JP2949983B2 - 物理源解析方法およびその装置 - Google Patents

物理源解析方法およびその装置

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  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)
  • Ultra Sonic Daignosis Equipment (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は物理源解析方法および
その装置に関し、さらに詳細にいえば、超音波を用いる
音響探査に代表される、パルスエコー法と同じ原理に基
づく物理源解析方法およびその装置、および複数のセン
サを平面上に配置して各センサからの出力に基づいて物
理源の解析を行なうための方法およびその装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から図8に示すように、送波点91
から超音波パルスを定期的に送波し、反射体92により
反射して戻ってくるパルスエコーを受波点93において
とらえ、エコーの強度に基づいて媒体の密度が変わる境
界面の位置を計測する、いわゆるパルスエコー法が広く
知られている。
【0003】また、近年、医用無侵襲計測機器の中で超
音波断層撮影装置が著しい普及を遂げ、診断精度の向上
に大きく貢献してきた。超音波断層撮影装置に代表され
る超音波診断装置の動作原理はアクティブ・ソナーの原
理として広く知られているパルスエコー法と同じであ
る。ここで、反射波の強度の時間波形を観測するモード
をAモード(図9参照)、1次元的に接触子を走査し閾
値を設けて走査方向と深さ方向の2次元影像を観測する
モードをBモード(図10参照)、走査を2次元的に行
なって同じ深さの2次元影像を観測するモードをCモー
ド(図11参照)という。
【0004】したがって、超音波診断装置を使用し、目
的とする診断の種類に応じてAモード、Bモード、Cモ
ードを選択することにより、人体に傷をつけることなく
人体内部の診断を行なうことができる。また、同様の原
理に基づく超音波探傷装置を使用することにより各種構
造物の内部の傷の有無等を検査することができる。
【0005】さらに、従来から超伝導量子干渉素子(Su
perconducting Quantum Interference Device、以下、
SQUIDと略称する)を用いた複数個のSQUID磁
束計を生体に近接させた状態で配置することにより、生
体内部の磁場源(物理源の一種)を解析する装置が提案
されている。この装置は、スーパーコンピュータを用い
て以下の処理を行なうものである。即ち、 (1)複数個のSQUID磁束計による探査空間に乱数
を用いてm個の電流素片をばらまく。ここで、電流素片
iの入力パラメータは位置情報P(x,y,z)および
電流ベクトルI(X,Y,Z)であるから、xi,y
i,zi,Xi,Yi,Zi(但し、i=1,2,・・
・m)の6m個のパラメータを乱数を用いて決定する。 (2)後述する推定誤差演算プロセスにより全推定誤差
Eを算出する。 (3)以下の(4)から(7)の処理を反復する。 (4)任意に電流素片を選択し、該当する電流素片kの
パラメータおよび全推定誤差を退避する。即ち、 位置情報Ps(xs,ys,zs)=Pk(xk,y
k,zk) 電流ベクトルIs(Xs,Ys,Zs)=Ik(Xk,
Yk,Zk) 全推定誤差Es=Eの処理を行なう。 (5)電流素片kのパラメータを乱数を用いて微少な量
だけ変化させる。即ち、各成分の微少な変化量を△x,
△y,△z,△X,△Y,△Zとすれば、 Pk(xk,yk,zk)=Pk(xk+△x,yk+
△y,zk+△z) Ik(Xk,Yk,Zk)=Ik(Xk+△X,Yk+
△Y,Zk+△Z)の処理を行なう。 (6)後述する推定誤差演算プロセスにより全推定誤差
Eを算出する。 (7)退避した全推定誤差Esと(6)で算出された全
推定誤差Eとを比較し、全推定誤差Esの方が小さけれ
ば、△で退避した情報を復帰させる。即ち、 位置情報Pk(xk,yk,zk)=Ps(xs,y
s,zs) 電流ベクトルIk(Xk,Yk,Zk)=Is(Xs,
Ys,Zs) 全推定誤差E=Esの処理を行なう。
【0006】また、上記推定誤差演算プロセスは次のと
おりである。 I.各電流素片のパラメータから各測定点j(j−1,
2,・・・N)における磁場を演算する。即ち、 1)次の2),3)の処理を全ての測定点jについて行
なう。 2)次の3)の処理を全ての電流素片iについて行な
う。 3)ビオサバールの法則を用いて、測定点jに電流素片
iがつくる磁場Beji(BXeji,BYeji,B
Zeji)を演算する。 4)m個の電流素片が測定点jにつくる磁場Bejを次
式に基づいて演算する。
【0007】
【数1】 の演算を行なう。 II.各測定点jにおける測定値Bj(BXj,BY
j,BZj)と全電流素片に基づく推定値Bejから推
定誤差Ejを演算し、全推定誤差Eを算出する。即ち、 5)次の6)の処理を全ての測定点jについて行なう。 6)各測定点jにおける推定誤差Ejを次式に基づいて
演算する。 Ej=(BXj−BXej)2+(BYj−BYej)2
+(BZj−BZej) 2 7)全推定誤差Eを次式に基づいて算出する。
【0008】
【数2】
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記超音波診断装置の
空間分解能は5mm程度であり、癌の早期発見等の用途に
要求される空間分解能(1mm程度)と比較すれば空間分
解能が低すぎるのであるから、癌の早期発見等の用途に
は適用できないという不都合がある。また、空間分解能
を高めるために(解像度を高めるために)、送信超音波
のバースト波の長さを短くすることが考えらている。具
体的には、超音波の周波数を高くすることによりバース
ト波形を簡単に短くできるのであるから、送信超音波パ
ルスの周波数として高い周波数を選択してバースト波を
短くすることが一般的に選択される。しかし、周波数を
高くすれば、超音波の減衰が顕著になり、人体の深部の
診断には適用できなくなってしまうという新たな不都合
が発生する。また、周波数を高くすることなくバースト
波形を短くするために、短いバースト波形を出力できる
探触子を使用することが考えられるが、新たな探触子の
開発には試行錯誤による素材の研究を伴ない、必然的に
開発が長期化してしまうという不都合があり、現状にお
いて直ちに適用できるものではない。
【0010】さらに、超音波パルスの周波数を高めるこ
となく空間分解能を向上させる方法として、送信波形お
よび受信波形に基づいて高速フーリエ変換演算(以下、
FFT演算と略称する)を行なってインパルス応答を求
める方法が知られている。しかし、データのサンプル数
が2n個でなければならないという制約があるのみなら
ず、演算装置が大型化し、しかもリアルタイム性がなく
なってしまうという不都合があるので、リアルタイム性
が重視される人体の診断には余り用いられていない。
【0011】以上には超音波診断装置における探査方法
についてのみ説明したが、超音波探傷装置、レーダ等に
おいても同様の不都合がある。上記磁場源解析装置を用
いて磁場源の解析を行なえば、全推定誤差Eが小さくな
るように電流素片kのパラメータを微少量ずつ変化させ
るのであるから最終的に正しい解析結果が得られるよう
に思われる。
【0012】しかし、図12(A)に示すように電流素
片kの初期状態が設定された場合に、2400回の処理
を行なった場合に図12(B)に示す状態にまで各電流
素片kが変化され、3600回の処理を行なった場合に
図12(C)に示す状態にまで各電流素片kが変化され
ただけであり、最終的な解を得ることができない。ま
た、図12(B)(C)を比較すると電流素片kの状態
は余り変化しておらず、処理回数を増加させても最終的
な解を得ることができないという不都合がある。また、
3600回の処理を行なうためにスーパーコンピュータ
を用いても約20分の時間がかかっており、到底実用化
できないという不都合もある。
【0013】このような不都合の発生は、1回の処理を
行なっても全推定誤差Eが小さくなるという保証が全く
ないこと、および上記処理中、推定誤差演算プロセスの
I.1),2),3)とII.1),2)の部分のみに
ついて並列処理が可能であり、他の処理については並列
処理できないのであるから並列プロセッサを使用しても
全体としての演算の高速化が達成できないことが原因で
あることを見出した。
【0014】また、近年ニューラルネットワークの研究
が進展しており、上記磁場源の解析にニューラルネット
ワークを適用することが考えられている。ここで、ニュ
ーラルネットワークは階層型パーセプトロン(図13参
照)およびホップフィールド・モデル(図16参照)に
大別される。階層型パーセプトロンは、図13に示すよ
うに、入力パターンを受取る入力層と、少なくとも1層
からなる中間層と、出力パターンを出力する出力層とで
構成されており、各層を構成する複数個のニューロン素
子同士を互に接続している。そして、階層型パーセプト
ロンの学習則としてバックプロパゲーション則が用いら
れる。しかし、階層型パーセプトロンにおいて取扱う問
題が複雑になると多階層構造が要求され、ニューロン素
子数が著しく多くなるのであるから、学習により決定す
る必要がある荷重の数が著しく多くなり、解を収束させ
るための演算負荷が膨大になってしまうという不都合が
ある。具体的には、図14に示すように、通常は1パタ
ーン当り50回程度の学習を行なうことにより誤差が急
激に小さくなり1回目の収束値に落ちつく。しかし、さ
らに学習を続けると、さらに何回か誤差が急激に変化す
る場合がある。図15は個々のパターンに対する誤差の
変化を示す図であり、全体としての誤差(図15中破線
参照)が殆どない部分においても誤差配分の譲り合いが
継続しており(図15中実線参照)、全体としての誤差
を減少させる試みが継続することになる。したがって、
1回目の収束値で目的とする精度が得られない場合に
は、次の誤差の収束までの膨大な演算が要求されること
になり、しかも次の収束値で十分な精度が得られる保証
がないことになる。 以上から明らかなように、階層型
パーセプトロンを磁場源解析に用いることは実用上殆ど
不可能である。
【0015】ホップフィールド・モデルは、図16に示
すように、各ニューロンモデルが他の全てのニューロン
モデルと結合した構成を有しており、階層型パーセプト
ロンのように入力層、中間層、出力層という区分はなさ
れていない。そして、全てのニューロンモデルが入力
層、出力層あるいは中間層としての機能を達成できる。
ここで、各ニューロンモデルが閾値素子モデルであると
仮定すれば、ニューロンモデルiの状態変化は数3の何
れかの式でモデル化される。
【0016】
【数3】 但し、Uiはニューロンモデルiの活性度あるいは出力
値であり、hiはニューロンモデルiの閾値であり、W
ijは荷重であり、i≠jである。そして、ニューロン
モデルの荷重および学習則を決定する評価関数としてホ
ップフィールドが定義した数4で示される関数は、各ニ
ューロンモデルが数3に基づく内部状態変化を非同期的
に行なえば、それぞれの変化によって数4を減少させ、
最小値または極小値になった時点でニューロンモデルの
活性度あるいは出力値が収束することになる。
【0017】
【数4】 但し、αiは正の定数、上式の第1項においてi≠jで
ある。また、ホップフィールド・モデルを用いて解析を
行なうに当って、次の1)から4)の準備作業が必須で
ある。即ち、 1)解析のために与えられた具体的な目的関数を数4の
関数形に変換する。 2)具体的に目的関数を構成する独立変数をニューロン
モデルの活性度あるいは出力値Uiになるように変換さ
せるとともに、数3で与えられるような活性度あるいは
出力値Uiの変換規則を定める。 3)最終的にあるパターンに収束できるように各Uiへ
の入力パターン、即ち、各Uiの初期値を定める。 4)1)および2)で得られた学習規則を用いて出力パ
ターンが収束するまであるいは関数Enが最小になるま
で同一の情報処理を反復する。
【0018】そして、これらの準備作業のうち、1)お
よび2)の作業は非常に困難であり、うまく関数の変換
ができない可能性が高く、著しく多大の作業量が必要に
なる。また、3)の準備作業についても、初期値の与え
方によっては収束したり収束しなかったりするのである
から、収束性が高い初期値の設定が困難であるととも
に、初期値の与え方によっては得られる解が異なる場合
が生じる。さらに、4)の準備作業については、何れか
のニューロンモデルの内部状態の変化がひき起こした非
平衡状態が全体に伝播して新たな安定状態に落ちつくま
でにかなりの時間がかかるのであるから、非同期的に情
報処理を行なって収束値を得るまでの所要時間が非常に
長くなる場合がある。
【0019】以上から明らかなように、ホップフィール
ド・モデルを磁場源解析に用いることも実用上殆ど不可
能である。尚、以上は磁場源解析に適用する場合につい
てのみ説明したが、圧力源、温度源のように該当する系
の支配法則が数式で表記可能であるとともに、線形加算
性が成立する物理源の解析に適用した場合にも同様の不
都合が生じる。
【0020】また、これらの不都合を解消するために、
本願発明者は、図17に示すように、解析対象となる物
理源の個数よりも多い処理装置101を並列に設け、こ
れら処理装置101からの出力を累積加算器102によ
り累積加算して誤差演算器103により計測値との差を
算出し、算出された差および偏微分値演算器104によ
り算出された累積加算値の偏微分値に基づいて補正部1
05により各処理装置101の未知数を補正し、累積加
算値と計測値との差が十分に小さくなるまで未知数の補
正を行なった後に収集ユニット106により未知数補正
値を物理源解析結果として出力する物理源解析装置を考
えた。
【0021】尚、各処理装置は、所定の入力情報(計測
条件等の既知の入力情報)と入力情報に基づいて一義に
定まるべき計測値との関係を規定する数式に対応する処
理を行なうものであり、実際の処理内容は解析対象とな
る物理源の種類等に応じて定まる。この構成の物理源解
析装置を採用すれば、解析対象となる物理源を含む系の
支配法則を学習させる必要がなくなるとともに、累積加
算値と計測値との差が必ず小さくなるように未知数の補
正を行なうので、ニューラル・ネットワークを用いて物
理源の解析を行なう場合のように著しく長時間がかか
り、しかも所期の精度の物理源解析結果が得られる保障
がないという不都合を解消できる。また、音響探査装置
に適用すれば、送信波を変更しなくても空間分解能を高
めることができ、しかもFFT演算のような制約がない
のであるからリアルタイム性を達成できる。しかし、こ
の構成の物理源解析装置を用いて時間的に、または空間
的に変化する計測値に基づく物理源の解析を行なう場合
には、計測値の中に解析対象となる物理源に起因する情
報が局在することになるので、未知数の補正処理を行な
って実際に有効に未知数が補正される確率が低くなり、
この結果、物理源解析のための所要時間が長くなってし
まうという不都合がある。また、物理源解析結果として
インパルス応答が得られるだけであり、ステップ応答を
得ることができないという不都合もある。
【0022】
【発明の目的】この発明は上記の問題点に鑑みてなされ
たものであり、物理源の解析精度を簡単に高めることが
でき、しかもリアルタイム性を達成できる新規な物理源
解析装置を提供することを目的としている。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの、請求項1の物理源解析方法は、時間的に変化する
複数の、観測される物理量の源となる入力情報に基づい
て所定の処理結果を得る、少なくとも1つの未知数を含
む処理結果出力手段を複数個並列に設けておくととも
に、これらの処理結果出力手段に対して各入力情報を発
生時刻以降も継続させるべく時間的に積分した状態で供
給し、全ての処理結果出力手段からの出力情報を累積加
算して、入力情報に基づいて観測される物理量を発生時
刻以降も継続させるべく時間的に積分して得た値との差
を算出し、算出された差に基づいて、差が小さくなるよ
うに処理結果出力手段の未知数を補正して、差が十分に
小さくなった時点において未知数の補正結果を物理源解
析結果として出力する方法である。
【0024】請求項2の物理源解析方法は、空間的に変
化する複数の、観測される物理量の源となる入力情報に
基づいて所定の処理結果を得る、少なくとも1つの未知
数を含む処理結果出力手段を複数個並列に設けておくと
ともに、これらの処理結果出力手段に対して各入力情報
を発生箇所以降も継続させるべく空間的に積分した状態
で供給し、全ての処理結果出力手段からの出力情報を累
積加算して、入力情報に基づいて観測される物理量を発
生箇所以降も継続させるべく空間的に積分して得た値と
の差を算出し、算出された差に基づいて、差が小さくな
るように処理結果出力手段の未知数を補正して、差が十
分に小さくなった時点において未知数の補正結果を物理
源解析結果として出力する方法である。
【0025】請求項3の物理源解析方法は、各入力情報
および入力情報に基づいて観測される物理量の積分次数
が変更可能であり、積分次数を高く設定した状態に基づ
く未知数の補正処理を行った後、積分次数を低く設定し
た状態に基づく未知数の補正処理を行う方法である。請
求項4の物理源解析方法は、各入力情報および入力情報
に基づいて観測される物理量の積分次数を互いに等しく
設定する方法である。
【0026】請求項5の物理源解析方法は、入力情報に
基づいて観測される物理量の積分次数を各入力情報の積
分次数よりも1だけ大きく設定する方法である。請求項
6の物理源解析装置は、時間的に変化する複数の、観測
される物理量の源となる入力情報に基づいて所定の処理
結果を得る、少なくとも1つの未知数を含む複数個の処
理結果出力手段と、全ての処理結果出力手段からの出力
情報を累積加算する累積加算手段と、入力情報に基づい
て観測される物理量を時間的に積分した値と累積加算手
段により得られた累積加算値との差を算出する差算出手
段と、算出された差に基づいて、差が小さくなるように
処理結果出力手段の未知数を補正する補正手段と、差が
十分に小さくなった時点において未知数の補正結果を物
理源解析結果として出力する補正結果出力手段と、各入
力情報を発生時刻以降も継続させるべく時間的に積分し
た状態で処理結果出力手段に供給する第1積分手段と、
入力情報に基づいて観測される物理量を発生時刻以降も
継続させるべく時間的に積分して差算出手段に供給する
第2積分手段とを含んでいる。
【0027】請求項7の物理源解析装置は、空間的に変
化する複数の、観測される物理量の源となる入力情報に
基づいて所定の処理結果を得る、少なくとも1つの未知
数を含む複数個の処理結果出力手段と、全ての処理結果
出力手段からの出力情報を累積加算する累積加算手段
と、入力情報に基づいて観測される物理量を空間的に積
分した値と累積加算手段により得られた累積加算値との
差を算出する差算出手段と、算出された差に基づいて、
差が小さくなるように処理結果出力手段の未知数を補正
する補正手段と、差が十分に小さくなった時点において
未知数の補正結果を物理源解析結果として出力する補正
結果出力手段と、各入力情報を発生箇所以降も継続させ
るべく空間的に積分した状態で処理結果出力手段に供給
する第1積分手段と、入力情報に基づいて観測される物
理量を発生箇所以降も継続させるべく空間的に積分して
差算出手段に供給する第2積分手段とを含んでいる。
【0028】請求項8の物理源解析装置は、第1積分手
段および第2積分手段が積分次数を変更可能なものであ
り、積分次数を高く設定した状態に基づく未知数の補正
処理を行った後、積分次数を低く設定した状態に基づく
未知数の補正処理を行うべく両積分手段の積分次数を制
御する積分次数制御手段をさらに含んでいる。但し、こ
れらの場合において積分の次数としては任意の整数を選
択することが可能であり、選択された整数が負である場
合には微分処理を行うことになる。
【0029】請求項1の物理源解析方法であれば、時間
的に変化する複数の、観測される物理量の源となる入力
情報を発生時刻以降も継続させるべく時間的に積分して
各処理結果出力手段に供給することにより積分された入
力情報に対応する処理結果を得、累積加算する。そし
て、入力情報に基づいて観測される物理量を発生時刻以
降も継続させるべく時間的に積分して累積加算結果との
差を算出し、算出された差に基づいて、差が小さくなる
ように処理結果出力手段の未知数を補正する。そして、
差が十分に小さくなった時点において未知数の補正結果
を物理源解析結果として出力する。
【0030】したがって、積分前において各物理源に起
因する情報が時間的に局在していても、積分処理を施す
ことにより、局在していた時刻よりも後の時刻において
これらの情報を存在させ続けることができるので、補正
処理を行なった場合に実際に未知数が補正される確率が
高くなり、この結果、物理源解析のための所要時間を大
巾に短縮できる。
【0031】請求項2の物理源解析方法であれば、空間
的に変化する複数の、観測される物理量の源となる入力
情報を発生箇所以降も継続させるべく空間的に積分して
各処理結果出力手段に供給することにより積分された入
力情報に対応する処理結果を得、累積加算する。そし
て、入力情報に基づいて観測される物理量を発生箇所以
降も継続させるべく空間的に積分して累積加算結果との
差を算出し、算出された差に基づいて、差が小さくなる
ように処理結果出力手段の未知数を補正する。そして、
差が十分に小さくなった時点において未知数の補正結果
を物理源解析結果として出力する。
【0032】したがって、積分前において各物理源に起
因する情報が空間的に局在していても、積分処理を施す
ことにより、局在していた空間よりも積分方向に後の空
間においてこれらの情報を存在させ続けることができる
ので、補正処理を行なった場合に実際に未知数が補正さ
れる確率が高くなり、この結果、物理源解析のための所
要時間を大巾に短縮できる。
【0033】請求項3の物理源解析方法であれば、各入
力情報および入力情報に基づいて観測される物理量の積
分次数を高く設定した状態で未知数の補正処理を行うこ
とによりある程度の精度で未知数を補正できるまでの所
要時間を短縮でき、その後、積分次数を低く設定した状
態で未知数の補正処理を行うことにより未知数の補正精
度を高めることができる。即ち、物理源解析の高速化お
よび高精度化を達成できる。
【0034】請求項4の物理源解析方法であれば、各入
力情報および入力情報に基づいて観測される物理量の積
分次数を互いに等しく設定した状態で未知数の補正処理
を行うのであるから、物理源解析結果としてインパルス
応答を得ることができる。請求項5の物理源解析方法で
あれば、入力情報に基づいて観測される物理量の積分次
数を各入力情報の積分次数よりも1だけ大きく設定した
状態で未知数の補正処理を行うのであるから、物理源解
析結果としてステップ応答を得ることができる。この結
果、物理源の有無を簡単に識別できるとともに、耐ノイ
ズ性を高めることができる。
【0035】請求項6の物理源解析装置であれば、時間
的に変化する複数の、観測される物理量の源となる入力
情報を発生時刻以降も継続させるべく第1積分手段によ
り時間的に積分して各処理結果出力手段に供給すること
により積分された入力情報に対応する処理結果を得、累
積換算手段により全ての処理結果を累積加算する。そし
て、入力情報に基づいて観測される物理量を発生時刻以
降も継続させるべく第2積分手段により時間的に積分し
て差算出手段により累積加算結果との差を算出し、算出
された差に基づいて、補正手段により差が小さくなるよ
うに処理結果出力手段の未知数を補正する。そして、差
が十分に小さくなった時点において補正結果出力手段に
より未知数の補正結果を物理源解析結果として出力す
る。
【0036】したがって、積分前において各物理源に起
因する情報が時間的に局在していても、積分処理を施す
ことにより、局在していた時刻よりも後の時刻において
これらの情報を存在させ続けることができるので、補正
処理を行なった場合に実際に未知数が補正される確率が
高くなり、この結果、物理源解析のための所要時間を大
巾に短縮できる。
【0037】請求項7の物理源解析装置であれば、空間
的に変化する複数の、観測される物理量の源となる入力
情報を発生箇所以降も継続させるべく第1積分手段によ
り空間的に積分して各処理結果出力手段に供給すること
により積分された入力情報に対応する処理結果を得、累
積加算手段により全ての処理結果を累積加算する。そし
て、入力情報に基づいて観測される物理量を発生箇所以
降も継続させるべく第2積分手段により空間的に積分し
て差算出手段により累積加算結果との差を算出し、算出
された差に基づいて、補正手段により差が小さくなるよ
うに処理結果出力手段の未知数を補正する。そして、差
が十分に小さくなった時点において補正結果出力手段に
より末知数の補正結果を物理源解析結果として出力す
る。
【0038】したがって、積分前において各物理源に起
因する情報が空間的に局在していても、積分処理を施す
ことにより、局在していた空間よりも積分方向に関して
後の空間においてこれらの情報を存在させ続けることが
できるので、補正処理を行なった場合に実際に未知数が
補正される確率が高くなり、この結果、物理源解析のた
めの所要時間を大巾に短縮できる。
【0039】請求項8の物理源解析装置であれば、各入
力情報および入力情報に基づいて観測される物理量の積
分次数を積分次数制御手段により高く設定した状態で未
知数の補正処理を行うことによりある程度の精度で未知
数を補正できるまでの所要時間を短縮でき、その後、積
分次数制御手段により積分次数を低く設定した状態で未
知数の補正処理を行うことにより未知数の補正精度を高
めることができる。即ち、物理源解析の高速化および高
精度化を達成できる。
【0040】
【実施例】以下、実施例を示す添付図面によって詳細に
説明する。図1はこの発明の物理源解析装置の一実施例
としての超音波探査装置を示すブロック図であり、送波
器Sから送波される所定のパルス周波数の超音波X
(t)を時間的に積分する送信波積分器7と、送信波積
分器7からの出力に基づいてn個のパルスからなるパル
ス列を出力するパルス列出力部70,71,・・・7
nと、パルス列出力部70,71,・・・7nにより出力さ
れる各パルスのピーク値x0,x1,・・・xnを乗数と
し、推定すべきインパルス応答gj,g(j-1),・・・g
(j-n)を被乗数とする演算を行なうインパルス応答演算
部10,11,・・・1nと、全てのインパルス応答演算
部10,11,・・・1nから出力される演算結果に基づ
く畳み込み演算を行なう畳み込み演算部2と、受波器R
により得られる受信波形Y(t)を時間的に積分する受
信波形積分器8と、畳み込み演算結果および受波波形積
分器8により得られた波形を所定のサンプリング・レー
トでサンプリングすることにより得られる受信波パルス
を入力として両者の差を算出する演算結果用差算出部3
と、第1段目の演算部10に対して未知のインパルス応
答gjについて仮想の初期値を与える乱数発生器4とを
有している。そして、インパルス応答演算部10,11
・・・1nは上記差に基づいて該当するインパルス応答
を補正する補正部10a,11a,・・・1naを含んでお
り、各補正部により補正されたインパルス応答を次段の
インパルス応答演算部に供給するようにしている。尚、
最終段の補正部1naにより補正されたインパルス応答は
超音波探査結果として出力される。
【0041】さらに詳細に説明すると、送波超音波X
(t)を積分した波形の各パルスのピーク値x(τ)が
0,x1,・・・xnであるから、時刻jにおける境界
面のインパルス応答をGj、計測された反射波(受信
波)Y(t)を積分した波形をyjとし、放射される超
音波パルス波の音圧が小さく線形加算性が成立する場合
には、受信波Yjおよび受信波の積分波形yjが数5で表
現できる。
【0042】
【数5】 但し、X(t),Y(t)とx(t),y(t)との関
係は数6である。
【0043】
【数6】 したがって、各インパルス応答演算部において正確なイ
ンパルス応答が設定されていれば畳み込み演算部2から
出力される畳み込み演算結果Oj(数7参照)は受信波
の積分波形yjと一致し、演算結果用差算出部3から出
力される差yj−Ojは0となる。
【0044】
【数7】 しかし、実際には全てのインパルス応答演算部において
正確なインパルス応答を設定できる場合は皆無であるか
ら、推定したインパルス応答g(j-i)と実際のインパル
ス応答G(j-i)とのずれに対応する差yj−Ojが演算結
果用差算出部3から出力される。
【0045】そして、演算結果用差算出部3から出力さ
れる差yj−Ojに基づいて各インパルス応答演算部に含
まれる補正部において次式で示す補正演算を行なって推
定したインパルス応答を補正する。 g(j-i)=g(j-i)+ε・(yj−Oj)・xi したがって、推定されたインパルス応答g(j-i)が上記
補正演算に基づく補正分だけ実際のインパルス応答G
(j-i)に接近する。そして、補正されたインパルス応答
(j-i)は次の時刻における処理に対応すべく次段のイ
ンパルス応答演算部に供給され、同様の処理が反復され
る。
【0046】この結果、インパルス応答演算部10
1,・・・1nにおいて順次上記処理が行なわれること
により実際のインパルス応答G(j-i)に高精度に近似で
きるインパルス応答g(j-i)が得られる。また、複数個
のインパルス応答が存在している系において、各インパ
ルス応答の影響を受けた成分が受信波Y(t)の全範囲
に存在しているのではなく一部のみに局在しているので
あるから、該当する成分が局在している範囲に対応する
受信波パルスが供給された場合にのみ該当するインパル
ス応答の補正が達成され、他の範囲に対応する受信波パ
ルスが供給されても該当するインパルス応答の補正は全
く達成されない。この結果、インパルス応答の補正にか
なり長時間がかかってしまうことになる。しかし、この
実施例においては、送信波を積分するとともに受信波を
積分するようにしているのであるから、各インパルス応
答の影響を受けた成分が受信波積分波形の該当範囲以後
の全ての範囲に含まれることになり、受信波パルスが供
給された場合に実際に該当するインパルス応答が補正さ
れる確率が高くなる。したがって、インパルス応答の補
正に必要な時間を大巾に短縮できる。
【0047】以上の説明から明らかなように、n段のイ
ンパルス応答補正処理が行なわれた後は、データが得ら
れる毎に直ちにインパルス応答を得ることができ、リア
ルタイム処理を達成できる。また、送出パルスの周波数
を低くして減衰を小さくし、データ列を得るためのサン
プリング・レートを高めることにより簡単に高解像度化
できる。
【0048】
【実施例2】図2はこの発明の物理源解析装置の他の実
施例としての超音波探査装置の要部を示すブロック図で
あり、図1の実施例と異なる点は、送信波積分器7およ
び受信波積分器8が共に2段の積分器7a,7b、積分
器8a,8bで構成されている点、2段の積分器7a,
7bの上流点、中間点および下流点の波形を選択的にパ
ルス列出力部70,71,・・・7nに供給する送信波選
択器7cをさらに有している点、2段の積分器8a,8
bの上流点、中間点および下流点の波形を選択的に演算
結果用差算出部3に供給する受信波選択器8cをさらに
有している点および互に等しい積分次数の出力を選択す
べく送信波選択器7cおよび受信波選択器8cを制御す
る積分次数制御部9をさらに有している点のみである。
【0049】上記構成の超音波探査装置の作用は次のと
おりである。この音響探査装置の2段の積分器7a,7
bの上流点、中間点および下流点からそれぞれX
(t),数8および数9が出力される。
【0050】
【数8】
【0051】
【数9】 また、物理源解析装置の2段の積分器8a,8bの上流
点、中間点および下流点からそれぞれY(t),数10
および数11が出力される。
【0052】
【数10】
【0053】
【数11】 したがって、先ず積分次数制御部9により送信波選択器
7cおよび受信波選択器8cを制御して2段の積分器7
a,7bの下流点および2段の積分器8a,8bの下流
点を選択すればよく、2次の積分波形に基づくインパル
ス応答の補正処理を著しく高速に達成できる。
【0054】但し、2次の積分波形に基づいてインパル
ス応答を補正した場合には、累積加算値と受信波を2次
積分した波形との差を十分には小さくできないが、差が
ほぼ安定するまでの所要時間を著しく短縮できる。次い
で、積分次数制御部9により送信波選択器7cおよび受
信波選択器8cを制御して2段の積分器7a,7bの中
間点および2段の積分器8a,8bの中間点を選択すれ
ばよく、1次の積分波形に基づくインパルス応答の補正
処理を高速に達成できるとともに、上記差をさらに小さ
くできる。
【0055】その後、積分次数制御部9により送信波選
択器7cおよび受信波選択器8cを制御して2段の積分
器7a,7bの上流点および2段の積分器8a,8bの
上流点を選択すればよく、全く積分を行なっていない波
形に基づくインパルス応答の補正処理を達成し、上記差
を著しく小さくできる。以上の説明から明らかなよう
に、インパルス応答の補正初期(推定初期)においては
高い次数の積分を行なった波形に基づく処理を行なうこ
とにより収束速度を高め、順次積分次数を低くすること
によりインパルス応答の推定精度を高め、最終的に全く
積分を行なっていない波形に基づく処理を行なうことに
より高精度にインパルス応答の推定を達成できる。
【0056】
【実施例3】図3はこの発明の物理量解析装置のさらに
他の実施例としての超音波探査装置の要部を示すブロッ
ク図であり、図2の音響探査装置と異なる点は、2段の
積分器7a,7bに代えて積分器7dおよび微分器7e
を設け、積分器7dにより得られた波形、積分器7d、
微分器7eの何れをも経由していない波形、微分器7e
により得られた波形を送信波選択器7cにより選択する
ようにした点、積分次数制御部9により送信波積分器7
の積分次数が受信波積分器8の積分次数よりも1だけ小
さくなるように各積分出力を選択する点およびインパル
ス応答演算部1 0,11,・・・1nに代えてステップ応
答演算部10s,11s,・・・1nsを設けた点のみであ
る。尚、ステップ応答演算部10s,11s,・・・1
nsは、パルス列出力部70,71,・・・7nにより出力
される各パルスのピーク値x0,x1,・・・xnを乗数
とし、推定すべきステップ応答(インパルス応答gj
(j-1),・・・g(j-n)の積分値)を被乗数とする演算
を行なうものである。
【0057】上記構成の超音波探査装置の作用は次のと
おりである。微分器7eを経由する出力点からdX
(t)/dt(−1次の積分波形)が、積分器7d、微
分器7eの何れをも経由しない出力点からX(t)が、
積分器7dを経由する出力点から数8がそれぞれ出力さ
れる。また、送信波X(t)とインパルス応答g(t)
と受信波Y(t)との間においてY(t)=X(t)*
g(t)の関係が成立するので、送信波X(t)を微分
し、インパルス応答g(t)を積分することにより数1
2が得られる。
【0058】
【数12】 また、両辺を1回積分することにより数13が得られ、
2回積分することにより数14が得られる。
【0059】
【数13】
【0060】
【数14】 数12から数14において数15がステップ応答であ
る。
【0061】
【数15】 したがって、先ず積分次数制御部9により送信波選択器
7cおよび受信波選択器8cを制御して積分器7dを経
由する出力点および2段の積分器8a,8bの下流点を
選択すればよく、受信波の2次の積分波形および送信波
の1次の積分波形に基づくステップ応答の補正処理を著
しく高速に達成できる。
【0062】但し、2次の積分波形および1次の積分波
形に基づいてステップ応答を補正した場合には、累積加
算値と受信波を2次積分した波形との差を十分には小さ
くできないが、差がほぼ安定するまでの所要時間を著し
く短縮できる。次いで、積分次数制御部9により送信波
選択器7cおよび受信波選択器8cを制御して積分器7
d、微分器7eの何れをも経由しない出力点および2段
の積分器8a,8bの中間点を選択すればよく、受信波
の1次の積分波形および送信波の0次の積分波形(送信
波形そのもの)に基づくステップ応答の補正処理を高速
に達成できるとともに、上記差をさらに小さくできる。
【0063】その後、積分次数制御部9により送信波選
択器7cおよび受信波選択器8cを制御して微分器7e
を経由する出力点および2段の積分器8a,8bの上流
点を選択すればよく、受信波の0次の積分波形(受信波
そのもの)および送信波の−1次の積分波形(送信波の
微分波形)に基づくステップ応答の補正処理を達成し、
上記差を著しく小さくできる。
【0064】以上の説明から明らかなように、ステップ
応答の補正初期(推定初期)においては高い次数の積分
を行なった波形に基づく処理を行なうことにより収束速
度を高め、順次積分次数を低くすることによりステップ
応答の推定精度を高め、最終的に全く積分を行なってい
ない受信波形および−1次の積分を行なった送信波形に
基づく処理を行なうことにより高精度にステップ応答の
推定を達成できる。
【0065】そして、インパルス応答は境界を検出でき
るだけであり、そのままでは物理源の有無を判別できな
いのであるが、ステップ応答は物理源の有無を判別でき
るので視覚化する場合の処理を簡素化できる。図4はこ
の実施例に基づくステップ応答推定の具体例を説明する
図であり、受信波の2次の積分波形を用いた処理を10
回行ない、受信波の1次の積分波形を用いた処理を90
回行なった結果を示している。尚、図4(A)がが推定
されたステップ応答と真のステップ応答を、図4(B)
が推定回数に対応する受信波と累積加算値との差(サン
プル1000個に対する絶対推定誤差)をそれぞれ示し
ている。
【0066】図5は受信波の2次の積分波形を用いた処
理のみを100回行なった場合を、図6は受信波の1次
の積分波形を用いた処理のみを100回行なった場合を
それぞれ示している。これら具体例から明らかなよう
に、受信波の2次の積分波形を用いた処理を行なうこと
により推定誤差の収束を高速化できるが、収束後は推定
誤差が殆ど変化しないのでステップ応答の推定精度が低
い。また、受信波の1次の積分波形を用いた処理を行な
った場合には、推定誤差の収束が遅く、100回の推定
回数では推定誤差が十分には小さくならないのでステッ
プ応答の推定精度が図5の場合よりも低くなる。これに
対して図4の場合には、図5の場合と同程度の高速収束
性を達成でき、その後、さらに推定誤差を減少させるべ
く推定処理が反復されるのであるから、推定精度の高精
度化をも達成できる。
【0067】
【実施例4】図7はこの発明の物理量解析装置のさらに
他の実施例としての磁場源解析装置を示すブロック図で
あり、図1の実施例と異なる点は、受波器Rに代えてN
個の磁場センサMSを設けた点、送波器Sに代えて測定
条件を出力する測定条件出力部MOを設けた点、インパ
ルス応答演算部10,11,・・・1nに代えて磁場算出
式に相当する処理を行なう磁場演算部1´0,1´1,・
・・1´nを設けた点、N個の磁場センサMSの何れか
による計測値を選択する選択部MPX1と対応する計測
条件を選択する選択部MPX2および両選択部MPX
1,MPX2を制御する制御部Cをさらに設けた点、送
信波積分器7、受信波積分器8に代えて空間積分を行な
う計測条件積分器7´、計測値積分器8´を設けた点お
よび補正された未知数を収集して出力する収集ユニット
100を設けた点のみである。但し、磁場演算部同士は
接続されていない。
【0068】したがって、この実施例の場合には、時間
積分に代えて空間積分を行なう点は図1の実施例と異な
るが、空間的に局在する計測値を積分方向に拡散させ、
存在範囲を拡大できるので、磁場源推定の収束を高速化
できる。尚、図7の実施例に対して、図1の実施例に対
する図2の実施例、図3の実施例と同様の変更を施すこ
とが可能であるほか、磁場源以外の物理源、例えば圧力
源、熱源、光源等のように線形加算性が成立する物理源
の解析に適用することが可能である。
【0069】尚、この発明は上記の実施例に限定される
ものではなく、例えば、各演算部に代えて所定の学習を
行なった比較的小規模の多入力1出力の階層型パーセプ
トロンを用いることが可能であるほか、この発明の要旨
を変更しない範囲内において種々の設計変更を施すこと
が可能である。
【0070】
【発明の効果】以上のように請求項1の発明は、積分前
において各物理源に起因する情報が時間的に局在してい
ても、積分処理を施すことにより、局在していた時刻よ
りも後の時刻においてこれらの情報を存在させ続け、補
正処理を行なった場合に実際に未知数が補正される確率
を高めて、物理源解析のための所要時間を大巾に短縮で
きるという特有の効果を奏する。
【0071】請求項2の発明は、積分前において各物理
源に起因する情報が空間的に局在していても、積分処理
を施すことにより、局在していた空間よりも積分方向に
後の空間においてこれらの情報を存在させ続け、補正処
理を行なった場合に実際に未知数が補正される確率を高
めて、物理源解析のための所要時間を大巾に短縮できる
という特有の効果を奏する。
【0072】請求項3の発明は、物理源解析の高速化お
よび高精度化を達成できるという特有の効果を奏する。
請求項4の発明は、物理源解析結果としてインパルス応
答を得ることができるという特有の効果を奏する。請求
項5の発明は、物理源解析結果としてステップ応答を得
ることができ、物理源の有無を簡単に識別できるととも
に、耐ノイズ性を高めることができるという特有の効果
を奏する。
【0073】請求項6の発明は、積分前において各物理
源に起因する情報が時間的に局在していても、積分処理
を施すことにより、局在していた時刻よりも後の時刻に
おいてこれらの情報を存在させ続け、補正処理を行なっ
た場合に実際に未知数が補正される確率を高めて、物理
源解析のための所要時間を大巾に短縮できるという特有
の効果を奏する。
【0074】請求項7の発明は、積分前において各物理
源に起因する情報が空間的に局在していても、積分処理
を施すことにより、局在していた空間よりも積分方向に
関して後の空間においてこれらの情報を存在させ続け、
補正処理を行なった場合に実際に未知数が補正される確
率を高めて、物理源解析のための所要時間を大巾に短縮
できるという特有の効果を奏する。
【0075】請求項8の発明は、物理源解析の高速化お
よび高精度化を達成できるという特有の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の物理源解析装置の一実施例としての
超音波探査装置を示すブロック図である。
【図2】この発明の物理源解析装置の他の実施例として
の超音波探査装置の要部を示すブロック図である。
【図3】この発明の物理量解析装置のさらに他の実施例
としての超音波探査装置の要部を示すブロック図であ
る。
【図4】図3の実施例に基づくステップ応答推定の具体
例を説明する図である。
【図5】ステップ応答推定の比較例を説明する図であ
る。
【図6】ステップ応答推定の比較例を説明する図であ
る。
【図7】この発明の物理量解析装置のさらに他の実施例
としての磁場源解析装置を示すブロック図である。
【図8】パルスエコー法の原理を説明する概略図であ
る。
【図9】反射波の強度の時間波形を観測するモードを説
明する概略図である。
【図10】1次元的に接触子を走査し閾値を設けて走査
方向と深さ方向の2次元像を観測するモードを説明する
概略図である。
【図11】走査を2次元的に行なって同じ深さの2次元
像を観測するモードを説明する概略図である。
【図12】従来方法による磁場源解析結果を示す図であ
る。
【図13】階層型パーセプトロンの構成を概略的に示す
図である。
【図14】階層型パーセプトロンにおける学習回数と誤
差との関係を示す図である。
【図15】階層型パーセプトロンにおける学習回数に対
応する個々のパターンに対する誤差と全体としての誤差
の変化を示す図である。
【図16】ホップフィールド・モデルを概略的に示す図
である。
【図17】本願発明者が考えた物理源解析装置を概略的
に示すブロック図である。
【符号の説明】
0,11,・・・1n インパルス応答演算部 10s,11s,・・・1ns ステップ応答演算部 1´0,1´1,・・・1´n 磁場演算部 10a,11a,・・・1na 補正部 2 畳み込み演算部 3 演算結果用差算出部 7
送信波積分器 7´ 計測条件積分器 8 受信波形積分器 8´
計測値積分器 9 積分次数制御部 100 収集ユニット

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 時間的に変化する複数の、観測される物
    理量の源となる入力情報に基づいて所定の処理結果を得
    る、少なくとも1つの未知数を含む処理結果出力手段を
    複数個並列に設けておくとともに、これらの処理結果出
    力手段に対して各入力情報を発生時刻以降も継続させる
    べく時間的に積分した状態で供給し、全ての処理結果出
    力手段からの出力情報を累積加算して、入力情報に基づ
    いて観測される物理量を発生時刻以降も継続させるべく
    時間的に積分して得た値との差を算出し、算出された差
    に基づいて、差が小さくなるように処理結果出力手段の
    未知数を補正して、差が十分に小さくなった時点におい
    て未知数の補正結果を物理源解析結果として出力するこ
    とを特徴とする物理源解析方法。
  2. 【請求項2】 空間的に変化する複数の、観測される物
    理量の源となる入力情報に基づいて所定の処理結果を得
    る、少なくとも1つの未知数を含む処理結果出力手段を
    複数個並列に設けておくとともに、これらの処理結果出
    力手段に対して各入力情報を発生箇所以降も継続させる
    べく空間的に積分した状態で供給し、全ての処理結果出
    力手段からの出力情報を累積加算して、入力情報に基づ
    いて観測される物理量を発生箇所以降も継続させるべく
    空間的に積分して得た値との差を算出し、算出された差
    に基づいて、差が小さくなるように処理結果出力手段の
    未知数を補正して、差が十分に小さくなった時点におい
    て未知数の補正結果を物理源解析結果として出力するこ
    とを特徴とする物理源解析方法。
  3. 【請求項3】 各入力情報および入力情報に基づいて観
    測される物理量の積分次数が変更可能であり、積分次数
    を高く設定した状態に基づく未知数の補正処理を行った
    後、積分次数を低く設定した状態に基づく未知数の補正
    を行う請求項1または請求項2に記載の物理源解析方
    法。
  4. 【請求項4】 各入力情報および入力情報に基づいて観
    測される物理量の積分次数を互いに等しく設定する請求
    項1から請求項3の何れかに記載の物理源解析方法。
  5. 【請求項5】 入力情報に基づいて観測される物理量の
    積分次数を各入力情報の積分次数よりも1だけ大きく設
    定する請求項1から請求項3の何れかに記載の物理源解
    析方法。
  6. 【請求項6】 時間的に変化する複数の、観測される物
    理量の源となる入力情報に基づいて所定の処理結果を得
    る、少なくとも1つの未知数を含む複数個の処理結果出
    力手段と、全ての処理結果出力手段からの出力情報を累
    積加算する累積加算手段と、入力情報に基づいて観測さ
    れる物理量を時間的に積分した値と累積加算手段により
    得られた累積加算値との差を算出する差算出手段と、算
    出された差に基づいて、差が小さくなるように処理結果
    出力手段の未知数を補正する補正手段と、差が十分に小
    さくなった時点において未知数の補正結果を物理源解析
    結果として出力する補正結果出力手段と、各入力情報を
    発生時刻以降も継続させるべく時間的に積分した状態で
    処理結果出力手段に供給する第1積分手段と、入力情報
    に基づいて観測される物理量を発生時刻以降も継続させ
    るべく時間的に積分して差算出手段に供給する第2積分
    手段とを含むことを特徴とする物理源解析装置。
  7. 【請求項7】 空間的に変化する複数の、観測される物
    理量の源となる入力情報に基づいて所定の処理結果を得
    る、少なくとも1つの未知数を含む複数個の処理結果出
    力手段と、全ての処理結果出力手段からの出力情報を累
    積加算する累積加算手段と、入力情報に基づいて観測さ
    れる物理量を空間的に積分した値と累積加算手段により
    得られた累積加算値との差を算出する差算出手段と、算
    出された差に基づいて、差が小さくなるように処理結果
    出力手段の未知数を補正する補正手段と、差が十分に小
    さくなった時点において未知数の補正結果を物理源解析
    結果として出力する補正結果出力手段と、各入力情報を
    発生箇所以降も継続させるべく空間的に積分した状態で
    処理結果出力手段に供給する第1積分手段と、入力情報
    に基づいて観測される物理量を発生箇所以降も継続させ
    るべく空間的に積分して差算出手段に供給する第2積分
    手段とを含むことを特徴とする物理源解析装置。
  8. 【請求項8】 第1積分手段および第2積分手段が積分
    次数を変更可能なものであり、積分次数を高く設定した
    状態に基づく未知数の補正処理を行った後、積分次数を
    低く設定した状態に基づく未知数の補正を行うべく両積
    分手段の積分次数を制御する積分次数制御手段をさらに
    含む請求項6または請求項7に記載の物理源解析装置。
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