JP2934721B2 - 蓄冷蓄熱媒体組成物 - Google Patents

蓄冷蓄熱媒体組成物

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JP2934721B2 JP7221461A JP22146195A JP2934721B2 JP 2934721 B2 JP2934721 B2 JP 2934721B2 JP 7221461 A JP7221461 A JP 7221461A JP 22146195 A JP22146195 A JP 22146195A JP 2934721 B2 JP2934721 B2 JP 2934721B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高級脂肪酸の塩を
少なくとも一種以上含有しかつ水も含有する新規な蓄冷
蓄熱媒体組成物に関するものであり、より詳しくは、前
記蓄冷蓄熱媒体組成物に含まれる高級脂肪酸の塩の種類
とその含有割合によって実質的に決定される所定温度範
囲内で半固状又は固状であり、該所定温度範囲以下に冷
却した際に液状となる従来には見られない特性を有する
蓄冷蓄熱媒体組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】蓄冷蓄熱媒体を用いる蓄冷蓄熱方式とし
ては、従来、顕熱の出入りを利用する顕熱蓄冷蓄熱方式
と、物質の相転移に伴う潜熱の出入りを利用する潜熱蓄
冷蓄熱方式とが知られている。
【0003】顕熱蓄冷蓄熱方式に一般に用いられてきた
蓄冷蓄熱媒体は、その比熱が大きくしかも容易に入手で
きかつ安全性に優れているので、水がその中心となって
いる。
【0004】一方、潜熱蓄冷蓄熱方式としては、液相・
気相間の相転移に伴う気化熱を利用する方式と、固相・
液相の相転移に伴う融解熱を利用する方式とがあるが、
一般には、体積変化が少なくて取り扱いが比較的やさし
く、しかもかなりの熱量を蓄冷蓄熱することができるの
で、固相・液相の相転移に伴う融解熱を利用した潜熱蓄
冷蓄熱方式が利用されている。すなわち、物質を溶融さ
せて熱を蓄積し、逆に凝固(結晶化)させて熱を放出す
るか、又は物質を凝固(結晶化)させて放熱し、逆に溶
融させて熱を吸収するという方式である。
【0005】潜熱蓄冷蓄熱方式に使用される潜熱蓄冷蓄
熱剤としては、C14パラフィンやC16パラフィンなど
に代表されるn−パラフィン系化合物、および高密度ポ
リエチレンや架橋高密度ポリエチレンなどに代表される
n−パラフィンの誘導体、Na2SO4・10H2
や、CaCl2・6H2O、あるいはNaCH3COO・
3H2Oなどに代表される塩水和物、(C494NC
HO2・32H2Oや(C494NCH3CO2・32H2
O、あるいはSO2・6H2Oなどに代表される包接化合
物、が知られている。
【0006】n−パラフィンは炭素数の増加とともに融
点および融解熱が増加する。近時、高密度ポリエチレン
と同等の熱特性をもち、融点をすぎても形状を保ち相互
融着を起こさない架橋高密度ポリエチレンが得られてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
顕熱蓄冷蓄熱方式にあっては、所望する一定温度におい
て持続的な蓄熱又は放熱をすることができないという問
題があり、また潜熱蓄冷蓄熱方式のうち、液相・気相の
相転移に伴う気化熱を利用する方式にあっては、液相・
気相間での体積変化が極めて大きく、取り扱い難いとい
う不具合があった。
【0008】つぎに、塩水和物は、単位体積当りの溶融
熱や比熱と熱伝導の点でパラフィン系化合物にまさる
が、大なり小なり過冷却現象を示すとともに相分離がお
き、かかる過冷却と相分離は潜熱の円滑な取出を妨げ、
また蓄熱量を次第に低下させる原因となるという不都合
があり、また、包接化合物も過冷却現象を示すという不
具合があった。
【0009】本発明の目的は、水よりも温め難くかつ水
よりも冷め難い蓄冷蓄熱媒体組成物を提供することであ
り、また、複数の所定温度において固相・液相間の相転
移に基づく潜熱の蓄熱と放熱ができる蓄冷蓄熱媒体組成
物を開発することは本発明のまた他の目的でもある。
【0010】上記した従来の潜熱蓄冷蓄熱剤を含め、複
数の所定温度において固相・液相間の相転移を起こすと
いう新規な特性を有する化合物の単独や蓄冷蓄熱媒体組
成物は知られていない。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高級脂肪
酸塩から選ばれた1種又はこれら2種以上が全体の15
〜40重量%の割合で含有されかつ水も含有された組成
物が、高級脂肪酸塩の種類とこれらの含有量によって実
質的に決まる所定の温度範囲で半固状又は固状となり、
該所定の温度範囲以下にこれらを冷却するとその流動性
が増強される(軟化、液状化する)ことを見い出した。
そして、当該組成物にあっては、固相・液相間の相転移
が起きる前記所定の温度範囲の上限と下限のそれぞれの
温度付近において蓄熱又は放熱ができることを見い出
し、本発明を完成したものである。
【0012】すなわち、請求項1の発明は、「炭素数が
8〜20の高級脂肪酸の塩を少なくとも一種以上含有し
かつ水も含有する蓄冷蓄熱媒体組成物において、前記高
級脂肪酸の塩の含有割合が、前記蓄冷蓄熱媒体組成物の
全体あたり15〜40重量%であって、 前記蓄冷蓄熱媒
体組成物に含まれる前記高級脂肪酸の塩の種類とその含
有割合によって実質的に決定される所定の温度範囲内で
半固相又は固相の形状を示し、該所定の温度範囲以下に
これを冷却すると半固相又は固相の状態から液相に相転
移する(流動性が増し液状となる)」処に特徴を有する
新規な特性を具有する蓄冷蓄熱媒体組成物あって、しか
も水よりも温め難くかつ水よりも冷め難い蓄冷蓄熱媒体
組成物を、その要旨とするものである。
【0013】請求項2の発明は、「前記高級脂肪酸の塩
は当該高級脂肪酸のアルカリ金属塩である」処に特徴を
有する請求項1記載の蓄冷蓄熱媒体組成物を、その要旨
とするものである。
【0014】請求項3の発明は、「前記高級脂肪酸のア
ルカリ金属塩は当該高級脂肪酸のカリウム塩である」処
に特徴を有する請求項2記載の蓄冷蓄熱媒体組成物を、
その要旨とするものである。
【0015】
【0016】
【0017】
【発明の実施の形態】本発明に係る蓄冷蓄熱媒体組成物
は、脱イオン蒸留水に、市販の炭素数8〜20の高級脂
肪酸のカリウム塩を所定量添加して、約80℃に温め、
緩く攪拌しながら溶解した後、脱イオン蒸留水を加えて
終濃度を合わせればよく、特殊な器材や装置を必要とす
ることなくきわめて容易に作製することができる。
【0018】また、本発明に係る蓄冷蓄熱媒体組成物
は、脱イオン蒸留水に所定の量の所定の高級脂肪酸を添
加して約80℃に温めて溶解、緩く攪拌しながら水酸化
カリウム水溶液(好適には50重量%)の等モル計算量
を滴加してこれを中和した後、脱イオン蒸留水を加えて
その全量を所定量にまでメスアップすることにより、作
製することもできる。
【0019】本発明に用いられる高級脂肪酸の塩は、構
成炭素数又はその塩の種類に関係なくいずれも使用でき
るが、そのうち特に好ましいものは炭素数が8〜20の
高級脂肪酸のカリウム塩であり、かかる高級脂肪酸のカ
リウム塩としては、カプリル酸カリウム、カプリン酸カ
リウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、
パルミチン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、アラキ
ジン酸カリウムに代表される飽和直鎖脂肪酸のカリウム
塩、ミリストオレイン酸カリウム、パルミトオレイン酸
カリウム、オレイン酸カリウム、エライジン酸カリウ
ム、エイコセン酸カリウム、リノール酸カリウム、リノ
レン酸カリウム、エイコサジエン酸カリウム、エイコサ
トリエン酸カリウム、アラキドン酸カリウム等に代表さ
れる不飽和直鎖脂肪酸のカリウム塩、ヒドロキシドデカ
ン酸カリウム、ヒドロキシテトラデカン酸カリウム、ヒ
ドロキシヘキサデカン酸カリウム、ヒドロキシエイコ酸
カリウム等に代表される飽和ヒドロキシ脂肪酸のカリウ
ム塩、リシンオレイン酸カリウム等に代表される不飽和
ヒドロキシ脂肪酸のカリウム塩、イソラウリン酸カリウ
ム、イソミリスチン酸カリウム、イソパルミチン酸カリ
ウム、イソステアリン酸カリウム、イソアラキジン酸カ
リウム等に代表されるイソ酸のカリウム塩などがある。
なお、9−メチルウンデカン酸カリウム、11−メチル
トリデカン酸カリウム、11−メチルペンタデカン酸カ
リウム、15−メチルヘプタデカン酸カリウム等に代表
されるアンテイソ酸のカリウム塩も使用することができ
るが、ここではイソ酸のカリウム塩に分類するものとす
る。これら高級脂肪酸のカリウム塩に代えて当該高級脂
肪酸のナトリウム塩などのアルカリ金属塩、あるいはア
ンモニウム塩、もしくはトリエタノ−ルアミン塩などに
代表される有機塩などを使用してもよい。
【0020】本発明の飽和高級脂肪酸のカリウム塩の組
み合せからなる代表的な好適な蓄冷蓄熱媒体組成物の固
状温度に関するデータを示すと表1の通りである。
【0021】表1において、「C8」とあるは「カプリ
ル酸カリウム」、「C10」とあるは「カプリン酸カリ
ウム」、「C12」とあるは「ラウリン酸カリウム」、
「C14」とあるは「ミリスチン酸カリウム」、「C1
6」とあるは「パルミチン酸カリウム」、そして「C1
8」とあるは「ステアリン酸カリウム」をそれぞれ表し
ている。
【0022】 表1 高級脂肪酸カリウム塩(重量%) No. C8 C10 C12 C14 C16 C18 固状温度(℃) 1 20 10 16-36 及び 0↓ 2 20 10 7-59 及び 0↓ 3 20 5 3 5-75 及び 0↓ 4 30 8-53 及び 0↓ 5 20 10 24-50 及び 0↓ 6 20 5 24-62 及び 0↓ 7 20 10 11-80 及び 0↓ 8 20 5 3 21-64 及び 0↓ 9 20 5 4 5-75 及び 0↓ 10 20 5 5 5-80 及び 0↓ 11 18 2 5 3 29-62 及び 0↓ 12 20 15-69 及び 0↓ 13 20 10 15-80 及び 0↓ 14 20 5 1 16-56 及び 0↓ 15 10 10 2 5 3 21-68 及び 0↓ 16 10 10 2 5 3 11-63 及び 0↓ 17 4 4 10 2 5 3 35-54 及び 0↓ 18 5 5 10 2 5 3 9-80 及び 0↓ 19 8 10 2 5 3 45-54 及び 0↓
【0023】また、各高級脂肪酸のカリウム塩の含有量
は、当該蓄冷蓄熱媒体組成物100グラム中に含有され
ている高級脂肪酸のカリウム塩の重量、すなわち重量百
分率で表示されている。
【0024】また、表中の固状温度を、No.1の固状
温度のレーンに「16−36 及び0↓」とあるを例に
して説明すれば、「16−36」とあるは「No.1の
蓄冷蓄熱媒体組成物は、16℃から36℃の温度範囲内
では固状(半固状を含む)である」ことを表しており、
「0↓」とあるは「No.1の蓄冷蓄熱媒体組成物は、
表示されていない0℃以下の所定温度においても液相か
ら固相に相転移する」ことを表している。別言すれば、
No.1の蓄冷蓄熱媒体組成物は、36℃以上では液相
であり、36〜16℃の温度範囲では固相(半固状を含
む)であり、16℃から表には示さない0℃以下の所定
の温度(相転移温度)までの温度範囲内では液相であ
り、そして、前記0℃以下の温度(相転移温度)以下で
は固相であることを表している。
【0025】なお、当該蓄冷蓄熱媒体組成物の相転移温
度は、JIS K8001に記載の凝固点測定法に従っ
て測定した。
【0026】まず、表1には示していないが、カプリル
酸カリウム(C8)20重量%含有する蓄冷蓄熱媒体組
成物の相転移温度は少なくとも0℃以下であった。そし
て、少なくとも検討した60重量%未満のカプリル酸カ
リウム(C8)の相転移温度はいずれの場合においても
0℃以下であった。
【0027】ところが、No.1のデータに示すよう
に、カプリル酸カリウム20重量%を含有しかつパルミ
チン酸カリウム(C16)10重量%も含有する蓄冷蓄
熱媒体組成物は、36℃以上の温度雰囲気において液状
であり、36〜16℃の温度雰囲気で流動性が消失した
ゼリー状の半固状の形状を呈しており、また、16℃未
満で少なくとも0℃までの温度範囲内においては、従来
のようにその流動性が減弱されより硬くなるのとは逆
に、その流動性が増強されて液状に相転移することがわ
かった。
【0028】表1にデータは示していないが、カプリル
酸カリウム20重量%を含有しかつパルミチン酸カリウ
ムを5重量%未満も含有する蓄冷蓄熱媒体組成物は、0
℃以下の温度において相転移が認められるのみで常温付
近での相転移は観察できなかった。また、カプリル酸カ
リウム20重量%を含有しかつパルミチン酸カリウムを
15重量%以上も含有する蓄冷蓄熱媒体組成物は、少な
くとも80℃以下の温度では固体で、液状のものはなか
った。
【0029】つぎに、No.2のデータに示すように、
カプリル酸カリウム20重量%を含有しかつステアリン
酸カリウム(C18)10重量%も含有する蓄冷蓄熱媒
体組成物は、59℃以上の温度雰囲気において液状であ
り、59〜7℃の温度雰囲気で流動性が消失したゼリー
状の半固状形状を呈しており、また、7℃以下で再び流
動性を獲得して液状に相転移し、さらに0℃以下の表記
しない所定の温度(相転移温度)以下で固相に相転移す
ることがわかった。
【0030】また、表には示されていないが、カプリル
酸カリウム20重量%を含有しかつステアリン酸カリウ
ムを5重量%未満も含有する蓄冷蓄熱媒体組成物は、0
℃以下の温度において相転移が認められるのみで常温付
近での相転移は観察できなかった。また、カプリル酸カ
リウム20重量%を含有しかつステアリン酸カリウムを
15重量%以上も含有する蓄冷蓄熱媒体組成物は、少な
くとも80℃以下の温度では固体で、液状のものはなか
った。
【0031】そしてまた、表には示されていないが、カ
プリル酸カリウム15〜30重量%を含有しかつパルミ
チン酸カリウム又はステアリン酸カリウムのいずれか一
方5重量%未満も含有する蓄冷蓄熱媒体組成物は、0℃
以下の温度において相転移が認められるのみで常温付近
での相転移は観察できなかった。さらにまた、カプリル
酸カリウム15〜30重量%を含有しかつパルミチン酸
カリウム又はステアリン酸カリウムのいずれか一方15
重量%以上も含有する蓄冷蓄熱媒体組成物は、少なくと
も80℃以下の温度では固体で、液状のものはなかっ
た。
【0032】すなわち、終濃度が15〜30重量%の濃
度範囲となるカプリル酸カリウムを含みかつカプリル酸
カリウムの各濃度のそれぞれに対応させたパルミチン酸
カリウム又はステアリン酸カリウムのいずれか一方の好
適量も含む場合においてのみ、上記と同様に室温付近で
相転移する蓄冷蓄熱媒体組成物を作製することができる
ことがわかり、その際のパルミチン酸カリウム又はステ
アリン酸カリウムの終濃度は5〜15重量%の濃度範囲
であった。
【0033】つぎに、No.3の結果からみて、カプリ
ン酸カリウムの20重量%を含み、かつパルミチン酸カ
リウムの5重量%及びステアリン酸カリウムの3重量%
の両方も含有する蓄冷蓄熱媒体組成物は、75℃以上で
は液相であり、75〜5℃の温度雰囲気では流動性が消
失されたゼリー状の半固状形状であり、5℃以下では液
相であり、そして0℃以下の所定温度で再び固相に相転
移する蓄冷蓄熱媒体組成物であることがわかった。
【0034】なお、表1にデータは示していないが、カ
プリル酸カリウム20重量%とパルミチン酸カリウムの
5重量%とを含有し、かつステアリン酸カリウムを2重
量%未満あるいは10重量%以上のどちらか一方の濃度
で含有する蓄冷蓄熱媒体組成物にあっては、0℃以下の
温度において液相から固相への相転移が認められるのみ
であり、常温付近では液状又は固状のいずれかであり、
少なくとも80〜0℃の温度範囲内において液相から固
相に、又は固相から液相に相転移するものは認められな
かった。
【0035】また、終濃度が15〜30重量%の濃度範
囲となるカプリル酸カリウムと、終濃度が1〜10重量
%となるパルミチン酸カリウムと、終濃度が2〜10重
量%となるステアリン酸カリウムとの混合物を主成分と
して含有する蓄冷蓄熱媒体組成物も、その詳細な結果は
示さないが上記と同様に室温付近で半固状若しくは固状
であり、これを冷却すると流動性が獲得され若しくは増
強されて軟化、液状化する蓄冷蓄熱媒体組成物であるこ
とがわかった。
【0036】つぎに、No.4及び12にその好適な濃
度で示した実施例のデータからみて、ミリスチン酸カリ
ウム15〜35重量%(好適には30重量%)を含有す
る蓄冷蓄熱媒体組成物は、53〜8℃の温度範囲内では
固状であり、また、パルミチン酸カリウム15〜35重
量%(好適には20重量%)を含有する蓄冷蓄熱媒体組
成物は、69〜15℃の温度範囲内では固状であり、こ
れらはいずれも冷却すると流動性が獲得若しくは増強さ
れて軟化、液状化し、さらに表には示されていない0℃
以下の所定の温度(相転移温度)以下では固相となるこ
とがわかった。
【0037】つぎに、No.5にその好適な実施例のデ
ータとして示すように、ラウリン酸カリウム15〜25
重量%(好適には20重量%)を含有しかつパルミチン
酸カリウム5〜15重量%(好適には10重量%)も含
有する蓄冷蓄熱媒体組成物は、50℃以上では液相であ
り、50〜24℃の温度雰囲気では流動性が消失された
ゼリー状の半固状形状であり、24℃以下では液相であ
り、そして0℃以下の表記しない所定温度以下で固相に
相転移するものであった。
【0038】一方、ラウリン酸カリウム15〜25重量
%を含有しかつ5〜15重量%を除く任意濃度のパルミ
チン酸カリウムも含有する蓄冷蓄熱媒体組成物、又はパ
ルミチン酸カリウム5〜15重量%を含有しかつ15〜
25重量%を除く任意濃度のラウリン酸カリウムも含有
する蓄冷蓄熱媒体組成物は、いずれも常温付近では液状
又は固状のいずれかであり、少なくとも80〜0℃の温
度範囲内において、液相から固相へ又は固相から液相に
相転移するものはなかった。
【0039】つぎに、No.6のデータに示すように、
ラウリン酸カリウム20重量%を含有しかつステアリン
酸カリウム5重量%も含有する蓄冷蓄熱媒体組成物は、
62℃以上では液相であり、62〜24℃の温度雰囲気
では流動性が消失されたゼリー状の半固状形状であり、
24℃以下では液相であり、そして0℃以下の表記しな
い所定温度(相転移温度)以下で固相に相転移するもの
であった。
【0040】また、No.7のデータに示すように、ラ
ウリン酸カリウム20重量%を含有しかつステアリン酸
カリウム10重量%も含有する蓄冷蓄熱媒体組成物は、
80℃以上では液相であり、80〜11℃の温度雰囲気
では流動性が消失されたゼリー状の半固状形状であり、
11℃以下では液相であり、そして0℃以下の表記しな
い所定温度(相転移温度)以下で固相に相転移する蓄冷
蓄熱媒体組成物であった。
【0041】一方、ラウリン酸カリウム15〜25重量
%を含有し、かつ3〜20重量%を除く任意濃度のステ
アリン酸カリウムも含有する蓄冷蓄熱媒体組成物は、上
記と同様に、いずれの場合も常温付近では液状又は固状
であり、少なくとも80〜0℃の温度範囲内において、
液相から固相へ又は固相から液相に相転移するものはな
かった。
【0042】つぎに、No.8〜10の好適な実施例の
データに示したように、ラウリン酸カリウム15〜25
重量%(好適には20重量%)を含有するとともにミリ
スチン酸カリウム3〜8重量%(好適には5重量%)お
よびステアリン酸カリウム3〜15重量%(好適には3
〜5重量%)の両方も含有されている蓄冷蓄熱媒体組成
物は、少なくとも80℃以上では液相であり、室温付近
では流動性が消失されたゼリー状の半固状又は固状の固
相であり、そして0℃以下の表記しない所定温度(相転
移温度)以下で液相から固相に相転移するものであり、
これらはいずれも室温付近で半固状若しくは固状であ
り、これを冷却すると流動性が獲得若しくは増強されて
軟化、液状化する蓄冷蓄熱媒体組成物であることがわか
った。
【0043】一方、ラウリン酸カリウム15〜25重量
%を含有するとともにパルミチン酸カリウム3〜8重量
%を含有しかつ3〜15重量%を除く任意濃度のステア
リン酸カリウムも含有する蓄冷蓄熱媒体組成物や、15
〜25重量%を除く任意濃度のラウリン酸カリウムを含
有しかつパルミチン酸カリウム3〜8重量%とステアリ
ン酸カリウム3〜15重量%も含有する蓄冷蓄熱媒体組
成物、およびラウリン酸カリウム15〜25重量%を含
有しかつ3〜8重量%を除く任意濃度のパルミチン酸カ
リウムとステアリン酸カリウム3〜15重量%も含有す
る蓄冷蓄熱媒体組成物は、いずれも、上記と同様に、常
温付近では液状又は固状であり、少なくとも80〜0℃
の温度範囲内において、液相から固相に、又は固相から
液相に相転移するものは認められなかった。
【0044】つぎに、No.11の好適な実施例のデー
タに示したように、ラウリン酸カリウム15〜25重量
%(好適には18重量%)と、ステアリン酸カリウム1
〜8重量%(好適には3重量%)と、パルミチン酸カリ
ウム3〜8重量%(好適には5重量%)とを含有し、か
つミリスチン酸カリウム0.5〜5重量%(好適には2
重量%)も含有する蓄冷蓄熱媒体組成物はいずれも、上
記と同様、室温付近で半固状若しくは固状であり、冷却
すると流動性が獲得若しくは増強されて軟化、液状化す
る蓄冷蓄熱媒体組成物であることがわかった。
【0045】一方、ラウリン酸カリウムと、ステアリン
酸カリウムと、パルミチン酸カリウムと、ミリスチン酸
カリウムとを含有する蓄冷蓄熱媒体組成物において、こ
れらの高級脂肪酸カリウム塩のうち1つでも前記濃度範
囲外であると、すなわちラウリン酸カリウムが15〜2
5重量%以外、ステアリン酸カリウムが1〜8重量%以
外、パルミチン酸カリウムが3〜8重量%以外、あるい
はミリスチン酸カリウムが0.5〜5重量%以外の濃度
範囲である当該蓄冷蓄熱媒体組成物は、室温付近で液状
又は半固状若しくは固状であり、少なくとも80〜0℃
の温度範囲内において、液相から固相へ又は固相から液
相に相転移するものではなかった。
【0046】つぎに、No.13の好適な実施例のデー
タに示したように、ミリスチン酸カリウム15〜30重
量%(好適には20重量%)を含有しかつパルミチン酸
カリウム5〜15重量%(好適には10重量%)も含有
する蓄冷蓄熱媒体組成物は、上記と同様に室温付近で半
固状若しくは固状であり、これを冷却すると流動性が獲
得若しくは増強されて軟化、液状化する蓄冷蓄熱媒体組
成物であることがわかった。
【0047】一方、ミリスチン酸カリウム及びパルミチ
ン酸カリウムの両方を含有する蓄冷蓄熱媒体組成物にお
いて、ミリスチン酸カリウム15〜30重量%を含有し
かつパルミチン酸カリウムが5〜15重量%以外の濃度
で含有されているもの、又はミリスチン酸カリウムが1
5〜30重量%以外の濃度で含有されておりかつパルミ
チン酸カリウムが5〜15重量%含有されているもの
は、いずれも室温付近で、液状、又は半固状若しくは固
状であり、少なくとも80〜0℃の温度範囲内におい
て、液相から固相へ又は固相から液相に相転移すること
はなかった。
【0048】つぎに、No.14の好適な実施例のデー
タに示したように、ミリスチン酸カリウム15〜30重
量%(好適には20重量%)を含有するとともにパルミ
チン酸カリウム1〜10重量%(好適には5重量%)を
含有しかつステアリン酸カリウム0.5〜3重量%(好
適には1重量%)も含有する蓄冷蓄熱媒体組成物は、上
記と同様、室温付近で半固状若しくは固状であり、これ
を冷却すると流動性が獲得若しくは増強されて軟化、液
状化する蓄冷蓄熱媒体組成物であることがわかった。
【0049】つぎに、カプリル酸カリウム、カプリン酸
カリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウ
ム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、そ
してアラキジン酸カリウムに代表される飽和直鎖脂肪酸
のカリウム塩の中から選択した5種又は6種の高級脂肪
酸のカリウム塩が全体の15〜40重量%の割合で含ま
れてなる蓄冷蓄熱媒体組成物は、No.15−19の好
適な実施例のデータに示したように、上記と同様に室温
付近で半固状若しくは固状であり、これらを冷却すれば
軟化、液状化する蓄冷蓄熱媒体組成物であることがわか
った。
【0050】つぎに、飽和高級脂肪酸のカリウム塩を含
有するとともに、不飽和高級脂肪酸のカリウム塩、ヒド
ロキシ高級脂肪酸のカリウム塩、若しくはイソ酸のカリ
ウム塩を含有する好適な蓄冷蓄熱媒体組成物の固状温度
に関するデータを示すと表2の通りである。
【0051】表2において、「C10」とあるは「カプ
リン酸カリウム」、「C12」とあるは「ラウリン酸カ
リウム」、「C16」とあるは「パルミチン酸カリウ
ム」、「C18」とあるは「ステアリン酸カリウム」、
「C181=」とあるは「オレイン酸カリウム」、そして
「C18OH」とあるは「ヒドロキシステアリン酸カリウ
ム」、「iC18」とあるは「イソステアリン酸カリウ
ム」をそれぞれ表している。
【0052】 表2 高級脂肪酸カリウム塩(重量%) No. C8 C10 C12 C14 C16 C18 C181= C18OH iC18 固状温度(℃) 20 20 10 0-78 及び 0↓ 21 20 5 3 8-57 及び 0↓ 22 20 3 5 6-64 及び 0↓ 23 20 5 5 7-53 及び 0↓ 24 20 3 7 13-75 及び 0↓ 25 18 5 3 2 22-55 及び 0↓ 26 14 5 3 6 25-52 及び 0↓ 27 20 10 12-53 及び 0↓ 28 18 5 3 2 40-43 及び 0↓ 29 8 10 2 3 7 28-58 及び 0↓ 30 6 10 2 3 7 18-71 及び 0↓ 31 8 10 2 3 7 8-72 及び 0↓ 32 3 3 10 2 3 7 23-65 及び 0↓ 33 1 5 10 2 5 3 3 44-54 及び 0↓ 34 1 5 10 2 5 3 5 13-75 及び 0↓ 35 3 5 10 2 5 3 1 20-78 及び 0↓ 36 20 5 5 16-71 及び 0↓
【0053】また、各高級脂肪酸のカリウム塩の含有量
は、当該蓄冷蓄熱媒体組成物100グラム中に含有され
ている高級脂肪酸のカリウム塩の重量、すなわち重量百
分率で表示されている。
【0054】なお、本発明に係る蓄冷蓄熱媒体組成物の
相転移温度は、前記と同様に、JIS K8001に記
載の凝固点測定法に従って測定した。
【0055】まず、No.20の好適な実施例のデータ
に示したように、カプリン酸カリウム15〜25重量%
(好適には20重量%)を含有しかつオレイン酸カリウ
ム5〜15重量%(好適には10重量%)も含有する蓄
冷蓄熱媒体組成物は、78℃以上では液状であり、78
〜0℃の温度範囲内においては半固状若しくは固状であ
り、0℃以下に冷却すると液状であり、そして表記しな
い所定温度(相転移温度)で固相に相転移する蓄冷蓄熱
媒体組成物であった。
【0056】No.21と22の好適な実施例のデータ
に示したように、カプリン酸カリウム15〜25重量%
(好適には20重量%)と、パルミチン酸カリウム又は
ステアリン酸カリウムのいずれか一方を含有し、かつオ
レイン酸カリウムも含有する蓄冷蓄熱媒体組成物は、上
記と同様、表に示した所定の温度範囲内においては半固
状若しくは固状であり、少なくとも0℃では液状であっ
た。
【0057】つぎに、No.23〜26の好適な実施例
のデータに示したように、ラウリン酸カリウムと、パル
ミチン酸カリウム又はステアリン酸カリウムのいずれか
一方又はその両方を含有し、かつオレイン酸カリウムも
含有する蓄冷蓄熱媒体組成物は、上記と同様、表に示し
た所定の温度範囲内においては半固状若しくは固状であ
り、少なくとも0℃では液状であった。また、No.2
7の好適な実施例のデータに示したように、ラウリン酸
カリウムを含有し、かつオレイン酸カリウムも含有する
蓄冷蓄熱媒体組成物も、上記と同様、53〜12℃の温
度範囲内においては半固状若しくは固状であり、少なく
とも0℃では液状であった。
【0058】つぎに、No.28の好適な実施例のデー
タに示したように、ラウリン酸カリウムを含有するとと
もに、ヒドロキシステアリン酸カリウムも含有する蓄冷
蓄熱媒体組成物は、43〜40℃の狭い温度範囲内にお
いて半固状若しくは固状であり、43℃以上及び少なく
とも40〜0℃の温度においては液状であり、表記しな
い0℃以下の所定の温度(相転移温度)で固相に相転移
する蓄冷蓄熱媒体組成物であることがわかった。
【0059】なお、データは示さないが、カプリル酸カ
リウム、カプリン酸カリウム、ラウリン酸カリウム、ミ
リスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリ
ン酸カリウム、そしてアラキジン酸カリウムに代表され
る飽和直鎖脂肪酸のカリウム塩の中から選択した1〜6
種の直鎖飽和脂肪酸のカリウム塩を含み、かつ前記ヒド
ロキシステアリン酸カリウムに代え、ヒドロキシドデカ
ン酸カリウム、ヒドロキシテトラデカン酸カリウム、ヒ
ドロキシヘキサデカン酸カリウム、ヒドロキシエイコ酸
カリウムなどに代表される他の飽和ヒドロキシ脂肪酸の
カリウム塩、あるいはリシンオレイン酸カリウム等に代
表される不飽和ヒドロキシ脂肪酸のカリウム塩、のいず
れかを含有する蓄冷蓄熱媒体組成物も、前記と同様であ
った。
【0060】つぎに、No.29〜35の好適な実施例
のデータに示したように、カプリル酸カリウム、カプリ
ン酸カリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリ
ウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、
およびアラキジン酸カリウムに代表される飽和直鎖脂肪
酸のカリウム塩のうちから選ばれた4〜6種の高級脂肪
酸のカリウム塩を含みかつオレイン酸カリウムに代表さ
れる不飽和直鎖脂肪酸のカリウム塩も含む蓄冷蓄熱媒体
組成物は、上記と同様、室温付近で半固状若しくは固状
であり、これらは冷却されると流動性が獲得若しくは増
強され、軟化、液状化する蓄冷蓄熱媒体組成物であるこ
とがわかった。
【0061】なお、データは示さないが、カプリル酸カ
リウム、カプリン酸カリウム、ラウリン酸カリウム、ミ
リスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリ
ン酸カリウム、そしてアラキジン酸カリウムに代表され
る飽和直鎖脂肪酸のカリウム塩のうちから選ばれた少な
くとも1種以上の直鎖飽和脂肪酸のカリウム塩と、前記
オレイン酸カリウムに代えてミリストオレイン酸カリウ
ム、パルミトオレイン酸カリウム、エライジン酸カリウ
ム、エイコセン酸カリウム、リノール酸カリウム、リノ
レン酸カリウム、エイコサジエン酸カリウム、エイコサ
トリエン酸カリウム、アラキドン酸カリウムなどに代表
される不飽和直鎖脂肪酸のカリウム塩とが全体の15−
40重量%(好適には30重量%)の割合で含有されて
いる蓄冷蓄熱媒体組成物も、上記と同様に、室温付近で
半固状若しくは固状でありこれを冷却すると流動性が獲
得若しくは増強されて軟化、液状化する蓄冷蓄熱媒体組
成物であることがわかった。
【0062】つぎに、No.36の好適な実施例に示し
たように、ラウリン酸カリウム20重量%とステアリン
酸カリウム5重量%とを含みかつイソステアリン酸カリ
ウムに代表されるイソ酸のカリウム塩5重量%も含む蓄
冷蓄熱媒体組成物も、上記と同様に、室温付近で半固状
若しくは固状でありこれを冷却すると流動性が獲得若し
くは増強されて軟化、液状化する蓄冷蓄熱媒体組成物で
あった。
【0063】なお、前記イソ酸のカリウム塩として、イ
ソステアリン酸カリウム以外にも、イソラウリン酸カリ
ウム、イソミリスチン酸カリウム、イソパルミチン酸カ
リウム、イソオレイン酸カリウム、イソアラキジン酸カ
リウム、9−メチルウンデカン酸カリウム、11−メチ
ルトリデカン酸カリウム、11−メチルペンタデカン酸
カリウム、又は15−メチルヘプタデカン酸カリウムな
どに代表されるイソ酸のカリウム塩を使用してもよく、
これらはいずれも、それぞれに含有された当該高級脂肪
酸の種類と含有割合により実質的に決まる70〜0℃の
所定温度範囲内で半固状若しくは固状であり、そして、
半固状若しくは固状の当該蓄冷蓄熱媒体組成物を前記所
定温度以下に冷却すると、速やかに液相に相転移すると
いう特異な感温特性を有する蓄冷蓄熱媒体組成物であっ
た。
【0064】つぎに、前記実施例No.3とNo.8に
記載の蓄冷蓄熱媒体組成物、およびラウリン酸カリウム
20重量%とパルミチン酸カリウム11重量%を含有し
かつ水も含有する蓄冷蓄熱媒体組成物(CH6)の各5
00mlを、直径8.5cmのトールビーカーに入れた
後、それぞれトールビーカーごと0℃に予冷却した。つ
いで、当該蓄冷蓄熱媒体組成物の中心部の温度変化を経
時的に測定するための温度計をセットし、前記トールビ
ーカーを5℃の恒温水槽に入れて、静置した。比較例と
して水500mlを用いて同様に操作した。その結果は
図1に示した。
【0065】なお、前記蓄冷蓄熱媒体組成物(CH6)
の固相・液相間の相転移温度は、48℃、8℃および表
示しない0℃以下の所定温度の3箇所である。
【0066】図1より、比較例として用いた水の場合は
加温とともに経時的に温度の上昇が認められ、約25分
後には外側と同じ5℃となったのに対して、実施例N
o.8の蓄冷蓄熱媒体組成物は、水の場合と同様に加温
にともない経時的に温度が上昇するカーブを認めたが、
外側の温度(5℃)と平衡になるまでに要した時間は約
45分であり、水の場合より明らかに温め難いことがわ
かった。
【0067】蓄冷蓄熱媒体組成物(CH6)は、実施例
No.8の蓄冷蓄熱媒体組成物と同様の温度上昇カーブ
を示したが、外側の温度(5℃)と平衡になるまでに要
した時間は約55分であり、実施例No.8の蓄冷蓄熱
媒体組成物よりもさらに温め難いことがわかった。
【0068】つぎに、実施例No.3の蓄冷蓄熱媒体組
成物の場合は、その温度が4℃となるまでに約45分要
し、この間、経時的に温度が上昇するカーブを示した
が、しかし、45分から60分までの15分間はその温
度が4℃でほぼ一定していた。そして、外側の温度(5
℃)と平衡になるまでには約65分間必要であることが
わかった。
【0069】すなわち、図1より、本発明の蓄冷蓄熱媒
体組成物はいずれも水よりも温め難い見かけの比熱が1
以上の組成物であることが明らかとなった。さらに、実
施例No.3の蓄冷蓄熱媒体組成物は、固相・液相間の
相転移温度(5℃)付近で、外部からの熱エネルギーを
潜熱として蓄積することができるということがわかる。
【0070】つぎに、実施例No.3とNo.8に記載
の蓄冷蓄熱媒体組成物、およびラウリン酸カリウム20
重量%とパルミチン酸カリウム11重量%を含有しかつ
水も含有する蓄冷蓄熱媒体組成物(CH6)のそれぞれ
500mlを、直径8.5cmのトールビーカーに入れ
た後、それぞれトールビーカーごと60℃に予加温し
た。ついで、前記トールビーカーを40℃の恒温水槽に
入れ、上記と同様に操作して当該蓄冷蓄熱媒体組成物の
中心部の温度変化を経時的に測定した。その結果は図2
に示した。
【0071】図2より、比較例として用いた水の場合は
冷却とともに経時的な温度の降下が認められ約30分後
に外側と同じ40℃となったのに対して、蓄冷蓄熱媒体
組成物(CH6)は、水の場合と同様に約15分までは
経時的に温度が降下するカーブを認めたが、15〜35
分までの20分間は温度変化を認めず42℃で一定であ
り、最終的には45分かかって外側と同じ40℃に冷却
され、平衡になることがわかった。すなわち、15〜3
5分までの20分間は、外部からの熱エネルギーを潜熱
として放出することがわかる。
【0072】つぎに、実施例No.8の蓄冷蓄熱媒体組
成物は、約10〜30分までの20分間は温度変化が認
められずに50℃付近で一定であり、最終的には80分
かかって外側と同じ40℃に冷却され、平衡となること
がわかった。
【0073】つぎに、実施例No.3の蓄冷蓄熱媒体組
成物は、水の場合と同様に経時的な温度が降下するカー
ブを示したが、外側の温度(40℃)と平衡になるまで
に要した時間は約90分であり、水よりも明らかに冷め
難いことがわかった。
【0074】すなわち、図2より、本発明の蓄冷蓄熱媒
体組成物はいずれも水よりも冷め難い見かけの比熱が1
以上の組成物であるということが明らかとなり、さら
に、48℃で固相・液相間の相転移する蓄冷蓄熱媒体組
成物(CH6)、及び64℃で固相・液相間の相転移す
る実施例No.8の蓄冷蓄熱媒体組成物は、いずれも固
相・液相間の当該相転移温度付近で、蓄冷蓄熱媒体組成
物の内部に蓄熱した熱エネルギー(潜熱)を放出するの
で、この間、当該蓄冷蓄熱媒体組成物の温度は変化しな
いことがわかった。
【0075】上述した本発明の蓄冷蓄熱媒体組成物に
は、公知の防腐・殺菌剤や着色料、あるいは蛍光剤など
の添加剤を含有させることができる。
【0076】これら添加剤のうちで代表的な添加剤とし
て防腐・殺菌剤についてのみさらに詳しく説明すれば、
この目的に使用できる防腐・殺菌剤としては、安息香酸
及びその塩類、エデト酸及びその塩類、クロラミンT、
サリチル酸及びその塩類、ジブチルヒドロキシトルエ
ン、ソルビン酸及びその塩類、トリクロサン、トリクロ
ロカルバニリド、パラアミノ安息香酸エステル、パラオ
キシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、メチル
クロロイソチアゾリン、オキシベンゾン、若しくはデヒ
ドロ酢酸及びその塩類などがある。
【0077】以上、本発明の代表的な実施例について説
明したが、本発明の要旨を越えない限り、これらの実施
例により本発明が制限されるものではない。
【0078】
【発明の効果】本発明の蓄冷蓄熱媒体組成物は、特に、
その形状が当該蓄冷蓄熱媒体組成物のそれぞれによって
定まる所定の温度範囲内で半固状又は固状であり、該所
定の温度範囲以下に冷却すると軟化、液状化して流動性
が増強されるという特異な感温特性(感温性)を具有す
るので、従来の蓄冷蓄熱媒体の奏する作用効果に加えて
特につぎの優れた作用効果を奏する。
【0079】まず、本発明の蓄冷蓄熱媒体組成物は、い
ずれも天然由来の高級脂肪酸の塩類をその構成要素とし
ているので、自然界に放置すると加水分解や土壌中の微
生物などによる生分解等によって完全に分解するから、
環境破壊などの原因となることはなく、しかも安全性に
優れている。
【0080】つぎに、本発明の蓄冷蓄熱媒体組成物は水
より温め難く冷め難いので、顕熱を利用した顕熱蓄冷蓄
熱方式の蓄冷蓄熱媒体として使用することができる。
【0081】つぎに、本発明の蓄冷蓄熱媒体組成物は、
従来の蓄冷蓄熱媒体とは異なり、複数の温度で固相・液
相間の相転移が起き、かつ該固相・液相間の相転移が起
きる各相転移温度において外部からの熱エネルギーを潜
熱として蓄積又は放出することができるので、複数の温
度域で機能する潜熱の蓄冷蓄熱媒体組成物として使用す
ることができる。
【0082】したがって、本発明の蓄冷蓄熱媒体組成物
は、水より大きな顕熱の蓄冷蓄熱効果と潜熱の蓄冷蓄熱
効果が相乗的に機能するので、その蓄冷蓄熱能は極めて
効率的である。
【0083】つぎに、本発明の各蓄冷蓄熱媒体組成物は
保温材として使用することができるとともに、これとは
異なる所望温度で保冷するための保冷材としても使用す
ることができる。すなわち、従来のように保温材と保冷
材の両方を準備し、これを使い分けながら保温又は保冷
するという不便を解消することができ、作業性の向上と
経費の節減が図れる。
【0084】また、本発明の蓄冷蓄熱媒体組成物のうち
から適宜選択すれば、所望する任意温度で安全且つ確実
に保温又は保冷できる蓄冷蓄熱媒体組成物を提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 予冷した本発明の蓄冷蓄熱媒体組成物を恒温
雰囲気に静置して加温した時の当該蓄冷蓄熱媒体組成物
の経時的温度変化を示すグラフである。
【図2】 予加温した本発明の蓄冷蓄熱媒体組成物を恒
温雰囲気に静置して冷却した時の当該蓄冷蓄熱媒体組成
物の経時的温度変化を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−164785(JP,A) 特開 昭57−200482(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09K 5/06 CA(STN) WPI/L(QUESTEL)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素数が8〜20の高級脂肪酸の塩を少
    なくとも一種以上含有しかつ水も含有する蓄冷蓄熱媒体
    組成物において、 前記高級脂肪酸の塩の含有割合が、前記蓄冷蓄熱媒体組
    成物の全体あたり15〜40重量%であって、 前記 蓄冷蓄熱媒体組成物に含まれる前記高級脂肪酸の塩
    の種類とその含有割合によって実質的に決定される所定
    温度範囲内で半固状又は固状であり、該所定温度範囲以
    下に冷却されると液状となることを特徴とする蓄冷蓄熱
    媒体組成物。
  2. 【請求項2】 前記高級脂肪酸の塩は当該高級脂肪酸の
    アルカリ金属塩である請求項1記載の蓄冷蓄熱媒体組成
    物。
  3. 【請求項3】 前記高級脂肪酸のアルカリ金属塩は当該
    高級脂肪酸のカリウム塩である請求項2記載の蓄冷蓄熱
    媒体組成物。
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