JP2950331B1 - フライアッシュの吸湿による凝集固結の防止方法 - Google Patents

フライアッシュの吸湿による凝集固結の防止方法

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    • Y02W30/91Use of waste materials as fillers for mortars or concrete

Abstract

【要約】 【課題】 多量のフライアッシュを工業的に廉価に、し
かも簡易な操作によって、そのフライアッシュが持つ吸
湿による凝集固結能を解消又は緩和させる方法を提供す
ること。 【解決手段】 微粉炭燃焼ボイラーの排ガスから採集し
たフライアッシュに、セメントの水和硬化反応に害を及
ぼさず、且つ吸い取り紙効果を有する非水溶性の無機質
微粉末を、0.1〜10重量%添加混合するフライアッ
シュの吸湿による凝集固結の防止方法とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微粉炭燃焼ボイラ
ーの排ガスから採集したフライアッシュが、吸湿によっ
て凝集固結するのを防止する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及びその課題】従来より、フライアッシュ
が過度に吸湿すると、凝集固結が起こり、凝集固結した
フライアッシュは、貯蔵槽等から排出できなくなるな
ど、取扱い上の課題が生じる憂いがあることが知られて
おり、特に、高温多湿の環境下での取扱いにおいて、諸
々の悪条件が重なったときには、フライアッシュは凝集
固結を起こす危険性が高い。
【0003】そこで、従来から、フライアッシュの吸湿
による凝集固結を防止するための手段が、種々提案され
ている。
【0004】例えば、 1) フライアッシュを500℃以上の温度で30分以上
加熱する。 2) フライアッシュに0.4%以下の少量の水を添加混
合した後、自然乾燥する。 3) フライアッシュを十分な水で洗浄した後、乾燥す
る。 4) フライアッシュをエアレーションによって流動化さ
せ、流動化しているフライアッシュに湿空を強制的に送
入する。 5) 微粉炭燃焼ボイラーでフライアッシュと同時に採取
される粗粒アッシュ(シンダーサンドやポンドアッシュ
など)を、フライアッシュと同等以上の粉末度に粉砕し
た後、該粗粒アッシュの粉砕物を、フライアッシュの4
0%程度と置換する。 などの方法が提案されている。
【0005】しかし、先ず上記した1)〜4)の方法にあっ
ては、実験室レベルにおいてはフライアッシュのもつ凝
集固結能を失わせる極めて有効な方法ではあるが、多量
のフライアッシュを工業的に廉価に処理できる方法では
ない。また、5)の方法にあっては、粗粒アッシュの発生
量は、フライアッシュの発生量に比較して極めて少ない
(数%程度)ため、工業的に実施した場合には、フライ
アッシュと同等程度必要となる粗粒アッシュの粉砕物
が、量的に不足すると言う課題が発生する。
【0006】そこで、本発明の目的は、多量のフライア
ッシュを工業的に廉価に、しかも簡易な操作によって、
そのフライアッシュが持つ吸湿による凝集固結能を解消
又は緩和させる方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
目的を達成するため、先ずフライアッシュが凝集固結を
起こす原因物質及びそのメカニズムについて再度研究す
ると共に、その研究結果に基づき、理論的にフライアッ
シュの凝集固結能を解消又は緩和できる方法を想定し、
その方法の効果を試験により確認することにより本発明
を完成させた。
【0008】即ち、フライアッシュに含まれている主な
可溶性塩類は、硫酸カルシウムと硫酸ナトリウムであ
り、その外に微量の硫酸カリウムと硫酸マグネシウムが
含まれていることが知られている。ここで、フライアッ
シュの凝集固結の原因物質として従来では、硫酸カルシ
ウム、即ち可溶性無水石膏(III 型無水石膏)及び/又
は半水石膏(β型半水石膏)(以下、両者を「気硬性石
膏」と総称する)であると考えられ、これが吸湿すると
水和して2水石膏になり、この際の水和反応がフライア
ッシュを凝集固結させると考えられていた。
【0009】しかし、本発明者等が試験したところ、従
来の上記石膏水和説では説明できない現象(後記する試
験例1〜3参照)が種々見出され、石膏水和説を否定せ
ざる得なくなったことから、更に研究を進め、フライア
ッシュの凝集固結の原因物質は、フライアッシュ中に含
まれる可溶性塩類のもう一つの主成分である硫酸ナトリ
ウムであり、この硫酸ナトリウムが吸湿すると、潮解し
て高濃度の硫酸ナトリウム水溶液を生成し、この潮解液
がフライアッシュ粒子相互間の接触点に生成すると、こ
の潮解液がフライアッシュ粒子相互間に架橋を形成し、
この架橋現象がフライアッシュの凝集固結のメカニズム
であるとの考えに至った。
【0010】そこで、フライアッシュの表面に硫酸ナト
リウムの潮解液が生成しても、フライアッシュ粒子相互
間に架橋を形成させなければ理論的に凝集固結は生じな
いと考え、該潮解液を別の物質に吸収させ、液体として
存在できないような条件を作れば良い(これを「吸い取
り紙効果」と呼ぶことにする。)との考えに基づき、試
験を進めた。
【0011】かくして、フライアッシュにセメントの水
和硬化反応に害を及ぼさず、且つ吸い取り紙効果を有す
る非水溶性の無機質微粉末を予め添加混合し、該無機質
微粉末に、その後フライアッシュが吸湿することによっ
てその表面に生成した硫酸ナトリウム水溶液を吸収さ
せ、フライアッシュ粒子相互間に硫酸ナトリウム水溶液
による架橋が形成されるのを阻止することにより、フラ
イアッシュの吸湿による凝集固結を防止する方法を草案
するに至った。これは、出来立ての飴玉が表面のべたつ
きにより架橋を形成し、大塊になってしまうのを、微粉
末をまぶすことによって防止する技術と同じ発想であ
る。
【0012】ここで、飴玉は食品であるから、まぶす微
粉末は食用に適した微粉末であることが必須条件である
と同様に、フライアッシュはセメントに混合して使用さ
れる場合が多いため、セメントの水和硬化反応に害を及
ぼさない微粉末であることを必須の条件とした。また、
吸い取り紙効果、即ち硫酸ナトリウム潮解液を吸着或い
は吸収する能力を持たない、或いはその程度の少ない微
粉末、及び潮解液に自ら溶解して吸い取り紙効果を発揮
できない水溶性の微粉末は、本発明の目的を達成できな
いために、吸い取り紙効果を有する非水溶性の微粉末で
あることも必須の要件とした。
【0013】上記本発明は具体的には、火力発電所など
の微粉炭燃焼ボイラーの排ガスから集塵して得たフライ
アッシュに、フライアッシュの発生時点でセメントの水
和硬化反応に害を及ぼさず、且つ吸い取り紙効果を有す
る非水溶性の無機質微粉末を、0.1〜10重量%添加
混合することによって、その後のフライアッシュの吸湿
による凝集固結を防止する方法である。
【0014】なお、上記無機質微粉末のフライアッシュ
への添加混合方法としては、火力発電所などのフライア
ッシュの貯蔵槽に併設されているフライアッシュの排出
のためのエアレーション設備、或いはフライアッシュの
均斉化のための空気による混合装置等を利用し、好まし
くは排ガスの集塵機以降のフライアッシュの移送系統の
内、なるべく集塵機に近い移送系統に粉体用の定量供給
装置を用いて無機質微粉末をフライアッシュに添加すれ
ば、後段の移送系統或いは貯蔵槽を経由して、何段階か
移送される間に添加した無機質微粉末はフライアッシュ
に自然に攪拌混合されることとなるために好ましい。但
し、無機質微粉末の添加位置及び添加方法などは、上記
の方法に特に限定されるものではなく、フライアッシュ
の凝集固結能が解消できればどのような手段で添加混合
しても良い。
【0015】また、添加する無機質微粉末の種類は、上
記条件の外に以下に示す条件を満足する微粉末であるこ
とが望ましい。 少量(出来れば数%)の添加混合で、フライアッシ
ュの凝集固結能の解消が可能な微粉末であること。 全国どこでも安価に入手できる微粉末であり、物流
を含めて供給不安のない微粉末であること。 望ましくは、セメント中に混入した場合、セメント
の水和硬化反応を促進する微粉末であること。
【0016】前記の条件を満足する最適な微粉末は、石
灰石微粉末であるが、石灰石微粉末に限定されるもので
はなく、セメントの水和硬化反応に害を及ぼさない非水
溶性の無機質微粉末で、フライアッシュの凝集固結能を
解消又は緩和できる微粉末、即ち吸い取り紙効果が期待
できる微粉末ならば、石灰石微粉末以外の微粉末であっ
ても良い。
【0017】なお、石灰石微粉末は、排煙脱硫用或いは
アスファルト添加用などの膨大な需要にささえられてい
る微粉末であるので、全国どこでも安価に入手でき、物
流を含めて供給不安のない微粉末である。
【0018】
【試験例】以下、上記した本発明を見い出すに至った試
験例につき説明する。
【0019】−フライアッシュの凝集固結能の測定方法
−先ず、試験例を説明するに先立ち、試験例で行ったフ
ライアッシュの凝集固結能の測定方法について説明す
る。これは、JIS R 5201に記載された「セメントの凝結
試験」の内、セメントペーストの標準軟度を測定する方
法に準じた方法である。
【0020】具体的には、 (1) 標準棒の侵入深さが35mm程度になるようにフラ
イアッシュをセメントペースト容器に軽く詰める。 (2) 続いて、フライアッシュを詰めたセメントペースト
容器を、相対湿度を限りなく100%に近づけてある湿
気箱に入れ、フライアッシュを吸湿させると共に、標準
棒のフライアッシュへの侵入深さの経時変化を測定す
る。 (3) 標準棒の侵入深さの経時変化をボルツマン式で回帰
分析し、その結果得られた終局値を該フライアッシュの
標準棒侵入深さ終局値とする。 上記の方法は、フライアッシュの凝集固結による凝集力
の増大を、フライアッシュの粘性の増大としてとらえて
測定したものであり、標準棒侵入深さ終局値の数値が高
いフライアッシュほど、凝集固結能が解消或いは緩和さ
れているフライアッシュを意味する。
【0021】−試験例において使用したフライアッシュ
− 試験例において使用したフライアッシュは、集塵して得
た直後の新鮮なフライアッシュで、凝集固結能を有して
いるフライアッシュとした。フライアッシュは、実験室
規模では空気中に放置すると徐々に吸湿して凝集固結能
を失うので、新鮮で、且つ空気から隔離されていたフラ
イアッシュで試験した。
【0022】−従来の石膏水和説を否定する根拠となっ
た試験例− 〔試験例1〕凝集固結能を有するフライアッシュに、少
量の水を添加して機械的に強制攪拌した後、70℃に調
節した乾燥機内で急速乾燥したフライアッシュを作製
し、このフライアッシュについて、上記の方法で標準棒
の侵入深さの経時変化を測定した。測定結果を図1に示
す。なお、比較のために未処理のフライアッシュ(凝集
固結能の解消或いは緩和の手段が一切とられていないフ
ライアッシュ)、及び少量の水を添加して機械的に強制
攪拌した後、自然乾燥して得られたフライアッシュ(従
来提案された2)の方法による凝集固結の防止手段がとら
れたフライアッシュ)についての測定結果も、図1中に
併記した。
【0023】図1より、少量の水の添加混合によって失
われたフライアッシュの凝集固結能が、その後の70℃
の強制乾燥により復活していることが認められる。これ
は、攪拌した状態で少量の水と反応させることにより気
硬性石膏を2水石膏に転移させ、予め気硬性石膏の水和
硬化力を奪うことでフライアッシュの凝集固結能が解消
されるとする従来の石膏水和説によると、一旦2水石膏
に転移した石膏が、70℃の強制乾燥により再び半水石
膏に転移したことになるが、70℃の短時間乾燥では、
2水石膏からの半水石膏への転移は理論的に起こり得な
い。
【0024】〔試験例2〕凝集固結能を有するフライア
ッシュに、少量の水を添加して機械的に強制攪拌した
後、300℃に調節した電気炉で2時間加熱処理したフ
ライアッシュを作製し、このフライアッシュについて、
上記の方法で標準棒の侵入深さの経時変化を測定した。
測定結果を図2に示す。なお、比較のために上記試験例
1の場合と同様に、未処理のフライアッシュ、及び少量
の水を添加して機械的に強制攪拌した後、自然乾燥して
得られたフライアッシュについての測定結果も、図2中
に併記した。
【0025】図2より、300℃の加熱処理では、フラ
イアッシュの凝集固結能は全く復活しないことが認めら
れる。これは、従来の石膏水和説が正しいとすると、3
00℃で加熱するとフライアッシュに含まれている硫酸
カルシウムは可溶性無水石膏(III 型無水石膏)に転移
し、フライアッシュの凝集固結能は復活するはずであ
る。なお、2水石膏が半水石膏に転移する温度である、
100℃乾燥でもフライアッシュの凝集固結能は復活し
なかったことも確認した。
【0026】〔試験例3〕市販の半水石膏(焼石膏、β
型半水石膏)、及びこれを300℃で2時間加熱処理し
て作成した可溶性無水石膏(III 型無水石膏)を、それ
ぞれ純品でフライアッシュの凝集固結能の測定方法と同
一の方法で、標準棒の侵入深さの経時変化を測定した。
測定結果を図3に示す。
【0027】図3より、III 型無水石膏及びβ型半水石
膏のような気硬性石膏は、フライアッシュが凝集固結す
るような短時間では凝集固結しないことが認められる。
上記のことから、気硬性石膏は、吸湿程度の水の存在で
はその反応は極めて緩慢で、フライアッシュが凝集固結
するような短時間では凝集固結しないと言う結果となっ
た。
【0028】以上、記載した試験例1〜3から、従来の
石膏水和説は否定せざるを得なくなった。そこで、本発
明者等は、フライアッシュ中に含まれる可溶性塩類のも
う一つの主成分である硫酸ナトリウムに着目し、この硫
酸ナトリウムが吸湿すると潮解して高濃度の硫酸ナトリ
ウム水溶液を生成し、この潮解液がフライアッシュ粒子
相互間の接触点に生成すると、この潮解液がフライアッ
シュ粒子相互間に架橋を形成し、この架橋現象がフライ
アッシュの凝集固結のメカニズムであると考えた。
【0029】この硫酸ナトリウム潮解説によれば、例え
ば、フライアッシュに少量の水を添加して機械的に強制
攪拌すると、水添加により生成した硫酸ナトリウム水溶
液は、フライアッシュ粒子間に架橋を形成することな
く、該フライアッシュ粒子の割れ目或いは孔を通って粒
子内部に浸透し、フライアッシュ粒子の表面からは失わ
れる。そして、その後の自然乾燥で、フライアッシュ粒
子の内部に浸透した硫酸ナトリウム水溶液は、その位置
で乾燥し、フライアッシュ粒子の内部に硫酸ナトリウム
を残したままフライアッシュが乾燥するため、フライア
ッシュの凝集固結能が解消又は緩和される。しかし、試
験例1の如く、フライアッシュに少量の水を添加して機
械的に強制攪拌した後、70℃で強制乾燥すると、水は
表面蒸発の他に、フライアッシュ粒子の内部でも水分蒸
発が起こり、フライアッシュ粒子の内部の水蒸気圧が上
昇するため、折角内部に浸透した硫酸ナトリウム水溶液
が再びフライアッシュ表面に噴出し、フライアッシュ表
面に硫酸ナトリウムが析出することとなるため、フライ
アッシュの凝集固結能が復活したと説明できる。
【0030】そこで、本発明者等は、上記硫酸ナトリウ
ム潮解説に基づき考察を進め、フライアッシュの表面に
硫酸ナトリウム潮解液が生成しても、該潮解液を別の物
質に吸収させ、フライアッシュ粒子相互間に架橋を形成
させなければ理論的に凝集固結は生じないと考え、以下
の試験を行った。
【0031】〔試験例4〕表1に示した4種類の微粉末
を、凝集固結能を有するフライアッシュに対して、それ
ぞれ内割で0、1、3、5、10及び20重量%添加
し、ポリエチレン袋内で3分間激しく振って混合させた
後、前述と同様の方法で標準棒の侵入深さの経時変化を
測定した。それぞれの測定結果を図4〜図7に示す。ま
た、標準棒侵入深さ終局値と各微粉末の添加量との関係
を図8に示す。
【0032】
【表1】 なお、表1に記載の重質炭酸カルシウムは、石灰石微粉
末であるが、軽質炭酸カルシウムと区別して表記するた
め、表中及び図中では重質炭酸カルシウムと記した。
【0033】図8から、微粉末の添加量の増大ととも
に、標準棒の侵入深さの終局値が大きくなっていくこと
が認められる。これは、無添加の場合に標準棒の侵入を
阻害していたフライアッシュの凝集固結能が失われ、標
準棒が深くまで侵入できるように改善されたことを意味
する。この改善のメカニズムは、フライアッシュに予め
添加混合した微粉末が、その後フライアッシュが吸湿す
ることによってその表面に生成した硫酸ナトリウム水溶
液を吸収し、フライアッシュ粒子相互間に硫酸ナトリウ
ム水溶液による架橋が形成されるのを阻止するために、
フライアッシュの凝集固結能が解消或いは緩和できたと
考えられる。
【0034】微粉末添加によるフライアッシュの凝集固
結能の改善効果を比較すると、けい石微粉末は、重質炭
酸カルシウムより粉末度が高いにもかかわらず、改善効
果が一番小さいと言う結果となった。また、シリカフュ
ームは、一番細かいにもかかわらず、炭酸カルシウム類
よりは改善効果が小さいという結果となった。このこと
は、粉末度よりも、むしろ物質の特性の方が改善効果に
顕著に寄与することを示している。
【0035】また、2種類の炭酸カルシウムは、その粉
末度が大幅に異なっているにもかかわらず、フライアッ
シュの凝集固結能の改善効果はほぼ同一のものであっ
た。このことも、粉末度よりも、むしろ物質の特性の方
が改善効果に顕著に寄与することを示している。
【0036】以上の結果を考察すると、微粉末の種類に
よって表面状態などが異なり、疎水性或いは親水性など
の度合いが異なるために、硫酸ナトリウム潮解液を吸着
或いは吸収する能力、即ち吸い取り紙効果が微粉末の種
類によって異なっているものと考えられる。そこで、添
加する微粉末としては、吸い取り紙効果を有する微粉末
とする必要があり、試験例4の範囲内では、重質炭酸カ
ルシウム及び軽質炭酸カルシウム、更にはシリカフュー
ムは吸い取り紙効果を有する微粉末であるが、けい石微
粉末は吸い取り紙効果を有しない微粉末と言える。
【0037】微粉末の添加量は、概ねフライアッシュに
対して0.1〜10重量%添加すれば良いが、改善効果
が大きいものほど少ない添加量で顕著な改善効果が現
れ、各々の微粉末において最適添加量が存在し、それ以
上の量を添加しても硫酸ナトリウム潮解液は微粉末に吸
収されてしまっているので、もはや改善効果は増大しな
い。炭酸カルシウム類の最適添加量は、2%程度であ
り、この段階でフライアッシュの凝集固結能は完全に解
消されたと言える。
【0038】なお、フライアッシュの凝集固結の原因
が、石膏の水和による凝集であるとするならば、上記フ
ライアッシュに添加した微粉末が気硬性石膏の水和を阻
害したことになるが、このようなことは理論的には考え
られない。
【0039】上記試験例4の結果、及び〔0015〕の
項に記載した望ましい性質を、使用した微粉末について
各々評価した結果を、表2に示す。なお、表中の丸数字
は〔0015〕に記載した項目番号である。
【0040】
【表2】
【0041】表2に示したように、重質炭酸カルシウ
ム、即ち石灰石微粉末が、いずれの項目も満足する最適
な微粉末であることが分かる。
【0042】次に、フライアッシュに粗粒アッシュの粉
砕物を大量置換する場合(従来提案された5)の方法によ
る凝集固結の防止方法)の効果と、本発明の微粉末の添
加混合による効果とを比較するため、下記の試験を行っ
た。
【0043】〔試験例5〕粗粒アッシュ(シンダーサン
ド)を、予めボールミルを用いてブレーン比表面積3,
300cm2/g に粉砕し、該シンダーサンド微粉末を、フ
ライアッシュに対して内割で0、2、5、10、20、
40及び100重量%添加し、ポリエチレン袋内で3分
間激しく振って混合させた後、前述と同様の方法で標準
棒の侵入深さの経時変化を測定した。測定結果を図9に
示す。また、標準棒侵入深さ終局値とシンダーサンド微
粉末の添加量との関係を図10に示す。なお、比較のた
めに、上記試験例4において見出された重質炭酸カルシ
ウムの凝集固結能と添加量との関係を、図10中に併記
した。
【0044】図10から、シンダーサンド微粉末の添加
と、石灰石微粉末の添加とは、そのフライアッシュの凝
集固結能の改善効果に顕著な相違が認められる。これ
は、シンダーサンド微粉末には、所謂吸い取り紙効果は
なく、少量の添加ではフライアッシュの凝集固結能を解
消或いは緩和させることはできないことを示している。
そこで、粗粒アッシュ粉砕物を添加する従来技術は、凝
集固結能の小さい粗粒アッシュで、フライアッシュを置
換することによる、広い意味での希釈効果を期待する手
段であり、それ故、フライアッシュの凝集固結能を解消
又は緩和させるに必要な粗粒アッシュ粉砕物の添加量
は、吸い取り紙効果を有する石灰石微粉末の添加量の2
0倍以上が必要となったと考えられる。
【0045】以上の試験例4及び5から、フライアッシ
ュに微粉末を少量(0.1〜10重量%)添加混合する
ことにより、フライアッシュの凝集固結能を解消或いは
緩和できることが確認できた。また、その際添加する微
粉末は、例えば石灰石微粉末の如く吸い取り紙効果を有
する微粉末であることが必要であることが確認できた。
更に、フライアッシュはセメントに混合して使用される
場合が多いため、セメントの水和硬化反応に害を及ぼさ
ない微粉末である必要がある。また、水溶性の微粉末
は、潮解液に自ら溶解して吸い取り紙効果を発揮できな
いために、非水溶性の微粉末であることも必要である。
【0046】上記のことを考慮し、微粉炭燃焼ボイラー
の排ガスから採集したフライアッシュに、セメントの水
和硬化反応に害を及ぼさず、且つ吸い取り紙効果を有す
る非水溶性の無機質微粉末を、0.1〜10重量%添加
混合すると、フライアッシュの吸湿による凝集固結を防
止できるとする、本発明を完成させた。
【0047】
【発明の効果】以上、説明した本発明にかかるフライア
ッシュの吸湿による凝集固結の防止方法は、少量の微粉
末をフライアッシュに添加混合すると言う簡易な操作に
よって、そのフライアッシュの凝集固結能の解消或いは
緩和できる方法であるため、多量のフライアッシュに対
して、工業的に廉価に実施できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例1、具体的には、フライアッシュに少量
の水を添加して機械的に強制攪拌した後、70℃で急速
乾燥したフライアッシュについて、標準棒の侵入深さの
経時変化を測定した結果を示した図である。
【図2】試験例2、具体的には、フライアッシュに少量
の水を添加して機械的に強制攪拌した後、300℃で2
時間加熱処理したフライアッシュについて、標準棒の侵
入深さの経時変化を測定した結果を示した図である。
【図3】試験例3、具体的には、III 型無水石膏及びβ
型半水石膏について、標準棒の侵入深さの経時変化を測
定した結果を示した図である。
【図4】試験例4、具体的には、種々の量のけい石微粉
末を添加混合したフライアッシュについて、標準棒の侵
入深さの経時変化を測定した結果を示した図である。
【図5】試験例4、具体的には、種々の量のシリカフュ
ームを添加混合したフライアッシュについて、標準棒の
侵入深さの経時変化を測定した結果を示した図である。
【図6】試験例4、具体的には、種々の量の重質炭酸カ
ルシウムを添加混合したフライアッシュについて、標準
棒の侵入深さの経時変化を測定した結果を示した図であ
る。
【図7】試験例4、具体的には、種々の量の軽質炭酸カ
ルシウムを添加混合したフライアッシュについて、標準
棒の侵入深さの経時変化を測定した結果を示した図であ
る。
【図8】試験例4、具体的には、各種微粉末のフライア
ッシュへの添加量と標準棒侵入深さ終局値との関係を示
した図である。
【図9】試験例5、具体的には、種々の量のシンダーサ
ンド微粉末を添加混合したフライアッシュについて、標
準棒の侵入深さの経時変化を測定した結果を示した図で
ある。
【図10】試験例5、具体的には、シンダーサンド微粉
末のフライアッシュへの添加量と標準棒侵入深さ終局値
との関係を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 陽一 東京都江東区清澄1−2−23 日本コン サルタント株式会社内 (72)発明者 大島 一男 東京都新宿区新宿2−19−1 株式会社 電発コールテック内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 18/08 B01F 3/18 B09B 3/00 B09B 5/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微粉炭燃焼ボイラーの排ガスから採集し
    たフライアッシュに、セメントの水和硬化反応に害を及
    ぼさず、且つ吸い取り紙効果を有する非水溶性の無機質
    微粉末を、0.1〜10重量%添加混合することを特徴
    とする、フライアッシュの吸湿による凝集固結の防止方
    法。
  2. 【請求項2】 上記フライアッシュに添加混合する無機
    質微粉末が、石灰石微粉末であることを特徴とする、請
    求項1記載のフライアッシュの吸湿による凝集固結の防
    止方法。
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