JP2954876B2 - 超音波診断装置 - Google Patents

超音波診断装置

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JP2954876B2 JP14879596A JP14879596A JP2954876B2 JP 2954876 B2 JP2954876 B2 JP 2954876B2 JP 14879596 A JP14879596 A JP 14879596A JP 14879596 A JP14879596 A JP 14879596A JP 2954876 B2 JP2954876 B2 JP 2954876B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は超音波診断装置、特
に超音波診断装置における受信信号の処理に関する。
【0002】
【従来の技術】図12には、従来の超音波診断装置の受
信部の構成が示されている。複数の振動素子からなる超
音波振動子から出力された各受信信号は整相加算回路1
0に入力され、電子フォーカス及び電子走査のために各
受信信号が遅延され、これにより位相調整がなされた各
受信信号が合成される。整相加算回路10から出力され
た合成後の受信信号は、可変型のバンドパスフィルタで
構成される帯域制限回路12を通過した後に増幅器14
に入力され、その増幅器14で増幅された受信信号が検
波器16で検波される。検波後の受信信号はA/D変換
器18においてデジタル信号に変換され、そのデジタル
信号に変換された受信信号がラインメモリ20に格納さ
れた後、さらにフレームメモリ22に格納される。ライ
ンメモリは超音波ビーム1本分の受信信号(画像デー
タ)を格納するものであり、フレームメモリ22は1フ
レーム分の受信信号を格納するものである。フレームメ
モリ22から読み出された画像データは、図示されてい
ない画像形成部に入力され、そこで断層画像やドプラ画
像などの超音波画像が形成される。
【0003】ところで、従来装置においては、1つの帯
域制限回路12のみが利用され、その帯域制限回路12
は、データ取り込み位置の深さに応じてすなわち超音波
ビーム1本に相当する受信信号の時系列に沿って、その
通過帯域特性の中心周波数を高域側から低域側へ自動的
に一律にシフトさせる機能を有する。
【0004】すなわち、深さに応じてフィルタ特性が低
域側へシフトされている。周知のように、生体内におい
て超音波は高域側の成分ほど減衰を受けやすく、超音波
の伝搬距離に依存して受信信号のスペクトルは変化す
る。このため、帯域制限回路12は、深さに依存するス
ペクトル変化に対応して受信信号の通過帯域を適応的に
設定するために設けられたものである。これにより、一
般に、浅い部位に対しては、高域側成分を中心に通過さ
せて画質(分解能)を向上でき、深い部位に対しては、
低域側成分を中心に通過させて感度の向上を図れる。な
お、帯域制限回路12の通過帯域の可変範囲や可変量な
どはユーザーによって調整することも可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図2の
左側の模式図に示すように、心臓壁などの超音波ビーム
方向に沿って長い壁構造体が存在していると、その壁構
造体において、超音波(特に高域側成分)は通常以上の
減衰を受け、受信スペクトルにおいては低域成分がかな
り支配的になる。
【0006】図2の(A1)及び(A2)には、従来装
置における帯域制限回路12の作用が示されている。
(A1)は浅い部位の受信信号に対するフィルタ特性F
を示しており、(A2)は深い部位の受信信号に対する
フィルタ特性Fを示している。ここで、Uは浅い部位か
らの受信信号のスペクトルを示しており、U´は壁構造
体内の深い部位からの受信信号のスペクトルを示してい
る。同じ深さからの受信信号のスペクトルであっても、
壁構造体内の深い部位からの受信信号においては、かな
り低域側の成分のみしか存在しない。よって、(A2)
に示すように、低域側へシフトさせたフィルタ特性Fで
スペクトルU´の受信信号を取り込もうとすると十分な
感度を得られず、その部分については鮮明な画像を形成
できなかった。
【0007】もちろん、ユーザー設定により、通過帯域
のシフト量を大きくすれば上記問題を幾分か改善できる
が、そのように設定を行うと、受信信号の全体にわたっ
て必要以上に低域成分の通過度合いが多くなり、場所に
よってはかえって画質が低下してしまうという問題があ
った。また、そのようなユーザー操作は時間がかかり繁
雑であり、また技量の差が生じるという問題もあった。
【0008】つまり、従来においては、深さのみをパラ
メータとして、通過帯域の調整を一律に行っていたた
め、超音波画像全体を考慮した場合、画質を重視すれば
感度が犠牲になり、感度を重視すれば画質が犠牲になる
という場合があった。
【0009】本発明は、上記従来の課題に鑑みなされた
ものであり、その目的は、受信信号スペクトルの変動に
連動して適応的に帯域制限を行える超音波診断装置を提
供することにある。
【0010】また、本発明の目的は、超音波画像の各部
分ごとに適切な帯域制限を行える超音波診断装置を提供
することにある。
【0011】さらに、本発明の目的は、そのような帯域
制限を実時間で制御できる超音波診断装置を提供するこ
とにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、互いに異なる通過帯域特性を有し、同じ
受信信号に対して個別に帯域制限を行う複数の帯域制限
回路と、前記帯域制限後の各受信信号の強度に基づい
て、それらの受信信号に対して重み付けを行って加算す
る重み付け加算手段と、前記加算された受信信号を利用
して超音波画像を形成する超音波画像形成手段と、を含
むことを特徴とする。
【0013】上記構成によれば、互いに異なる帯域通過
特性をもった帯域制限回路によって受信信号の互いに異
なる周波数成分が取り出され、各周波数成分の大きさに
基づいて重み付け加算が行われる。すなわち、複雑なス
ペクトル解析を要することなく、各周波数成分の強度を
比較等することによって、望ましい帯域制限を適応的に
設定するものである。
【0014】本発明によれば、高域側の信号成分が十分
にある場合には低域側の信号成分を大幅にカットするこ
とによって、従来以上に高い周波数の信号成分を中心と
して超音波画像を形成でき、より鮮明な超音波画像を提
供できる。また、従来カットされていた低域側に信号成
分が存在する場合に必要に応じてその信号成分を拾って
超音波画像を形成でき、感度を向上することができる。
【0015】また、本発明によれば、超音波画像の全体
にわたって一律に帯域制限を行うのではなく、各画像部
分ごとに適応的に帯域制限を行うことができ、壁構造体
による減衰などの局所的な問題に自動的に対処できる。
【0016】また、本発明によれば、受信中に帯域制限
回路を切り換え動作させる必要がなく、また各帯域制限
回路の出力自体をモニタしながら重み付け加算が行われ
るので、帯域制限の可変に伴う画質の変化が自然であ
る。
【0017】本発明の好適な態様では、前記各帯域制限
回路の通過帯域特性は、データ取り込み位置の深さに対
応して連続的に可変設定される。すなわち、帯域制限回
路が多数設けられている場合には必ずしも必要とならな
いが、帯域制限回路が例えば2つのみ設けられる場合に
は深さに依存する超音波の減衰特性に対応して各通過帯
域特性を可変させるのが望ましい。
【0018】本発明の好適な態様では、前記重み付け加
算手段は、前記帯域制限回路ごとに設けられ、前記帯域
制限後の受信信号が入力される複数の可変増幅器と、前
記帯域制限後の各受信信号の大きさに基づいて、前記各
可変増幅器の増減率を可変設定する増減制御部と、を含
み、前記各可変増幅器から出力された各受信信号が加算
される。ここで、可変増幅器は、増幅のみを行う回路又
は増幅・減衰を行う回路の両者を利用できる。各受信信
号の加算はオペアンプなどからなる加算器を利用しても
よいが、単なる結線(ワイヤードオア)を利用してもよ
い。
【0019】また、本発明の好適な態様では、前記重み
付け加算手段は、前記帯域制限後の各受信信号の大きさ
をパラメータとしてそれらの受信信号に対して重み付け
加算を行う関数を有する。この場合、例えばデジタル演
算を行う回路を利用することもでき、またROMなどを
利用することもできる。
【0020】また、上記目的を達成するために、本発明
は、受信信号に対して帯域制限を行う帯域制限回路と、
前記帯域制限前の受信信号及び前記帯域制限後の受信信
号の大きさに基づいて、それらの受信信号に対して重み
付けを行って加算する重み付け加算手段と、前記加算さ
れた受信信号を利用して超音波画像を形成する超音波画
像形成手段と、を含むことを特徴とする。
【0021】すなわち、互いに異なる信号成分を有する
複数の受信信号が得られれば、上記同様の原理に基づい
て重み付け加算を行うことができ、この構成によれば装
置構成を簡易化することができる。
【0022】さらに、上記目的を達成するために、本発
明は、互いに異なる通過帯域特性を有し、同じ受信信号
に対して個別に帯域制限を行う複数の帯域制限回路と、
前記帯域制限後の各受信信号の大きさに基づいて、それ
らの受信信号のいずれかを選択して出力する選択手段
と、前記選択された受信信号を利用して超音波画像を形
成する超音波画像形成手段と、を含むことを特徴とす
る。
【0023】すなわち、重み付け加算に代えて信号成分
の選択を行ってもよい。例えば2つの帯域制限回路が設
けられる場合、1つは従来同様の通過帯域特性をもった
帯域制限回路とし、もう1つは従来においてカットされ
ていた壁構造体深部などからの低域側成分を拾うための
通過帯域特性をもった帯域制限回路とすればよい。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を
図面に基づいて説明する。
【0025】図1には、本発明に係る超音波診断装置の
好適な実施形態が示されており、図1はその受信部の構
成を示すブロック図である。
【0026】超音波の送受波は、図示されていないアレ
イ振動子によって行われる。このアレイ振動子は、複数
の振動素子を例えば直線配列してなるものであって、電
子走査により超音波ビームが走査される。各振動素子か
ら出力された受信信号は図1に示す整相加算回路30に
入力される。整相加算回路30は、電子走査および電子
フォーカスを実現するために各受信信号に対して所定の
遅延を行ない位相調整が成された各受信信号を合成加算
するものである。合成後の受信信号は、本実施形態にお
いて2つの帯域制限回路32,34に入力される。な
お、本実施例では装置コスト面を考慮し2つの帯域制限
回路を設けているが、もちろんそれ以上の個数の帯域制
限回路を設けてもよい。
【0027】帯域制限回路32は、本実施形態において
高域側の帯域制限を行なうフィルタ特性を持った回路で
あり、図2(B1)には帯域制限回路32が有する第1
フィルタ特性F1が示されている。また、帯域制限回路
34は本実施形態において低域側の帯域制限を行なう回
路であり、図2(B1)にはその帯域制限回路34が有
する第2フィルタ特性F2が示されている。すなわち、
広帯域の受信信号に対して高域側及び低域側に通過帯域
特性が設定されるようにそれぞれの帯域制限回路32,
34のフィルタ特性が設定されている。図2(B1)に
は浅い部位におけるそれぞれのフィルタ特性F1,F2
が示されており、(B2)には深い部位におけるそれぞ
れのフィルタ特性F1,F2が示されている。図3に示
されるように、エコーデータの取り込み深さに応じて第
1フィルタ特性F1及び第2フィルタ特性F2の両者と
もその中心周波数が低いほうにシフトされる。すなわ
ち、深さをパラメータとして各帯域制限回路32,34
の通過帯域特性がシフトされている。
【0028】図2(B2)に示すように、本発明では、
互いに通過帯域特性が異なる複数の帯域制限回路が設け
られているため、例えば壁構造体の存在によってかなり
低い周波数帯域に受信信号成分が存在していてもその成
分を有効に拾って超音波画像を形成することが可能であ
る。これについて後に詳述する。
【0029】図1に戻って、帯域制限回路32,34か
ら出力された帯域制限の受信信号は、重み付け加算部3
5に入力され、各信号成分の大きさに基づいて各信号成
分が重み付け加算される。本実施形態において、重み付
け加算部35は、各帯域制限回路32,34ごとに設け
られた可変増幅器36,38とそれらの可変増幅器3
6,38の増減率を制御する可変増幅制御部40とで構
成される。可変増幅器36は高域側の受信信号成分の増
減を行なうものであり、また可変増幅器38は低域側の
受信信号成分の増減を行なうものである。可変増幅制御
部40には帯域制限回路32,34のそれぞれから出力
された帯域制限後の受信信号が入力されており、それら
の受信信号の大きさに基づいて増幅率制御信号Gh及び
Glを出力している。ちなみに、重み付け加算部35
は、加算手段42を有している。この加算手段42は本
実施形態ではワイヤードオア回路で構成されているが、
もちろんオペアンプなどで構成される加算回路を設けて
もよい。
【0030】検波器44においては、重み付け加算後の
受信信号が検波されている。A/D変換器46において
は検波後の受信信号が量子化されている。ラインメモリ
48では、超音波ビーム1本分に相当する受信信号が一
旦格納されており、フレームメモリ50には1フレーム
分の受信信号(画像データ)が格納される。フレームメ
モリ50から読み出された各画像データは、図示されて
いない超音波画像形成部に送られ、その超音波画像形成
部によって例えば断層画像やドプラ画像などの超音波画
像が形成される。その超音波画像は表示器に表示され
る。
【0031】図1に示す重み付け加算部35によれば、
帯域制限後の信号成分の大きさに基づいて各信号成分を
重み付け加算することができるので、高域側の信号成分
が充分に存在している場合にはその高域側の信号成分を
重視して画像形成を行なうことができ、また高域側の信
号成分がほとんど存在せず低域側の信号成分のみが存在
しているような場合にはその低域側の信号成分を有効に
利用して感度良く超音波画像を形成することができる。
すなわち、図2(B1)及び(B2)に示したように、
組織の浅い部位に対しては高域側の信号成分を強調して
画像化でき、組織の深い部位については低域側のみに存
在する信号成分U´を積極的に利用して感度良く画像を
形成することができる。重み付けの手法については各種
の手法を適用でき、その重み付けの比率はユーザーによ
り設定できるようにしてもよい。
【0032】本実施形態によれば、実時間で処理が行わ
れており、しかも超音波の各部分ごとに適応的に帯域制
限を行なうことができるので、局所的な変化に充分に対
応することができる。特に、本実施形態によれば、心臓
壁などにおける感度の落ち込みを補って鮮明な超音波画
像を形成することができるという利点がある。
【0033】図4には、帯域制限回路の具体例が示され
ている。図4に示す例ではπ型フィルタを基本とするバ
ンドパスフィルタが示されている。帯域制限回路が多数
設けられる場合、深さに応じて通過帯域の中心周波数を
シフトさせる必要性はあまりないが、例えば図1に示し
た実施形態のように2つの帯域制限回路のみが設けられ
る場合、図3に示したように、深さに応じて通過帯域の
中心周波数をシフトさせるのが望ましい。その場合に
は、帯域制限回路32,34として図5に示すような回
路構成を利用することもできる。図5に示す具体例は、
バリキャップダイオードを利用したLC共振型の中心周
波数可変方式のフィルタである。
【0034】図6には、図1に示した可変増幅制御部4
0の具体例が示されている。4bitのA/D変換器5
2には、帯域制限回路32から出力された高域側の成分
が入力され、4bitのA/D変換器54には帯域制限
回路34から出力された低域側の信号成分が入力されて
いる。そして、A/D変換器52から4bitの高域側
信号成分データが出力され、A/D変換器54から4b
itの低域側信号成分データが出力されている。コンパ
レータ56は、それらの信号成分の大きさを比較するも
のであり、ROM58には高域側信号成分データH、低
域側信号データL及び比較結果Cがアドレスとして入力
されている。これにより、ROM58から可変増幅器3
6,38のそれぞれの増幅率を表す4bitのデータが
出力され、それらのデータはD/A変換器60,62に
おいてアナログ信号に変換され、それぞれ増減率制御信
号Gh及びGlとして可変増幅器36及び可変増幅器3
8へ出力される。ここで、重み付け加算における条件と
しては、以下のものが挙げられる。
【0035】(1)高域側成分を優先させるため、高域
側成分が大きいほど高域側のゲインGhを大きくする。
【0036】(2)一画像の均整を保つためGh+Gl
=0[dB]で一定とする。
【0037】(3)高域側成分が乏しいときには低域側
成分で補うため、(低域側成分の大きさL)−(高域側
成分の大きさH)が大きいほどGhを小さくする。
【0038】(4)上記の(1)の条件を上記の(3)
の条件よりも優先させる。
【0039】図1に示した可変増幅器36,38の可変
範囲を−20dB〜+20dBとした場合、上記の
(1)〜(4)の条件を満たす関数としては例えば以下
の関数を挙げることができる。
【0040】
【数1】H≦Lのとき Gh=(H−5)×2×a+(H−L)×b [d
B] Gl=0−Gh [dB] L≦Hのとき Gh=(H−5)×2×a+(H−L)×b+20×
(H−L)×c/H[dB] Gl=0−Gh [dB] 上記の係数a,b,cは実験的に決定される係数であっ
て、微調整用として用いられ、例えば1.0付近の値が
設定される。また、上記関数において”5”は概して高
域側成分が5よりも小さいときに高域側のゲインがマイ
ナス側になるように設定したことによるものである。す
なわちS/Nを悪化させないために5より下では高域側
を減衰させるものであり、他の数値を採用することもで
きる。なお、上記関数において+20以上では強制的に
+20とし、−20以下では強制的に−20とする。
【0041】次に、上記の関数において係数a,b,c
のそれぞれを1.0とした場合のGh及びGlの値の具
体例を図7に示す。図6に示したROM58には、例え
ば図7に示すようなテーブルの内容を格納しておけばよ
い。
【0042】なお、各可変増幅器36,38における増
減率の決定方法としては、上記の他、以下のような計算
式が挙げられる。
【0043】
【数2】H≦Lのとき Gh={H+(L−H)/2}を四捨五入した値 Gl=−Gh H>Lのとき Gh=H Gl=−Gh 図8には、図1に示した可変増幅器36,38の具体例
が示されており、この図8に示す回路ではエミッタ接地
回路の出力にダイオードが並列に接続され、ゲインコン
トロール1及びゲインコントロール2の信号によって増
減率が可変されている。
【0044】次に、図9〜図11を用いて他の実施形態
について説明する。なお、図1に示した実施形態と同様
の構成には同一符号を付しその説明を省略する。
【0045】図9において、帯域制限回路32の後段に
は増幅器33A、検波器44A、A/D変換器46A、
ラインメモリ48Aが接続され、これと同様に、帯域制
限回路34の後段には増幅器33B、検波器44B、A
/D変換器46B、ラインメモリ48Bが接続されてい
る。そして、ラインメモリ48A及びラインメモリ48
Bから出力された受信信号が重み付け加算部62に入力
され、その重み付け加算部62において図1に示した実
施形態同様の重み付け加算がデジタル演算により行われ
ている。
【0046】すなわち、図1に示した実施形態ではアナ
ログ的に重み付け加算が行われているのに対して、この
実施形態ではデジタル演算により重み付け加算を行なう
ものであり、帯域制限後の高域側信号成分及び低域側成
分のそれぞれの大きさに基づいてそれらの信号成分に対
して重み付け加算が実行されている。なお、重み付け加
算部62における各信号成分に対する重み付け係数とし
ては上記のGh及びGlを利用すればよく、上述した関
数を基礎としてデジタル的に演算が行われる。
【0047】図10に示す実施形態においては、帯域制
限回路64が1つのみ設けられており、帯域制限前の受
信信号と帯域制限後の受信信号がそれぞれ可変増幅器3
6,38において可変増幅されている。ディレーライン
66,68はタイミング調整用として設けられているも
ので、可変増幅制御部40における入出力の遅れ時間や
可変増幅器に対する増減率の設定に必要な時間を考慮し
て遅延時間が設定されている。このような実施形態にお
いても互いに通過帯域が異なる2つの受信信号成分を取
り出してそれらの信号成分に基づいて重み付け加算を実
行することができ、上記同様の作用を得られる。もちろ
ん、帯域制限回路64の通過帯域特性は深さに応じてシ
フトさせるのが望ましい。
【0048】図11に示す実施形態においては、帯域制
限回路32,34から出力された信号成分が選択制御部
70に入力され、選択部80においていずれかの信号成
分が選択されている。図11においてディレーライン6
6,68は図10に示したディレーラインと同様の機能
をなすものである。選択部80は2つのスイッチ82,
84からなり、いずれか一方がON動作していずれか一
方の信号が増幅器86に出力されている。
【0049】選択制御部70は、高域側信号成分をデジ
タル信号に変換するA/D変換器72と、低域側信号成
分をデジタル信号に変換するA/D変換器74と、それ
らのデジタル信号を比較するコンパレータ76とで構成
され、比較結果に基づいて選択部80が制御されてい
る。このような実施形態を採用する場合、高域側の通過
帯域特性としては従来同様の特性に設定し、低域側通過
帯域特性としては例えば図2に示した壁構造体深部から
の受信信号U´を取り出せるような特性に設定すればよ
い。このような構成によれば、特に壁構造体の存在に起
因する深部での感度不足を補って画像の質の向上を図る
ことができる。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
受信信号スペクトルの変動に連動にして適応的に帯域制
限を行なうことができ、超音波画像の各部分ごとに適切
な帯域制限を行なえるという利点がある。また、本発明
によれば、帯域制限を実時間で制御でき、特に従来感度
不足が生じていた部位の感度向上を図ることが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る超音波診断装置の受信部の構成
を示すブロック図である。
【図2】 壁構造体などによる感度の落ち込みと本発明
の作用を示す図である。
【図3】 フィルタ特性の深さに応じた可変を示す図で
ある。
【図4】 帯域制限回路の具体例を示す図である。
【図5】 帯域制限回路の他の具体例を示す図である。
【図6】 可変増幅制御部の具体例を示す図である。
【図7】 可変増幅制御部の入出力関係を示す図であ
る。
【図8】 可変増幅器の具体例を示す図である。
【図9】 本発明に係る超音波診断装置の他の実施形態
を示す図である。
【図10】 本発明に係る超音波診断装置の他の実施形
態を示す図である。
【図11】 本発明に係る超音波診断装置の他の実施形
態を示す図である。
【図12】 従来の超音波診断装置の構成を示すブロッ
ク図である。
【符号の説明】
32,34 帯域制限回路、35 重み付け加算部、3
6,38 可変増幅器、40 可変増幅制御部、42
加算手段。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに異なる通過帯域特性を有し、同じ
    受信信号に対して個別に帯域制限を行う複数の帯域制限
    回路と、 前記帯域制限後の各受信信号の強度に基づいて、それら
    の受信信号に対して重み付けを行って加算する重み付け
    加算手段と、 前記加算された受信信号を利用して超音波画像を形成す
    る超音波画像形成手段と、 を含むことを特徴とする超音波診断装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の装置において、 前記各帯域制限回路の通過帯域特性は、データ取り込み
    位置の深さに対応して連続的に可変設定されることを特
    徴とする超音波診断装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の装置において、 前記重み付け加算手段は、 前記帯域制限回路ごとに設けられ、前記帯域制限後の受
    信信号が入力される複数の可変増幅器と、 前記帯域制限後の各受信信号の大きさに基づいて、前記
    各可変増幅器の増減率を可変設定する増減制御部と、 を含み、 前記各可変増幅器から出力された各受信信号が加算され
    ることを特徴とする超音波診断装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の装置において、 前記重み付け加算手段は、前記帯域制限後の各受信信号
    の大きさをパラメータとしてそれらの受信信号に対して
    重み付け加算を行う関数を有することを特徴とする超音
    波診断装置。
  5. 【請求項5】 受信信号に対して帯域制限を行う帯域制
    限回路と、 前記帯域制限前の受信信号及び前記帯域制限後の受信信
    号の大きさに基づいて、それらの受信信号に対して重み
    付けを行って加算する重み付け加算手段と、 前記加算された受信信号を利用して超音波画像を形成す
    る超音波画像形成手段と、 を含むことを特徴とする超音波診断装置。
  6. 【請求項6】 互いに異なる通過帯域特性を有し、同じ
    受信信号に対して個別に帯域制限を行う複数の帯域制限
    回路と、 前記帯域制限後の各受信信号の大きさに基づいて、それ
    らの受信信号のいずれかを選択して出力する選択手段
    と、 前記選択された受信信号を利用して超音波画像を形成す
    る超音波画像形成手段と、 を含むことを特徴とする超音波診断装置。
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