JP2956542B2 - 移動体通信システムにおける受信装置及び検波方式切替方法 - Google Patents

移動体通信システムにおける受信装置及び検波方式切替方法

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JP2956542B2 JP7214114A JP21411495A JP2956542B2 JP 2956542 B2 JP2956542 B2 JP 2956542B2 JP 7214114 A JP7214114 A JP 7214114A JP 21411495 A JP21411495 A JP 21411495A JP 2956542 B2 JP2956542 B2 JP 2956542B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、移動体通信にお
ける受信装置に係り、特にディジタル変調された受信波
を復調する受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】 近年、携帯電話等の普及により、様々
な移動体通信に関する研究が行われている。地上系セル
ラ通信のサービス範囲も都市部からそれを取り巻く地域
へと着実に広がりを見せており、より一層のサービス範
囲拡大の要望が高まっている。そこで地上系セルラ通信
のサービス範囲外の地域においては、衛星通信を利用し
た移動体通信が考えられている。
【0003】ここで、デジタル通信におけるPSK信号
の検波方式に着目してみると、一般的に、地上系セルラ
通信においては遅延検波方式が用いられている一方、衛
星通信においては同期検波方式が用いられている。以下
に、それぞれの検波方式の特徴を説明する。
【0004】遅延検波方式では、受信する信号に対し1
タイムスロット前の信号を基準とし位相検波することに
より復調を行う。搬送波再生が不要なことから、回路を
簡単にでき、変動の激しい伝送路でも安定した特性が得
られる。特開平5−252217号公報にも記載されて
いるように、都市部のように移動端末のアンテナに反射
波、回析波などが到来しフェージングを生じるような場
所では、基準搬送波の再生が困難であることから、基準
搬送波の再生が不要な遅延検波方式が有利であり、一般
的に地上系セルラ通信ではこの方式が用いられている。
また、高速追従性に優れることから時分割多元接続(T
DMA)方式などのバースト的な伝送に適している。
【0005】一方、同期検波方式では、受信波から変調
成分や雑音などを含まない搬送波を再生し、この再生搬
送波を基準とし位相検波することにより復調を行う。同
期検波方式のための搬送波再生方式は、周波数逓倍方
法、逆変調方法、再変調方法などがある。同期検波方式
は、遅延検波方式に比べ、反射波、回析波などが少ない
静特性下では、同一C/N(搬送波電力対雑音電力比)
条件あたりのビット誤り率(Bit Error Ra
te)特性が優れているため、所要送信電力の点で有利
であり、衛星通信ではこの方式が採用されている。反対
に、都市部のようにフェージングが生じる場所では、C
/N(搬送波電力対雑音電力比)の劣化や位相変動のた
めの搬送波同期はずれが起きやすく、遅延検波方式に比
べ不安定な動作となる。
【0006】以上のことを踏まえ、地上系セルラ通信の
サービス範囲外で移動体衛星通信を利用する場合、地上
系セルラ通信で利用されている遅延検波方式を用いるよ
りも同期検波方式を用いた方が良好な通信が可能とな
る。そこで、特開平3−182144号公報に検波方式
を切り換える復調装置が提案されている。これは、受信
レベルの変化を受信レベル判定回路が監視し、受信レベ
ルの変化が小さい場合に同期検波信号を選択し、大きい
場合に遅延検波信号を選択するように構成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、地上
系セルラ通信のサービス範囲外で移動体衛星通信を利用
する場合に、受信レベルの変化の大小により検波方式を
切り替えるという前記の方式を採用したとしても、検波
方式を切り替えるための情報源が地上系セルラ通信と移
動体衛星通信の区別と関わりがないため、地上系セルラ
通信と移動体衛星通信の両方に対応した通信を行うこと
はできない。
【0008】本発明の目的は、地上系セルラ通信と移動
体衛星通信の両方に正確に対応できる受信装置を提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】 本発明による受信装置
は、受信信号から第1ベースバンド信号を検出する遅延
検波手段と、受信信号から第2ベースバンド信号を検出
する同期検波手段と、受信装置の現在位置を検出する位
置検出手段と、地上系移動体通信システムのサービスエ
リア情報を格納するデータベースと、現在位置がサービ
スエリア内であるか否かを判定する判定手段と、判定手
段の判定結果に従って第1ベースバンド信号及び第2ベ
ースバンド信号のいずれかを選択する選択手段とからな
ることを特徴とする。つまり、予め設定されたデータベ
ース上の情報を基準として、現在の位置が同期検波方式
と遅延検波方式のいずれに適するかを判定し、切り替え
て使用するため、常に良好な状態の復調信号が得られ
る。
【0010】
【発明の実施の形態】 本発明の実施例について図面を
参照して説明する。
【0011】図1は、本発明による受信装置の一実施例
を示すブロック図である。受信装置100の通信用アン
テナ1によって受信されたPSK信号は、二分岐された
後、それぞれ同期検波回路2及び遅延検波回路3に入力
する。同期検波回路2は、受信PSK信号を同期検波
し、その復調信号を切替スイッチ回路へ出力する。一
方、遅延検波回路3では、受信PSK信号を遅延検波
し、その復調信号を切替スイッチ回路4へ出力する。
【0012】また、GPS(Global Posit
ioning System)受信機6は、GPS用ア
ンテナ5よりGPS信号を受信し、現在地を演算する。
演算された現在地の位置データを受け取った位置判定装
置7は、データベース8に予め記憶している地上系セル
ラのサービス範囲のデータと現在地のデータとを比較
し、地上系セルラのサービス範囲内か否かを判定する。
その判定結果に従って、切替スイッチ回路4は同期検波
信号又は遅延検波信号のいずれかを選択して出力端子9
から出力する。より詳しくは、現在地が地上系セルラの
サービス範囲内であれば、遅延検波信号が選択され、そ
のサービス範囲外であれば同期検波信号が選択される。
【0013】図2は、本実施例における同期検波回路の
構成を示すブロック図である。受信入力端子10からの
受信信号は二分岐され、それぞれ位相検波回路11及び
搬送波再生回路12に入力される。搬送波再生回路12
は受信信号から変調成分や雑音成分などを取り除いて搬
送波を再生し、その搬送波を基準として位相検波回路1
1は受信入力端子10からの受信信号に位相検波を行
い、得られたベースバンド信号をタイミング抽出回路1
3及び識別再生回路14に出力する。識別再生回路14
は、タイミング抽出回路13で抽出されたタイミングを
基準としてベースバンド信号を再生し、再生されたディ
ジタル信号を出力端子15から出力する。
【0014】図3は、本実施例における遅延検波回路の
構成を示すブロック図である。受信入力端子20からの
受信信号は二分岐され、それぞれ位相検波回路22及び
1タイムスロット遅延回路21に入力される。位相検波
回路22は、1タイムスロット遅延回路にて遅延された
受信信号を基準として位相検波を行い、得られたベース
バンド信号をタイミング抽出回路23及び識別再生回路
24に出力する。識別再生回路24は、タイミング抽出
回路23にて抽出されたタイミングを基準としてベース
バンド信号を再生し、再生されたディジタル信号を出力
端子25から出力する。
【0015】最後に、図4として、本実施例の運用概念
を模式的に示した。移動局50のように基地局40の地
上系セルラー通信のサービス範囲内41にいる場合に
は、図1における受信装置100の位置判定装置7は第
1判定信号を切替スイッチ回路4へ出力し、切替スイッ
チ4は遅延検波回路3の復調信号を選択する。また、移
動局51のように基地局40の地上系セルラー通信のサ
ービス範囲41の外にいる場合には、通信衛星60を介
して基地局40と通信を行うために、位置判定装置7は
第2判定信号を切替スイッチ回路4へ出力し、切替スイ
ッチ回路4は同期検波回路2の復調信号を選択する。
【0016】ここで利用するGPS(Global P
ositioning System)は全世界的な高
精度位置測定システムであり、航空機、船舶、自動車の
航行用及び測量用として利用されている。
【0017】GPSは軌道高度約2万km、周期約12
時間、軌道傾斜角度55度で、6つの異なる軌道面に、
予備衛星3つを含めて、最適カバレージになるように2
4衛星が配置されている。
【0018】GPSにおいて、衛星からの航法信号はP
N(Pseudo Noise:疑似雑音)コードでス
ペクトル拡散変調されたPSK波であり、1575.4
2MHz(F1)と1227.6MHz(F2)との2
波からなる。このコードには、Pコード(Precis
ion Code)とC/Aコード(Clear an
d Acquisition Code)の2種類があ
る。Pコードは10.23Mbps、周期1週間で、F
1とF2の2波使用により電離補正が可能となり、精密
測位を達成できる。C/Aコードは1.023Mbp
s、周期約1ミリ秒でF1のみを使用する。
【0019】GPSを利用した代表的な測位法として直
接法があり、移動体の測位に利用されている。直接法の
測位は、複数の信号から信号を受け、その航法情報(衛
星の時刻、軌道要素など)を解読することにより、自分
の絶対位置を算出する方法である。
【0020】GPS用アンテナ2は、受信装置100で
使用する通信用アンテナ1の特性がGPS受信機の必要
なアンテナ特性を満たしているならば、アンテナを共有
することが可能である。
【0021】なお、データベースとしては、CD−RO
M、メモリカード、EEPROM、フラッシュメモリな
どが考えられるが、データベース上の、検波方式を選択
する基準となる情報は、地上系セルラー通信のサービス
範囲内か否かということに限定されるべきものではな
く、通信料金等の他の重要な要素を考慮に入れたもので
も良い。
【0022】また、地上系セルラーのサービス範囲41
内では、地上系セルラーと移動体衛星通信の両方とも受
信してしまうが、地上系セルラーの電界強度は移動体衛
星通信の電界強度よりも高いため、遅延検波方式を選択
する方が有利である。
【0023】
【発明の効果】 以上説明したように、本発明による受
信装置は、現在地を測位し、データベースの情報を基準
として現在地が地上系セルラ通信のサービス範囲内か否
かを判定するすることにより、同期検波方式と遅延検波
方式から適切な検波方式を選択するため、常に良好な状
態の復調信号を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による受信装置の一実施例を示すブロ
ック図である。
【図2】 本実施例における同期検波回路の構成を示す
ブロック図である。
【図3】 本実施例における遅延検波回路の構成を示す
ブロック図である。
【図4】 本実施例の運用概念を示す模式図である。
【符号の説明】
1 通信用アンテナ 2 同期検波回路 3 遅延検波回路 4 切り替えスイッチ回路 5 GPS用アンテナ 6 GPS受信機 7 位置判定装置 8 データベース 9 出力端子 10 入力端子 11 位相検波回路 12 搬送波再生回路 13 タイミング抽出回路 14 識別再生回路 15 出力端子 20 入力端子 21 1タイムスロット遅延回路 22 位相検波回路 23 タイミング抽出回路 24 識別再生回路 25 出力端子 40 基地局 41 地上系セルラ通信のサービス範囲 50 移動局 51 移動局 60 通信用衛星 100 受信装置

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地上系移動体通信システム及び移動体衛
    星通信システムにおいて使用可能な受信装置において、 受信信号から第1ベースバンド信号を検出する遅延検波
    手段と、 前記受信信号から第2ベースバンド信号を検出する同期
    検波手段と、 前記受信装置の現在位置を検出する位置検出手段と、 前記地上系移動体通信システムのサービスエリア情報を
    格納するデータベースと、 前記現在位置が前記サービスエリア内であるか否かを判
    定する判定手段と、 前記判定手段の判定結果に従って前記第1ベースバンド
    信号及び前記第2ベースバンド信号のいずれか適した信
    号を選択する選択手段と、 からなることを特徴とする受信装置。
  2. 【請求項2】 前記位置検出手段は、全地球測位システ
    ム(GPS)受信機からなることを特徴とする請求項1
    記載の受信装置。
  3. 【請求項3】 衛星通信系移動体通信システム及び地上
    セルラ系移動体通信システムにおいて使用可能な受信装
    置において、 受信信号から第1ベースバンド信号を検出する、前記地
    上セルラ系に適した第1検波手段と、 前記受信信号から第2ベースバンド信号を検出する、前
    記衛星通信系に適した第2検波手段と、 前記受信装置の現在位置を検出する位置検出手段と、 前記地上セルラ系のサービスエリア情報を格納するデー
    タベースと、 前記現在位置が前記サービスエリア内であるか否かを判
    定する判定手段と、 前記判定手段の判定結果に従って前記第1ベースバンド
    信号及び前記第2ベースバンド信号のいずれかを選択す
    る選択手段と、 からなることを特徴とする受信装置。
  4. 【請求項4】 前記位置検出手段は、全地球測位システ
    ム(GPS)受信機からなることを特徴とする請求項3
    記載の受信装置。
  5. 【請求項5】 前記第1検波手段は遅延検波回路からな
    り、前記第2検波手段は同期検波回路からなる、ことを
    特徴とする請求項3又は4記載の受信装置。
  6. 【請求項6】 衛星通信系及び地上セルラ系からなる移
    動体通信システムにおける受信装置において、 受信信号からベースバンド信号を前記地上セルラ系に適
    した第1検波方式により検出し、 前記受信信号から前記ベースバンド信号を前記衛星通信
    系に適した第2検波方式により検出し、 前記地上セルラ系のサービスエリア情報を予め格納し、 前記受信装置の現在位置を検出し、 前記現在位置が前記サービスエリア内であるか否かを判
    定し、 前記判定結果に従って前記第1検波方式及び前記第2検
    波方式のいずれかを選択する、 ことを特徴とする検波方式切替方法。
  7. 【請求項7】 前記受信装置の位置は、全地球測位シス
    テム(GPS)によって検出されることを特徴とする請
    求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記第1検波方式は遅延検波であり、前
    記第2検波方式は同期検波である、ことを特徴とする請
    求項6又は7記載の方法。
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