JP2933482B2 - 石炭の液化方法およびその装置 - Google Patents

石炭の液化方法およびその装置

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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、原料石炭および溶剤か
らなる石炭スラリーを水素加圧下で加熱しながら行なう
石炭の液化方法およびその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、石油資源の枯渇およびたびたびの
価格の高騰に伴って代替エネルギー開発の必要性に対す
る認識が高まっている。その代替エネルギーとして、石
油と同じ化石燃料である石炭が注目されており、石炭を
液体状態にして使用するための石炭液化技術の研究が数
多くなされている。
【0003】こうした石炭液化方法の一例として、石
炭、溶剤、および触媒を混合して調製したスラリーを高
温、高圧条件で触媒の存在下、水素添加により水素化分
解し、得られた液化油を軽質油、中質油、重質油(未反
応成分を含む)に分離し、得られた該液化油のうち、重
質油は水素化反応処理して再び石炭スリラーを調製する
ための溶剤として循環利用する石炭液化方法などが良く
知られている。こうした石炭の液化においては、石炭液
化用溶剤に石炭液化反応によって生成した重質成分油を
水素化処理したものを用い、これと原料石炭および触媒
などを混合してスラリーを調製した後、液化反応に供す
ることにより、該石炭液化用溶剤の水素供与能力の増大
による液化反応時の水素移動の円滑化を図り、もって液
化反応を促進することとしているものである。
【0004】図2は、従来技術として開示されている石
炭液化方法における石炭液化装置の一実施態様を示す概
略図である。
【0005】図2より、従来法における石炭液化反応装
置51の構成としては、石炭貯蔵槽2、溶剤貯蔵槽3、
および触媒貯蔵槽4が設けられ、これらはすべて配管
5、6および7により攪拌機8を備えてなる石炭スラリ
ー調製槽9の槽頭部にそれぞれ連結されている。また、
石炭スラリー調製槽9の槽底部は、単一流動層型の空胴
塔の石炭液化反応塔10の塔底部に配管11で連結され
ており、配管11の経路上には、高圧ポンプ12が設け
れている。さらに水素貯蔵槽13に配管14が連結さ
れ、配管14の他端は高圧水素ガスが供給できるように
高圧ポンプ12より反応塔10側の配管11経路上に設
けられた3ポート切替弁15に連結されている。
【0006】また、3ポート切替弁15より反応塔10
側の配管11の外周部には加熱器16が設けられてい
る。次に石炭液化反応塔10の塔頭部は分離器17の上
部に配管18により連結されている。さらに分離器17
の上部が蒸留塔19に、分離器17の下部が減圧蒸留塔
20の塔上部にそれぞれ配管21、22により連結さ
れ、蒸留塔19の塔頭部および塔底部が生成ガス捕集器
23、軽中質油捕集器24および水捕集器25にそれぞ
れ配管26、27および28により連結されている。
【0007】一方、減圧蒸留塔20の塔底部が残渣捕集
器29に、減圧蒸留塔20の塔頭部が水素化反応塔30
の塔頭部にそれぞれ配管31および32で連結され、水
素化反応塔30の塔底部が溶剤貯蔵槽3と配管33で連
結されている。
【0008】上記構成を有する石炭液化反応装置51を
用いて石炭液化を行う方法について詳述する。
【0009】まず、石炭貯蔵槽2から原料石炭、溶剤貯
蔵槽3から石炭液化用の循環溶剤がそれぞれ配管5、6
を通じて石炭スラリー調製槽9に送られ、さらに触媒貯
蔵槽4より、液化油収率を上げるために、触媒が同時に
配管7を通じて、通常常圧下で60〜80℃程度に加温
されたスラリー調製槽9に搬送され、攪拌機8を用いて
混合され、石炭スラリーが調製される。
【0010】ここで、石炭貯蔵槽2に貯蔵される原料石
炭としては、石炭液化反応で水素化および水素化分解反
応を行わせるために、石炭中に含まれる約10〜20重
量%の水分を通常1〜2重量%まで乾燥した後、150
μm以下の粒度の石炭粒子の収率が80重量%以上とな
るように粉砕された石炭である。該石炭の粉砕には、ロ
ッドミル、ボールミル、振動ミル、ディスクミルなどの
いずれの粉砕機をも用いることができる。
【0011】上記石炭スラリーの濃度は、上記原料石炭
の乾燥重量に対する前記溶剤の重量比(溶剤/原料石
炭)で通常、1.0〜3.0程度の範囲であり、触媒の
添加量は、無水、無灰基準の原料石炭に対して通常1〜
5重量%程度の範囲となるように調整される。
【0012】また、触媒としては、主に比較的安価で入
手が容易な鉄系触媒が用いられており、具体的には、人
工的に合成された硫化鉄触媒や天然の鉄鉱石触媒、ある
いは天然パイライト等が用いられる。
【0013】こうして得られた石炭スラリーは、高圧ポ
ンプ12で150〜190kg/cm2 まで昇圧した後
に、水素貯蔵槽13より同じ圧力の高圧水素ガスを、該
高圧水素ガスの体積と石炭スラリーの重量比(ガス液
比)が500〜900ノルマルリッター/kgの範囲と
なるように調節して供給し、水素雰囲気とし、さらに加
熱器16により400〜430℃に加熱された後、単一
流動層型の空胴塔の石炭液化反応塔10の塔下部より装
入され、空胴塔内で乱流のスラリー流動層を形成させつ
つ、反応塔10内を通常0.5〜1.5時間かけて塔内
を上昇させながら活性化された水素ガスと反応させて水
素化および水素化分解させる。
【0014】この際の水素化分解は、通常、反応温度が
430〜470℃、圧力が150〜190kg/cm2
で行われ、かかる分解反応によって原料石炭の液化反応
が進行する。
【0015】石炭液化反応後の生成物は、配管18を通
じて分離器17に送られ、分離器17によって、生成ガ
ス、水、および軽中質油成分(通常、炭素数が5つの脂
肪族炭化水素化合物および沸点260℃未満の成分)と
重質油成分(通常、沸点が260℃以上538℃未満の
成分)、および残渣成分(沸点538℃以上の成分)に
分離される。このうち、生成ガス、水、および軽中質油
成分は配管21を通じて蒸留塔19に送られ、生成ガ
ス、水、および軽中質油成分に分離され、生成ガス捕集
器23、軽中質油捕集器24および水捕集器25に分離
捕集される。
【0016】さらに、軽中質油成分は蒸留操作によって
必要に応じて軽質油と中質油に分離され、それぞれ所定
の製品油として回収することができる。
【0017】一方、重質油および残渣からなる成分は、
配管22を通じて減圧蒸留塔20に送られ、該減圧蒸留
塔20で減圧蒸留(0.01〜0.1kg/cm2 まで
減圧)され、538℃以上の沸点を持つ成分は液化残渣
として配管31を通じて残渣捕集器29に排出される。
【0018】他方、沸点260℃以上538℃未満の沸
点留分の重質油は、配管32経路上に設けられた高圧ポ
ンプ(図示せず)および加熱器(図示せず)により、高
温高圧に保持され、Ni(ニッケル)−Mo(モリブデ
ン)等の触媒を充填した固定床の水素化反応塔30に送
られ、水素雰囲気下において、通常300〜400℃で
90〜160kg/cm2 下で水素化反応塔30で通常
0.8〜1.2時間、水素ガスと反応させて水素化反応
を行うことにより水素供与性を高めてなる液化溶剤を生
成することができる。得られた液化溶剤は、配管33を
通じて溶剤貯蔵槽3に戻すことにより、石炭液化用溶剤
として再び原料石炭と混合されるものである。
【0019】こうした従来法における石炭液化方法およ
びその装置では、石炭液化のために触媒を使用して分子
状水素を活性化するのが一般的である。すなわち、現在
の石炭液化方法では、触媒という第三の物質の添加が必
要である。こうした触媒は、石炭液化反応塔10で原料
石炭に水素ガスを反応させて水素化分解させる際に使用
した後、生成物と共に分離器17、さらには減圧蒸留塔
20に送られ、最終的には残渣成分として残渣捕集器2
9に集めた後に除去する方法が一般的である。これは触
媒が沸点が538℃以上の残渣成分中に散在しており、
これらを簡単な方法により分離する方法が現在見いださ
れておらず、こうした残渣の中からあえて触媒を回収し
ようとすると、新たに触媒を購入するよりコストがかか
るなど実用的でなく、現在提案されている石炭の液化方
法では、こうした触媒を使い捨てとすることを前提とし
て用いているのが現状である。
【0020】しかしながら、こうした触媒は一般に市販
されているような鉄系触媒でも、原料石炭に対して非常
に高価であり、これが液化油生産のコスト高につながっ
ており、また、石炭液化プロセスが商業化されない理由
の一つである。そのため、高性能で廉価な触媒の研究開
発が行われているが、目下のところ性能と価格の両方を
満足する結果は得られておらず、上記石炭液化方法にお
ける一つの課題となっていることから、液化油コスト低
減のために従来用いられている鉄系触媒等に替わる廉価
で高性能な触媒物質、あるいは新規な触媒代替材料の開
発が求められている。
【0021】上記の目的を達成するために、本発明者ら
は鋭意研究を重ねた結果、従来から実施されている触媒
物質を添加することなく、分子状の水素を解離させて活
性化してなる石炭液化方法およびその反応装置について
金属パラジウムが有するある種の触媒作用を利用する方
法を見いだした(特願平5−072271号)。
【0022】その要旨とするところは、金属パラジウム
(パラジウム合金を含む、以下同じ)が分子状水素を解
離して原子状とする能力を有することを利用したもので
ある。すなわち、金属パラジウムの一方(A)側から加
圧状態にした分子状の水素ガスを供給することで、金属
パラジウムの(A)側の表面で原子状水素に解離し、該
原子状水素がパラジウム金属のバルク内を反対側(B)
に向かって透過して行き、該原子状水素がパラジウム金
属(B)側の表面に到達した時点で再結合して、再び安
定な分子状水素となる前に、(B)側に該原子状水素と
反応可能な物質である石炭あるいは液化溶剤が存在する
と、化学的に活性状態にある(すなわち、反応性の高
い)原子状水素と反応することができ、これにより石炭
液化反応を行うことができるとするものである。この知
見により、石炭液化反応装置(反応塔)内に金属パラジ
ウム細管を設置し、該パラジウム細管内部に分子状水素
を加圧状態で供給し、パラジウム細管の外表面に原子状
水素が透過した瞬間に石炭スラリーとの水素化反応を行
なわせることで、従来法のように触媒物質を使用するこ
となく、また、パラジウム細管は使い捨てることなく長
期間何度でも利用することができ、低コスト化が図れる
と共に、パラジウムにより生成される水素は反応性が高
く液化反応の効率を向上できることから、液化油収率を
高めることができることにより、液化油コストの低減が
図れる。
【0023】また、その一実施態様を図3を用いながら
説明すると、石炭液化反応塔10として、単一流動層型
の空胴塔を設ける代わりに、石炭液化反応塔10とし
て、単一流動層型の空胴塔内部に金属パラジウムの細管
41が複数設置されており、パラジウム細管41には配
管42が接合されており、配管42の他端には水素貯蔵
槽43が連結され、さらに配管42経路上にガス量調整
用バルブ44が設けられている以外の構成は、上述した
図2に示す石炭液化装置51と同様の構成を有するもの
である。なお、図3において、図2に示す石炭液化装置
51における構成部材と同一の構成部材には同一の符号
を付してある。
【0024】パラジウム細管41からの活性化された原
子状水素の供給量としては、この原子状水素の供給量に
対する石炭スラリーの比(ガス液比)で、通常100〜
350ノルマルリッター/kgであり、また、パラジウ
ム細管41の内部圧力(P1)と上記系内圧力(P2
との圧力差(ΔP=P1 −P2 )は、通常0.3〜2.
0kg/cm2 である。
【0025】上述の方法による石炭液化反応では、金属
パラジウム表面で分子状水素を原子状水素に解離させ、
金属バルク内を透過させ、非常に反応活性の高い原子状
水素を発生でき、従来の触媒物質を用いる場合と比較し
て反応効率が向上し、目的とする液化油の収率を増加さ
せることができる。このようなパラジウム細管を液化反
応用の容器内に設置する方法としては、例えば図3に示
したように、反応容器内部の石炭スラリー中に浸漬する
方法がある。このような方法で使用することは発生期の
原子状水素を石炭スラリーと効率良く反応させる上で有
効な方法である。
【0026】また、従来の使い捨て触媒の使用なしで、
または使用量を大幅に少なくすることができ、さらに、
従来法による高温高圧条件によらず、比較的低温低圧条
件下で目的とする反応を行なうことができ、目的の液化
油収率を増加させることができるため、その経済的、技
術的効果が極めて大きい。ここで高価な金属であるパラ
ジウムの使用量を極力少なくするためには、多孔質セラ
ミックスなどに蒸着する方法が良い。多孔質セラミック
スを使用するのは解離した原子状水素が透過しやすくす
るためである。また、該セラミックス内に金属ネットが
設けてあるのは機械的強度を確保するためである。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】ところで、反応容器内
部の金属表面には通常液化反応中に様々なものが沈積、
または付着するのが一般的である。これは、該パラジウ
ム細管表面においても例外ではない。このように活性水
素の発生源となる該パラジウム細管の表面が沈積物等で
覆われることは、反応の効率を維持することができなく
なり、特願平05−072271号が目的とする効果が
得られなくなり問題である。
【0028】上記の問題点に鑑み、本発明の目的は、石
炭スラリー中に浸漬した金属パラジウム細管の外表面に
付着物あるいは沈澱物が生成するのを防止する方法およ
びその反応装置を提供するものである。
【0029】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために、石炭スラリー中に浸漬した金属パ
ラジウム細管の外表面に付着物あるいは沈澱物が生成す
るのを防止する方法およびその反応装置についいて鋭意
研究した結果、金属パラジウム細管に一定の条件を満た
す振動を付与することにより、石炭スラリーの液化反応
中に該パラジウム細管の外表面に付着物あるいは沈澱物
の生成を防止できることを見いだし、この知見に基づき
本発明を完成するに至ったものである。
【0030】すなわち、本発明の石炭液化方法は、
(1)原料石炭および溶剤を含有してなるものを混合し
て石炭スラリーとし、該石炭スラリー中で金属パラジウ
ム細管内に分子状水素を加圧状態で供給して、前記パラ
ジウム細管の外表面に原子状水素を発生させ、該原子状
水素と前記石炭スラリーを反応させて液化する石炭液化
方法において、前記パラジウム細管を振動させて、該パ
ラジウム細管の外表面に未反応石炭および重質の反応生
成物の沈積および付着を防止することを特徴とする。
【0031】一方、本発明の石炭液化装置は、(2)原
料石炭および溶剤を含有する石炭スラリー中で、加圧状
態の分子状水素が内部供給されているパラジウム細管の
外表面に発生する原子状水素との反応により前記石炭ス
ラリーを液化する石炭液化装置において、前記パラジウ
ム細管の一端に超音波発振器および/または電磁式振動
装置を設置してなることを特徴とする。
【0032】ここで、細管とは内径2〜5mmの管と定
義する。このような金属パラジウム細管を用いることに
より、石炭を液化する際に触媒を使用することなしに、
あるいは使用する触媒の量を減らすことが可能である。
【0033】
【作用】本発明は、硫化鉄など触媒の代わりに、分子状
水素を反応性の高い活性な原子状水素に解離して透過す
る作用を有する金属パラジウムの細管を石炭スラリー中
で使用する際に、石炭液化反応中に石炭スラリー中に設
置されたパラジウム細管の外表面に付着する未反応石
炭、重質の反応生成物等の物質の沈積および付着を防止
することで、金属パラジウムの分子状水素の解離作用を
利用して石炭液化する際の効率を長期に渡って高効率に
維持することができ、液化油コストの低減に大いに寄与
し得る石炭液化方法およびその装置である。
【0034】パラジウム細管に振動を付与することによ
って、1)パラジウム細管の外表面近傍に存在する流体
に激しい流動を生じせしめ、この流体が攪拌効果を生み
出して、パラジウム細管の表面に沈積物および付着物が
生成するのを防止する。また、2)液体に接するパラジ
ウム細管に振動という一定の振幅を持つ往復運動を与え
ることは、液体に対してせん断力を外力として与えるこ
とであり、この外力が金属パラジウム細管の表面とその
表面に沈積および付着している物質の結合力(吸着力あ
るいは付着力)以上である場合には、沈積物および付着
物は金属パラジウム細管の外表面から脱離するものであ
る。
【0035】以下に、本発明におけるパラジウム細管へ
の振動の付与方法について説明する。
【0036】本発明に用いられる振動付与装置の振動形
態としては、特に限定されるものでなく、金属パラジウ
ム細管の長手方向に対して平行な方向へ往復運動する振
動、垂直な方向へ往復運動する振動、あるいはこれらの
振動が混在した振動等が挙げられる。振動の周波数およ
び振幅については、付着を防止したい物質の性質によっ
て決定すればよいが、振動の周波数については概ね10
0Hz〜100kHz、好ましくは15kHz〜40k
Hzの範囲であり、振動の振幅については10〜100
μm、好ましくは20〜30μmの範囲である。これ
は、あまり振動周波数が低い振動振幅の小さい場合には
振動付与による付着防止効果が得られなくなり、また、
あまり振動周波数の高い場合や、振動振幅の大きい場合
には、振動のために投入するエネルギーの過剰による無
駄が生じたり、材料の寿命を短くする理由による。
【0037】また、振動を与える装置としては、上述の
振動数および振幅を出力できる装置ならどれでも良く、
例えば超音波発振器や電磁式振動装置がある。
【0038】
【実施例】図1は、本発明に係る石炭液化装置の一実施
態様の構成を模式的に表わす使用状態図である。
【0039】図1に示すように、本発明の実施例で用い
られた石炭液化反応装置1の構成としては、石炭液化反
応塔10として、単一流動層型の空胴塔を設ける代わり
に、石炭液化反応塔10として、単一流動層型の空胴塔
内部に、片端に振動付与装置45を有する金属パラジウ
ム細管41が複数設置されており、該パラジウム細管4
1には配管42が接合されており、配管42の他端には
水素貯蔵槽43が連結され、さらに配管42経路上にガ
ス流量調節用バルブ44が設けられている以外の構成
は、上述した図2に示す従来法による石炭液化装置51
と同様の構成を有するものである。なお、図1におい
て、図2に示す石炭液化装置51における構成部材と同
一の構成部材には同一の符号を付してある。
【0040】上記の構成を有する石炭液化反応装置1を
使用して、本発明の方法に基づいて石炭を液化して液化
油などを得るための手順は、特願平05−072271
号に述べてあるのと同様の方法で行なえば良い。
【0041】図4は、本発明に用いられる振動付与装置
45の金属パラジウム細管41への接続および石炭液化
反応塔10内への接続の一実施態様を示す概略図であ
り、パラジウム細管の長手方向に対して平行な方向へ往
復運動する振動を付与する場合である。図4では、振動
付与装置45はSUS製のシャフト34を介してパラジ
ウム細管41に接続されている。シャフト34の振動が
液化反応塔10内に設置されたパラジウム細管41に伝
達されるようにするために、シャフト34と液化反応塔
容器壁36とはOリング37によって固定されている。
さらに、金属パラジウム細管41とパラジウム細管41
へ分子状水素を供給するための配管42は、螺旋状の形
状をした配管35によって接続されており、パラジウム
細管の振動が妨げられないような構造としてある。
【0042】また、本実施例に用いたパラジウム細管の
断面構造は、図5に示すような積層断面構造を有するも
のである。図5では、多孔性セラミック材61および6
3をSUS製のネット62で補強し、一方の多孔性セラ
ミック材63の表面をPd−Ag合金を蒸着してPd−
Ag合金蒸着膜64を形成した多層積層構造としたもの
である。
【0043】以下の実施例においては、先ず原料石炭
は、表1に示す性状を有する瀝青炭をロッドミル粉砕機
を用いて、粒子径が150μm以下の割合が80重量%
以上になるように粉砕し、80℃において5mmHg以
下の真空中で120分間乾燥処理して使用した。また、
触媒は二硫化鉄(市販の第1級品)を用いた。溶剤は、
予め図2に示した従来の方法で液化反応を行なって得ら
れた液化油のうち、蒸留処理で得られる重質留分(沸点
250℃以上500℃未満)の成分を水素化処理して得
られたものを用いた。
【0044】
【表1】
【0045】石炭スラリー中の石炭と溶剤の重量比は
2:3とし、触媒は石炭の乾燥重量に対して、実施例1
〜3については0.9重量%添加し、実施例4について
は触媒を使用しなかった。
【0046】また、石炭スラリー調製槽9内の温度は約
80℃に保持した。石炭スラリーを高圧ポンプ12によ
って液化反応塔10内の圧力が8kg/cm2 となるよ
うに昇圧した後に、水素貯蔵槽13より同じ圧力の高圧
還元ガスを供給して還元雰囲気とし、さらに加熱器16
により320℃一定となるように加熱された後、単一流
動槽型の空胴塔の石炭液化反応塔10の塔底部より、ス
ラリー装入速度が約700kg/hr/m3 で装入し
た。この場合、該パラジウム細管41の内部圧力
(P1 )と該石炭液化反応塔10内部の圧力(P2 )と
の圧力差ΔPは1kg/cm2 となるように調整した。
【0047】上記の条件で石炭液化反応装置1を連続的
に運転し、振動付与装置45として超音波発振器を用い
て振動付与条件を変化させて以下に示す各実施例の液化
反応を行なった。
【0048】所定の条件で反応を行った後に、パラジウ
ム細管を取り外し、トルエン溶剤で沈積物および付着物
のうち、溶剤可溶成分を除去する。その後、大気中で自
然乾燥してから重量W2 を測定し、反応塔内に装着する
前の該パラジウム細管の重量W1 との差(ΔW=W2
1 )をパラジウム細管への沈積物および付着物の量と
した。
【0049】実施例1 図6に、反応時間を種々変化させた場合の該パラジウム
細管へ付着する物質の重量を振動を付与した場合と付与
しない場合で比較した結果を示す。図6において、横軸
は反応装置の運転時間を表わし、縦軸はパラジウム細管
への付着割合(ΔW/W1 )を表わしている。また、振
動の条件は、周波数1kHz、振幅25μmであり、振
動は液化反応を行なっている間は連続して付与した。
【0050】図6により、240時間までの連続運転を
行なったが、振動を付与しない場合には反応時間が長く
なるに従って付着物の重量が増加するのに対して、振動
を付与した場合には付着物の重量増加はほとんど認めら
れず、振動を付与することによって未反応石炭および重
質反応生成物の金属パラジウム細管の外表面への沈積お
よび付着を防止できることが確認できた。
【0051】実施例2 図7に、振動付与装置45である超音波発振器の振動数
を種々変化させた場合の該パラジウム細管への付着物の
付着状況を調べた結果を示す。振幅は25μmとした。
図7において、横軸は振動の周波数を示す。縦軸は実施
例1と同様に付着物の付着割合(ΔW/W1 )を示して
いる。また、液化反応装置の運転時間は240時間であ
り、振動は液化反応を行なっている間は連続して付与し
た。
【0052】図7より、振動の周波数を1Hzから20
kHzの範囲で変化させたが、振動の周波数が高くなる
につれて付着割合は急激に小さくなり、100Hz以上
の領域では付着は全く起こっていない。ただし、付着が
全く起らない振動数の周波数領域は、パラジウム細管の
外表面や付着する物質の性状によって変化する可能性の
あることは言うまでもない。
【0053】実施例3 表2に、超音波発振器によるパラジウム細管への振動の
付与を間欠的に実施した場合の該パラジウム細管への付
着物の付着状況を調べた結果を示す。本実施例において
は、ある一定時間(振動付与時間T1 )振動を付与した
後に、一定時間(振動非付与時間T2 )振動を停止し、
さらにその後、振動を時間T1 だけ付与して時間T2
け停止するという操作を液化反応装置の運転時間におい
て連続的に繰り返した。また、振動の条件は、周波数1
kHz、振幅は25μmとした。液化反応装置の運転時
間は240時間である。
【0054】
【表2】
【0055】表2より、振動が連続的に付与されていな
くてもパラジウム細管の外表面への付着物質の生成を防
止できることが確認できた(ケース1、ケース2)。
【0056】なお、振動を付与しない時間が10分を越
える場合(ケース3)と、振動非付与時間が10分以内
でも振動付与時間が1分内である場合(ケース4)では
若干の付着が認められており、パラジウム細管の外表面
や付着する物質の性状に合った振動付与条件を選択する
必要があることは言うまでもない。
【0057】実施例4 図8に、反応時間を種々変化させた場合の該パラジウム
細管へ付着する物質の重量を振動を付与した場合と付与
しない場合で比較した結果を示す。本実施例においては
触媒を使用していないこと以外の条件は実施例1と同様
である。図8において、横軸は反応装置の運転時間を表
わし、縦軸はパラジウム細管への付着割合(ΔW/
1 )を表わしている。振動付与装置としては電磁式振
動装置を用いた。また、振動の条件は、周波数1kHz
であり、振動は液化反応を行なっている間は連続して付
与した。
【0058】図8より、240時間までの連続運転を行
なったが、振動を付与しない場合には反応時間が長くな
るに従って付着物の重量が増加するのに対して、振動を
付与した場合には付着物の重量増加はほとんど認められ
ず、触媒を使用しない場合においても、振動を付与する
ことによって未反応石炭および重質反応生成物の金属パ
ラジウム細管の外表面への沈積および付着を防止できる
ことが確認できた。
【0059】
【発明の効果】本発明の石炭液化反応では、パラジウム
細管に振動を付与することで、石炭スラリーの液化反応
中にパラジウム細管の外表面への未反応石炭、重質の反
応生成物等の物質の沈積および付着を防止することがで
き、パラジウムが分子状水素を解離する触媒作用を利用
した特願平05−072271号の石炭液化方法の効果
を長期に渡って高効率に維持することができ、その経済
的、技術的効果が極めて高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る石炭液化装置の一実施態様の構
成を模式的に表わす図である。
【図2】 従来の石炭液化方法の一実施態様を示す概略
図である。
【図3】 金属パラジウムの触媒作用を利用する石炭液
化方法の一実施態様を示す概略図である。
【図4】 本発明の金属パラジウム細管の振動付与装置
の一実施態様を示す概略図である。
【図5】 本発明の実施例で用いたパラジウム細管の積
層断面構造の一実施態様を示す概略図である。
【図6】 本発明の実施例における反応時間と金属パラ
ジウム細管の外表面への沈積物および付着物の量との関
係を示すグラフである。
【図7】 本発明の実施例における振動数と金属パラシ
ム細管の外表面への沈積物および付着物の量との関係を
示すグラフである。
【図8】 本発明の他の実施例における反応時間と金属
パラジウム細管の外表面への沈積物および付着物の量と
の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1、51、52…石炭液化反応装置、 2…石炭貯蔵
槽、3…溶剤貯蔵槽、 4…触媒
貯蔵槽、5〜7、11、14、18、21、22、26
〜28、31〜33および42…配管、8…攪拌機、
9…石炭スラリー調製槽、1
0…石炭液化反応塔、 12…高圧ポン
プ、13、43…水素貯蔵槽、 15、4
7…3ポート切換弁、16…加熱器、
17…分離器、19…蒸留塔、
20…減圧蒸留塔、23…生成ガス捕集器、
24…軽中質油捕集器、25…水捕集
器、 29…残渣捕集器、30…
水素化反応塔、 34…シャフト、3
5…螺旋状配管、 36…液化反応
塔容器壁、37…Oリング、 4
1…パラジウム細管、44…ガス流量調節用バルブ、
45…振動付与装置、61、63…多孔性セラ
ミック材、 62…SUS製のネット、64…Pd
−Ag合金蒸着膜。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料石炭および溶剤を含有してなるもの
    を混合して石炭スラリーとし、該石炭スラリー中で金属
    パラジウム細管内に分子状水素を加圧状態で供給して、
    前記パラジウム細管の外表面に原子状水素を発生させ、
    該原子状水素と該石炭スラリーを反応させて液化する石
    炭液化方法において、前記パラジウム細管を振動させる
    ことを特徴とする石炭液化方法。
  2. 【請求項2】 原料石炭および溶剤を含有する石炭スラ
    リー中で、加圧状態の分子状水素が内部供給されている
    パラジウム細管の外表面に発生する原子状水素との反応
    により前記石炭スラリーを液化する石炭液化装置におい
    て、前記パラジウム細管の一端に振動付与装置を設置し
    てなることを特徴とする石炭液化装置。
  3. 【請求項3】 前記振動付与装置が、超音波発振器およ
    び/または電磁式振動装置である請求項2に記載の石炭
    液化装置。
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