JP2956427B2 - 耐摩耗性に優れた析出硬化型ステンレス鋼材の製造方法 - Google Patents

耐摩耗性に優れた析出硬化型ステンレス鋼材の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、船舶用、ダム土砂放
流路用および水門用など、水環境で高い耐摩耗性を必要
とする耐摩耗性に優れた析出硬化型ステンレス鋼材の製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、高速船の水中翼およびスクリュ
ー、および、ダムの土砂放流路等に、高強度ステンレス
鋼材が利用されつつある。これらの用途の特徴は、水環
境で裸使用されるため耐食性を必要とされること、およ
び、水泡によって生じる衝撃および土砂等による減耗を
防ぐため、高い耐摩耗性を必要とされることである。
【0003】従来、耐摩耗性は、材料の硬度とある程度
の相関を示すことが知られているため、耐摩耗用途には
高硬度材が用いられ、特に水環境下での使用に耐える目
的のためには、マルテンサイト系ステンレス鋼の硬さと
耐食性とが好適と言われている。
【0004】ところが、近年要求されている、上記のよ
うな用途に対しては、マルテンサイト系ステンレス鋼で
も耐摩耗性が不足するため、17Cr-4Ni-Cu 系(17-4PH
鋼)、15Cr-5Ni-Cu 系(15-5PH鋼)等の、マルテンサイ
ト地を更に析出物で硬化させた、析出硬化型ステンレス
鋼の適用が考えられている。このうち、17-4PH鋼は、同
じCr,Ni レベルのステンレス鋼のうちで最も高い硬度レ
ベルが得られる鋼として、汎用の鋼種であり、JIS にも
G 4303 SUS 630 として規格化されている。また、15-5
PH鋼は、これを改良して17-4PH鋼の熱間加工性および靱
性を向上させた鋼種である。
【0005】しかしながら、ビッカース硬さ400 以上の
高硬度を有する17-4PH鋼でも、耐摩耗性は十分とは言え
ず、摩減による短寿命が問題である。ダム用途を例にと
ると、土砂放流路の寿命20年を耐える耐食性金属材料と
しては、現在適用が考えられている17-4PH鋼で耐食性お
よび延・靱性はほぼ満足できるが、耐摩耗性としては更
に高いものが良く、経済性としても同等以上のものが最
適であるが、従来そのような代替材料はなかった。他の
用途についても、耐食性および延・靱性を損なわない範
囲で、耐摩耗性は高いほど良いことは共通である。
【0006】従来知見としては、Ni含有ステンレス鋼に
おいて、Al, Tiなどの少量添加を行なっても、比較的容
易に金属間化合物相の析出による鋼の硬化はできること
が知られており、同時に耐摩耗性の向上もある程度期待
できると言える。しかしながら、このような手段によっ
て硬化させた場合、著しい靱性の低下を招く結果とな
り、望ましい総合性能が得られない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明は上記のよう
な問題点を解決するためになされたもので、この発明の
目的は、17-4PH鋼ないし15-5PH鋼などのマルテンサイト
系析出硬化型ステンレス鋼の成分を新たに見直し、新成
分系に対し、熱間加工・溶体化熱処理後に2段熱処理法
を適用することで、従来の析出硬化型ステンレス鋼の耐
食性および延・靱性を維持し、従来の析出硬化型ステン
レス鋼と比較して硬度および耐摩耗性において大幅に上
回る性能を発揮するステンレス鋼材の製造方法を提供す
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】17-4PH鋼、15-5PH鋼は、
Cu富化相の析出によりマルテンサイト地が強化され、高
強度を得る鋼種であるが、特に耐摩耗性に注目して成分
設計がなされた経緯がなく、また、Nb, Cu等の析出強化
成分の役割も不明確で、従来の熱処理法は、経験的に鋼
の強度/靱性バランスをみて決定されたものであった。
【0009】我々は、まず、同鋼種の析出挙動の詳細を
把握することから出発し、300 から900 ℃の範囲内の詳
細な時間/温度/析出物線図(TTP 線図)を作成して検
討した。その結果、Nbは炭窒化物として析出するがその
強化作用は少ないばかりか、過剰の添加が靱性に悪影響
を与えること、Cuは、Cu富化相として非常に微細な球状
の析出を与える元素で、その添加量に耐摩耗性を著しく
向上する範囲があり、しかも後述するように、その析出
硬化が十分起こるためには、注意深く温度条件、時間条
件を制御した2段時効処理を要すること等を知見した。
【0010】この発明は、上述の知見に基づいてなされ
たものであり、本発明のステンレス鋼材の製造方法は、 C :0.05wt.%以下、 Si:1.0 wt.%以下、 Mn:1.0 wt.%以下、 P :0.04wt.%以下、 S :0.01wt.%以下、 Cu: 3.5から 5.5 wt.%、 Ni: 3.0から 5.5 wt.%、 Cr: 14.0から17.5 wt.%、 Nb: 0.15から 0.35wt.%、 但し、Nb≦C×7.8、 および、 残り:Feおよび不可避的不純物、 からなる化学成分組成を有する鋼塊を溶製し、次いで、
前記鋼塊を熱間圧延して熱延鋼材とし、次いで、前記熱
延鋼材を溶体化処理し、次いで、430から500℃の
範囲内の温度で30分から2時間の範囲内の加熱を行う
第1時効処理を施こし、次いで、380から450℃の
範囲内の温度で1から10時間の範囲内の加熱を行う第
2時効処理を施こすことに特徴を有するものである。
【0011】
【作用】次に、本発明のステンレス鋼材の製造方法にお
いて、ステンレス鋼の化学成分組成を、上述した範囲内
に限定した理由について、以下に述べる。
【0012】C (炭素):C は、この発明鋼の母相の強
さを増すことによって耐摩耗性を向上させる元素の一つ
である。C 含有量が0.05wt.%を超えると耐食性に有害で
あり、時効熱処理後の延・靱性を低下させる。従って、
C 含有量は、0.05wt.%以下とすべきである。
【0013】Si(シリコン):Siは、脱酸に有効な元素
であるが、Si含有量が1.0 wt.%を超えると脆化相の析出
を生じ、熱間加工性を阻害する。従って、Si含有量は、
1.0 wt.%以下とすべきである。
【0014】Mn(マンガン):Mnは、Niとともにフェラ
イト相の析出を抑え、マルテンサイト相を安定化させ、
また、脱硫剤として鋼中の有害な残留S を固定する作用
を有している。しかしながら、Mn含有量が1.0 wt.%を超
えると熱間加工性に有害である。従って、Mn含有量は1.
0 wt.%以下とすべきである。
【0015】P (燐):P は、粒界に偏析し、熱間加工
性を劣化させるとともに、時効後の延・靱性劣化の原因
となるため、その上限を0.04wt.%とすべきである。
【0016】S (硫黄):S は、P と同様、粒界偏析し
て熱間加工性を劣化させる元素であり、特に圧延時の割
れを誘発する元素であることが明らかになっており、そ
の含有量は少ないほど良い。最大の許容限が0.01wt.%で
あるため、その上限は0.01wt.%とすべきである。
【0017】Cu(銅):Cuは、析出強化および耐摩耗性
向上の主役を演じる元素であって、時効中にCu富化相と
して析出し、基地の強化および耐摩耗性向上に効果があ
る。我々の研究によれば、Cuの添加量、時効時間および
耐摩耗性向上効果の三者に密接な関係があり、後述する
2段時効の効果が著しく発揮されるのは、Cu含有量が3.
5 wt.%以上のときに限られる。しかしながら、Cu含有量
が5.5 wt.%を超えると上記効果は飽和するとともに、鋼
の延・靱性を著しく阻害する。従って、Cu含有量は 3.5
から5.5 wt.%の範囲内に限定すべきである。
【0018】Ni(ニッケル):Niは、フェライト相の析
出を抑え、焼き入れ性を高める元素である。この効果
は、Ni含有量が3.0 wt.%未満では不十分である。逆にNi
含有量が5.5 wt.%を超えると、焼き入れ後の残留オース
テナイトが増加し、硬度および耐摩耗性を低下させる。
従って、Ni含有量は3.0 から5.5 wt.%の範囲内に限定す
べきである。
【0019】Cr(クロム):Crは、ステンレス鋼に水環
境下の耐食性を与える基本元素である。Cr含有量が14.0
wt.%未満では十分な耐食性が得られない。一方、Cr含有
量が17.5wt.%超では、相バランスが崩れ、δフェライト
が増加して熱間加工性を害するうえ、靱性を劣化させ
る。従って、Cr含有量は14.0から17.5wt.%の範囲内に限
定すべきである。
【0020】Nb(ニオブ):Nbは、鋼中のC を固定し
て、粒界へのCr炭化物析出を抑制し、耐食性向上に有効
な元素である。従来用途では、この他に、NbC としての
析出強化が付加的に考慮されてきたが、我々は、NbC の
析出は耐摩耗性向上に殆ど効果がないことを明らかにし
た。Nb含有量が0.15wt.%未満では、C を固定する効果が
十分でない。一方、Nb含有量が0.35wt.%を超えると靱性
に有害である。従って、Nb含有量は0.15から0.35wt.%の
範囲内に限定すべきである。但し、Nb含有量が、C 含有
量の7.8倍を超えると、脆い金属間化合物および複合炭
化物を生じ、鋼の靱性を劣化させる。従って、Nb含有量
は、C 含有量の7.8 倍以下(Nb≦ C×7.8 )とすべきで
ある。
【0021】次に、本発明のステンレス鋼材の製造方法
において、熱処理条件を上述した範囲内に限定した理由
について、以下に述べる。
【0022】我々は、数多くの熱処理条件の組合せ試行
を繰り返した末、430 〜500 ℃の温度範囲において30分
〜2時間の範囲内で第1時効処理を行ない、引き続いて
380〜450 ℃の温度範囲で1〜10時間の第2時効処理を
施した場合に最も耐摩耗性が良好であることを見出し
た。即ち、上記のような組合せで熱処理を行うことによ
り、高温において析出相の核生成を効率的に起こらし
め、微細且つ均一な分散を達成し、引き続いて更に低温
での時効処理によって、オスワルド成長を抑えた安定的
な析出相の成長を促進し、添加したCuの十分な析出を終
了させることができる。
【0023】
【実施例】
次に、この発明を実施例により、更に詳細に説明する。 〔実施例1〕本発明 の実施例について説明する。表1に検討を行っ
た鋼の化学成分組成を示す。表1中の符号No.1から
7が本発明範囲内の化学成分組成を有する本発明鋼であ
り、符号No.8から15までが本発明範囲外の化学成
分組成を有する比較鋼である。
【0024】
【表1】
【0025】これらの鋼を真空溶解炉で溶製した後、鋼
塊を1250℃で均熱し熱間圧延によって12mmの厚さの板材
に調製した。こうして得た鋼板を一律1040℃×30分水冷
の条件で溶体化処理(ST)した。次いで、450 ℃×1時
間の加熱による第1時効処理を施こし、次いで、420 ℃
×4時間の加熱による第2時効処理を施して、ステンレ
ス鋼材の供試体を調製した。そして、調製した供試体を
試験片とし、その各々に対して、下記からなる、硬さ試
験、衝撃試験および耐摩耗性試験を実施した。
【0026】硬さ試験は、JIS Z 2244に規定するビッカ
ース硬さ試験法に準拠し、圧延L断面に対して行った。
試験面の調整は、600 番サンドペーパーがけまで行っ
た。荷重は、98.07 Nを適用し、圧痕を5点打って測定
した平均値をHV(10)とした。
【0027】衝撃試験は、JIS Z 2202に規定する第4号
試験片(Vノッチ、フルサイズ10×10mm断面)を用い、
JIS Z 2242に規定する衝撃試験法に準拠して行った。試
験片は圧延L方向に採取し、繰り返し数2で各温度を試
験しシャルピー破面遷移温度vTrs(℃)を求めた。
【0028】摩耗試験については、図2に示す試験装置
および図3に示す試験片1(断面B×全長C=10φ×60
mm)により、回転中心から150mm の距離Aに試験片1を
装着し、試験片回転型の摩耗試験を実施した。水環境で
の耐摩耗性を評価するため、摩耗材として天然珪砂と純
水とを重量比で2対1に混合した液体2を装置3に満た
して使用した。温度は室温とし、回転速は試験片位置で
の周速4m/sec 、試験時間を4時間とした。JIS G 31
01に規定される一般構造用鋼SS400 で作成した試験片を
標準試料として装着し、これと供試体の試験片との減耗
量の相対的な割合(Rw)で耐摩耗性の評価を行った。
【0029】表2に各種特性をまとめて示す。衝撃特性
vTrsおよび耐摩耗性を示すRw値には、それぞれ○印およ
び×印で評価を付した。破面遷移温度vTrsの評価基準は
0℃とした。即ち、脆性破壊する条件が、水環境の最低
温度0℃より低温(0℃以下)である場合を○印、高温
(0℃超)である場合を×印と評価した。また、耐摩耗
性は、従来の17-4PH鋼時効熱処理材並(Rw=0.65)より
劣る場合を×印、同等またはこれを上回る特性を示す場
合を○印と評価した。
【0030】
【表2】
【0031】表2に示すように、比較鋼No. 8のような
低Cu量では、時効後の硬度向上は十分でなく、耐摩耗性
も劣る。ところが、比較鋼No. 12のように、Cuが過剰と
なると、靱性の低下によってvTrs≦0℃を満足できな
い。
【0032】また、Nb量については、比較鋼No. 9から
明らかなように、その含有量が過剰であると靱性が劣化
し、比較鋼No. 14の例では、逆に添加が十分でないため
NbCとして固定しきれないC が多量となり、粒界に偏析
したCr炭化物が脆性破壊の拠点となり易くなるため、や
はり脆性が低下する。比較鋼No. 10も同様に、C 含有量
が多量に過ぎ、靱性が低下している。
【0033】比較鋼No. 11では、Cr含有量が過多のため
フェライト量、残留オーステナイト量がともに過剰に増
加し、時効後の硬度、耐摩耗性が向上せず靱性にも劣る
典型例が示されている。残留オーステナイト量の過剰に
よる硬度、耐摩耗性不足は、比較鋼No.13 のようにNi含
有量が過剰な場合も同様で、望ましくない。逆に、比較
鋼No. 15のように、Ni含有量が不足な場合、フェライト
量が過多のため、靱性が劣る。
【0034】これに対して、本発明鋼No. 1から7で
は、成分の適正なバランスにより上記のような問題はな
く、最適化されたCu含有量により従来の17-4PH鋼を大き
く上回る時効硬化量が達成され、著しく優れた耐摩耗性
を得ることができる。
【0035】〔実施例2〕本発明 の実施例について、説明する。表3は、検討し
た熱処理条件から特徴的なものを抜粋し、耐摩耗性を測
定した結果を示すものである。供試鋼は、表1に示す本
発明鋼No.4を使用した。また、一部に表1に示す比
較鋼No.8を使用して得られた値を表3中の括弧内に
併せて付記した。
【0036】
【表3】
【0037】表3には、試行した熱処理条件を、縦軸の
第1時効熱処理条件、横軸の第2時効熱処理条件の組合
せで示し、耐摩耗性試験結果については、得られたRw値
(Rw=R/RSS400 ×100 %)を示す。表3中には、17
-4PH鋼に対する従来法の熱処理、即ち、JIS G 4303に規
定するH900(480 ℃熱処理)、H1025 (550 ℃熱処
理)、H1075 (570 〜590 ℃熱処理)、H1150 (620 ℃
熱処理)で実施した結果についても比較している。いず
れも単一の熱処理であり、表3中には値の右に“JIS ”
と付記して示す。JIS 法の中では、H900が最も高い耐摩
耗性を与えるが、その値はRw=0.65のレベルにとどまっ
ており、太枠内に示す本発明法による耐摩耗性は、これ
より10から15%も優れている。
【0038】図1は、第1時効処理条件を本発明範囲内
の450 ℃×1時間または本発明範囲外の450 ℃×8時間
とし、第2時効熱処理条件を400 ℃×0.5 〜16時間とし
た場合の耐摩耗性変化を、本発明鋼No. 4および比較鋼
No. 8について示したものである。本発明の請求範囲内
条件で熱処理した場合に、著しい耐摩耗性の向上があ
り、図1中に点線で示したRw=0.65(従来材並)のレベ
ルを大きく上回っている。比較鋼No. 8について、本発
明請求範囲内の熱処理を施しても、このような耐摩耗性
向上は見られない。本発明熱処理条件範囲は、表3中に
太枠で示す範囲であり、いずれもRw=0.65を上回る、優
れた耐摩耗性を示している。第2時効熱処理が長時間に
過ぎると、表3中に示すように靱性の劣化があり、実使
用上望ましくない。vTrs≧0℃となったものについて
は、表3中に示す値の横に“黒三角印”を付して示す。
本発明材は、靱性の観点からも問題ないことが理解でき
る。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、17-4PHないし15-5PH析出硬化型ステンレス鋼からか
け離れた成分系とならずに、耐食性、延・靱性を維持
し、従来得られていた析出硬化型ステンレス鋼と比較し
て、硬度、耐摩耗性において大幅に上回る性能を発揮す
るステンレス鋼を提供でき、水環境中での耐摩耗材料の
寿命を大幅に改善することができ、同時に、硬度、強度
においても、従来材の析出硬化型ステンレス鋼材を上回
る性能が得られ、かくして、工業上有用な効果がもたら
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1時効熱処理条件を450 ℃×1時間または8
時間とし、第2時効熱処理条件を400 ℃×0.5 〜16時間
とした場合の耐摩耗性変化を、本発明鋼および比較鋼に
ついて示すグラフである。
【図2】水環境下での耐摩耗性評価に用いた試験装置を
示す説明図である。
【図3】水環境下での耐摩耗性評価に用いた試験片形状
を示す説明図である。
【符号の説明】
1 試験片 2 液体 3 試験装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C21D 6/00 102 C22C 38/00 302 C22C 38/48

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C :0.05wt.%以下、 Si:1.0 wt.%以下、 Mn:1.0 wt.%以下、 P :0.04wt.%以下、 S :0.01wt.%以下、 Cu: 3.5から 5.5 wt.%、 Ni: 3.0から 5.5 wt.%、 Cr: 14.0から17.5 wt.%、 Nb: 0.15から 0.35wt.%、 但し、Nb≦C×7.8、 および、 残り:Feおよび不可避的不純物、 からなる化学成分組成を有する鋼塊を溶製し、次いで、
    前記鋼塊を熱間圧延して熱延鋼材とし、次いで、前記熱
    延鋼材を溶体化処理し、次いで、430から500℃の
    範囲内の温度で30分から2時間の範囲内の加熱を行う
    第1時効処理を施こし、次いで、380から450℃の
    範囲内の温度で1から10時間の範囲内の加熱を行う第
    2時効処理を施こすことを特徴とする耐摩耗性に優れた
    析出硬化型ステンレス鋼材の製造方法。
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