検知し、それに基づいて浸漬深さの制御を行う
からである。インペラの深さを正確に定めると、その回
転エネルギーを効率的に溶銑へ伝えることができ、溶銑
の脱硫処理を促進できることになる。
【0035】b) 厚いスラグ層が浮いていて溶銑の湯面
が隠れている場合にも、溶銑中へのインペラの浸漬深さ
を正確に制御することができる。スラグと溶銑との比重
の相違に応じた浮力変化に基づいて、溶銑中へのインペ
ラの全没時期を把握できるからである。
【0036】c) オペレータがインペラ等を監視する必
要がないため、溶銑の脱硫工程を自動化し省力化するこ
とが可能になる。
【0037】請求項2に記載の浸漬深さ制御方法には、
さらに、 d) 特別に高級な計測機器を使用しなくても、正確かつ
迅速にインペラの浸漬深さを制御することができる。溶
銑中へのインペラの全没時期を知るための昇降手段の駆
動力変化を、インペラを下降させ始める時期からではな
く、インペラが溶銑中に全没する直前と予想される時期
から監視することにより、その時期までは昇降手段をい
かに高速度で駆動しても制御上のミスが生じないように
したからである。
【0038】請求項3に記載の浸漬深さ制御方法の場合
には、とくに、 e) 実施のために必要な装置を低コストで容易に構成す
ることができる。モータを駆動源にしてインペラを昇降
させることも、そのモータについて電流値変化を監視す
ることも、ともに通常の技術で容易に構成できるからで
ある。
【0039】f) インペラの浮力変化に基づく昇降用モ
ータの電流値変化によって、インペラの浸漬深さを正確
に制御することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は発明の実施について一形態を示す図であ
り、溶銑鍋30と、それに入れた溶銑35を脱硫する溶
銑脱硫装置1とを全体的に示す概要図である。
【図2】図2(a)は、図1の脱硫装置による溶銑35
中へのインペラ1の浸漬状態を示す模式図であり、図2
(b)は、図1の装置における昇降用モータ11の電流
値とインペラ1の浸漬深さとの関係を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1 インペラ 10 昇降手段 11 モータ(昇降駆動源) 20 制御手段 22 コントローラ 23 カウンター 30 溶銑鍋 35 溶銑
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−221317(JP,A) 実開 平5−37949(JP,U) 実開 昭52−118302(JP,U) 特公 昭53−37812(JP,B2) 特公 昭45−31053(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C21C 1/02 108 C21C 7/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶銑脱硫装置における溶銑撹拌用のイン
    ペラを、昇降手段によって上方から溶銑中に浸漬するに
    際し、 インペラが受ける浮力の変化に基づく昇降手段の駆動力
    変化を検知することによって溶銑中へのインペラの全没
    時期を知り、その後、昇降手段によるインペラの下降ス
    トロークを検知することによって溶銑中のインペラの浸
    漬深さを知ることを特徴とする溶銑脱硫装置におけるイ
    ンペラの浸漬深さ制御方法。
  2. 【請求項2】 インペラの全没時期に対応する昇降手段
    の駆動力変化を検知するために、予想される全没時期に対して1秒ないし数十秒前の範囲
    内で、容器内の溶銑の量と下降開始当初のインペラの高
    さおよび昇降手段によるインペラの下降速度等との関係
    に基づいて決定される時間分先行した時期から、 当該昇
    降手段の駆動力変化を監視することを特徴とする請求項
    1に記載の溶銑脱硫装置におけるインペラの浸漬深さ制
    御方法。
  3. 【請求項3】 昇降手段におけるインペラの昇降駆動源
    としてモータを使用するものとし、 下降中のインペラが空中にあるときの上記モータの電流
    値(A)を知るとともに、インペラが溶銑中に全没する
    とき受ける浮力によって生じる上記モータの電流値の変
    化量のうち、インペラが、交換前に想定され得る最も激
    しい損耗状態にある場合の値である最小変化量(ΔC)
    を定めておき、検出される電流値が前記Aの値から前記
    ΔCだけ減ったA−ΔCになったときから、単位下降ス
    トロークあたりのその電流値の変化を監視し、 単位下降ストロークあたりのその電流値の変化量が不連
    続に変化したときを、溶銑中へのインペラの全没時期と
    判断することを特徴とする請求項1に記載の溶銑脱硫装
    置におけるインペラの浸漬深さ制御方法。
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