JP2957198B2 - 半導体レーザ装置 - Google Patents
半導体レーザ装置Info
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Landscapes
- Semiconductor Lasers (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は電気光変換素子として利用する半導体レーザ
装置およびその製造方法に関する。
装置およびその製造方法に関する。
本発明は、光通信装置、光情報処理装置、光記録装
置、光応用計測装置、その他光電子装置の光源として利
用するに適する。
置、光応用計測装置、その他光電子装置の光源として利
用するに適する。
本発明は、活性層に回折格子を設け、光分布帰還によ
ってその活性層で電子と正孔の再結合による誘導放出光
を発生させる分布帰還型半導体レーザ装置において、 回折格子に相応する凹凸形状を印刻した半導体層の表
面に、薄い緩衝層をその凹凸形状に保存したまま成長さ
せ、さらにその表面上に、量子井戸層を含む活性層を成
長させた構造とすることにより、 活性層に回折格子を形成することを可能とし、これに
より誘起される利得係数の周期的摂動を主因とする光分
布帰還を施し、完全に単一波長の縦モード発振を得るも
のである。
ってその活性層で電子と正孔の再結合による誘導放出光
を発生させる分布帰還型半導体レーザ装置において、 回折格子に相応する凹凸形状を印刻した半導体層の表
面に、薄い緩衝層をその凹凸形状に保存したまま成長さ
せ、さらにその表面上に、量子井戸層を含む活性層を成
長させた構造とすることにより、 活性層に回折格子を形成することを可能とし、これに
より誘起される利得係数の周期的摂動を主因とする光分
布帰還を施し、完全に単一波長の縦モード発振を得るも
のである。
半導体レーザの活性層近傍に回折格子を形成し、この
回折格子により光分布帰還を施して活性層に誘導放出光
を発生させる分布帰還型半導体レーザ装置の技術が広く
知られている。分布帰還型半導体レーザ装置は、比較的
簡単に発振スペクトル特性の優れた誘導放出光が得られ
るとともに、回折格子のピッチにより発振波長を制御で
きるので、単一モード光ファイバを利用するあるいは光
波長多重を行う長距離大容量光通信装置その他光電子装
置の光源としてその有用性が期待されている。
回折格子により光分布帰還を施して活性層に誘導放出光
を発生させる分布帰還型半導体レーザ装置の技術が広く
知られている。分布帰還型半導体レーザ装置は、比較的
簡単に発振スペクトル特性の優れた誘導放出光が得られ
るとともに、回折格子のピッチにより発振波長を制御で
きるので、単一モード光ファイバを利用するあるいは光
波長多重を行う長距離大容量光通信装置その他光電子装
置の光源としてその有用性が期待されている。
このための従来例レーザ装置は、活性層にきわめて近
接して透明な導波路層を作り、この導波路層の活性層よ
り遠い側の面に断面形状がおおむね三角波状である凹凸
形状を形成して、導波路層のみかけの屈折率の周期的に
変化させて光分子帰還を施すものである。この構造は広
く知られたものであって、一般的なハンドブックである オーム社:電子情報通信ハンドブック、1988年984−9
85頁 にも記載がある。この構造の半導体レーザ装置は、光導
波路層の層厚変化の周期に対応して生じるブラッグ波長
の光に対して、光位相についての適正な帰還が行われな
いので、このブラッグ波長領域に発振阻止帯域が生じ
る。すなわち、従来例装置では、ブラッグ波長の上下に
ほぼ対称に離隔した二つの波長の縦モード発振が生じる
現象がある。さまざまな実験的検討から、この二つの波
長の縦モード発振の一方のみが生じるように設定するこ
と、さらにその一方のみを予め設定することは、実用的
な半導体レーザ装置を設計および製作するうえで困難で
あることが経験されている。このため、製造歩留りを高
くすることができない。
接して透明な導波路層を作り、この導波路層の活性層よ
り遠い側の面に断面形状がおおむね三角波状である凹凸
形状を形成して、導波路層のみかけの屈折率の周期的に
変化させて光分子帰還を施すものである。この構造は広
く知られたものであって、一般的なハンドブックである オーム社:電子情報通信ハンドブック、1988年984−9
85頁 にも記載がある。この構造の半導体レーザ装置は、光導
波路層の層厚変化の周期に対応して生じるブラッグ波長
の光に対して、光位相についての適正な帰還が行われな
いので、このブラッグ波長領域に発振阻止帯域が生じ
る。すなわち、従来例装置では、ブラッグ波長の上下に
ほぼ対称に離隔した二つの波長の縦モード発振が生じる
現象がある。さまざまな実験的検討から、この二つの波
長の縦モード発振の一方のみが生じるように設定するこ
と、さらにその一方のみを予め設定することは、実用的
な半導体レーザ装置を設計および製作するうえで困難で
あることが経験されている。このため、製造歩留りを高
くすることができない。
これを解決するために、回折格子をそのほぼ中央で4
分の1波長分だけ位相シフトさせる構造が提案され実施
された。これにより二つの波長の縦モードの利得差が大
きくなり、発振モードを一つに提案することができるよ
うになる。しかし、この構造は回折格子の形成が複雑で
あるため特別の製造工程が必要であり、さらにレーザ素
子端面に反射防止膜を形成する必要があるなど複雑であ
り、製造工数が大きく高価である。この製造の半導体レ
ーザ装置についても上記ハンドブックに記載がある。
分の1波長分だけ位相シフトさせる構造が提案され実施
された。これにより二つの波長の縦モードの利得差が大
きくなり、発振モードを一つに提案することができるよ
うになる。しかし、この構造は回折格子の形成が複雑で
あるため特別の製造工程が必要であり、さらにレーザ素
子端面に反射防止膜を形成する必要があるなど複雑であ
り、製造工数が大きく高価である。この製造の半導体レ
ーザ装置についても上記ハンドブックに記載がある。
一方、上述のように屈折率結合により光分布帰還を行
うとブラッグ波長領域に発振阻止帯域が生じるが、利得
係数の周期的摂動に基づく利得結合により光分布帰還を
行うとすれば、発振阻止帯域は現れず完全に単一波長の
縦モード発振が得られるはずであるとの原理的な理論
が、 コゲルニック他「分布帰還レーザの結合波理論(Coup
led−Wave Theory of Distributed Feedback Laser
s)」米国雑誌、アプライド・フィジックス(Journal o
f Applied Physics,1972 vol.43 pp 2327−2335) によって示された。この論文はあくまでも原理的な検討
結果であって、上記の利得結合を実現するための半導体
レーザ装置の構造やその製造方法についてはなんら記述
がない。
うとブラッグ波長領域に発振阻止帯域が生じるが、利得
係数の周期的摂動に基づく利得結合により光分布帰還を
行うとすれば、発振阻止帯域は現れず完全に単一波長の
縦モード発振が得られるはずであるとの原理的な理論
が、 コゲルニック他「分布帰還レーザの結合波理論(Coup
led−Wave Theory of Distributed Feedback Laser
s)」米国雑誌、アプライド・フィジックス(Journal o
f Applied Physics,1972 vol.43 pp 2327−2335) によって示された。この論文はあくまでも原理的な検討
結果であって、上記の利得結合を実現するための半導体
レーザ装置の構造やその製造方法についてはなんら記述
がない。
本願発明者の一部は、上記コルゲニック他の基礎理論
を適用した新しい半導体レーザ装置として、 特許出願(特願昭63−189593号) 昭和63年7月30日出願、本願出願時において未公開
(以下「先願」という) を出願した。この先願に記載された技術は、活性層の近
傍に半導体の不透明層を設け、その不透明層に回折格子
を形成し、その不透明層の利得係数または損失係数に周
期的摂動に基づく分布帰還を施すものである。
を適用した新しい半導体レーザ装置として、 特許出願(特願昭63−189593号) 昭和63年7月30日出願、本願出願時において未公開
(以下「先願」という) を出願した。この先願に記載された技術は、活性層の近
傍に半導体の不透明層を設け、その不透明層に回折格子
を形成し、その不透明層の利得係数または損失係数に周
期的摂動に基づく分布帰還を施すものである。
この構造により上記コゲルニック他の理論を満たす実
現できた。しかし、この構造では活性層の近傍に不透明
層を設けてこの不透明層により帰還を施すものであるか
ら、この不透明層にエネルギの吸収損失があり、誘導放
出光を発生させるために供給するエネルギが大きくなる
欠点がある。
現できた。しかし、この構造では活性層の近傍に不透明
層を設けてこの不透明層により帰還を施すものであるか
ら、この不透明層にエネルギの吸収損失があり、誘導放
出光を発生させるために供給するエネルギが大きくなる
欠点がある。
上述のコゲルニック他の理論に基づき利得係数の周期
的摂動を与えるように分布帰還を施すには、活性層の一
方の面に回折格子を形成し、活性層の厚さそのものを回
折格子の凹凸に応じて光波の進行方向にそって変化させ
ることが最適である。ところで、利得結合を実現する目
的とは別であるが、半導体レーザ装置の活性層に直接に
回折格子を印刻する実験結果が 中村他「ガリウム・ヒ素−ガリウム・アルミニウム・
ヒ素ダブルヘテロ構造分布帰還型半導体レーザ」(GaAs
−GaAlAs Doublehetero Structure Distributed Feedba
ck Diode Lasers)米国雑誌アプライド・フィジックス
・レターズ(Applied Physics Letters,1974 vol.25 pp
487−488) に報告されている。しかし、活性層に直接に回折格子と
して凹凸を印刻すると、凹凸を形成するための成長中
断、印刻加工、再成長などの一連の操作により活性層の
半導体結晶に欠陥が発生してしまう。この半導体結晶の
欠陥により、非発光再結合が増加して誘導放出光が大き
く減少し、半導体レーザ装置としては効率の悪い装置と
なり実用的な装置が得られないことがわかった。
的摂動を与えるように分布帰還を施すには、活性層の一
方の面に回折格子を形成し、活性層の厚さそのものを回
折格子の凹凸に応じて光波の進行方向にそって変化させ
ることが最適である。ところで、利得結合を実現する目
的とは別であるが、半導体レーザ装置の活性層に直接に
回折格子を印刻する実験結果が 中村他「ガリウム・ヒ素−ガリウム・アルミニウム・
ヒ素ダブルヘテロ構造分布帰還型半導体レーザ」(GaAs
−GaAlAs Doublehetero Structure Distributed Feedba
ck Diode Lasers)米国雑誌アプライド・フィジックス
・レターズ(Applied Physics Letters,1974 vol.25 pp
487−488) に報告されている。しかし、活性層に直接に回折格子と
して凹凸を印刻すると、凹凸を形成するための成長中
断、印刻加工、再成長などの一連の操作により活性層の
半導体結晶に欠陥が発生してしまう。この半導体結晶の
欠陥により、非発光再結合が増加して誘導放出光が大き
く減少し、半導体レーザ装置としては効率の悪い装置と
なり実用的な装置が得られないことがわかった。
本発明は、このような背景に行われたものであって、
上述の発振阻止帯域を生じる屈折率結合による光分布帰
還ではなく、上述のコゲルニック他による理論にしたが
い主として利得係数の周期的摂動に基づく利得結合によ
り光分布帰還を行う半導体レーザ装置の実現を目指すも
のである。しかも、上記先願に記載されたもののように
不透明層に設けてエネルギ吸収損失を生じさせることな
く、また、活性層に回折格子を形成しても半導体結晶構
造に欠陥を生じさせることがないように、これを実現し
ようとするものである。
上述の発振阻止帯域を生じる屈折率結合による光分布帰
還ではなく、上述のコゲルニック他による理論にしたが
い主として利得係数の周期的摂動に基づく利得結合によ
り光分布帰還を行う半導体レーザ装置の実現を目指すも
のである。しかも、上記先願に記載されたもののように
不透明層に設けてエネルギ吸収損失を生じさせることな
く、また、活性層に回折格子を形成しても半導体結晶構
造に欠陥を生じさせることがないように、これを実現し
ようとするものである。
すなわち本発明は、2モード発振を起こすことなく発
振モードが単一モードでありかつ安定であり、その発振
モードを予め設定することが可能であり、構造が簡単で
あり、製造工程が簡単であり、良好な製造歩留りが期待
され、したがって安価であり、しかも、上記先願発明の
欠点を除いてエネルギ吸収損失がなく、さらに活性層に
回折格子を形成しても活性層となる半導体結晶構造に欠
陥を引き起こすことがなく誘導放出光を効率的に発生さ
せる半導体レーザ装置およびその製造方法を提供するこ
とを目的とする。
振モードが単一モードでありかつ安定であり、その発振
モードを予め設定することが可能であり、構造が簡単で
あり、製造工程が簡単であり、良好な製造歩留りが期待
され、したがって安価であり、しかも、上記先願発明の
欠点を除いてエネルギ吸収損失がなく、さらに活性層に
回折格子を形成しても活性層となる半導体結晶構造に欠
陥を引き起こすことがなく誘導放出光を効率的に発生さ
せる半導体レーザ装置およびその製造方法を提供するこ
とを目的とする。
本発明は、活性層を成長形成させる基板となる半導体
層の表面に、回折格子に相応する凹凸形状を印刻し、そ
の半導体層の表面に、まず薄い半導体緩衝層をその凹凸
形状を保存したまま成長させ、さらにその表面に活性層
をエピタキシャル成長させる。ここで、その活性層は、
前記凹凸形状の周期に応じて膜厚が変化した単一または
多重量子井戸を含んだ構造であることを特徴とする。
層の表面に、回折格子に相応する凹凸形状を印刻し、そ
の半導体層の表面に、まず薄い半導体緩衝層をその凹凸
形状を保存したまま成長させ、さらにその表面に活性層
をエピタキシャル成長させる。ここで、その活性層は、
前記凹凸形状の周期に応じて膜厚が変化した単一または
多重量子井戸を含んだ構造であることを特徴とする。
すなわち本発明の半導体レーザ装置は、回折格子が活
性層の一方の面に凹凸形状として形成され、この一方の
面に形成された凹凸形状に接して薄い半導体緩衝層を備
え、この半導体緩衝層の厚さは実質的に一様であって、
この半導体緩衝層の他面が接する半導体層に印刻された
凹凸形状と前記回折格子の凹凸形状とが実質的に平行で
あり、活性層は、前記凹凸形状の周期に応じて膜厚が変
化した単一または多重量子井戸層を含むことを特徴とす
る。
性層の一方の面に凹凸形状として形成され、この一方の
面に形成された凹凸形状に接して薄い半導体緩衝層を備
え、この半導体緩衝層の厚さは実質的に一様であって、
この半導体緩衝層の他面が接する半導体層に印刻された
凹凸形状と前記回折格子の凹凸形状とが実質的に平行で
あり、活性層は、前記凹凸形状の周期に応じて膜厚が変
化した単一または多重量子井戸層を含むことを特徴とす
る。
この緩衝層の厚さを一様にして、その画面の凹凸形状
が平行になるように形成することが製作しやすい形態で
あるが、その両面の凹凸形状が正確に平行であることは
必要条件ではない。
が平行になるように形成することが製作しやすい形態で
あるが、その両面の凹凸形状が正確に平行であることは
必要条件ではない。
活性層はこの緩衝層の凹凸形状の上にその凹部を埋め
るように、すなわち凹凸形状がしたいに平坦になるよう
に成長させる。この活性層はここでは量子井戸層をその
両面から例えば傾斜屈折率層で挟み込んだ構造になる。
このとき結果的に凸部より凹部でのエピタキシャル成長
速度が大きいから、凹部上での量子井戸幅は凸部上での
量子井幅より相対的に厚く形成されることになる。
るように、すなわち凹凸形状がしたいに平坦になるよう
に成長させる。この活性層はここでは量子井戸層をその
両面から例えば傾斜屈折率層で挟み込んだ構造になる。
このとき結果的に凸部より凹部でのエピタキシャル成長
速度が大きいから、凹部上での量子井戸幅は凸部上での
量子井幅より相対的に厚く形成されることになる。
本発明の半導体レーザ装置は、活性層の厚さが光波の
進行方向にそって、回折格子の凹凸形状にしたがって周
期的に変化するから、上述のコゲルニック他による理論
における利得係数の周期的摂動に基づく利得結合により
光分布帰還を行う。したがって、特定の波長領域に発振
阻止帯域が生じるようなことがなく、その特定の波長領
域の上下に二つの波長の縦モード発振が生じることもな
く、回折格子の周期により定まる安定な一つのモードの
発振を行う。この安定な一つのモードの発振波長はブラ
ッグ波長に対応するからこれを設定し設計製造すること
ができる。
進行方向にそって、回折格子の凹凸形状にしたがって周
期的に変化するから、上述のコゲルニック他による理論
における利得係数の周期的摂動に基づく利得結合により
光分布帰還を行う。したがって、特定の波長領域に発振
阻止帯域が生じるようなことがなく、その特定の波長領
域の上下に二つの波長の縦モード発振が生じることもな
く、回折格子の周期により定まる安定な一つのモードの
発振を行う。この安定な一つのモードの発振波長はブラ
ッグ波長に対応するからこれを設定し設計製造すること
ができる。
本発明の半導体レーザ装置では、実質的に活性層その
ものに回折格子を形成することになる。上記先願に記載
の技術は、コゲルニック他による理論における利得係数
の周期的摂動に基づく利得結合により光分布帰還を行う
ものであっても、活性層に近接して不透明半導体層を設
け、この不透明半導体層における回折格子により光分布
帰還を施すものであるから、活性層そのものに回折格子
を形成する本発明とは本質的に異なる。上記先願記載の
技術では、この不透明半導体層に光エネルギの吸収があ
ったが、本発明の半導体レーザ装置はこの不透明に相当
するものはもとよりなく、光エネルギの吸収もないの
で、励起エネルギの効率が高くなる特徴がある。
ものに回折格子を形成することになる。上記先願に記載
の技術は、コゲルニック他による理論における利得係数
の周期的摂動に基づく利得結合により光分布帰還を行う
ものであっても、活性層に近接して不透明半導体層を設
け、この不透明半導体層における回折格子により光分布
帰還を施すものであるから、活性層そのものに回折格子
を形成する本発明とは本質的に異なる。上記先願記載の
技術では、この不透明半導体層に光エネルギの吸収があ
ったが、本発明の半導体レーザ装置はこの不透明に相当
するものはもとよりなく、光エネルギの吸収もないの
で、励起エネルギの効率が高くなる特徴がある。
また、従来構造で説明した活性層に直接に回折格子を
加工印刻するものと比べるといちじるしい改善がある。
すなわち、この従来技術では活性層まで成長させ、そこ
で一旦成長を中断しその上に回折格子を印刻し、さらに
その上にクラッド層となるべき半導体層を再び成長させ
る工程を必要とするから、活性層の半導体結晶構造に欠
陥が生じてしまうが、本発明では、活性層を成長させる
ための基板となる半導体層に回折格子に相応の凹凸形状
を印刻し、この凹凸形状の上にこの凹凸形状を保ったま
ま薄い緩衝層を成長させてから、この緩衝層の凹凸形状
の上に活性層を成長させる。したがって印刻とその前後
の一連の操作により生じる半導体結晶構造の欠陥はその
上に新たに成長された緩衝層により次第に覆われるの
で、活性層の一面には半導体結晶構造の欠陥のない凹凸
形状の回折格子が形成されることになる。
加工印刻するものと比べるといちじるしい改善がある。
すなわち、この従来技術では活性層まで成長させ、そこ
で一旦成長を中断しその上に回折格子を印刻し、さらに
その上にクラッド層となるべき半導体層を再び成長させ
る工程を必要とするから、活性層の半導体結晶構造に欠
陥が生じてしまうが、本発明では、活性層を成長させる
ための基板となる半導体層に回折格子に相応の凹凸形状
を印刻し、この凹凸形状の上にこの凹凸形状を保ったま
ま薄い緩衝層を成長させてから、この緩衝層の凹凸形状
の上に活性層を成長させる。したがって印刻とその前後
の一連の操作により生じる半導体結晶構造の欠陥はその
上に新たに成長された緩衝層により次第に覆われるの
で、活性層の一面には半導体結晶構造の欠陥のない凹凸
形状の回折格子が形成されることになる。
活性層の成長はこの凹凸形状の凹部を埋めるように制
御して行う。結果としてこの凹凸形状の膜厚分布をした
量子井戸層を含む活性層が得られる。これにより、活性
層の実効的な禁制帯幅、キャリア密度ならびに光閉じ込
め係数にレーザ共振器軸方向に沿って所望のとおりの摂
動が生じ、これらの総合効果として共振器軸方向に伝搬
する光波に対する利得係数が回折格子の周期に一致する
周期で変化することになり、利得結合による分布帰還が
実現される。
御して行う。結果としてこの凹凸形状の膜厚分布をした
量子井戸層を含む活性層が得られる。これにより、活性
層の実効的な禁制帯幅、キャリア密度ならびに光閉じ込
め係数にレーザ共振器軸方向に沿って所望のとおりの摂
動が生じ、これらの総合効果として共振器軸方向に伝搬
する光波に対する利得係数が回折格子の周期に一致する
周期で変化することになり、利得結合による分布帰還が
実現される。
本発明の構造では、共振器中の定在波位置が利得係数
変化の周期に一致して固定されるから、レーザ素子端面
の反射の影響を受けにくくなり、単一モード発振を得る
ために、必ずしも反射防止措置を必要としない。したが
って、上記従来例で説明した4分の1波長分だけ回折格
子の位相をシフトさせる構造のものに比べて、その構造
はいちじるしく単純になり製造工数が小さくなり、この
ため製造歩留りが向上する。
変化の周期に一致して固定されるから、レーザ素子端面
の反射の影響を受けにくくなり、単一モード発振を得る
ために、必ずしも反射防止措置を必要としない。したが
って、上記従来例で説明した4分の1波長分だけ回折格
子の位相をシフトさせる構造のものに比べて、その構造
はいちじるしく単純になり製造工数が小さくなり、この
ため製造歩留りが向上する。
凹凸形状を保存したまま薄い緩衝層を形成させる方法
は、凹凸形状の凹部が成長によってなるべく埋められな
い方法を選ぶ。代表的な実用例として、上述の有機金属
気相成長法によることが望ましい。かりに、活性層の一
面に形成された凹凸形状が緩衝層の成長前に形成された
凹凸形状と完全に合同な形状でなくとも、その凹凸形状
が活性層において実質的に回折格子として作用し、その
凹凸形状の半導体結晶構造の欠陥が実用的な十分な程度
に少なければ本発明を実施できる。
は、凹凸形状の凹部が成長によってなるべく埋められな
い方法を選ぶ。代表的な実用例として、上述の有機金属
気相成長法によることが望ましい。かりに、活性層の一
面に形成された凹凸形状が緩衝層の成長前に形成された
凹凸形状と完全に合同な形状でなくとも、その凹凸形状
が活性層において実質的に回折格子として作用し、その
凹凸形状の半導体結晶構造の欠陥が実用的な十分な程度
に少なければ本発明を実施できる。
以下に図面を参照して実施例につき本発明を詳細に説
明する。図は本発明実施例半導体レーザ装置の構造図で
ある。図示の構造においては、高濃度n型砒化ガリウム
(n+−GaAs)基板1上に量子井戸構造の半導体レーザ素
子の各層をエピタキシャル装置により、二段階に分けて
連続的に有機金属気相成長させる。
明する。図は本発明実施例半導体レーザ装置の構造図で
ある。図示の構造においては、高濃度n型砒化ガリウム
(n+−GaAs)基板1上に量子井戸構造の半導体レーザ素
子の各層をエピタキシャル装置により、二段階に分けて
連続的に有機金属気相成長させる。
すなわち第一段階では、基板1の上にn型クラッド層
3を成長させ、さらにn型砒化アルミニウムガリウム半
導体層4を順次連続して有機金属気相エピタキシャル成
長させる。次に成長層の最上層である半導体層4に、干
渉露光法および異方性エッチングができるケミカルエッ
チングを適用して、周期125nmの回折格子に相応の凹凸
形状5を(111)結晶面を出すように印刻する。
3を成長させ、さらにn型砒化アルミニウムガリウム半
導体層4を順次連続して有機金属気相エピタキシャル成
長させる。次に成長層の最上層である半導体層4に、干
渉露光法および異方性エッチングができるケミカルエッ
チングを適用して、周期125nmの回折格子に相応の凹凸
形状5を(111)結晶面を出すように印刻する。
エピタキシャル成長の第二段階では、上記の回折格子
を印刻した半導体層4の上に、平均0.1μm厚のn型砒
化アルミニウムガリウム緩衝層6を同じく有機金属気相
成長エピタキシャル成長させる。緩衝層6には砒化アル
ミニウム混晶比0.3と0.6の砒化アルミニウムガリウムで
構成される超格子をもちいることがよい。さらにこの緩
衝層6の上に連続して、砒化アルミニウム混晶比が0.6
から0.3まで滑らかに変化するようにn型砒化アルミニ
ウムガリウム傾斜屈折率層7Gを平均厚さ0.15μmに成長
させ、その上に、きわめて薄い砒化ガリウム量子井戸7W
を平均厚さ10nmに成長させ、さらにその上に、砒化アル
ミニウム混晶比が0.3から0.6まで滑らかに変化するよう
にp型砒化アルミニウムガリウム傾斜屈折率層7G′を平
均厚さ0.15μmに成長させる。
を印刻した半導体層4の上に、平均0.1μm厚のn型砒
化アルミニウムガリウム緩衝層6を同じく有機金属気相
成長エピタキシャル成長させる。緩衝層6には砒化アル
ミニウム混晶比0.3と0.6の砒化アルミニウムガリウムで
構成される超格子をもちいることがよい。さらにこの緩
衝層6の上に連続して、砒化アルミニウム混晶比が0.6
から0.3まで滑らかに変化するようにn型砒化アルミニ
ウムガリウム傾斜屈折率層7Gを平均厚さ0.15μmに成長
させ、その上に、きわめて薄い砒化ガリウム量子井戸7W
を平均厚さ10nmに成長させ、さらにその上に、砒化アル
ミニウム混晶比が0.3から0.6まで滑らかに変化するよう
にp型砒化アルミニウムガリウム傾斜屈折率層7G′を平
均厚さ0.15μmに成長させる。
さらにその上に、クラッド層8としてp型砒化アルミ
ニウムガリウム層を厚さ1.5μmに成長させ、さらに、
p型砒化ガリウムキャップ層9を0.4μm厚に成長させ
る。このキャップ層9に絶縁層12および電極11を蒸着に
より形成する。
ニウムガリウム層を厚さ1.5μmに成長させ、さらに、
p型砒化ガリウムキャップ層9を0.4μm厚に成長させ
る。このキャップ層9に絶縁層12および電極11を蒸着に
より形成する。
この実施例の各層構造を表で示す。
上記の傾斜屈折率層および量子井戸を含む活性層7の
形成方法については、バート他による論文、オランダ国
雑誌、ジャーナル・オブ・クリスタル・グロース(R Bh
at et al:PATTERNED QUANTUM WELL HETEROSTRCTURES GR
OWN BY OMCVD ON NONPLANAR SUBSTRATES:APPLICATIONS
TO EXTREMELY NARROW SQW LASERS,Journal of Crystal
Growth 93(1988)pp850−856 Amsterdam)に詳しい記
載があり、この記載にしたがって製造することができ
る。
形成方法については、バート他による論文、オランダ国
雑誌、ジャーナル・オブ・クリスタル・グロース(R Bh
at et al:PATTERNED QUANTUM WELL HETEROSTRCTURES GR
OWN BY OMCVD ON NONPLANAR SUBSTRATES:APPLICATIONS
TO EXTREMELY NARROW SQW LASERS,Journal of Crystal
Growth 93(1988)pp850−856 Amsterdam)に詳しい記
載があり、この記載にしたがって製造することができ
る。
また、量子井戸構造の半導体レーザ装置については、
浅田「量子井戸レーザの利得特性と高次元量子化による
極低しきい値化の可能性」雑誌応用物理第57巻第5号
(1988年)に解説記事がある。
浅田「量子井戸レーザの利得特性と高次元量子化による
極低しきい値化の可能性」雑誌応用物理第57巻第5号
(1988年)に解説記事がある。
なお、上記量子井戸7Wは、複数の量子井戸層および障
壁層を交互に積層した多重量子井戸(MQW)とすること
もできる。
壁層を交互に積層した多重量子井戸(MQW)とすること
もできる。
InP系の場合にも図と同様の製造を作製できる。その
ときには、各層をInPに格子整合させ、例えば、 基板1 n−InP クラッド層3 n−InP 半導体層4 n−In0.72Ga0.28As0.61P0.39 緩衝層6 n−In0.82Ga0.18As0.40P0.60 クラッド層8 n−InP コンタクト層9 n−In0.53Ga0.47As とし、活性層7としては、例えばi−In0.72Ga0.28As
0.61P0.39障壁層とi−In0.53Ga0.47As量子井戸層とを
交互に積層した多重量子井戸を用いる。
ときには、各層をInPに格子整合させ、例えば、 基板1 n−InP クラッド層3 n−InP 半導体層4 n−In0.72Ga0.28As0.61P0.39 緩衝層6 n−In0.82Ga0.18As0.40P0.60 クラッド層8 n−InP コンタクト層9 n−In0.53Ga0.47As とし、活性層7としては、例えばi−In0.72Ga0.28As
0.61P0.39障壁層とi−In0.53Ga0.47As量子井戸層とを
交互に積層した多重量子井戸を用いる。
以上説明したように、本発明によれば、コゲルニック
他による理論における利得係数の周期的摂動に基づく利
得結合により光分布帰還を行う半導体レーザ装置が実現
された。しかも、上記先願に記載されたもののように不
透明層を設けてエネルギ吸収損失を生じさせることな
く、また、活性層に回折格子を形成さても半導体結晶構
造に欠陥を生じさせることがない。また、反射防止措置
を必要としない。
他による理論における利得係数の周期的摂動に基づく利
得結合により光分布帰還を行う半導体レーザ装置が実現
された。しかも、上記先願に記載されたもののように不
透明層を設けてエネルギ吸収損失を生じさせることな
く、また、活性層に回折格子を形成さても半導体結晶構
造に欠陥を生じさせることがない。また、反射防止措置
を必要としない。
したがって、本発明の半導体レーザ装置では、2モー
ド発振を起こすことなく発振モードが安定であり、これ
を予め設計設定することができる。本発明の半導体レー
ザ装置は、回折格子の形成が簡単であり、素子端面に反
射防止膜を形成する必要もなく、その構造が簡単であ
り、製造工程が簡単であり、良好な製造歩留りが期待さ
れ、したがって安価である。しかも、上記先願発明の欠
点を除いてエネルギ吸収損失がなく、さらに活性層に回
折格子を形成しても活性層の半導体結晶構造に欠陥を引
き起こすことがないので、誘導放出光を効率的に発生さ
せることができる。
ド発振を起こすことなく発振モードが安定であり、これ
を予め設計設定することができる。本発明の半導体レー
ザ装置は、回折格子の形成が簡単であり、素子端面に反
射防止膜を形成する必要もなく、その構造が簡単であ
り、製造工程が簡単であり、良好な製造歩留りが期待さ
れ、したがって安価である。しかも、上記先願発明の欠
点を除いてエネルギ吸収損失がなく、さらに活性層に回
折格子を形成しても活性層の半導体結晶構造に欠陥を引
き起こすことがないので、誘導放出光を効率的に発生さ
せることができる。
本発明の半導体レーザ装置は、その発振波長を予め設
計設定しそのとおりに製造することができ、しかも量産
に適するから、長距離光通信用、波長多重光通信用、光
情報処理装置、光情報記録装置、光応用計測装置その他
各種の光電子装置の光源としてきわめて有用である。
計設定しそのとおりに製造することができ、しかも量産
に適するから、長距離光通信用、波長多重光通信用、光
情報処理装置、光情報記録装置、光応用計測装置その他
各種の光電子装置の光源としてきわめて有用である。
図は本発明実施例装置の構造図。 1……基板、3……クラッド層、4……半導体層、5…
…凹凸形状、6……緩衝層、7……活性層、8……クラ
ッド層、9……コンタクト層、10……電極、11……電
極、12……絶縁層。
…凹凸形状、6……緩衝層、7……活性層、8……クラ
ッド層、9……コンタクト層、10……電極、11……電
極、12……絶縁層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 細松 春夫 東京都武蔵野市中町2丁目11番13号 光 計測技術開発株式会社内 (72)発明者 岩岡 秀人 東京都武蔵野市中町2丁目11番13号 光 計測技術開発株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−244187(JP,A) 特開 昭63−153884(JP,A) 特開 平1−248585(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01S 3/18
Claims (1)
- 【請求項1】誘導放出光を発生させる活性層と、この活
性層に光分布帰還を施す回折格子とを備えた半導体レー
ザ装置において、 前記回折格子は前記活性層の一方の面に凹凸形成として
形成され、 この一方の面に形成された凹凸形状に接して薄い半導体
緩衝層(6)を備え、 この半導体緩衝層の厚さは実質的に一様であって、この
半導体緩衝層の他面が接する半導体層(4)に印刻され
た凹凸形状と前記回折格子の凹凸形状とが実質的に平行
であり、 前記活性層(7)は、前記凹凸形状の周期に応じて膜厚
が変化した単一または多重量子井戸層(7W)を含む ことを特徴とする半導体レーザ装置。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18500189A JP2957198B2 (ja) | 1989-07-18 | 1989-07-18 | 半導体レーザ装置 |
EP90307142A EP0406005B1 (en) | 1989-06-30 | 1990-06-29 | Semiconductor laser and manufacture method therefor |
DE69027368T DE69027368T2 (de) | 1989-06-30 | 1990-06-29 | Halbleiterlaser und Verfahren zur Herstellung desselben |
US07/546,320 US5077752A (en) | 1989-06-30 | 1990-07-02 | Semiconductor laser |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18500189A JP2957198B2 (ja) | 1989-07-18 | 1989-07-18 | 半導体レーザ装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0349283A JPH0349283A (ja) | 1991-03-04 |
JP2957198B2 true JP2957198B2 (ja) | 1999-10-04 |
Family
ID=16163041
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18500189A Expired - Fee Related JP2957198B2 (ja) | 1989-06-30 | 1989-07-18 | 半導体レーザ装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2957198B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0507956B1 (en) * | 1990-10-19 | 1996-02-28 | Optical Measurement Technology Development Co. Ltd. | Distributed feedback semiconductor laser |
DE60313140T2 (de) * | 2002-02-27 | 2007-07-19 | Japan Science And Technology Agency, Kawaguchi | Quanten-nanozusammensetzungshalbleiterlaser und quanten-nanozusammensetzungsarray |
-
1989
- 1989-07-18 JP JP18500189A patent/JP2957198B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0349283A (ja) | 1991-03-04 |
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---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |