JP2947899B2 - 火薬ガス発生器の安全装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、火薬ガス発生器が火災により熱爆発を引き
起こすのを防ぐ安全装置に関する。

［従来の技術］ 航空用、宇宙用又は緊急用に用いられる気体源として
は、重量の重いガスボンベを用いることはできず、軽量
で多量の気体を発生する火薬ガス発生器が用いられてい
る。火薬ガス発生器は、圧力容器中にニトロセルロース
系、硝酸塩系、アジ化物系及びテトラゾール系等の固体
火薬がガス発生源として充填されており、更にこれらの
火薬を着火させるための点火器が装着されている。多量
のガスが必要となると、信号により電気又は機械的に点
火器を発火させ、前記火薬を着火させることによりオリ
フィス管から多量のガスを噴出させて目的を達してい
た。

［発明が解決しようとする課題］ 固体の火薬を圧力容器に装着している火薬ガス発生器
は、少量の容積でしかも軽量であり、火薬を燃焼させれ
ば多量のガスを発生する利点はあるが、一方火災が発生
した場合は圧力容器の外周の壁から加熱されるために、
圧力容器内の火薬の外表面は温度が上昇し、発火点に達
すると、一挙に熱爆発を起こし、その結果圧力容器を破
壊し、大災害を引き起す恐れがあり、火災時の安全性向
上が望まれていた。

本発明は、火災が起こっても、熱爆発が引き起こされ
るのを防止することが可能である火薬ガス発生器の安全
装置を提供することを目的としている。

［課題を解決するための手段］ 本発明者は火薬ガス発生器が、火災により熱爆発を引
き起こすのはガスを発生させるための火薬が点火器によ
って正常に着火される以前に外周からの熱により火薬自
体の温度が上昇し、発火点に到達した結果、爆発する現
象であるから、仮に火災に遭遇したとしても、最初に必
ず点火器から発火すれば、ガス発生火薬は爆発すること
なく、正常に燃焼を終了できる点に着目し、火災を感知
したら直ちにガス発生器の点火器を発火させ得る機構を
検討した。しかし、温度感知センサーを動作させるにも
また点火器を動作させるにも新たに動力源を必要とし、
かつ複雑な電子回路を必要とするので、重量、容積、価
格及び信頼性に問題が残る。

本発明者は種々検討の結果、温度センサーとしての機
能と出力源の能力とを有する熱発電素子を利用すること
により、これらの問題が解決できることを見い出し本発
明を完成するに到った。即ち本発明は火薬ガス発生器に
熱発電素子を設置し、該火薬ガス発生器の点火用電気雷
管端子と該熱発電素子の電力端子とを脚線で接続したこ
とを特徴とする火薬ガス発生器の安全装置に係るもので
ある。本発明によれば素子に温度差が生じると、電力を
発生するというゼーベック効果を利用した熱発電素子を
ガス発生器に配置し、これを点火用電気雷管端子と接続
しておき、火災による温度上昇で熱発電素子が発生した
電力を直接点火器の電気雷管に供給して点火器を作動さ
せ、ガス発生火薬を着火させることにより、この火薬の
爆発を防止することができる。

［実施例］ 以下本発明の実施例を第１図によって説明するが、本
発明は実施例によって制限されるものではない。第１図
に外装型ガスサーボ装置に本発明の安全装置を取付けた
例を示す。以下に、この安全装置の機構を説明する。ト
ルクモーター１はガス発生装置13から発生するガスによ
って作動する。作動開始信号電力を信号電力供給部７か
ら脚線６を通して点火器４の電気雷管端子５から供給す
ると、点火薬が発火し、この発火熱によってガス発生器
13の内部に充填されているガス発生用火薬11が着火し
て、ガスの発生が開始される。発生したガスが火薬表面
12から導管２を通じてトルクモーター１内に流入するこ
とにより、トルクが発生する。第１図に於ては熱発電素
子10はガス発生器13の表面に設置してあり、発生電力は
端子９から脚線８及び６を経由して点火器用電気雷管端
子５に供給される。熱発電素子の設置場所は必ずしもガ
ス発生器に接触させる必要はなく、火薬ガス発生器を具
備するシステムが火災に遭遇した場合に、急激な温度上
昇を引き起こす場所であるならばどこでも良い。

次に本発明の火薬ガス発生器の安全装置の作動につい
て説明する。第１図に於いて、温度差100℃において２
ワットの出力を有する寸法1cm×1cmのビスマス−テルル
系熱発電素子10を用いた。又比較装置として、安全装置
が設置されていないが、その他は同じ構造である火薬ガ
ス発生器を用いた。油皿中の高さ1mの架台に上記両火薬
ガス発生装置をそれぞれ固定し、油皿中に10の灯油を
流し込んだ後、灯油に着火させることにより、火災試験
（クックオフテスト）を行った。灯油に着火後15秒で本
発明による火薬ガス発生器は自動的にトルクモーター１
が作動し始め、作動後20秒間正常に作動を続けた後、正
常に作動を終了した。一方、比較火薬ガス発生器は、灯
油に着火後２分30秒で大爆発を引き起こし、ガス発生器
は粉々に壊れ、少片となり飛び散った。灯油が燃焼を終
了した後、本発明による火薬ガス発生器を調べると、前
記火薬ガス発生器のどの部分も変形しておらず、着火試
験前と比べて、この発生器の状態は同じであった。

［発明の効果］ 本発明による火薬ガス発生器は、熱発電素子を用いた
安全装置により火災に遭遇すると正常な作動信号が来な
くても、熱発電素子から電気雷管に電力が供給されるこ
とにより、火薬は正常に燃焼を終えることができるの
で、熱爆発を引き起すことがなく、安全である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明による安全装置を設けた外装型火薬ガ
ス発生器の概略図である。 １……トルクモーター ２……導管 ３……点火薬 ４……点火器 ５……電気雷管端子 ６……脚線 ７……信号電力供給部 ８……脚線 ９……端子 10……熱発電素子 11……ガス発生用火薬 12……火薬表面 13……ガス発生装置

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】火薬ガス発生器に熱発電素子を設置し、該
   火薬ガス発生器の点火用電気雷管端子と該熱発電素子の
   電力端子とを脚線で接続したことを特徴とする火薬ガス
   発生器の安全装置。