JP2950534B2 - 塩のカリウムイオン含有量分析方法及び分析装置 - Google Patents

塩のカリウムイオン含有量分析方法及び分析装置

Info

Publication number
JP2950534B2
JP2950534B2 JP9012435A JP1243597A JP2950534B2 JP 2950534 B2 JP2950534 B2 JP 2950534B2 JP 9012435 A JP9012435 A JP 9012435A JP 1243597 A JP1243597 A JP 1243597A JP 2950534 B2 JP2950534 B2 JP 2950534B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
potassium ion
salt
concentration
salt concentration
selective electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP9012435A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10206366A (ja
Inventor
直人 吉川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SHIO JIGYO SENTAA
Original Assignee
SHIO JIGYO SENTAA
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by SHIO JIGYO SENTAA filed Critical SHIO JIGYO SENTAA
Priority to JP9012435A priority Critical patent/JP2950534B2/ja
Publication of JPH10206366A publication Critical patent/JPH10206366A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2950534B2 publication Critical patent/JP2950534B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Electric Means (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、試料中のカリウム
イオン含有量分析方法及び分析装置に関し、特に製塩工
場で製造した塩製品のカリウムイオン含有量を迅速分析
するのに好適な分析方法及び分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】製塩工場では、海水を原料としてイオン
交換膜電気透析法により海水を濃縮してかん水(濃い塩
水)を得、これを蒸発缶でさらに濃縮して塩の結晶を析
出させる方法で製塩を行っている。製造された塩の主成
分は塩化物イオン、ナトリウムイオンであり、塩製品の
95〜99%を占める。これに不純物として、カリウム
イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、硫酸
イオンが含有される。
【0003】不純物の中でカリウムイオンは他のイオン
と異なりイオン交換膜電気透析法での排除は困難である
ため、製塩工程溶液中に多量に存在する。また、ナトリ
ウムイオンと化学的性質が類似しており、塩化ナトリウ
ム(塩)の結晶格子に取り込まれやすいため、カリウム
イオン含有量は塩製品の品質を決定する最も重要な指標
である。従って、塩製品の品質を維持するためには、品
質に応じた適確な工程操作が必要である。
【0004】以上の理由から、製塩工場では製品の品質
管理と工程操作のために塩製品のカリウムイオン含有量
の分析を日常的に行っている。現在、カリウムイオン含
有量の分析は炎光光度計、原子吸光光度計等を用いて行
われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】炎光光度計や原子吸光
光度計を用いる分析方法では、試料となる塩を一定量天
秤により秤量し、メスフラスコに入れ、蒸留水を加えて
溶解し、その容量を一定に調製するといった試料の前処
理操作が必要である。さらに、この方法は分析者の分析
方法に対する知識と操作の習熟、機器のメインテナン
ス、測定毎の機器のコンディショニング調整が必要であ
る。本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、前処
理操作を簡略化したカリウムイオン含有量分析方法及び
分析装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明においてはまず、
塩製品を蒸留水に溶解した試料溶液についてカリウムイ
オン選択性電極によりカリウムイオン濃度の測定が可能
であるかを検討した。その結果、カリウムイオン選択性
電極電位とカリウムイオン濃度の対数値との間には良好
な直線関係があり、カリウムイオン選択性電極による試
料溶液のカリウムイオン濃度測定が可能であることを見
い出した。また、塩分濃度10〜50g/lの範囲にお
いて電極電位は塩分濃度の影響を受けないことを見い出
した。
【0007】次に、試料溶液の調製において、塩分濃度
を一定にすることと、塩分濃度を正確に測定することを
目的として行っている前処理操作、すなわち塩製品を秤
量し、蒸留水に溶解し、一定量に調製するといった前処
理操作の簡略化を図るために塩分濃度を電気伝導率計に
より測定することを検討した。その結果、塩分濃度と電
気伝導率との間には塩分濃度±5g/lの範囲において
良好な直線関係があることを見い出した。
【0008】これらの検討に基づき、カリウムイオン選
択性電極によりカリウムイオン濃度を測定し、電気伝導
率計により塩分濃度を測定し、測定したカリウムイオン
濃度を塩分濃度で除すことによりカリウムイオン含有量
を演算する本発明のカリウムイオン含有量分析方法及び
分析装置を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明による塩のカリウムイオ
ン含有量分析方法は、塩を蒸留水に溶解し、この溶液の
電気伝導率により塩分濃度を測定し、カリウムイオン選
択性電極によりカリウムイオン濃度を測定し、測定され
た塩分濃度とカリウムイオン濃度とから塩中のカリウム
イオン含有量を算出することを特徴とする。カリウムイ
オン含有量Csは、カリウムイオン選択性電極で測定し
たカリウムイオン選択性電極電位Eと電気伝導率κか
ら、次の〔数1〕(ただし、a,b,c,dは定数)に
より演算することができる。
【0010】
【数1】Cs=10a+bE/(c+dκ) このとき、溶液の塩分濃度範囲が10〜50g/lであ
り、溶液の調製濃度誤差が任意の基準濃度の±5g/l
以内であることが、調製の容易さ、及び精度維持の観点
からして好ましい。
【0011】また、本発明によるカリウムイオン含有量
分析装置は、蒸留水に塩を溶解した溶液のカリウムイオ
ン濃度を測定するための第1の測定手段と、溶液の電気
伝導率を測定するための第2の測定手段と、第1の測定
手段の出力及び第2の測定手段の出力から塩のカリウム
イオン含有量を演算する演算手段とを具備することを特
徴とする。
【0012】第1の測定手段はカリウムイオン選択性電
極を含み、演算手段はカリウムイオン選択性電極電位E
と電気伝導率κからカリウムイオン含有量Csを前記
〔数1〕により演算するものとすることができる。電気
伝導率は電気伝導率計により測定できる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。ただし、この説明は本発明が以下の実施の
形態に限定されることを意図するものではない。
【0014】(1)分析装置 図1は、本発明によるカリウムイオン含有量分析装置の
概念図である。この分析装置は、試料溶液10を入れる
試料容器11、試料溶液10に浸漬されるカリウムイオ
ン選択性電極12、参照電極13、カリウムイオン選択
性電極12と参照電極13に接続されたイオンメータ1
4、試料溶液10に浸漬される電気伝導率測定セル1
5、電気伝導率測定セル15に接続された電気伝導率計
16、イオンメータ14と電気伝導率計16に接続され
たコンピュータ17を備える。試料容器11中の溶液1
0は、スターラ18により回転される回転子19により
攪拌される。
【0015】試料溶液10に浸漬したカリウムイオン選
択性電極12と、参照電極13と、イオンメータ14と
によりカリウムイオン選択性電極12の電極電位Eを測
定する。また、試料溶液10に浸漬した電気伝導率測定
セル15と電気伝導率計16により試料溶液の電気伝導
率κを測定する。コンピュータ17は、カリウムイオン
選択性電極12の電極電位Eと試料溶液10の電気伝導
率κを下記〔数2〕の右辺に代入することにより塩製品
のカリウムイオン含有量Csを演算する。この演算は、
電極電位Eから求められた試料溶液10のカリウムイオ
ン濃度Cを、試料溶液10の電気伝導率κから求められ
た試料溶液の塩分濃度CTotal によって除算する演算と
等価である。
【0016】
【数2】 Cs=C/CTotal=10a+bE/(c+dκ) ただし、a、b、c、dは定数である。
【0017】ここでは、カリウムイオン選択性電極12
としてオリオン社製93−19型、参照電極13として
オリオン社製90−01型、電極電位を測定するイオン
メータ14としてオリオン社製EA−940型を用い
た。また、電気伝導率計16として東亜電波社製CM−
30ET型、電気伝導率セル15として東亜電波社製C
G−511B型を用いた。ただし、各電極その他の機器
は、ここに示したものに限らず、同機能を有する他の電
極あるいは他の機器を使用してもよいのはもちろんであ
る。次に、図1に示した分析装置を用いた分析方法につ
いて説明する。
【0018】(2)塩分濃度一定の場合 一般に、イオン選択性電極により測定した電極電位Eと
イオン濃度Cの関係は下記〔数3〕に示すネルンストの
式で表される。ただし、E0 は基準電位(一定)、Sは
電極電位スロープ、γは活量係数である。
【0019】
【数3】E=E0+Slog(γC) ここで、活量係数γは溶液の塩分濃度により変化する係
数であるが、溶液の塩分濃度が一定の場合、活量係数γ
は定数となり、前記〔数3〕は下記〔数4〕を経て〔数
5〕のように変形できるため、電極電位Eを測定するこ
とによりイオン濃度Cを算出することができる。
【0020】
【数4】 logC=(E−E0−Slogγ)/S=a+bE ただし、a=−(E0+Slogγ)/S、b=1/S
で、定数である。
【0021】
【数5】C=10a+bE そこで、まず塩分濃度が一定になるように調製した試料
溶液を用いてカリウムイオン選択性電極による塩製品の
カリウムイオン含有量の分析について検討した。
【0022】検量線作成用の標準溶液は、塩分濃度10
g/l、50g/lの2種類とし、カリウムイオン濃度
を変化させた試料を各々5点ずつ用意した。カリウムイ
オン濃度の設定に当たっては、測定対象である塩製品の
カリウムイオン含有量が0.05〜0.25%の範囲に
あるため、塩分濃度に対するカリウムイオン濃度が0.
05/100〜0.25/100になるように、塩化カ
リウムを添加して下記の表1に示す設定とした。
【0023】
【表1】
【0024】また、塩製品7点を用いて、試料溶液を調
製した。調製は標準溶液と同様の塩分濃度になるように
塩製品を秤量して、メスフラスコに入れ、蒸留水を加え
溶解し、一定量にする方法により行った。
【0025】そして、調製した標準溶液、試料溶液のカ
リウムイオン選択性電極電位を測定した。電極電位の測
定は塩製品を蒸留水に溶解したときのpHが5〜8の範
囲にあるため、pH5とpH8の場合について測定し
た。また、原子吸光法により標準溶液のカリウムイオン
濃度と塩製品のカリウムイオン含有量を分析した。
【0026】図2に、塩分濃度が10g/lの場合の標
準溶液のカリウムイオン濃度分析値の対数値とカリウム
イオン選択性電極電位との関係を示し、図3に、塩分濃
度が50g/lの場合の標準溶液のカリウムイオン濃度
分析値の対数値とカリウムイオン選択性電極電位との関
係を示す。
【0027】いずれの塩分濃度においても良好な直線関
係が見られた。直線の傾きは約60mV/decade
であり、ネルンスト応答を示した。以上のようにカリウ
ムイオン濃度測定用の検量線として十分な精度であっ
た。また、pHの影響については、pH5とpH8の場
合に電極電位の差異は見られなかった。低pHの水溶液
中の陽イオン濃度測定においては、水素イオンによりイ
オン選択性電極が妨害を受ける場合があるが、上記のと
おり本測定法はpH5〜8の範囲では水素イオンの影響
を受けない。さらに、pHが8以上の場合は、pH5〜
8の場合と比較して水素イオン濃度が低くなり、カリウ
ムイオン選択性電極は水素イオンの妨害を受けにくくな
るため、本測定法はpH5以上ではpHの影響を受けな
いと考えられる。前記のとおり、塩製品を蒸留水に溶解
したときのpHは5〜8の範囲であるため、塩製品の測
定においてはpHの影響は無視することができる。
【0028】試料溶液のカリウムイオン選択性電極電位
測定値から図2、図3に示すカリウムイオン選択性電極
電位とカリウムイオン濃度の関係を用いてカリウムイオ
ン濃度を算出し、試料溶液のカリウムイオン濃度を塩分
濃度で除すことによりカリウムイオン含有量を演算し
た。
【0029】図4、図5に、イオン選択性電極電位測定
値に基づくカリウムイオン含有量の測定値と原子吸光法
による分析値との関係を示した。測定値と分析値とはよ
く一致しており、塩分濃度をほぼ一定に調製することに
よりカリウムイオン選択性電極で迅速分析が可能であっ
た。また、pHの影響についてはpH5と8の場合に測
定値に差異は見られず、pH調整の必要はないことがわ
かった。
【0030】しかし、この方法では試料溶液の塩分濃度
を一定に調製し、塩分濃度を測定するために塩製品の秤
量、蒸留水への溶解、容量を一定にするといった複雑な
前処理操作が必要である。
【0031】(3)塩分濃度10〜50g/lの場合 前記標準溶液の塩分濃度10g/lと50g/lにおけ
るカリウムイオン選択性電極電位とカリウムイオン濃度
分析値との関係を図6にあわせて示した。図中○は10
g/lを示し、□は50g/lを表す。同図から明らか
なように、両者には良好な直線関係がある。塩分濃度1
0〜50g/lの範囲において前記〔数3〕中の活量係
数γは一定であり、カリウムイオン選択性電極電位は塩
分濃度の影響を受けないため、塩分濃度一定の場合と同
様に〔数5〕によりカリウムイオン濃度測定が可能であ
る。前述のように、一般的に塩分濃度一定の場合には
〔数3〕中の活量係数γは一定であるが、ここに示され
ているように塩分濃度10〜50g/lの範囲において
活量係数γが一定と見なすことができることは新たな発
見である。なお、活量係数γは、塩分濃度の範囲を10
〜100g/lに広げても一定と見なすことができた。
【0032】前記(2)で測定した試料溶液のカリウム
イオン選択性電極電位から図6に示すカリウムイオン選
択性電極電位とカリウムイオン濃度の関係を用いてカリ
ウムイオン濃度を算出し、試料溶液のカリウムイオン濃
度を塩分濃度で除すことによりカリウムイオン含有量を
演算した。
【0033】図7に、本装置による測定値と原子吸光法
による分析値との関係を示した。測定値と分析値とはよ
く一致しており、塩製品のカリウムイオン含有量は塩製
品の塩分濃度を10〜50g/lに調製することにより
カリウムイオン選択性電極で迅速分析可能であった。
【0034】この方法では対応できる塩分濃度範囲が1
0〜50g/lと広く、試料溶液の塩分濃度を一定にす
る必要はなかった。しかし、塩分濃度を測定するために
塩製品の秤量、蒸留水への溶解、容量を一定にするとい
った前処理操作が必要である。
【0035】(4)塩分濃度と電気伝導率との関係 前記(3)の測定において行っていた前処理操作を軽減
するためには、試料溶液の塩分濃度をセンサーにより測
定することが必要である。そこで、塩分濃度測定用のセ
ンサーについて検討した結果、塩分濃度と電気伝導率と
の間には良好な相関関係があることを見い出した。
【0036】代表的な塩製品である食塩と並塩を用いて
塩分濃度10〜50g/lに調製した溶液について電気
伝導率計により電気伝導率を測定した。図8に、塩分濃
度10〜50g/lの範囲において測定した電気伝導率
と塩分濃度との関係を示した。図中○は食塩を示し、□
は並塩を表す。図8から明らかなように、食塩、並塩各
々について良好な2次の相関関係が見られる。また、食
塩は水分量が0.1%程度であり、並塩は1.5%程度
である。このため、各々別の相関式が必要であった。
【0037】図9に塩分濃度10〜20g/lの範囲の
電気伝導率と塩分濃度との関係を、図10に塩分濃度4
0〜50g/lの範囲の電気伝導率と塩分濃度との関係
を示す。図中○は食塩を示し、□は並塩を表す。いずれ
の塩分の濃度範囲においても食塩、並塩各々について下
記〔数6〕に示すような1次の良好な相関関係が見られ
た。
【0038】
【数6】CTotal=c+dκ ただし、CTotalは塩分濃度、κは電気伝導率、c,d
は定数である。
【0039】図8、図9、図10より、電気伝導率計に
よる塩分濃度測定が可能であることが分かる。また、図
9、図10より、塩分濃度10〜20g/lあるいは4
0〜50g/lの範囲、すなわちこれらの基準濃度、つ
まり塩分濃度10〜20g/lの場合は15g/l、塩
分濃度40〜50g/lの場合は45g/lに対し、調
製濃度誤差±5g/lの範囲であれば、電気伝導率と塩
分濃度との関係を直線で近似できることが分かる。電気
伝導率から塩分濃度を算出するための検量線を校正する
ことを考えた場合、直線であれば2点の標準溶液で簡単
に校正できる。これに対して2次曲線の場合は、精度の
高い分析を行おうとすると3点以上の標準溶液が必要と
なり時間と労力を要する。
【0040】ここで、図8に示した電気伝導率と塩分濃
度との関係式を用いて塩分濃度測定を行った場合のカリ
ウムイオン含有量と、上述の任意の基準濃度に対する調
製濃度誤差±5g/lの範囲で直線近似をして検量線を
作成し塩分濃度測定を行った場合のカリウムイオン含有
量の測定誤差解析を行ったところ、図11に示すような
結果が得られた。図11から、基準濃度15〜45g/
lの範囲内で、直線近似をして塩分濃度測定を行った場
合、図8の関係式を用いて塩分濃度測定を行った場合に
比べて測定誤差は±1%以内であり、実用上は塩分濃度
15〜45g/lで、任意の基準濃度に対する調製濃度
誤差±5g/lの範囲で直線近似をして塩分濃度測定を
行っても支障がないことが分かる。従って、塩分濃度1
0〜50g/lの範囲内で、予め定めた基準濃度に対し
て±5g/l以内の塩分濃度に調製することによって、
簡便に校正をすることが可能となる。
【0041】また、試料溶液の塩分濃度を10〜50g
/lの範囲内で、任意の基準濃度に対し調製濃度誤差±
5g/l以内に調製するには、以下の操作で簡単に対応
できる。例えば、塩分濃度を10〜20g/lに調製す
る場合、スパーテル1杯(1.5g)程度の塩製品を1
00mlのビーカーに入れ、ビーカーに示されている1
00mlの目盛線にあわせて適当量蒸留水を加えるとい
った簡単な操作で達成できる。また、塩分濃度を40〜
50g/lに調製するにはスパーテル3杯(4.5g)
程度の塩製品を用いれば以下同様の操作により簡単に達
成できる。この場合、汎用のスパーテルの他、一般的な
計量スプーンを用いることも可能である。
【0042】以上のように、スパーテル等を用いて塩分
濃度を任意の基準濃度に対して±5g/lの範囲に調製
した試料溶液を作成しさえすれば、非常に簡便に塩製品
のカリウムイオン含有量を測定することができる。
【0043】すなわち、塩製品と蒸留水で塩分濃度10
〜50g/lの範囲で基準濃度±5g/lに試料溶液を
調製し、試料溶液に浸漬したカリウムイオン選択性電
極、参照電極とイオンメータによりカリウムイオン選択
性電極電位Eを測定する。また、試料溶液に浸漬した電
気伝導率測定セルと電気伝導率計により電気伝導率κを
測定する。そして、カリウムイオン選択性電極電位Eか
ら試料溶液のカリウムイオン濃度Cを算出し、電気伝導
率κから試料溶液の塩分濃度CTotalを算出し、前述の
〔数2〕により塩製品のカリウムイオン含有量Csを演
算すればよい。この演算はコンピュータ17により容易
に行うことができる。
【0044】(5)分析手順 次に、分析手順の一例として、試料溶液の塩分濃度を1
0〜20g/lに調製して分析する場合について説明す
る。まず、分析に先立ち、2点の標準溶液を用いてカリ
ウムイオン選択性電極、電気伝導率計の校正を行う。校
正用の標準溶液は、次の表2に示す組成の溶液を用い
る。
【0045】
【表2】
【0046】標準溶液1に電気伝導率セルとカリウム
イオン選択性電極、参照電極を浸漬し、試料溶液をスタ
ーラー、回転子で撹拌しながらカリウムイオン選択性電
極電位と電気伝導率を測定する。 標準溶液2についてもと同様にカリウムイオン選択
性電極電位と電気伝導率を測定する。
【0047】測定した2点のカリウムイオン選択性電
極電位とカリウムイオン濃度との関係から、前記〔数
5〕の定数a,bを算出する。 測定した2点の電気伝導率と塩分濃度との関係から、
前記〔数6〕の定数c,dを算出する。
【0048】算出した定数a,b,c,dを前記〔数
1〕又は〔数2〕に代入することにより、カリウムイオ
ン含有量の演算式を作成する。次に、塩製品のカリウム
イオン含有量の迅速測定を行う。 スパーテルで塩製品をビーカーに採取し、蒸留水を適
当量添加して試料溶液を塩分濃度を10〜20g/lの
範囲で基準濃度±5g/lに調製する。
【0049】試料溶液に電気伝導率セルとカリウムイ
オン選択性電極、参照電極を浸漬し、試料溶液をスター
ラ、回転子で攪拌しながらカリウムイオン選択性電極電
位Eと電気伝導率κを測定する。 測定した電気伝導率κ及びカリウムイオン選択性電極
電位Eを〔数1〕又は〔数2〕に代入することにより、
すなわちカリウムイオン濃度を塩分濃度で除すことによ
り、塩製品のカリウムイオン含有量を演算する。
【0050】図12は、塩分濃度が10〜20g/l
(15±5g/l)となるように試料溶液を調製して分
析を行った場合の分析結果を示す。また、図13は、塩
分濃度が40〜50g/l(45±5g/l)となるよ
うに試料溶液を調製して分析を行った場合の分析結果を
示す。図12及び図13において、縦軸は本発明の方法
による測定値であり、横軸は原子吸光法による分析値で
ある。図中○は食塩を示し、□は並塩を表す。いずれの
塩分濃度においても、原子吸光法による分析値と本発明
の分析装置による測定値とは良好に一致しており、本発
明は塩製品のカリウムイオン含有量の迅速分析に有効で
あった。
【0051】
【発明の効果】本発明によると、従来は不可欠であった
塩製品を秤量し、蒸留水に溶解し、一定容量に調製する
といった前処理操作を、スパーテル等を用いて塩製品を
蒸留水に基準濃度±5g/lになるように溶解するとい
った簡略な操作に置き換えることができ、塩製品のカリ
ウムイオン含有量を迅速かつ正確に分析することができ
る。従って、製品の品質管理のための分析操作を簡便化
し、分析結果を迅速に工程操作にフィードバックするが
できるため、製塩工場における適確な工程操作を実現す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるカリウムイオン含有量分析装置の
一例の概略図。
【図2】塩分濃度10g/lの試料溶液のカリウムイオ
ン濃度とカリウムイオン選択性電極電位との関係を示す
図。
【図3】塩分濃度50g/lの試料溶液のカリウムイオ
ン濃度とカリウムイオン選択性電極電位との関係を示す
図。
【図4】カリウムイオン選択性電極により、塩分濃度を
10g/lに調製した試料溶液を用いて塩製品のカリウ
ムイオン含有量を分析した結果を示す図。
【図5】カリウムイオン選択性電極により、塩分濃度を
50g/lに調製した試料溶液を用いて塩製品のカリウ
ムイオン含有量を分析した結果を示す図。
【図6】塩分濃度10g/l〜50g/lの試料溶液の
カリウムイオン濃度とカリウムイオン選択性電極電位と
の関係を示す図。
【図7】カリウムイオン選択性電極により、塩分濃度を
10〜50g/lに調製した試料溶液を用いて塩製品の
カリウムイオン含有量を分析した結果を示す図。
【図8】塩分濃度10〜50g/lにおける塩分濃度と
電気伝導率との関係を示す図。
【図9】塩分濃度10〜20g/lにおける塩分濃度と
電気伝導率との関係を示す図。
【図10】塩分濃度40〜50g/lにおける塩分濃度
と電気伝導率との関係を示す図。
【図11】塩分濃度15〜45g/lにおける塩分濃度
測定の検量線を2次曲線近似した場合、直線近似した場
合の測定誤差を示す図。
【図12】本発明のカリウムイオン含有量分析装置によ
り塩分濃度を10〜20g/lに調製した試料溶液を用
いて塩製品のカリウムイオン含有量を分析した結果を示
す図。
【図13】本発明のカリウムイオン含有量分析装置によ
り塩分濃度を40〜50g/lに調製した試料溶液を用
いて塩製品のカリウムイオン含有量を分析した結果を示
す図。
【符号の説明】
10…試料溶液、11…試料容器、12…カリウムイオ
ン選択性電極、13…参照電極、14…イオンメータ、
15…電気伝導率測定セル、16…電気伝導率計、17
…コンピュータ、18…スターラ、19…回転子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 27/06 - 27/10 G01N 27/26 - 27/49

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩を蒸留水に溶解し、この溶液の電気伝
    導率により塩分濃度を測定し、カリウムイオン選択性電
    極によりカリウムイオン濃度を測定し、測定された塩分
    濃度とカリウムイオン濃度とから塩中のカリウムイオン
    含有量を算出することを特徴とする塩のカリウムイオン
    含有量分析方法。
  2. 【請求項2】 前記カリウムイオン選択性電極で測定し
    たカリウムイオン選択性電極電位Eと前記電気伝導率κ
    からカリウムイオン含有量Csを下式(ただし、a,
    b,c,dは定数)により演算することを特徴とする請
    求項1記載のカリウムイオン含有量分析方法。 Cs=10a+bE/(c+dκ)
  3. 【請求項3】 溶液の塩分濃度範囲が10〜50g/l
    であり、溶液の調製濃度誤差が任意の基準濃度の±5g
    /l以内であることを特徴とする請求項1又は2記載の
    カリウムイオン含有量分析方法。
  4. 【請求項4】 蒸留水に塩を溶解した溶液のカリウムイ
    オン濃度を測定するための第1の測定手段と、前記溶液
    の電気伝導率を測定するための第2の測定手段と、前記
    第1の測定手段の出力及び前記第2の測定手段の出力か
    ら塩のカリウムイオン含有量を演算する演算手段とを具
    備することを特徴とするカリウムイオン含有量分析装
    置。
  5. 【請求項5】 前記第1の測定手段はカリウムイオン選
    択性電極を含み、前記演算手段はカリウムイオン選択性
    電極電位Eと電気伝導率κからカリウムイオン含有量C
    sを下式(ただし、a,b,c,dは定数)により演算
    することを特徴とする請求項4記載のカリウムイオン含
    有量分析装置。 Cs=10a+bE/(c+dκ)
JP9012435A 1997-01-27 1997-01-27 塩のカリウムイオン含有量分析方法及び分析装置 Expired - Fee Related JP2950534B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9012435A JP2950534B2 (ja) 1997-01-27 1997-01-27 塩のカリウムイオン含有量分析方法及び分析装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9012435A JP2950534B2 (ja) 1997-01-27 1997-01-27 塩のカリウムイオン含有量分析方法及び分析装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10206366A JPH10206366A (ja) 1998-08-07
JP2950534B2 true JP2950534B2 (ja) 1999-09-20

Family

ID=11805224

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9012435A Expired - Fee Related JP2950534B2 (ja) 1997-01-27 1997-01-27 塩のカリウムイオン含有量分析方法及び分析装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2950534B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7189314B1 (en) * 2002-09-06 2007-03-13 Sensicore, Inc. Method and apparatus for quantitative analysis
ATE374938T1 (de) * 2004-11-18 2007-10-15 Hamilton Bonaduz Ag Kalibrationslösung für die konduktometrie
JP2016043341A (ja) * 2014-08-26 2016-04-04 オルガノ株式会社 排水処理方法及び排水処理装置
KR101654711B1 (ko) * 2014-12-15 2016-09-08 한국수력원자력 주식회사 K-40 농도 계측에 의한 천일염 생산년도 추정방법
CN111595908A (zh) * 2020-05-15 2020-08-28 江阴兴澄特种钢铁有限公司 一种检测喷砂处理钢材表面所用磨料盐分含量的方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH10206366A (ja) 1998-08-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN1151375C (zh) 与另一种物质共存的物质测定方法和装置
Vanderborgh Evaluation of the lanthanum fluoride membrane electrode response in acidic solutions: the determination of the pka of hydrofluoric acid
Light et al. Determination of fluoride in toothpaste using an ion-selective electrode
Kindstedt et al. Measurement of sodium chloride in cheese by a simple sodium ion electrode method
JP2950534B2 (ja) 塩のカリウムイオン含有量分析方法及び分析装置
Sankar et al. Buffers for the Physiological pH Range: Thermodynamic Constants of 3-(N-Morpholino) propanesulfonic Acid from 5 to 50. degree. C
Karayannis Comparative kinetic study for rate constant determination of the reaction of ascorbic acid with 2, 6-dichlorophenolindophenol
US4002428A (en) Deductive method for measuring ion concentration electrically
Borges et al. Constant-current coulometry and ion chromatography bromide determination to characterize the purity of the potassium chloride
Ivanović et al. Isopiestic determination of osmotic coefficients in the ionic strength range Im=(0.9670–2.2160) mol⋅ kg− 1 and activity coefficients determined by electromotive force measurements in the range Im=(0.0897–1.0054) mol⋅ kg− 1 of the {yKCl+(1–y) K2HPO4}(aq) system at T= 298.15 K
Vandeputte et al. The use of a chloride-selective combination electrode in an automated continuous potentiometric system
Kindstedt et al. Simple selective sodium ion electrode measure of sodium in cheese
JP3401387B2 (ja) 溶液組成測定システム
Randell et al. THE RAPID ANALYSIS OF CHEDDAR CHEESE
Ruff et al. Light scattering studies on aqueous gallium perchlorate solutions
JP4567895B2 (ja) 硝酸イオン濃度測定装置
Sekerka et al. Determination of chloride in water with a HgS/Hg2Cl2 electrode
Mascini et al. Ion selective electrodes for measurements in fresh waters
Erney et al. Fluoride determination in milk, soy, and water-based products using ion-selective electrode and direct measurement technique: Single-laboratory validation, first action 2022.05
CN117309976A (zh) 一种氟离子选择电极法测量氟含量的方法
Gyenge et al. Calibration of bromide ion-selective electrodes
JPS6130748A (ja) 原子吸光分析用銀標準液
Uysal et al. Uncertainty Estimation for Determination of Potassium Iodate Purity by Potentiometric Titrimetry
SU1002940A1 (ru) Способ количественного определени инвертного сахара в растворах
Vadgama et al. Interferent ion effects on the Orion SS-20 calcium ion analyser

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080709

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees