JP2933763B2 - ソフトフェライト用原料酸化物の製造方法 - Google Patents
ソフトフェライト用原料酸化物の製造方法Info
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- JP2933763B2 JP2933763B2 JP3266033A JP26603391A JP2933763B2 JP 2933763 B2 JP2933763 B2 JP 2933763B2 JP 3266033 A JP3266033 A JP 3266033A JP 26603391 A JP26603391 A JP 26603391A JP 2933763 B2 JP2933763 B2 JP 2933763B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ソフトフェライト(以
下単にフェライトと記す)用原料酸化物の製造方法に関
する。
下単にフェライトと記す)用原料酸化物の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】フェライトの工業的製造方法は、フェラ
イトを構成する鉄,マンガン,亜鉛,マグネシウム,ニ
ッケルなどの金属のそれぞれの酸化物または炭酸塩等の
各粉末を所定のモル比で混合した後、これを仮焼、粉
砕、成形し、焼成するのが一般的である。
イトを構成する鉄,マンガン,亜鉛,マグネシウム,ニ
ッケルなどの金属のそれぞれの酸化物または炭酸塩等の
各粉末を所定のモル比で混合した後、これを仮焼、粉
砕、成形し、焼成するのが一般的である。
【0003】この際、フェライト組成の中で最も大きな
比率を占める酸化鉄原料は、ほとんどの場合、鋼板の塩
酸酸洗廃液を酸化焙焼することによって得られる酸化鉄
が使用されている。またフェライトの主要構成元素であ
るマンガン,マグネシウム,ニッケルは、酸化物、炭酸
塩、水酸化物等の微粉が用いられている。亜鉛源として
は酸化物粉末が使われている。
比率を占める酸化鉄原料は、ほとんどの場合、鋼板の塩
酸酸洗廃液を酸化焙焼することによって得られる酸化鉄
が使用されている。またフェライトの主要構成元素であ
るマンガン,マグネシウム,ニッケルは、酸化物、炭酸
塩、水酸化物等の微粉が用いられている。亜鉛源として
は酸化物粉末が使われている。
【0004】上述のフェライトを構成する金属のそれぞ
れの酸化物または炭酸塩等を原料とする通常のフェライ
ト製造方法の場合、組成の均一性を向上させるためにア
トライタやボールミル等の装置を用いて混合することに
より原料の組成の均一化を図り、さらに仮焼・粉砕の工
程で均一性の一層の向上を図る。組成の均一性改善の観
点から混合時間や粉砕時間を長くすることは望ましい
が、一方、混合時間や粉砕時間が長いと、これらの工程
中に不可避な不純物の混入が増し問題が生ずる。最終的
なフェライトの磁気特性は、組成の巨視的、微視的な均
一性と密接に関係しており、この点から従来法には限界
があった。
れの酸化物または炭酸塩等を原料とする通常のフェライ
ト製造方法の場合、組成の均一性を向上させるためにア
トライタやボールミル等の装置を用いて混合することに
より原料の組成の均一化を図り、さらに仮焼・粉砕の工
程で均一性の一層の向上を図る。組成の均一性改善の観
点から混合時間や粉砕時間を長くすることは望ましい
が、一方、混合時間や粉砕時間が長いと、これらの工程
中に不可避な不純物の混入が増し問題が生ずる。最終的
なフェライトの磁気特性は、組成の巨視的、微視的な均
一性と密接に関係しており、この点から従来法には限界
があった。
【0005】上記原料に代替するフェライト用原料の製
造方法として多くの試みがあるが、その一つとしてフェ
ライトを構成する金属の塩化物混合溶液を出発原料とす
る提案がある(特公昭47−11550号及び特公昭6
3−17776号)。鉄とマンガンの塩化物混合液を原
料とする場合を例に取ると、製鉄所での鋼板の酸洗廃
液、又は電解鉄等を塩酸に溶解した塩化鉄を含有する溶
液にマンガン塩化物を混入するか、又は電解マンガン若
しくは鉄−マンガン合金を塩酸に溶かした溶液を前記塩
化鉄を含有する溶液と混合し、これを酸化焙焼してフェ
ライト用原料酸化物を得るものである。酸化焙焼によっ
て生成する鉄及びマンガン酸化物は微視的なスケールで
均一に混合しており、フェライトを製造する工程で組成
の均一性が大幅に改善され、また仮焼工程を省略するこ
とができる。
造方法として多くの試みがあるが、その一つとしてフェ
ライトを構成する金属の塩化物混合溶液を出発原料とす
る提案がある(特公昭47−11550号及び特公昭6
3−17776号)。鉄とマンガンの塩化物混合液を原
料とする場合を例に取ると、製鉄所での鋼板の酸洗廃
液、又は電解鉄等を塩酸に溶解した塩化鉄を含有する溶
液にマンガン塩化物を混入するか、又は電解マンガン若
しくは鉄−マンガン合金を塩酸に溶かした溶液を前記塩
化鉄を含有する溶液と混合し、これを酸化焙焼してフェ
ライト用原料酸化物を得るものである。酸化焙焼によっ
て生成する鉄及びマンガン酸化物は微視的なスケールで
均一に混合しており、フェライトを製造する工程で組成
の均一性が大幅に改善され、また仮焼工程を省略するこ
とができる。
【0006】原料の塩化物混合溶液を得るに当って、塩
化鉄源として鋼板酸洗廃液を多量にかつ工業的に利用す
ることができるが、塩化マンガン源としては同様な資源
がなく、例えば特公昭47−11550号の実施例では
電解マンガンを塩酸に溶解したものが使用され、また、
特公昭63−17776号ではマンガン塩化物を水に溶
解したもの又は金属マンガンを塩酸に溶解したものを使
用することが述べられている。
化鉄源として鋼板酸洗廃液を多量にかつ工業的に利用す
ることができるが、塩化マンガン源としては同様な資源
がなく、例えば特公昭47−11550号の実施例では
電解マンガンを塩酸に溶解したものが使用され、また、
特公昭63−17776号ではマンガン塩化物を水に溶
解したもの又は金属マンガンを塩酸に溶解したものを使
用することが述べられている。
【0007】しかし、マンガン塩化物を使用することは
価格的に高く経済的でない。また、金属マンガン又はマ
ンガン鉄合金を利用する場合は、それらの入手形状は通
常塊状であり、塩酸への溶解効率が非常に悪い。粉砕に
よって細粒化し溶解効率を改善することも可能である
が、細粒化にも限度があり、また、粉砕工程での不純物
汚染及びコストアップの問題点があった。また、フェラ
イト製造の観点から有害な不純物であるSiO2 が0.
9重量%、Pが0.1重量%と非常に高く、後工程の精
製工程の負担が大きい。
価格的に高く経済的でない。また、金属マンガン又はマ
ンガン鉄合金を利用する場合は、それらの入手形状は通
常塊状であり、塩酸への溶解効率が非常に悪い。粉砕に
よって細粒化し溶解効率を改善することも可能である
が、細粒化にも限度があり、また、粉砕工程での不純物
汚染及びコストアップの問題点があった。また、フェラ
イト製造の観点から有害な不純物であるSiO2 が0.
9重量%、Pが0.1重量%と非常に高く、後工程の精
製工程の負担が大きい。
【0008】一方、鉄鋼業の製鋼過程において、脱酸、
脱硫及び添加剤として欠くことのできないマンガン鉄合
金(フェロマンガン)は、低炭化の精錬過程 で、フェ
ロマンガンの溶融金属に酸素または酸素を含む気体を吹
付けるか、または吹込む方法がある。この際、マンガン
は蒸気圧が鉄に比べて非常に高いため蒸発して酸素と接
触し、Mn3 O4 を主成分とする平均粒径約2μm以下
の微粒子の酸化物となる。
脱硫及び添加剤として欠くことのできないマンガン鉄合
金(フェロマンガン)は、低炭化の精錬過程 で、フェ
ロマンガンの溶融金属に酸素または酸素を含む気体を吹
付けるか、または吹込む方法がある。この際、マンガン
は蒸気圧が鉄に比べて非常に高いため蒸発して酸素と接
触し、Mn3 O4 を主成分とする平均粒径約2μm以下
の微粒子の酸化物となる。
【0009】これらの微粒酸化物はバグフィルタ等で捕
集されて、釉薬等の原料とされるか、又はマンガン鉄合
金製造の原料にリサイクルされていた。このようにして
生成するマンガン酸化物微粒子の材質の一例を示すと、
組成は Mn:71.1重量%、 Fe:1.5重量%、 SiO2 :0.2重量%、 P:0.01重量% 及び残部の酸素で、平均粒径は1.89μmである。こ
れらを直接フェライト原料として使用することも考えら
れるが、磁気特性の優れたフェライトを得るためにはS
iO2 及びP含有量の一層の低減が好ましい。
集されて、釉薬等の原料とされるか、又はマンガン鉄合
金製造の原料にリサイクルされていた。このようにして
生成するマンガン酸化物微粒子の材質の一例を示すと、
組成は Mn:71.1重量%、 Fe:1.5重量%、 SiO2 :0.2重量%、 P:0.01重量% 及び残部の酸素で、平均粒径は1.89μmである。こ
れらを直接フェライト原料として使用することも考えら
れるが、磁気特性の優れたフェライトを得るためにはS
iO2 及びP含有量の一層の低減が好ましい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】鉄とマンガン等の塩化
物混合溶液を酸化焙焼してフェライト用原料酸化物を得
る方法において、従来はMn源として塩化マンガンや金
属マンガン及びマンガン鉄合金が使用されていたが、コ
スト的に非常に高いことや塩化物製造に当って溶解に非
常に長時間がかかり効率が悪い等の問題点があった。
物混合溶液を酸化焙焼してフェライト用原料酸化物を得
る方法において、従来はMn源として塩化マンガンや金
属マンガン及びマンガン鉄合金が使用されていたが、コ
スト的に非常に高いことや塩化物製造に当って溶解に非
常に長時間がかかり効率が悪い等の問題点があった。
【0011】本発明者らは種々の物質の探索及び実験の
結果、マンガン鉄合金の酸素を用いた精錬時、又は、酸
素又は酸素を含む気体を溶融状態のマンガンに吹込むこ
とによってマンガン酸化物微粒子を得、これを使用する
ことによって、(a)マンガン塩化物水溶液を簡単に製
造することができること、(b)マンガン酸化物からS
iO2 を除去することは困難であるが、マンガン塩化物
では従来の酸洗廃液の脱SiO2 法を適用することによ
って簡易にSiO2,Pを除去することができ、純度の
高いソフトフェライト用原料酸化物を容易にかつ経済的
に製造することができること、を知見し、更にこれに加
えて、フェライトの主要構成元素であり、その塩化物は
酸化焙焼によっては逸散する亜鉛を、酸化亜鉛又は酸化
焙焼温度にて酸化亜鉛に変る亜鉛化合物を用いて同時に
酸化焙焼することによって一挙に、最終的なフェライト
の目標組成の酸化物原料を得る方法を見出し、本発明を
完成した。
結果、マンガン鉄合金の酸素を用いた精錬時、又は、酸
素又は酸素を含む気体を溶融状態のマンガンに吹込むこ
とによってマンガン酸化物微粒子を得、これを使用する
ことによって、(a)マンガン塩化物水溶液を簡単に製
造することができること、(b)マンガン酸化物からS
iO2 を除去することは困難であるが、マンガン塩化物
では従来の酸洗廃液の脱SiO2 法を適用することによ
って簡易にSiO2,Pを除去することができ、純度の
高いソフトフェライト用原料酸化物を容易にかつ経済的
に製造することができること、を知見し、更にこれに加
えて、フェライトの主要構成元素であり、その塩化物は
酸化焙焼によっては逸散する亜鉛を、酸化亜鉛又は酸化
焙焼温度にて酸化亜鉛に変る亜鉛化合物を用いて同時に
酸化焙焼することによって一挙に、最終的なフェライト
の目標組成の酸化物原料を得る方法を見出し、本発明を
完成した。
【0012】本発明は上記酸化マンガン微粒子を利用す
ることによって、(イ)粉砕動力を不要とし、(ロ)塩
酸に極めて容易に溶融しやすい微粒子を利用して工程を
簡素化、容易化し、(ハ)一方この場合に問題であるS
iO2 ,P等を容易に除去し、亜鉛源として酸化亜鉛又
は酸化焙焼温度にて酸化亜鉛に変る亜鉛化合物を利用す
ることによって、(ニ)亜鉛の逸散を防止する、技術を
確立し、安価に、最終的な目標組成のフェライト用原料
酸化物を得る方法を提供することを目的とする。
ることによって、(イ)粉砕動力を不要とし、(ロ)塩
酸に極めて容易に溶融しやすい微粒子を利用して工程を
簡素化、容易化し、(ハ)一方この場合に問題であるS
iO2 ,P等を容易に除去し、亜鉛源として酸化亜鉛又
は酸化焙焼温度にて酸化亜鉛に変る亜鉛化合物を利用す
ることによって、(ニ)亜鉛の逸散を防止する、技術を
確立し、安価に、最終的な目標組成のフェライト用原料
酸化物を得る方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】従来法の問題点であった
マンガン塩化物溶液の製造に関して、処理工程の簡易化
及び経済性の向上の観点から、種々実験を重ねた結果、 (1)溶融状態の金属マンガンまたはマンガン鉄合金
に、酸素または酸素を含む気体を吹付けるかまたは吹込
むことによって酸化マンガン微粒子を生成し、これを用
いる。
マンガン塩化物溶液の製造に関して、処理工程の簡易化
及び経済性の向上の観点から、種々実験を重ねた結果、 (1)溶融状態の金属マンガンまたはマンガン鉄合金
に、酸素または酸素を含む気体を吹付けるかまたは吹込
むことによって酸化マンガン微粒子を生成し、これを用
いる。
【0014】(2)この酸化マンガン微粒子を塩酸に溶
解して容易に塩化物水溶液を得ることができる。 (3)このマンガン塩化物水溶液を精製してSiO2 ,
Pを除去する。 (4)マンガン塩化物と鉄の塩化物との精製塩化物混合
水溶液を製造する。 (5)次いで、この精製塩化物混合水溶液と、酸化亜鉛
又は酸化焙焼温度にて酸化亜鉛に変る亜鉛化合物の粉末
又はスラリ(懸濁液)を混合して噴霧酸化焙焼するか、
又は、精製塩化物混合水溶液と前記亜鉛系粉末又はスラ
リとを別個かつ同時に噴霧酸化焙焼炉に供給して酸化焙
焼する。
解して容易に塩化物水溶液を得ることができる。 (3)このマンガン塩化物水溶液を精製してSiO2 ,
Pを除去する。 (4)マンガン塩化物と鉄の塩化物との精製塩化物混合
水溶液を製造する。 (5)次いで、この精製塩化物混合水溶液と、酸化亜鉛
又は酸化焙焼温度にて酸化亜鉛に変る亜鉛化合物の粉末
又はスラリ(懸濁液)を混合して噴霧酸化焙焼するか、
又は、精製塩化物混合水溶液と前記亜鉛系粉末又はスラ
リとを別個かつ同時に噴霧酸化焙焼炉に供給して酸化焙
焼する。
【0015】以上の工程によって、目標組成の均一性の
優れたフェライト用原料混合酸化物を経済的に容易に製
造することができる。また、マンガン塩化物を精製して
SiO2 ,Pを除去する工程は、マンガンの塩化物を鉄
の塩化物と混合した後に行ってもよい。
優れたフェライト用原料混合酸化物を経済的に容易に製
造することができる。また、マンガン塩化物を精製して
SiO2 ,Pを除去する工程は、マンガンの塩化物を鉄
の塩化物と混合した後に行ってもよい。
【0016】
【作用】本発明方法はMnが蒸気圧が高いことを利用し
て、粉砕工程を経ることなく塩酸に溶けやすい微細なマ
ンガン用酸化物微粉を製造し、一方、この場合に問題で
あるSiO2 ,Pの除去について、マンガンを塩化物と
すればSiO2 ,Pの除去が容易であることを知見し、
これを基礎として不純物の少ない最終的な目的組成の均
質なソフトフェライト用原料混合酸化物を製造するもの
である。
て、粉砕工程を経ることなく塩酸に溶けやすい微細なマ
ンガン用酸化物微粉を製造し、一方、この場合に問題で
あるSiO2 ,Pの除去について、マンガンを塩化物と
すればSiO2 ,Pの除去が容易であることを知見し、
これを基礎として不純物の少ない最終的な目的組成の均
質なソフトフェライト用原料混合酸化物を製造するもの
である。
【0017】本発明者らは、上記のマンガン酸化物微粒
子を用いて、酸化焙焼によりフェライト用原料酸化物を
製造する原料となる、鉄、マンガン塩化物混合溶液を調
整する方法について多くの実験を重ねた結果、以下に述
べるように従来法と比較して大きな効果が得られること
が明らかになった。 (1)該マンガン酸化物微粒子は平均粒径が約2μm以
下と小さいため、酸化物であるにもかかわらず塩酸との
反応性が非常に高く、金属マンガンやマンガン鉄合金の
粉砕粉(−3mmメッシュ粉)と比較して溶解時間が約
1/10〜1/30に短縮できる。
子を用いて、酸化焙焼によりフェライト用原料酸化物を
製造する原料となる、鉄、マンガン塩化物混合溶液を調
整する方法について多くの実験を重ねた結果、以下に述
べるように従来法と比較して大きな効果が得られること
が明らかになった。 (1)該マンガン酸化物微粒子は平均粒径が約2μm以
下と小さいため、酸化物であるにもかかわらず塩酸との
反応性が非常に高く、金属マンガンやマンガン鉄合金の
粉砕粉(−3mmメッシュ粉)と比較して溶解時間が約
1/10〜1/30に短縮できる。
【0018】(2)マンガン酸化物の状態でSiO2 及
びPを低減することは非常に困難であるが、これを塩酸
に溶解させて塩化物溶液にすると、従来から塩化鉄溶液
のSiO2 低減法として公知な、例えば凝集剤の添加と
珪藻土を用いたフィルタを利用する方法(特開昭58−
151335号)やpH調整による共沈法により、酸化
焙焼によって得られる酸化物中のSiO2 やPを、フェ
ライト用原料として適切な十分低いレベルまで低減する
ことができる。またCaO,Na,K等についても生成
酸化物を水洗する等の精製方法により低減することがで
きる。
びPを低減することは非常に困難であるが、これを塩酸
に溶解させて塩化物溶液にすると、従来から塩化鉄溶液
のSiO2 低減法として公知な、例えば凝集剤の添加と
珪藻土を用いたフィルタを利用する方法(特開昭58−
151335号)やpH調整による共沈法により、酸化
焙焼によって得られる酸化物中のSiO2 やPを、フェ
ライト用原料として適切な十分低いレベルまで低減する
ことができる。またCaO,Na,K等についても生成
酸化物を水洗する等の精製方法により低減することがで
きる。
【0019】このようにして得たマンガン塩化物を、鉄
の塩化物を主成分として目標とするフェライト組成を勘
案して混合する。鉄の塩化物源としては、鋼板酸洗廃液
を利用するのが工業的に見て有利である。このようにし
て得た鉄・マンガン塩化物混合水溶液を噴霧焙焼炉内で
酸化焙焼する。
の塩化物を主成分として目標とするフェライト組成を勘
案して混合する。鉄の塩化物源としては、鋼板酸洗廃液
を利用するのが工業的に見て有利である。このようにし
て得た鉄・マンガン塩化物混合水溶液を噴霧焙焼炉内で
酸化焙焼する。
【0020】この際、フェライト成分として不可欠な亜
鉛は、酸化亜鉛又は噴霧酸化焙焼温度にて酸化亜鉛に変
る亜鉛化合物の粉末又はスラリと、上記の精製塩化物混
合水溶液とを混合後、酸化焙焼するか、又は両者を別
個、かつ同時に供給して酸化焙焼することによって添加
される。焙焼温度は低すぎると未反応の塩化物が残存
し、歩留りを低めること、及び得られた酸化物中の塩素
量が多くなり、フェライト製造の後工程で好ましくない
影響を与えることを考慮して750℃以上とすることが
望ましい。
鉛は、酸化亜鉛又は噴霧酸化焙焼温度にて酸化亜鉛に変
る亜鉛化合物の粉末又はスラリと、上記の精製塩化物混
合水溶液とを混合後、酸化焙焼するか、又は両者を別
個、かつ同時に供給して酸化焙焼することによって添加
される。焙焼温度は低すぎると未反応の塩化物が残存
し、歩留りを低めること、及び得られた酸化物中の塩素
量が多くなり、フェライト製造の後工程で好ましくない
影響を与えることを考慮して750℃以上とすることが
望ましい。
【0021】本発明はこのような方法によって亜鉛を添
加するが、塩化亜鉛の沸点が732℃と焙焼温度に比較
して低いために、最終的に得られる酸化物中に残留しな
いという知見を基礎に種々実験を重ねた結果、酸化物中
の亜鉛成分を歩留り高く目標含有量に調整し得る技術と
して完成させたものである。フェライト製造に関する従
来の成分酸化物の混合を基礎におく方法では、混合時の
成分酸化物粒子寸法以下に製品の組織を均質化できない
限界があったが、本発明によれば得られた酸化物中の各
酸化物の分布は微視的に見ても非常に均質となる。
加するが、塩化亜鉛の沸点が732℃と焙焼温度に比較
して低いために、最終的に得られる酸化物中に残留しな
いという知見を基礎に種々実験を重ねた結果、酸化物中
の亜鉛成分を歩留り高く目標含有量に調整し得る技術と
して完成させたものである。フェライト製造に関する従
来の成分酸化物の混合を基礎におく方法では、混合時の
成分酸化物粒子寸法以下に製品の組織を均質化できない
限界があったが、本発明によれば得られた酸化物中の各
酸化物の分布は微視的に見ても非常に均質となる。
【0022】なお、本発明においては、酸化焙焼温度に
て酸化亜鉛に変る亜鉛化合物として炭酸亜鉛も使用する
ことができ、またソフトフェライトの性能向上のために
精製塩化物混合水溶液にマグネシウム,ニッケル等の塩
化物を共存させることができる。
て酸化亜鉛に変る亜鉛化合物として炭酸亜鉛も使用する
ことができ、またソフトフェライトの性能向上のために
精製塩化物混合水溶液にマグネシウム,ニッケル等の塩
化物を共存させることができる。
【0023】
【実施例】 〔実施例1〕マンガン鉄合金の精錬時に生成したMn3
O4 を主成分とするマンガン酸化物微粒子は、 組成 Mn:71.1重量% SiO2 :0.20重量% P:220重量ppm 平均粒径 1.89μm であった。
O4 を主成分とするマンガン酸化物微粒子は、 組成 Mn:71.1重量% SiO2 :0.20重量% P:220重量ppm 平均粒径 1.89μm であった。
【0024】これを塩酸に撹拌しつつ溶解し、このよう
にして製造したマンガン塩化物水溶液のpHを2に調整
した後、濾過分離を行った。この精製処理を行った後の
溶液中のSiO2 及びPの含有量は、焙焼後の酸化物換
算量でそれぞれ60,5重量ppmであった。次に、こ
れと精製した鋼板酸洗廃液の濃縮液とを所定の比率で混
合して精製塩化物混合水溶液とし、さらに濃度20重量
%の炭酸亜鉛を含むスラリを加え直ちに820℃に設定
した焙焼炉中に噴霧し酸化焙焼した。
にして製造したマンガン塩化物水溶液のpHを2に調整
した後、濾過分離を行った。この精製処理を行った後の
溶液中のSiO2 及びPの含有量は、焙焼後の酸化物換
算量でそれぞれ60,5重量ppmであった。次に、こ
れと精製した鋼板酸洗廃液の濃縮液とを所定の比率で混
合して精製塩化物混合水溶液とし、さらに濃度20重量
%の炭酸亜鉛を含むスラリを加え直ちに820℃に設定
した焙焼炉中に噴霧し酸化焙焼した。
【0025】得られた酸化物組成は、 Fe2 O3 :35重量% スピネル:65重量% SiO2 :46重量ppm P:3重量ppm であり、X線回折ではMn2 O3 とZnO単体は観測さ
れなかった。化学分析によれば主要成分の含有量はFe
2 O3 ,MnO及びZnO換算でそれぞれ70.6,2
0.9,8.5重量%であった。
れなかった。化学分析によれば主要成分の含有量はFe
2 O3 ,MnO及びZnO換算でそれぞれ70.6,2
0.9,8.5重量%であった。
【0026】得られた酸化物粉末にSiO2 ,CaCO
3 ,Nb2 O5 及びTiO2 を添加・混合した後、造粒
・成形し1330℃で焼成した。得られたフェライト焼
結体の磁気特性は100kHz,200mT,90℃の
鉄損が246mW/cm3 であった。比較材として、高
純度のFe2 O3 、Mn3 O4 及びZnO粉末を用い、
混合・仮焼・粉砕の従来の方法で原料酸化物とし、添加
物、造粒・成形・焼成及び鉄損測定の条件を本実施例と
同一とし得られたコアの鉄損値を測定した結果、295
mW/cm3 で、本発明による酸化物によって低い鉄損
値が得られた。
3 ,Nb2 O5 及びTiO2 を添加・混合した後、造粒
・成形し1330℃で焼成した。得られたフェライト焼
結体の磁気特性は100kHz,200mT,90℃の
鉄損が246mW/cm3 であった。比較材として、高
純度のFe2 O3 、Mn3 O4 及びZnO粉末を用い、
混合・仮焼・粉砕の従来の方法で原料酸化物とし、添加
物、造粒・成形・焼成及び鉄損測定の条件を本実施例と
同一とし得られたコアの鉄損値を測定した結果、295
mW/cm3 で、本発明による酸化物によって低い鉄損
値が得られた。
【0027】〔実施例2〕実施例1と同様に製造したマ
ンガン塩化物水溶液を、精製した鋼板酸洗廃液の濃縮液
と混合した後、pHを2に調整して濾過分離を行い、得
られた精製塩化物混合水溶液にMgO粉末を所定量溶解
し噴霧焙焼を行った。焙焼に際し上記精製塩化物水溶液
の噴霧ノズルと近接し、かつ噴霧液滴同士が互に充分重
なる位置から別のノズルを通して濃度20%の酸化亜鉛
を含むスラリを同時に噴霧した。
ンガン塩化物水溶液を、精製した鋼板酸洗廃液の濃縮液
と混合した後、pHを2に調整して濾過分離を行い、得
られた精製塩化物混合水溶液にMgO粉末を所定量溶解
し噴霧焙焼を行った。焙焼に際し上記精製塩化物水溶液
の噴霧ノズルと近接し、かつ噴霧液滴同士が互に充分重
なる位置から別のノズルを通して濃度20%の酸化亜鉛
を含むスラリを同時に噴霧した。
【0028】得られた混合酸化物の組成は酸化物換算
(重量%)でFe2O3 :MgO:MnO:ZnO=6
6.9:12.5:7.5:13.1であり、X線回折
による測定ではZnO単体は観測されなかった。この粉
末を造粒・成形し、1150℃で焼成した。得られたコ
アは120kHz,100mT,100℃で0.78W
/cm3 の鉄損値を示した。
(重量%)でFe2O3 :MgO:MnO:ZnO=6
6.9:12.5:7.5:13.1であり、X線回折
による測定ではZnO単体は観測されなかった。この粉
末を造粒・成形し、1150℃で焼成した。得られたコ
アは120kHz,100mT,100℃で0.78W
/cm3 の鉄損値を示した。
【0029】なお、ZnOスラリに替えて、ZnCO3
スラリ、ZnO粉末又はZnCO3粉末を噴霧した場合
も、ZnOスラリと同様な結果を得た。比較材として、
高純度のFe2 O3 ,Mn3 O4 ,及びZnOの粉末を
用い、混合・仮焼・粉砕の従来の方法で処理し、造粒・
成形・焼成及び鉄損測定の条件を本実施例と同一として
得られたコアの鉄損値は1.60W/cm3 で、本発明
による酸化物によって低い鉄損値が得られた。
スラリ、ZnO粉末又はZnCO3粉末を噴霧した場合
も、ZnOスラリと同様な結果を得た。比較材として、
高純度のFe2 O3 ,Mn3 O4 ,及びZnOの粉末を
用い、混合・仮焼・粉砕の従来の方法で処理し、造粒・
成形・焼成及び鉄損測定の条件を本実施例と同一として
得られたコアの鉄損値は1.60W/cm3 で、本発明
による酸化物によって低い鉄損値が得られた。
【0030】〔実施例3〕実施例1と同様にして製造し
たマンガン塩化物の精製液と、精製した鋼板酸洗廃液の
濃縮液を混合して精製塩化物混合水溶液とし、これにN
iO粉末を所定量溶解した。この精製塩化物混合水溶液
に炭酸亜鉛を添加し、実施例1と同様な方法で酸化焙焼
した。
たマンガン塩化物の精製液と、精製した鋼板酸洗廃液の
濃縮液を混合して精製塩化物混合水溶液とし、これにN
iO粉末を所定量溶解した。この精製塩化物混合水溶液
に炭酸亜鉛を添加し、実施例1と同様な方法で酸化焙焼
した。
【0031】得られた粉末の生成は酸化物形態の重量%
換算でFe2 O3 :NiO:MnO:ZnO=67.
8:7.7:1.5:23.0であった。この粉末にB
i2 O3 及びCuOを添加混合し、造粒・成形後、11
50℃で焼成した。得られた焼結コアの1MHz,20
℃の初透磁率は2050であった。
換算でFe2 O3 :NiO:MnO:ZnO=67.
8:7.7:1.5:23.0であった。この粉末にB
i2 O3 及びCuOを添加混合し、造粒・成形後、11
50℃で焼成した。得られた焼結コアの1MHz,20
℃の初透磁率は2050であった。
【0032】なお、炭酸亜鉛スラリに替えて、ZnOス
ラリ、ZnO粉末又はZnCO3 粉末を混合した場合
も、炭酸亜鉛スラリを混合した場合と同様な結果を得
た。比較材として、高純度のFe2 O3 ,NiO,Mn
3 O4 及びZnO粉末を用い、混合・仮焼・粉砕の従来
の方法で原料酸化物とし、添加物、成形・焼成及び初透
磁率側の条件を本実施例と同一として得られたコアの初
透磁率は970で、本発明による酸化物によって高い初
透磁率が得られた。
ラリ、ZnO粉末又はZnCO3 粉末を混合した場合
も、炭酸亜鉛スラリを混合した場合と同様な結果を得
た。比較材として、高純度のFe2 O3 ,NiO,Mn
3 O4 及びZnO粉末を用い、混合・仮焼・粉砕の従来
の方法で原料酸化物とし、添加物、成形・焼成及び初透
磁率側の条件を本実施例と同一として得られたコアの初
透磁率は970で、本発明による酸化物によって高い初
透磁率が得られた。
【0033】
【発明の効果】塩化物混合水溶液を噴霧酸化焙焼するフ
ェライト原料用酸化物の製造方法において、 (1)マンガン源として、マンガン塩化物の使用、ある
いは金属マンガン又はマンガン・鉄合金の塩酸による溶
解に替えて、溶融状態のマンガン又はマンガン鉄合金に
酸素含有気体を吹着け又は吹込むことによって生成した
マンガン酸化物微粒子を塩酸に溶解したことにより、経
済的、かつ溶解作業及び不純物の除去が容易になった。
ェライト原料用酸化物の製造方法において、 (1)マンガン源として、マンガン塩化物の使用、ある
いは金属マンガン又はマンガン・鉄合金の塩酸による溶
解に替えて、溶融状態のマンガン又はマンガン鉄合金に
酸素含有気体を吹着け又は吹込むことによって生成した
マンガン酸化物微粒子を塩酸に溶解したことにより、経
済的、かつ溶解作業及び不純物の除去が容易になった。
【0034】(2)亜鉛源として、亜鉛塩化物の使用に
替えて、酸化亜鉛又は酸化焙焼温度で酸化亜鉛に変る亜
鉛化合物を用いたことにより、亜鉛の逸散がなく、原料
粉末を混合・仮焼・粉砕する従来の方法に比較し、磁気
特性の優れたフェライトを焼成し得る材料酸化物を製造
することができる。
替えて、酸化亜鉛又は酸化焙焼温度で酸化亜鉛に変る亜
鉛化合物を用いたことにより、亜鉛の逸散がなく、原料
粉末を混合・仮焼・粉砕する従来の方法に比較し、磁気
特性の優れたフェライトを焼成し得る材料酸化物を製造
することができる。
Claims (3)
- 【請求項1】 ソフトフェライトを構成する主要元素を
含む塩化物水溶液を噴霧酸化焙焼するに際し、酸素又は
酸素を含む気体を、溶融状態のマンガン又はマンガン鉄
合金に吹付けるか又は吹込んでマンガン酸化物微粒子を
生成させ、該微粒子を塩酸に溶解してマンガン塩化物の
水溶液とし、該水溶液を精製して不純物を除去したのち
鉄の塩化物を混合して精製塩化物混合水溶液とし、該精
製塩化物混合水溶液に、酸化亜鉛又は噴霧酸化焙焼温度
にて酸化亜鉛に変る亜鉛化合物の粉末又はスラリを混合
して噴霧酸化焙焼することを特徴とするソフトフェライ
ト用原料酸化物の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1記載のマンガン塩化物の水溶液
に鉄の塩化物を混合し、該混合水溶液を精製して不純物
を除した精製塩化物混合水溶液とし、該精製塩化物混合
水溶液に、酸化亜鉛又は噴霧酸化焙焼温度にて酸化亜鉛
に変る亜鉛化合物の粉末又はスラリを混合して噴霧酸化
焙焼することを特徴とするソフトフェライト用原料酸化
物の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載の精製塩化物混合水
溶液と、酸化亜鉛又は噴霧酸化焙焼温度にて酸化亜鉛に
変る亜鉛化合物の粉末又はスラリとを、別個かつ同時に
噴霧酸化焙焼炉に供給することを特徴とするソフトフェ
ライト用原料酸化物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3266033A JP2933763B2 (ja) | 1991-10-15 | 1991-10-15 | ソフトフェライト用原料酸化物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3266033A JP2933763B2 (ja) | 1991-10-15 | 1991-10-15 | ソフトフェライト用原料酸化物の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05105452A JPH05105452A (ja) | 1993-04-27 |
JP2933763B2 true JP2933763B2 (ja) | 1999-08-16 |
Family
ID=17425457
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3266033A Expired - Fee Related JP2933763B2 (ja) | 1991-10-15 | 1991-10-15 | ソフトフェライト用原料酸化物の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2933763B2 (ja) |
-
1991
- 1991-10-15 JP JP3266033A patent/JP2933763B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05105452A (ja) | 1993-04-27 |
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