JP2949230B1 - フタロシアニンラジカルアニオン - Google Patents

フタロシアニンラジカルアニオン

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JP2949230B1 JP27162798A JP27162798A JP2949230B1 JP 2949230 B1 JP2949230 B1 JP 2949230B1 JP 27162798 A JP27162798 A JP 27162798A JP 27162798 A JP27162798 A JP 27162798A JP 2949230 B1 JP2949230 B1 JP 2949230B1
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宏明 砂金
豊 加賀屋
ハサン ザヒール モハメド
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Abstract

【要約】 【課題】 大気中において安定なフタロシアニンラジカ
ルアニオンを提供する。 【解決手段】 ジハロゲン(フタロシアニナト)アンチ
モン(V)陽イオンの塩が一電子還元されてなる、大気
中において安定なフタロシアニンラジカルアニオンとす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、フタロシ
アニンラジカルアニオンに関するものである。さらに詳
しくはこの出願の発明は、n型半導体等の電子デバイス
や光機能材料等として有用な、大気中において安定な、
新しいフタロシアニンラジカルアニオンに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来より金属フタロシアニン
はP型半導体性を示す物質として知られており、有機半
導体の技術展開の観点において注目されている物質であ
る。有機半導体については、化合物の多様性、修飾の容
易さ、低コスト性、加工の容易性等で潜在的に利点を有
することから古くから研究されてきており、特にフタロ
シアニンはもともと高い光電導性を有すること、塗布と
蒸着が可能で作成の多様性があることの他、有機物中で
も最高の光に対する堅牢さを有しているために研究報告
は数多くなされている。しかしながらたとえば有機材料
を用いた太陽電池は信頼性が評価の対象となるほど初期
性能が高くないことに見られるように、フタロシアニン
系有機材料についても実用的な展望が拓かれていないの
が実情である。このようなことは、これまでに安定なp
型のフタロシアニン半導体は数多く知られているのに対
し、安定なn型のフタロシアニン半導体が得られなかっ
たことにもよっている。
【0003】このような技術的制約を克服するものとし
て、過剰電子がキャリアとなってn型半導体を構成する
ことが期待されているフタロシアニンのラジカルアニオ
ンがある。だが、フタロシアニンラジカルアニオンはこ
れまでにも知られているものであり、その性質について
も検討されてきているが、いずれもこれまでのものは極
めて不安定であって、空気酸化によって直ちに元のフタ
ロシアニンに戻ってしまうという問題があった。このた
め、その実用的な技術展開は極めて困難であると考えら
れていた。
【0004】そこでこの出願の発明は、以上のような従
来技術の問題点を解消し、n型半導体等としての展開が
期待されるフタロシアニンラジカルアニオンを大気中に
おいても安定に存在するものとして新たに提供すること
を課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、以上
のとおりの課題を解決するものとして、ジハロゲン(フ
タロシアニナト)アンチモン(V)陽イオンの塩が一電
子還元されてなる、大気中において安定なフタロシアニ
ンラジカルアニオンを提供する。すなわち、この出願の
発明は、発明者らが、フタロシアニンとアンチモンの錯
体であるジクロロ(フタロシアニン)アンチモン(V)
陽イオンの塩を有機溶媒中で化学的または電気化学的に
還元することにより、空気酸化に対して安定なフタロシ
アニンのラジカルアニオンを固体として取り出したこと
を契機として完成されている。一般にフタロシアニンの
ラジカルアニオンは空気酸化に対して極めて不安定であ
り、痕跡量の酸素や水と反応して元のフタロシアニンへ
と戻るために固体として取り出すことが困難であるが、
この出願の発明が提供するラジカルアニオンは大気中で
取り扱えるほど十分安定である。
【0006】フタロシアニンは代表的な有機半導体であ
るが、これまでp型半導体だけが知られているにすぎな
い。このような状況において、この発明の物質は、ホー
ルではなく過剰電子がキャリアとなるので、n型半導体
としての用途が期待される。
【0007】
【発明の実施の形態】この出願の発明は以上のとおりの
特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態につい
て説明する。まずこの発明においてフタロシアニンラジ
カルアニオンが一電子還元によって形成されるジハロゲ
ン(フタロシアニナト)アンチモン(V)陽イオンは、
たとえば次式
【0008】
【化1】
【0009】として示されるものであって、式中のXは
ハロゲン原子を示している。そしてこの式において示さ
れているフタロシアニン環は、一電子還元を阻害するこ
となしに安定なラジカルアニオンを形成することができ
るのであれば任意の有機基、たとえば炭化水素基やアル
コキシ基等を結合していてもよい。一電子還元は化学的
に、あるいは電気化学的に行うことができる。たとえば
前記の陽イオンの塩、より具体的にはヘキサクロロアン
チモン(V)酸塩や過塩素酸塩等としてのものをジクロ
ロメタン等の有機溶媒に溶解して電解還元することによ
りこの発明のラジカルアニオンが製造される。あるい
は、金属銀等を用いた化学的還元によって製造すること
ができる。ただ、いずれの方法においても、前記式のよ
うに、アンチモン(Sb)のフタロシアニン化合物でな
ければ、ラジカルアニオンは大気中において安定に存在
することは難しいのであって、アンチモン(Sb)は欠
くことのできない元素である。
【0010】そこで以下に、製造実施例を示し、さらに
詳しくこの発明について説明する。
【0011】
【実施例】ジクロロ(フタロシアニナト)アンチモン
(V)陽イオンのヘキサクロロアンチモン(V)酸塩2
0mgを、170mgの電解質(テトラブチルアンモニ
ウム過塩素酸塩)溶かしたジクロロメタン100mlに
溶解し(濃度約1×10-4mol/l)−200mV
(出発原料の第一還元電位の200mV負電位側)で電
解すると、溶液の色は明るい黄緑色から徐々に青紫へと
変化し、30分後には青色のジクロロ(フタロシアニナ
ト)アンチモン(V)ラジカルアニオンの析出が起こ
る。析出した固体をろ過し、少量のジクロロメタンで洗
浄し、アルゴンで満たしたデシケーター中で乾燥する。
収量8mg。得られた固体が目的とするラジカルアニオ
ンであることは、電子吸収スペクトルおよび電子スピン
共鳴スペクトルで確認し、脱金属(副反応)生成物であ
る無金属フタロシアニンの混入が無視できることは赤外
線吸収スペクトルで確認した。
【0012】またラジカルアニオンの生成はヘキサクロ
ロアンチモン(V)酸塩に限らず、過塩素酸塩、四フッ
化ホウ酸塩、および六フッ化リン酸塩を用いても同様に
起こった。この物質が安定であることは、得られた固体
を一ヶ月後に再びジクロロメタンに溶解しても、生成時
と同じ電子吸収スペクトルを示す事から確認された。
【0013】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この出願の
発明によって、n型半導体等としての展開が期待される
フタロシアニンラジカルアニオンを大気中においても安
定に存在するものとして新たに提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07D 487/22 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジハロゲン(フタロシアニナト)アンチ
    モン(V)陽イオンの塩が一電子還元されてなる、大気
    中において安定なフタロシアニンラジカルアニオン。
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