JP2938173B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、高集積度IC封止用樹脂組成物に適する半田
耐熱性及び成形性に優れたエポキシ樹脂組成物に関する
ものである。
〔従来の技術〕
従来、ダイオード、トランジスタ、集積回路等の電子
部品を熱硬化性樹脂で封止しているが、特に集積回路で
は耐熱性、耐湿性に優れた0−クレゾールノボラックエ
ポキシ樹脂をノボラック型フェノール樹脂で硬化させた
エポキシ樹脂が用いられている。
ところが近年、集積回路の高集積化に伴いチップがだ
んだん大型化し、かつパッケージは従来のDIPタイプか
ら表面実装化された小型、薄型のフラットパッケージ、
SOP、SOJ、PLCCに変わってきている。
即ち大型チップを小型で薄いパッケージに封入するこ
とになり、応力によりクラック発生、これらのクラック
による耐湿性の低下等の問題が大きくクローズアップさ
れてきている。
特に半田づけの工程において急激に200℃以上の高温
にさらされることによりパッケージの割れや樹脂とチッ
プの剥離により耐湿性が劣化してしまうといった問題点
がでてきている。
これらの大型チップを封止するのに適した、信頼性の
高い封止樹脂用組成物の開発が望まれてきている。
これらの問題を解決するために半田付け時の熱衝撃を
緩和する目的で、熱可塑性オリゴマーの添加(特開昭62
−115849号公報)や各種シリコーン化合物の添加(特開
昭62−11585号公報、62−116654号公報、62−128162号
公報)、更にはシリコーン変性(特開昭62−136860号公
報)などの手法で対処しているがいずれも半田付け時に
パッケージにクラックが生じてしまい信頼性の優れた半
導体封止用エポキシ樹脂組成物を得るまでには至らなか
った。
半田付け時の熱衝撃にも耐えうる高いTgを有する化合
物としてさかんに研究されているものの中に、多官能エ
ポキシの使用(特開昭61−168620)やビスマレイミド化
合物の適用(特開昭62−195015)があげられる。
しかし前者はTgが半田付け温度より低いため十分な効
果が得られないし、後者は十分高いTgを有しているが成
形作業性が非常に悪く、商品になりにくいという欠点が
あった。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的とするところは、半田耐熱性と成形性の
いずれも優れた半導体封止用エポキシ樹脂組成物を提供
することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、これらの問題を解決するために鋭意研
究を進め、次の組成を有する樹脂組成物を見出した。
エポキシ樹脂に下記構造を有するフェノールノボラッ
ク硬化剤を配合し、 更に、エポキシ樹脂と硬化剤の合計を100重量部とし
た時、5〜300重量部となるマレイミド化合物を配合
し、 更に硬化促進剤と無機充填材を配合し、上記問題点を
改良しうる半導体封止用樹脂組成物が得られることを見
出し、本発明を完成するに至ったものである。
(作 用) 本発明において用いられる(A)成分としてのエポキ
シ樹脂は、1分子中に2ケ以上のエポキシ基を有するも
の全般をいう。例えばビスフェノール型エポキシ樹脂、
ビフェニル型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂
あるいはこれらの変性物を示す。これらのエポキシ樹脂
において、Na+、Cl-等のイオン性不純物ができるだけ少
ないものが望ましい。
本発明で用いられる(B)成分としてのイミド環含有
フェノールノボラック硬化剤は、従来の硬化剤と比較し
てTg及び破断伸びや破断強度、更に金属への密着性を大
幅に向上させうるため、半田耐熱性を向上させうる。こ
れらの効果は、分子構造に起因する平面構造により分子
同志のパッキングが良くなることと、N,O原子に起因す
る極性のために、分子平面に垂直方向のインタラクショ
ンが増大し結果としてTgが向上する。
又、イミド環の部分でゆるく架橋した構造になること
から、分子鎖のすべりが生じやすく、そのため大きなス
トレス等をうけても容易に応力緩和し、破断伸びや破断
強度の高いタフネスに優れた樹脂組成物となる。
又、イミド環の極性構造のために従来の系に比べ、金
属のインサートとの密着性が増大する。これらの特徴
は、従来のエポキシ樹脂系でのものであるが、本発明の
ようにマレイミド化合物と併用する場合は、更にマレイ
ミド化合物との相溶性、反応性が向上することも大きな
特徴としてあげられる。従来、エポキシ樹脂とマレイミ
ド化合物とを機械的に十分混合させることはできなかっ
た。それは両者がもともと溶解しにくいためであり、更
に重合反応機構、重合反応速度が異なることにより非溶
性が大きく増大することによる。しかし本発明の(B)
成分として、イミド環含有フェノールノボラック硬化剤
を用いることにより相溶性が大きく向上し、又、フェノ
ールノボラックに含有されるイミド環の種類によって
は、ビスマレイミド樹脂との高い反応性を有するため分
子分散構造にかなり近づくことが動的粘弾性測定等によ
り判明している。エポキシ樹脂マレイミド化合物の相溶
性が向上することにより、成形性(硬化性、金型汚れ
性、ウスバリ性)や機械的強度などが向上し、良好な樹
脂系が得られることが知られている。
式〔I〕で示される構造のフェノール樹脂の使用量は
総硬化剤量中の30〜100重量%であることが望ましい。3
0重量%未満の場合、マレイミド化合物との相溶性が低
下し、半田耐熱性、成形性、耐湿性いずれも低下する。
式〔I〕で示される構造のフェノール樹脂と併用する
硬化剤としては、エポキシ樹脂と反応するものであれば
良く、一般にフェノールノボラック樹脂、クレゾールノ
ボラック樹脂、酸無水物、アミン系硬化剤等挙げること
ができる。
なお、n/1+m+nの範囲は0.05以上0.8以下が望まし
い。0.05未満のときは硬化剤中に含有されるイミド環の
数が少なすぎ上記の性能向上がみられない。0.8より大
きいときは硬化剤の水酸基当量が大きくなりすぎ樹脂硬
化性が低下するのに加え、吸水性があがり耐湿性も低下
する。
本発明の(C)成分としてのマレイミド化合物は、樹
脂組成物のTg強度を向上させ、半田耐熱性を向上させる
効果を有する。見ようによっては、分子状に分散しうる
有機フィラーと見てもよい。ここでいうマレイミド化合
物とは、マレイミド基を有するもの全般をいう。例えば
N,N′−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N′−ジフ
ェニルエーテルビスマレイミド、N,N′−フェニルビス
マレイミド等のことをいう。マレイミド化合物の使用量
は、エポキシ樹脂と硬化剤の合計量を100重量部とした
場合、5〜300重量部が望ましい。5重量部未満の場
合、Tgや強度不足のために半田耐熱性が低下する。300
重量部より大きい時は、成形性とじん性が低下する。
なお、マレイミド化合物は融点が100℃以上のものが
大半であり、混練作業を行うのに多少不都合である。そ
こで、混練作業を行う前に予めエポキシ樹脂又はイミド
環含有フェノールノボラック硬化剤又はフェノールノボ
ラック硬化剤等と溶融混合させて軟化点を70〜100℃程
度に低下させておくと作業性が向上する。
本発明の(D)成分としての硬化促進剤は、エポキシ
基とフェノール性水酸基との反応や、マレイミド基に含
まれる二重結合を重合促進するものであれば良い。例え
ばBDMA等の3級アミン類、イミダゾール類、1,8−ジア
ザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン−7(DBU)、トリフェ
ニルホスフィン等の有機リン化合物などはエポキシ基に
もマレイミド基にも反応性を有する硬化促進剤として用
いられる。ジクミルパーオキサイド(DCP)等過酸化物
はマレイミド基にのみ作用する硬化促進剤として作用す
る。
これらの硬化促進剤は、単独もしくは2種以上混合し
て用いられる。
本発明の(E)成分としての無機充填材としては結晶
性シリカ、溶融シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、タ
ルク、マイカ、ガラス繊維等ガ挙げられ、これらは1種
又は2種以上混合して使用される。これらの中で特に結
晶性シリカまたは溶融シリカが好適に用いられる。
その他必要に応じてワックス類等の離型剤、ヘキサブ
ロムベンゼン、デカブロムブフェニルエーテル、三酸化
アンチモン等の難燃剤、カーボンブラック、ベンガラ等
の着色剤、シランカップリング剤その他熱可塑性等を適
宜添加配合することができる。
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物を製造する
には一般的な方法としては、所定の配合比の原料をミキ
サー等によって十分に混合した後、更にロールやニーダ
ー等により溶融混練処理し、次いで冷却固化させて適当
な大きさに粉砕することにより容易に製造することが出
来る。
〔実施例〕
実施例で本発明を以下に説明する。配合割合は重量部
とする。
実施例1 0−クレゾールノボラックエポキシ樹脂 (軟化点70℃、エポキシ当量200) 50重量部 臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂 (軟化点65℃、臭素含有率37%、 エポキシ当量370) 10重量部 イミド環含有フェノールノボラック樹脂(イ) 40重量部 N,N−ジフェニルメタンビスマレイミド 50重量部 トリフェニルホスフィン 3重量部 破砕状溶融シリカ 340重量部 三酸化アンチモン 10重量部 シランカップリング剤 2重量部 カーボンブラック 3重量部 カルナバワックス 3重量部 を常温で十分に混合し、更に95〜100℃で2軸ロールに
より混練し、冷却後粉砕して成形材料とし、これをタブ
レット化して半導体封止用エポキシ樹脂組成物を得た。
この材料をトランスファー成形機(成形条件:金型温
度175℃、硬化時間2分)を用いて成形し、得られた成
形品を175℃、8時間で後硬化し評価した。結果を第1
表に示す。
実施例2 実施例1の0−クレゾールノボラックエポキシ樹脂を
エポキシ樹脂(イ)に変更し、イミド環含有フェノール
ノボラック(イ)をイミド環含有フェノールノボラック
(ロ)に変更し、N,N′−ジフェニルメタンビスマレイ
ミドをN,N′−ジフェニルエーテルビスマレイミドに変
更し、トリフェニルホスフィンをDBUに変更した以外は
実施例1と同様にして半導体封止用エポキシ樹脂組成物
を得た。
この半導体封止用エポキシ樹脂組成物の評価結果を第
1表に示す。
実施例3〜4、比較例1〜4 同様にして第1表に示す組成物の半導体封止用エポキ
シ樹脂組成物を得た。
この半導体封止用エポキシ樹脂組成物の評価結果を第
1表に示す。
*1 下記式〔II〕で示されるビフェニル型エポキシ樹
脂(エポキシ当量180) *2 下記式〔III〕で示されるイミド環含有フェノー
ルノボラック硬化剤(軟化点120℃、OH当量150) *3 下記式〔IV〕で示されるイミド環含有フェノール
ノボラック硬化剤(軟化点120℃、OH当量150) *4 下記式〔V〕で示されるイミド環含有フェノール
ノボラック硬化剤(軟化点125℃、OH当量1300) *5 190℃で2分成形後、金型が開いた直後の成形品
のバコール硬度 *6 成形500ショット後の金型汚れの状態を目視で評
価。
*7 テンシロン曲げ強さ測定装置を用い、250℃、負
荷速度10mm/minで測定。スパン64mm、幅10mm、厚み4mm
の3点曲げ。
*8 成形品(チップサイズ36mm2、パッケージ厚2mm)
20ケについて、85℃、85%RHの水蒸気下で72時間処理
後、240℃のIRリフロー処理を行いクラックの発生した
個数を示す。
*9 成形品(チップサイズ36mm2、パッケージ厚2mm)
20ケについて、215℃のVPS処理を行った後、125℃、100
%RHの水蒸気下で500時間処理を行い、ICチップの故障
が生じた個数を示す。
〔発明の効果〕
本発明のエポキシ樹脂、イミド環含有フェノールノボ
ラック硬化剤、マレイミド化合物、硬化促進剤、無機充
填剤を必須成分とする半導体封止用樹脂組成物は、半田
耐熱性、耐湿性及び成形性に優れており、高集積度IC封
止用樹脂組成物として非常に信頼性の高いものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01L 23/31 (56)参考文献 特開 平1−266124(JP,A) 特開 昭56−86926(JP,A) 特開 平4−153213(JP,A) 特開 平4−227624(JP,A) 特開 平2−132114(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08G 59/62 C08G 59/40 C08L 63/00 - 63/10 H01L 23/29

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)エポキシ樹脂 (B)下記式〔I〕で示されるフェノールノボラック系
    硬化剤 を総硬化剤量に対して30〜100重量%含むフェノールノ
    ボラック系硬化剤。 (C)エポキシ樹脂と硬化剤の合計量を100重量部とし
    た場合、5〜300重量部となるマレイミド化合物 (D)硬化促進剤 (E)無機充填材 を必須成分とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
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