JP2953298B2 - マイクロストリップライン及びその製造方法 - Google Patents

マイクロストリップライン及びその製造方法

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  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はマイクロストリップライ
ン及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】マイクロ波通信機分野のマイクロ波回路
においては、下部接地導体と上部ストリップ導体とを誘
電体基板を介して平行に対向させたマイクロストリップ
ラインがいろいろな構成要素として使用されている。マ
イクロストリップラインは共振器やフィルタ等への応
用、また、遅延線や伝送線路にも応用されており、さら
に、他の回路要素と組み合わせて小型化したマイクロ波
集積回路への応用も可能である。このようなマイクロス
トリップラインの導体損失を小さくすることによって、
マイクロ波回路全体の性能を向上させることができる。
【0003】従来のマイクロストリップラインは、アル
ミナ等の低誘電損失材料を使用した誘電体基板に通常電
気伝導度の高い金や銀等の常伝導金属を使用した上部ス
トリップ導体と下部接地導体を設けてマイクロストリッ
プラインを形成している。
【0004】最近では、アプライド・フィジックス・レ
ターズ(Applied Physics Lette
rs)第58巻、1991年、1109〜1111頁、
に記載されているように、高いQ値を持つマイクロスト
リップラインを形成するために、上部ストリップ導体と
下部接地導体の一方、又は、両方に酸化物超伝導材料を
用いたマイクロストリップラインの例も報告されてい
る。
【0005】マイクロストリップラインによる伝送線路
においては、マイクロストリップラインの損失に支配的
に寄与する誘電損失、導体損失、放射損失を小さくする
必要がある。このうち、放射損失は、通常、マイクロス
トリップラインを遮断導波管として作用するパッケージ
内に設置することによってかなり低減させることができ
る。また、誘電損失は、アルミナやMgO等の低誘電損
失基板が使用されるので、損失は非常に小さく一般には
ほとんど問題とならない。これに対して、導体部、特に
上部ストリップ導体はマイクロ波電流が集中して流れる
ため大きな損失の原因になりやすい。特に、上部ストリ
ップ導体と下部接地導体に常伝導金属の金等を使用した
場合には、この損失が非常に大きいため、マイクロスト
リップラインの伝送特性はこの導体損失によって抑えら
れてしまう。例えば、金を用いたマイクロストリップラ
インでは一般に0.05dB/cm程度の損失が発生
し、このため、常温でのQ値は300程度の値しか得る
ことができない。また、動作温度を低くして液体窒素の
沸点である77K付近で使用すると、常伝導金属の表面
抵抗が小さくなるため、伝送損失は小さくなるが、それ
でも得られるQ値はせいぜい700程度である。このた
め、このようなマイクロストリップラインは、低損失が
要求されるような用途には不向きであった。
【0006】また、最近報告された上部ストリップ導体
に酸化物超伝導材料を使用するマイクロストリップライ
ンにおいては、マイクロ波電流密度の高い上部ストリッ
プ導体がマイクロ波領域における表面抵抗の小さい超伝
導体であるため、上部ストリップ導体の導体損失を著し
く低減させることができる。このとき、下部接地導体と
して常伝導金属を用いる場合と酸化物超伝導材料を用い
た例が報告されている。下部接地導体に常伝導金属の金
等を使用するのはストリップラインの製造が容易である
ためである。しかしながら、この場合には、下部接地導
体の導体損失が上部ストリップ導体の導体損失にたいし
て10%程度あるため、下部接地導体の常伝導金属がス
トリップラインの伝送特性を決定するようになり、マイ
クロストリップライン全体での伝送損失が77K付近で
かなり小さくなるものの4.5×10-3dB/cm程度
であり、Q値としては3000程度の値が上限となる。
【0007】一方、製造過程はやや難しくなるが、上部
ストリップ導体とともに、下部接地導体も含めて損失を
引き起こす部分すべてに酸化物超伝導材料を使用する場
合には、導体部分の表面抵抗をすべて小さくすることが
できるので、マイクロストリップライン全体の伝送損失
を著しく小さくすることができ、77K付近での伝送損
失は4.5×10-4dB/cm程度まで小さくなり、Q
値は30000程度に達するようになり、従来の金を使
用したマイクロストリップラインと比較すると2桁程度
の性能向上が実現される。そして、マイクロストリップ
ラインのQ値がこのように高くなると、共振器やフィル
タ、遅延線等のマイクロ波素子の性能が大幅に向上する
ため、小型、高性能のマイクロ波機器を製造することが
できる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この従来の酸化物超伝
導材料を使用したマイクロストリップラインは、非常に
伝送損失が小さいという長所を有している。しかしなが
ら、酸化物超伝導材料を使用したマイクロストリップラ
インには、許容電力量が小さいという欠点がある。例え
ば、マイクロストリップラインの共振器を作製した場
合、共振器の上部ストリップ導体の電流密度が非常に高
くなるので、入力電力が1mW以下と小さい場合には1
0000以上の高いQ値を実現できるが、入力電力が増
加して100mWをこえると急速にQ値が低下して損失
が増加するという問題点がある。
【0009】一般に、酸化物超伝導体薄膜を誘電体基板
上に形成すると、数100nm程度の結晶粒が集合して
粒状に成長するため、この結晶粒間に超伝導性の弱い部
分ができやすくなる。マイクロストリップラインのマイ
クロ波入力電力を増加させるとマイクロ波磁場が上部ス
トリップ導体付近で増加し、このため、このような結晶
粒界の超伝導性の弱い部分で優先的に導体損失が増加し
やすくなることが原因と考えられている。このとき、酸
化物超伝導体薄膜の結晶粒径が大きいほど入力電力依存
性が大きくなり、許容電力量が小さいという傾向があ
る。
【0010】このように、酸化物超伝導材料を上部スト
リップ導体及び下部接地導体に使用したマイクロストリ
ップラインにおいては、低電力では導体損失を非常に小
さくすることができ、マイクロストリップラインの性能
を従来の金を使用したマイクロストリップラインと比較
して大幅に向上させることが可能であるものの、許容電
力量が小さいため、その使用範囲が低電力のマイクロ波
機器に限定されるという問題点があった。
【0011】本発明の目的は、許容電力量を向上させた
低損失の高性能マイクロストリップラインを提供するこ
とにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明のマイクロストリ
ップラインは、誘電体基板を介して上部ストリップ導体
と下部接地導体とを平行に対向させて形成したマイクロ
ストリップラインにおいて、前記上部ストリップ導体お
よび下部接地導体がYBa2Cu3x薄膜からなる酸化
物超伝導体であり且つ前記上部ストリップ導体と前記誘
電体基板との間および前記下部接地導体と前記誘電体基
板との間のそれぞれに形成した結晶粒径が、0<結晶粒
径≦50nm、である微細な結晶粒を有するYBa2
3x又はそのYの一部を他の希土類元素で置換したY
Ba2Cu3x系の材料からなるバッファ層を備えてい
る。
【0013】本発明のマイクロストリップラインの製造
方法は、誘電体基板の温度をその上に形成する上部スト
リップ導体又は下部接地導体のYBa2 Cu3 X 薄膜
が良好な超伝導特性を得られる形成温度(650〜75
0℃)よりも50〜150℃低く設定した状態でYBa
2 Cu3 X 系の酸化物超伝導材を前記誘電体基板の上
面および下面に蒸着して微細な結晶粒を有するバッファ
層を形成する工程と、前記誘電体基板の温度を650〜
750℃に昇温して前記バッファ層の上にYBa2 Cu
3 X 薄膜を堆積する工程と、前記誘電体基板の上面お
よび下面に形成した前記YBa2 Cu3 X 薄膜および
バッファ層をそれぞれ選択的に順次エッチングして前記
誘電体基板を介して平行に対向する上部ストリップ導体
および下部接地導体を形成する工程とを含んで構成され
る。
【0014】
【実施例】次に、本発明について図面を参照して説明す
る。
【0015】図1は本発明の一実施例を示す斜視図であ
る。
【0016】図1に示すように、誘電体基板1の上面に
YBa2 Cu3 X からなり0<結晶粒径≦50nmの
微細な結晶粒を有する第1のバッファ層2を介して形成
したYBa2 Cu3 X からなる上部ストリップ導体3
と、同様に誘電体基板1の下面にYBa2 Cu3 X
らなり0<結晶粒径≦50nmの結晶粒を有する第2の
バッファ層4を介して形成したYBa2 Cu3 X から
なる下部接地導体5とを誘電体基板1を介して平行に対
向させてマイクロストリップラインが構成される。ここ
で、バッファ層の結晶粒径はバッファ層を設けずに直接
形成した上部ストリップ導体又は下部接地導体の結晶粒
径100〜200nmの少くとも1/2以下の粒径に抑
えないと導体損失を低減できない。
【0017】本実施例のマイクロストリップラインの製
造方法は、まず、誘電損失の小さい酸化マグネシウム
(MgO),ランタンアルミニウム酸化物(LaAlO
3 )等からなる誘電体基板1をレーザ蒸着装置のチャン
バ内に装着して10-7Torr台の圧力まで排気した
後、チャンバ内に酸素ガスを0.2Torr程度導入
し、基板温度をYBa2 Cu3 X 膜の良好な超伝導特
性が得られる650〜750℃の温度範囲よりも50〜
150℃低い温度に設定した状態でYBa2 Cu3 X
ターゲットにエキシマレーザを照射してターゲット成分
を誘電体基板1の表面に蒸着する。このときの蒸着速度
は約0.2nm/secで粒径50nm以下(望ましく
は20nm程度)のバッファ層2を50nm以下の厚さ
に形成する。
【0018】このバッファ層2の表面構造を原子間力顕
微鏡(AFM)で観察すると50nm以下の非常に小さ
い結晶粒径を有しており、非常に均質性の優れた組織を
示していた。しかし、バッファ層2の構造をX線回折法
によって評価するとC軸配向したYBa2 Cu3 X
伝導相と同じ構造をしているものの、回折ピークの半値
幅が広く、結晶性がかなり悪いことを示した。このた
め、このバッファ層2の電気特性は半導体的であり、ま
た、低温でも超伝導にはならなかったことから、上部ス
トリップ導体等に用いられるYBa2 Cu3 X 薄膜と
は異なった性質を有することが判明した。
【0019】次に、バッファ層2を成膜した後、真空を
破ることなく基板温度を650〜750℃に昇温し、酸
素分圧や蒸着速度をバッファ層2を成膜する場合と同じ
に設定してバッファ層2の上に上部ストリップ導体形成
用のYBa2 Cu3 X 薄膜を約1000nmの厚さに
堆積する。この膜厚はYBa2 Cu3 X 薄膜の典型的
なマイクロ波磁場侵入長の約150nmよりも厚ければ
基本的には差し支えない。
【0020】次に、YBa2 Cu3 X 薄膜およびバッ
ファ層2をイオンミリング法で選択的にエッチングして
上部ストリップ導体3を形成する。ここで、上部ストリ
ップ導体3のYBa2 Cu3 X 薄膜はX線回折法で調
べると完全にC軸配向しており、また、(005)ピー
クのロッキングカーブの半値幅が0.2度程度とかなり
小さいことから結晶性は非常に良好であることがわかっ
た。
【0021】また、この組織を調べると薄膜はバッファ
層2との界面付近では特に小さい数10nmの結晶粒径
を有しており、表面付近においても100〜200nm
の結晶粒径であった。
【0022】バッファ層を形成せずに誘電体基板上に直
接YBa2 Cu3 X 薄膜を形成した従来例では、薄膜
は200〜400nmの大きな結晶粒から構成されてい
たが、本発明によるバッファ層上に形成したYBa2
3 X 薄膜ではこれよりも小さい結晶粒で構成されて
いるのがわかり、バッファ層が上部ストリップ導体の薄
膜の構造を変えるのに有効であることがわかる。そし
て、既に述べたごとく、薄膜の結晶粒が大きいほど、マ
イクロストリップラインの許容電力量が小さくなってし
まうという傾向から考えると本発明のバッファ層2を介
在させて形成した上部ストリップ導体3では、許容電力
量を大きくするという目的に合致しているわけである。
このようにして形成した上部ストリップ導体3は超伝導
になる臨界温度が90Kであり、また、77Kでの臨界
電流密度も4×106 A/cm2 と良好な超伝導特性を
示した。
【0023】次に、上部ストリップ導体3と同様の工程
および同様の条件により誘電体基板1の下面にYBa2
Cu3 X からなるバッファ層4と、YBa2 Cu3
X からなる超伝導体の下部接地導体5を上部ストリップ
導体3と平行に対向させて形成する。なお、誘電体基板
1の上面および下面のそれぞれにバッファ層とYBa2
Cu3 X 薄膜を形成した後にそれらをパターニングし
て上部ストリップ導体3と下部接地導体5を形成する工
程を採用しても良い。
【0024】このようにして形成されたバッファ層4
と、上部接地導体5のYBa2 Cu3X 薄膜の構造と
電気特性は、バッファ層2と、上部ストリップ導体3の
YBa2 Cu3 X 薄膜のものとそれぞれ同じであり、
上部ストリップ導体3と下部接地導体5とは同じ性能を
有する薄膜で構成されていることが判明した。
【0025】以上、バッファ層2,4としてYBa2
3 X を用いた場合のマイクロストリップラインにつ
いて説明したが、YBa2 Cu3 X バッファ層のYの
一部をYと同じ希土類元素であるPr,Nd,Sm,E
u,Gd,Tb,Dy,Ho,Erで置換したものにつ
いても検討した。この場合にYBa2 Cu3 X バッフ
ァ層の成膜と同じ成膜条件でバッファ層を形成するとき
のターゲットとしてY0.5 0.5 Ba2 Cu3 X の組
成のものを使用した。ここで、RはPr,Nd,Sm,
Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Erのうちの何れか一
つである。
【0026】このようにして形成したバッファ層の結晶
構造や電気特性はYBa2 Cu3 X バッファ層のもの
とほとんど同じであった。しかし、AFMで観察した表
面形態はやや異なっており、個々の結晶粒径が30nm
以下と更に小さいものであった。Yの一部を他の希土類
元素で置換して多成分化したことにより、結晶粒微細化
が実現された。このようなバッファ層の上に前記と同様
の成膜条件で上部ストリップ導体と下部接地導体用のY
Ba2 Cu3 X 薄膜を形成した。この場合のYBa2
Cu3 X 薄膜の組織はYBa2 Cu3X バッファ層
の上に形成したものよりもさらに小さい結晶粒径を有し
ていることがわかった。
【0027】次に、これらのバッファ層の上にYBa2
Cu3 X 薄膜からなる上部ストリップ導体および下部
接地導体を形成したマイクロストリップラインと従来例
のマイクロストリップラインの特性を比較した。
【0028】マイクロストリップラインの特性として
は、上記の両面薄膜を用いて6GHzの半波長共振器を
作成し、金メッキされたケース内に設置することによっ
て、共振器のQ値及び許容電力量を評価した。本実施例
においては、許容電力量は共振器へのマイクロ波入力電
力を増加させたとき、無負荷Q値が呈しはじめる電力量
によって定義した。実際に性能評価を行う場合には、マ
イクロストリップライン共振器を4K付近まで測定可能
なクライオスタット中に設置し、YBa2 Cu3X
化物超伝導体の臨界温度である90K以下に冷却して、
ネットワークアナライザを用いてS21測定によって行っ
た。
【0029】表1はバッファ層の組成を変えたときの
4.2Kにおけるマイクロストリップライン共振器の低
入力電力(0.01mW)時のQ値と許容電力量を示
す。
【0030】
【表1】
【0031】表1に示すように、誘電体基板上に直接上
部ストリップ導体用の下部接地導体用のYBa2 Cu3
X 薄膜を形成した従来例では、低入力電力のQ値こそ
55000程度と高いものの、共振器への入力電力が増
加して50mW程度になるとQ値が著して低下し、マイ
クロストリップラインの損失が著しく増加した。既に記
述したようにこのマイクロストリップラインではYBa
2 Cu3 X 薄膜の結晶粒径が大きいため、マイクロ波
電力増加によって結晶粒界の損失が急激に増加すること
が原因である。
【0032】それに対して本実施例の試料1では、低入
力電力でのQ値は50000程度と従来例のマイクロス
トリップラインと同程度の大きなQ値を有しており、さ
らに、共振器への入力電力量が1000mW程度まで増
加してもQ値の低下は見られず、電力安定性が非常に優
れており、従来例と比較すると許容電力量は一桁以上増
加しているのがわかる。このように本発明によるマイク
ロストリップラインは、YBa2 Cu3 X バッファ層
を使用することにより、従来例と比較して使用可能なマ
イクロ波機器の領域を大幅に広げることが可能である。
【0033】また、本実施例の試料2〜10では、低入
力電力におけるQ値は試料1のものと同程度であるが、
許容電力量ではさらに10%程度高い値を有している。
したがって、本発明のマイクロストリップラインではY
Ba2 Cu3 X バッファ層のYの一部を希土類元素で
置換することによってさらに性能向上がはかれることが
わかった。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、誘電体基
板の上面及び下面に形成した微細な結晶粒を有する薄い
酸化物超伝導体からなるバッファ層を介して上部ストリ
ップ導体及び下部接地導体を形成することにより、マイ
クロストリップラインの損失を大幅に低減させ、許容電
力量を大幅に向上させることができるという効果を有す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す斜視図。
【符号の説明】
1 誘電体基板 2,4 バッファ層 3 上部ストリップ導体 5 下部接地導体
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01P 11/00 ZAA H01P 11/00 ZAAG (56)参考文献 特開 平3−64101(JP,A) 特開 平5−4806(JP,A) 特開 平6−56581(JP,A) 特開 平6−37514(JP,A) 特開 平4−14302(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01P 3/08 C01G 1/00 H01B 12/06 H01B 13/00 H01L 27/18 H01L 39/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電体基板を介して上部ストリップ導体
    と下部接地導体とを平行に対向させて形成したマイクロ
    ストリップラインにおいて、前記上部ストリップ導体お
    よび下部接地導体がYBa2Cu3x薄膜からなる酸化
    物超伝導体であり且つ前記上部ストリップ導体と前記誘
    電体基板との間および前記下部接地導体と前記誘電体基
    板との間のそれぞれに形成した結晶粒径が、0<結晶粒
    径≦50nm、である微細な結晶粒を有するYBa2
    3x系のバッファ層を備えたことを特徴とするマイク
    ロストリップライン。
  2. 【請求項2】 前記微細な結晶粒を有するバッファ層が
    YBa2Cu3x又は前記YBa2Cu3xのYの一部を
    Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,E
    rのいずれか一種で置換したYBa2Cu3x系の組成
    である請求項1記載のマイクロストリップライン。
  3. 【請求項3】 誘電体基板の温度をその上に形成する上
    部ストリップ導体又は下部接地導体のYBa2Cu3x
    薄膜が良好な超伝導特性を得られる形成温度(650〜
    750℃)よりも50〜150℃低く設定した状態でY
    Ba2Cu3x系の酸化物超伝導材を前記誘電体基板の
    上面および下面に蒸着して微細な結晶粒を有するバッフ
    ァ層を形成する工程と、前記誘電体基板の温度を650
    〜750℃に昇温して前記バッファ層の上にYBa2
    3x薄膜を堆積する工程と、前記誘電体基板の上面お
    よび下面に形成した前記YBa2Cu3x薄膜およびバ
    ッファ層をそれぞれ選択的に順次エッチングして前記誘
    電体基板を介して平行に対向する上部ストリップ導体お
    よび下部接地導体を形成する工程とを含むことを特徴と
    するマイクロストリップラインの製造方法。
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