JP2952238B1 - 二重同心構造のフィルターを有するシガレット - Google Patents

Abstract

【要約】 【課題】タール量および製品通気抵抗を良好な値に維持
しながら、ＣＯ／タール比を０．６以下に設定されたフ
ィルター付きシガレットの提供。 【解決手段】たばこロッド１０と二重同心構造のフィル
タープラグ２０とをベンチレーション孔３０１を穿設し
たチップペーパー３０で接続したフィルター付きシガレ
ットにおいて、フィルタープラグのコア部２１１を空気
不透過性フィルム２１２で巻装し、その通気抵抗係数を
フィルターシース部２１３のそれの０．１ないし０．８
倍に設定する。さらに、ベンチレーション孔の開孔位置
は、フィルタープラグの全長の７０％以上の長さをもっ
て吸口端から離間した位置に設定するとともに、チップ
ペーパーからの空気流入割合を３０ないし８５％に設定
する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、フィルター付きシ
ガレットに係り、特には、ＣＯ／タール比が低減され
た、二重同心構造のフィルターを有するシガレットに関
する。

【０００２】

【従来の技術】たばこ刻みが巻紙で巻装されたたばこロ
ッドとこのたばこロッドに接続されたフィルタープラグ
からなるフィルター付きシガレットにおいて、主流煙中
に含まれる一酸化炭素（ＣＯ）の対タール重量比（ＣＯ
／タール比）は、一般的に１以上であり、２．５程度の
高いものもある。このような状況に鑑み、ＣＯ／タール
比を低減したフィルター付きシガレットが要望されてい
る。

【０００３】従来、ＣＯ／タール比を低減させるため
に、タール濾過効率の低いフィルターを使用するととも
に、フィルター通気を増大させる技術が知られている。
タール濾過効率の低いフィルターを使用すると、タール
割合が高くなり、その結果ＣＯ／タール比が低下する。
また、フィルター通気を増大させると、たばこの燃焼量
が減少してタール割合が低下するが、ＣＯ／タール比
は、高いまま維持される。従って、両者を組合せること
により、タール量を所望の値に維持したまま、ＣＯ／タ
ール比を低減させることができる。

【０００４】しかし、タール濾過効率の低いフィルター
の使用と、フィルター通気の増大技術の併用により、シ
ガレットの吸引抵抗（本明細書において、製品通気抵抗
ともいう）が低下してしまう。シガレットの製品通気抵
抗が低下すると、喫味が変化もしくは悪化するため、各
シガレット固有の喫味を維持し得ない。

【０００５】特に、フィルター通気を有するシガレット
の場合、良好な喫味を保持するためには、９０ないし１
３０ｍｍＨ₂ Ｏの吸引抵抗が必要であるといわれている
が、上記従来の方法によりＣＯ／タール比を低減させた
シガレットでは、吸引抵抗が９０ｍｍＨ₂ Ｏに達しない
ため、喫味が悪化していた。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、タ
ール量および製品通気抵抗を良好な値に維持しながら、
ＣＯ／タール比を０．６以下に設定されたフィルター付
きシガレットを提供することを課題とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、フィルター付きシガレットについて
鋭意研究した結果、コア部を空気不透過性のフィルムで
巻装した二重同心構造のフィルターにおいてそのコア部
の濾過効率をそのシース部の濾過効率よりも低く設定
し、かつフィルターとたばこロッドを接続するチップペ
ーパーに設けられる開孔（ベンチレーション孔）の位置
をフィルターの上流側に設定することにより、ベンチレ
ーション孔からの空気流入割合を高めた場合に、ベンチ
レーション孔から流入した空気の一部が逆流して全ての
主流煙を濾過効率の低いコア部に流入させ、もってフィ
ルター全体を低濾過フィルターとして機能させることが
でき、しかもタールおよび製品通気抵抗を良好な値に維
持しながら、ＣＯ／タール比を低減させることができる
ことを見出した。

【０００８】この知見に基づいてさらに研究を進めた結
果、たばこロッド自体のＣＯ／タール比が０．６５以下
であり、かつたばこロッド自体の通気抵抗が４０ｍｍＨ
₂ Ｏ以上である場合に、フィルターコア部の通気抵抗係
数がフィルターシース部のそれの０．１ないし０．８倍
の範囲内にあり、ベンチレーション孔を、フィルターの
領域内において、フィルターの全長の７０％以上の長さ
をもってチップペーパーの下流端（フィルターの吸口
端）から離間した位置に開孔位置を有するように周方向
に沿って穿設し、かつベンチレーション孔からの空気流
入割合を３０ないし８５％とすることにより、ＣＯ／タ
ール比を０．６以下に低減させ得ると共に、製品通気抵
抗を９０ないし１３０ｍｍＨ₂ Ｏに維持し得ることを見
出し、本発明を完成するに至った。

【０００９】すなわち、本発明によれば、巻紙により巻
装されたたばこ刻みからなるたばこロッド；フィルター
コア部と該コア部の周囲に該コア部と同心的に配置され
たフィルターシース部とを備えたフィルタープラグ；お
よび該たばこロッドの下流端部と該フィルタープラグの
ほぼ全周面とを覆って該たばこロッドと該フィルタープ
ラグとを接続するチップペーパーを有し、該たばこロッ
ド自体のＣＯ／タール比が０．６５以下であり、かつた
ばこロッド自体の通気抵抗が４０ｍｍＨ₂ Ｏ以上であ
り、該フィルターコア部が空気不透過性フィルムにより
巻装されており、該フィルターコア部の通気抵抗係数
が、該フィルターシース部の通気抵抗係数の０．１ない
し０．８倍であり、該チップペーパーは、該フィルター
プラグに対応する領域内において、該フィルタープラグ
の全長の７０％以上の長さをもって該チップペーパーの
下流端から離間した位置に開孔位置を有し周方向に沿っ
て穿設された複数のベンチレーション孔からなるベンチ
レーション孔列を有し、該チップペーパーからの空気流
入割合が、３０ないし８５％であることを特徴とする、
二重同心構造のフィルターを有するシガレットが提供さ
れる。

【００１０】本発明のシガレットは、９０ないし１３０
ｍｍＨ₂ Ｏの製品通気抵抗および０．６以下のＣＯ／タ
ール比を示す。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明を図面を参照しなが
ら、より詳しく説明する。

【００１２】図１は、本発明のフィルター付きシガレッ
トの一例をそのチップペーパー、巻紙、巻取り紙を展開
した状態で、概略的に示す斜視図であり、図２は、図１
のフィルター付きシガレットのフィルタープラグの断面
図である。

【００１３】図１に示すように、本発明のフィルター付
きシガレットは、巻紙１２により巻装されたたばこ刻み
１１からなるたばこロッド１０、このたばこロッド１０
の下流端に配置され、巻取り紙２２で巻装された二重同
心構造のフィルタープラグ２０からなるフィルターと、
たばこロッド１０とフィルタープラグ２０とを接続する
チップペーパー３０とを備える。本明細書において、下
流、上流とは、たばこの吸煙方向を基準とする。

【００１４】本発明において、たばこロッド１０は、通
常のシガレットと同様、通常のたばこ刻み１１を巻紙１
２で巻装した構成を有する。たばこ刻み１１を巻装する
巻紙１２は、通常のシガレットに使用されている巻紙で
あり、通気性を有するものである。本発明において、た
ばこロッド１０自体におけるＣＯ／タール比は、０．６
５以下であり、また、たばこロッド１０自体の通気抵抗
は、４０ｍｍＨ₂ Ｏ以上である。

【００１５】たばこロッド１０の下流端に配置されたフ
ィルタープラグ２０は、二重同心構造のフィルタープラ
グであって、図２に示されているように、空気不透過性
フィルム２１２により巻装されたフィルターコア部２１
１とその周囲にコア部２１１と同心的に配設されたフィ
ルターシース部２１３からなる。

【００１６】フィルターコア部２１１は、セルロースア
セテート、ポリプロピレン、レイヨン等の長繊維のト
ウ、または例えば特開平６−１６９７４３号に開示され
たウエブ材料から形成することができる。

【００１７】フィルターコア部２１１は、空気不透過性
のフィルム２１２で巻装されている。フィルターコア部
２１１を巻装するフィルムが実質的に空気を透過させる
と、チップペーパーのベンチレーション孔から流入した
空気が逆流しにくくなり、その結果、主流煙が濾過効率
の高いシース部に流れ、フィルター全体の濾過効率が高
くなり、本発明の目的を達成し得ない。また、空気不透
過性フィルムの代わりに、通常のシガレット用フィルタ
ーに適用される空気不透過性巻取り紙を用いると、紙臭
さが強くなり、喫味が悪化する。この空気不透過性フィ
ルム２１２は、例えば、セルロースアセテート、ポリプ
ロピレン、レイヨン等の樹脂フィルムであり得る。この
ような樹脂フィルムを用いることにより上記喫味の悪化
の問題が回避される。通常、このフィルム２１２は、１
５ないし３０μｍの厚さを有する。フィルターコア部２
１１は、空気不透過性フィルム２１２により巻装された
状態で、１０ないし２０ｍｍの円周を有し得る。

【００１８】空気不透過性フィルム２１２を介してフィ
ルターコア部２１１の周囲に同心的に配設されるフィル
ターシース部２１３は、コア部と同様の繊維材料で形成
することができる。このフィルターシース部２１３を巻
装する巻取り紙２２は、通常のシガレット用フィルター
に適用される巻取り紙と同様のものであり得、比較的高
い通気性を有するものであり、好ましくは、１００００
ミリリットル（ｍＬ）／ｃｍ² ・分・１００ｍｍＨ₂ Ｏ
以上の通気度を有し、最も好ましくは、２００００ｍＬ
／ｃｍ² ・分・１００ｍｍＨ₂ Ｏ以上の通気度を有す
る。巻取り紙の通気度が低いと、ベンチレーション孔か
らの空気流入割合が３０％以下となり、本発明の所期の
目的を達成し得ない。フィルターシース部２１３は、巻
取り紙２２により巻装された状態で、２３ないし２７ｍ
ｍの円周を有し得る。なお、本発明において、巻取り紙
２２を省略することもできる。その場合、シース部２１
３を形成する繊維材料が、上記巻取り紙２２と同様の通
気度を有することが好ましい。

【００１９】本発明の二重同心構造のフィルタープラグ
は、通常のシガレット用フィルターと同様に、１５ない
し４０ｍｍの長さを有し得る。

【００２０】さて、本発明において、フィルターコア部
２１１の通気抵抗係数は、フィルターシース部２１３の
通気抵抗係数の０．１ないし０．８倍である。本発明に
おいて、フィルターコア部の通気抵抗係数Ｒｃは、二重
同心構造のフィルタープラグからそのコア部を抜き取
り、この抜き取ったコア部を、その側面から空気が流入
しないように不透過性のチューブで覆い、毎秒１７．５
ｃｍ³ の流量で吸引したときのコア部の差圧をＰｃ（ｍ
ｍＨ₂ Ｏ）、コア部の断面積をＡｃ（ｃｍ² ）、コア部
の長さ（フィルタープラグの長さ）をＬ（ｃｍ）とする
と、次式： Ｒｃ＝Ａｃ・Ｐｃ／（１７．５Ｌ） で表される。他方、フィルターシース部の通気抵抗係数
Ｒｓは、二重同心構造のフィルタープラグにおいてその
コア部を無通気性のプラスチック棒と置き換え、、この
プラグを毎秒１７．５ｃｍ³ の流量で吸引したときのシ
ース部の差圧をＰｓ（ｍｍＨ₂ Ｏ）、シース部の断面積
をＡｓ（ｃｍ² ）、シース部の長さ（フィルタープラグ
の長さ）をＬ（ｃｍ）とすると、次式： Ｒｓ＝Ａｓ・Ｐｓ／（１７．５Ｌ） で表される。

【００２１】上に述べたように、本発明において、フィ
ルターコア部２１１の通気抵抗係数（以下、ＰＤともい
う）は、フィルターシース部２１３のＰＤの０．１ない
し０．８倍、すなわち、コア／シースＰＤ比は、０．１
ないし０．８である。このＰＤ比は、０．１ないし０．
８の範囲内であれば、その値が低いほど、いいかえる
と、コア部の濾過効率がシース部の濾過効率よりも低い
ほど、チップペーパーに穿設されたベンチレーション孔
から流入した空気の一部を逆流させて全ての主流煙を濾
過効率の低いコア部に流入させ、もってフィルター全体
を低濾過フィルターとして機能させることができる。こ
のコア／シースＰＤ比は、０．１ないし０．５であるこ
とが特に好ましい。

【００２２】チップペーパー３０は、たばこロッド１０
の下流端部とフィルタープラグ２０のほぼ全周面とを覆
ってたばこロッド１０とフィルタープラグ２０とを接続
している。このチップペーパーは、フィルタープラグに
対応する領域内において、フィルタープラグの全長の７
０％以上の長さをもってチップペーパー３０の下流端
（フィルタープラグ２０の吸口端に相当）から離間した
位置に周方向に沿って穿設された複数のベンチレーショ
ン孔３０１からなるベンチレーション孔列を有する。図
１には、ベンチレーション孔列は、１列だけ穿設されて
いるが、複数列であってもよい。

【００２３】ベンチレーション孔３０を穿設する方法に
特に制限はない。例えば、チップペーパーに予めベンチ
レーション孔を機械的または電気的に形成することがで
きる。あるいは、ベンチレーション孔を穿設していない
チップペーパーをフィルターおよびたばこロッドの周面
に設けた後、例えばレーザーでベンチレーション孔を形
成することもできる。

【００２４】本発明において、ベンチレーション孔３０
１の開孔位置は、チップペーパーに形成されたベンチレ
ーション孔３０１の、フィルタープラグ２０の長さ方向
の位置であって、図１に示すように１列で形成されてい
る場合にはベンチレーション孔の中心の位置である。ま
た、複数列でベンチレーション孔が穿設されている場合
には、最も離れた２つ（すなわち、外側２つ）のベンチ
レーション列の間のフィルターの長さ方向における中心
の位置である。つまり、この場合の開孔位置とは開孔部
位を示す。開孔位置がたばこロッドに近いほどベンチレ
ーション孔から流入した空気が逆流しやすくなるととも
に、製品通気抵抗が高くなる傾向にあり、上記のように
フィルタープラグの長さの７０％以上の位置にベンチレ
ーション孔が存在することにより、所期の目的を達成す
ることができる。ベンチレーション孔３０１は、フィル
ターの全長の約７５％以上に相当する距離をもって吸口
端から離れた位置に穿設されていることが特に好まし
い。

【００２５】そして、本発明において、ベンチレーショ
ン孔からの空気流入割合は、３０ないし８５％である。
ここで、空気流入割合（Ｖｆまたはフィルター通気とも
いう）とは、シガレットを標準流量１７．５ｃｍ³ ／秒
で吸引したときの吸口端の流量に対する、チップペーパ
ーを通じてシガレット内部に取り入れられた空気の流量
の比を百分率で表わしたものである。この空気流入割合
は特に５０ないし８５％であることが好ましい。

【００２６】以上の条件を満たす本発明の二重同心構造
のフィルターを有するシガレットは、（ａ）ＣＯ／ター
ル比が０．６以下に低減できるとともに、（ｂ）製品通
気抵抗が９０ないし１３０ｍｍＨ₂ Ｏであり得る。

【００２７】ここで、ＣＯ／タール比は、主流煙中に含
まれる一酸化炭素（ＣＯ）の対タール重量比をいう。こ
こでタールとは、水分およびニコチンを除いた粒状物質
をいう。

【００２８】また、製品通気抵抗とは、シガレットのフ
ィルター側面のベンチレーション孔を塞ぐことなく流量
１７．５ｃｍ³ ／秒で吸引したときの差圧であり、単位
はｍｍＨ₂ Ｏである。

【００２９】このようにして、本発明の二重同心構造フ
ィルターを備えたシガレットは、製品通気抵抗を９０ｍ
ｍＨ₂ Ｏ以上に維持しつつ、ＣＯ／タール比を０．６以
下に低減でき、もって良好な香喫味を保持しつつ、ＣＯ
／タール比が低いシガレットとなる。

【００３０】本発明の二重同心構造のフィルターを備え
たシガレットを吸煙すると、主流煙は、たばこロッド１
０中を流れてフィルタープラグ２０に流入する。このと
き、周囲空気は、チップペーパー３０に穿設されたベン
チレーション孔３０１からフィルタープラグ２０のシー
ス部２１３内に流入するが、空気不透過性フィルム２１
２により阻止されてコア部２１１内には流入しない。そ
して、シース部２１３内に流入した空気の大部分はシー
ス部２１３内をプラグの吸口端方向に流れるが、その一
部は逆流し、これによりたばこロッド２０からの主流煙
はもっぱらコア部２１１のみに流れるようになる。

【００３１】

【実施例】以下、本発明の開孔二重同心構造フィルター
付きシガレットの効果を確認するために行った試験結果
について説明する。

【００３２】表１に示すプレーンフィルター、表２に示
すコア部を巻装していない二重同心構造フィルター、表
３に示すコア部を巻装した二重同心フィルターを試作し
た。ここで、プレーンフィルターとは、単一の芯要素か
らなる比較例としてのフィルターである。また、コア部
を巻装していない（コアノンラップ）二重同心フィルタ
ーは、コア部とシース部に異なるトウを用いて作製した
比較例としての二重同心構造のフィルターであり、コア
部を巻装していないものである。コア部を巻装した（コ
アラップ）二重同心構造のフィルターは、本発明に係る
フィルターであり、比較例としてのフィルターＤ、Ｅも
含んでいる。これらの芯要素には、繊維素材としてセル
ロースアセテートを用いた。

【００３３】これらのフィルターをチップペーパーを用
いてたばこロッドと接続し、試料巻を作製した。フィル
ターおよびチップペーパー以外に関する特性は、通常の
シガレットの規格に準じた。

【００３４】すなわち、刻みにはシガレット用ブレンド
刻みを用い、たばこロッド用の巻紙は、通気度６０ｍＬ
／ｃｍ² ・分・１００ｍｍＨ₂ Ｏのものを用いた。ま
た、巻サイズは、たばこロッド長５９ｍｍ、フィルター
の長さ２５ｍｍ、巻周２４．８ｍｍとした。チップペー
パーは、ベンチレーション孔開孔位置が１２．５、１
９、２２ｍｍのものであって、幅３０ｍｍであり、レー
ザーにより穿設されたベンチレーション孔列が２または
４列で施され、通気度が８００、１２００、１６００、
２４００ｍＬ／ｃｍ² ・分・１００ｍｍＨ₂ Ｏであるも
のを使用した。

【００３５】これらの試料巻は、温度２２℃、相対湿度
６０％の条件下で４８時間以上調和させた後、巻品質測
定器を用いて平均重量±１０ｍｇ、平均製品通気抵抗±
５ｍｍＨ₂ Ｏ、平均Ｖｆ±２％のものを選別し、実験に
供した。

【００３６】以上のような試料巻１〜１０について、フ
ィルトローナ社製の８本掛け喫煙器を用いて、標準喫煙
条件でニコチン、タール、ＣＯガスのデリバリー量およ
びパフ回数を測定した。また、得られた測定値からＣＯ
／タール比を求めた。

【００３７】プレーンフィルターを使用した比較例とし
ての試料巻の結果を表４に、コアノンラップ二重同心フ
ィルターを使用した比較例としての試料巻の結果を表５
に、コアラップ二重同心フィルターを使用した試料巻の
結果を表６に示す。表６の中でロット３は比較例であ
り、ロット６、７、８、９、１０が本発明のシガレット
である。なお、試料巻１〜１０の全てにおいて共通に使
用しているたばこロッドのＣＯ／タール比は０．６３で
あり、たばこロッドの通気抵抗は５１ｍｍＨ₂ Ｏであっ
た。

【００３８】

【表１】

【００３９】

【表２】

【００４０】

【表３】

【００４１】

【表４】

【００４２】

【表５】

【００４３】

【表６】

【００４４】表４と表５から明らかなように、プレーン
フィルターやコアノンラップ二重同心フィルターを使用
した場合は、ＣＯ／タール比がそれぞれ０．９７、０．
７０となり、本発明の条件を満足しなかった。

【００４５】表６から明らかなように、コアラップ二重
同心フィルターを使用した場合もコア径が３．５ｍｍで
コア／シースＰＤ比が０．５０、ベンチレーション孔開
孔位置が１２．５ｍｍである比較例としての試料巻ロッ
ト３は、製品通気抵抗が８２、ＣＯ／タール比が０．６
６となり、本発明の条件を満足しなかった。また、コア
径が３．５ｍｍでコア／シースＰＤ比が２と１、ベンチ
レーション孔開孔位置が２２ｍｍであるロット４と５
も、製品通気抵抗は増加したが、ＣＯ／タール比が０．
７２、０．６８となり、本発明の条件を満足しなかっ
た。

【００４６】これに対して、コア径が３．５ｍｍ、コア
／シースＰＤ比が０．５と０．２５、ベンチレーション
孔開孔位置が２２ｍｍであるロット６、７は、製品通気
抵抗がそれぞれ９４、１００、ＣＯ／タール比がそれぞ
れ０．４７、０．３６となり本発明の条件を満足した。
また、ロット７に対し、ベンチレーション孔開孔位置の
み１９ｍｍに変更したロット８も本発明の条件を満足し
た。

【００４７】また、コア径が５．５ｍｍ、コア／シース
ＰＤ比が０．２５と０．５、ベンチレーション孔開孔位
置が２２ｍｍであるロット９、１０は、製品通気抵抗が
それぞれ１１７、１００、ＣＯ／タール比がそれぞれ
０．５８、０．５２となり本発明の条件を満足した。

【００４８】一方、表６にはシース部煙通過の有無をも
記載している。これは、試料巻を吸煙後、フィルターを
軸方向で切開し、二重同心フィルターのシース部を煙が
通過しているか否か観察した結果である。シース部を煙
が通過していない場合は、ベンチレーション孔から流入
した空気の一部が逆流して全ての煙をコア部に流入させ
ていることを示している。表６において本発明の条件を
満足したロット６、７、８、９、１０はいずれもシース
部を煙が通過しておらず、ベンチレーション孔から流入
した空気の一部が逆流して全ての煙をコア部に流入させ
ている。

【００４９】以上の結果から、コア／シースＰＤ比が１
以下すなわちコア部の通気抵抗係数がシース部の通気抵
抗係数より小さく、かつ、ベンチレーション孔開孔位置
が１９ｍｍ以上すなわちベンチレーション孔がフィルタ
ーの吸口端からの長さの約７０％以上離れた位置にある
場合にベンチレーション孔から流入した空気の一部が逆
流して全ての煙を濾過率の低いコア部に流入させ低濾過
フィルターとしての機能を発現させ、目的条件が満足さ
れることがわかった。

【００５０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の二重同心
構造のフィルター付きシガレットは、コア部が空気不透
過性フィルムで巻装されており、コア部の通気抵抗係数
がシース部の通気抵抗係数の０．８倍以下であり、ベン
チレーション孔がフィルターの吸口端からの長さの約７
０％以上離れた位置にあるため、ベンチレーション孔か
ら流入した空気の一部が逆流して全ての煙を濾過率の低
いコア部に流入させ低濾過フィルターとしての機能を発
現させ、ＣＯ／タール比を０．６以下にすること、およ
び、製品通気抵抗を９０〜１３０ｍｍＨ₂ Ｏの範囲内に
すること、という一般的には両立できない要求を同時に
達成し得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の二重同心構造のフィルターを備えたシ
ガレットを一部展開して示す斜視図。

【図２】図１に示すシガレットのフィルタープラグの断
面図。

【符号の説明】

１０…たばこロッド １１…たばこ刻み １２…巻紙 ２０…フィルタープラグ ２１１…フィルターコア部 ２１２…空気不透過性フィルム ２１３…フィルターシース部 ３０…チップペーパー ３０１…ベンチレーション孔

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平８−191682（ＪＰ，Ａ) 特開 平７−8254（ＪＰ，Ａ) 特開 平６−169744（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) A24D 1/00 - 3/18

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 巻紙により巻装されたたばこ刻みからな
   るたばこロッド、 フィルターコア部と該コア部の周囲に該コア部と同心的
   に配置されたフィルターシース部とを備えたフィルター
   プラグ、および該たばこロッドの下流端部と該フィルタ
   ープラグのほぼ全周面とを覆って該たばこロッドと該フ
   ィルタープラグとを接続するチップペーパーを有し、 該たばこロッド自体のＣＯ／タール比が０．６５以下で
   あり、かつたばこロッド自体の通気抵抗が４０ｍｍＨ₂
   Ｏ以上であり、 該フィルターコア部が空気不透過性フィルムにより巻装
   されており、 該フィルターコア部の通気抵抗係数が、該フィルターシ
   ース部の通気抵抗係数の０．１ないし０．８倍であり、 該チップペーパーは、該フィルタープラグに対応する領
   域内において、該フィルタープラグの全長の７０％以上
   の長さをもって該チップペーパーの下流端から離間した
   位置に開孔位置を有し、周方向に沿って穿設された複数
   のベンチレーション孔からなるベンチレーション孔列を
   有し、 該チップペーパーからの空気流入割合が、３０ないし８
   ５％であることを特徴とする、二重同心構造のフィルタ
   ーを有するシガレット。
2. 【請求項２】 ９０ないし１３０ｍｍＨ₂ Ｏの製品通気
   抵抗および０．６以下のＣＯ／タール比を示す請求項１
   記載のシガレット。