JP2933434B2 - レベル計測装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、構造物の不同沈下の計
測など、複数地点のレベル変動を監視するレベル計測装
置の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】フローティング基礎の上に構築した構造
物の不同沈下の計測など、複数地点のレベル変動を監視
する装置として、水面レベルを連続的に検出する基準マ
ノメータと、所定の水面レベルを検出する数多くの変位
マノメータとを連通管を介して相互に連通し、この連通
管に連続的に注水することにより、変位マノメータを配
置した計測点のレベルを計測する装置が提案されている
（特開平２−１１５７１２号）。

【０００３】

【発明の課題】ところが、この装置の場合、計測対象範
囲が広いと連通管内の摩擦損失を許容範囲に抑えるため
に計量時の給水量を小さくしなければならず、結果とし
て計測に時間がかかるという問題があった。また、不同
沈下量のばらつきが大きい場合やあらかじめ段差のつい
た構造物の不同沈下を測定する場合には、すべての計測
点をカバーできるように基準マノメータの計測レベル範
囲や変位マノメータの許容水位の範囲を大きく設定する
必要があり、必然的に各マノメータの全長が長くなると
いう問題があった。

【０００４】このような問題を解決するため、計測点を
複数のブロックに分割し、各ブロックごとに基準マノメ
ータを設けてブロック単位でレベル計測を行う一方、各
ブロックに設定した比較基準点に比較マノメータを設
け、これらの比較マノメータを相互に連通させることに
よりブロック間の相対レベル差を検出し、この相対レベ
ル差に応じて各ブロックにおけるレベル計測結果を補正
するようにした計測装置も提案されている（特開平２−
２４５６０９号）。

【０００５】しかしながら、この装置の場合には各比較
マノメータは水面レベルを連続的に検出する基準マノメ
ータと同等の機能を持ち、さらに全ブロックをカバーす
るレベル計測範囲を備える必要があった。また、比較マ
ノメータへの給水系統を各ブロックへの給水系統とは別
に設ける必要があった。このため、構成が複雑で設備に
要するコストが高いという問題があった。

【０００６】本発明は、以上のような問題点を解決すべ
くなされたもので、簡易な構成で広範囲のレベル計測を
行うことを目的とする。

【０００７】

【課題を達成するための手段】本発明は、水面レベルを
連続的に計測する基準マノメータと、所定の水面レベル
を検出する数多くの変位マノメータとを連通管を介して
相互に連通し、この連通管に連続的に注水することによ
り変位マノメータを配置した各計測点の高さを逐次検出
するレベル計測装置において、計測点を複数ブロックに
分割し、各ブロックに一つずつ基準マノメータを設置
し、同一ブロック内の各変位マノメータと基準マノメー
タとを連通する連通管をブロックごとに独立して備える
とともに、各ブロックの少なくとも一つの変位マノメー
タに、隣接するブロックの連通管のみに連通する比較用
の変位マノメータを一体に支持している。

【０００８】また、各ブロックの複数の変位マノメータ
に、隣接するブロックの連通管にのみ連通する同数の比
較用の変位マノメータをそれぞれ一体に支持している。

【０００９】

【作用】各ブロックの少なくとも一つの変位マノメータ
に、隣接するブロックの連通管のみに連通する比較用の
変位マノメータを一体支持したので、これらの二つの変
位マノメータによる計測レベルの差からブロック間の相
対レベル差が求まる。各ブロックで計測された各計測点
のレベルをこの相対レベル差に基づき補正することによ
り２つのブロックの全計測点のレベルが同一の基準マノ
メータに基づくレベルとして求められる。さらに隣接す
る別のブロックに対して同様の計測を行うことにより、
全ブロックの計測点のレベルを同一の基準マノメータに
基づいて計測することができる。

【００１０】また、各ブロックの複数の変位マノメータ
に比較用の変位マノメータを一体支持することにより、
ブロック間の相対レベル差をより高精度に求めることが
できる。

【００１１】

【実施例】図１及び図２に本発明の実施例を示す。

【００１２】図１において、計測点は３つのブロック
（ａ），（ｂ），（ｃ）に分けられ、各ブロックに一基
ずつの基準マノメータ１が設けられ、各ブロック内の数
多くの計測点に変位マノメータ３がそれぞれ設けられ
る。同一ブロック内の基準マノメータ１と変位マノメー
タ３はブロックごとに設けた連通管２を介して相互に連
通する。

【００１３】各ブロックの連通管２は注水弁４を介して
給水装置に接続され、排水弁５を介してドレーンに接続
される。

【００１４】基準マノメータ１は連通管２から内部に導
かれた水の水位に応じた水位信号を信号回路８を通じて
ローカルコントローラ１０に出力する。

【００１５】また、変位マノメータ３は連通管２から内
部に導かれた水の水位が所定位置に達すると水位検出信
号を信号回路７を通じてローカルコントローラ１０に出
力する。

【００１６】なお、上記機能を備える基準マノメータ並
びに変位マノメータは前述の特開平２−１１５７１２号
によって既に公知である。

【００１７】ブロック（ｂ）に備えた変位マノメータ３
のうちのひとつには結合ブラケット９を介して比較用の
変位マノメータ１２が一体に支持される。

【００１８】この変位マノメータ１２はブロック（ｂ）
の連通管２からは遮断され、ブロック（ａ）から導かれ
た連通管２のみに連通する。この変位マノメータ１２の
設置位置は、ブロック（ｂ）の変位マノメータ３のうち
ブロック（ａ）の近くに位置するものを選択すれば良
い。変位マノメータ１２の構成は変位マノメータ３と同
一である。

【００１９】ブロック（ｃ）にも同様にしてブロック
（ｂ）の近くの変位マノメータ３を選んで、比較用のマ
ノメータ１２を一体に配設し、ブロック（ｂ）から導い
た連通管２のみを接続する。

【００２０】ローカルコントローラ１０は各ブロックご
とに設けられ、信号回路７で接続された各変位マノメー
タ３及び１２から入力される水位検出信号と、信号回路
８で接続された基準マノメータ１から入力される水位信
号とに基づき各計測点のレベルを検出する。ローカルコ
ントローラ１０はこれらの検出レベルをレベル信号とし
てコントローラ６に出力する。

【００２１】コントローラ６は全ブロック（ａ）〜
（ｃ）に対して１台のみ設けられ、各ローカルコントロ
ーラ１０から入力されるレベル信号に対して以下の処理
を行う。

【００２２】すなわち、ブロック（ｂ）の同一計測点に
一体に設置された変位マノメータ３と１２の検出レベル
を比較し、これらの値からブロック（ａ），（ｂ）間の
相対レベル差を算出する。同様にブロック（ｃ）に設置
した変位マノメータ３と１２を検出レベルからブロック
（ｂ），（ｃ）間の相対レベル差を算出する。そして、
これらのレベル差に基づきブロック（ｂ）と（ｃ）の各
計測点の検出レベルを補正した上で、ブロック（ａ）の
計測点の検出レベルとともに表示装置に表示する。

【００２３】次に作用を説明する。

【００２４】レベル計測に当たっては、まず排水弁５を
閉じ、注水弁４を開いて連通管２に注水する。計測作業
は各ブロックで同時に平行して行ってもブロックごとに
順次行っても良い。

【００２５】注水に応じて基準マノメータ１及び変位マ
ノメータ３と１２の内部の水位が同時に上昇し、低位に
設置した変位マノメータ３（１２）から順番に水位検出
信号がローカルコントローラ１０に入力される。ローカ
ルコントローラ１０は水位検出信号入力時に基準マノメ
ータ１から入力される水位信号を変位マノメータ３（１
２）を設置した計測点のレベルとしてコントローラ６に
出力する。

【００２６】このようにしてコントローラ６に各ブロッ
ク（ａ）〜（ｃ）の各計測点のレベルが入力される。こ
れに対して、コントローラ６はブロック（ｂ）に設置し
た変位マノメータ１２による検出レベルと同一位置の変
位マノメータ３による検出レベルを比較し、これらの値
の差を算出する。この差はブロック（ａ）と（ｂ）の各
基準マノメータ１の設置レベルの差に等しい。コントロ
ーラ６はブロック（ｂ）の各計測点の検出レベルをこの
差で補正することにより、ブロック（ａ）の基準マノメ
ータ１を基準としたブロック（ｂ）の各計測点のレベル
を算出する。

【００２７】また、ブロック（ｃ）についてはブロック
（ｃ）内の変位マノメータ１２と同一位置の変位マノメ
ータ３の各水位検出信号からブロック（ｂ），（ｃ）間
の相対レベル差を求め、これに既に求めたブロック
（ａ），（ｂ）間の相対レベル差を加えることにより、
ブロック（ａ），（ｃ）間の相対レベル差を算出する。
そして、ブロック（ｃ）の各計測点の検出レベルを算出
したレベル差で補正することにより、ブロック（ａ）の
基準マノメータ１を基準としたブロック（ｃ）の各計測
点のレベルを算出する。

【００２８】このようにして、コントローラ６はブロッ
ク（ａ）の基準マノメータ１を基準とするブロック
（ａ）〜（ｃ）の全計測点のレベルを算出して表示する
ので、比較用の基準マノメータやそのための特別な給水
系統を別に設けずに、広い範囲のレベル計測を容易に行
うことができる。

【００２９】また、連通管２はブロックごとに独立して
いるので給水距離が短く、連通管２内での摩擦損失も少
ない。このため、計測精度を落とさずに給水量を大きく
して短時間に計測を行うことが可能である。

【００３０】図２は本発明の別の実施例を示すもので、
ここでは各ブロック（ａ）〜（ｃ）に連通管２を相互に
導き、導かれた連通管２にそれぞれ複数の比較用の変位
マノメータ１２を設置している。

【００３１】この構成によれば、変位マノメータ１２の
数量や連通管２の距離は増えるが、相対レベル差を複数
の計測点で検出できる。したがって、これらを平均する
ことにより、あるいは検出値の中の異常値を排除するこ
とにより各ブロック（ａ）〜（ｃ）の相対レベル差をよ
り高精度に検出することができる。

【００３２】なお、図１と２の各実施例はレベル計測の
対象となる構造物の平面形がいずれも細長い場合であ
り、レベル計測区域は１方向３ブロックにのみ分割され
ているが、ブロック数を増やしたり、計測区域を２方向
すなわち複数列のブロックに分割することもことも可能
である。

【００３３】

【発明の効果】以上のように本発明は、分割したブロッ
ク内の各計測点に配置された変位マノメータの少なくと
も一つに、比較用の変位マノメータを一体に支持し、こ
の変位マノメータを隣接するブロックの連通管に連通し
たので、同一計測点のレベルが隣接する二つのブロック
に備えた各基準マノメータを基準として別個に測定され
る。この結果得られるブロック間の相対レベル差に基づ
き、各計測点の計測レベルを補正することにより、比較
用の基準マノメータやそのための特別な給水系統を備え
ずに、広範囲のレベル計測を効率良く行うことができる
また、各ブロックごとに連通管が独立しているため各連
通管の距離が短く、管内の摩擦損失も小さい。このた
め、計測精度の向上や給水量の増加による計測時間の短
縮が可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示すレベル計測装置の概略斜
視図である。

【図２】本発明の別の実施例を示すレベル計測装置の概
略斜視図である。

【符号の説明】 １ 基準マノメータ ２ 連通管 ３ 変位マノメータ ６ コントローラ ９ 結合ブラケット １０ ローカルコントローラ １２ 変位マノメータ（比較用） （ａ），（ｂ），（ｃ） ブロック

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平３−122317（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) G01C 5/04 G01F 23/00 - 23/76

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水面レベルを連続的に計測する基準マノ
   メータと、所定の水面レベルを検出する数多くの変位マ
   ノメータとを連通管を介して相互に連通し、この連通管
   に連続的に注水することにより変位マノメータを配置し
   た各計測点の高さを逐次検出するレベル計測装置におい
   て、計測点を複数ブロックに分割し、各ブロックに一つ
   ずつ基準マノメータを設置し、同一ブロック内の各変位
   マノメータと基準マノメータとを連通する連通管をブロ
   ックごとに独立して備えるとともに、各ブロックの少な
   くとも一つの変位マノメータに、隣接するブロックの連
   通管のみに連通する比較用の変位マノメータを一体に支
   持したことを特徴とするレベル計測装置。
2. 【請求項２】 各ブロックの複数の変位マノメータに、
   隣接するブロックの連通管にのみ連通する同数の比較用
   の変位マノメータをそれぞれ一体に支持した請求項１記
   載のレベル計測装置。